三橋貴明の「新」日本経済新聞ゴールドメンバー講座ポイントまとめ&月刊三橋が10倍おもしろくなる経済用語「激流グローバルマネー ~ 世界を動かす力の正体」目　次 TRACK1 （07:11）日本経済の現状について TRACK2 （13:19）スイスフラン暴騰のわけ　TRACK3 （11:59）ルーブルの暴落はなぜ起こったのか TRACK4 （13:11）バブル経済のメカニズム　TRACK5 （06:24）グローバル経済とバブル TRACK6 （11:47）グローバルマネー経済をどう生きるか？ ▶TR ACK1　日本経済の現状について ‐ 日経平均の上昇と実質賃金の下落。 ‐ 金融緩和したお金は為替市場に向かっている。 ‐ 円安なのに実質輸出が増えない理由。 ‐ 2 0 15年はデフレに舞い戻る可能性が高い。 ‐ 消費税増税分を除くと、消費者物価指数はマイナスに転じる。 ‐ 原油価格の下落はいい影響を与える。 ‐ 4 〜 6月に 10兆円規模の再補正予算を打つだろう。 ▶TRACK2　スイスフラン暴騰のわけ ‐ スイスは外需依存国なのでスイスフラン高は致命的。 ‐ 為替介入には 2パターンある。 ‐ なぜスイスは対ユーロの上限を撤廃したのか。 ‐ スイスフランのマネタリーベースは為替防衛ライン設定前の 4 倍になったが、物価上昇率はゼロ。 ‐ 日本への影響は？ ‐ ユーロ安が進めば相対的に円高になる。 ‐ このまま日銀が国債を買い続けていくと、3年後には市場から国債が枯渇する。 ‐ 日本国債は暴落しない。 ‐ 証券系エコノミスト、アナリストはなぜでたらめばかり言うのか ? ‐ 日本破綻論はすべてでたらめ。 -1- ▶TR A CK 3 ルーブルの暴落はなぜ起こったのか ‐ グローバルマネーがなければ、石油の価格は需給で決まるはず。しかし、先物取引によって需給と無関係に価格が決まってしまう。 ‐ ロシア経済は石油と天然ガスに支えられている。 ‐ エネルギー価格が下落するとロシアのGDP は激減する。 ‐ なぜ原油価格が下がっているのか？ ‐ アメリカの金融政策と原油価格の関係。 ‐ 偏りが激しいロシア経済。 ‐ 市場とは何なのか？ ‐ 金融エコノミストは競馬の予想屋と同じ。 ‐ 経済は経済学や市場原理よりも、政治や思想で動くケースが多い。 ▶TRACK4　バブル経済のメカニズム ‐ マネー経済とは何か。 ‐ お金の貸し借りをしていくと、金融資産と金融負債が同時に増えていく。 ‐ バブルとはお金の貸し借りが爆発的に膨張した状態。 ‐ 金融経済では勝者がいれば必ず敗者がいる。 ‐ アメリカだけが立ち直っているのはなぜか？ ‐ 格差はますます開くのか？ ‐ 値上がり益は所得にならない。 ▶TRACK5　グローバル経済とバブル ‐ 外貨でバブルが起こるケースも。 ‐ グローバルマネーが両替されて株価上昇というケースも。 ‐ バブルは勝ち組と負け組がきれいに分かれる。 ▶TRACK6　グローバルマネー経済をどう生きるか？ ‐ 日本はどういう戦略を取っていけばいいのか。 ‐ 仕事を増やして人手不足にすれば実質賃金は上がる。 ‐ 実態経済の需要が増えてインフレになるのは悪いことではない。 ‐ 自国民が安定して成長する最善策は「金融鎖国」。 ‐ いろいろな人がいろいろな思惑で動いた結果が「マーケット」と呼ばれる。 ‐ 投機の短期的な値動きがわかる人はこの世に一人もいない。 -2- ‐ 日経平均は為替を見ればわかる。 ‐ FX は完全にギャンブルである。 ‐ 中長期的には人口構造上、インフレ方向に向かい、円は下がる方向に向かう。ただし、政治的にインフレ対策をして、インフレが抑制されればそうはならない。 ‐ 経済にとって大事なものとは何なのか? -3- ▶経済用語集【実質賃金】名目賃金（額面通りの賃金額）を消費者物価指数でデフレート（指数を % と見てその値を求めること）した数値。つまり、物価を考慮に入れて、賃金の実際の購買力を測る数値。同じ賃金でも物価が上がれば購買力（実質賃金）は下がることになる。【補正予算】年度の当初までに成立した当初予算（本予算）とは別に、年度の途中に必要となった財政需要を補うために組まれる予算。通常は、著しい社会情勢の変化、突発的な自然災害対策などが発生したときに組まれる。【スイス国立銀行】スイスの中央銀行。スイス・フランの発行権を有する。 2 0 1 1 年 9 月に、スイス・フランの対ユーロ相場に 1 ユーロ＝ 1 .2 フランの上限目標を設定したが、2015年1月1 5 日にこの上限を撤廃。スイス・フランが暴騰する騒ぎとなった。【為替介入】政府や中央銀行などが、自国通貨の為替相場を安定させる目的で、外国為替市場で通貨を売買すること。外貨を買う場合は自国通貨を売り、自国通貨を買う場合は手持ちの外貨を売る。【非不胎化介入】為替介入の手法の一種。為替介入をすると通貨流通量が変化するが、その変化する通貨流通量を国債の売買などで調整しない形で為替介入すること。逆に、国債の売買などを同時に行って、通貨流通量を調整しながら為替介入することを「不胎化介入」と言う。【量的緩和】景気を刺激する目的で、中央銀行の当座預金残高を増やすことによって金融緩和（金融市場における資金供給量を増やすこと）をする政策。Q E （Qua ntita tiv e e a s i n g ）とも略される。金融緩和は、通常であれば政策金利の引き下げによって行われるが、デフレ状態が続き、ゼロ金利になってしまうと、それ以上は金利を下げることができなくなる。それでも金融緩和を行う場合、量的緩和を行うことになる。【マネタリーベース】中央銀行による通貨の供給量。日本の場合、日本銀行券発行高、通貨流通高、日銀当座預金の合計額。マネーストックが、実際に出回っているお金の量を表すのに対し、マネタリーベースは日銀当座預金に眠っているお金も入っているので、市中に流通しているお金の額とは異なる。【FX】外国為替証拠金取引。証拠金（担保金）を業者に預託して外貨を購入し、為替取引を行う。証拠金に対してレバレッジをかけ、証拠金の何倍もの金額の取引をする。ただし、証拠金はあくまでも担保なので、証拠金を上回るような大きな損失が出た場合、証拠金を積み増ししなければならないケースも出てくる（追証）。短期的な為替の動きは誰にも予測できないので、博打以外の何物でもない。 -4- 【先物取引】特定の商品を、将来のある時点における価格をあらかじめ決めて取引すること。 F X 同様、証拠金を業者に預託して、レバレッジをかけ、証拠金の何倍もの取引をする。もともとは、農産物など価格変動の激しい商品について、その価格変動リスクを小さくする目的で行われていたが、現在では金融商品として投資（投機）の目的で売買される側面が大きい。 F X と同様、その特定の商品の価格が、証拠金を上回るほど大きく下落した場合、追証として証拠金の積み増しが必要になることがある。【CDS】 Credit Default Swap（クレジット・デフォルト・スワップ）の略。企業の債務不履行に伴うリスクを対象にした金融派生商品（デリバティブ）。対象企業が破綻し、金融債権や社債などの支払いができなくなった場合に、CDSの買い手がその元本や金利に相当する金額を受け取れるというもの。本来は、企業の金融債権や社債を持っている人が、その債権の破綻リスクを回避、もしくは軽減するための保険的役割を担うものだが、買い手はその会社債権者に限定されるわけではないため、現実的にはその会社が破綻するかどうかを賭ける博打、マネーゲームとなっている。【デリバティブ】「金融派生商品」と訳される。通貨、債権、株式、金などの現物市場と連動して価格が変動する商品を対象にした金融取引。先物取引、スワップ取引、オプション取引の総称。将来の売買価格を決めて取引し、その損益の部分のみの金額をやりとりするのを特徴とする投機的金融商品である。【WTI】「W e st T e xa s I nt e r media te」の略。アメリカ合衆国のテキサス州、ニューメキシコ州を中心として産出される原油の総称だが、通常は「WTI 原油先物価格」のことを指す。「WTI 原油先物価格」とは、WTI 原油の先物取引の価格のこと。 W T I 原油先物はニューヨーク・マーカンタイル取引所（ NY ME X ）で取引されているが、取引額が莫大なため（原油産出量ではなく、あくまでも先物取引の取引額）、中東を含む世界の原油価格に大きな影響を与えている。【QE3 】 QE とは「 Q ua nt i t a t i v e ea s ing」、つまり量的緩和のこと。 Q E 3 とは、アメリカ合衆国で 2 0 1 2 年 9 月から行われていた量的緩和のこと。「Q E 3」の「3」は3回目の金融緩和という意味。 2 0 1 4 年 1 0 月に終了した。【投機】実体経済においてモノやサービスを生産するために投じられる資金を「投資」と呼ぶのに対して、金融経済などにおいて短期的なキャピタルゲイン（金融資産の値上がり益）獲得を目的として投じられる資金を「投機」と言う。投資と比べて、極めてギャンブル性が高い。【MBS】 M o r t g a g e B a c ke d S ecurityの略。不動産担保証券。住宅ローンなど、不動産担保融資を裏付け債権として発行された証券。アメリカ合衆国で起こった「サブプライムローン問題」の「サブプライムローン」も MBS の形で証券化したものだった。【日経平均】東京証券取引所の株価の指標の一つ。東京証券取引所一部上場銘柄の中から、日本経済新聞社が 2 2 5 銘柄を選定し、算出している。なお、選定される銘柄は変化する。単純平均で計算されるため、もともと値が高い銘柄（値がさ株）の影響を大きく受けるという特徴がある。 -5-