第 23 回企画展示「琵琶湖誕生−地層にねむる 7 つの謎−」(2015/07/18-11/23) ちょうせんじょう 図に 書き込む 編 迷探偵からの挑戦状 迷探偵 名前: 琵琶湖の生い立ちには、たくさんの謎があるのだ。私(迷探偵) がこの展示でわかった、いくつかの謎から問題をだすので、写 助 手 展示をよく見れば、 わかりますよ∼ 真や図の中に答えをかき入れてほしい。 琵琶湖が長く湖を続け られる理由として、地 だんそう 震を起こす断層が関係 している。展示されて いる断層 ( 右図 ) がど う動いているか、断層 を線で、動いた方向を 矢印で書きいれてほし い。 せいがんだんそうたい あい ば の 琵琶湖西岸断層帯 饗庭野断層 1 の謎 第 「存在し続ける湖」 展示されている地層にも、断層の場所と 動いた方向が書かれていますよね。 琵琶湖のおいたちの中で、広 い湖がなくなった時代の地層 は、砂の地層が多い。「河川 周辺の地層(川の時代)」の 地層の真ん中あたりには、斜 もよう めの模様がよく見える。それ を左図の空白部分にかき入れ てほしい。 ウラへ続く 展示の地層をよ∼く見る と、模様が見えてきますよ。 3の謎 「川だった湖」 河川周辺の地層(川の時代) © 滋賀県立琵琶湖博物館 2015 問題は難しすぎるポン? 他にもまだあるから、がんばるポン! 第 コビー 第 23 回企画展示「琵琶湖誕生−地層にねむる 7 つの謎−」(2015/07/18-11/23) 迷探偵からの挑戦状(図に書き込む編) 展示にあるマチカネ ワニは、生きている 時に他のワニに、一 部を食いちぎられた らしい。その部分を 右の図に○で示して ほしい。 4の謎 第 こっかく マチカネワニ全身骨格(上半分) 展示に説明がありますよね。 「絶滅した生き物」 いどう 琵琶湖の底には、火山灰層 も埋まっている。 今から 40 万年前までに火山 灰を降らせた火山がいくつ かある。その場所を下の地 図に「△」で示してほしい。 琵琶湖は、移動してきたと考え られている。現在の琵琶湖、昔 かたた あやま こうか の湖の堅田湖、阿山・甲賀湖の 場所をたよりに、はじめの湖(大 山田湖)の場所を、下の図に描 き入れてほしい。 琵琶湖の移動は、 おおまかには北 へ移動してきた そうです。展示 に地図がありま すね。 どの場所も、琵琶湖からは 遠いところですよねぇ。 5の謎 第 「火山灰層」 7の謎 第 「移動する湖」 よくここまでがんばったポン!他にももっとたくさんの謎が隠されているので、 自分でもさがしてみるポン。 コビー © 滋賀県立琵琶湖博物館 2015 迷探偵からの挑戦状(図に書き込む編)の解答と解説 ○第一の謎「存在し続ける湖」 答えは図のとおり。 琵琶湖の西側には琵琶 湖西岸断層帯とよばれる、 琵琶湖の西岸付近に沿っ てたくさんの断層が集ま っている場所があります。 これらの断層の運動によ って、琵琶湖の地盤が下 げられていると考えられ ています。 ここでみられる饗庭野 断層がある地層は、左上 から右下へ断層が伸びて います。その断層に対し て上側の地層が左上へ、 琵琶湖西岸断層帯 饗庭野断層(あいばのだんそう) 下側の地層が右下へ動い ているようです。断層よりも上側の地層がより上へ乗りかかるようにしてずれる断層のことを、逆断 層といい、両側から押されるような力が地盤に働いている時にできる断層だと考えられています。実 際、琵琶湖の周りでは、東西方向から押されるように、地盤へ力がかかっていると言われています。 なお、断層が途中で途切れているのは、断層が動いたあとに、その上へ土砂がつもったためで、 このような地層をみつけることができれば、断層をとめるようにして積もっている地層ができた時代 がわかると、この断層が最後に動いた時代がわかります。 ○第三の謎「川になった湖」 地層の研究者の見え方 答えは図のとおり。 空欄になっている所の模様 実際にどのように模様が見えているかを書き込 むのは難しく、専門に研究している人でさえ、人に よって答えはばらばらになります。この問題では、解答の正しさよりも、よく地層を観察することで、 ©滋賀県立琵琶湖博物館 2015 見過ごしてしまいそうな、地層にある模様を探そうとすることに意味があると考えています。 ただし、この地層から見える模様としては、斜めの模様が多く、水平な模様や、不規則な形の模 様は見られませんので、そのような解答は違ったものを見ている可能性があります。 地層の、特に砂の地層には、斜めの模様、うろこ状の模様、水平の模様など様々な模様が見られ ます。このような模様は、その地層がどのような環境で、どのようなたまり方をしてできたのかを知 る手がかりになるもので、斜めの模様については、当時の水の流れている方向まで読み取ることがで きます。なお、問題として出している地層の部分は、地層の研究者には、右図のように見えています。 参考にしてください。 ○第四の謎「絶滅した生き物」 答えは図のとおり。 展示をよく見れば、下あごの一部 が くびれていて、割れたようにみえる と ころがあります。そこから先の部分 が 食いちぎられたと考えられていると こ ろです。 展示のマチカネワニ全身骨格標 本 は、大阪で発掘されたもので、ほぼ 一 体分の化石が見つかっていますが、 頭 の骨は、図に示した部分(下あごの 先 端部分)はありませんでした。通常、 こ のような化石が出てくると、化石と し マチカネワニの下あごの先端部分が答え てその部分が見つからなかっただけ だ と考えがちなのですが、化石を詳しく研究した結果、残っていた下あごの先のあたりは、骨が再生し ている跡が見つかりました。このことから、生きている時に、下あごがなくなったと考えられました。 現在のワニでも、ワニの縄張り争いなどで、食いちぎられることがあるようです。 ○第五の謎「火山灰層」 答えは図のとおり。 琵琶湖に火山灰がふったことは、琵 琶湖の底にたまっている泥の地層を調 べることでわかります。この泥は 40 万 年間たまりつづけたもので、40 万年前 から琵琶湖があったことを示すもので す。泥がたまる湖の沖合には非常に細 かい粒子の泥だけがたまるので、砂の 粒子くらいある火山灰がたまるには、 空から降ってくるしかありません。つ まり火山噴火によって飛ばされてきた ものがたまったという訳です。 そのような火山灰は、40 万年間で約 70 こ見つかっています。そのうちの、 △は火山の場所 噴火した火山が特定されているものは、 半分もありませんが、わかっているものは、図の通りで、その多くは九州や山陰地方です。九州は今 も火山活動が活発ですが、山陰地方は数千年前からは、活発な活動をしていません。変わった火山と して、朝鮮半島の東方にある鬱陵島の火山からきたものがあります。これらはすべて、琵琶湖の西側 にあります。その理由は、日本の上空に偏西風が吹いているためです。爆発的か火山噴火によって、 上空1万m〜10 万mもの高さに吹き上げられた火山灰は、上空の偏西風によって東に飛ばされます。 そのため、火山灰の分布は、噴火した火山から東へ偏っています。ただし、琵琶湖へ火山灰を飛ばし た火山の中に、一つだけ伊豆半島から来ているものがあります。これは、偏西風によって飛ばされた のではなく、この噴火した当時に台風などの影響によって、気圧配置が通常の状態ではなかったので ©滋賀県立琵琶湖博物館 2015 はないか?と考えられています。 ○第七の謎「移動する湖」 答えは図のとおり。 琵琶湖の移動は、おおまかには、北へ動いてきたと考えられ います。そのため、一番はじめの湖は、三重県の伊賀市東方に りました。このことは、地層の分布と、地層のできた時代をし べることでわかりました。南にある地層のほうが古い時代のも だったのです。地層の年代から、はじめの湖である大山田湖は、 400 万〜340 万年ほど前まであったようです。 層の見かけから、どのような環境でできたものかがわかるので、 の湖がどの範囲にあったのかが推定できます。そのため、当時 湖の大きさも検討ができます。これまでに考えられているもの は、湖の大きさとしては、現在の琵琶湖がその生い立ちの中で 大だったようです。 ©滋賀県立琵琶湖博物館 2015 て あ ら の 地 昔 の で 最
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