溝カムを用いた新しいスチームエンジンの開発 小松原研究室 研究背景 スチームエンジンの設計・製作 大型船舶ではディーゼル主機関の排気ガスを利 用する排気ガスエコノマイザにより低圧の蒸気を生 成している.しかし,生成された蒸気のうち,余剰と なった低圧の蒸気は捨てられている. 余剰の低圧蒸気からエネルギー回収が行えれば, 船舶の省エネルギー化に貢献できる.そこで,溝カ ムを用いた新しいスチームエンジンが栗林氏によっ て考案された(図1). スチームエンジンの性能評価を行うため,試作 機を設計・製作する.設計仕様を表1に示す.製 作したスチームエンジンの外観を図4に示す. 本試作機の全長は560[mm],出力軸を中心と した直径は300[mm],全高は約270[mm]である. Table 1 Design specification of prototype steam engine Cylinder bore [mm] Stroke [mm] Stroke volume [cm3] Cylinder Cylinder 50 70 120 3 Piston rod Fig.1 Prototype steam engine and roll-on/roll-off ship スチームエンジンの基本構造 このスチームエンジンは,シリンダが往復直進運 動を行う.シリンダの往復直進運動は,出力軸の中 央に設けた溝カムを介して出力軸の回転運動に変 換される(図2). 蒸気の供給は,スチームエンジン内部に設けた内 部配管により行う.また,出力軸に設けられた給気 バルブと排気バルブが出力軸の回転と共に開閉す ることにより,適切なタイミングで供給する. (図3). Output shaft Piston Grooved cam Cylinder Piston rod Grooved cam Output shaft 560 [mm] Fig.4 Appearance of prototype steam engine スチームエンジンの性能試験結果 供給圧力が約0.7[MPa],温度が約166[℃]の 飽和蒸気を作動流体として試験を行った.図5に 出力と回転速度の関係を示す. 図5から今回の飽和蒸気による試験で得られた 最高出力は,回転速度が約73[min-1]のとき,図 示出力が約370[W]で軸出力が約60[W]であった. 機械効率は約16[%]であった. Fig.2 Mechanism of prototype steam engine Exhaust valve Exhaust Charging valve Output shaft Charging Internal piping Charging valve Exhaust valve Fig.3 Sectional view of prototype steam engine Fig.5 Speed/power characteristic curve
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