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自動車運転死傷処罰法の概要
危険運転致死傷罪(第2条、第3条)
ア 改正前の刑法に規定されていた「危険運転致死傷罪」に、適用となる行為の類型
として、「政令で定める通行禁止道路を進行し、かつ、重大な交通の危険を生じさ
せる速度で自動車を運転する行為」を追加して規定(第2条)。
→ 致死~1年以上の有期懲役、致傷~15年以下の懲役(改正前の刑法と同等)
※ 刑法第12条「有期懲役」~1月以上20年以下の懲役
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改正前の刑法第208条の2で定めていた類型
○ アルコール又は薬物の影響により正常な運転が困難な状態で自動車(原付
含む。以下同じ。)を走行させる行為
○ その進行を制御することが困難な高速度で自動車を走行させる行為
○ その進行を制御する技能を有しないで自動車を走行させる行為
○ 人又は車の通行を妨害する目的で、走行中の自動車の直前に進入し、その
他通行中の人又は車に著しく接近し、かつ、重大な交通の危険を生じさせる
速度で自動車を運転する行為
○ 赤色信号又はこれに相当する信号を殊更に無視し、かつ、重大な交通の危
険を生じさせる速度で自動車を運転する行為
◎ 政令で定める「通行禁止道路」
車両通行止め道路、歩行者・自転車専用道路、一方通行道路(逆走の場合)、
高速道路(逆走の場合)等
※ 政令~「自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律施行
令」(平成26年政令第166号)第2条
イ
アルコール又は薬物の影響若しくは自動車の運転に支障を及ぼすおそれがあると
政令で定める病気の影響により、正常な運転に支障が生じるおそれがある状態で運
転し、「その後」正常な運転が困難な状態に陥って人を死傷させた者に係る規定を
整備(第3条~新たに整備)。
→ 致死~15年以下の懲役、致傷~12年以下の懲役
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政令で定める「病気」
○ 自動車の安全な運転に必要な認知、予測、判断又は操作のいずれかに係る
能力を欠くこととなるおそれがある症状を呈する統合失調症
○ 意識障害又は運動障害をもたらす発作が再発するおそれがあるてんかん
(発
作が睡眠中に限り再発するものを除く。)
○ 再発性の失神(脳全体の虚血により一過性の意識障害をもたらす病気であ
って、発作が再発するおそれがあるものをいう。)
○ 自動車の安全な運転に必要な認知、予測、判断又は操作のいずれかに係る
能力を欠くこととなるおそれがある症状を呈する低血糖症
○ 自動車の安全な運転に必要な認知、予測、判断又は操作のいずれかに係る
能力を欠くこととなるおそれがある症状を呈するそう鬱病(そう病及び鬱病
を含む。)
○ 重度の眠気の症状を呈する睡眠障害
※ 政令~「自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律施行
令」(平成26年政令第166号)第3条
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過失運転致死傷アルコール等影響発覚免脱罪の規定(第4条)
アルコール又は薬物の影響により、正常な運転に支障が生じるおそれがある状態で
自動車を運転し、よって人を死傷させた場合に、そのアルコール又は薬物の影響の有
無又は程度が発覚することを免れるため、更にアルコール又は薬物を摂取したり、そ
の場を離れるなどの行為をした者に係る規定(新たに整備)
→ 12年以下の懲役
3 過失運転致死傷(第5条)
改正前の刑法の「自動車運転過失致死傷罪」に相当する規定
→ 7年以下の懲役・禁固又は100万円以下の罰金(改正前の刑法と同等)
4 無免許運転による刑の加重(第6条)
上記について、これらが無免許運転による場合の刑の加重に関する規定(新たに整
備)
→ 15年以下の懲役に処されるもの=6月以上の有期懲役
→ 12年以下の懲役に処されるもの=15年以下の懲役
→ 7年以下の懲役・禁固=10年以下の懲役