図形に対する直観的な見方・考え方を 「証明」 に生かす指導法の研究

神奈川県立教育セソター 研究集録8:1テ∼24
1989
、.
図形に対する直観的な見方 ・考え方を
「証明」に生かす指導法の研究
田村 鷹和
1
岸 美登武
2
目を向け 、論理的に考察する力を着実に身につげる
は じ め に
ことへの数学教育の理念が感じられる構成にな った
数学のさまざまなr証明問題」に対する中学校
といえる
・
。
高等学校生徒の “苦手意識 ”は 、指導する多くの教
標記の研究テーマは 、このような背景から生まれ
員カミ 指摘する問題点の1つである
た。
旬
解決しようとする題材都 、まず視覚でとらえら
なお 、本研窄を進めるにあたり次の先生方にご協
れ、一見 、考え易い “雰囲気 ”が漂う図形教材にお
力をいただいた 。’ 深く感謝の意を表したい
いてさえ
、.
。
調査研究協力員山口明伸茅 ヶ崎市立松林中学校
ひとたび「論証」の世界へ踏み込まなけ
れぱならない学習状況に身を置くと 、この “苦手意
岩瀬勝彦 小田原市立橘中学校
苦悩する生徒 ”と化してしまう
金子典子 厚木市立睦合中学校
識’’
は頭をもたげ
のである
’‘
山下光雄 県立相模原高等学校
。
図形教材に限らず 、「論証」を核にして学習する
平田治夫県立横浜目野高等学校
・高
市川陽一 県立平塚江南高等学校
場面での生徒の “証明嫌い ”は 、現在の中学校
等学校生徒の顕著な意識倹向である
長期研疹員 加藤俊廣 横須賀市立馬堀中学校
。
教育セソター 嘱託 松下昭彦
論証指導は 、図形の性質を考える呼面幾何」を
とおLて行うのが最も効果的であるという声はよく
研 究 の 経 過
聴かれることであるが 、生徒の “証明嫌い ”をまず
中学校の図形教材をもとになくすことが 、その前提
次の(1)から(5)までの流れにそ って研究を進めた
であると考えた
(1)中学校
。
。
・高等学校の数学教科書の分析
図形に対する「直観的な見方 ・考え方」を「図形
(2)論証の過程における「直観的な見方 ・考え方」
の論証」へと発展させて 、「証明」の第一歩を刻むの
の位置づげに関する分析と指導法
は中学校数学であるから 、本来は 、中学校生徒カミ自
(3)推論の構造を明確にする図の作成と指導法
力で論証をつくりあげていく姿勢が身につげほよい
(4)間題の転化 ・発展の可能性に関する考察
のであろう 。そして 、それを高等学校教材r図形と
(5)授業実践による生徒の反応の分析
方程式」へと関連を図りながら進めていくことがで
研 究 の 内 容
きれぼ 、論証の意義は自然に理解されると思われ
1r直観的な見方 ・考え方」と図形の論証との関連
る。
高等学校における今回の学習指導要領改訂により
とらえ難い「直観的な見方 ・考え方」が推論の過
選択科目の「数学A」に「平面幾何」がふくまれる
ことにな った 。中学校の基礎の上にた ってr基本的
程に円滑に投影され 、r見方」からr考え方」への広
がりが一つの体系づげられたものとして指導する教
な定理」「合同 ・相似変換」の内容を中心に「平面図
員に認識されれぱ 、困難と思われている論証教材の
形の性質」とr平面上め変換」が取り扱われる 。中
学校 ・高等学校生徒の弱点ともいえるr論証」にも
学習指導も少しは改善されるであろう
。
論証の手1頂とr見方 ・考え方」の結びつきの様相
を表にまとめ 、それをもとに作成した系統的な図に
第一研修室長
よる指導法を構築した
第一研修室 研修指導主事
一17一
。
ここでは 、「見方」をr考え方」と区別してとら
(1)論証の過程におげるr直観的な見方 ・考え方」の
位置づげ
え、
r直観的友見方」からr直観的な考え方」への推
r直観」が主に視覚などの情的な感覚をとおして
」移が図られると考えた
ものの本質をとらえることであるとするな .らぽ 、直
このようなことを前提にして 、図形に関する命題
におげる論証の手順及びその過程での「直観的な見
対象となるものに接し 、まず 、そのものがもつ
接、
性質を
“見る
”という点で 、r直観的な見方」は思
考過程の第一段階の方法とも考えられるであろう
【陥睡の迦醐こおける
方・
考え方」との関連を分析し 、また 、それぞれの
段階におげる指導法を次のような表にまとめた
。
r直I呪的な」見=…テ
“の手口 ■口坊な見方
。
・ …夢え〕…チ」
の一立冒づ一ナ】
直口軸な看え方
口8のm 6]旧□〕を8み 、8ら回壱か簑 .モの上
と厘1ま示 にしるしなどを●含ハ九て価定をa入する
.
臭艘1二肚かげないよう右国讐かいて不合口‘=
気づいたら圓をか宕竈して固に^1がないカ心
}する
。
指 口 法
■も讐本となる回は全佑のパランス屯どを尋
えながら 、ささ‘=与えておく
.
.
榊化への 辺の^さ寺夫,さを変えたo .特別む位■■
方甘醐 倶にしたりする
.
榊化しても臼的を曼ける■がら直何かを;
え5
柵化することにより
.靹た・こ全件がhわo
,
朱匁の郁伽こロロの手がかりがつかめることに
気づかせる .●舎.=よって瞠 .先入8となって
.
二の ’こだわO ^があとまで1穿1を及ぽすこと
も竃こ06るので .イ的な固とのかかわりを.
忘れ榊 、ようにす5
’I,・罰な51 醐を一、 くつか‘二笏1,したo‘合したoする
脚=田する など 、全体かち脇を見たo 、広く■口したり
佐口の蜴 する
内在する竈
性口の分コ
.
国影の位□や■を三えても■わら^■係かカ
るものを見いだす
の■■保を見つサさせる
辺また肚凸 、位口などに,目して虎り立つ■
がらをすぺて列讐する
‘二かか’,昌ものと . かかオ,りの;‘一、 ものを{}け
.
合臥相仇円^^ 、外蟹円 、早行など相亙
.
.
どのようなことがいえる机どのよう在こと
楓、 えたらよいか .予8や方向づけを行う
.
.
及獺
成o立 うているいくつかの■がらのうち齢
る.
かカ曲りの軸竈なもの直 .’時 ,9饒するが
あとで竈悟する船もあることを顯させる
口■の性口 . 忽■oな脇を^‘し .畝■■像すると思
や定邊の邊 …われる部分にのみ竈目する .このとき 、以軸に
鉋・ 竈眉 用いたことのある性口 ・定竈喧どのようなむ面
であつた加蟹り逗る
定1名 ・内宕を蜆い起こす .また 、.恵臭.二竈
用の欄□を示L 、肚 .6,と螂舎して0、 く・
兵饒や竈れがわかるように次々‘二1黎したと
用1畔;雇号 1己号‘二よろ鶉引のn1画化を国ろうとする
’二よる表易
・
明ら洲=成o立つ■ホら羊成り立つことが予
2される■がらを 、相互に傍ぴつきがあるかど
うか饒■されるまでに至らないまま .配号仏
籔式化された諺で■き並ぺる
吻i匠く1二唾 ’つぷや
など自由‘こ■サる余1…Iを閉し
一曽りの63をか’、 て}、 く.
{} や’.
ておく
.
.’
.
醐^
.
[ゆえに」 丁山であるから」 一}と一から」
ここで」尋 .搬蜆をどを含む文竈ヨ現‘こつ’
いても竈倉させ丁ロニ磁させる
.
.
榊の尭時 行{づまったと竈 、再口 、方向峨をしよう
螂法が雌であうたり 、並○していウたりす
,何的 ・代甘的 ・口析的な讐ホ自性亘などを
とする
竈九柵竈一二竈^ ’「Eo、{5とき肚見…oし‘oつ一、
るとき 、より卿化された方註があるかどうか
を児き‘コ砧 、1白のI日慣を見つ‘テようとする ・旧
箇‘=至ったと昔肚 、コ1…を見直し 、IE明1二0倶
閉のoコとして竈用しようとする胴肚帖に
閉蜘=もたせておく
.
ている方向へそのままロロを国る
。
.
のある蘭述のみを裏し .幻口慣なものを日噴す
るなど■寝する
.
“作 ・鉱曇 角の犬告さや辺の艮さなどを疫えて躬たに回
など1=よる をか,2す
暑化 ・冤目 もとの6口について 、獺日の途中でいえそう
でいえなかったことなどを威o立た世るよう1二
。
●き饒える
臼カをうける■カ;ちを口 ・と;1…rr 、口放して粂
伜をゆるやかにしたり砺たな条件を付加したり
する
.
『もしこうだったらどのようなことが成り立
っか」というような「o舎分け」を頒‘こ入机
たいくづかのo示をさせて丁つくる暮ぴj 『冤
見像藺〕する■ぴ」を味わわせる
.
内容に臼■した康史肪背景をめぐる錺口など
も8りまぜる
.
。
(2)論証指導の具体的な方法
ア 推論図の作成
右のようた間題
が与えられたとき
・■^三^閉岬つカ昌
、
o.
「直角三角形が3
.
’3切の^吉がわかつてい君
‘,…^噌^咀Cで .‘^O■邊^かち
■迎田oヒ帆 、史口●を^oと寸昌
。
‘^三■形
.80 1I一
了ム^o皿血ムo^皿』讐‘口せよ .1
伽1〕
虫^■瓜よO 『2^相鶉」
つある」「3辺の
帥以舳1榊£も乱い 』1帖}
長さがわか ってい
o●●
o1
る」など 、最初に
いくつかの着眼を
○固{■擾とす昌円□上の忠 拮董定,
C
固
1●●
醐
してそれを「証明」
・△^日O+△^CD; △^回C
三甲方の定珂より
1 1
.△^目C=一・10 ・^”,}6 ,8
2 2
のよりどころにし
E D,
CD
eよo ^D
ょうと考える
。
伽2)
この「直観的な見方」から「直観的な考え方」
三甲カの定1』=り 閑辺切比那毎しい」
ED ,CD ,^D よO厄明
へそして 、「論証」の考え方へと進んでいく様
子を矢印で示すと右の図のようになる
。
一18一
ここでは 、この図を「推論図」と名づげること
2 中学校 ・高等学杖における図形の胎湿教材
にする 。いわぱ 、「直観」からr論証」への過程を
示す
“デ
ヅサソ ”または “ラフスケ ヅチ ”ともい
うぺきものである
前項の(1)で示した表をもとに 、(2)におげる方法
により作成した指導内容のモデルを次に記す
。
このようた「推論図」は 、仮定から結論に至る
流れを示すものであり 、その証明の構造 、系統を
分析するのにはきわめて好都合である
。
(1)中学校の題材からの開発と授業実践
次ぺ 一ジの【第1図】に示す間題は 、長さや角の
相等を直接 、示すのではなく 、証明すべき事添らが
。
図形の論証に関する個 々の間題について 、「推
和の形にな っているために分析する力が要求される
論図」を作成しておげば 、生徒一人びとりのr直
点で 、他の多くの問題とは異なる性格をもつ
観的た見方 ・考え方」がどの類型に属するか 、的
ア 推論図の作成
確な判断ができるメリヅトがある
いくつかの証明を試み 、その流れを次の【第1
。
推論の過程で “つまずき ”があれぱ適切な示唆
を与えることもでき 、流れの修正やその後の展望
図】のようにまとめた
。
。
イ 発展 ・拡張への動機づけ
などが円滑に行われ 、証明の構想を立て易くさせ
間題にある図を 、B Cの中点を中心にして点対
る学習の基盤づくりも可能となる
称の移動を行い 、もとの図と移動後の図を合わせ
。
イ 発展 ・拡張への動機づげ
てかき並ぺ整理した後 、下の左図のように辺の長
1つの間題から 、条件を変えて新しい間題をつ
さ
くっ たり 、他の定理とのかかわりを調ぺたりする
かき 、冶図のように分割を行う
など 、さ重ざまな広がりは 、発見的研究 、アイデ
この2つの合同な正方形を比校して 、分割した
アの発意を促す貴重な蓄積となる
それぞれの図から 、合同な4つの直角三角形を差
。
cを与える 。この図と合同な正方形を
b,
a,
。
例えぱ上の間題では 、次のような発展淋考えら
し引いた残りの正方形の面積について考察するこ
れる
とにより 、a2 +b』c2 が得られる
。
。
o r三平方の定理」の証明
すなわち 、これは「三平方の定理」の証明にほ
△ABC
o勺
△DBAからAB 2=BD ・BC
かならない
△ABC
oo
△DACからAC …=CD ・BC
淡得られ 、この2つの式の辺 々を加え
。
!一〇一 、、一
’’’、
’
AB 呈十AC 2=(BD+CD) ・BC=BC
,
’
一
o
b
■
/
1
を導くことができる
、
’
’、
o 2次方程式〆 =乞あの幾何学的解法
1
.
、
’.
、
1
1
、
‘
’
’
’
、
、一
、}
o
’
、
’’
、一 一8二
1‘
/
ノ
o
’
’’
・\ト
’一
’
’
、
,
■
一
’
、
’
、七
’
,
■阜■止.、
/
1︺
’
o
一
C=5
■
o
’
}
、
、
として
o
’
11
’一
1
’
1
、
、
、
’
oo
、
、
1
B o
’
8
B D=o
1
’
’
.
。
.
トー一一一 トー 、
ll
、
、
’
D 止一
、’
、
’
、一一〇一’’
C=口 十5
を直径とする
半円をかき
Dを通りB
ピタゴラス 学派の人たちまたはピタゴラス
(B
、
に垂直な直線
のような方法で定理の成り立つことに気がついた
と半円との交
点をAとすると 、A 1D淋求める解である
.C .572∼492)自身が 、どのようにしてこ
の定理を証明したかその詳細は不明であるが 、上
C
のではないかといわれている
。
なお 、『原論』の第1巻命題47では 、別の方法で
。
なお 、『原論』では第2巻命題14でこの「幾何
証明が行われている
学的解法」の内容を取り上げているが 、第2巻
また 、第6巻には「直角三角形において 、直角
ではまだ相似の理論を扱 っていないので 、長方
に対する辺あ上にかかおた図形は 、直角をはさむ
形の面積に等しい正方形の面積をつくる命題と
して
、別の方法によりこれを証明Lている
。
2つの辺の上に 、それと相似にかかれた図形の和
に等しい」という命題31も載せられている
。
一19一
。
、 、 ・ ’
・− \ !’
‘ 、 ’ ’
,。 ’
’、 三
. 、 ’’
・固工婁竺・風⋮固
−同劇−−圃
乙J帖一侭e包一Q宗ぺ︸回ふイ6蟹Q刈︷口刈“本
レ■
“
S
Q
垣
竈
q
→オ・二︸一
田 ﹂ H
ま ぺ ︷
︵ イ 6
︽ 匝如e出“舳“o →−,nNる船“⋮ぐ口
■
20
4園丁−一急婁笥引﹂→
o〕ll
く因∼一」
二J帖名∼ギ︸為侭e露べ
○イ蟻罰侭︽Q侭en剛
︹oo堕︶
ll+一
^N雌︺
++{
.
1
・
1
↑
、⋮〆∴け、川、、川川、一、、榊
、十﹄“−十〇
レい料央J
o^﹄.− ムー1、
o“︷・、 ﹄11−“
^−
○イ ー111,
o
竃︸竈
−べ11︷1
■H坦導鴉
↓ 1
昏憎o半^肋旺
匝如e黛侭⋮侭担
q’︺
︻図H搬︼
葦ぎ§
十
ウ 授業実践の考察
を記入することができない著も多い
前記アをもとに 、次の方 々に授業をLていただ
・ 証明の方法は1通りではないということに気
いた
づき 、いろいろ試みていた
。
。
。
平成元年2月1目
図から多くのことを読み取れる者は 、それな
厚木市立睦合中学校 金子典子教諭
りに推論の過程に生かLていた
(調査研究協力員)
(2)高等学校の題材からの発掘と授業実践
平成元年2月2日
高等学校教科劃こ見られる「2定点からの距離の
茅 ヶ崎市立松林中学校 高橋正人教諭
比が一定となる点の軌跡の方程式」では 、平面幾何
その緒果 、次のことに気づいた
的要素をふくまず 、中学校での既習事項との関連性
。
。
問題を図に表すことができない者が多い 。ま
がやや希薄である 。そこで 、次のような問題を取り
た 、作図しても 、一般的な場合の図がかげない
上げ 、「平面幾何」として推論させる
。
作図した図のなかに 、点の名称や直角の記号
。
ア 捷論図の作成 【第2図】
【第2図】
△ABC‘=却 、てZ^の二勃じと辺B Oの韮点をDとおくとO
A亘=^C,BD:】〕C
・号しい■がある
.■さの;しい三■形が2つあ看
0
仁
舳榊何舳 函→ 蜘をつ榊・鵬する 弩を榊〕
O〕 AB:
{〕=BD DC
傭ユ〕
A 側 A];=^C=亘D…
P1A C
{〕
“1〕=2〕1=軍ず昌】
A亘 AC=‘〕 DC
B P=C
一
P
AB:BD =AC:CO 帽4〕
ムA】ヨP △CPD
ムACD唖△BPD
△ABD
■さの{しい 面竈の比直勘の比
三^影が2つわ暑
AB=BD=CP:PD
AO=CD=BP:PD
05
ム^Cl〕=珂D DC
苧4。辮
I’
「 、屏、、
ムAB竈:△^CD ヨABlAC
イ 発展 ・拡張への動機づげ
○ 上の2つの二等分藤に関する事淡らを用いる
○ 類似間題として之BA Cの外角の二等分線に
と
ついて 之CAE=之FAE
n)カ」定であるような点Aは ,線分B Cをm:
ならぱ AB:
nの比に内分する点Dと外分する点Eを繕ぶ線分
、2定点B ,Cからの距難の比 m:n(m≠
を直径とする円周上にあることがわかる
=B E:
。
o BCをm:nの比に内分する点をD ,外分する
が成り立つこと
点をEとするとき 、点D ,Eは線分BCをr調和
淡わかる 。 目 O C
に分げる」といい 、4点 B ,C:D ,Eは「調
和点列をなす」という
一21一
。
1 1 2
このとき 、一十一=一が成り立つ
BD EE BC
すなわち 、BD
をなす
,B C
ウ 授業実践の考察
。
平成元年1月31目 、県立相模原高等学校にお
,BEの逆数が等差数列
いて 、前述アとの関連を図りながら 、調査研究
。
○ ピタゴラスは 、次のような音楽に関する優れた
業績も残している
。
彼は 、ある長さに切 った絃を張 って音を出し
協力員山下光雄教論に授業をしていただいた
直
その結果 、生徒の反応は次のとおりであ った
。
・ 導入としての座標を用いた解法では 、ほとん
、
2
次にその長さの一の絃を張 って音を出せぱもとの
3
音より5度高い音が出る 。また 、最初の絃の長さ
どの生徒が正解であ った
。
初等幾何的に考えたとき
1
、・
図形上の関係や結
の一の絃を張 って音を出せば 、最初の音より8度
論への見通しがつかめず 、推論の糸口がみつげ
高い音が出ることを発見した
2 1
すなわち 、これらの3つの数 1 ,一 一の間
3 2
3
には 、その逆数 1 ,一 2が等差数列をなすと
られなか った
2
。
中学校での図形教育が基本的なことだけで終
わ っているせいか 、図形に対する発想が乏しい
2
いう関係がある 。このように 、逆数が等差数列を
題材からの開発 ・発掘を教科書をもとに行 った
。
が、
’’’‘一ドー一
’
’’ソー
6二 ‘ドー一
一
、
次に 、中学校 、高等学校についてそれぞれ2例
ずつ「推論図」のみを示す
、 、
1 2 1
。
(1)中学校の題材からの開発 【第3図 ,第4図】
2 3
【第3図】
Aを鵬とする二割三£影ABC‘=おいて .B .CよO対辺
■AC
・州醐肥 ・C眺肌酬の顯榊とす脈
PB=PC
・亘■が6る
・舎同セ三カ房がいくつかある
・二鋤三勾形←■■→廣倉が等しい
・醐Iよ三^影の■さでも6る
・ ‘P喧コ仙である〕
ム
傭1〕
△PBCは二等辺三角形より旺1月
ムBC亘呈△CBD
合同な三■房 値角三^形で倶切と1虚創
△AB口冒△^CE
恒^三貧影で伺辺と1睨^,
偏2〕
^】ヨEP亘△CDP
{1辺と両借の角相等〕
よo匝
△ADP畳 △AEP
岨角三倉形で匂辺と!辺〕
嗜^吐尋しい
。
3 中学校 ・高等学校の邊材と推諭図
なすとき 、もとの数列はふつうr調和数列をな
す」といわれる
。
俸鮒徽
△BCD oo △CB】… 姑応する3鼠の角が等し
‘2■相等〕
匡憂ヨー→・・鵬1棚に搬
則は三角形の■さ 面竈からBD =CE
他のいずれかの曇件と置き換えられる〕
一22一
■咀
AP tPQ〕は薗四を量副=二勃する
【第4図】
A1ヨを■呂とす;円Oの貞亘I:室サ看肚上1:点Cをと昌
.
ムCの申貞をM .MBと円Oとの変 、百を]〕とするとO
△A亘C帥△眉DA
であ;ことをI1…呵せよ
.
・則←→竈呂I:1■
・亘昼せ見込o^一 一→口’
・三^影の迦の中貞
偏1〕
舳
■呂に1■
之CB^!ZR
^^BCは口£三■房
閂I二内簑する
ムM^B吐=劔三^這
伸心直M〕
副旦号しい
2£相筍よO匝明
之MA】…1之阯亘^
{■臼と1蠣^j
■岨号しい
△M回C‘=靭…£房
之MBC’Z以CB
対^8ば号Lい
景方影A亘CPホでO看
“2}
2^相等よO旺I児
蝿定口
工直角と1睨角〕
之MEC =之BAD
^MB豆8△皿CH
工2団と畦さo自の相言〕
之皿CB!之MBC
三^毘の辺の申点
組畠の定寝
申、
^MBC吐=等辺…£形
岨亘ホ劇を皇直1=二勧〕
^”A月! △MBH
偏3〕
{2辺と吐さO{ゆ相等〕
2^塙等より旺明
之CムB;ZABl〕
{亘角と1以^〕
ムM^B庄=等辺三^影
帆Hが圃老量直1:二鋤〕
(2)高等学校の題材からの発掘
【第5図 ,第6図】
【第5図】
に
釦8の定口
.ム
→ 回H 旧P=2 1
日O:OM ,2=1
L−1則
o
『■[』■一
.差
仁
相何セ三^屠出ある
^BCO蜆^MNG
‘●■肚里”]
2つの申‘目M .C肺肚
・3鉋1二吐モれぞれ中点L M .Nがあ看
亙いに2111:内分する
・1辺と脱桝席れ 乱い三舳獅帥蝸
■交点Gはモれぞれ2=1I=内全す看一口よ09…由る〕
。
.ム
菟
甲行‘の蛍^‘旦
90 co蜆 0M咄Po喧肺四辺房
■‘■, o
互い1=中点で虫わ;
o
.ぷ
杷oな三^竃と中貞■臼定2よ5
00=OC= MP:”P
EO:OC=NP=MP
BO !:O白1;ユ
亘O=OC
伽1〕
。
耐の暑Lい
三■影那心暑
r呂申‘1圭モ九ぞ九
2:ユの内分点で交わる」
よo旺明
^^M6一^CMO
.必
^BCO=2ムOMO
{獺〕
r
ム^CO=^1ヨCO
△^CO! ^A亘O
直
^o共坦よo■さは等しい
^^日C呂^日CO
6が2!1にカ分す昌
ことを子篶して
.ぷ 一
.孝
^O!
O Pとf^
OAOCP畦平行四辺形
靱拮走冒よo
中.
順2〕
r亘‘A0瞠申‘となる」
申点■拮定臼よ0
E0自o P
OO1ヨPC肚輔四翅影
よoIi1明
○肚BCの申点と在る
NC〃亘P
阯B〃CP
1
△^PM 目^CBM
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お わ り に
本研究をとおして明らかにな
「子どもたちがあれほどまでに『図形』が好き
とおりである
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た事がらは 、次の
だっ たのに 、どうして中学校へ進むと『証明』が苦
。
・ 図形に関するいくつかの性質
・定理な・
どを根拠
手とな ってしまうのか」という小学校教員の疑問
にして推論を行い 、結論までに到達する過程に
“ 学ぶ意義 }を見いだすことができるか 、また
は、
な機会によく聴かれる言葉である
、
補助線などによる “ひらめき }をもとにして次 々
に解明されていくときの自力解決の方法に
‘‘
をもつことができるかどうか 、「直観的な見
方・
考え方」はこの2面の学習価値を支える重要
な要素とな っている
。
操作活動での興味 ・関心が論証へ円滑に結びつか
ない厳しい現実の姿淋ここには存在するようである
成就
感”
当教育センターの研修講座をはじめ 、いろいろ
。
本研究では 、「直観的な見方 ・考え方」という
キーワードを 、幾度も語り尽くされ 、記述されてき
た形がい化された用語としてではなく 、生徒が「証
。
いろいろな「着眼」「発想」が結論を導く証明の
明」という現実的解決を迫られている状況のなか
出発点となることを 、生徒にわからせるこ ’と氷で
で、“ 惜的なひらめき ”を “知的な論誕 ”へとどの
きれ暗 、それが論証に対する学習の動機づげにな
ように結合 ・発展させていけぼよいか 、という課題
り得る
に取り租むたあの重要概念と考えた 。したが って
。
教科書の図形に関するどの問題に対しても「推.
論図」を作成してお庁ぱ 、生徒の多様な考えに対
応した指導ができて有効である
「操作
・実験」などをとおして「直観的な見方
、
・考
え方」を深めることの意義を認めながらも 、作業な
どをもとにr証明」に生かす指導の在り方を探ると
。
高等学校における現行の「図形と方程式」にか
いうことでは衣く 、「証明は 、はじめに直観ありき」
かわる題材のなかに初等幾何的な解決が図れるも
というごく素朴な視点から 、論理的な推論へと展開
のがあるので 、その教材化により「論証」への興
を図る指導法の研究として位置づげた 。「推論図」
味 ・関心をひきだすことができる
は、
。
図形の論証指導を中学校にのみ委ねるのではな
く
、これからは高等学校におげる『数学A」の
「平面幾何」指導がその役割を担うようになり
生徒のさまざまな発想を大釧 こしながらその解
法につきあうことができる「指導資料」とLても重要
なものであるという認識をもち 、丁寧に作成した
。
これからの学習指導要領の動向をも考えながら授
、
中学校とは異なるアプ ローチで論証の意義を理解
業笑践をとおして 、r推論図」の活用方法など本研
させる契機となる可能性があ
究の成果を検証していきたいと考えている
・る
。
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