活かそう! 地熱発電

活かそう!
地 熱 発 電!
日本地熱協会事務局
所 : 〒101- 0031 東京都千代田区東神田 1- 4 -11 KKビル5階
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F
日本 地 熱 協 会
話 : 03 - 5823 - 4639
電
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X : 03 - 5823 - 4640
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U
R
L : http://www.chinetsukyokai.com/
Japan Geothermal Association
2015.9
地 熱発電のしくみ
噴気
噴気
再生可能なエネルギー!
還元井
火山
生産井
地熱資源は火山性の地熱地帯で、マグマの熱で高温に
なった地下深部(地下 1,000∼3,000m 程度)に存在します。
地表面に降った雨や雪が地下深部まで浸透し、高温の流体、
すなわち地熱流体となります。 これが溜まっているところを
地熱貯留層といいます。
地 熱 発 電の特長
地下水
地熱発電は、地熱貯留層より地熱流体を取り出し、
タービンを回転させて電気を起こして
地熱発電は地球内部にある
います。
高温のエネルギーを使って
発電方式は複数ありますが、最も
発電するんだよ
一般的なフラッシュ発電と、最近増え
ているバイナリー発電を紹介します。
温泉
地下水
割れ目
熱水
地熱貯留層
みに
大地の恵
ね
だ
謝
感
マグマ
18
11
9192
40
1919
8
ロシア
5
8889
カナダ
3
81
アメリカ
0
72
必要なエネルギー資源を
外国から輸入しなければならない
31
7172
ブラジル
59
54
69
中国
100
必要なエネルギー資源を
自国で生産できる
180
174
インド
還元井へ
地熱発電は、昼夜、天候を問わず 24 時間、しかも安定的
に発電することができます。
また自然エネルギーの中でも出力が非常に安定しており、
ベースロード電源として利用できます。
80
60
40
0
120
kWh
150.5
年間発電電力量(億kWh)
設備容量(万kW)
1432
利用率
1600
1200
58%
80
800
47.49
40
0
20%
25.96
400
271
12%
51.2
地熱発電
kW
︶
20
160
年間発電電力量、設備容量、利用率の比較
(地熱発電、風力発電、太陽光発電)
設備容量︵万
発電し終わった二次媒体は、凝縮器で液体に戻し、循
環ポンプで再度、蒸発器に送る。
1,000
162
153
イギリス
二次媒体の蒸気でタービンを回転させ発電する。
800
原子力を国産とした場合
ドイツ
3
4
600
原子力を輸入とした場合
︶
地熱流体で二次媒体を温め、
蒸気化する。二次媒体を温
めた後の地熱流体は、
還元井から地下に戻す。
400
主要国のエネルギー自給率
(2011年)
年間発電電力量︵億
2
200
200
利用率︵%︶
生産井から地熱流体を取り出す。
943
(864)
出典:今村(2010)
「日本の発電技術のライフサイクルCO2排出量評価−2009年に得られた
データを用いた再推計−」をもとに作成
火山の多い日本は地熱資源が豊富で、世界第 3 位(2,347
万 kW)の地熱資源量を有しています。 地下に眠る地熱資源を
取出して発電する地熱発電によるエネルギーは、まさに純国産
のエネルギーとして、エネルギー自給率の向上に貢献します。
バイナリー発電
1
738
(695)
石炭火力
安定的な電源として使えるエネルギー!
ダブルフラッシュ方式は、セパレータで分離した熱水をフラッシャー(減圧器)に導入して低圧の蒸気をさらに取り出し、高圧蒸気と
低圧蒸気の両方でタービンを回す方式です。 高温高圧の地熱流体の場合に採用され、シングルフラッシュよりも約20%出力が増加
します。 八丁原発電所や森発電所で採用されています。
バイナリー発電は、水よりも沸点の低い二次媒体を
使うので、より低温の地熱流体での発電に適しており、
地熱流体で温められた二次媒体の蒸気でタービンを回し
て発電します。
石油火力
出典:IEA「Energy Balances of OECD Countries 2013 Edition」,
「Energy Balances of NON-OECD Countries 2013 Edition」をもとに作成
4
地熱貯留層
発電し終わった蒸気は 復水器で温水にし、
さらに冷却
塔で冷ました後、復水器に循環して蒸気の冷却に使用
する。
599
(476)
イタリア
蒸気でタービンを回転させ、
発電する。
474
(376)
LNG火力(汽力)
フランス
3
4
3
1
38
LNG火力
(複合)
日本
セパレータ
(気水分離器)
で地熱流体を蒸気と熱水に
分け、熱水は 還元井から地下に戻す。
還元井
25
韓国
2
生産井
復水器
20
風力
太陽光
自給率 ︵%︶
地熱貯留層に生産井を掘り、地熱流体を取り出す。
タービン
原子力
ライフサイクルCO 2 排出量(g-CO 2 /kWh)
純国産エネルギー!
空気
1
発電機
その他(間接)
13
地熱
※原子力は使用済燃料再処理、
プルサーマル利用、高レベル放射性破棄物処分等を含めて算出
送電線
冷却塔
発電燃料(直接)
11
(中規模ダム水路式)
0
地熱発電では燃料が不要なため、燃料を燃やして CO 2 を
排出するということがありません。
また、発電所建設から運転中、発電所解体までに発生する
総 CO2 量もきわめて少なく、地球温暖化の軽減に効果的です。
セパレータ
(気水分離器)
2
地熱発電は、地熱貯留層から地熱流体を蒸気として地上
に取出して発電するものです。 地熱流体を取り出すと、地熱
貯留層では減った分を補うように地熱流体の流れが生じます。
また、セパレータで分離した熱水は還元井から地下へ戻します
が、これも地熱貯留層で再び温められ地熱流体となります。
このように、熱水や地熱流体は循環します。 この自然な回復
サイクルに合うように発 電を行うことで、 地 熱エネルギーは
永続的な利用が可能です。
クリーンなエネルギー!
フラッシュ発電
フラッシュ発電は、主に200℃以上の高温地熱流体
での発電に適しており、地熱流体中の蒸気で直接ター
ビンを回します。
シングルフラッシュ方式は次のように発電を行います。
電源別平均ライフサイクルCO2排出量
水力
風力発電
太陽光発電
0
出典:地熱発電は「電気事業便覧 平成26年版」
(電気事業連合会編) 太陽光と風力は「再生可能エネルギー発電設備の導入状況について(平成26年3月末)」
(資源エネルギー庁)
蒸発器
1
生産井
2
送電線
地地
熱域とともに
発 電の特長
3
発電機
タービン
凝縮器
∼地域との共生を第一に考えます∼
還元井
冷却水
媒体循環ポンプ
二次媒体
地熱貯留層
4
■ 温泉バイナリー発電
80℃を超えるような温泉が湧出する温泉地では、その高温の温泉をバイナリー発電の熱源として使え、熱の有効利用になります。
発電に利用された後の温泉は、温度が下がり、浴用に適温となります。
森発電所では、還元熱水と沢水を熱交換することによって得られる 85℃の
交換熱水をハウス暖房用に給湯し、ブランドトマトとキュウリの生産に役立
てています。
地熱発電所は長年にわたり運用するものですので、地域の方々と
の共生を第一に考えます。地熱発電は地産地消の電源として、地域
の方、周辺の温泉事業者の方に理解を頂くことが最も重要です。そ
のため、地熱発電の調査・開発を行う場合には、地域協議会の設置
や説明会の開催、対話等を行っています。
温泉のタイプによっては影響するおそれがあるので、地熱発電の
ための調査・開発・操業を行う際は、並行して温泉モニタリング等の
環境調査を行い、周辺環境への影響の有無を調べています。
地熱発電に伴って発生する熱水や温水については、地域協議会等
の場を通じて、地元で有効利用できるように努めています。