医薬品インタビューフォーム

日本標準商品分類番号
871179
2015 年 12 月(改訂第 6 版)
医薬品インタビューフォーム
日本病院薬剤師会の IF 記載要領 2013 に準拠して作成
四環系抗うつ剤
マプロチリン塩酸塩錠
剤
形
製 剤 の 規 制 区 分
規
格
一
・
含
般
量
名
フィルムコーティング錠
処方せん医薬品 (注意-医師等の処方せんにより使用すること)
クロンモリン錠 10 mg
:1 錠中
マプロチリン塩酸塩
10 mg
クロンモリン錠 25 mg
:1 錠中
マプロチリン塩酸塩
25mg
クロンモリン錠 50 mg
:1 錠中
マプロチリン塩酸塩
50 mg
和 名: マプロチリン塩酸塩
洋 名: Maprotiline Hydrochloride
製造販売承認年月日 薬価基準収載年月日
発売年月
製造販売承認年月日
クロンモリン錠 10 mg
1992 年 2 月 26 日
1992 年 7 月 10 日
1992 年 8 月
クロンモリン錠 25 mg
1992 年 2 月 26 日
1992 年 7 月 10 日
1992 年 8 月
クロンモリン錠 50 mg
1992 年 2 月 29 日
1992 年 7 月 10 日
1992 年 8 月
薬 価 基 準 収 載
発
売
年
月
日
開発・製造販売(輸入)
・ 提 携 販 売 会 社 名
問 い 合 わ せ 窓 口
製造販売元:高田製薬株式会社
高田製薬株式会社 学術部
医療関係者向けホームページ
TEL:0120-989-813 FAX:048-623-3065
http://www.takata-seiyaku.co.jp
本 IF は 2015 年 5 月作成の添付文書の記載に基づき改訂した。
最新の添付文書情報は、独立行政法人 医薬品医療機器総合機構ホームページ「医薬品に関する情報」
http://www.pmda.go.jp/safety/info-services/drugs/0001.html にてご確認ください。
IF 利用の手引きの概要―日本病院薬剤師会―
1. 医薬品インタビューフォーム作成の経緯
医療用医薬品の基本的な要約情報として医療用医薬品添付文書(以下、添付文書と略す)がある。医療現
場で医師・薬剤師等の医療従事者が日常業務に必要な医薬品の適正使用情報を活用する際には、添付文
書に記載された情報を裏付ける更に詳細な情報が必要な場合がある。
医療現場では、当該医薬品について製薬企業の医薬情報担当者等に情報の追加請求や質疑をして情報
を補完して対処してきている。この際に必要な情報を網羅的に入手するための情報リストとしてインタビューフ
ォームが誕生した。
昭和 63 年に日本病院薬剤師会(以下、日病薬と略す)学術第 2 小委員会が「医薬品インタビューフォーム」
(以下、IF と略す)の位置付け並びに IF 記載様式を策定した。その後、医療従事者向け並びに患者向け医薬
品情報ニーズの変化を受けて、平成 10 年 9 月に日病薬学術第 3 小委員会において IF 記載要領の改訂が行
われた。
更に 10 年が経過した現在、医薬品情報の創り手である製薬企業、使い手である医療現場の薬剤師、双方に
とって薬事、医療環境は大きく変化したことを受けて、平成 20 年 9 月に日病薬医薬情報委員会において IF 記
載要領 2008 が策定された。
IF 記載要領 2008 では、IF を紙媒体の冊子として提供する方式から、PDF 等の電磁的データとして提供す
ること(e-IF)が原則となった。この変更にあわせて、添付文書において「効能・効果の追加」、「警告・禁忌・重
要な基本的注意の改訂」などの改訂があった場合に、改訂の根拠データを追加した最新版の e-IF が提供さ
れることとなった。
最 新 版 の e-IF は 、 ( 独 ) 医 薬 品 医 療 機 器 総 合 機 構 の 医 薬 品 医 療 機 器 情 報 提 供 ホ ー ム ペ ー ジ
(http://www.info.pmda.go.jp/)から一括して入手可能となっている。日本病院薬剤師会では、e-IF を掲載する
医薬品情報提供ホームページが公的サイトであることに配慮して、薬価基準収載にあわせて e-IF の情報を検
討する組織を設置して、個々の IF が添付文書を補完する適正使用情報として適切か審査・検討することとし
た。
2008 年より年 4 回のインタビューフォーム検討会を開催した中で指摘してきた事項を再評価し、製薬企業に
とっても、医師・薬剤師等にとっても、効率の良い情報源とすることを考えた。そこで今般、IF 記載要領の一部
改訂を行い IF 記載要領 2013 として公表する運びとなった。
2. IF とは
IF は「添付文書等の情報を補完し、薬剤師等の医療従事者にとって日常業務に必要な、医薬品の品質管
理のための情報、処方設計のための情報、調剤のための情報、医薬品の適正使用のための情報、薬学的な
患者ケアのための情報等が集約された総合的な個別の医薬品解説書として、日病薬が記載要領を策定し、
薬剤師等のために当該医薬品の製薬企業に作成及び提供を依頼している学術資料」と位置付けられる。
ただし、薬事法・製薬企業機密等に関わるもの、製薬企業の製剤努力を無効にするもの及び薬剤師自らが
評価・判断・提供すべき事項等は IF の記載事項とはならない。言い換えると、製薬企業から提供された IF は、
薬剤師自らが評価・判断・臨床適応するとともに、必要な補完をするものどいう認識を持つことを前提としてい
る。
[IF の様式]
①規格はA4版、横書きとし、原則として 9 ポイント以上の字体(図表は除く)で記載し、一色刷りとする。ただ
し、添付文書で赤枠・赤字を用いた場合には、電子媒体ではこれに従うものとする。
②IF 記載要領に基づき作成し、各項目名はゴシック体で記載する。
③表紙の記載は統一し、表紙に続けて日病薬作成の「IF 利用の手引きの概要」の全文を記載するものとし、2
頁にまとめる。
[IF の作成]
①IF は原則として製剤の投与経路別(内用剤、注射剤、外用剤)に作成される。
②IF に記載する項目及び配列は日病薬が策定した IF 記載要領に準拠する。
③添付文書の内容を補完するとの IF の主旨に沿って必要な情報が記載される。
④製薬企業の機密等に関するもの、製薬企業の製剤努力を無効にするもの及び薬剤師をはじめ医療従事者
自らが評価・判断・提供すべき事項については記載されない。
⑤「医薬品インタビューフォーム記載要領 2008」(以下、「IF 記載要領 2008」と略す)により作成された IF は、
電子媒体での提供を基本とし、必要に応じて薬剤師が電子媒体(PDF)から印刷して使用する。企業での
製本は必須ではない。
[IF の発行]
①「IF 記載要領 2013」は、平成 21 年 4 月以降に承認された新医薬品から適用となる。
②上記以外の医薬品については、「IF 記載要領 2013」による作成・提供は強制されるものではない。
③使用上の注意の改訂、再審査結果又は再評価結果(臨床再評価)が公表された時点並びに適応症の拡
大等がなされ、記載すべき内容が大きく変わった場合には IF が改訂される。
3. IF の利用にあたって
「IF 記載要領 2013」においては、PDF ファイルによる電子媒体での提供を基本としている。情報を利用する薬
剤師は、電子媒体から印刷して利用することが原則である。
電子媒体の IF については、医薬品医療機器総合機構の医薬品医療機器情報提供ホームページに掲載場
所が設定されている。
製薬企業は「医薬品インタビューフォーム作成の手引き」に従って作成・提供するが、IF の原点を踏まえ、医
療現場に不足している情報や IF 作成時に記載し難い情報等については製薬企業の MR 等へのインタビュー
により薬剤師等自らが内容を充実させ、IF の利用性を高める必要がある。
また、随時改訂される使用上の注意等に関する事項に関しては、IF が改訂されるまでの間は、当該医薬品
の製薬企業が提供する添付文書やお知らせ文書等、あるいは医薬品医療機器情報配信サービス等により薬
剤師等自らが整備するとともに、IF の使用にあたっては、最新の添付文書を医薬品医療機器情報提供ホーム
ページで確認する。
なお、適正使用や安全性の確保の点から記載されている「臨床成績」や「主な外国での発売状況」に関する
項目等は承認事項に関わることがあり、その取扱いには十分留意すべきである。
4.利用に際しての留意点
IF を薬剤師等の日常業務において欠かすことができない医薬品情報源として活用して頂きたい。しかし、薬
事法や医療用医薬品プロモーションコード等による規制により、製薬企業が医薬品情報として提供できる範囲
には自ずと限界がある。IF は日病薬の記載要領を受けて、当該医薬品の製薬企業が作成・提供するものであ
ることから、記載・表現には制約を受けざるを得ないことを認識しておかなければならない。
また製薬企業は、IF があくまでも添付文書を補完する情報資材であり、今後インターネットでの公開等も踏ま
え、薬事法上の広告規制に抵触しないよう留意し作成されていることを理解して情報を活用する必要がある。
(2013 年 4 月)
目
次
Ⅰ. 概要に関する項目 ............................................ 1
Ⅷ. 安全性(使用上の注意等)に関する項目 ......19
1. 開発の経緯 .............................................................1
1. 警告内容とその理由.............................................19
2. 製品の治療学的・製剤学的特性 ............................1
2. 禁忌内容とその理由(原則禁忌を含む) ............19
Ⅱ. 名称に関する項目 ............................................ 2
3. 効能又は効果に関連する使用上の注意とその理由19
1. 販売名 ....................................................................2
4. 用法及び用量に関連する使用上の注意とその理由19
2. 一般名 ....................................................................2
5. 慎重投与内容とその理由 .....................................19
3. 構造式又は示性式 ..................................................2
6. 重要な基本的注意とその理由及び処置方法.........20
4. 分子式及び分子量 ..................................................2
7. 相互作用...............................................................22
5. 化学名(命名法) ..................................................2
8. 副作用 ..................................................................28
6. 慣用名、別名、略号、記号番号 ............................3
9. 高齢者への投与 ....................................................30
7. CAS 登録番号 .........................................................3
10. 妊婦、産婦、授乳婦等への投与.........................30
Ⅲ. 有効成分に関する項目..................................... 4
11. 小児等への投与 ..................................................30
1. 物理化学的性質......................................................4
12. 臨床検査結果に及ぼす影響 ................................30
2. 有効成分の各種条件下における安定性..................4
13. 過量投与.............................................................31
3. 有効成分の確認試験法 ...........................................4
14. 適用上の注意......................................................31
4. 有効成分の定量法 ..................................................5
15. その他の注意......................................................31
Ⅳ. 製剤に関する項目 ............................................ 6
16. その他 ................................................................32
1. 剤形 ........................................................................6
Ⅸ. 非臨床試験に関する項目................................33
2. 製剤の組成 .............................................................6
1. 薬理試験...............................................................33
3. 懸濁剤、乳剤の分散性に対する注意 .....................7
2. 毒性試験...............................................................33
4. 製剤の各種条件下における安定性.........................7
Ⅹ. 管理的事項に関する項目................................34
5. 調整法及び溶解後の安定性....................................7
1. 規制区分...............................................................34
6. 他剤との配合変化(物理化学的変化)..................7
2. 有効期間又は使用期限 .........................................34
7. 溶出性 ....................................................................8
3. 貯法・保存条件 ....................................................34
8. 生物学的試験法....................................................10
4. 薬剤取扱い上の注意点 .........................................34
9. 製剤中の有効成分の確認試験法 ..........................10
5. 承認条件...............................................................34
10. 製剤中の有効成分の定量法................................10
6. 包装 ......................................................................34
11. 力価 ....................................................................10
7. 容器の材質 ...........................................................34
12. 混入する可能性のある夾雑物 ............................10
8. 同一成分・同効薬 ................................................34
13. 治療上注意が必要な容器に関する情報..............10
9. 国際誕生年月日 ....................................................35
14. その他 ................................................................10
10. 製造販売承認年月日及び承認番号 .....................35
Ⅴ. 治療に関する項目 .......................................... 11
11. 薬価基準収載年月日...........................................35
1. 効能又は効果 .......................................................11
12. 効能・効果追加、用法・用量変更追加等の年月日
2. 用法及び用量 .......................................................11
3. 臨床成績...............................................................11
Ⅵ. 薬効薬理に関する項目................................... 13
1. 薬理学的に関連ある化合物又は化合物群 ............13
2. 薬理作用...............................................................13
Ⅶ. 薬物動態に関する項目................................... 14
1. 血中濃度の推移・測定法 .....................................14
2. 薬物速度論的パラメータ .....................................16
3. 吸収 ......................................................................17
及びその内容.....................................................35
13. 再審査結果、再評価結果公表年月日及びその内容35
14. 再審査期間 .........................................................35
15. 投与期間制限医薬品に関する情報 .....................35
16. 各種コード .........................................................35
17. 保険給付上の注意 ..............................................35
ⅩⅠ. 文献 ................................................................36
1. 引用文献...............................................................36
2. その他の参考文献 ................................................36
4. 分布 ......................................................................17
ⅩⅡ. 参考資料........................................................37
5. 代謝 ......................................................................17
1. 主な外国での発売状況 .........................................37
6. 排泄 ......................................................................18
ⅩⅢ. 備考 ................................................................37
7. 透析等による除去率.............................................18
1. その他の関連資料 ................................................37
Ⅰ. 概要に関する項目
1. 開発の経緯
マプロチリン塩酸塩は、1969 年に合成された。この化合物は従来の三環系抗うつ薬に対して、
その化学構造上の特徴から四環系抗うつ薬と称される。分子中の特異な架橋は分子骨格に安定
性を与えて Pharmacokinetics に影響するといわれている。
高田製薬(株)では、1992 年 2 月に製造販売承認を得て、同年 8 月より、クロンモリン錠
10mg および 25mg 発売している。なお、クロンモリン錠 50mg については、2009 年 4 月に塩
野義製薬(株)から高田製薬(株)に販売移管した。
2. 製品の治療学的・製剤学的特性
(1) 四環系化合物で、主として神経終末へのカテコールアミン再取り込み阻害作用によるカテコー
ルアミン活性の増強により、抗うつ作用を示す。
(2) 本剤は使用成績調査等の副作用発現頻度が明確となる調査を実施していないが、副作用として、
紫斑、脱毛、光線過敏症、皮膚血管炎、発疹、蕁麻疹、そう痒感、発熱、白血球減少、AST
(GOT)上昇、ALT(GPT)上昇、γ-GTP 上昇、Al-P 上昇等があらわれることがある。
(3) 重大な副作用:悪性症候群(Syndrome malin)、てんかん発作、横紋筋融解症、皮膚粘膜
眼症候群(Stevens-Johnson 症候群)、無顆粒球症、麻痺性イレウス、間質性肺炎、好酸球
性肺炎、QT 延長、心室頻拍(torsades de pointes を含む)、肝機能障害、黄疸があらわれ
ることがある。
-1-
Ⅱ. 名称に関する項目
1. 販売名
(1) 和名
クロンモリン®錠10mg
クロンモリン®錠25mg
クロンモリン®錠50mg
(2) 洋名
Cronmolin®
(3) 名称の由来
特になし
2. 一般名
(1) 和名(命名法)
マプロチリン塩酸塩(JAN)[日局]
(2) 洋名(命名法)
Maprotiline Hydrochloride(JAN)
(3) ステム
3. 構造式又は示性式
H
N
CH3
• HCl
4. 分子式及び分子量
分子式:C20H23N・HCl
分子量:313.86
5. 化学名(命名法)
3-(9,10-Dihydro-9,10-ethanoanthracene-9-yl)-N-methylpropylamine monohydrochloride
(IUPAC)
-2-
6. 慣用名、別名、略号、記号番号
特になし
7. CAS 登録番号
10347-81-6
-3-
Ⅲ. 有効成分に関する項目
1. 物理化学的性質
(1) 外観・性状
白色の結晶性の粉末である 1)。
(2) 溶解性
表Ⅲ-1
溶解性 1)
(測定温度 20 ± 5℃)
溶媒
溶質 1 g を溶かすに要する溶媒量
*
日本薬局方による溶解性の用語
メタノール
10 mL 以上
30 mL 未満
やや溶けやすい
酢酸(100)
10 mL 以上
30 mL 未満
やや溶けやすい
エタノール(99.5)
30 mL 以上
100 mL 未満
やや溶けにくい
水
100 mL 以上
1000 mL 未満
溶けにくい
*日局 15 通則 29 による
(3) 吸湿性
該当資料なし
(4) 融点(分解点)、沸点、凝固点
融点:約 244℃(分解)1)
(5) 酸塩基解離定数
pKa :約 9.7〔滴定法〕2)
(6) 分配係数
該当資料なし
(7) その他の主な示性値
該当資料なし
2. 有効成分の各種条件下における安定性
表Ⅲ-2
有効成分の安定性 3)
(6 ロットの平均値)
保存条件
保存期間
外観
25 ± 2℃・60 ± 5%RH
60 ヵ月
変化なし
含量*(%)
試験開始時
60 ヵ月
100.0
99.8
*:表示含量に対する含量(%)、測定法;滴定終点検出法(電位差滴定法)
3. 有効成分の確認試験法
日局「マプロチリン塩酸塩」の確認試験による。
-4-
4. 有効成分の定量法
日局「マプロチリン塩酸塩」の定量法による。
-5-
Ⅳ. 製剤に関する項目
1. 剤形
(1) 剤形の区別、規格及び性状
(2) 表Ⅳ-1
組成・性状
販売名
クロンモリン錠10mg
クロンモリン錠25mg
クロンモリン錠50mg
成分・含量
マプロチリン塩酸塩
マプロチリン塩酸塩
マプロチリン塩酸塩
(1 錠中)
10 mg
25 mg
50 mg
D-マンニトール、トウモ
D-マンニトール、トウモ
D-マンニトール、トウモ
ロコシデンプン、ヒプロ
ロコシデンプン、ヒプロ
ロコシデンプン、ヒプロ
メロース、ステアリン酸
メロース、ステアリン酸
メロース、ステアリン酸
マグネシウム、タルク、
マグネシウム、タルク、
マグネシウム、タルク、
マクロゴール 6000、酸化
カルメロースカルシウ
マクロゴール 6000、酸化
チタン、黄色5号アルミ
ム、マクロゴール 6000、
チタン、カルナウバロウ
ニウムレーキ、カルナウ
三二酸化鉄、黄色三二酸
バロウ
化鉄、カルナウバロウ
白色のフィルムコーティ
淡黄赤色のフィルムコー
赤褐色のフィルムコーテ
ング錠
ティング錠
ィング錠
添加物
性状・剤形
外形
大きさ
表面
表面
表面
裏面
裏面
裏面
側面
側面
側面
直径
約 6.6 mm
直径
約 6.6 mm
直径
約 6.6 mm
厚さ
約 3.4 mm
厚さ
約 3.4 mm
厚さ
約 3.5 mm
重量
約 0.12 g
約 0.12 g
約 0.12 g
識別コード
TTS-150
TTS-151
TTS-152
(2) 製剤の物性
該当資料なし
(3) 識別コード
上記「表Ⅳ-1
組成・性状」参照
(4) pH、浸透圧比、粘度、比重、無菌の旨及び安定な pH 域等
該当しない
2. 製剤の組成
(1) 有効成分(活性成分)の含量
上記「表Ⅳ-1
組成・性状」参照
-6-
(2) 添加物
上記「表Ⅳ-1
組成・性状」参照
(3) その他
該当しない
3. 懸濁剤、乳剤の分散性に対する注意
該当しない
4. 製剤の各種条件下における安定性
最終包装製品を用いた長期保存試験(室温、36 ヵ月)の結果、外観及び含量等は規格の範囲内
であり、クロンモリン錠 10 mg、クロンモリン錠 25 mg 及びクロンモリン錠 50 mg は通常の市
場流通下において 3 年間安定であることが確認された。
表Ⅳ-2
製剤の安定性(長期保存試験)4-6)
(10 mg 錠及び 25 mg 錠は 3 ロットの平均値、50 mg 錠は 1 ロットの成績)
保存
条件
包装形態
ピロ包装
10 mg 錠
保存期間
試験開始時
12 ヵ月
微黄赤色のフィルム
同左
コーティング錠
試験項目
性状
含量*(%)
室温
バラ包装
性状
含量*(%)
ピロ包装
25 mg 錠
性状
含量*(%)
室温
バラ包装
性状
含量*(%)
50 mg 錠
室温
ピロ包装
性状
24 ヵ月
36 ヵ月
同左
同左
99.9
99.5
101.2
同左
同左
同左
99.1
100.3
98.3
同左
同左
同左
100
淡黄赤色のフィルム
コーティング錠
101.5
101.6
102.4
同左
同左
同左
100
赤褐色のフィルム
コーティング錠
100.5
100.1
102.3
同左
同左
同左
98.8
97.1
97.8
100
微黄赤色のフィルム
コーティング錠
100
淡黄赤色のフィルム
コーティング錠
含量*(%)
100
*:初期値に対する残存率(%)で表示、測定法;滴定終点測定法(電位差滴定法)
5. 調整法及び溶解後の安定性
該当しない
6. 他剤との配合変化(物理化学的変化)
該当しない
-7-
7. 溶出性
(1)公的溶出試験 7-9)
本剤は、日本薬局方外医薬品規格第3部に定められた「マプロチリン塩酸塩錠」の溶出規
格に適合していることが確認されている。
回転数:毎分 50 回転
試験液:水、900mL
溶出規格
表示量
規定時間
溶出率
10mg
60 分
70%以上
25mg
45 分
70%以上
50mg
30 分
70%以上
(2)溶出挙動の同等性
[参
考]
試
験
液:pH1.2、pH4.0、pH6.8 及び水
回
転
数:50 rpm
溶出試験法:パドル法により試験を行う。
分
析
法:液体クロマトグラフィー
●クロンモリン錠 10mg
80
80
溶出率(%)
100
溶出率(%)
100
クロンモリン錠10mg
60
標準製剤
40
試験液:pH1.2
回転数:50rpm
20
クロンモリン錠10mg
60
標準製剤
40
試験液:pH4.0
回転数:50rpm
20
0
0
0
10
20
30
0
10
時間(分)
80
80
クロンモリン錠10mg
標準製剤
40
試験液:pH6.8
回転数:50rpm
20
溶出率(%)
100
溶出率(%)
100
60
20
30
時間(分)
クロンモリン錠10mg
60
標準製剤
40
試験液:水
回転数:50rpm
20
0
0
0
60
120
180
240
時間(分)
図Ⅳ-1
300
360
0
60
120
180
240
時間(分)
クロンモリン錠 10mg と標準製剤(10mg 錠)の溶出曲線
-8-
300
360
●クロンモリン錠 25mg
100
80
クロンモリン錠25mg
60
標準製剤
溶出率(%)
溶出率(%)
100
40
試験液:pH1.2
回転数:50rpm
20
クロンモリン錠25mg
80
標準製剤
60
40
試験液:pH4.0
回転数:50rpm
20
0
0
0
10
20
0
30
10
80
80
クロンモリン錠25mg
60
標準製剤
40
試験液:pH6.8
回転数:50rpm
溶出率(%)
100
溶出率(%)
100
20
20
30
時間(分)
時間(分)
クロンモリン錠25mg
60
標準製剤
40
試験液:水
回転数:50rpm
20
0
0
0
15
30
45
時間(分)
図Ⅳ-2
60
75
90
0
15
30
時間(分)
45
60
クロンモリン錠 25mg と標準製剤(25mg 錠)の溶出曲線
●クロンモリン錠 50mg
100
80
クロンモリン錠50mg
60
標準製剤
40
80
溶出率(%)
溶出率(%)
100
標準製剤
40
試験液:pH1.2
回転数:50rpm
20
クロンモリン錠50mg
60
試験液:pH4.0
回転数:50rpm
20
0
0
0
10
20
30
0
10
時間(分)
100
30
100
80
クロンモリン錠50mg
60
標準製剤
40
試験液:pH6.8
回転数:50rpm
20
溶出率(%)
溶出率(%)
20
時間(分)
80
クロンモリン錠50mg
60
標準製剤
40
試験液:水
回転数:50rpm
20
0
0
0
15
30
時間(分)
図Ⅳ-3
45
60
0
15
30
時間(分)
クロンモリン錠 50mg と標準製剤(50mg 錠)の溶出曲線
-9-
45
60
8. 生物学的試験法
該当しない
9. 製剤中の有効成分の確認試験法
(1) ニトロプルシドナトリウム試液及び水酸化ナトリウム試液による呈色反応
(2) 紫外可視吸収スペクトル
10. 製剤中の有効成分の定量法
紫外可視吸光度測定法により定量する。
11. 力価
本剤は力価表示に該当しない。
12. 混入する可能性のある夾雑物
該当しない
13. 治療上注意が必要な容器に関する情報
該当しない
14. その他
-10-
Ⅴ. 治療に関する項目
1. 効能又は効果
うつ病・うつ状態
〈効能・効果に関連する使用上の注意〉
抗うつ剤の投与により、24 歳以下の患者で、自殺念慮、自殺企図のリスクが増加するとの
報告があるため、本剤の投与にあたっては、リスクとベネフィットを考慮すること。
2. 用法及び用量
通常、成人にはマプロチリン塩酸塩として 1 日 30 ~ 75 mg を 2 ~ 3 回に分割経口投与する。
また、上記用量は 1 日 1 回夕食後あるいは就寝前に投与できる。
なお、年齢、症状により適宜増減する。
3. 臨床成績
(1) 臨床データパッケージ
該当資料なし
(2) 臨床効果
該当資料なし
(3) 臨床薬理試験:忍容性試験
該当資料なし
(4) 探索的試験:用量反応探索試験
該当資料なし
(5) 検証的試験
1) 無作為化並行用量反応試験
該当資料なし
2) 比較試験
該当資料なし
3) 安全性試験
該当資料なし
4) 患者・病態別試験
該当資料なし
(6) 治療的使用
1) 使用成績調査・特定使用成績調査(特別調査)・製造販売後臨床試験(市販後臨床試験)
該当資料なし
-11-
2) 承認条件として実施予定の内容又は実施した試験の概要
該当しない
-12-
Ⅵ. 薬効薬理に関する項目
1. 薬理学的に関連ある化合物又は化合物群
塩酸ミアンセリン、セチプチリンマレイン酸塩、三環系抗うつ剤
2. 薬理作用
(1) 作用部位・作用機序 1)
マプロチリン塩酸塩は、主として、神経終末へのカテコールアミン取込み阻害作用に基づくカ
テコールアミン作動性神経機能の増強が、抗うつ効果に結びつくと考えられている。マウス又
はラットを用いた動物試験における、抗レセルピン作用、抗テトラベナジン作用、ノルアドレ
ナリン取り込み阻害作用などでは従来の抗うつ薬に類似した作用態度を示すが、セロトニンの
取り込みは阻害しないこと、中枢性の抗コリン作用がほとんどないこと、また強い馴化作用を
併せ持つことなどの点で、三環系抗うつ薬とは作用が異なる。
(2) 薬効を裏付ける試験成績
該当資料なし
(3) 作用発現時間・持続時間
該当資料なし
-13-
Ⅶ. 薬物動態に関する項目
1. 血中濃度の推移・測定法
(1) 治療上有効な血中濃度
該当資料なし
(2) 最高血中濃度到達時間
「Ⅶ.1.(3).1)生物学的同等性試験」参照
(3) 通常用量での血中濃度
1) 血漿中濃度(生物学的同等性試験)10-12)
● クロンモリン錠 10 mg
クロスオーバー法により健康成人男性 16 例に本剤 3 錠(マプロチリン塩酸塩として 30 mg)
を空腹時に単回経口投与し、投与前、投与後 3、6、9、12、15、24、48、72、120 及び 192
時間に前腕静脈から採血した。GC/MS 法により測定したマプロチリン塩酸塩の血漿中濃度
の推移及び薬物速度論的パラメータを図Ⅶ-1・表Ⅶ-1 に示す 7)。これらパラメーター(AUC、
Cmax)について統計解析を行った結果、両剤の生物学的同等性が確認された。
図Ⅶ-1
経口投与時の血漿中濃度(10 mg 錠 3 錠)
表Ⅶ-1
薬物速度論的パラメータ(10 mg 錠 3 錠)
AUCt
Cmax
Tmax
(ng/mL)
(hr)
(ng・hr/mL)
T1/2
(hr)
クロンモリン錠 10mg
493.21±81.11
8.98±0.78
9.2±0.6
59.7±7.9
標準製剤(錠剤、10mg)
482.43±68.53
8.54±0.74
9.9±1.1
59.3±5.3
(mean ± S.E.)
血漿中濃度並びに AUC、Cmax 等のパラメータは、被験者の選択、体液の採取回数・時間等の試験条件
によって異なる可能性がある。
-14-
● クロンモリン錠 25 mg
クロスオーバー法により健康成人男性 18 例に本剤 1 錠(マプロチリン塩酸塩として 25 mg)
を空腹時に単回経口投与し、投与前、投与後 3、6、9、12、15、24、48、72、120 及び 192
時間に前腕静脈から採血した。GC/MS 法により測定したマプロチリン塩酸塩の血漿中濃度
の推移及び薬物速度論的パラメータを図Ⅶ-2・表Ⅶ-2 に示す 8)。これらパラメーター(AUC、
Cmax)について統計解析を行った結果、両剤の生物学的同等性が確認された。
図Ⅶ-2
経口投与時の血漿中濃度(25 mg 錠 1 錠)
表Ⅶ-2
薬物速度論的パラメータ(25 mg 錠 1 錠)
AUCt
Cmax
Tmax
(ng・hr/mL)
(ng/mL)
(hr)
T1/2
(hr)
クロンモリン錠 25mg
364.54±27.88
6.69±0.29
9.3±1.0
49.0±5.2
標準製剤(錠剤、25mg)
380.08±27.95
6.78±0.30
9.2±0.8
53.4±5.8
(mean ± S.E.)
血漿中濃度並びに AUC、Cmax 等のパラメータは、被験者の選択、体液の採取回数・時間等の試験条件
によって異なる可能性がある。
● クロンモリン錠 50 mg
クロスオーバー法により健康成人男性 17 例に本剤 1 錠(マプロチリン塩酸塩として 50 mg)
を空腹時に単回経口投与し、投与前、投与後 3、6、9、12、15、24、48、72、120 及び 192
時間に前腕静脈から採血した。GC/MS 法により測定したマプロチリン塩酸塩の血漿中濃度
の推移及び薬物速度論的パラメータを図Ⅶ-3・表Ⅶ-3 に示す 9)。これらパラメーター(AUC、
Cmax)について統計解析を行った結果、両剤の生物学的同等性が確認された。
-15-
図Ⅶ-3
表Ⅶ-3
投与量
(mg)
クロンモリン錠 50mg
経口投与時の血漿中濃度(50 mg 錠 1 錠)
薬物速度論的パラメータ(50 mg 錠 1 錠)
AUCt
Cmax
Tmax
(ng・hr/mL)
(ng/mL)
(hr)
T1/2
(hr)
777.69±84.00
15.24±0.85
8.8±0.5
43.6±6.5
標準製剤(錠剤、50mg) 774.06±72.79
15.26±1.04
8.5±0.6
49.3±8.2
(mean ± S.E.)
血漿中濃度並びに AUC、Cmax 等のパラメータは、被験者の選択、体液の採取回数・時間等の試験条件
によって異なる可能性がある。
(4) 中毒域
該当資料なし
(5) 食事・併用薬の影響
該当資料なし
(6) 母集団(ポピュレーション)解析により判明した薬物体内動態変動要因
該当資料なし
2. 薬物速度論的パラメータ
(1) コンパートメントモデル
該当資料なし
(2) 吸収速度定数
0.309 hr-1(25 mg 単回経口投与時、n = 6、平均値)1)
(3) バイオアベイラビリティ
「表Ⅶ-1
薬物速度論的パラメータ(10 mg 錠 3 錠)」、「表Ⅶ-2
ータ(25 mg 錠 1 錠)」及び「表Ⅶ-3
薬物速度論的パラメ
薬物速度論的パラメータ(50 mg 錠 1 錠)」参照
-16-
(4) 消失速度定数
0.0152 hr-1(25 mg 単回経口投与時、n = 6、平均値)1)
(5) クリアランス
該当資料なし
(6) 分布容積
3116 L(25 mg 単回経口投与時、n = 6、平均値)1)
(7) 血漿蛋白結合率
血清蛋白結合率:88%(透析法)1)
3. 吸収
消化管から吸収される 1)。
4. 分布
(1) 血液-脳関門通過性
通過する
(2) 胎児への移行性
該当資料なし
(3) 乳汁中への移行性
2 人の健康な出産後の婦人に 100 mg*を 1 回あるいは 150 mg/日*を連続経口投与したときの
定常状態における母乳中濃度の全血中濃度に対する比は一定で、その平均値は約 1.37 である
1)。
*:承認外用法・用量(9 頁「Ⅴ. 2. 用法及び用量」の項参照)
(4) 髄液への移行性
該当資料なし
(5) その他の組織への移行性
該当資料なし
5. 代謝
(1) 代謝部位及び代謝経路
代謝部位: 肝臓 13)
代謝経路: ヒトに経口投与したときの尿中排泄物は 90%以上が代謝物であり、75%はグルク
ロン酸抱合体で、代謝物として N-脱メチル化体、側鎖及び環の水酸化体等の 12
種が同定されている 1)。
(2) 代謝に関与する酵素(CYP450 等)の分子種
本剤の代謝には主として肝薬物代謝酵素 CYP2D6 が関与している 14) , 15)。
-17-
(3) 初回通過効果の有無及びその割合
該当資料なし
(4) 代謝物の活性の有無及び比率(参考:海外データ)
N-脱メチル化体:活性あり 16)
(5) 活性代謝物の速度論的パラメータ
25 mg を投与したときの N-脱メチル化体の Cmax は 2.0 ± 0.13 ng/mL、AUC0-120 は 186.5
ng・hr/mL であった。(健康成人男性 n = 6、mean ± S.E.)(測定法:GC/MS)1)
6. 排泄
(1) 排泄部位及び経路
尿中及び糞便中に排泄される 16)。
(2) 排泄率
該当資料なし
(3) 排泄速度
該当資料なし
7. 透析等による除去率
(1) 腹膜透析
該当資料なし
(2) 血液透析
蛋白結合率が高いため、有効ではない 13)。
(3) 直接血液灌流
該当資料なし
-18-
Ⅷ. 安全性(使用上の注意等)に関する項目
1. 警告内容とその理由
添付文書に記載なし
2. 禁忌内容とその理由(原則禁忌を含む)
【禁忌(次の患者には投与しないこと)】
1.緑内障のある患者[抗コリン作用により眼圧を上昇させるおそれがある。]
2.本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
3.心筋梗塞の回復初期の患者[症状を悪化させるおそれがある。]
4.てんかん等の痙攣性疾患又はこれらの既往歴のある患者[痙攣を起こすことがある。]
5.尿閉(前立腺疾患等)のある患者[抗コリン作用により症状が悪化することがある。]
6.MAO 阻害剤の投与を受けている患者[発汗、不穏、全身痙攣、異常高熱、昏睡等があらわ
れるおそれがある。(「7. 相互作用」の項参照)]
3. 効能又は効果に関連する使用上の注意とその理由
抗うつ剤の投与により、24 歳以下の患者で、自殺念慮、自殺企図のリスクが増加するとの報
告があるため、本剤の投与にあたっては、リスクとベネフィットを考慮すること。
4. 用法及び用量に関連する使用上の注意とその理由
該当しない
5. 慎重投与内容とその理由
(1) 排尿困難又は眼圧亢進等のある患者[抗コリン作用により症状が悪化することがある。]
(2) 心不全・心筋梗塞・狭心症・不整脈(発作性頻拍・刺激伝導障害等)等の心疾患のある
患者又は甲状腺機能亢進症(又は甲状腺ホルモン剤投与中)の患者[循環器系に影響を及
ぼすことがある。]
(3) 躁うつ病患者[躁転、自殺企図があらわれることがある。]
(4) 脳の器質障害又は統合失調症の素因のある患者[精神症状を増悪させることがある。]
(5) 衝動性が高い併存障害を有する患者[精神症状を増悪させることがある。]
-19-
(6) 自殺念慮又は自殺企図の既往のある患者、自殺念慮のある患者[自殺念慮、自殺企図が
あらわれることがある。]
(7) 副腎髄質腫瘍(褐色細胞腫、神経芽細胞腫等)のある患者[高血圧発作を引き起こすこ
とがある。]
(8) 重篤な肝・腎障害のある患者[代謝・排泄障害により副作用があらわれやすい。]
(9) 低血圧のある患者[高度の血圧低下が起こることがある。]
(10) 高度な慢性の便秘のある患者[抗コリン作用により症状が悪化することがある。
(11) 三環系抗うつ剤に対し過敏症の患者[交差過敏反応があらわれるおそれがある。]
(12) 小児又は高齢者[「11. 小児等への投与」、「9. 高齢者への投与」の項参照]
6. 重要な基本的注意とその理由及び処置方法
(1) うつ症状を呈する患者は希死念慮があり、自殺企図のおそれがあるので、このような患
者は投与開始早期並びに投与量を変更する際には患者の状態及び病態の変化を注意深く
観察すること。
(解
説)
うつ症状を呈する患者は希死念慮があり、自殺企図のおそれがあるので、これを防止するため、
患者の状態及び病態の変化を注意深く観察すべき時期や変化が認められた場合の処置、患者の
家族等への自殺企図のリスクについての説明等を追記し、注意喚起を図ることとなった。
(2) 不安、焦燥、興奮、パニック発作、不眠、易刺激性、敵意、攻撃性、衝動性、アカシジ
ア/精神運動不穏、軽躁、躁病等があらわれることが報告されている。また、因果関係
は明らかではないが、これらの症状・行動を来した症例において、基礎疾患の悪化又は
自殺念慮、自殺企図、他害行為が報告されている。患者の状態及び病態の変化を注意深
く観察するとともに、これらの症状の増悪が観察された場合には、服薬量を増量せず、
徐々に減量し、中止するなど適切な処置を行うこと。
(解
説)
うつ症状の患者は、自殺企図のおそれがあることから、従来から患者の状態及び病態の観察、
適切な処置について注意喚起が行われていたが、本剤を含む抗うつ薬を服用している患者にお
いて、「不安、焦燥、興奮、パニック発作、不眠、易刺激性、敵意、攻撃性、衝動性、アカシ
ジア/精神運動不穏、軽躁、躁病等」の症状・行動に係る報告が集積されたため、また、因果
関係は明らかでないが、これらの症状・行動を起こした患者に「基礎疾患の悪化」又は「自殺
念慮、自殺企図、他害行為」が報告されているため、患者への観察、対応の仕方を注意喚起す
る。また、患者のみならず、家族の方にも本剤の服用において「自殺企図」のリスク及び「興
奮、攻撃性、易刺激性等の行動の変化及び基礎疾患の悪化」に対するリスクを十分説明し、医
師と緊密な連絡を取るよう指導すること。
なお、当社において本剤では、今までにこれらに類する副作用は集積していない。
-20-
(3) 自殺目的での過量服用を防ぐため、自殺傾向が認められる患者に処方する場合には、1
回分の処方日数を最小限にとどめること。
(解
説)
上記「6. 重要な基本的注意とその理由及び処置方法 (1) 」参照
うつ病の患者では、年代にかかわらず自殺念慮、自殺企図を発現することがあり、重症例、遷
延化した例等で危険性が高いといわれている。このため、自殺目的での過量服用を防止するた
めの対応を含め、注意喚起を図ることとなった。
〔参
考〕
高橋祥友:日本医師会雑誌,124 (1), 59 (2000)
(4) 家族等に自殺念慮や自殺企図、興奮、攻撃性、易刺激性等の行動の変化及び基礎疾患悪
化があらわれるのリスク等について十分説明を行い、医師と緊密に連絡を取り合うよう
指導すること。
(解
説)
「6. 重要な基本的注意とその理由及び処置方法 (1) 」参照
(5) めまい、眠気等が起こることがあるので、本剤投与中の患者には、自動車の運転等危険を
伴う機械の操作に従事させないように注意すること。
(6) 投与量の急激な減少ないし投与の中止により、嘔気、頭痛、倦怠感、易刺激性、情動不
安、睡眠障害、筋攣縮等の離脱症状があらわれることがある。投与を中止する場合には、
徐々に減量するなど慎重に行うこと。
(解
説)
抗うつ剤は、急激な減量、中止により離脱症状が発現することがあるといわれている。このた
め、抗うつ剤を減量、中止する場合における投与量の漸減について、注意喚起を図ることとな
った。
〔参
考〕
田島
治:臨床精神薬理,8 (4), 605 (2004)
-21-
7. 相互作用
本剤の代謝には主として肝薬物代謝酵素 CYP2D6 が関与している。
(1) 併用禁忌とその理由
薬剤名等
MAO 阻害剤
臨床症状・措置方法
機序・危険因子
発汗、不穏、全身痙攣、異
常高熱、昏睡等があらわれ
ることがある。
MAO 阻害剤の投与を受け
た患者に本剤を投与する場
合には、少なくとも 2 週間
の間隔をおき、また本剤か
ら MAO 阻害剤に切り替え
るときには、2 ~ 3 日間の
間隔をおくことが望まし
い。
本剤は活性アミンのシナプ
ス内への取り込みを阻害し
て、受容体の感受性を増強
する。
臨床症状・措置方法
機序・危険因子
痙攣発作が起こることがあ
る。
機序:いずれも痙攣閾値を
低下させる。
危険因子:痙攣素因のある
患者
(2) 併用注意とその理由
薬剤名等
痙攣閾値を低下させる薬剤
フェノチアジン誘導体等
(解
説)
本剤等の抗うつ剤やフェノチアジン系薬剤は痙攣閾値を低下させる 17) ため、痙攣性疾患の既往
歴や脳の器質障害等がある患者では痙攣を起こすおそれがある。
薬剤名等
副交感神経刺激剤
ピロカルピン
(解
臨床症状・措置方法
機序・危険因子
ピロカルピンの作用が減弱
されることがある。
本剤の抗コリン作用により
ピロカルピンと拮抗的に作
用すると考えられている。
説)
本剤は抗コリン作用を有するため、ピロカルピンのコリン作動性に拮抗して作用を減弱するこ
とがある。
薬剤名等
ベンゾジアゼピン誘導体
臨床症状・措置方法
機序・危険因子
併用中のベンゾジアゼピン
誘導体を中止すると痙攣発
作が起こることがある。
機序:併用中のベンゾジア
ゼピン誘導体を中止する
と、痙攣発作が顕性化する。
危険因子:痙攣素因のある
患者
-22-
(解
説)
本剤等の抗うつ剤は痙攣閾値を低下させるため、ベンゾジアゼピン誘導体の有する抗痙攣作用
を減弱することがある。痙攣性疾患の既往歴や脳の器質障害等がある患者では痙攣を起こすお
それがあるため、注意喚起を図ることとなった。
薬剤名等
抗コリン作用を有する薬剤
トリヘキシフェニジル
アトロピン等
(解
臨床症状・措置方法
機序・危険因子
口渇、便秘、尿閉、視力障
害、眠気等があらわれるこ
とがある。
いずれも抗コリン作用を有
するため。
説)
本剤は抗コリン作用を有するため口渇、便秘、尿閉、視調節障害等の副作用があらわれること
がある 18)。このため、抗コリン作用を有する他の薬剤と併用したとき、抗コリン作用が増強さ
れるおそれがある。
薬剤名等
アドレナリン作動薬
アドレナリン
ノルアドレナリン
フェニレフリン等
(解
臨床症状・措置方法
機序・危険因子
心血管作用(高血圧等)を
増強することがある。
本剤は交感神経末梢へのノ
ルアドレナリン等の取り込
みを抑制し、受容体部位へ
のアドレナリン作動性を上
昇させ、作用を増強させる。
説)
本剤等の三・四環系抗うつ剤は、交感神経終末へのノルアドレナリン等の取り込み抑制作用を
有するため、受容体でのアドレナリン作動薬の作用を増強し、血圧を上昇させるおそれがある
19)。
薬剤名等
アトモキセチン
(解
臨床症状・措置方法
機序・危険因子
相互に作用が増強するおそ
れがある。
ノルアドレナリンへの作用
を相加的又は相乗的に増強
する可能性がある。
説)
アトモキセチンの添付文書では、ノルアドレナリンに影響する薬剤として、類薬である「三環
系抗うつ剤(イミプラミン塩酸塩等)」を、相互に作用を増強させるおそれがあることから「併
用注意」としている。
このことから四環系抗うつ剤である本剤においても、三環系抗うつ剤と同様に相互に作用を
増強させるおそれがある。
-23-
薬剤名等
中枢神経抑制剤
バルビツール酸誘導体等
臨床症状・措置方法
機序・危険因子
中枢神経抑制作用が増強さ
れることがある。
いずれも中枢神経抑制作用
を有するため。
鎮静、抗コリン作用の増強
があらわれることがある。
いずれも中枢神経抑制作
用、抗コリン作用を有する
ため。
全身麻酔剤
ハロタン
抗不安剤
ベンゾジアゼピン誘導体等
アルコール、.
サリドマイド
フェノチアジン誘導体
レボメプロマジン等
(解
説)
本剤等の三・四環系抗うつ剤及びフェノチアジン誘導体は、共に中枢神経抑制作用、抗コリン
作用を有するため、併用したときそれらの作用が増強するおそれがある。
薬剤名等
リスペリドン
選択的セロトニン再取り込み
阻害剤(SSRI)
フルボキサミン
パロキセチン等
(解
臨床症状・措置方法
機序・危険因子
本剤の血中濃度が上昇し、
作用が増強されることがあ
る。
これらの薬剤は本剤の肝臓
での酸化的な代謝を阻害
し、本剤の血中濃度を上昇
させると考えられる。
説)
本剤の代謝には、主として肝薬物代謝酵素 CYP2D6 が関与しているが、リスペリドンやフルボ
キサミン、パロキセチン等の選択的セロトニン再取り込み阻害剤(SSRI)でも同様に CYP2D6
等が代謝に関与している。併用により、本剤の代謝が阻害され血中濃度が上昇することがある
20)。
薬剤名等
テルビナフィン
(解
臨床症状・措置方法
機序・危険因子
本剤の血中濃度が上昇する
可能性がある。
テルビナフィンが CYP2D6
を阻害し、本剤の血中濃度
を上昇させると考えられ
る。
説)
マプロチリン塩酸塩製剤の CCDS*の記載に基づき、テルビナフィンとの併用により、本剤の血
中濃度が上昇する可能性がある。
* CCDS(Company Core Data Sheet:企業中核データシート):世界で初めてその薬剤の承
認を取得した企業が添付文書を作成する際に基準となる製品情報文書
-24-
薬剤名等
肝酵素誘導作用をもつ薬剤
バルビツール酸誘導体
フェニトイン等
(解
臨床症状・措置方法
機序・危険因子
三環系抗うつ剤(イミプラ
ミン)の作用が減弱される
ことがあるとの報告があ
る。
バルビツール酸誘導体又は
フェニトイン等の肝酵素誘
導作用によりイミプラミン
の代謝が促進されると考え
られている。
説)
バルビツール酸誘導体等は肝酵素誘導作用を有する 21) ため、イミプラミン等の三環系抗うつ剤
の代謝を促進させ作用を減弱することがある。
薬剤名等
アドレナリン作動性神経遮断
作用を有する降圧剤
グアネチジン等
(解
臨床症状・措置方法
機序・危険因子
降圧作用を減弱することが
ある。
本剤がアドレナリン作動性
神経遮断作用を有する降圧
剤の交感神経ニューロンへ
の取り込みを阻害する。ま
た、本剤は交感神経ニュー
ロンへのカテコラミン取り
込み阻害作用も有する。
説)
本剤はアドレナリン作動性神経遮断作用を有する薬剤の交感神経節への取り込みを阻害し、ま
た、カテコラミン等のモノアミンの取り込み阻害作用も有するため、降圧剤の作用を減弱する
ことがある。
薬剤名等
肝初回通過効果を受けやすい
β遮断剤
プロプラノロール塩酸塩等
(解
臨床症状・措置方法
機序・危険因子
起立性低血圧、鎮静、口渇、
霧視、運動失調等があらわ
れることがある。
競合的に本剤の代謝が阻害
され、血中濃度が上昇する。
説)
本剤の代謝には主として肝代謝酵素 CYP2D6 が関与しているが、β遮断剤(プロプラノロール
塩酸塩等)の肝代謝でも CYP2D6 が関与しているため、本剤の代謝が阻害され血中濃度が上昇
することがある。これにより、本剤の副作用である起立性低血圧、鎮静、口渇等があらわれる
ことがある。
薬剤名等
フェニトイン
臨床症状・措置方法
機序・危険因子
三環系抗うつ剤(イミプラ
ミン)で、フェニトインの
作用が増強するとの報告が
ある。
フェニトインの代謝が阻害
され、フェニトインの血中
濃度が上昇すると考えられ
ている。
-25-
薬剤名等
電気ショック療法
(解
臨床症状・措置方法
機序・危険因子
痙攣閾値を低下させ、痙攣
状態に陥るおそれがある。
本剤は痙攣閾値を低下させ
る。
説)
本剤等の抗うつ剤は痙攣閾値を低下させるため、電気ショック療法の際の痙攣状態への影響が
考えられることから、注意喚起を図ることとなった。
薬剤名等
抗不整脈剤
キニジン
プロパフェノン
臨床症状・措置方法
機序・危険因子
三環系抗うつ剤(イミプラ
ミン)の作用が増強すると
の報告がある。
これらの薬剤により、イミ
プラミンの肝代謝が阻害さ
れ、血中濃度が上昇すると
考えられている。
キニジンでは本剤の肝代謝
が阻害されるとの報告があ
る。
メチルフェニデート
シメチジン
(解
説)
キニジン、プロパフェノン等の抗不整脈剤は、イミプラミン等の三環系抗うつ剤の肝代謝酵素
を阻害するため、血中濃度が上昇するおそれがある。
薬剤名等
インスリン製剤
インスリン
臨床症状・措置方法
機序・危険因子
併用により過度の血糖低下
を来すことがある。
本剤での機序は不明である
が、三環系抗うつ剤(ドキ
セピン)により低血糖に対
する反応性が変化するか、
インスリンに対する感受性
が増大し、血糖降下作用が
増強すると考えられてい
る。
三環系抗うつ剤(ノルトリ
プチリン)との併用により
クマリン系抗凝血剤の血中
濃度半減期が延長するとの
報告がある。
機序は不明である。
スルフォニル尿素系糖尿病用
剤
グリベンクラミド
クマリン系抗凝血剤
ワルファリン
-26-
薬剤名等
臨床症状・措置方法
機序・危険因子
スルファメトキサゾール・
トリメトプリム
三環系抗うつ剤(イミプラ
ミン)との併用により抑う
つが再発又は悪化するとの
報告がある。
イミプラミンの代謝促進及
び両剤の受容体レベルでの
拮抗作用により抗うつ剤の
効果があらわれない可能性
がある。
(解
説)
イミプラミン等の三環系抗うつ剤を投与時に、スルファメトキサゾール・トリメトプリム製剤
を併用したとき、うつ症状が再発したとの報告がある 22) ため、注意喚起を図ることとなった。
薬剤名等
臨床症状・措置方法
機序・危険因子
QT 間隔延長を起こすことが知ら QT 間隔延長、心室性不整脈
いずれも QT 間隔を延長させる
れている薬剤
おそれがあるため。
(Torsadede pointes を含む)等
スニチニブ、
の重篤な副作用を起こすおそれ
ダサチニブ、
がある。
イミプラミン等
(解
説)
スニチニブ及びダサチニブの添付文書では、QT 間隔延長等の重篤な副作用を起こすおそれが
あることから、「QT 間隔延長を起こすことが知られている薬剤」を「併用注意」としている。
また、イミプラミンの添付文書では、QT 延長、心室頻拍(Torsade de pointes を含む)等の
重篤な副作用を起こすおそれがあるとして、「重大な副作用」に記載がされている。QT 間隔
を延長させるおそれのある薬剤同士の併用は、作用を増強し、重篤な副作用をひき起こすおそ
れがあると考えられる。
薬剤名等
ゾニサミド
(解
臨床症状・措置方法
機序・危険因子
高血圧、失神、不全収縮、発
汗、てんかん、動作・精神障
害の変化及び筋強剛等の副
作用があらわれるおそれがあ
る。
相加・相乗作用によると考えら
れる。
説)
ゾニサミドの添付文書では、高血圧、失神、不全収縮、発汗、てんかん、動作・精神障害の変
化及び筋強剛等の副作用があらわれるおそれがある薬剤として、類薬である「三環系抗うつ剤
(アミトリプチン等)」を「併用注意」としている。
このことから四環系抗うつ剤である本剤においても、三環系抗うつ剤と同様に上記のような副
作用があらわれるおそれがある。
-27-
8. 副作用
(1) 副作用の概要
本剤は使用成績調査等の副作用発現頻度が明確となる調査を実施していない。
(2) 重大な副作用と初期症状
1)
重大な副作用
① 悪性症候群(Syndrome malin)(頻度不明):無動緘黙、強度の筋強剛、嚥下困難、
頻脈、血圧の変動、発汗等が発現し、それに引き続き発熱がみられる場合は、投与を
中止し、体冷却、水分補給等の全身管理と共に適切な処置を行うこと。
本症発症時には、白血球の増加や血清 CK(CPK)の上昇がみられることが多く、また、
ミオグロビン尿を伴う腎機能の低下がみられることがある。
なお、他の三環系及び四環系抗うつ剤の投与中、高熱が持続し、意識障害、呼吸困難、
循環虚脱、脱水症状、急性腎不全へと移行し、死亡した例が報告されている。
② てんかん発作(頻度不明):てんかん発作があらわれることがあるので、観察を十分
に行い、異常が認められた場合には、投与を中止し、適切な処置を行うこと。
③ 横紋筋融解症(頻度不明):筋肉痛、脱力感、CK(CPK)上昇、血中及び尿中ミオグ
ロビン上昇を特徴とする横紋筋融解症があらわれることがあるので、異常が認められ
た場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。また、横紋筋融解症による急性腎
不全の発症に注意すること。
④ 皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson 症候群)(頻度不明):皮膚粘膜眼症候群
(Stevens-Johnson 症候群)があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常
が認められた場合には、投与を中止し、適切な処置を行うこと。
⑤ 無顆粒球症(頻度不明):無顆粒球症があらわれることがあるので、定期的に血液検
査を実施するなど観察を十分に行い、異常が認められた場合には、投与を中止し、適
切な処置を行うこと。
⑥ 麻痺性イレウス(頻度不明):腸管麻痺(食欲不振、悪心・嘔吐、著しい便秘、腹部
の膨満あるいは弛緩及び腸内容物のうっ滞等の症状)を来し、麻痺性イレウスに移行
することがあるので、腸管麻痺があらわれた場合には、投与を中止すること。なお、
この悪心・嘔吐は、本剤の制吐作用により不顕性化することもあるので注意すること。
⑦ 間質性肺炎、好酸球性肺炎(頻度不明):発熱、咳嗽、呼吸困難、肺音の異常(捻髪
音)等が認められた場合には投与を中止し、速やかに胸部 X 線等の検査を実施し、副
腎皮質ホルモン剤の投与等の適切な処置を行うこと。
⑧ QT 延長、心室頻拍(torsades de pointes を含む)(頻度不明):定期的に心電図検
査を行うなど観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処
置を行うこと。
⑨ 肝機能障害、黄疸(頻度不明):AST(GOT)、ALT(GPT)、γ-GTP の上昇等を
伴う肝機能障害、黄疸があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認め
られた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
-28-
(3) その他の副作用
頻度
頻度不明
種類
循環器
精神神経系注 1)
抗コリン作用
皮膚注 2)
過敏症注 2)
血圧降下、血圧上昇、起立性低血圧、心悸亢進、心電図異常(QT 延長
等)、心ブロック、頻脈、不整脈、失神
激越、ミオクロヌス、情緒不安、眠気、パーキンソン様症状・振戦・ア
カシジア等の錐体外路障害、言語障害、知覚異常、睡眠障害(不眠等)、
神経過敏、不安、集中力欠如(思考力低下、頭がボーッとする等)、躁
状態、幻覚、陰萎、せん妄、運動失調、錯乱状態、悪夢、記憶障害、離
人症
口渇、緑内障、尿閉、便秘、排尿困難、視調節障害(散瞳等)、鼻閉
紫斑、脱毛、光線過敏症
皮膚血管炎、発疹、蕁麻疹、そう痒感、発熱
血液注 3)
好酸球増多、血小板減少、白血球減少、白血球増多
肝臓注 4)
AST(GOT)上昇、ALT(GPT)上昇、γ-GTP 上昇、Al-P 上昇
消化器
悪心、胃部不快感等の胃腸症状、食欲不振、腹痛、口内苦味感、味覚異
常、嘔吐、異常食欲亢進、口内炎、下痢、嚥下困難
内分泌
乳房肥大、乳汁漏出、体重増加
呼吸器
気管支痙攣
その他
めまい、ふらつき、倦怠感、脱力感、熱感、発汗、頭痛、頭重、頻尿・
夜尿、浮腫、耳鳴、流涎
注 1)症状があらわれた場合には、減量又は休薬等適切な処置を行うこと。(太字)
注 2)症状(異常)が認められた場合には、投与を中止すること。(太字)
注 3)観察を十分に行い、症状(異常)が認められた場合には、投与を中止すること。(太字)
注 4)観察を十分に行い、異常が認められた場合には、投与を中止するなど適切な処置を行うこ
と。(太字)
(4) 項目別副作用発現頻度及び臨床検査値異常一覧
該当資料なし
(5) 基礎疾患、合併症、重症度及び手術の有無等背景別の副作用発現頻度
該当資料なし
(6) 薬物アレルギーに対する注意及び試験法
【禁忌(次の患者には投与しないこと)】
2. 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
-29-
慎重投与(次の患者には慎重に投与すること)
(11)
三環系抗うつ剤に対し過敏症の患者[交差過敏反応があらわれるおそれがある。]
副作用
(2) その他の副作用
頻度
頻度不明
種類
過敏症注 2)
皮膚血管炎、発疹、蕁麻疹、そう痒感、発熱
注 2) 症状(異常)が認められた場合には、投与を中止すること。(太字)
9. 高齢者への投与
高齢者では、少量から投与を開始するなど患者の状態を観察しながら慎重に投与すること。
[起立性低血圧、ふらつき、抗コリン作用による口渇、排尿困難、便秘、眼内圧亢進等があ
らわれやすい。]
10. 妊婦、産婦、授乳婦等への投与
(1)妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には、投与しないことが望ましい。[妊娠中の投
与に関する安全性は確立されていない。三環系抗うつ剤で、新生児に呼吸困難、嗜眠、チ
アノーゼ、興奮性、低血圧、高血圧、痙攣、筋痙縮、振戦等の離脱症状を起こしたとの報
告がある。]
(解
説)
三環系抗うつ剤で新生児に呼吸困難、嗜眠、チアノーゼ等の離脱症状が発現したとの報告があ
る。
(2) 授乳中の婦人に投与する場合には、授乳を避けさせること。[ヒト母乳中へ移行する。]
(解
説)
「Ⅶ.4.(3) 乳汁中への移行性」の項参照
11. 小児等への投与
低出生体重児、新生児、乳児、又は幼児に対する安全性は確立していない。(使用経験がない。)
12. 臨床検査結果に及ぼす影響
添付文書に記載なし
-30-
13. 過量投与
徴候、症状: 最初の徴候、症状は通常服用 1 ~ 2 時間後にあらわれる。
○ 中枢神経系:昏睡、痙攣、意識障害、嗜眠状態、運動失調、情動不安
○ 心血管系:低血圧、頻脈、不整脈、伝導障害、ショック、心不全、非常にまれに QT 延
長、トルサード・ド・ポアン、心停止
○ その他:呼吸抑制、異常高熱等
処置: 特異的な解毒剤は知られていない。催吐もしくは胃洗浄により薬物の排除をはかる。
また、コリンエステラーゼ阻害剤(ネオスチグミン等)は痙攣の危険性を増大させるおそ
れがあるので、マプロチリンの過量服用時の治療には不適である。
必要に応じて次のような処置を行う。症状が重篤な場合には、少なくとも 48 時間は心モニ
ターを継続し、また、約 12 時間は痙攣発作の発現に対して特に注意する。
○ 呼吸抑制:人工呼吸
○ 低血圧、循環虚脱:血漿増量剤の投与。炭酸水素ナトリウム静注(アシドーシスがある
場合)。ドパミン又はドブタミンの点滴静注(心筋機能の低下がみられる場合)
○ 不整脈:炭酸水素ナトリウムの静注によるアシドーシス是正。カリウム剤投与による血
清低カリウム値の補正。徐脈性不整脈又は AV ブロックがあらわれた場合にはペースメ
ーカーの挿入
○
痙攣:ジアゼパムの静注(ただし、ジアゼパムによる呼吸抑制、低血圧、昏睡の悪化に
注意)
(解
説)
本剤等の三・四環系抗うつ剤の過量投与により意識障害等の中枢神経系の症状や、ショック、
心不全、心停止等の心血管系の症状が発現することがある 23), 24)。
〔参
考〕
処方医薬品情報事典 PDR 日本語編纂版,pp. 152-155, 産業調査会 (1999)
14. 適用上の注意
薬剤交付時:PTP 包装の薬剤は PTP シートから取り出して服用するよう指導すること。
(PTP シートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し、更には穿孔を起こして縦隔洞
炎等の重篤な合併症を併発することが報告されている。)
15. その他の注意
(1) 海外で実施された大うつ病性障害等の精神疾患を有する患者を対象とした、複数の抗うつ剤の
短期プラセボ対照臨床試験の検討結果において、24 歳以下の患者では、自殺念慮や自殺企
図の発現のリスクが抗うつ剤投与群でプラセボ群と比較して高かった。なお、25 歳以上の患者
における自殺念慮や自殺企図の発現のリスクの上昇は認められず、65 歳以上においてはその
リスクが減少した。
-31-
(解
説)
海外で実施された大うつ病性障害等の精神疾患を有する患者を対象とした、複数の抗うつ剤の
プラセボ対照臨床試験を検討した結果、抗うつ剤の投与により、24 歳以下の患者においては自
殺念慮や自殺企図の発現のリスクが増加し、65 歳以上ではそのリスクが減少したこと等が報告
されたため、注意喚起を図ることとなった。
(2) 三環系抗うつ剤の長期投与で、う歯発現の増加を招くことが報告されている。
(3) 連用中は定期的に肝・腎機能検査を行うことが望ましい。
(4) 本剤投与中にコンタクトレンズを使用している場合、角膜上皮の障害があらわれるおそ
れがある。(本剤は抗コリン作用があり、涙液分泌を減少させるため)
(解
説)
本剤は抗コリン作用を有するため涙液分泌を抑制することがある。このため、コンタクトレン
ズを使用している場合には角膜上皮を障害するおそれがある 21)。
(5) 主に 50 歳以上を対象に実施された海外の疫学調査において、選択的セロトニン再取り込み阻
害剤及び三環系抗うつ剤を含む抗うつ剤を投与された患者で、骨折のリスクが上昇したとの報
告がある。
(解
説)
海外での主に 50 歳以上を対象に実施された疫学調査において、選択的セロトニン再取り込み阻
害剤及び三環系抗うつ剤を含む抗うつ剤を投与された患者で、骨折のリスクが上昇したとの報
告があるため、本剤の 50 歳以上の患者への使用に対し、骨折のリスクの上昇を注意喚起を図る
こととなった。
16. その他
-32-
Ⅸ. 非臨床試験に関する項目
1. 薬理試験
(1) 薬効薬理試験(「Ⅵ.薬効薬理に関する項目」参照)
該当資料なし
(2) 副次的薬理試験
該当資料なし
(3) 安全性薬理試験
該当資料なし
(4) その他の薬理試験
該当資料なし
2. 毒性試験
(1) 単回投与毒性試験
該当資料なし
(2) 反復投与毒性試験
該当資料なし
(3) 生殖発生毒性試験
該当資料なし
(4) その他の特殊毒性
該当資料なし
-33-
Ⅹ. 管理的事項に関する項目
1. 規制区分
製
剤:クロンモリン錠 10mg:処方せん医薬品(注意-医師等の処方せんにより使用すること)
クロンモリン錠 25mg:処方せん医薬品(注意-医師等の処方せんにより使用すること)
クロンモリン錠 50mg:処方せん医薬品(注意-医師等の処方せんにより使用すること)
2. 有効期間又は使用期限
使用期限:外箱等に表示(3 年)
3. 貯法・保存条件
気密容器に入れ、室温保存
4. 薬剤取扱い上の注意点
(1) 薬局での取り扱いについて
(2) 薬剤交付時の注意(患者等に留意すべき必須事項等)
「Ⅷ.14.適用上の注意」の項参照
5. 承認条件
該当しない
6. 包装
クロンモリン錠 10 mg:PTP 包装
100 錠(10 錠×10)
1000 錠(10 錠×100)
バラ包装
クロンモリン錠 25 mg:PTP 包装
1000 錠(プラスチック瓶)
100 錠(10 錠×10)
1000 錠(10 錠×100)
バラ包装
クロンモリン錠 50 mg: PTP 包装
1000 錠(プラスチック瓶
100 錠(10 錠×10)
7. 容器の材質
クロンモリン錠 10mg・25mg・50mg
PTP 包装:ポリ塩化ビニルフィルム、アルミニウム箔
バラ包装:ポリエチレン瓶、乾燥材をセットした金属キャップ
8. 同一成分・同効薬
同一成分薬:ルジオミール錠(ノバルティスファーマ)等
同
効
薬:塩酸ミアンセリン、セチプチリンマレイン酸塩、三環系抗うつ剤等
-34-
9. 国際誕生年月日
不明
10. 製造販売承認年月日及び承認番号
表Ⅹ-1
承認年月日及び承認番号
クロンモリン錠10mg
クロンモリン錠25mg
クロンモリン錠50mg
承認年月日
1992 年 2 月 26 日
1992 年 2 月 26 日
1992 年 2 月 29 日
承認番号
20400AMZ00306
20400AMZ00307
20400AMZ00367
11. 薬価基準収載年月日
1992 年 7 月 10 日
12. 効能・効果追加、用法・用量変更追加等の年月日及びその内容
13. 再審査結果、再評価結果公表年月日及びその内容
14. 再審査期間
15. 投与期間制限医薬品に関する情報
厚生労働省告示第 107 号(平成 18 年 3 月 6 日付)で定められた「投薬期間に上限が設けられ
ている医薬品」には該当しない。
16. 各種コード
販売名
クロンモリン錠
10mg
クロンモリン錠
25mg
クロンモリン錠
50mg
HOT コード
厚生労働省薬価基準
収載医薬品コード
レセプト電算コード
101358002
1179008F1030
611170840
101363402
1179008F2037
611170841
101367202
1179008F3033
611170842
17. 保険給付上の注意
本剤は保険診療上の後発医薬品である。
-35-
ⅩⅠ. 文献
1. 引用文献
1) 第十五改正日本薬局方解説書,C-4187-4191, 廣川書店,東京 (2006)
2) 日本公定書協会編:医療用医薬品 品質情報集 No. 20, p. 162, 薬事日報社,
東京 (2004)
3) 高田製薬社内資料(原薬:安定性,2004)
4) 高田製薬社内資料(10mg:安定性)
5) 高田製薬社内資料(25mg:安定性)
6) 高田製薬社内資料(50mg:安定性)
7) 高田製薬社内資料(10mg:溶出試験,2004)
8) 高田製薬社内資料(25mg:溶出試験,2004)
9) 高田製薬社内資料(50mg:溶出試験,2004)
10)高田製薬社内資料(10 mg 錠生物学的同等性,1990)
11)高田製薬社内資料(25 mg 錠生物学的同等性,1990)
12)高田製薬社内資料(50 mg 錠生物学的同等性,1990)
13) USPDI;Vol.Ⅰ, Drug Information for the Health Care Professional, 25th ed.,
pp. 1924-1927, Thomson MICROMEDEX, Greenwood Village (2005)
14)大谷浩一:臨床精神薬理,1 (7), 701 (1998)
15)内田英二:綜合臨牀,48 (6), 1427 (1999)
16) Martndale;The Complete Drug Reference, 32nd ed., (Parfitt, K. et al., ed.),
p.296, Pharmaceutical Press, London (1999)
17)下地明友:医薬ジャーナル,35 (2), 651 (1999)
18)功力
浩ほか:医薬ジャーナル,28 (11), 2443 (1992)
19)Boakes, A. J. et al.:Br. Med. J., 1 (5), 311 (1973)
20)Normann, C. et al.:J. Clin. Psychopharmacol. 22 (1), 92 (2002)
21)岩橋和彦ほか:臨床精神薬理,1 (7), 721 (1998)
22)Brion, S. et al.:L`Encéphale, 13 (3), 123 (1987)
23)亀井徹正:救急医学,12 (10), 1289 (1988)
24)横山 隆:第 26 回日本中毒学会総会,57(2004.7.9.10)
25)Litovitz, G. L.:J. Clin. Psychiatry, 45 (4), 188 (1984)
2. その他の参考文献
-36-
ⅩⅡ. 参考資料
1. 主な外国での発売状況
表ⅩⅡ-1
販売名
会社名
Ludiomil
Novartis
主な外国での発売状況
国名
スイス、イギリス、イタリア、オランダ、スウェーデン、
ドイツ、フランス等
Index Nominum : International Drug Directory, 18th ed., (Swiss Pharmaceutical
Society ed.), p. 737, Medpharm Scientific Publishers, Stuttgart (2004)
ⅩⅢ. 備考
1. その他の関連資料
-37-
MEMO
MEMO
CRM-2(6) 2015 年 12 月改訂