水溶性切削油・研削油の使用方法

水溶性切削油・研削油の使用方法
◆交換作業基準
1.機械タンク内の使用液をすべて抜き取る(切りくず
1.機械タンク内の使用液をすべて抜き取る(切りくずも除去する)
(切りくずも除去する)
2.タンクに、稼動
タンクに、稼動に必要な量の水を溜める
稼動に必要な量の水を溜める(タンク容量の
に必要な量の水を溜める(タンク容量の6
(タンク容量の6割程度)
3.機械内を洗浄
機械内を洗浄・
内を洗浄・殺菌する
殺菌する目的で、水量に対し
する目的で、水量に対しカーボンフラッシュ
目的で、水量に対しカーボンフラッシュを
カーボンフラッシュを3%(30
%(30倍)投入する
30倍)投入する
4.2~3時間程度循環させ
時間程度循環させ、機械内を十分に洗浄・殺菌する(
循環させる)
させ、機械内を十分に洗浄・殺菌する(配管内
、機械内を十分に洗浄・殺菌する(配管内を
配管内を循環させる
させる)
5.カーボンフラッシュが当たらない所や、汚れている所、臭いがキツイ所、タンク周辺などは、スプレーで噴きかけたり、
カーボンフラッシュで湿らせたウエスなどで拭き取ったりして洗浄・殺菌する
6.機械停止後、洗浄に使用した
機械停止後、洗浄に使用したカーボンフラッシュ
したカーボンフラッシュを
カーボンフラッシュをすべて抜き取る
7.再度タンク
再度タンクに水を溜め、
タンクに水を溜め、カーボンキュール
に水を溜め、カーボンキュールCL
カーボンキュールCLもしくは
CLもしくはALL
もしくはALLを
ALLを10%(
10%(10
%(10倍)投入する
10倍)投入する
8.稼動直後、ノズルから排出される液がカーボンキュール
稼動直後、ノズルから排出される液がカーボンキュールに
カーボンキュールに代わるまでの間
わるまでの間はバケツなどで
バケツなどで受け
などで受け、出来る
受け、出来る限り混入しないようにする
、出来る限り混入しないようにする
9.30分程度機械を稼動し、液の濃度を均一にする
30分程度機械を稼動し、液の濃度を均一にする
10.
10.カーボンキュールの濃度
カーボンキュールの濃度を
濃度を測定する(規定濃度に達していなければ原液追加)
測定する(規定濃度に達していなければ原液追加)
※濃度管理表は弊社ホームページよりダウンロードできます
濃度管理表は弊社ホームページよりダウンロードできます
11.交換作業終了
交換作業終了
◆カーボンキュールの管理について
・1週間に数
週間に数回、屈折計を用いて濃度を測定する
・水の補給時は、補給水量に対して3
・水の補給時は、補給水量に対して3%の原液を投入する
・錆が発生した場合は、原液1
・錆が発生した場合は、原液1~2%追加する
・腐敗臭が発生した場合は、原液1
・腐敗臭が発生した場合は、原液1~2%追加する
以上の管理を実施することで、加工性能の安定と切削液寿命が長くなり、コスト低減に繋がります
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日常管理項目
※日々の濃度管理が重要です。
項目
管理方法
管理基準
対応
交換タイミング
①濃度
屈折計
最低基準値:CL/Brix1.2
最低基準値:CL/Brix1.2以上、
CL/Brix1.2以上、
ALL/Brix1.9以上
ALL/Brix1.9以上
原液補充
-
②pH
pHメーター
pHメーター
pH8.6以上で管理
pH8.6以上で管理
原液補充
原液を補充してもpH
原液を補充してもpHが上がらない場
pHが上がらない場
合
③外観
目視
腐敗、カビ、サビ発生
原液補充、
原液補充、防腐・
防腐・防カビ剤投入
大量発生した場合
④臭気
官能
悪臭発生
原液補充、
原液補充、防腐・
防腐・防カビ剤投入
強度の悪臭が出た場合
⑤菌
バイオチェッカー
103弱度腐敗、
弱度腐敗、104腐敗、
腐敗、105中度腐敗、
中度腐敗、
原液補充、
原液補充、防腐・
防腐・防カビ剤投入
7
10 強度腐敗
中度腐敗の場合
⑥混入油分
目視
浮上油発生
浮上油回収
加工性、洗浄性低下の場合
⑦切粉
目視
タンク内への蓄積
液を抜かずに除去
全除去する場合
基本項目
※混入油分の影響により濃度計の精度は低下しますので、ご注意下さい。
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切削油・研削油の長寿命化と生産性向上
清潔なクーラントはトラブルがなく、寿命が長く、工具寿命が延長、加工性も良く、
より低いコストで最高の製品を作る事ができます。
定期的に基本的な管理方法を実施して頂く事で清潔なクーラントを維持できます。
・機械を清潔にする
・濃度管理、(pH
・濃度管理、(pH管理)
pH管理)
・良質の水で希釈
・混入油分を最少限にする
・タンク内の切粉の早期除去
・長期停止時の対策
・必要に応じて防腐・防カビ剤を投入
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液の劣化
◆液の劣化とは
◆微生物の種類
①微生物の繁殖
〇細菌(バクテリア)
細菌(バクテリア
細菌(バクテリア)による腐敗・悪臭が発生。
テリア)による腐敗・悪臭が発生。
真菌(カビ)によるスライム状
菌(カビ)によるスライム状の粘着物・悪臭が発生。
粘着物・悪臭が発生。
好気性菌と嫌気性菌があり、腐敗・悪臭の原因は嫌気性菌(硫化還元菌)
です。
酸素の無い所で繁殖し、特に混入油分が液表面にある場合、表面を覆い
酸素を遮断する膜を作り、嫌気性菌を継続的に増加させます。
この細菌は摺動油、作動油や切削油内の鉱物油、界面活性剤を栄養分と
して、化学的に切削油を変化させ潤滑剤と防錆剤を破壊し、切削油に腐食
性の酸と塩を放出しサビの原因になります。
更に非常に
非常に抵抗力が
抵抗力が強く、腐った卵
く、腐った卵のような強
のような強い臭い(硫化水素)が発生し
ます。タンクの底
ます。タンクの底に沈む傾向があり、切
沈む傾向があり、切粉
があり、切粉などと一緒
などと一緒になって沈ん
になって沈んでいます。
沈んでいます。
②乳化破壊(エマルジョン・ソリュブル)
ワークの金属
ークの金属イ
金属イオンにより乳
ンにより乳液を破壊される(特にMg
液を破壊される(特にMg、
Mg、Al)。
また液が高圧
また液が高圧で
高圧で激しく叩
しく叩きつけられる事
けられる事で乳化破壊を起
化破壊を起こす。
③混入油分の乳化
摺動油、作動油など切削性のない油分が乳
摺動油、作動油など切削性のない油分が乳化する事
化する事で、加工性や冷却
で、加工性や冷却性
冷却性
を妨げる。洗浄性も低
妨げる。洗浄性も低下
る。洗浄性も低下。濃度計の精
。濃度計の精度も低下
度も低下させてしまいます。
◆切削油を汚染するもの
・以前使用切削油の残留
・摺動油、作動油
・防錆剤
・前工程切削油
・クリーナー
・切粉
〇真菌(カビ)
摺動油、作動油や切削油内の鉱物油、界面活性剤を栄養分とします。
兆候としてはタンク
兆候としてはタンク壁
としてはタンク壁にヌルヌルしたものが付着
ルしたものが付着し、スライム
付着し、スライム状
し、スライム状の粘着物と
粘着物と
なります。そ
なります。その後代謝
の後代謝物としてシェ
物としてシェルター(巣
ルター(巣)を生成
)を生成します。
カビは液の性能を低下
カビは液の性能を低下させ、粘着
させ、粘着物が配管、フ
粘着物が配管、フィ
物が配管、フィルターなどの詰
ルターなどの詰りの原因に
なります。更
なります。更にツンとした臭いが発生します。
機械内に繁殖した場合は、徹底
機械内に繁殖した場合は、徹底的に
徹底的に清掃
的に清掃し、カビを物理的に
清掃し、カビを物理的に完全
し、カビを物理的に完全に除去す
完全に除去す
る必要があります。
一般的に、細菌とカビは共存
的に、細菌とカビは共存せず、
共存せず、ソリ
せず、ソリューシ
ソリューショ
ューションタイプはカビに
ンタイプはカビに浸食されや
すい傾向
すい傾向があり、
傾向があり、エ
があり、エマルジョ
ルジョンタイプはバクテリア
ンタイプはバクテリアに
テリアに浸食されやすい傾向
食されやすい傾向に
傾向に
あります。
※混入を防止する事
混入を防止する事が一番
が一番ですが、混入した場合は早期
ですが、混入した場合は早期に除去する必要があります。
早期に除去する必要があります。
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微生物の繁殖
◆微生物繁殖の原因
◆微生物繁殖による問題点
〇微生物の入り込む経路
・作業環境
・作業環境の悪化
・加工性能の低下
・加工性能の低下
・作業者
・作業者の健康損害
・液の分離
・液の分離、有効成分の
有効成分の消耗
分の消耗による濃度低
消耗による濃度低下
による濃度低下
・pHお
pHおよび濃度低下
濃度低下による機械やワ
による機械やワークの錆び
ークの錆び
・スライム状
・スライム状の粘着物による配管、フ
粘着物による配管、フィ
ルターの詰り
物による配管、フィルターの詰
・微生物の代謝
生物の代謝生成物による毒
物による毒性、皮膚刺激
性、皮膚刺激性などの安
皮膚刺激性などの安全
性などの安全性低下
性低下
・使用液の寿命低下
・使用液の寿命低下による液交換など経済
による液交換など経済的ロス
経済的ロス
・機械内部
・機械内部に住みついている
住みついている
・希釈水
希釈水
・ワーク
・空気
・作業者
・作業者の手
〇繁殖しやすい環境
・濃度低下
・濃度低下
・気温
・気温の高い夏場
・機械の長期
・機械の長期停止時
〇栄養源
・摺動油、作動油
・切削油内の鉱物油、界面活性剤
・リン酸イオ
ン酸イオン、ア
ン、アルミニウムイ
ミニウムイオ
ウムイオン
〇希釈水
目安として全硬
目安として全硬度100
全硬度100ppm
度100ppm以上の
ppm以上の硬
以上の硬水、リ
水、リン酸イオ
ン酸イオンが10ppm
ンが10ppm以上の水
ppm以上の水質
以上の水質の水は避
の水は避けて頂
けて頂きたいです。
最も良いのは純
いのは純水、軟
水、軟水ですが、無い場合は水道
水ですが、無い場合は水道水を使用下
水を使用下さい。
工業用水や井戸
工業用水や井戸水は
井戸水は硬
水は硬度が高
度が高く、殺菌されていない為
く、殺菌されていない為、微生物や金属
生物や金属イ
金属イオンが存在
ンが存在する場合が
存在する場合が多
する場合が多く、腐敗の原因になりやすいです。
また金属
また金属イ
金属イオンが切削油成
ンが切削油成分と反応
分と反応し、タンク表面に
反応し、タンク表面に豆
し、タンク表面に豆腐のようなもの金属石鹸
腐のようなもの金属石鹸(スカム)が生
金属石鹸(スカム)が生成
(スカム)が生成されたり、ベ
されたり、ベタ付きが早
きが早くなります。
5
微生物繁殖の対処
◆対処方法
◆最も有効な方法
①濃度ア
濃度アップ
微生物が増殖しないよう適正
生物が増殖しないよう適正濃度の濃い目まで上
適正濃度の濃い目まで上げ
濃度の濃い目まで上げて下さい。
液の入替
液の入替時にフラッシング
時にフラッシングを正しく行
しく行う事が最も効果的な
効果的な方法
的な方法です。
方法です。
使用済み
使用済みの切削油を抜いた
済みの切削油を抜いただ
の切削油を抜いただけの汚れたタンクに新
けの汚れたタンクに新液を入れても無意味
液を入れても無意味
です。これではタンク内の切粉
です。これではタンク内の切粉や機械内部
や機械内部、配管内の微
、配管内の微生物に新
生物に新しい食物
を与える
与える事になります。機械の
になります。機械の清掃
機械の清掃が
清掃が適切でないと切削油は約
切でないと切削油は約1ヵ月の寿
ヵ月の寿
命しかありません
命しかありません。
②防腐・防カビ剤を投入
微生物を死滅
生物を死滅させる
死滅させる事
させる事ができます。
③カビ発生の場合は、スライム状
カビ発生の場合は、スライム状のシェ
のシェルター(巣
ルター(巣)を取り除く
カビ発生の場合はスライム状
カビ発生の場合はスライム状のシェ
のシェルターが生成
ルターが生成されます。
見えるシ
見えるシェ
るシェルターは除去して下
ルターは除去して下さい。また配管内からシェ
さい。また配管内からシェルターが出てきた
場合は都
場合は都度除去して下
度除去して下さい。
④濃度管理の徹底
濃度管理の徹底
※防腐・防カビ剤では、シェ
防腐・防カビ剤では、シェルター自体
ルター自体を
自体を消滅させる
消滅させる事
させる事は出来ません
は出来ません。した
がってシェ
がってシェルター内に潜ん
ルター内に潜んでいるカビは生
潜んでいるカビは生存
でいるカビは生存してしまいます。
しかしながら使用液には防腐・防カビ剤を添
しかしながら使用液には防腐・防カビ剤を添加しましたので、仮
加しましたので、仮にシェ
にシェル
ターが壊れてカビが出てきても死滅
ターが壊れてカビが出てきても死滅します。
死滅します。
〇手順
①使用中
使用中の液量を循環可
の液量を循環可能な量まで減量する
②腐敗が多
腐敗が多い場合は入替え
い場合は入替えの2~3
替えの2~3日前
の2~3日前に
日前に防腐・防カビ剤を投入し、
防腐・防カビ剤を投入し、
通常通り加工しながら殺菌する
通常通り加工しながら殺菌する
③液を抜く
④徹底的に機械を
④徹底的に機械を清掃
的に機械を清掃する
清掃する
(カビの発生がある場合は、物理的に
(カビの発生がある場合は、物理的に完全
物理的に完全に除去する
完全に除去する必要があります)
に除去する必要があります)
⑤フラッシング
フラッシング剤を投入し、機械内や配管内に付着
を投入し、機械内や配管内に付着している混入油分を
付着している混入油分を
完全に除去する
完全に除去する
⑥新液を入れる
⑥新液を入れる
◆防腐・防カビ剤の使用注意
あくまでも一時的な腐敗対策
あくまでも一時的な腐敗対策の手段です。
手段です。
定期投入しても効果期
投入しても効果期間は
効果期間は永
間は永続しない為
続しない為、これに頼
、これに頼り続ける事
り続ける事は出来ませ
ん。さらに耐
。さらに耐性菌が生成
性菌が生成されてしまいます。
一時投入に関
一時投入に関しても、添
しても、添加量が少
加量が少なすぎ
なすぎると微
ると微生物の繁殖を刺激
生物の繁殖を刺激する
刺激する事
する事が
あり、多
あり、多すぎると人体影響
ると人体影響が出てきます。
人体影響が出てきます。
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