日本バプテスト神学校 2015 年度 講義要項

Japan Baptist Theological Seminary
Seminary Year 2015 Syllabus
日本バプテスト神学校
2015 年度 講義要項
245-0061
神奈川県横浜市戸塚区汲沢 1-24-9
TEL/FAX
045-866-3150
E-mail
日本バプテスト神学校
[email protected]
2015 年 4 月 1 日発行
日本バプテスト神学校の教育理念
1. 「良い知らせを伝える」ために召された伝道者として、聖書を正しく学び、福音の真理
を確かに身につける。
2. 伝道者としての信仰の成熟を、神に祈り、求め、品性の成長に努める。
神と人に仕える者としてみことばに聴き、他者を愛し、敬い、謙虚に仕えることができる信
仰者を養成する。他者の存在を受け入れ、他者に仕えることを喜ぶ人間性の習得に努める。
3. よき牧会者となるために、よき羊飼いに倣い、心を開き、他者と多くのものを分かち合
う心を養うことに努める。
2015年度
主題聖句
「ただ、揺るぐことなく信仰に踏みとどまり、あなたがたが聞いた福音の希望から離れては
なりません。」(コロサイの信徒への手紙1章23節前半)
2015年度
教役者名簿
(あいうえお順・敬称略)
教役者名
小野
髙橋
慈美
働き
校長
2015年度担当科目名
説教学 説教演習
彰 学務主事・講師 神学概論 教義学 キリスト教と現代
真由美
講師
実践神学 II
帆苅
猛
教授
キリスト教史 新約聖書学 II、新約ギリシャ語
村椿
真理
講師
バプテスト史
森島
惠
講師
新約聖書学 I
山田
和人
講師
牧会カウンセリング
原
フィールドワーク I フィールドワーク II
渡邊さゆり
教務主任
ヘブライ語聖書学 I 実践神学 I ヘブライ語
基礎文献講読 特別講座 I 特別講座 II
2
カリキュラム表・2015年度 開講科目一覧
(担当者名のある科目が、今年度開講している科目です)
I.
基礎課程
信徒伝道者養成コース(聴講可能)
科目名
単位
必修
選択
担当者名
ヘブライ語聖書学 I
4
○
渡邊
新約聖書学 I
4
○
森島
キリスト教史
4
○
帆苅
神学概論
4
○
髙橋
実践神学 I
2
○
渡邊
説教学
4
○
小野
神学校礼拝
II.
渡邊
神学専門課程
教師養成コース
第一学年
科目名
単位
必修
4
○
渡邊
新約聖書学 I
4
○
森島
キリスト教史
4
○
帆苅
神学概論
4
○
髙橋
実践神学 I
2
○
渡邊
実践神学 II
2
○
原
選択科目
8
フィールドワーク I・II
4
○
科目名
単位
必修
ヘブライ語聖書学 II
4
○
新約聖書学 II
4
○
帆苅
新約聖書学 I
教義学
4
○
髙橋
神学概論
バプテスト史
4
○
村椿
キリスト教史
説教学
4
○
小野
キリスト教と現代
4
○
髙橋
選択科目
4
フィールドワーク I・II
4
ヘブライ語聖書学 I
選択
担当教員名 先修科目
○
渡邊
第二学年
選択
担当教員名
ヘブライ語聖書学 I
○
○
先修科目
渡邊
3
実践神学 I
第三学年
科目名
単位
必修
選択
担当教員名
先修科目
ヘブライ語聖書学 III
4
○
ヘブライ語聖書学 II
新約聖書学 III
4
○
新約聖書学 II
牧会学
4
○
説教演習
4
○
小野
牧会カウンセリング(半期)
2
○
山田
選択科目
2
論文
4
○
フィールドワーク I・II
4
○
説教学
○
渡邊
選択科目
科目名
単位
担当教員名
先修科目
教会史特講
4
キリスト教史
教義学特講
4
教義学
原典講読(旧約)
4
ヘブライ語
原典講読(新約)
4
新約ギリシャ語
日本キリスト教史(前期)
2
教会音楽
2
特別講座 I
2
渡邊
特別講座 II
2
渡邊
新約ギリシャ語
4
帆苅
ヘブライ語
4
渡邊
原書講読 I
4
原書講読 II
4
キリスト教教育学
2
基礎文献講読
4
礼拝学
2
渡邊
バプテストコース 必修科目
(ただし、教師養成コースの必修科目で未修のものがあれば、履修を求める。学生のこれまでの神学教育機関
での履修の有無により相談して決定する科目がある)
科目名
単位
担当教員
先修科目
キリスト教史
バプテスト史
4
村椿
実践神学 I
2
渡邊
実践神学II
2
原
牧会学
4
説教演習
4
論文
4
フィールドワーク I・II
4
小野
説教学
渡邊
4
2015年度
日本バプテスト神学校
火
水
9:00
春
9:30~
10:50
木
ディボーション
9:30
1限目
時間割表
秋
新約聖書学 II
神学概論
フィールドワーク I
教義学
(帆苅猛)
(髙橋彰)
(渡邊さゆり)
(髙橋彰)
(2・聴講※)
(1・S・聴講)
(1・2・3・B)
(2)
実践神学 I
2限目
春
11:00~
12:20
秋
フィールドワーク II
(渡邊さゆり)
(渡邊さゆり)
(1・S・聴講※)
牧会カウンセリング
神学校礼拝
(山田和人)
ヘブライ語
(渡邊さゆり)
(選択・※聴講)
(3・B)
昼休み
3限目
春
13:00~
14:20
秋
基礎文献講読
キリスト教史
新約聖書学 I
(渡邊さゆり)
(帆苅猛)
(森島惠)
(選択・聴講※) (1・S・聴講)
(1・S・聴講)
実践神学 II
4限目
春
14:40~
16:00
5限目
(帆苅猛)
秋
春
16:20~
17:40
新約ギリシャ語
秋
(原真由美)
(1・B)
(選択・※聴講)
バプテスト史
説教学
キリスト教と現代
(村椿真理)
(小野慈美)
(髙橋彰)
(2・B・聴講※) (1・S・聴講)
(2・聴講)
ブレイクタイム
6限目
19:00~
ヘブライ語
春
聖書学 I
(渡邊さゆり)
20:20
秋
(1・S・聴講)
説教演習
特別講座 I・II
(小野慈美)
(渡邊さゆり)
(3・B)
(選択・聴講)
注1)数字は、神学専門課程の標準履修年次です。S=信徒コース。B=バプテストコース。
注2)受講予定者が聴講者のみの科目については開講しないことがあります。
注3)聴講※は、先修科目があります。新約ギリシャ語、新約聖書学 II の聴講には、新約聖書学 I の単位取
得が先に必要です。ヘブライ語の聴講には、ヘブライ語聖書 I の単位取得が先に必要です。基礎文献講読、バ
プテスト史の聴講には、信徒コースの科目すべての単位取得が先に必要です。
注4)科目履修者、聴講者は、信徒コース生です。所属する教会と牧者からの推薦が必要です。
注5)ヘブライ語聖書とは、従来「旧約聖書」と呼ばれていたものを指しています。
5
科目名
担当者名
単位数
フィールドワーク I・II
渡邊さゆり
4
時間
火・2
1 ・○
2 ・○
3 ・S・○
B ・聴講
○
水・1
【講義概要】
フィールドワーク I
<通年実習>(全受講者)
学生は、日本バプテスト同盟関東部会の教会・伝道所の協力を得て、一年を通じて定められた一つの教会
で実習します。受け入れ教会に感謝し、誠実に取り組んでください。実習では、教会教師から具体的な宣教
牧会についての指導を受けます。実習教会での信徒の交わりを深め、また宣教の担い手として、奉仕をしま
す。週ごとに通年教会実習のレポートを講義時に提出し、講義内では他の学生の実習レポートをよく聴き、
宣教的な課題を討議します。
<集中実習>(在学期間中一回)
日本バプテスト同盟に加盟する教会・伝道所の協力で、現役の教会教師の指導のもと、連続で二週間以上
三回の主日を含む期間で集中的な実習をします。日常的な教会教師の宣教牧会に伴うことにより、より具体
的な牧者の働きを知り、実践的な訓練の場として集中実習を位置付けています。在学期間中に必ず一回この
実習を行うことにします。学生個々人のニーズにあわせ場所や時期を調整します。
<研修旅行>(全受講者)
日本バプテスト同盟の東北、関西、内海部会の教会・伝道所へ研修のため訪問し、各地区の教会・伝道所
の働きを学び、信徒との交わりを持ち、教師の働きから学びます。またそれぞれの地域にある宗教施設や、
協力団体の歴史、働きを知ります。
本講義では、上記実習教会の教師と連携をとり、学生の実習を維持、指導し、伝道者となる上での課題を
分かち合います。
「献身」とは何かを自問し、また召命について深く考えることができるように、工夫してい
きたいと思います。共に働く仲間の献身についての意見をよく聴き、具体的な教会活動の中で起こる問題や、
実習中に直面したことがらを慎重に考えます。また、教会が担うべき社会的な課題について調査、発表を行
い伝道者として働くための備えをします。
フィールドワーク II
<神学校礼拝>
学生は、神学校礼拝に参列し、奉仕を担当します。学期ごとに、礼拝奉仕についての振り返りを行い、牧
会的に信徒の働きを導く力を養います。具体的には、司式、
「説教」、奏楽、週報作成などの奉仕の中から、
今日的な宣教の課題を見出し、相互評価とレポートを行います。フィールドワーク I の講義内でフィードバ
ックをします。
個々人の宣教の関心に即して、外部研修を受けた場合、その研修内容を分かち合います。また当校が連携
しているキリスト教婦人矯風会、NCC 教育部などによる研修に出席し、研修レポートをします。地域、また
内外のキリスト教グループとの関係を知り、牧会的訓練となるよう信頼性の中で講義をつくりあげていきた
いと考えています。
【講義計画】
① ①
通年教会実習の実習記録を作成、毎講義中に提出をします。実習で学んだこと、考えさせられているこ
とをよくまとめ、発題し、コメントを聞き、次週への取り組みに反映させる、フィールドワークの基本的な
作業を身に着けていきます。
② 集中実習の実習記録を作成し、実習後提出します。連続して奉仕した教会の諸活動から学ばされたこと
などを、神学的に考察し、自らの言動を振り返ります。研修旅行に参加し、地区にある教会の宣教の歴
史を学び、信徒の交わりを深めます。
6
③
協力団体、キリスト教学校での奉仕や、研修に参加します。今年度は、キリスト教の多様な宗派、教派
の礼拝に参列する機会を設け、バプテスト教会の宣教の特徴について話し合う時間を大切にしていく予定で
す。
④
同盟諸規定集を通じて、宗教法人格をもつ宗教団体としての社会的責任、また信仰共同体としての教会
形成など具体的な働きについて学びます。これからの日本バプテスト同盟に加盟する教会、協力団体の連帯
についてもよく話し合う時間を持ちたいと思います。
【評価方法】
通年教会実習出席・講義出席=30% 週ごとの通年教会実習レポート=30%
講義内の発表=20% 半期ごとのレポート=20% ただし、教会実習先の教師からのコメントを重視
し、適宜実習内容や方法を変更する場合があります。実習レポートの不足は上記の配分を超えて減点の対象
とすることがある。実習への遅刻、早退、欠席の過多(規定期間の四分の一以上)は、単位を認定すること
はできません。
【テキスト】
『宗教法人日本バプテスト同盟諸規定集』日本バプテスト同盟 総務部委員会 2012年
今橋朗 他 共著 『主の招く声が―召命から献身へ―』日本キリスト教団出版局 2010年
受講者は必ず自分用に上記のテキストを入手するようにしてください。
【参考書】
講義の中で適宜紹介する。
【備考】
共に学ぶ仲間が他の教会で学んだことのレポートをよく聴き、尊重し、やり取りをすること自体も、実践
的な訓練ととらえています。互いに相手の気持ちを考え、共感的態度で関与しながら、協働性が育めるよう
に、積極的に誠実な態度で臨んでほしいと願っています。
7
科目名
担当者名
単位数
時間
神学概論
髙橋 彰
4
火・1
1 ・2・3・○
S ・B・○
聴
○
【講義概要】
「神学する」とは何かを、基礎的な神学的主題を概観しながら身につけていきます。神学の領域、議論の
方法、基本的知識を習得するため、指定のテキストに取り組み、キリスト教神学の諸主題について丁寧に扱
い、なされてきた議論へ対論を立て、問いを深め、これから学ぶ神学の幅広い世界の地図を頭で整理して理
解する作業をしま。神学的用語を用いて議論する力と、文章作成力を養うことを目標とします。牧会者や信
徒伝道者として教会形成や信徒の教育のリーダシップを担ってゆくための神学の基礎を築くためにも大切な
学びです。
受講者は毎授業でのレポート提出と発表があります。また議論への積極的な参加を期待します。
【講義計画】
前期は「神学とは何か」の問いからはじめ、神学的区分と内容、その歴史的展開を概観します。神学とは
どのような学問であり、どのような領域があるのかを解説します。また神学は教会そして社会とどう影響し
合い、展開されてきたのかを学びます。考え、まとめて発表し、議論するプロセスで自らも神学的考察を行
い、用語を使用して議論する経験を積み重ねます。
後期は神学で扱う「神、人間、世界」の領域を概観し、組織神学的に考察し、講義で取り上げられた問い
について、レポートを作成します。キリスト教史上重要な議論や人物の紹介、現代的な神学的主題について
も触れ、講義を進めます。バプテスト教会を形成する者として「神学する」ことの意義と特有な神学的課題、
視点を重んじて学びと議論を展開します。
受講者が基礎的な力を身につけてさらなる学びへの関心を深めてゆくことを期待します。
【評価方法】
毎回の講義で提出するレポートと発表や議論への参加度を評価対象にします。
前期、後期に筆記試験を行います。
前期、後期にレポート課題を出します。
【テキスト】
日本バプテスト同盟「信徒の手引き」
N・H・メアリング、W・S・ハドソン著 大竹庸悦、藤原三千男訳「バプテスト教会の形成」
新教出版社 2011 年
その他、必要に応じて講義で指示します。
【参考書】
深井智朗著「神学の起源 社会における機能」新教出版社」 2013 年
その他、必要に応じて講義で指示します。
【備考】
本を読む力を養うために、毎週の講義の始めに受講者による読書発表を課します。
8
科目名
ヘブライ語聖書学 I
(旧約)
担当者名
単位数
時間
渡邊さゆり
4
火・6
1 ・2・3・○
S ・B・○
聴
○
【講義概要】
ヘブライ語聖書のすばらしさを味わいましょう。
「キリスト」という言葉が、ユダヤ教から借用された概
念であるという一例からも明らかなように、キリスト教は、ユダヤ教の選民的思想、律法、契約などの宗教
文化を土台として発出し、形成、成長しているという聖書学の初歩的態度を学びます。ヘブライ語聖書を軽
視し、価値を低めるあらゆる誘惑と怠惰な態度を改め、聖書学研究への第一歩をこの講義を通じて共に踏み
出すことを期待しています。全受講者が、この授業を通じてヘブライ語聖書の通読に挑戦します。まずは、
古代パレスチナ周辺諸国の歴史、地理について解説します。
「五書」、歴史書、預言書、諸書の研究史を簡潔
に説明します。歴史的批判的研究史をたどり、さらに21世紀にアジアという文脈、またバプテスト教会で
ヘブライ語聖書を読む意義について受講者の信仰の歩みや、教会生活を振り返りながら討議し講義を進めて
いきます。
ヘブライ語聖書全書物についての総合的な解説を行うのがこの講義です。前半では、研究史と時代史を学
び、ヘブライ語聖書全体を読み進め、後半は各書の解説をすることで、一年の講義を通して受講者は最低二
度、ヘブライ語聖書全体を無理なく読むこととなります。
この講義は、聖書学の初歩的な講義で今後の釈義、神学へとつながる入門講座です。古代ユダヤ的思想文
化に触れ、ヘブライ語聖書を読む楽しさを充分に味わえるように今年度も工夫していきます。
【講義計画】
前期:19世紀後半以降のヘブライ語聖書研究史をたどります。史的批判的研究の実績と評価、現代的な
聖書解釈についても言及し、
「聖書学」の前提的理解を深めます。構造主義的聖書解釈、文芸論的解釈や、新
しい視座による読みを紹介していく予定です。序説的講義にあわせ通読を講義者と共に行います。
「五書問題」
の議論はとくに丁寧に解説し、資料仮説の基本的な知識を身につけ、歴史書までを読み進めていきます。テ
クストの時代背景に注意して読むことを心がけ、釈義につながる基本的な聖書学的な態度を知ることができ
るように計画しています。
「聖書」とは何かを真摯に問います。テキストを用いて、しっかりと聖書時代史に取り組み、各書の概説を
行います。受講者は、まずはヘブライ語聖書時代史に興味を持ち、歴史的に重要な出来事をしっかりと頭に
入れ、地理や文化について慣れ親しんでいくことに重点を置き、聖書を読み進めてください。
1)序:旧約(ヘブライ語聖書)の構成
2)ヘブライ語聖書研究史序説
聖書学とは何か
3)モーセ五書研究史
4)カナン定着以前の時代
5)カナン定着時代
6)統一王国時代
7)北イスラエルの歴史
8)南ユダの歴史
9)バビロン捕囚時代
10)ペルシャ時代
11)ヘレニズム時代
12)創世記における創世物語 族長物語の特徴
13)出エジプト記~解放と律法~
14)レビ記 民数記 ヤハウエ礼拝について
9
後期:前期に学んだ事柄を復習しつつ、申命記改革以降のイスラエル、ユダの歴史をヘブライ語聖書テク
ストからたどり、各書の特徴をつかみます。前半は、捕囚期預言者の働きを取り上げます。後半は、詩編研
究史や具体的な詩編の味わい方について、ユニークな取り組みをします。いくつかの詩編をとりあげて「聖
書注解」を実践することで、ヘブライ語聖書を読む楽しみが増すよう工夫します。知恵文学、黙示文学の背
景を学び、古代ユダヤ文化に触れて聖書をより広くまた深めます。
「聖書」とは何か、との問いに戻り、これ
らの文書が「いつ」
「なぜ」聖書と「なった」のかについて学びます。死海写本他、いくつかの周縁化された
資料についても解説をします。 受講者には「続編付
聖書」は自分用のものを準備していただきたいと思っ
ています。
1)申命記改革について(申命記的な文書についての検討)
2)士師記(士師と何か。部族連合と王政)
3)
「預言者」
「預言書」序説
4)イザヤ書の構成と第一イザヤ、第二イザヤ 僕の歌について
5)エレミヤ書 捕囚民の生活と信仰 エレミヤの手紙を読む
6)エゼキエル書 新しいイスラエルへの幻
7)ホセア書他、自分で預言書を読んでみる
8)エズラ記・ネヘミヤ記から
9)詩編研究史 詩編からの精読~信仰と生活の言葉~
10)コヘレト、箴言について
11)ヨブ記 I
12)黙示文学について
13)ルツ記 エステル記から 聖書の中の彼女たち
14)
「中間時代」
、周辺写本や資料について
上記の予定は、受講者の状況によって変更することがあります。この一年間でしっかりとヘブライ語聖書
に親しみます。テクストを読む力を養い、釈義、神学的思考を深めるための基礎を学びます。
【評価方法】
講義ごとのレポート30%、学期ごとのレポート20% 学期ごとのテスト40%、夏期課題10%
【テキスト】
樋口進 『よくわかる 旧約聖書の歴史』日本キリスト教団出版局 2001年
池田裕 他 共著 『新版 総説旧約聖書』日本キリスト教団出版局 2007年
日本聖書協会 編 『はじめて読む人のための 聖書ガイド』2011年
【参考書】
講義中に紹介します。
【備考】
この講義では一方的な教授法をとりません。共に学ぶ仲間の言葉によく耳を傾け、自分の意見を発表し、
また訂正され、変更されることを体験し、聖書学の基礎を学ぶ講義です。新しい領域に足を踏み入れる勇気
を神に求めつつ、熱心に学ぶ覚悟がなければ続けることはできません。すべての受講者が、自分用のテキス
ト、聖書(新共同訳 続編付)をそろえ、学習したことが定着するように創意工夫をしてほしいと思います。
重要な用語については自分の言葉で説明できるようになることが大切です。 部分的な聴講(欠席、遅刻、
早退の過多など)では、学ぶことはできません。一年間を通じ、共に学ぶ者たちを尊重し合いながら責任を
もって講義に出席し、聖書を読むことを大切にしてください。
10
科目名
担当者名
単位数
時間
新約聖書学 I
森島 惠
4
水・3
1 ・2・3・○
S ・B・○
聴
○
【講義概要】
新約聖書の正典成立史を概観し、各書の著者、著作年代、著作場所、時代背景、神学的特色などについて
学ぶ。
【講義計画】
前期
1.新約聖書概説
2.正典成立史概説
3.各書の概説
①福音書(共観福音書、ヨハネによる福音書)
②使徒言行録
③パウロの手紙(テサロニケの信徒への手紙一、ガラテヤの信徒への手紙
フィリピの信徒への手紙、フィレモンへの手紙、コリントの信徒への手紙一
コリントの信徒への手紙二、ローマの信徒への手紙)
後期
1.パウロの名による手紙(テサロニケの信徒への手紙二、コロサイの信徒への手紙
エフェソの信徒への手紙
牧会書簡:テモテへの手紙一、二、
テトスへの手紙
2.ヘブライ人への手紙
3.公同の手紙(ヤコブの手紙、ペトロの手紙一、ペトロの手紙二、ヨハネの手紙一
ヨハネの手紙二、ヨハネの手紙三、ユダの手紙)
4.ヨハネの黙示録
【評価方法】
毎週のレポート提出、レポート発表、前期レポート、後期レポート
【テキスト】
特に指定しない。
【参考書】
『総説 新約聖書』日本基督教団出版局
『新版 総説 新約聖書』日本キリスト教団出版局
『新約聖書正典の成立』日本基督教団出版局
『新共同訳聖書辞典』新教出版社
『新共同訳 聖書事典』日本キリスト教団出版局
『旧約新約 聖書大事典』教文館
【備考】
11
科目名
担当者名
単位数
時間
キリスト教史
帆苅 猛
4
火・3
1 ・2・3・○
S ・B・○
聴
○
【講義概要】
キュンクの下記テキストを中心に、キリスト教の歴史的な流れを、とくにその思想に注目しながら学んで
いきたい。
キュンクのテキストでは 7 人の著名なキリスト教思想家が取り上げられている。彼らはキリスト教の歴史
の中で、それぞれの時代に対応しながらキリスト教思想を形成した代表的な人物である。それぞれの人物の
時代背景については、別途、ゴンサレスのテキストで学びつつ、彼らがキリスト教信仰を背景にその時代と
どう向き合おうとしたのか、何を訴えようとしたのか、ということを中心に学んでいきたい。なお、学びの
中でキリスト教史の重要な概念についても触れたい。そして現在、彼らの営みから何を受け継いでいくのか、
ということにも注目していきたい。
【講義計画】
最初に、
「キリスト教史」とは何か? 何のため、どのようにして学ぶのか?ということを学びたい。
前期は、キュンクのテキストの中の、パウロ、オリゲネス、アウグスティヌスの 3 人を取り上げる。後期は
残りのトマス・アクィナス、マルチン・ルター、フリードリヒ・シュライエルマッハー、カール・バルトを
取り上げる。
それぞれの人物を取り上げる前に、ゴンサレスのテキストを読んで、その人物の時代状況、時代背景を学
んでほしい。ときに応じて、それを受講者に発表していただく。時代背景を学んだうえで、キュンクのテキ
ストの人物について学びをしていきたい。それぞれの人物が、自らの時代状況を踏まえて自らの信仰をどの
ように練り上げていったのか、何に応えようとしたのか、課題として何が残ったのか、といったことを中心
に、講義の形で学んでいく。
時間があれば、上記 7 人の人物のテキストの一部を一緒に読んでみたい。
各年度末には、課題のレポートを提出していただく。
【評価方法】
授業出席、および、授業への取組みの状況、発表・課題レポートの内容によって評価する。
【テキスト】
ハンス・キュンク著、片山寛訳『キリスト教思想の形成者たち』新教出版社
J.ゴンサレス著、金丸英子訳『これだけは知っておきたいキリスト教史』教文館
【参考書】
別途その都度紹介する。
【備考】
12
科目名
担当者名
単位数
時間
実践神学 I
渡邊さゆり
2
水・2(前期)
1 ・2・3・○
S ・B・○
聴
○
【講義概要】
「何の権威でこのようなことをしているのか。だれが、そうする権威を与えたのか」
(マルコによる福音書1
1章27節)
。この確信に満ちた疑問にわたしたちはなんと答えることができるでしょうか。本講義をこの聖
書の箇所から始める予定です。
「宣教」は、どのように行われ、どこに向かうのか、がこの講義のテーマです。
受講者が実践神学的諸分野の基本的な知識、用語や歴史、そして課題を知り、討議できることが目標です。
この講義は実践神学の初歩的な講義です。学生と教員が等しく学ぶものをとしての姿勢をもち、対等に話し
合いながら進める予定です。
【講義計画】
1)序説 実践神学とは何か
2)
「神の民」ミニストリーの今日的課題
3)エキュメニカル運動史 WCC 成立 『リマ文書』の成立と意義
4)宣教論のパラダイム転換について
5)ディアコニア論
6)現代的展開の課題 自然と人間
7)老いの神学 ターミナルケアに赴く宣教者
8)
「しょうがい者」と教会
9)フェミニスト神学の成立と向かうべき地平について
10)差別と人権
11)教会と労働者
12)平和の神学 ヤスクニと非神話化
13)民衆の神学の地平
14)解放の神学
概ね上記のようなテーマを扱う予定です。講義者、受講者が協力して発題を行い、討議を重んじて進めて
いきたいと思います。受講者の状況や関心、神学的な立場によって、計画が変更になることもあります。
【評価方法】
各講義で割り当てられる発表、 学期末のレポート、講義への参与(質問と応答)、普段の文献交読の発表
の様子なども加味して総合的に評価します。
【テキスト】
神田健次 『総説 実践神学』日本キリスト教団出版局 1989年
【参考書】
レスリー・ニュービギン 鈴木脩平 訳 『宣教学入門』日本キリスト教団出版局 2010年
小田島嘉久『キリスト教倫理入門』日本キリスト教書販売 2001年
マーク・W・トムセン 宮本新 訳『もうひとつの十字架の神学 二一世紀の宣教論』
リトン2010年
越川弘英 編 著 『宣教ってなんだ?-現代の課題と展望』キリスト新聞社 2013年
H・E・テート 河島幸夫 訳 『キリスト教倫理』ヨルダン社 1984年
関田寛雄 『
「断片」の神学 実践神学の諸問題』日本キリスト教団出版局2005年
その他、講義の中で紹介する。
【備考】
13
科目名
担当者名
実践神学 II
原
単位数
時間
2
火・4(前期)
真由美
1 ・2・3・S・○
B ・聴講
○
【講義概要】
日本のキリスト教の歩みを、新しい知見を取り入れつつ、キリシタン時代から現代まで概観し、キリス
ト教が日本にどのように移入受容され社会的に展開されていったのかを学ぶ。
近代においては、バプテスト同盟と関係の深いアメリカ・バプテストの日本宣教からはじまる歴史を、
バプテスト同盟編纂の『バプテスト史年表』と対比し、バプテストの宣教の歴史的、社会的宣教課題につ
いて学ぶ。
【講義計画】
キリシタン時代
キリスト教の開始とその発展 禁教と迫害 キリシタンの復活
信仰・思想・文化
明治期
プロテスタント伝道の開始 聖書の和訳
三バンドの成立 受容当初の福音理
解教会の形成
「内村鑑三不敬事件」と「教育と宗教の衝突」社会問題とキリスト教
大正期
三教会同・エキュメニカル運動、純福音派。
昭和前期
神の国運動・SCM 弁証神学の移入 日本基督教団の成立・戦時下のキリスト
教 朝鮮・台湾伝道
現代
復興期のキリスト教界、アメリカの宣教政策と日本宣教、アジア・バプテスト、
世界バプテスト、日本キリスト教協議会の今日の宣教課題についても取り上げ
る。
【評価方法】
課題、レポート
【テキスト】
海老沢有道、大内三郎『日本キリスト教史』
鵜沼裕子
日本基督教団出版局
『史料による日本キリスト教史』
聖学院大学出版会
土肥昭夫『日本プロテスタント・キリスト教史』
新教出版局
【参考書】
『近代日本とキリスト教』
明治篇
基督教学徒兄弟団発行
『近代日本とキリスト教』
大正、昭和篇、
基督教学徒兄弟団発行
片子沢千代松『日本のプロテスタント―120 年のあゆみ―』 YMCA 出版
『日本バプテスト同盟に至る 日本バプテスト史年表 1860~2005 年』
日本バプテスト同盟
【備考】
一部、ゼミ形式も取り入れる。
14
科目名
担当者名
単位数
時間
新約聖書学Ⅱ(釈義)
帆苅 猛
4
火・1
1・○
2 ・3・S・S・○
聴
信徒コース全科目修了者
【講義概要】
講義を通して、新約聖書の意味を、新約テキストに沿って汲み取る釈義の方法についてテキスト(教科書)
を通して学び、実践的に身につけていく。釈義の方法だけではなく、それをメッセージ・説教にどう結び付
けていくかという点も、G.D.フィーなどの参考書によって学びたい。
前期は、最初に新約聖書釈義の基本的な手順を学んだ後、
『マルコによる福音書』を取り上げる。後期にな
ってから、パウロ書簡から『フィリピの信徒への手紙』を取り上げる。
【講義計画】
前期は、釈義のために必要な手続き、参考書、釈義の進め方などを学んだ後、マルコ福音書を取り上げる。
まず、新約聖書のテキストをしっかりと読む(文脈、語彙、概念などに気を付ける。ギリシア語原文が読め
ない時は、いくつかの翻訳、注解等を参照する、など)ことから始めたい。聖書テキストの読み方、釈義の
進め方を学んでから、マルコ福音書から課題のテキストをそれぞれ割り当てるので、各自釈義レポートを作
成して発表していただく。その後、釈義から説教にどうつなげていくか、ということも学びたい。前期末に、
マルコ福音書の釈義レポートを課題として提出していただく。
後期は、最初、前期のまとめとして福音書全体の釈義のまとめの時を2、3回持つ予定。その後、パウロ
書簡のフィリピ書を取り上げる。パウロ書簡の場合、その歴史的背景も必要となるのでパウロの生涯・活動
についての概略を学び、書簡の釈義のポイントを押さえた上で、フィリピ書の釈義に入る。期末レポートと
して、フィリピ書からの釈義レポートを課す。
【評価方法】
授業出席、および、授業への取組みの状況、課題レポートの内容によって評価する。
【テキスト】
原口尚彰『新約聖書釈義入門』教文館
【参考書】
G.D.フィー、永田竹司訳『新約聖書の釈義―本文の読み方から説教まで』教文館、他。
【備考】
15
科目名
担当者名
単位数
時間
教義学
髙橋 彰
4
木・1
1・○
2 ・3・S・B・聴
【講義概要】
キリスト教の主要な教理について体系的に学び、それぞれの基本項目について理解を深めるとともに、
福音宣教の内容を整理し、自らも語れるようになることを目的とします。キリスト教信仰の内容の歴史
的変遷と、現代的な解明や展開を、個々の神学者を取り上げて考察していきます。
教義学は教会共同体形成のために奉仕する業であるとともに、教会の伝統と現在を批判検証するとい
う面においても建設的に教会に奉仕する学として意義を持ちます。聖書主義を掲げ、特定の信条を持た
ず自由で人格的な神への応答を重視するという信仰の本質を重視してきたバプテストにとって、教義学
的考察をする意義を大切にします。権威主義的にならぬこと、信仰と教会に関する様々な神学的課題を
自ら検証していくための学としての意義を持つことを重視しつつ、講義を進めます。
【講義計画】
前期は、テキストに沿って教義学の主要項目を考察します。各章ごとに担当者を決めて発表をします。
担当以外の部分も必ず事前にテキストを熟読し、議論に参加できるようにして講義に臨んでください。
主テキストだけにあたって要約をするのではなく、他の教義学の文献にも丁寧にあたって、担当項目に
ついてよく理解し、発題を準備するようにしてください。
後期は、神学研究の歴史において神学的思考の転回点となる中心的な著作と神学者を取り上げ、神学
的内容と同時代における文脈を読み解いていきます。組織神学的著作を読んで深く理解する力を養いま
す。また毎週、関連する神学用語について事典の項目要約の課題を出します。必ず取り組んで、提出し
てください。
【評価方法】
授業での担当箇所の発表内容や討議への積極的な参加態度を重視します。
前期、後期で課題レポートを課します。
夏休みの課題レポートを出します。
【テキスト】
H・G・ペールマン著 蓮見和男訳「現代教義学総説 新版」新教出版社 2008 年
R・A・クライン、C・ポルケ、M・ヴェンテ編 佐々木勝彦、佐々木悠、濱崎雅孝訳
「キリスト教神学の主要著作 オリゲネスからモルトマンまで」教文館 2013 年
A・リチャードソン、J・ボウデン編著 古屋安雄監修 佐柳文男訳
「キリスト教神学事典」教文館 2005 年
【参考書】
A・E・マクグラス著 神代真砂実訳「キリスト教神学入門」教文館 2002 年
その他、授業で適宜指示します。
【備考】
16
科目名
担当者名
単位数
時間
受講者
説教学
小野慈美
4
火・5
1・○
2 ・3・○
S ・B・○
聴
【講義概要】
「かつて、かしこ」において語られ書き留められた聖書の言葉が、
「今、ここ」に生きるわたしたちにとっ
て神の言葉であるとはどういうことなのであろうか。この根本的な問いを念頭に置きつつ、説教者の果た
すべき役割を考えていく。
特に、
「釈義から説教へ」の課程をていねいにたどり、釈義の作業から、「今、ここ」という固有のコン
テキストにおける神の言葉をいかに聞き取り語るかについて考えていきたい。
また、実際に説教を語る演習(実践)をする。
【講義計画】
<前期>
序論
コミュニケーションとしての説教
説教とは何か
聖書テキストと説教
説教の作成の諸段階
<後期>
釈義の実際
さまざまな場面の説教(教会学校、キリスト教主義学校、家庭集会など)
説教の演習
【評価方法】
①出席状況
②学期中の課題の提出
※学期末、年度末のレポート・試験は無い。
【テキスト】
吉岡繁『改革派説教学ノート』新教出版社 2006年
【参考書】
藤原導夫『キリスト教説教入門』いのちのことば社 1998年
スポルジョン著、H.ティーリケ編、加藤常昭訳『新版 説教学入門』いのちのことば社 2010年
ウィリモン・リシャー編『世界説教・説教学事典』日本基督教団出版局 1999年
【備考】
17
科目名
バプテスト史
(History of the Baptists)
担当者名
村椿
真理
(むらつばき・まこと)
単位数
時間
4
火・5
1・○
2 ・3・S・○
B ・○
聴
信徒コース全科目修了者
【講義概要】
17世紀英国分離会衆派教会の中から誕生したバプテスト教会の今日に至る迄の歴史と信仰思想、その伝統
について学ぶ。英国、ヨーロッパ、米国、日本と概観する。それを通し、バプテスト教会の教会理念、そこ
にあらわれた独自のバプテスト主義を学び、バプテスト信仰の本質、及びバプテスト教会形成の今日的課題
を理解していく。
【講義計画】
前 期
1、ガイダンス 総論
―バプテストの起源と発展 歴史を学ぶ意義
シラバス概要説明
2、初期非国教派、ピュリタンの一員としてのバプテスト
― 近代化とは何か アングリカニズムとピュリタン
3、海外亡命バプテストと革命前夜の帰国
―バプテストの二つの潮流 市民革命への移行
ジェネラルバプテストとパティキュラーバプテスト
4、Believer's churchの発見と信仰者バプテスマの実践
―immersionの実現と実際(バプテスト礼典論)Take me to the water
5、バプテスト教会契約の意義と実践 a covenanted people
―信仰者契約共同体の形成と献児式
6、バプテストの新生論 regeneration
―宗教改革者カルヴァンの再生論とバプテスト新生論
7、18世紀啓蒙期のバプテストと信仰覚醒運動
―メソジスト運動とバプテストSpirituality
8、ニューコネクションの登場とハイパーカルヴァン主義的バプテスト
―サミュエル・ディーコンとダニエル・テーラー
ギリズム
9、アンドリューフラーの神学
―フラーとフラーイズム(ギリズムの克服)
10、BMSの設立とケアリーの東インド宣教
―その経緯と状況(ケアリー教材映像有り)
11、アンティミッションパーティーとの闘い
― 紅茶トレーダー、T・トワイニングとのフラーの寛容論争
12、英国バプテスト同盟の形成
―19世紀、主流派の合同論 ジョン・クリフォードの合同思想
13、非主流派、ストリクトバプテストの系譜
― 両者の共通点と相違点 ウィリアム・ガズビーからスポルジョンまで
14、ドイツのバプテスト派とヨーロッパ各国のバプテスト教会
―オンケンとドイツバプテストゲマインデの発展
世界のバプテスト教会概観
後 期
1、ニューイングランドのバプテスト
―カトリック大陸からプロテスタント大陸へ
独立前の状況とマサチューセッツ湾植民地
2、ロジャー・ウィリアムズと政教分離思想
―ウィリアムズの思想の原点とロードアイランド植民地建設
ヘルウィスからマートン、ウィリアムズへ 「良心の自由論」の系譜
3、アメリカ合衆国憲法修正第一条獲得への道
―全州における公定教会制度の撤廃
バプテストスタンダード形成
4、地方連合の形成と信仰復興運動によるバプテストの躍進
―多彩なバプテスト諸派の誕生 レギュラーバプテスト他
18
5、バプテストと奴隷問題、国内外伝道協力問題
―18世紀奴隷撤廃運動とバプテスト 南北バプテストの対立
6、南部アメリカ連合国の独立とその奴隷制度維持論
― 南北戦争の背景と推移
7、南北戦争後の南北協力とその現実
―解放奴隷によるNational Baptist Convention,USAの創設 (DVD「それでも夜は明ける」Twelve Years
a Slave 鑑賞)
8、バプテストの黒人差別撤廃運動
― バプテスト高等教育機関 ロードアイランドカレッジ
9、リバイバリズムの概観
― 第一次信仰復興運動から、第三次信仰復興運動まで 思想と特色、その影響
10、社会的福音運動 W・ラウシェンブッシュその人と思想
―マリンズからキング牧師の公民権運動へ
11、日本における社会的福音運動の展開
―その歴史と挫折、国家権力と日本のバプテスト
12、アメリカの根本主義とその展開
―リベラリズムとの対立 ファンダメンタリズムとは何か
13、日本へのバプテスト伝道
― 英米からの布教とその発展 東西組合と合同運動
14、日本バプテスト教団から日本基督教団第四部への合同
―大合同論の論理 修正バプテスト主義の理想とその問題点
15、日本バプテスト同盟設立と教団新生会の分裂
―何故、友井は日本基督教団に残留したか 友井の理想
◆なお学期中にリバイバル教会の礼拝を体験学習する。教師が日曜日に講義の一部として引率する。
【評価方法】
前期は、レポート提出を課す。後期は学期末試験(選択肢、記述形試験)により、総合評価する。出席点
は取らない。
【テキスト】
「見えてくる―バプテストの歴史」出村彰監修 2011 年刊行 関東学院大学出版会。
【参考書】
講義の中でその都度必要に応じて指示、紹介する。
【備考】
授業は毎回パワーポイントを使用し、プリントが用意される。毎回、予習すべき教科書の頁が指定され、
事前に当該個所を読んで授業に参加することが求められる。指定教科書は、必ず授業の初回迄に各自購入し、
第1章「宗教改革」(1~19頁)迄を読んでおくこと。紹介する参考書は、可能な限り是非購入することを勧
める。
19
科目名
担当者名
単位数
時間
キリスト教と現代
髙橋 彰
4
木・5
1・○
2 ・3・S・B・○
聴
【講義概要】
現代社会においてキリスト教が直面しているさまざまな課題を取り上げる。それらを日本社会での教会の
宣教課題として受け止め、深く知り、考えることや討論することを通して、現代日本で伝道者として生きる
自己の形成や、教会の教師やリーダーとして、現実の教会での現代的宣教課題を掘り下げて考え、取り組ん
でいくための力を養うことを目的とする。
まずはさまざまな課題の基礎的な知識と歴史的経緯、先行の研究や取り組みについて、文献にあたって学
び理解を深める。さらにさまざまな課題に向き合い取り組む人々をゲストスピーカーとしても招き、発題し
ていただく。声や証言を丁寧に聞き、学ぶことを通して、出会いが起こることを期待する。その上で積極的
に意見を交わして討論をする。主体的な姿勢で参加すること。課題に対して一つの「正解」をすぐ求めるこ
とでなく、広く意見を聞き、より多くの側面から物事を学び、受容しながら、考えを広め、深めていきつつ、
伝道者としての自分自身のあり方や考え方をも再考して、考え、表現してゆくことができるようにする。
【講義計画】
前期はまず現代の世界においてキリスト教が直面する諸課題に深い洞察をもって神学的提言をなした小山
晃佑の著作を丁寧に読み解き、理解を深め、われわれが取り上げる課題を神学的に理解する土台とするため
の学びとする。その後、現代日本社会の文脈でキリスト教が向き合うべき諸課題についてとりあげる。後期
はクィア神学の文献を読み解きつつ、現代のキリスト教会が直面する「生と性」の課題をとりあげる。
暴力と平和―「戦後」70年と沖縄、国家、平和憲法、死刑制度、アジアにおける日本
環境と災害―東日本大震災、福島原発、環境公害
宗教と対話―宗教多元主義、原理主義
差別と人権―部落、在日、
「しょうがい」
、冤罪、貧困と格差社会、教育問題
いのちと倫理―生と死、病気と医療、少子化、高齢社会、性の多様性、HIV
【評価方法】
授業での発表担当や討議への積極的な参加態度を重視する。一つの課題ごとにレポートを提出すること。
前期、後期で課題レポートを提出すること。
【テキスト】
小山晃佑著 森泉弘次訳「水牛神学」教文館 2011 年
小山晃佑著 森泉弘次訳「富士山とシナイ山」教文館 2014 年
パトリック・S・チェン著 工藤万里江訳「ラディカル・ラブ」新教出版社 2014 年
【参考書】
小山晃佑著 森泉弘次、加山久夫編訳「神学と暴力」教文館 2009 年
佐々木勝彦著「共感する神」教文館 2014 年
山口里子著「虹は私たちの間に―性と生の正義に向けて―」新教出版社 2008 年
その他、授業で適宜指示する。
【備考】
20
科目名
担当者名
単位数
時間
説教演習
小野慈美
4
火・6
1・2・○
3 ・S・○
B ・聴
【講義概要】
テキストの選択から説教に至るまでの実際のプロセスをたどりながら説教の作成を試みる。
説教は、本来、語られ、聞かれるべきものであるので、実際的な訓練をできるだけ取り入れる。
また、結婚式、葬儀など、さまざまな場面での説教の作成をし、礼拝・牧会との関連で説教を考える。
【講義計画】
前期: 説教の作成のための諸要素について
釈義の実際
説教原稿の作成
説教の演習
実際になされた説教の分析
後期: 結婚式、葬儀の説教
クリスマスの説教
イースターの説教
礼拝と説教
牧会と説教
【評価方法】
出席状況、釈義レポート、説教原稿、説教演習を総合して評価する。
※学期末、年度末のレポート・試験は無い。
【テキスト】
特に定めない。
【参考書】
F.B.クラドック 平野克己 訳『権威なき者のごとく』-会衆と共に歩む説教
教文館 2002年
R.リシャー 平野克己・宇野元 訳『説教の神学』-キリストのいのちを伝える
教文館 2004年
平野克己『いま、アメリカの説教学は』-説教のレトリックをめぐって キリスト新聞社 2006年
ウィリアム・ウィリモン 越川弘英・岩見育子 訳『礼拝論入門』新教出版社 1998年
(5-7章が説教論)
ウィリアム・ウィリモン 越川弘英・坂本清音 訳『牧師』新教出版社 2007年
(5 章「聖書解釈者としての牧師」
6章「説教者としての牧師」)
【備考】
21
科目名
担当者名
単位数
時間
牧会カウンセリング
山田和人
2
水・2(前期)
1・2・○
3 ・S・○
B ・聴講
【講義概要】
牧会カウンセリングの基本は、主として対象者に適切な援助を提供することにある。適切な援助を提供す
るためには、対象者との間に協力関係を構築する必要がある。協力関係を構築するには、両者の間に信頼、
尊重を基礎とした協力関係構築のプロセスを積み重ねていく努力が要求される。このプロセスについて学習
するには、本来ならば SPE(Supervised Pastoral Education)という臨床での実習とスーパーヴィジョンに基
づくトレーニングの経験が不可欠であるが、日本の神学教育の中ではそのための教育システムが十分に整備
されていない実情がある。
そのような現状を踏まえた上で、この講座の中では、いわゆるカウンセリング諸説の概論を講義するので
はなく、学習者個人の気づき(self-awareness)を用いた学びを展開していきたい。上記で指摘した「協力関係
構築のプロセス」を進めていくものは、「会話」である。会話とは、「率直な意見の交換」(ハーレーン・アン
ダーソン)を意味する。ただ、私たちの日常の会話において、そのようなスタイルの会話は自明なこととは言
えず、また、自分の語ったことをいちいち振り返るということは、よほど意識的でない限り稀なことである。
クラスでは、発表やグループワークの機会を利用して、私たちの会話とそこで語られたことを意識的に振り
返るという作業を行い、会話のプロセスで何が起こっているのかということを各自が理解できるようになる
ことを目標として設定したい。また、牧会者の役割について各自が自分のイメージやスタイルについて考え
る機会となるよう、限られた時間を有効に使っていきたい。
【講義計画】
1)牧会(Pastoral Care)ということの理解をめぐって
~牧会者の役割を中心に考察する~
2)自己理解を深める
~関係性の中で生きること~(各自のライフ・ヒストリ-の発表を含む)
3)会話について
~さまざまなスタイルの会話~
4)カウンセリングの基礎
~率直な意見の交換とは?~
5)ロール・プレイ
~実際の会話とそのプロセス理解~
6)病床訪問について
【評価方法】
クラス出席:50%、発表:25%、レポート:25% (計100%)に基づいて評価を行う。
【テキスト】
特に指定しない。
【参考書】
クラスの中で指示する。
【備考】
22
科目名
担当者名
単位数
時間
ヘブライ語
渡邊さゆり
4
木・2
1 ・○
2 ・○
3 ・S・B・○
聴
○
信徒コース全科目修了者
【講義概要】
講義は英語と日本語で行います。ヘブライ語聖書を原語で読み、と古代ユダヤ文化思想の理解、より丁寧
な釈義のためには、ヘブライ語の修得が必要です。他の言語のように、会話、現代的な言い回しにまでこだ
わる必要はありませんが、基本的な言語の成り立ち、歴史、文法、単語を修得する必要があります。この講
義は、ヘブライ語の文字の読み書き、発音、アクセントといった初歩的なことから始め、最終的には、マソ
ラ本文の脚注にあたり、本文の私訳をすることを目標にしています。辞書を引きながらであれば、原典を読
むことができるようになることをめざし、頻出単語を覚え、重要な動詞、また文法を修得します。一年を通
じて、ヘブライ語を一言語として修得するだけではなく、ヘブライ語聖書についての基本的な知識や、聖書
の時代について学んだことを振り返りながら、ヘブライ語聖書、および聖書学の基本的知識の定着をはかり
ます。
【講義計画】
(前期)
指定のテキストを用いて講義を進めます。ヘブライ語の文字にしっかりと慣れ、自由にヘブライ語を表記
することができるようになるまで何度も繰り返して練習します。母音符号があれば、原典を音読できるよう
になるまで訓練し、前期は、辞書を使えばどのような変化形のものでも意味がわかるようになるまで練習し
ます。文字と母音符号をマスターしたあと、アクセント、定冠詞、非分離前置詞、名詞、形容詞、性、単複、
疑問詞、目的格、規則動詞までは前期に学び、夏期休暇中の課題を通して基本を身につけます。課題は、テ
キストにある練習問題を用います。
(後期)
規則動詞の復習から始め、接続詞、
「70頁型変化」、未完了、不定詞、過去分詞、ワウコンセクティブ、
ニフアル、ピエル、プアル、ヒフイル、ホフアル、ヒスパエルと一つ一つの変化形について丁寧に見ていく
予定です。これらの変化形の訳をできるようになることが原書講読には必須です。後期は特に、辞書を使い
こなし、練習問題を講義中に受講生が解きながら、ヘブライ語の訳の実力をあげていきます。後期の後半は、
マソラ本文にあたり、原典を講読し、釈義を射程においた作業を予定しています。
【評価方法】
各講義での課題、テスト
60%、夏期休暇中の宿題 10%、学期ごとのテスト 30%
【テキスト】
J. Weingreen “A Practical Grammar for Classical Hebrew 2nd Edition”
【参考書】
辞書類、また参考書は、講義中に紹介します。
上記テキストは和訳がありますが、講義では、英語のテキストを使用します。どうしても必要な場合は、和
訳を自分で入手してください。
【備考】
受講者は必ず、自分用の BHS を持参し、またテキストはもちろん辞書を購入してください。辞書がなけ
れば、語学は修得できません。そして辞書が手元になければ、今後、釈義は注解書のみに頼り、我流、思い
込み、恣意的なものとなります。まずはきちんと道具をそろえて、講義に臨んでください。
毎日ヘブライ語に触れることで、実力を挙げて欲しいと思います。日々の鍛練がヘブライ語習得のコツです。
目的意識を持ち、熱心に取り組んでもらいたいと願っています。
23
科目名
担当者名
単位数
時間
新約ギリシャ語
帆苅 猛
4
火・4
1 ・○
2 ・○
3 ・S・B・○
聴
○
信徒コース全科目修了者
【講義概要】
一年間でギリシャ語文法の基本的な部分をしっかり習得したい。そのためには、授業でしっかり学ぶこと
はもちろんであるが、自宅等での自習が欠かせない。とくに最初が大切で、慣れるまで、毎日一時間程度の
学びをつづけることが大切である。語学の学習には声に出して発声しながら練習することも有効な方法であ
る。
授業の中で、基本的に毎回課題を出すので、それをきちんとこなしてほしい。
【講義計画】
前期:まずアルファベットと発音についての学びから始めて、冠詞、動詞変化(現在直説法能動態)
、名詞変
化、形容詞変化についての学びを進める。最初のうちは、とくにゆっくり、丁寧に進めたいと考えている。
初めの時にしっかりと予習・復習をすることが肝心である。引き続いて、動詞の現在直説法中動態・受動態、
形容詞・副詞の比較、代名詞、数詞、前置詞まで学んで前期を終えたい。
夏休み中に、学んだことを忘れてしまう恐れがあるので、夏休みの課題を出したいと考えている。
後期:まず、前期に学んだことをざっと振り返りながら、最初に動詞全体の変化について学びたい。その後、
未完了、アオリスト、完了のそれぞれの時制の動詞の変化と意味合いを学びたい。さらに引き続いて、分詞、
不定法に触れ、命令法、希求法、接続法の新約聖書の用例について学びたい。最後に、条件文、否定詞の用
例等について学びたい。もし時間が許せば、補説の部分にも触れて、本文で学べなかったところを補いたい。
【評価方法】
期末テストおよび普段の授業・課題への取り組み状況によって評価する。
【テキスト】
土岐健治『新約聖書ギリシア語初歩』教文館
【参考書】
その都度授業の中で紹介する。
【備考】
24
科目名
担当者名
単位数
時間
基礎文献講読
渡邊さゆり
4
火・3
1・○
2 ・○
3 ・S・○
B ・○
聴
信徒コース全科目修了者
【講義概要】
この講義は選択科目です。神学研究の継続のために必要な読解力を養います。受講者の読解力に合わせ、
神学の各領域から、基本的な和書、英書を取り上げ、講読します。聖書学、歴史神学、組織神学、実践神学
の各分野区の概論が既習である前提で講義を進めます。まず、神学研究上、読んでおく必要があると思われ
る和書を紹介しあいながら、講読を進めます。リーディングレポートの作成、神学論文の執筆、発題、学習
会の運営に必要な基本的な技術を身につけることも目的にしています。また論文執筆に必要な初歩的技術の
習得を目指します。
英書の読解ができるよう、受講者の英語力に合わせて、基本的な英語の神学的用語を習得します。また英
語で簡単な教会活動や、信徒研修のためのプレゼンテーションができるようになることを目指しています。
より多くの神学書の文意をすばやく読み取り、和書、英書問わずに、各分野の文献にあたることができるよ
うになるのが、本講義の目的です。さらに自分でテーマを取り上げ、文献検索と、資料の整理、それらを解
説する力を養いたいと思います。神学研究の継続のために必要な読解力を養います。神学の各領域から、基
本的な書物を取り上げ、講読していく予定です。一年次に習得した聖書学、歴史神学、組織神学、実践神学
の各分野区の概論的なことはすでに習得している前提で講義は進められます。さらなる神学研究上、読んで
おく必要があると思われる和書を紹介しあいながら、講読を進めます。リーディングレポートの作成、神学
論文の執筆、発題、学習会の運営に必要な基本的な技術を身につけることも目的にしています。また論文執
筆に必要な初歩的技術の習得を目指します。
英書の読解ができるよう、受講者の英語力に合わせて、基本的な英語の神学的用語を習得しつつ、また英
語で簡単な教会活動や、信徒研修のためのプレゼンテーションができるように指導していく予定です。
【講義計画】
前期
まず、受講者の読解力を知るために、平易なものから読み始めます。予定では、C.S.ルイス柳生直行 訳
『キリスト教の精髄』新教出版社1977年から読み始め、和書数冊を学生発表によって講読します。特に、
発題の仕方を検討しながら、より深い議論ができるような発題方法を模索していきます。D.ボンヘッファー
森野善右衛門 訳 『改訳新版 共に生きる生活』 新教出版社 2007年を用いて、学生がテーマをと
りあげ、問題提起、資料収集、プレゼンテーションを行う。
これらの和書への取り組みと同時に、平易な英語でしるされた神学入門書を講読する。
後期
高野進『近代バプテスト派研究』ヨルダン社 1989年を熟読し、受講者が発題をする。さらに、後期
の後半は、Martin Luther King Jr.の伝記の英書を難なくよめるように、読解力をつけていきたいと考えて
いる。
いずれも、受講者の状況によって予定を変更せざるを得ない場合がある。
【評価方法】
講義中の発題40% 学期ごとのテスト40% 提出物 20%
【テキスト】
Ford, D. F., "Theology A Very Short Introduction' Oxford 1999
Carson, C., "The Autobiography of Martin Luther King, Jr." Grand Central 2001
C.S.ルイス柳生直行 訳 『キリスト教の精髄』新教出版社1977年
D.ボンヘッファー 森野善右衛門 訳 『改訳新版 共に生きる生活』 新教出版社 2007年
高野進『近代バプテスト派研究』ヨルダン社 1989年
【参考書】
受講者の状況にあわせて、講義で紹介します。
【備考】
学生は毎回の講義のために十分準備し、定められた図書を購入、よく読んで講義に臨んでほしいと思いま
す。
25
科目名
担当者名
単位数
時間
特別講座 I・II
渡邊さゆり
4
木・6
受講可能者
選択(1~3・B)
本校より聴講許可を受けた者
【講義概要】
本講義は、選択科目の特別講座です。今年度開催の特別講座は「フェミニスト視点による聖書解釈と宣教」
と題し、フェミニストパースペクティブによる聖書再解釈の現代的意味を問う講座として開講します。受講
者は校長から聴講許可を受け、本校の伝道者養成の使命と教育理念に基づいて学生と共に学ぶことに留意し
てください。
現代社会の中で生かされているわたしたちが抱かざるを得ない問いの中でも、命の尊厳、人権に関する問
いに、日本の「キリスト教会」は取り組んできたでしょうか。教会の中でこそ、性差別が潜在的、また堂々
となされている現実の中で、1980年代後半以降、日本でも、聖書の読み直し、これまで「正しい」と豪
・
語されてきたドグマティックなキリスト教的「教義」への抵抗と再構築が始まりました。女/性たちが、キ
リスト教と教会の中で受けている差別と抑圧は見えづらく、黙認され続けていることが多くあります。しか
し、女/性たち自身による神学作業は確実に実績を積み、新しい地平を提示し、なお、前進しています。し
かしフェミニスト視座による聖書解釈が、日本で紹介されてもそれが二次的な発言としか扱われてきません
でした。それは、これらの聖書の読み直しや、神学の再編によって大きく変更されねばならないキリスト教
会の差別的体制が、ある特定の人々にのみ、益をもたらす、社会的な構造の写し鏡となっているからです。
神学的に常識とされてきた事柄への固執と個人的思慕が大きく影響しているともいえます。この講座の中で、
ヘブライ語聖書、新約、また聖典的文書を扱い、テクストの中でも声なき者とされた多くの女/性たちの声
を再発見し、テクスト再読、再解釈を試みます。受講者たちの教会生活や、信仰生活からくる素朴な問いや、
長年の疑問などを出し合い、平等な地平で学ぶもの、教えるものの垣根を超えて、新しい学習スタイルを模
索する一年間でありたいと思います。日本語でよめるフェミニスト神学の入門書から読み進め、ジェンダー
バインドを超えてわたしたちがどのような教会形成の担い手となり、聖書テクストの解釈者となっていける
のかを模索していきます。担当者も共に学ぼうという姿勢を大切にしていきたいと思っています。従来行わ
れてきた、一方的な教授法、押しつけ的な教育法から解放され、相互性、連帯性を重んじた時間を創造して
いきたいと思っています。
「ご一緒に、非父権的聖書神学への道を進みましょう」とこの一言が、この講義の
内容を集約しているのではないかと考えています。
【講義計画】
前期:テキストにあげた日本語で読めるフェミニスト神学入門書をもとに、これまでの聖書解釈の歴史、
また宣教について話し合いながら、キリスト教会にある性差別について深く掘り下げていきます。また受講
者の関心や経験を大切にしながら、具体的な聖書テクストをあげ、丁寧な釈義と解釈を提示し、意見交換を
していく予定です。
後期:前期に引き続き日本語で読めるフェミニスト神学による聖書解釈の文献にあたります。ただし、後
期は具体的にエリザベス・シュッスラー・フィオレンツァの訳本や、原書、またフィリス・トリブルの修辞
学の方法を紹介していければと考えています。さらには、今、アメリカを中心に取り組まれている女性たち
による礼典、式文、また聖書解釈について次々に発表されるフェミニスト視点による論文を紹介していく予
定です。
【評価方法】
聴講生は課題を提出する義務はありませんが、継続受講者として、講義に参与し、責任ある発言と課題の
提出をすることが望ましいと考えています。以下は、教師コース、選択科目として受講する学生のための評
価方法です。
出席 30% 学期ごとの課題 30% リーディングレポートなど講義内での提出物40%
26
【テキスト】
ゴズマン、E. 『フェミニズムとキリスト教』 勁草書房 1984年
トリブル、P. 『フェミニスト視点による聖書読解入門』新教出版社 2002年
伊田広行 『はじめて学ぶジェンダー論』大月書店 2004年
絹川久子 『女性たちとイエス―相互行為的視点からマルコ福音書を読み直す―』
日本キリスト教団出版局 1997年
山口里子『新しい聖書の学び』新教出版社 2009年
【参考書】
講義の中で数多く紹介する予定です。
【備考】
27
<<沿革>>
日本バプテスト神学校は、日本バプテスト同盟の伝道者養成のために建てられている学校である。
1972年、日本バプテスト同盟は、それまで伝道者養成の働きを委託してきた関東学院大学神学部の廃止
により、伝道者養成の働きを全く独自な形で推進することを決定し、
「宣教研修所」を設立した。
「宣教研修所」
では、他の神学校・神学部で学んでいる学生と連絡を取りながら、バプテストとしての学びを集中的に行った。
1982年より、関東学院大学の旧神学館を教室として借り、本格的に伝道者養成の働きを開始した。近隣の
牧師、関東学院大学、また関東学院女子短期大学の教師が協力し、伝道者養成の業が継続された。そして、宣
教研修所設立24年目の1996年度に、宣教研修所の伝道者養成部門を「日本バプテスト神学校」と名称変
更し新しい歩みを開始。以降は、養成部門を「日本バプテスト神学校」とし、研究・研修部門は「宣教研修所」
として働きをなした。1997年「日本バプテスト神学校」の校舎・宿舎の建設が完成し、日本バプテスト同
盟の伝道者養成に新しい息吹を与えた。
宣教研修所及び日本バプテスト神学校の教師コースの卒業生は104名になり、各方面で活躍している。ま
た、信徒コース修了者は、32名でそれぞれの教会、伝道所で活躍している。
<<学生心得>>
学生は、すべての事柄の第一に祈りをおきましょう。個人的な事情や様々な困難の中にあっても、学びをお
ろそかにせず、神学研究に参与することを特別に与えられた神の恵みと受け止め、真摯に学びましょう。伝道
者として召された自覚を確認し、全国の教会・伝道所の祈りと貴い献げもの、奉仕によって運営される当校で
学ぶことを感謝し、神学研究を通して教会に奉仕するものと造りかえられていきましょう。学業中に起こる
様々な問題や葛藤を、神学校教師、教会教師、そして共に学ぶ仲間と共に分かち合い、祈り乗り越え、神の計
画に基づく献身の道を進んでいきましょう。
神学校では、共同生活を行っています。他の学生の学びの妨げになるような態度を慎み、良識をもって生活
することを心がけてください。
<<学期と評価 講義日程中の注意>>
前期は4月 1日より7月31日
後期は9月1日より1月31日
授業への出席が全体の各学期の3分の2に満たない者は、単位取得を認められない。遅刻しないこと。遅刻、
怠学は、神への誠実を欠く行為である。自己管理につとめ、事故防止、回避を心がけ、授業出席を大切にする
こと。やむを得ない事情が生じた場合は連絡をすること。休講、時間割変更などについての連絡を受け取った
場合には連絡受領を知らせること。
各科目の合格点 40 点 以上
成績評価の方法は、各担当者が定めている。単位認定は校長の責任において行っている。出席態度、講義日程
期間中の遅刻、早退、欠席の過多、また途中退室の多い学生については、単位認定査定に大く左右することを
留意すること。
授業を欠席する場合は、事前に担当教員と教務主任に事前に連絡をする。緊急の場合は、教務主任に即連絡
をする。
教会実習(通年、集中)を欠席しないこと。やむを得ない事情が生じた場合は実習先の教会教師と教務主任
に必ず事前に連絡をすること(メールではなく、電話連絡原則)
。
28
講義への出席は登録をし、学生として入学を許可され、また講義への出席を許可された学生のみである。見
学、途中聴講などは、その都度、所属教会の代表役員の推薦と承諾をもって書面で申し出、校長の許可が事前
に必要である。他の学生、また講義担当者による指導の妨げとなる行為が発覚した場合は、それにかかわる学
生も、その講義を受講できなくなるので十分注意すること。
<<図書利用について>>
本校図書を利用できるのは、在学生、教員、職員、および、本校校長が認めた者である。
図書は、参考図書(辞典類)
、注解書、禁帯出図書以外を借りることができ、貸出を希望する場合には事務
所にある図書貸し出しノートに必要事項を記入の上、貸し出しを受ける。返却の場合も同様に手続きをする。
図書は共用財産である。勝手に持ち出し、返却を遅延させてはならない。図書の貸し出しは、一人一回5冊以
内2週間とする。図書の貸し出しは、講義日程期間
午前9時から午後5時まで。休暇中の開架については別
に定める。図書室の利用については午前9時から午後11時までとする。
<<施設利用について>>
校舎の整理整頓、清掃に努める。
節電はもちろんのこと、水光熱費の削減に協力し、防火意識を高くもつこと。
自家用車での登校は原則禁止。身体的な事情や、やむを得ず車で登校する場合はあらかじめ教務主任に連絡
し、許可をとること。継続的に自家用車で登校する学生は近隣の駐車場に契約すること。なお、自家用車での
登校によって通学中に事故に遭遇しても登校での保険対象にはならない。原則自家用車登校は禁止であること
を留意すること。寮生の駐輪については寮生活の項を参照すること。
避難、通報訓練に参加し、建物の維持管理に積極的に参与すること。
コピー機の使用は、白黒1枚10円。事務室で利用料を支払うこと。ミスプリントも換算する。
戸塚伝道所との協力を理解し、水曜日の夜、日曜日に行われる集会に支障のないよう、事前の清掃に全員で
努める。
共有施設である自覚をもって感謝して利用する。
<<課程と在学期間>>
当校には下記の課程とコースがある。
I 基礎課程
1.信徒伝道者コース(原則1年もしくは科目履修による複数年)
(1) バプテスマを受領し、教会生活をしている者
(2) 所属教会の推薦を受けている者
2.教師養成コース(2年)
(1)バプテスマ受領後一年以上教会生活をしている者
(2)伝道者としての召命を明確に自覚し、将来、同盟加盟教会その他で、伝道者として働くことを希望
する者
(3)所属教会の推薦を受けている者
(4)高等学校卒業以上の学力を有する者
II 神学専門課程
1.教師養成コース(原則3年)
(1) 基礎課程を修了している者
(2) 高専、短大、大学卒業以上の学力を有している者(要問合せ)
、基礎課程教師養成コース入学資格
29
の(1)から(3)を有する者
2.バプテストコース(原則 1 年)
(1) 他の神学校、または大学神学部を卒業した者で、基礎課程教師養成コース入学資格の(1)から
(3)を有する者
(他の神学校については確認を要す)
授業料
2万円(日本バプテスト同盟加盟の教会以外の信徒は 3 万円)
入学金
維持管理費 年間 3万円(日本バプテスト同盟加盟の教会以外の信徒は 6 万円)
授業料
年間12万円(日本バプテスト同盟加盟の教会以外の信徒は 18 万円)
入学金、維持管理費、授業料を 4 月末日までに納入すること。納入された諸費は、いかなる事情において
も返還しない。
(科目履修・聴講)
前年度指定された期日までに、所属教会の推薦を得て所定の願書を提出した者は、開講される講義のうち、
信徒コースの科目(フィールドワークを除く)を履修、聴講することができる。科目は以下の通りである。
神学概論
キリスト教史
旧約総説
新約総説
説教学
実践神学 I(半期)
また、上記のすべての科目の単位を取得した者は、新約釈義、旧約釈義、バプテスト史、基礎文献講読、キリ
スト教と現代を科目履修することができる。
科目履修・聴講は、一科目 年間
2万円(日本バプテスト同盟加盟の教会以外の信徒は3万円)
初年度に入学金 2万円(日本バプテスト同盟加盟の教会以外の信徒は3万円)
維持管理費
3万円(日本バプテスト同盟加盟の教会以外の信徒は6万円) を納
入すること。
初めて科目履修・聴講する場合は、入学式、オリエンテーションに出席すること。
科目履修生は、講義で指定されたレポート、試験を受け合格した場合は単位が認定され、後に入学を希望し
た場合にこれらの単位は換算される。
聴講生は、単位取得のために学ぶ学生たちの研究活動に支障をきたさぬよう授業へ参加をするものとする。
科目履修・聴講生の場合も、他の学生と同じく施設利用の注意を守り、神学校管理運営に協力し学びを進め
ていただきたい。
<<奨学金>>
教師コースの学生には、
「日本バプテスト同盟伝道者養成奨学金制度」が適用される。
給付奨学金
伝道者養成奨学金制度規程に従い、神学専門課程の学生が毎年度申請し、年額28万円の給付を受ける。
ただし、卒業後日本バプテスト同盟加盟の教会、伝道所、協力団体に伝道者として就任しない者、また就
任後三年以内に伝道者としての職を辞任した者は、給付を受けた奨学金の全額を返還しなければならない。
30
特別奨学金
日本バプテスト同盟の教師コースの学生には、日本バプテスト同盟の医療費を援助する特別奨学金の制
度がある。神学生及びその家族が不慮の疾病・事故等により、就学に支障をきたすと認められる場合、伝
道者養成部委員会の判断において特別奨学金を給付することができる。特別奨学金の額及び期間は、伝道
者養成部委員会の議決により決定する。
貸付奨学金
貸付金は月額5万円で、年間60万円、貸付期間は3年以内。希望者は連帯保証人と連名で申請をし、
貸付金の決定を受ける。返済は、卒業後6ヶ月を経て後、毎月2万円を完済するまで返済する。無利息。
<<学生寮>>
入寮について
当校で学びを希望する者は、学生寮に入寮することができる。
入寮を希望し、認められた者は入寮することができる。寮生活の注意事項を守り、寮生活を送ること。なお、
2015年度も引き続き教務主任が、学生寮の舎監を兼務する。
荷物は各自の部屋に収納できる物のみとする。共有スペースなどに私物を大量におかない。寮の部屋には、
ベッド、本棚、クローゼット、机、がある。布団は各自持参のこと。また、食堂には調理器具と冷蔵庫、電子
レンジ、トースター、電気ポットがある。共有スペースには風呂、トイレ、洗面所、洗濯機がある。
寮費納入
月額2万円。滞納しないように前月末までに神学校へ払込票を用いて納入すること。あるいは、年間24万
円をまとめて支払うようにする。
寮生として生活はしないが、講義日程期間中に荷物を特定の部屋に置き、定期的に宿泊予定のある学生は舎
監に申し出て講義日程期間(前期4~7月 後期9月~1月)九ヶ月分 年額8万円を納入することとする。
なお休暇中は荷物を撤去しなければならない。また部屋の利用期間中も鍵を持つことはできない。
入寮希望者は定められた期日までに入寮願いを保証人(所属教会 代表役員)自署付きで提出し、校長の許
可を得る。
その他、寮の利用に関しては、入寮願いに記載されている通りである。
生活時間 以下の部屋の使用を原則として次の時間までとする。
図書室 23:00まで (貸出返却は、講義実施日の午前9時~午後5時まで)
礼拝堂 21:00まで
食 堂 24:00まで
鍵について 鍵の管理は各自で行うこと。万一紛失したときは、遅延することなく即、舎監に連絡するように。
また、鍵の取り換え等にかかる費用は自己負担となる。
部屋替え 使用する部屋は年度ごとに替える。部屋替えは、年度末に行い、在寮期間中に同じ部屋を使わない。
基礎課程からの入学者はその限りではない。部屋替え時に、それまで使用した部屋を徹底的に清掃するように。
退
寮 退寮する場合は、一ヶ月前には舎監に申し出ること。寮費の精算を行い、各自荷物の搬出をして
清掃し、不用品などを残さないようにする。鍵の返却をもって退寮とする。他の寮生との共同生活が損なわれ
31
るような行為が続く者については退寮を願う。
電
話 電話連絡手段(固定電話契約、携帯など)は各自が用意すること。神学校事務所では個人への電
話の取次ぎをしない。連絡先番号を、神学校事務所にしないように。また、各自の連絡先は、舎監に伝え、変
更がある際はすみやかに届け出るように。
車
両 オートバイ、原付、自転車などを各自で用意し、利用することができる。各自いずれか一台とす
るように。なお、自動車は認めない。
動物の飼育 寮室、共有スペース内でのペットの飼育はできない。
暖
房 各部屋設置のエアコンを使用するように。石油ストーブ、電気ストーブ等は、使用してはいけない。
節
電 最大限の節電マナーを心がける。エアコンの消し忘れに注意し消灯確認をして部屋を出るように。
戸締り
清
出入りに際しては、各自戸締りをすること。窓、ドアの施錠を必ずするように。
掃 各自の部屋の清掃はもちろん、風呂、トイレ、食堂の清掃をすすんでおこなうように。また一斉清
掃に必ず参加するように。
ゴミ出し 食堂のゴミは、寮会で定めた当番が責任をもって朝8時までに所定の収集場所まで出す。それ以外
のゴミは各自で処理する。可燃ごみ 月、 金 プラスティックごみ 木 資源ごみ 土 大型のごみについ
ては戸塚区の決まりに従って廃棄処分すること。
冷蔵庫 2階食堂の冷蔵庫は共有。中の整理、清潔に心がけ、長期放置のないように。
寮生以外の宿泊 寮生が自室に寮生以外を宿泊させることはできない。家族、友人などの来訪があり、宿泊を
希望する場合は、ゲストルームを有料で使用する場合があるが、事前に校長の許可が必要である。講義日程中
は、日本バプテスト同盟の公的ゲスト以外の寮の利用を原則お断りしている。
避難訓練
法定で定められている避難訓練を神学校が実施する際、必ず参加し、災害時避難の方法を確認し、
日ごろから防災意識を高くもつ。
荷物の受け取り 前もって到着がわかっている小包、宅急便等の荷物は出来るだけ各自が受け取るように。ま
たいたしかたない場合には、舎監に事前に連絡をするように。
郵便物
住所は下記にある通り。
「日本バプテスト神学校 内 ○○○○ 宛」とし、舎監が郵便物を学生
のレターケースに配る。
その他 近隣との関係によく配慮し、挨拶を交わし、寮の外回りの清掃も心がけるように。宗教関連施設であ
り、周囲からの関心が高いことを熟知しておくよう。
戸塚伝道所が、水曜日夜、日曜日に礼拝堂のあるフロアーを使用する。食堂、集会室などの整理整頓に気を
32
付けて、ゴミ出しをきちんとするように。
寮の住所
〒245-0061 神奈川県横浜市戸塚区汲沢1-24-9
日本バプテスト神学校 内
電話 045-866-3150(個人の連絡先にすることはできません)
33