2015年11月改訂(第2版) 日本標準商品分類番号 87625 医薬品インタビューフォーム 日本病院薬剤師会のIF記載要領(2013年)に準拠して作成 抗ウイルス化学療法剤 剤 形 製 剤 の 規 制 区 分 フィルムコーティング錠 劇薬 処方箋医薬品注) 1錠中 規 一 格 ・ 般 含 注)注意-医師等の処方箋により使用すること 量 オムビタスビル水和物13.6mg(オムビタスビルとして12.5mg) パリタプレビル水和物78.5mg(パリタプレビルとして75mg) リトナビル50mg 名 和名:オムビタスビル水和物[JAN],パリタプレビル水和物[JAN], リトナビル[JAN] 洋名:Ombitasvir Hydrate[JAN],Paritaprevir Hydrate[JAN], Ritonavir[JAN,INN] 製造販売承認年月日 薬 価 基 準 収 載 ・ 発 売 年 月 日 製造販売承認年月日:2015年 9月28日 薬価基準収載年月日:2015年11月26日 発 売 年 月 日:2015年11月26日 開発・製造販売(輸入)・ 提 携・ 販売 会社 名 製造販売元: 医薬情報担当者の連絡先 問 い 合 わ せ 窓 口 アッヴィ合同会社 くすり相談室 〒108-6302 東京都港区三田3-5-27 フリーダイヤル 0120-587-874 医療関係者向けホームページ http://www.abbvie.co.jp/ 本IFは2015年11月改訂(第3版)の添付文書の記載に基づき改訂した. 最新の添付文書情報は,PMDAホームページ「医薬品に関する情報」 http://www.pmda.go.jp/safety/info-services/drugs/0001.html にてご確認ください. IF 利用の手引きの概要 ―日本病院薬剤師会― 1.医薬品インタビューフォーム作成の経緯 医療用医薬品の基本的な要約情報として医療用医薬品添付文書(以下,添付文書と略す)がある.医療現場 で医師・薬剤師等の医療従事者が日常業務に必要な医薬品の適正使用情報を活用する際には,添付文書に記 載された情報を裏付ける更に詳細な情報が必要な場合がある. 医療現場では,当該医薬品について製薬企業の医薬情報担当者等に情報の追加請求や質疑をして情報を補完 して対処してきている.この際に必要な情報を網羅的に入手するための情報リストとしてインタビュー フォームが誕生した. 昭和 63 年に日本病院薬剤師会(以下,日病薬と略す)学術第 2 小委員会が「医薬品インタビューフォーム」 (以下,IF と略す)の位置付け並びに IF 記載様式を策定した.その後,医療従事者向け並びに患者向け医 薬品情報ニーズの変化を受けて,平成 10 年 9 月に日病薬学術第 3 小委員会において IF 記載要領の改訂が行 われた. 更に 10 年が経過し,医薬品情報の創り手である製薬企業,使い手である医療現場の薬剤師,双方にとって 薬事・医療環境は大きく変化したことを受けて,平成 20 年 9 月に日病薬医薬情報委員会において IF 記載要 領 2008 が策定された. IF 記載要領 2008 では,IF を紙媒体の冊子として提供する方式から,PDF 等の電磁的データとして提供する こと(e-IF)が原則となった.この変更にあわせて,添付文書において「効能・効果の追加」,「警告・禁 忌・重要な基本的注意の改訂」などの改訂があった場合に,改訂の根拠データを追加した最新版の e-IF が提 供されることとなった. 最新版の e-IF は,(独)医薬品医療機器総合機構の医薬品情報提供ホームページ(http://www.pmda.info.go.jp/) から一括して入手可能となっている.日本病院薬剤師会では,e-IF を掲載する医薬品情報提供ホームページ が公的サイトであることに配慮して,薬価基準収載にあわせて e-IF の情報を検討する組織を設置して,個々 の IF が添付文書を補完する適正使用情報として適切か審査・検討することとした. 2008 年より年 4 回のインタビューフォーム検討会を開催した中で指摘してきた事項を再評価し,製薬企業に とっても,医師・薬剤師等にとっても,効率の良い情報源とすることを考えた.そこで今般,IF 記載要領の一 部改訂を行い IF 記載要領 2013 として公表する運びとなった. 2.IF とは IF は「添付文書等の情報を補完し,薬剤師等の医療従事者にとって日常業務に必要な,医薬品の品質管理のた めの情報,処方設計のための情報,調剤のための情報,医薬品の適正使用のための情報,薬学的な患者ケアの ための情報等が集約された総合的な個別の医薬品解説書として,日病薬が記載要領を策定し,薬剤師等のため に当該医薬品の製薬企業に作成及び提供を依頼している学術資料」と位置付けられる. ただし,薬事法・製薬企業機密等に関わるもの,製薬企業の製剤努力を無効にするもの及び薬剤師自らが評 価・判断・提供すべき事項等は IF の記載事項とはならない.言い換えると,製薬企業から提供された IF は, 薬剤師自らが評価・判断・臨床適応するとともに,必要な補完をするものという認識を持つことを前提とし ている. [IF の様式] ①規格は A4 版,横書きとし,原則として 9 ポイント以上の字体(図表は除く)で記載し,一色刷りとする. ただし,添付文書で赤枠・赤字を用いた場合には,電子媒体ではこれに従うものとする. ②IF 記載要領に基づき作成し,各項目名はゴシック体で記載する. ③表紙の記載は統一し,表紙に続けて日病薬作成の「IF 利用の手引きの概要」の全文を記載するものとし, 2 頁にまとめる. [IF の作成] ①IF は原則として製剤の投与経路別(内用剤,注射剤,外用剤)に作成される. ②IF に記載する項目及び配列は日病薬が策定した IF 記載要領に準拠する. ③添付文書の内容を補完するとの IF の主旨に沿って必要な情報が記載される. ④製薬企業の機密等に関するもの,製薬企業の製剤努力を無効にするもの及び薬剤師をはじめ医療従事者自 らが評価・判断・提供すべき事項については記載されない. ⑤「医薬品インタビューフォーム記載要領 2013」(以下,「IF 記載要領 2013」と略す)により作成された IF は,電子媒体での提供を基本とし,必要に応じて薬剤師が電子媒体(PDF)から印刷して使用する.企 業での製本は必須ではない. [IF の発行] ①「IF 記載要領 2013」は,平成 25 年 10 月以降に承認された新医薬品から適用となる. ②上記以外の医薬品については,「IF 記載要領 2013」による作成・提供は強制されるものではない. ③使用上の注意の改訂,再審査結果又は再評価結果(臨床再評価)が公表された時点並びに適応症の拡大等 がなされ,記載すべき内容が大きく変わった場合には IF が改訂される. 3.IF の利用にあたって 「IF 記載要領 2013」においては,PDF ファイルによる電子媒体での提供を基本としている.情報を利用す る薬剤師は,電子媒体から印刷して利用することが原則である. 電子媒体の IF については,医薬品医療機器総合機構の医薬品医療機器情報提供ホームページに掲載場所が 設定されている. 製薬企業は「医薬品インタビューフォーム作成の手引き」に従って作成・提供するが,IF の原点を踏まえ, 医療現場に不足している情報や IF 作成時に記載し難い情報等については製薬企業の MR 等へのインタ ビューにより薬剤師等自らが内容を充実させ,IF の利用性を高める必要がある.また,随時改訂される使用 上の注意等に関する事項に関しては,IF が改訂されるまでの間は,当該医薬品の製薬企業が提供する添付文 書やお知らせ文書等,あるいは医薬品医療機器情報配信サービス等により薬剤師等自らが整備するととも に,IF の使用にあたっては,最新の添付文書を医薬品医療機器情報提供ホームページで確認する. なお,適正使用や安全性の確保の点から記載されている「臨床成績」や「主な外国での発売状況」に関する 項目等は承認事項に関わることがあり,その取扱いには十分留意すべきである. 4.利用に際しての留意点 IF を薬剤師等の日常業務において欠かすことができない医薬品情報源として活用して頂きたい.しかし,薬 事法や医療用医薬品プロモーションコード等による規制により,製薬企業が医薬品情報として提供できる範 囲には自ずと限界がある.IF は日病薬の記載要領を受けて,当該医薬品の製薬企業が作成・提供するもので あることから,記載・表現には制約を受けざるを得ないことを認識しておかなければならない. また製薬企業は,IF があくまでも添付文書を補完する情報資材であり,インターネットでの公開等も踏まえ, 薬事法上の広告規制に抵触しないよう留意し作成されていることを理解して情報を活用する必要がある. (2013 年 4 月改訂) 目 次 Ⅰ.概要に関する項目 ······················ 1 1.開発の経緯 ······························ 1 2.製品の治療学的・製剤学的特性 ············ 1 Ⅱ.名称に関する項目 ······················ 2 1.販売名 ·································· 2.一般名 ·································· 3.構造式又は示性式 ························ 4.分子式及び分子量 ························ 5.化学名(命名法) ························ 6.慣用名,別名,略号,記号番号 ············ 7.CAS登録番号 ····························· 2 2 2 3 3 4 4 Ⅲ.有効成分に関する項目 ·················· 5 1.物理化学的性質 ·························· 2.有効成分の各種条件下における安定性 ······ 3.有効成分の確認試験法 ···················· 4.有効成分の定量法 ························ 5 7 9 9 Ⅳ.製剤に関する項目 ····················· 10 1.剤形 ··································· 2.製剤の組成 ····························· 3.懸濁剤,乳剤の分散性に対する注意 ······· 4.製剤の各種条件下における安定性 ········· 5.調製法及び溶解後の安定性 ··············· 6.他剤との配合変化(物理化学的変化) ····· 7.溶出性 ································· 8.生物学的試験法 ························· 9.製剤中の有効成分の確認試験法 ··········· 10.製剤中の有効成分の定量法 ··············· 11.力価 ··································· 12.混入する可能性のある夾雑物 ············· 13.注意が必要な容器・外観が特殊な容器に 関する情報 ····························· 14.その他 ································· 10 10 10 11 11 11 11 11 11 11 11 11 11 11 Ⅴ.治療に関する項目 ····················· 12 1.効能又は効果 ··························· 12 2.用法及び用量 ··························· 12 3.臨床成績 ······························· 13 Ⅵ.薬効薬理に関する項目 ················· 27 1.薬理学的に関連ある化合物又は化合物群 ··· 27 2.薬理作用 ······························· 27 Ⅶ.薬物動態に関する項目 ················· 29 1.血中濃度の推移・測定法 ················· 2.薬物速度論的パラメータ ················· 3.吸収 ··································· 4.分布 ··································· 5.代謝 ··································· 6.排泄 ··································· 7.トランスポーターに関する情報 ··········· 8.透析等による除去率 ····················· 29 35 37 37 38 40 41 41 Ⅷ.安全性(使用上の注意等)に関する項目 ··42 1.警告内容とその理由······················ 2.禁忌内容とその理由(原則禁忌を含む)···· 3.効能又は効果に関連する使用上の注意と その理由································ 4.用法及び用量に関連する使用上の注意と その理由································ 5.慎重投与内容とその理由·················· 6.重要な基本的注意とその理由及び処置方法·· 7.相互作用································ 8.副作用·································· 9.高齢者への投与·························· 10.妊婦,産婦,授乳婦等への投与············ 11.小児等への投与·························· 12.臨床検査結果に及ぼす影響················ 13.過量投与································ 14.適用上の注意···························· 15.その他の注意···························· 16.その他·································· 42 42 43 43 43 43 43 54 59 59 59 59 60 60 60 60 Ⅸ.非臨床試験に関する項目 ················61 1.薬理試験································ 61 2.毒性試験································ 63 Ⅹ.管理的事項に関する項目 ················65 1.規制区分································ 2.有効期間又は使用期限···················· 3.貯法・保存条件·························· 4.薬剤取扱い上の注意点···················· 5.承認条件等······························ 6.包装···································· 7.容器の材質······························ 8.同一成分・同効薬························ 9.国際誕生年月日·························· 10.製造販売承認年月日及び承認番号·········· 11.薬価基準収載年月日······················ 12.効能又は効果追加,用法及び用量変更追加 等の年月日及びその内容·················· 13.再審査結果,再評価結果公表年月日及び その内容································ 14.再審査期間······························ 15.投薬期間制限医薬品に関する情報·········· 16.各種コード······························ 17.保険給付上の注意························ 65 65 65 65 65 65 65 65 65 66 66 66 66 66 66 66 66 ⅩⅠ.文献 ································67 1.引用文献································ 67 2.その他の参考文献························ 68 ⅩⅡ.参考資料 ····························69 1.主な外国での発売状況···················· 69 2.海外における臨床支援情報················ 72 ⅩⅢ.備考 ································73 その他の関連資料···························· 73 略語表 ADME absorption distribution metabolism excretion 吸収,分布,代謝及び排泄 ALT alanine aminotransferase アラニンアミノトランスフェラーゼ AST aspartate aminotransferase アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ AUC area under the concentration-time curve 濃度–時間曲線下面積 BCRP breast cancer resistance protein - BID twice daily 1 日 2 回投与 CL/F apparent total clearance 見かけのクリアランス CLcr creatinine clearance クレアチニンクリアランス Cmax maximum plasma concentration 最高血漿中濃度 CYP cytochrome P450 チトクロム P450 DAA direct acting antiviral agent 直接作用型抗ウイルス薬 EC50 concentration required for 50% effect 50%有効濃度 GCR glycyrrhizin グリチルリチン酸 HCV hepatitis C virus C 型肝炎ウイルス HIV human immunodeficiency virus ヒト免疫不全ウイルス IC50 concentration required for 50% inhibition 50%阻害濃度 ICH International Conference on Harmonisation 日米 EU 医薬品ハーモナイゼーション国際会議 IFN interferon インターフェロン INR international normalized ratio (プロトロンビン時間の)国際標準化比 ITT intent to treat - LLOQ lower limit of quantification 定量限界下限 MedDRA Medical Dictionary for Regulatory Activities ICH 国際医薬用語集 MRP multidrug resistance-associated protein - NS3/4A nonstructural protein 3/NS4A 非構造タンパク質 3/4A NS5A nonstructural protein 5A 非構造タンパク質 5A OATP organic anion transporting polypeptide 有機アニオン輸送ポリペプチド PegIFN pegylated interferon ペグインターフェロン P-gp P-glycoprotein P 糖タンパク質 QD once a day 1 日 1 回投与 QPM quaque die post meridiem 1 日 1 回午後投与 QTc QT interval corrected for heart rate 心拍数補正 QT 間隔 RBV ribavirin リバビリン RNA ribonucleic acid リボ核酸 SVR sustained virologic response 持続性ウイルス学的著効 t1/2 terminal phase elimination half-life 終末相の消失半減期 TID three times a day 1 日 3 回投与 Tmax time to maximum plasma concentration 最高血漿中濃度到達時間 UDCA ursodeoxycholic acid ウルソデオキシコール酸 UGT uridine 5'-diphospho-glucuronosyltransferase ウリジン 5'-ジフォスホ-グルクロノシルトランスフェラーゼ Vd/F apparent volume of distribution 見かけの分布容積 VF Virologic failure ウイルス学的不成功 VR virologic response ウイルス学的著効 γ-GTP gamma-glutamyl transferase γ-グルタミルトランスフェラーゼ Ⅰ.概要に関する項目 1.開発の経緯 ヴィキラックス配合錠は,オムビタスビル,パリタプレビル及びパリタプレビルの薬物動態学的ブースターであるリト ナビルを配合し,IFN を使用しない C 型慢性肝炎治療薬として米国 AbbVie Inc.が開発した薬剤である. オムビタスビルは HCV NS5A 阻害剤で,ジェノタイプ 1a 及び 1b レプリコン複製をピコモル濃度で阻害する.パリタプ レビルは HCV NS3/4A プロテアーゼ阻害剤で,ジェノタイプ 1a 及び 1b レプリコン複製をナノモル濃度で阻害する.パ リタプレビルは主としてチトクロム P450 3A4(CYP3A4)により代謝されることから,許容できる投与頻度で有効な曝 露量を得るために,CYP3A4 の強力な阻害剤であるリトナビルと併用する.オムビタスビル及びパリタプレビルの併用 は,短期レプリコンアッセイで HCV の複製に対して相加的ないし相乗的な複製阻害作用を示す. 感染症の治療では,服薬不良がウイルス耐性変異の出現につながる場合があることから,製剤化においては服薬が簡便 な 1 剤の配合錠を開発した. 本剤は Abbott Laboratories(現 AbbVie Inc.)により 2007 年から米国で開発され,2013 年に分社化により AbbVie Inc.が開 発を引き継いだ.本邦においては,アボットジャパン株式会社が開発を開始し,Abbott Laboratories の分社化以降アッヴィ 合同会社が引き継いでいる.今般,国内第Ⅱ相試験及び国内第Ⅲ相試験において,セログループ 1(ジェノタイプ 1)の 日本人 C 型慢性肝炎患者及び C 型代償性肝硬変患者に対する本剤の有効性及び安全性が示されたことから,製造販売承 認申請を行い,2015 年 9 月に承認された. 2.製品の治療学的・製剤学的特性 1.本剤は,NS5A 阻害剤のオムビタスビルと NS3/4A プロテアーゼ阻害剤のパリタプレビルを有効成分とし,速やかか つ強力な抗ウイルス作用を発揮する配合剤である. ( 「Ⅵ.2.(2) 薬効を裏付ける試験成績」の項参照) 2.本剤を投与した国内第Ⅲ相臨床試験において副作用[臨床検査値異常 30 例(8.3%)を含む]は 363 例中 105 例 (28.9%)に認められた.主な副作用として末梢性浮腫 15 例(4.1%),頭痛 12 例(3.3%),悪心 10 例(2.8%)が 認められた.重大な副作用として体液貯留,肝機能障害,肝不全が報告されている.(「Ⅷ.8.副作用」の項参照) 3.本剤は,ジェノタイプ 1 の C 型慢性肝炎及び C 型代償性肝硬変に投与され,1 日 1 回 2 錠,12 週間の治療で有効性 と安全性が確認された. (「Ⅴ.3.(2) 臨床効果」の項参照) 4.本剤は,年齢,性別,前治療歴,代償性肝硬変の有無,IL28B の遺伝子型,ベースラインにおける HCV RNA の量な どの背景因子に関わらず,良好な有効性が確認された. -1- (「Ⅴ.3.(5) 2) 比較試験」の項参照) Ⅱ.名称に関する項目 1.販売名 (1)和名 ヴィキラックス配合錠 (2)洋名 VIEKIRAX® (3)名称の由来 Viekirax(ヴィキラックス)の Vie は life を意味し,Kira(cure)は治癒,ax は斧を意味する. 2.一般名 (1)和名(命名法) オムビタスビル水和物(JAN) パリタプレビル水和物(JAN) リトナビル(JAN) (2)洋名(命名法) Ombitasvir(INN),Ombitasvir Hydrate(JAN) Paritaprevir(INN),Paritaprevir Hydrate(JAN) Ritonavir(INN,JAN) (3)ステム オムビタスビル水和物:抗ウイルス剤:-vir パリタプレビル水和物:抗ウイルス剤:-vir リトナビル:HIV プロテアーゼ阻害剤:-navir 3.構造式又は示性式 オムビタスビル水和物 -2- パリタプレビル水和物 リトナビル 4.分子式及び分子量 オムビタスビル水和物:C50H67N7O8・4½H2O,分子量:975.18 パリタプレビル水和物:C40H43N7O7S•2H2O,分子量:801.91 リトナビル:C37H48N6O5S2,分子量:720.94 5.化学名(命名法) オムビタスビル水和物 日本名: N,N'-{(2S,5S)-1-[4-(1,1-ジメチルエチル)フェニル]ピロリジン-2,5-ジイル}ビス{[(4,1- フェニレンアザンジイル)カルボニ ル][(2S)-ピロリジン-2,1-ジイル][(2S)-3-メチル-1-オキソブタン- 1,2-ジイル]}ビスカルバミン酸ジメチルヘミノナ水和物 英名: Dimethyl N,N'-{(2S,5S)-1-[4-(1,1-dimethylethyl)phenyl]pyrrolidine-2,5-diyl}bis{[(4,1-phenyleneazanediyl) carbonyl][(2S)-pyrrolidine-2,1-diyl][(2S)-3-methyl-1-oxobutane-1,2-diyl]}biscarbamate heminonahydrate -3- パリタプレビル水和物 日本名: (2R,6S,12Z,13aS,14aR,16aS)-N-(シクロプロピルスルホニル)- 6-(5-メチルピラジン-2-カルボキサミド)-5,16ジオキソ-2-(フェナントリジン- 6-イルオキシ)-1,2,3,6,7,8,9,10,11,13a,14,15,16,16a-テトラデカヒドロシクロプロパ[e] ピロロ[1,2-a][1,4]ジアザシクロペンタデシン- 14a(5H)-カルボキサミド二水和物 英名: (2R,6S,12Z,13aS,14aR,16aS)-N-(Cyclopropylsulfonyl)-6-(5-methylpyrazine-2-carboxamido)-5,16dioxo-2-(phenanthridin-6-yloxy)-1,2,3,6,7,8,9,10,11,13a,14,15,16,16a-tetradecahydrocyclopropa[e] pyrrolo[1,2-a][1,4]diazacyclopentadecine- 14a(5H)-carboxamide dehydrate リトナビル 日本名: (+)-5-[(αS)-α-[(1S,3S)-1-ヒドロキシ-3-[(2S)-2-[3-[(2-イソプロピル-4-チアゾリル)メチル]-3-メチルウレイド]-3メチルブチラミド]-4-フェニルブチル]フェネチル]カルバミン酸 5-チアゾリルメチルエステル (英名) (+)-5-thiazolylmethyl[(αS)-α-[(1S,3S)-1-hydroxy-3-[(2S)-2-[3-[(2-isopropyl-4-thiazolyl)methyl]-3-methylureido]-3-methylbutyra mido]-4-phenylbutyl]phenethyl]carbamate 6.慣用名,別名,略号,記号番号 オムビタスビル:ABT-267(治験番号),OBV(略号) パリタプレビル:ABT-450(治験番号),PTV(略号) リトナビル:ABT-538(治験番号),RTV(略号) 7.CAS 登録番号 オムビタスビル:1258226-87-7(無水物) 1456607-70-7(水和物) パリタプレビル:1216941-48-8(無水物) 1456607-71-8(水和物) リトナビル:155213-67-5 -4- Ⅲ.有効成分に関する項目 1.物理化学的性質 (1)外観・性状 オムビタスビル水和物 白色~淡黄色又は淡赤色の粉末又は塊である. パリタプレビル水和物 白色~淡黄色の粉末又は塊である. リトナビル 白色~淡黄褐色の粉末で,柔らかい塊を含むこともある. (2)溶解性 オムビタスビル水和物 オムビタスビル水和物の溶解性 溶媒 0.1mol/L 塩酸,25℃ 50mmol/L リン酸ナトリウム緩衝液,pH6.8,25℃ エタノール,25℃ 1-ビニル-2-ピロリドン二量体,室温 コポビドン(K 値 28) モデル (6:4 ビニルピロリドン二量体:ビニルアセテート 二量体,重量比 3:2) 溶解濃度 0.47±0.02μg/mL 0.016±0.005μg/mL 46.0±0.2mg/mL >193.87mg/g >210mg/g オムビタスビル水和物の pH 溶解特性 -5- パリタプレビル水和物 パリタプレビル水和物の溶解性 溶媒 0.01 mol/L 塩酸,25℃ 50 mmol/L リン酸ナトリウム緩衝液,pH 6.8,25℃ エタノール,室温 1-ビニル-2-ピロリドン二量体,室温 コポビドン(K 値 28) モデル (6:4 ビニルピロリドン二量体:ビニルアセテート 二量体,重量比 3:2) 溶解濃度 <0.09μg/mL 1.19±0.05μg/mL 5.7~10.6mg/mL >260mg/mL >300mg/mL pH 溶解特性はパリタプレビル水和物が非常に溶けにくい(<0.09μg/mL)ため,測定できなかった. リトナビル 1) メタノール,エタノールに溶けやすく,アセトニトリルにやや溶けにくく,水にほとんど溶けない. リトナビルの溶解性(室温) 溶媒 水 アセトニトリル アセトニトリル/水(1:1) ジメチルホルムアミド メタノール エタノール イソプロパノール ジクロロメタン テトラヒドロフラン 酢酸エチル クロロホルム トルエン ヘプタン 溶解濃度(mg/mL) <0.001 18.9 66.4 593 573 165 41.7 602 456 1.5 675 2.2 0.1 リトナビルの各種 pH 溶液に対する溶解性(室温) pH pH3.0 0.05mol/L pH6.0 0.05mol/L pH9.1 0.05mol/L 溶解濃度(w/v%) <0.001 <0.001 <0.001 KH2PO4 K2HPO4 K2HPO4 (3)吸湿性 オムビタスビル水和物:2%以下(25℃,30~90%RH) パリタプレビル水和物:1.3%(25℃,20~90%RH) リトナビル 1):1 ヵ月間,25℃,75%RH の加湿条件では吸湿しない. (4)融点(分解点),沸点,凝固点 オムビタスビル水和物:熱分析を測定した結果,69.1℃で脱水による吸熱ピークを示し,156.8℃で融解した. パリタプレビル水和物:熱分析を測定した結果,脱水したのち,非晶質化し 156℃でガラス転移点を示した. リトナビル 1):123℃付近(融点) -6- (5)酸塩基解離定数 オムビタスビル水和物:pKa=2.5(25℃) パリタプレビル水和物:pKa=4.6(25℃) リトナビル 1):pK1=pK2=2.8±0.2(吸光法:268~278nm) (6)分配係数 オムビタスビル水和物:オクタノールと pH7.4 緩衝液間の分配係数(log D)は 7.4 パリタプレビル水和物:オクタノールと pH6.8 リン酸緩衝液間の分配係数(log D)は 3.1 リトナビル 1):1-オクタノール-リン酸緩衝液(0.05mol/L,pH=7.4)系での分配係数は 4.7×104 (7)その他の主な示性値 オムビタスビル水和物:6 個の光学中心を有する. パリタプレビル水和物:5 個の光学中心を有する.旋光度は-0.369~1.279°であった. :+8.8°(2.5%(w/v)メタノール溶液中) リトナビル 1):旋光度:[α]25 D 2.有効成分の各種条件下における安定性 オムビタスビル水和物 オムビタスビル水和物の安定性試験における保存条件,保存形態,保存期間及び試験結果 温度 湿度 光 保存形態 長期保存試験 25℃ 60%RH 暗所 二重ポリエチレン袋/ プラスティック製ドラム 加速試験 熱 熱/湿度 40℃ 80℃ 80℃ 75%RH ― 75%RH 暗所 暗所 暗所 総照度: 120 万 lux・hr 以上, 総近紫外放射 エネルギー: 200W・h/m2 以上 苛酷試験 試験 光 25℃ 60%RH ガラス製容器 ガラス製容器 保存期間 開始時,3,6,9, 12,18,24 a,36, 48 ヵ月 0,1,3,6 ヵ月 0,10 日 0,10 日 a:24 ヵ月まで終了 -7- 変化なし 変化なし 変化なし 変化なし 不純物の増加 が認められた シャーレ(開放) 二重のポリエチレン袋に 入れて結束 結果 0,5 日 (120 万 lux・hr) 変化なし パリタプレビル水和物 パリタプレビル水和物の安定性試験における保存条件,保存形態,保存期間及び試験結果 温度 湿度 光 保存形態 長期保存試験 25℃ 60%RH 暗所 二重ポリエチレン袋/ プラスティック製ドラム 加速試験 40℃ 75%RH 暗所 熱 80℃ ― 暗所 ガラス製容器 熱/湿度 80℃ 75%RH 暗所 総照度: 120 万 lux・hr 以上, 総近紫外放射 エネルギー: 200W・h/m2 以上 ガラス製容器 苛酷試験 試験 25℃ 光 60%RH 保存期間 結果 開始時,3,6,9, 12,18,24 a,36, 変化なし 48 ヵ月 0,1,3,6 ヵ月 変化なし 不純物総量の 0,5 日 増加が認めら れた 0,11 日 変化なし シャーレ(開放) 二重のポリエチレン袋に 入れて結束 0,5 日 (120 万 lux・hr) 不純物総量の 増加が認めら れた 変化なし a:24 ヵ月まで終了 リトナビル 1) リトナビルの安定性試験における保存条件,保存形態,保存期間及び試験結果 試験 温度 湿度 光 長期保存 試験 30℃ ― ― 40℃ ― 加速試験 ― 60℃ 苛酷試験 40℃ 50℃ 60℃ 80℃ 105℃ ― 室温 ― 25℃ 25℃ 75%RH 60%RH 5℃ ― ― 保存形態 二重ポリエチレン袋に 入れファイバードラム 又は ふた付きプラスチック 瓶 二重ポリエチレン袋に 入れファイバードラム 又は ふた付きプラスチック 瓶 褐色バイアル テフロン被覆したゴム 栓 アルミシール 自然光下 蛍光灯下 (10760lux)# ふた付きシャーレ上に 散布 ― 開放バイアル 二重ポリエチレン袋に 入れファイバードラム 又は ふた付きプラスチック 瓶 *:原液は遮光を要する. #:10760lux=1000fc -8- 保存期間 結果 12 ヵ月 ○ 特記事項 6 ヵ月 ○ 1 ヵ月 52 週 26 週 13 週 13 週 6週 6週 ○ ○ ○ ᇞ × × 4 週以降わずかに分解 6 週で含量 10%以下 6 週で規格値以下* 1週 × 1 週で規格値以下* 31 週 3 ヵ月 ○ ○ 12 ヵ月 ○ 強制分解による生成物:通常実験室条件下,加湿条件下,80℃までの加温条件下では 13 週間安定 苛酷条件下:水中での還流条件下では酸加水分解生成物と塩基環化物,光照射あるいは過酸化物への曝露により酸化生 成物と酸加水分解生成物,105℃の加熱条件下では塩基環化物が生じた. リトナビルの分解経路 3.有効成分の確認試験法 オムビタスビル水和物:赤外吸収スペクトル測定法 パリタプレビル水和物:赤外吸収スペクトル測定法 リトナビル 1):赤外吸収スペクトル測定法 4.有効成分の定量法 オムビタスビル水和物:液体クロマトグラフィー パリタプレビル水和物:液体クロマトグラフィー リトナビル 1):液体クロマトグラフィー -9- Ⅳ.製剤に関する項目 1.剤形 (1)剤形の区別,外観及び性状 桃色の楕円形のフィルムコーティング錠 販 売 名 ヴィキラックス配合錠 上面 外 大 下面 側面 形 き さ 識 別 コ ー ド 長径(mm) 短径(mm) 厚さ(mm) 重さ(g) 18.8 10.0 7.7 1.116 AV1 (2)製剤の物性 溶出性:「Ⅳ.7.溶出性」の項参照 (3)識別コード AV1 (4)pH,浸透圧比,粘度,比重,無菌の旨及び安定な pH 域等 該当しない 2.製剤の組成 (1)有効成分(活性成分)の含量 1 錠中オムビタスビル水和物 13.6mg(オムビタスビルとして 12.5mg),パリタプレビル水和物 78.5mg(パリタプレビル として 75mg),リトナビル 50mg 含有 (2)添加物 コポリビドン,コハク酸 d-α-トコフェロールポリエチレングリコール,軽質無水ケイ酸,モノラウリン酸プロピレ ングリコール,モノラウリン酸ソルビタン,フマル酸ステアリルナトリウム,ポリビニルアルコール(部分けん化物), マクロゴール 4000,タルク,酸化チタン,三二酸化鉄 (3)その他 該当しない 3.懸濁剤,乳剤の分散性に対する注意 該当しない -10- 4.製剤の各種条件下における安定性 ヴィキラックス配合錠の安定性試験における保存条件,保存形態,保存期間及び試験結果 試験 温度 湿度 光 長期保存試験 30℃ 75%RH 暗所 加速試験 熱 40℃ 65℃ 75%RH ― 暗所 暗所 65℃ 75%RH 暗所 60%RH 総照度: 120 万 lux・hr 以上, 総近紫外放射 エネルギー: 200W・h/m2 以上 熱/湿度 苛酷試験 25℃ 光 保存形態 PTP 包装 ガラス製容器 ガラス製容器 (開放) シャーレ a:24 ヵ月まで終了 5.調製法及び溶解後の安定性 該当しない 6.他剤との配合変化(物理化学的変化) 該当資料なし 7.溶出性 溶出試験法 第 2 法(パドル法) 8.生物学的試験法 該当しない 9.製剤中の有効成分の確認試験法 薄層クロマトグラフィー 10.製剤中の有効成分の定量法 液体クロマトグラフィー 11.力価 該当しない 12.混入する可能性のある夾雑物 該当しない 13.注意が必要な容器・外観が特殊な容器に関する情報 該当しない 14.その他 該当資料なし -11- 保存期間 結果 開始時,3,6,9,12, 変化なし 18,24 a,36 ヵ月 0,1,2,3,6 ヵ月 変化なし 0,24 日 変化なし リトナビルに分 0,24 日 解生成物の増加 が認められた 0,5 日 (120 万 lux・hr) 変化なし Ⅴ.治療に関する項目 1.効能又は効果 セログループ 1(ジェノタイプ 1)の C 型慢性肝炎又は C 型代償性肝硬変におけるウイルス血症の改善 (解説) 国内第Ⅲ相臨床試験において本剤の有効性,安全性が確認されたため,設定した. 本剤の投与終了 12 週後に HCV RNA 量が定量限界値未満であった患者の割合(SVR12 率)は C 型慢性肝炎患者で 94.9% (二重盲検群:204/215 例),C 型代償性肝硬変患者で 90.5%(非盲検群:38/42 例)であった. <効能・効果に関連する使用上の注意> (1)本剤の使用に際しては,HCV RNA が陽性であることを確認すること.また,肝予備能,臨床症状等により非代償 性肝硬変でないことを確認すること. (2)本剤を HIV/HCV 重複感染患者に使用する場合,抗 HIV 療法によって HIV のウイルス学的抑制が得られている患 者にのみ投与すること. (本剤に含まれるリトナビルにより,HIV プロテアーゼ阻害剤に対する耐性を生じるおそ れがある.) (解説) (1)本剤の開始前に,C 型慢性肝炎(C 型代償性肝硬変を含む)であり,非代償性肝硬変でないことを確認すること. (2)本剤含有のリトナビルは HIV プロテアーゼ阻害剤※としても使用されている(本剤のリトナビル配合量は少なく, 臨床的に抗 HIV 作用は示さない).このため HIV の抑制が不十分な場合,HIV プロテアーゼ阻害剤に対する耐性を 発現するおそれがある.HIV との重複感染患者においては抗 HIV 療法によって HIV の抑制が得られている患者に おいてのみ本剤を使用すること. ※製品名:ノービア錠 100mg,ノービア内用液 8% 2.用法及び用量 通常,成人には 1 日 1 回 2 錠(オムビタスビルとして 25mg,パリタプレビルとして 150mg 及びリトナビルとして 100mg) を食後に経口投与し,投与期間は 12 週間とする. (解説) 本剤は 1 日 1 回,2 錠を食後に 12 週間服用すること.空腹時の服用に比べ,食後の服用が本剤のバイオアベイラビリティ を良好に保つことがわかっているため,食後に投与すること.なお,食事のカロリーや脂肪含量は本剤の吸収に影響し ない. -12- 3.臨床成績 (1)臨床データパッケージ 相 対象 試験目的 評 価 資 料 Ⅰ HCV ジェノタイプ 1b 感染患者 (未治療,IFN 既治療, 代償性肝硬変,非肝硬変) HCV ジェノタイプ 1b, ジェノタイプ 2 感染患者 (PegIFN 既治療,肝硬変を除く) 健康成人男性 Ⅰ 健康成人 食事の影響 Ⅰ 健康成人 薬物相互作用(グリチルリチン酸,UDCA*) Ⅰ 健康成人(日本人) オムビタスビルの薬物動態,安全性,忍容性 日本人を含む民族間比較 Ⅰ 健康成人(日本人) オムビタスビル及びパリタプレビル/リトナビルと dasabuvir**の併用 及び非併用の薬物動態,安全性 日本人を含む民族間比較 Ⅰ 健康成人(日本人) パリタプレビル/リトナビルの薬物動態,安全性,忍容性 日本人を含む民族間比較 Ⅰ 健康成人(日本人) 薬物動態の比較,忍容性,オムビタスビル,パリタプレビル,リトナ ビル及び配合剤の安全性 Ⅰ 健康成人 オムビタスビル,パリタプレビル/リトナビル及び dasabuvir(国内未 承認)**における QT/QTc 間隔への影響 Ⅲ 国 内 Ⅱ 本剤における 12 週の薬物動態,安全性,有効性 オムビタスビル及びパリタプレビル(100mg 及び 150mg) ,リトナビル の併用における 12 週及び 24 週の薬物動態,安全性,有効性 パリタプレビル/リトナビルの薬物動態,安全性,忍容性 海 外 * ウルソデオキシコール酸 ** HCV RNA 依存性 RNA ポリメラーゼ(NS5B)に対する非ヌクレオシド系阻害剤.オムビタスビル,パリタ プレビル,リトナビルとの併用で使用される. (2)臨床効果 国内第Ⅲ相臨床試験 2) 未治療又は前治療(インターフェロン製剤(IFN)単独療法又はリバビリンとの併用療法)のあるジェノタイプ 1b の C 型慢性肝炎患者又は C 型代償性肝硬変患者を対象として,プラセボ対照無作為化二重盲検並行群間比較試験(肝硬変の ない C 型慢性肝炎患者)及び非盲検非対照試験(C 型代償性肝硬変患者)を実施した(12 週間投与). 本剤投与例で,投与終了 12 週後に HCV RNA 量が定量限界値未満であった患者の割合(SVR12 率)を以下の表に示す. -13- 全体及び部分集団解析における SVR12 率 背景因子 全体 なし あり 65 歳未満 65 歳以上 適格 不適格 代償性肝硬変* 未治療患者 年齢 IFN 適格性 全体 代償性肝硬変* 年齢 前治療のある患者 前治療に対する反応性 なし あり 65 歳未満 65 歳以上 無効 再燃 IFN 不耐容 不明 SVR12 率 140/148(94.6) 131/139(94.2) 9/9(100) 91/95(95.8) 49/53(92.5) 112/118(94.9) 28/30(93.3) 102/109(93.6) 73/76(96.1) 29/33(87.9) 52/55(94.5) 50/54(92.6) 44/47(93.6) 28/30(93.3) 29/31(93.5) 1/1(100) 例数(%) * 肝硬変は,肝生検による診断,若しくはフィブロテスト/APRI,フィブロスキャン又はγ-グロブリン値,ヒアル ロン酸値及び血小板数を用いた判別式 3)により判定 2)社内資料:日本人被験者における有効性試験(第Ⅲ相臨床試験) 注意:本剤の承認されている用法・用量は,オムビタスビルとして 25mg,パリタプレビルとして 150mg,リトナビルとして 100mg を含有する配合錠を食後に経口投与(1 日 1 回),投与期間は 12 週間である. (3)臨床薬理試験 1)忍容性試験 〈オムビタスビル用量漸増反復投与 海外第Ⅰ相単施設無作為化プラセボ対照盲検試験〉(日本人及び外国人データ)4) 日本人を含む健康成人 48 例に 7 日間,オムビタスビル(錠剤)25mg,200mg 又はプラセボを経口投与した. 治験薬との因果関係が「関連あるかもしれない」とされた有害事象は 25mg 投与の日本人 1 例の傾眠であった.「多分 関連あり」とされた有害事象は 200mg 投与の外国人 1 例の頭痛であった. いずれの用量グループおよび民族でも,臨床的に意義のあるバイタルサイン及び臨床検査値の変動は観察されなかった. 〈直接作用型抗ウイルス薬 2 剤/3 剤併用反復投与 海外第Ⅰ相単施設非盲検試験〉(日本人及び外国人データ)5) 日本人を含む健康成人 90 例を対象として,オムビタスビル(錠剤)25mg,パリタプレビル(錠剤)/リトナビル(カプ セル剤)250/100mg 又は 200/100mg 及び dasabuvir 400mg を,単独又は併用で,反復経口投与した(7~21 日間). 2 例以上に認められた主な有害事象は,オムビタスビル単独投与時:便秘,パリタプレビル/リトナビル単独投与時:歯 肉炎及び頭痛,オムビタスビルとパリタプレビル/リトナビルの併用投与時:黄疸眼,アフタ性口内炎,悪心及び頭痛, オムビタスビルとパリタプレビル/リトナビル及び dasabuvir(国内未承認)の併用投与時:便秘,浮動性めまい,味覚異 常及び頭痛であった. 最高用量のパリタプレビル/リトナビル(250/100mg 1 日 1 回)を投与すると,オムビタスビル 25mg 1 日 1 回の併用有無 を問わず 6 例にグレード 3 の総ビリルビン上昇が発現した.ビリルビン値の上昇はいずれも間接ビリルビン増加が主体 であり,治験薬の投与を継続していても改善した. 少数の被験者にグレード 1 の ALT 上昇が発現したが,いずれの ALT 上昇も,投与継続中又は投与完了後に消失した. -14- 〈パリタプレビル/リトナビル単回投与 海外第Ⅰ相単施設非盲検試験〉(日本人及び外国人データ)6) 日本人を含む健康成人 30 例に対して,パリタプレビル(錠剤)250mg とリトナビル(カプセル剤)100mg を併用単回経 口投与した.試験投与下で発現した有害事象は,中等度であった頭痛を除いてすべて軽度であった. 〈オムビタスビル/パリタプレビル/リトナビル配合錠単回投与 海外第Ⅰ相無作為化単施設非盲検試験〉(日本人及び 7) 外国人データ) 日本人を含む健康成人 48 例に対して,オムビタスビル/パリタプレビル/リトナビル配合錠(12.5/50/50mg 又は 12.5/75/50mg)を単回経口投与あるいはオムビタスビル(錠剤),パリタプレビル(錠剤),リトナビル(カプセル剤) を併用単回経口投与した.日本人で発現した主な有害事象の下痢,浮動性めまい及び頭痛は,重症度が軽度であると評 価され,治験薬との因果関係は「関連あり」,「関連なし」の両方があるとされた. 〈パリタプレビル/リトナビル単回又は反復投与 国内第Ⅰ相単施設無作為化プラセボ対照盲検試験〉(日本人データ)8) 日本人健康成人男性 54 例に対して,パリタプレビル(カプセル剤)/リトナビル(カプセル剤)50/100mg,100/100mg, 200/100mg 又はプラセボを単回及び反復(14 日間)投与した. 最高用量のパリタプレビル/リトナビル投与時に ALT 及び血中ビリルビンの上昇がみられた. いずれの有害事象も重症度は軽度であり,有害事象に起因する治験薬の投与中止はみられなかった.臨床的に意義のあ る異常はいずれの臨床検査項目又は ECG 変数でも観察されなかった. 4)社内資料:オムビタスビル用量漸増反復投与試験(ヒト) 5)社内資料:直接作用型抗ウイルス薬 2 剤/3 剤併用反復投与試験(ヒト) 6)社内資料:パリタプレビル/リトナビル単回投与試験(ヒト) 7)社内資料:パリタプレビル/リトナビル/オムビタスビル配合錠単回投与試験(ヒト) 8)社内資料:パリタプレビル/リトナビル単回・反復投与試験(ヒト) 注意:本剤の承認されている用法・用量は,オムビタスビルとして 25mg,パリタプレビルとして 150mg,リトナビルとして 100mg を含有する配合錠を食後に経口投与(1 日 1 回),投与期間は 12 週間である. 2)QT/QTc 評価試験 〈海外第Ⅰ相〉(外国人データ)9) 健康成人 60 例にオムビタスビル(錠剤),パリタプレビル(錠剤),リトナビル(カプセル剤),dasabuvir(国内未承 認)を併用投与し,QTc 間隔に及ぼす影響をプラセボ及び実薬対照クロスオーバー試験で検討した.対象をプラセボ群, 治療用量(オムビタスビル 25mg,パリタプレビル 200mg,リトナビル 150mg,dasabuvir 250mg)群,治療用量超過用量 (オムビタスビル 50mg,パリタプレビル 350mg,リトナビル 150mg,dasabuvir 500mg)群,実薬対照(モキシフロキサ シン 400mg)群の 4 群に無作為割付けした.その結果,治療用量群,治療用量超過用量群ともに臨床的な QTc 延長を示 さなかった. 9)社内資料:Thorough QT 試験(ヒト) 注意:本剤の承認されている用法・用量は,オムビタスビルとして 25mg,パリタプレビルとして 150mg,リトナビルとして 100mg を含有する配合錠を食後に経口投与(1 日 1 回),投与期間は 12 週間である. -15- (4)探索的試験 〈国内前期第Ⅱ相〉(日本人データ)10),11) 【目 的】オムビタスビル/パリタプレビル/リトナビルの安全性及び抗ウイルス活性の評価 【試験デザイン】多施設共同,無作為化,非盲検,並行群間,併用投与試験 【対 象】日本人の PegIFN/RBV 既治療の HCV ジェノタイプ 1b 又は 2 感染成人患者 110 例 【主要な組み入れ基準】HCV ジェノタイプ 1 又は 2 に慢性的に感染し,血漿中 HCV RNA 量がベースラインで 10,000IU/mL を上回る,肝硬変のない患者(肝生検により肝硬変がない,又はフィブロテスト®のスコアが 0.72 以下であり AST と血 「慢性肝炎と肝硬変の判別式」でのスコア(z)が 0 小板の比の指標が 2 以下,フィブロスキャン®の結果が 9.6kPa 未満, 未満のいずれかに該当) 【試験方法】* コホート 1(HCV ジェノタイプ 1b) 投与群 1:オムビタスビル 25mg+パリタプレビル/リトナビル 100/100mg,1 日 1 回 12 週間投与 投与群 2:オムビタスビル 25mg+パリタプレビル/リトナビル 150/100mg,1 日 1 回 12 週間投与 投与群 3:オムビタスビル 25mg+パリタプレビル/リトナビル 100/100mg,1 日 1 回 24 週間投与 投与群 4:オムビタスビル 25mg+パリタプレビル/リトナビル 150/100mg,1 日 1 回 24 週間投与 コホート 2(HCV ジェノタイプ 2) 投与群 5:オムビタスビル 25mg+パリタプレビル/リトナビル 100/100mg,1 日 1 回 12 週間投与 投与群 6:オムビタスビル 25mg+パリタプレビル/リトナビル 150/100mg,1 日 1 回 12 週間投与 *:オムビタスビル(錠剤) ,パリタプレビル(錠剤) ,リトナビル(カプセル剤)として投与. 【評価項目】 有 効 性 主要評価項目:投与終了後 24 週時点で持続性ウイルス学的著効(SVR24)が認められた被験者の割合(%) 副次的評価項目:投与終了後 12 週時点で持続性ウイルス学的著効(SVR12)が認められた被験者の割合(%),投与 12 週 及び投与 24 週でウイルス学的反応が認められた被験者の割合 薬物動態 初回投与 1 日目の Cmax,Tmax 及び AUC24(ノンコンパートメント解析により算出),パリタプレビル,オムビ タスビル及びリトナビルの血漿中濃度 ウイルス学的耐性 ウイルス学的不成功となった被験者に対して,ポピュレーションシークエンス法により塩基配列を もとにアミノ酸配列を解析し,ベースライン及び標準のプロトタイプ配列と比較 安 全 性 有害事象(治験薬投与開始から投与終了後 30 日以内に発現又は重症度が悪化したいかなる事象)が発現した 被験者数及び割合 -16- 【結 果】 安全性解析対象 110 例の患者背景は,平均 59.2(24~74)歳,男性 46%,ベースラインの HCV RNA 量 6.64(5.12~7.59) log10IU/mL であった. 有 効 性 HCV ジェノタイプ 1b 感染患者において,パリタプレビル/リトナビル(100/100mg 又は 150/100mg)1 日 1 回及びオムビ タスビル 25mg1 日 1 回を 12 週間及び 24 週間併用投与したときの SVR24 の達成率は,投与群 1,投与群 3 及び投与群 4 で 100%,投与群 2 で 88.9%であった. SVR24 率にパリタプレビルの投与量(150mg 及び 100mg)との明らかな相関はなく,部分集団解析で臨床的に意味のある 差は認められなかった.HCV ジェノタイプ 1b 感染被験者のうち,2 例が SVR24 を達成しなかった.このうち,1 例は投与 終了後の再燃であり,1 例は重篤な副作用(体液貯留)による治験薬の投与中止であった.HCV ジェノタイプ 1b 感染被験 者では,SVR24 達成後の再燃は認められなかった.また,全例が投与終了時の反応でウイルス学的著効を達成した. 投与群 1-4(ジェノタイプ 1b 感染患者)でのウイルス学的反応(SVR24)(ITT 集団) 投与群 1 投与群 2 投与群 3 投与群 4 パリタプレビル投与量(mg) 100 150 100 150 投与期間(週) 12 12 24 24 n/N(%) 18/18(100) 16/18(88.9) 19/19(100) 18/18(100) SVR24 95%信頼区間(%) 81.47,100.00 65.29,98.62 82.35,100.00 81.47,100.00 ウイルス学的不成功の理由,n 合計 0 2 0 0 治療中のウイルス学的不成功 a 0 0 0 0 投与終了後 24 週時までの再燃 0 1 0 0 副作用による投与中止 0 1 0 0 SVR24 の欠測 0 0 0 0 a:治療中のリバウンド(ブレイクスルー)及び HCV RNA の定量限界値未満への低下が認められなかったもの -17- ウイルス耐性 ベースライン時において,NS3 領域の 54,55,56,80,122 又は 168 位のアミノ酸変異を持つ被験者の SVR 率は,各ア ミノ酸変異に対応した野生型の配列を持つ被験者の SVR 率とほぼ同程度であった.ベースラインに D168E 変異を持つ 被験者は,SVR を達成した.ベースライン時に,NS5A 領域の 28,30,54,58,62 又は 92 位のアミノ酸変異を持つ被 験者の SVR 率は,各アミノ酸変異に対応する野生型の配列を持つ被験者の SVR 率とほぼ同程度であった.ベースライ ン時に L31M,Y93H の変異を持つ被験者は,いずれも SVR を達成した. ベースライン時の NS3 及び NS5A 領域の変異とそれに対応する野生型における SVR 率の比較 ベースライン変異 SVR24 率(投与群 1,2,3,4)a 変異 野生型 %(n/N)b NS3 96.0%(24/25) 97.9%(47/48) 100%(1/1) 97.2%(70/72) NS5A L28M 80.0%(4/5) 98.5%(68/69) R30Q 77.8%(7/9) 100%(65/65) L31M 100%(3/3) 97.2%(69/71) P58A 100%(1/1) 97.3%(71/73) P58L 100%(1/1) 97.3%(71/73) P58Q 100%(1/1) 97.3%(71/73) P58S 100%(3/3) 97.2%(69/71) P58T 100%(2/2) 97.2%(70/72) Y93H 100%(4/4) 97.1%(68/70) NS3:非構造タンパク質 3,NS5A:非構造タンパク質 5A,SVR:持続性ウイルス学的著効,VF:プライマリーウイル ス学的不成功(投薬中のウイルス学的リバウンドとなった,少なくとも 6 週間の投薬を受けたが HCV RNA 量抑制を 達成しなかった,又は 77 日以上の投薬を受けたが投与終了後に再燃した場合) a. VF 及び非 VF の被験者を含む. 各投与群は, 投与群 1:HCV ジェノタイプ 1b 感染被験者にオムビタスビル 25mg+パリタプレビル/リトナビル 100/100mg を 12 週間 1 日 1 回経口投与 投与群 2:HCV ジェノタイプ 1b 感染被験者にオムビタスビル 25mg+パリタプレビル/リトナビル 150/100mg を 12 週間 1 日 1 回経口投与 投与群 3:HCV ジェノタイプ 1b 感染被験者にオムビタスビル 25mg+パリタプレビル/リトナビル 100/100mg を 24 週間 1 日 1 回経口投与 投与群 4:HCV ジェノタイプ 1b 感染被験者にオムビタスビル 25mg+パリタプレビル/リトナビル 150/100mg を 24 週間 1 日 1 回経口投与 投与群 5 及び 6 において各 1 例の被験者が HCV ジェノタイプ 1b 感染被験者であったため,ジェノタイプ 1b の解析に含めた. 投与群 5:HCV ジェノタイプ 2 感染被験者にオムビタスビル 25mg+パリタプレビル/リトナビル 100/100mg を 12 週間 1 日 1 回経口投与 投与群 6:HCV ジェノタイプ 2 感染被験者にオムビタスビル 25mg+パリタプレビル/リトナビル 150/100mg を 12 週間 1 日 1 回経口投与 b. SVR 率(%):SVR を達成した被験者(n)とベースライン変異を持つ又は持たない被験者(N)の比率 Y56F D168E -18- VF の被験者における NS3 及び NS5A 変異 NS3 NS5A ベースライン VF 時の発現変異 b ベースライン VF 時の発現変異 b c 2 投与後 2 週に再燃 None D168V L28M+R30Q L28M+R30Q+Y93H NS3:非構造タンパク質 3,NS5A:非構造タンパク質 5A,VF:ウイルス学的不成功 a. 投与群 2(無反応例及び部分反応例):オムビタスビル 25mg+パリタプレビル/リトナビル 150/100mg,1 日 1 回 12 週間投与 b. VF が確認された時点から最も近い HCV RNA 量 1,000IU/mL 以上となった時点のデータ c. None:耐性に関連したアミノ酸部位に耐性が検出されなかった. 投与群 a 安 全 性 本剤の承認用量(オムビタスビル(錠剤)25mg+パリタプレビル(錠剤)150mg+リトナビル(カプセル剤)100mg,1 日 1 回)を投与された患者のうち,12 週間投与群で発現率が 10%以上(4 例以上)であった有害事象は,鼻咽頭炎(36.1%, 13/36 例)及び頭痛(16.7%,6/36 例)であった.24 週間投与群で発現率が 10%以上(2 例以上)であった有害事象は, 鼻咽頭炎(50.0%,9/18 例),発疹(16.7%,3/18 例),胃腸炎,インフルエンザ及び背部痛(それぞれ 11.1%,2/18 例) であった.12 週間投与群及び 24 週間投与群で,治験薬との因果関係「関連あり」とされ,2 例以上でみられた有害事象 は,頭痛,そう痒症及び発疹であった. 治験薬との因果関係「関連あり」とされた重篤な有害事象として,本剤の承認用量(オムビタスビル 25mg+パリタプレ ビル(錠剤)/リトナビル 150/100mg,1 日 1 回)を投与された患者の 1 例に体液貯留が認められた.この患者は Ca 拮抗 薬を併用しており,直近にグリチルリチン酸の投与を中止し,慢性気管支炎の病歴があった.本事象は約 1 ヵ月後に消 失した. 10)日本人被験者における探索的試験(第Ⅱ相臨床試験) 11)Chayama K,et al:Hepatology.61,5:1523-1532(2015) 注意:本剤の承認されている効能・効果は,セログループ 1(ジェノタイプ 1)の C 型慢性肝炎又は C 型代償性肝硬変における ウイルス血症の改善である. また,本剤の承認されている用法・用量は,オムビタスビルとして 25mg,パリタプレビルとして 150mg,リトナビルと して 100mg を含有する配合錠を食後に経口投与(1 日 1 回),投与期間は 12 週間である. -19- (5)検証的試験 1)無作為化並行用量反応試験 該当資料なし 2)比較試験 〈国内第Ⅲ相〉(日本人データ)2),12) 【目 的】本剤の有効性及び安全性の評価 【試験デザイン】多施設共同,無作為化,二重盲検プラセボ対照[サブ試験 1(投与群 A 及び B;肝硬変の認められな い患者)]及び非盲検単群[サブ試験 2(投与群 C;代償性肝硬変の認められる患者)] 【対 象】日本人の HCV ジェノタイプ 1b 感染成人患者(肝硬変有又は無)の未治療例及び既治療例 363 例 【主要な組み入れ基準】 投与群 A 及び B 肝硬変の認められない患者(肝生検で明らかに肝硬変が認められない,フィブロテスト®スコアが 0.72 以下で Aspartate Aminotransferase to Platelet Ratio Index(APRI)が 2 以下,スクリーニング時の弾性画像化検査で肝硬度 12.5 kPa 未満,慢性肝炎と肝硬変の判別式のスコアが 0 未満のいずれかに該当) 投与群 C 代償性肝硬変の認められる患者(肝生検で明らかに肝硬変が認められる,フィブロテスト®スコアが 0.73 以上 で APRI が 2 以下,スクリーニング時の弾性画像化検査で肝硬度 14.6 kPa 以上,慢性肝炎と肝硬変の判別式が 0 を上回 る,スクリーニング時に代償性肝硬変(Child-Pugh スコア≦6 と定義)が認められる) 【試験方法】 投与群 A 二重盲検下でオムビタスビル/パリタプレビル/リトナビル 25/150/100mg を 1 日 1 回,12 週間投与 投与群 B 二重盲検下でオムビタスビル/パリタプレビル/リトナビル 25/150/100mg 併用療法のプラセボを 12 週間投与し た後,非盲検下でオムビタスビル/パリタプレビル/リトナビル 25/150/100mg を 12 週間併用投与 投与群 C 非盲検下でオムビタスビル/パリタプレビル/リトナビル 25/150/100mg を 12 週間併用投与 【評価項目】 有 効 性 主要評価項目:投与群 A の IFN 製剤による治療に適格であり,ベースラインで高ウイルス量(HCV RNA 量 が 100,000IU/mL 以上)を示した肝硬変の認められない未治療例(有効性主要解析対象集団) での SVR12 率に関し,臨床的に適切な閾値に対する優越性を検証した.投与群 A の SVR12 率の 95%信頼区間下限が 63%を上回った場合,優越性が示されたこととした. 副次的評価項目:治療中のウイルス学的不成功,再燃,部分集団内での SVR12 率(投与群 A 及び C) ウイルス耐性 すべての被験者について,ベースライン時に,ポピュレーションシークエンスにより確認されたアミノ 酸配列の変異を野生型の配列と比較した.また,SVR を達成しなかった被験者について,ベースラ イン後の評価時点で,ポピュレーションシークエンス及び/又はクローンシークエンスにより確認さ れた各アミノ酸配列の変異をベースライン時の配列及び野生型の配列と比較した. 安 全 性 有害事象,バイタルサイン,身体所見,心電図及び臨床検査の結果に基づき安全性及び忍容性を評価 -20- 【結 果】 安全性解析対象集団 365 例の患者背景 例数 男性(%) 年齢*(歳) ベースラインの HCV RNA 量* (log10IU/mL) * 平均値(最小値~最大値) 投与群 A 215 37.2 61.1(29.0~76.0) 投与群 B 106 44.3 61.5(27.0~75.0) 投与群 C 42 47.6 61.8(38.0~76.0) 6.74(4.61~7.72) 6.68(4.27~8.01) 6.72(4.27~8.01) 有 効 性 有効性主要解析対象集団であるベースラインで高ウイルス量(HCV RNA 量が 100,000IU/mL 以上)を示した未治療の C 型慢性肝炎患者における SVR12 率は 94.6%(106/112 例,95%信頼区間:90.5%,98.8%)であり,信頼区間下限は事前 に規定した優越性の閾値(63%)を上回っていた.従って,ヴィキラックスはテラプレビル,Peg-IFN 及びリバビリンの ヒストリカル SVR12 率に基づく臨床的に適切な閾値に対して優越性を示した.各投与群,部分集団別の SVR 率を下表 に示す. オムビタスビル/パリタプレビル/リトナビル 25/150/100mg 1 日 1 回を投与した被験者の SVR12 及び SVR24(部分集団ご と,サブ試験 1 及び 2 の ITT 集団) オムビタスビル/パリタプレビル/リトナビル 25/150/100mg1 日 1 回の 12 週間投与 a 部分集団 b SVR12 n/N(%) 95%信頼区間 SVR24 c n/N(%) 95%信頼区間 c 肝硬変なし(サブ試験 1) 204/215(94.9) 91.1,97.1 203/215(94.4) 90.5,96.8 未治療例 131/139(94.2) 89.1,97.1 130/139(93.5) 88.2,96.6 主要評価項目の解析対象集団 (IFN 製剤による治療の適格例 106/112(94.6) 90.5,98.8 105/112(93.8) 87.7,96.9 -高ウイルス量 d) 低ウイルス量 d 6/6(100) 61.0,100 ― ― IFN 製剤による治療の不適格例 21/23(91.3) 73.2,97.6 ― ― IFN 製剤による既治療例 73/76(96.1) 89.0,98.6 73/76(96.1) 89.0,98.6 再燃例 21/22(95.5) 78.2,99.2 ― ― 無効例 28/28(100) 87.9,100 ― ― 不耐容例 24/26(92.3) 75.9,97.9 ― ― 肝硬変あり(サブ試験 2) 38/42(90.5) 77.9,96.2 38/42(90.5) 77.9,96.2 ITT 集団:無作為化割付けを行い治験薬を投与したすべての被験者集団,LLOQ:定量下限(HCV RNA 量が 25IU/mL), SVR:持続性ウイルス学的著効(HCV RNA 量が LLOQ 未満),SVR12:治験薬の実際の最終投与から 12 週間が経過し た時点の持続性ウイルス学的著効,肝硬変なし:肝硬変の認められない被験者,肝硬変あり:代償性肝硬変の認めら れる被験者 a. 投与群 A(肝硬変なし)及び C(肝硬変あり) b. 集計条件によって複数の部分集団(例:低ウイルス量と IFN 製剤による治療の不適格例)に被験者データを計上 した.その結果,未治療例の部分集団ごとの被験者数の総和は,未治療例の被験者の全体数を上回っている. c. Wilson スコア法で 95%信頼区間を算出した. d. 高ウイルス量は HCV RNA 量が 100,000IU/mL 以上と,低ウイルス量は HCV RNA 量が 100,000IU/mL 未満と定義した. -21- パリタプレビル/リトナビル/オムビタスビル 150/100/25mg を 1 日 1 回投与した被験者でのウイルス学的反応(SVR12, 部分集団ごと,DB 治療期にプラセボを投与した後,OL 治療期に実薬を投与した肝硬変の認められない被験者(投与群 B の OL 集団) ) サブ試験 1(肝硬変なし)投与群 B の OL 集団 OL 治療期のパリタプレビル/リトナビル/ オムビタスビル 150/100/25mg の 1 日 1 回投与例 N=106 a n/N(%) 95%信頼区間 b 全被験者 104/106(98.1) 93.4,99.5 未治療例 67/68(98.5) 92.1,99.7 IFN 製剤による治療の適格例-高ウイルス量 56/56(100) 93.6,100 低ウイルス量 2/2(100) 34.2,100 IFN 製剤による治療の不適格例 9/10(90.0) 59.6,98.2 IFN 製剤による既治療例 37/38(97.4) 86.5,99.5 再燃例 10/11(90.9) 62.3,98.4 無効例 14/14(100) 78.5,100 不耐容例 13/13(100) 77.2,100 LLOQ:定量下限(HCV RNA 量が 25IU/mL 又は 1.39794log10IU/mL),DB 治療期:二重盲検治療期,OL 集団:非盲検 集団,OL 治療期:非盲検治療期,RNA:リボ核酸,SVR:持続性ウイルス学的著効(HCV RNA 量が LLOQ 未満), SVR12:治験薬の実際の最終投与から 12 週間が経過した時点の持続性ウイルス学的著効,肝硬変なし:肝硬変の認め られない被験者 a. 集計条件によって複数の部分集団に被験者データを計上する可能性があった(例:IFN 製剤による治療に適格で あり,ベースラインで低ウイルス量を示す未治療例は,未治療例-低ウイルス量と未治療例-IFN 製剤による治 療の適格例の両方に該当する).しかし,投与群 B では複数の部分集団の選択基準に該当する被験者はいなかった. b. Wilson スコア法で 95%信頼区間を算出した. 注 高ウイルス量は HCV RNA 量が 100,000IU/mL 以上と,低ウイルス量は HCV RNA 量が 100,000IU/mL 未満と定義 した.DAA2 剤は 12 週間投与した. SVR12 を達成しなかった理由 投与群 B* 投与群 A 投与群 C 理由の区分,n/N(%) 非肝硬変患者 代償性肝硬変患者 非肝硬変患者 (215 例) (42 例) (106 例) SVR12 を達成しなかった被験者 5.1(11/215) 1.9(2/106) 9.5(4/42) 治療中のウイルス学的不成功 a 0.5(1/215) 0.9(1/106) 2.4(1/42) 投与終了後 12 週までの再燃 b 2.4(5/209) 1.0(1/105) 5.0(2/40) 治験薬の投与中止 2.3(5/215) 0 0 データの欠測 0 0 2.4(1/42) a. 治療中のウイルス学的不成功は,ウイルス学的リバウンド(HCV RNA 量が一旦 LLOQ 未満に低下した後,治療 中に LLOQ 以上となったことが認められた,又は治療中の任意の時点で HCV RNA 量の最低値からの増加[最低 値と比べ 1log10IU/mL を上回る高値]が認められた)となった場合,又は治療を 6 週間以上行ったが HCV RNA 量の LLOQ 未満への低下の不達成(治療中の HCV RNA 量がいずれも LLOQ 以上)となった場合と定義した. b. 投与終了後 12 週までの再燃は,DB 治療期の治験薬の投与終了時点で HCV RNA 量が LLOQ 未満であったが,治 験薬(実薬)の実際の投与終了から投与終了後 12 週までに測定した HCV RNA 量が LLOQ 以上となった場合と 定義した. * DB 治療期にプラセボを投与した後,OL 治療期に実薬を投与した肝硬変の認められない被験者(投与群 B の OL 集団) -22- ウイルス耐性 ベースライン時において,NS3 領域の 54,55,56,80,122 又は 168 位のアミノ酸変異を持つ被験者の SVR 率は,各ア ミノ酸変異に対応した野生型の配列を持つ被験者の SVR 率とほぼ同程度であった.ベースラインに D168E 変異を持つ 被験者は,いずれも SVR を達成した. ベースライン時に,NS5A 領域の 28,30,54,58,62 又は 92 位のアミノ酸変異を持つ被験者の SVR 率は,各アミノ酸 変異に対応する野生型の配列を持つ被験者の SVR 率とほぼ同程度であった. ベースライン時に L31F/I/M の変異をもつ 8/9 例(88.9%)の被験者は,いずれも SVR を達成し,SVR を達成しなかった 1/9 例の被験者には,Y93H 及び L31M の変異がみられた.ベースライン時に NS5A 領域の Y93H/S 変異を持つ被験者は, 14.0%(50/357 例)であり,ベースラインにおける Y93H/S 変異を持つ被験者の SVR 率は,投与群 A86.7%(26/30 例) , 投与群 B80.0%(8/10 例),投与群 C71.4%(5/7 例)であった. -23- ベースライン時の NS3 及び NS5A 耐性変異と対応する野生型における SVR 率の比較 ベースライン変異 NS3 T54S V55I Y56F Q80H/K/L/R S122?/A/C/G/I/N/T/ V/Yc D168E SVR12 率 SVR12 率 SVR12 率 サブ試験 2,投与群 B サブ試験 2,投与群 C サブ試験 1,投与群 A (肝硬変の認められない被験者) (肝硬変の認められない被験者) (代償性肝硬変の被験者) 非盲検,オムビタスビル/ 非盲検,オムビタスビル/ 盲検,オムビタスビル/パリタ パリタプレビル/リトナビル パリタプレビル/リトナビル プレビル/リトナビル 1 日 1 回 1 日 1 回投与 a 1 日 1 回投与 a 投与 a 変異 野生型 P値 変異 野生型 P値 変異 野生型 P値 %,(n/N)b %,(n/N)b %,(n/N)b 100% (12/12) 100% (1/1) 97.4% (76/78) 96.3% (26/27) 96.2% (76/79) 100% (3/3) 96.9% 1.0 (188/194) 97.1% 1.0 (199/205) 96.9% 1.0 (124/128) 97.2% 0.574 (174/179) 97.6% 0.677 (124/127) 97.0% 1.0 (197/203) 100% (1/1) 98.0% (100/102) - - 97.4% 98.5% (37/38) (64/65) 91.7% 98.9% (11/12) (90/91) 97.3% 98.5% (36/37) (65/66) - - 1.0 1.0 0.22 1.0 100% (1/1) 91.7% (33/36) - - 90.9% (10/11) 100% (4/4) 83.3% (15/18) 100% (1/1) 92.3% (24/26) 90.9% (30/33) 100% (19/19) 91.7% (33/36) 1.0 1.0 1.0 0.105 1.0 NS5A 100% 91.7% 92.3% 98.9% 100% 96.8% 1.0 0.235 1.0 (4/4) (33/36) (12/13) (90/91) (18/18) (183/189) 100% 91.7% 94.7% 98.8% 100% 96.7% 1.0 0.333 1.0 R30G/L/Q (4/4) (33/36) (18/19) (84/85) (25/25) (176/182) 50.0% 94.7% 100% 98.0% 100% 97.0% 0.146 1.0 1.0 L31F/I/M (1/2) (36/38) (2/2) (100/102) (5/5) (196/202) 95.2% 89.5% 97.8% 98.3% Q54*/A/C/D/E/H/K 98.8% 96.0% 0.596 1.0 0.406 (20/21) (17/19) (45/46) (57/58) /L/N/P/R/S/V/Yc (81/82) (120/125) 100% 92.1% 100% 97.9% 100% 96.9% 1.0 1.0 1.0 P58A/L/Q/R/S/T (2/2) (35/38) (9/9) (93/95) (14/14) (187/193) 100% 92.1% 100% 98.0% Q62A/C/D/E/H/L/ 96.3% 97.2% 1.0 1.0 0.572 (2/2) (35/38) (6/6) (96/98) M/N/P/R/S/Y (26/27) (175/180) 80.0% 94.3% 100% 97.9% 100% 96.9% 0.338 1.0 1.0 A92E/M/S/T/V (4/5) (33/35) (7/7) (95/97) (14/14) (187/193) 86.7% 98.9% 0.004 80.0% 100% 0.008 71.4% 97.0% 0.074 Y93H/S (26/30) (175/177) ** (8/10) (94/94) ** (5/7) (32/33) LLOQ=定量限界下限(HCV RNA 量が 25IU/mL 又は 1.39794log10IU/mL),VF=プライマリーウイルス学的不成功, SVR=持続性ウイルス学的著効(投薬前又は投薬中に LLOQ 以上の HCV RNA 量が認められ,定義された期間中の HCV RNA 量が LLOQ 未満),SVR12=治験薬の最終投与から 12 週間が経過した時点の持続性ウイルス学的著効 a. Non-VF の被験者は,解析から除外した. b. SVR12 率(%) :SVR12 を達成した被験者(n)とベースライン変異を持つ又は持たない被験者(N)の比率 c. ?:技術的な問題からアミノ酸配列が同定されず,*:終止コドン ** :変異及び野生型の SVR12 率にフィッシャー直接検定により統計学的有意差あり(P<0.01) L28I/M/V -24- VF の被験者における NS3 及び NS5A 耐性関連変異 NS3 NS5A ベースライン VF 時の発現変異 b ベースライン VF 時の発現変異 b A 6 週にリバウンド None Y56H+D168V None Y93H A 投与後 2 週に再燃 None Y56H+D168V Y93H/Y Y93H A 投与後 4 週に再燃 None D168V None Y93H A 投与後 2 週に再燃 None D168D/V Y93H Y93H A 投与後 12 週に再燃 None D168V Y93H/Y P58S+Y93H A 投与後 8 週に再燃 None None Y93H/Y R30Q+Y93H A 投与後 24 週に再燃 None D168V Y93H/Y Y93H B 12 週にリバウンド None Y56H,D168V Y93H P58S,Y93H B 投与後 2 週に再燃 None Y56H,D168A L28M,R30Q,Y93H/Y L28M,R30Q,Y93H C 投与後 8 週に再燃 None D168D/V L31M,Y93H/Y L31M+Y93H C 10 週にリバウンド None Y56H/Y,D168A Y93H L31V+Y93H C 投与後 8 週に再燃 None D168V None L31F NS3:非構造タンパク質 3,NS5A:非構造タンパク質 5A,VF:ウイルス学的不成功 a. サブ試験 1 投与群 A 及び投与群 B(肝硬変の認められない患者) :オムビタスビル 25mg+パリタプレビル/リトナ ビル 150/100mg,1 日 1 回 12 週間投与 サブ試験 2 投与群 C(代償性肝硬変の認められる患者):オムビタスビル 25mg+パリタプレビル/リトナビル 150/100mg,1 日 1 回 12 週間投与 b. VF が確認された時点から最も近い HCV RNA 量 1,000IU/mL 以上となった時点のデータ 投与群 a 安 全 性 本剤との関連が否定できない副作用(臨床検査値異常を含む)は 363 例中 105 例(28.9%)であった.主な副作用とし て末梢性浮腫 15 例(4.1%),頭痛 12 例(3.3%),悪心 10 例(2.8%)が認められた. (「Ⅷ.8.(4) 項目別副作用発現頻 度及び臨床検査値異常一覧」の項参照) 肝硬変の有無にかかわらず,血液学的検査値,バイタルサイン及び心電図において臨床的に重要な異常所見はみられな かった. 因果関係が「関連あり」とされた重篤な有害事象は,3 例に認められた.投与群 A の 1 例は,高血圧の病歴がありバル サルタン及びニフェジピンで治療中であった.この患者は投与 2 日目に発現した低血圧により入院し治験薬の投与を中 止した.本事象は投与 9 日目に消失した.また,この症例とは別の投与群 A の 1 例では,高血圧に対してアンジオテン シンⅡ受容体拮抗薬及び Ca 拮抗薬で治療中であった.具体的には,高血圧症を含む合併症等に対してニフェジピン,バ クロフェン,テルミサルタン,ロキソプロフェン及びウルソデオキシコール酸等を併用していた.この患者は投与 2 日 目に発現した無尿により入院し同日に治験薬の投与を中止した.本事象は投与 4 日目に消失した.投与群 C の 1 例では, 投与 25 日目に発現した肺水腫により入院し,投与 28 日目に治験薬の投与を中止した.この患者は高血圧,扁平苔癬及 び汗孔角化症を有し,アムロジピン,イルベサルタン,グリチルリチン酸製剤を併用し,呼吸器感染症様の症状から成 人呼吸窮迫症候群を呈した.本事象は治験薬投与中止後に消失した. 2)社内資料:日本人被験者における有効性試験(第Ⅲ相臨床試験) 12)Kumada H,et al:Hepatology,doi:10.1002/hep.27972(2015) 3)安全性試験 該当資料なし 4)患者・病態別試験 該当資料なし -25- (6)治療的使用 1)使用成績調査・特定使用成績調査(特別調査)・製造販売後臨床試験(市販後臨床試験) 該当しない 2)承認条件として実施予定の内容又は実施した試験の概要 該当しない -26- Ⅵ.薬効薬理に関する項目 1.薬理学的に関連ある化合物又は化合物群 抗ウイルス剤:テラプレビル,シメプレビルナトリウム,アスナプレビル,ダクラタスビル塩酸塩,レジパスビル,ソ ホスブビル 2.薬理作用 (1)作用部位・作用機序 13),14) オムビタスビルは,ウイルス複製に必須な HCV NS5A 阻害剤である.パリタプレビルは,HCV 遺伝子にコードされる 複合タンパク質のプロセシングをつかさどる HCV NS3/4A プロテアーゼの阻害剤である.リトナビルは,パリタプレビ ルの代謝を抑制し血漿中濃度を上昇させる. (2)薬効を裏付ける試験成績 1)抗ウイルス活性 15),16),17),18),19) オムビタスビル(in vitro) オムビタスビルは,HCV レプリコン細胞においてレプリコン複製を阻害し,ジェノタイプ 1a(H77 由来)及び 1b(Con1 由来)に対する EC50 値は,それぞれ,14.1 及び 5.0pmol/L であった.また,オムビタスビルは,HCV ジェノタイプ 2a, 2b,3a,4a,5a 及び 6a 由来の NS5A を含むレプリコン細胞においてもレプリコン複製を阻害し,EC50 値は,それぞれ, 12,4.3,19,1.7,3.2 及び 366pmol/L であった. パリタプレビル(in vitro) 酵素阻害試験において,パリタプレビルは HCV ジェノタイプ 1a 及び 1b NS3 プロテアーゼを阻害し,IC50 値は,それぞ れ,0.18 及び 0.43nmol/L であった.また,パリタプレビルは,HCV ジェノタイプ 2a,2b,3a 及び 4a 由来の精製 NS3 プロテアーゼも阻害し,その IC50 値は,それぞれ,2.4,6.3,14.5 及び 0.16nmol/L であった.これとは別にパリタプレ ビルは,HCV レプリコン細胞においてレプリコン複製を阻害し,ジェノタイプ 1a(H77 由来)及び 1b(Con1 由来)に 対する EC50 値は,それぞれ,1.0 及び 0.21nmol/L であった.また,パリタプレビルは,ジェノタイプ 2a(JFH-1 由来) レプリコン細胞においてもレプリコン複製を阻害し,EC50 値は 5.3nmol/L であった.しかしながらリトナビルは,レプ リコン細胞において抗 HCV 活性を示さず,またパリタプレビルの抗 HCV 活性に影響を与えなかった. オムビタスビルとパリタプレビルは併用により,HCV ジェノタイプ 1 レプリコン細胞において,検討したほとんどの濃 度で相加的ないし相乗的な併用効果を示した. 2)薬剤耐性 2),16),18),20) 国内第Ⅲ相臨床試験では,ジェノタイプ 1b の HCV に感染した C 型慢性肝炎患者を対象にヴィキラックスを投与した. しかし,ウイルス学的不成功による SVR12 未達成の患者でオムビタスビルに対する耐性変異(NS5A 領域の L31F, Y93H, R30Q 単独,あるいは L31M/V または P58S および Y93H との二重変異)およびパリタプレビルに対する耐性変異(NS3 領域の D168V 単独または Y56H との二重変異)がウイルス学的不成功時点で認められた. これとは別に,HCV ジェノタイプ 1b レプリコン細胞をオムビタスビルまたはパリタプレビル存在下で継代培養したと きにも変異が発現した.認められた変異は,それぞれ NS5A または NS3 領域のアミノ酸置換であった.NS5A 領域の変 異を具体的に記すと,オムビタスビル存在下の継代培養で Y93H 単独,Y93H と R30Q または L31M との二重変異が認め られた.耐性試験では,L31F または Y93H の単独変異によりオムビタスビルに対する耐性はそれぞれ 10 倍,77 倍に上 昇し,Y93H と R30Q または L31M/V との二重変異では 142~12,328 倍にまで上昇した. -27- HCV ジェノタイプ 1b レプリコン細胞における NS3 領域の耐性変異の検討 EC50 GT1bNS3 例数 アミノ酸変異 (nmol/L±標準偏差) 1b-Con1 野生型 12 0.11±0.05 T54A 4 0.09±0.01 T54S 4 nd V55A 4 0.07±0.0 Y56H 6 nd R155K 4 4.4±0.1 R155Q 4 nd A156S 4 0.06±0.01 A156T 4 0.81±0.13 D168A 6 3.0±0.2 D168E 4 0.48±0.05 D168H 4 8.3±3.3 D168K 4 96±3 D168T 4 5.4±0.6 D168V 4 17±2 D168Y 4 37±11 V170A 4 0.09±0.03 Y56H+D168A 6 77±1.4 Y56H+D168V 6 272±48 Y56H+D168Y 6 453±85 nd:複製量が低いため評価せず EC90 (nmol/L±標準偏差) 0.26±0.07 0.41±0.04 nd 0.31±0.05 nd 17±3 nd 0.30±0.01 3.4±0.6 11.0±0.3 1.1±0.2 16±7 203±8 15±0.3 40±6 57±32 0.29±0.15 219±51 519±69 591±55 耐性度 (野生型 EC50 との比) 0.8 nd 0.6 nd 40 nd 0.5 7 27 4 76 882 49 159 337 1 700 2472 4118 複製量 (%) 100 59 <0.5 14 <0.5 73 <0.5 61 19 69 80 108 50 129 157 70 64 6 22 8 HCV ジェノタイプ 1b-Con1 レプリコン細胞における NS5A 領域の耐性変異の検討 EC50 GT1bNS5A 例数 アミノ酸変異 (pmol/L±標準偏差) 1b-Con1 野生型 12 0.79±0.25 L28T 5 522±279 R30Q 4 0.31±0.23 L31F 3 7.6±3.8 L31M 3 0.7±0.3 L31V 4 6.6±1.2 Y93H 9 60±22 L28M+Y93H 3 328±231 R30Q+Y93H 4 224±51 L31F+Y93H 4 8115±2070 L31M+Y93H 3 112±16 L31V+Y93H 4 9739±1122 nd:複製量が低いため評価せず EC90 (pmol/L±標準偏差) 1.6±0.5 34234±2254 0.85±0.53 23±12 1.2±0.7 29±8 254±66 1213±586 737±242 63695±7516 572±123 46766±7500 耐性度 (野生型 EC50 との比) 661 0.4 10 0.9 8 77 415 284 10272 142 12328 複製量 (%) 100 17 nd 127 119 86 73 104 60 35 11 24 3)交差耐性 21) NS3/4A プロテアーゼ阻害薬に対する耐性変異を導入した HCV レプリコン細胞においてオムビタスビルの阻害活性は保 たれ,逆に NS5A 阻害薬に対する耐性変異を導入した HCV レプリコン細胞においては,パリタプレビルの阻害活性は保 たれた. (3)作用発現時間・持続時間 該当資料なし -28- Ⅶ.薬物動態に関する項目 1.血中濃度の推移・測定法 (1)治療上有効な血中濃度 該当資料なし (2)最高血中濃度到達時間 「Ⅶ.1.(3) 臨床試験で確認された血中濃度」の項参照 (3)臨床試験で確認された血中濃度 1)単回投与(日本人データ)22) 健康成人におけるオムビタスビル/パリタプレビル/リトナビル配合錠を 25/150/100mg 空腹時及び非絶食時単回経口投与 後のオムビタスビル,パリタプレビル,リトナビルの薬物動態パラメータを下表に示す. 健康成人における本剤(25mg/150mg/100mg)単回経口投与後のオムビタスビル,パリタプレビル,リトナビルの薬物動 態パラメータ 空腹時(20 例) 高脂肪朝食(20 例) オムビタスビル 59.0(27) 115(26) 4.0(3.0~6.0) 5.0(4.0~6.0) 847(26) 1,462(20) 24.2(18.6~41.6) 23.5(18.5~36.1) パリタプレビル Cmax(ng/mL) 321(123) 1,598(68) Tmax(h) 4.0(2.0~6.0) 5.0(4.0~8.0) AUC∞(ng・h/mL) 2,383(117) 7,822(68) t1/2(h) 5.7(3.5~11.1) 5.4(4.0~8.9) リトナビル Cmax(ng/mL) 881(62) 1,203(37) Tmax(h) 4.0(2.0~5.0) 5.0(4.0~6.0) AUC∞(ng・h/mL) 5,553(52) 7,465(38) t1/2(h) 4.3(3.3~5.5) 3.9(3.1~6.3) Cmax 及び AUC∞:幾何平均(CV%) Tmax:中央値(範囲) t1/2:調和平均(範囲) Cmax(ng/mL) Tmax(h) AUC∞(ng・h/mL) t1/2(h) 最小二乗幾何平均比 (90%信頼区間) 1.953(1.681,2.269) ‐ 1.725(1.522,1.956) ‐ 4.982(3.253,7.628) ‐ 3.283(2.362,4.563) ‐ 1.366(1.031,1.809) ‐ 1.344(1.097,1.647) ‐ 2)反復投与(日本人データ)23) 健康成人 24 例にオムビタスビル/パリタプレビル/リトナビル配合錠 25mg/150mg/100mg を 1 日 1 回 14 日間食後反復経口 投与した.オムビタスビル,パリタプレビル,リトナビルの曝露量は 9~12 日後に定常状態に到達した.オムビタスビ ル,パリタプレビル,リトナビルの 14 日目の薬物動態パラメータを下表に示す. 健康成人における本剤(25mg/150mg/100mg)1 日 1 回 14 日間反復経口投与後のオムビタスビル,パリタプレビル,リト ナビルの薬物動態パラメータ オムビタスビル パリタプレビル Cmax(ng/mL) 154(21) 3,840(46) Tmax(h) 5.0(14) 4.3(28) AUC24(ng・h/mL) 1,558(21) 19,625(49) C24(ng/mL) 29.7(23) 37.8(46) Cmax,AUC24 及び C24:幾何平均(CV%) Tmax:平均(CV%) -29- リトナビル 1,748(19) 4.0(16) 9,707(23) 19.3(51) 3)肝機能障害患者(外国人データ)24) HCV 非感染の軽度肝機能障害患者(Child-Pugh 分類 A,スコア 5~6),中等度肝機能障害患者(Child-Pugh 分類 B,ス コア 7~9)及び重度肝機能障害患者(Child-Pugh 分類 C,スコア 10~15)において,オムビタスビル(錠剤),パリタ プレビル(錠剤),リトナビル(カプセル剤),dasabuvir(国内未承認)の単回併用投与時の薬物動態を検討した. 肝機能正常者と比較し,軽度肝機能障害患者において,オムビタスビル,パリタプレビル,リトナビルの AUC はそれぞ れ 8%,29%及び 34%減少した. 肝機能正常者と比較し,中等度肝機能障害患者において,オムビタスビル,リトナビルの AUC は共に 30%減少したが, パリタプレビルの AUC は 62%増加した. 肝機能正常者と比較し,重度肝機能障害患者において,オムビタスビルの AUC は 54%減少し,パリタプレビル,リト ナビルの AUC はそれぞれ 950%及び 13%増加した. 4)腎機能障害患者(外国人データ)25) HCV 非感染の軽度(CLcr:60~89mL/min),中等度(CLcr:30~59mL/min)及び重度(CLcr:15~29mL/min)の腎機能 障害患者において,オムビタスビル,パリタプレビル,リトナビル単回投与時の薬物動態を検討した. 腎機能正常者と比較し,軽度腎機能障害患者のオムビタスビルの平均 Cmax 及び AUC は同程度(1~9%の変化),パリタ プレビルの平均 Cmax 及び AUC は同程度(11%の変化),リトナビルの平均 Cmax 及び AUC は 28~40%高い値であった. 腎機能正常者と比較し,中等度腎機能障害患者のオムビタスビルの平均 Cmax 及び AUC は同程度(2~14%の変化),パ リタプレビルの平均 Cmax 及び AUC は同程度(19%までの変化),リトナビルの平均 Cmax 及び AUC は 51~76%高い値で あった. 腎機能正常者と比較し,重度腎機能障害患者のオムビタスビルの平均 Cmax 及び AUC は同程度(2~18%の変化),パリ タプレビルの平均 Cmax は 22%低く AUC は 25%高く,リトナビルの平均 Cmax 及び AUC は 71~108%高い値であった. 5)C 型慢性肝炎患者(日本人データ)10) 【試験方法】「Ⅴ.3.(4) 探索的試験」の項参照 リトナビル併用パリタプレビルの薬物動態 日本人 HCV ジェノタイプ 1b 感染患者にパリタプレビル(錠剤)/リトナビル(カプセル剤)を 1 日 1 回 100/100mg 又は 150/100mg の用量でオムビタスビル(錠剤)25mg と併用投与したときのパリタプレビル及びリトナビルの薬物動態を検 討した. 試験 1 日目におけるパリタプレビル及びリトナビルの薬物動態パラメータの幾何平均値(CV%) 薬物動態パラメータ(単位) Cmax(ng/mL) Tmax(h) AUC24(ng・h/mL) Tmax:算術平均 パリタプレビル 100/100mg 150/100mg (37 例) (36 例) 707(74) 1,920(90) 3.78(27) 3.92(31) 6,300(81) 16,000(73) リトナビル 100/100mg (37 例) 956(61) 4.41(30) 9,930(63) 150/100mg (36 例) 821(69) 6.56(98) 8,850(60) 健康人と同じように,日本人 HCV 感染患者においてパリタプレビルは用量の増加と共に比例関係を上回る曝露量の増加 を示した.試験 1 日目においてリトナビルの AUC24 の平均値はパリタプレビル用量 100 mg との併用時と 150 mg との併 用時の間で同程度であった. -30- オムビタスビルの薬物動態 日本人 HCV ジェノタイプ 1b 感染患者にオムビタスビル(錠剤)を 25mg の用量で 1 日 1 回パリタプレビル(錠剤)/リ トナビル(カプセル剤)100/100mg 又は 150/100mg と併用投与したときのオムビタスビルの薬物動態を評価した. 試験 1 日目におけるオムビタスビルの薬物動態パラメータの幾何平均値(CV%) オムビタスビル(25mg) 薬物動態パラメータ(単位) パリタプレビル/リトナビル(100/100mg) パリタプレビル/リトナビル(150/100mg) (37 例) (36 例) Cmax(ng/mL) 129(34) 125(32) Tmax(h) 4.16(26) 4.28(27) AUC24(ng・h/mL) 1,500(28) 1,430(29) Tmax:算術平均 日本人 HCV ジェノタイプ 1b 感染患者において用量 25mg でのオムビタスビルの曝露量はパリタプレビルの 100mg 投与 群と 150mg 投与群との間で同程度であった. 注意:本剤の承認されている用法・用量は,オムビタスビルとして 25mg,パリタプレビルとして 150mg,リトナビルとして 100mg を含有する配合錠を食後に経口投与(1 日 1 回),投与期間は 12 週間である. (4)中毒域 該当資料なし (5)食事・併用薬の影響 1)食事の影響(日本人データ及び外国人データ)22),26) 日本人健康成人 20 例に高脂肪朝食*と共にオムビタスビル/パリタプレビル/リトナビル配合錠を投与したところ,オムビ タスビル,パリタプレビル,リトナビルの曝露量は空腹時投与で認められた曝露量に比べて,各々2 倍,3~5 倍,1.4 倍 になった.また,空腹時にオムビタスビル/パリタプレビル/リトナビル配合錠を投与したときに比べて,オムビタスビル 及びパリタプレビルの Tmax の平均値は約 1.0 時間遅延したが,リトナビルでは約 1.5 時間遅延した.外国人被験者を対象 として中程度脂肪食**又は高脂肪朝食***の影響を検討した試験では日本人における高脂肪朝食摂取時の影響と合致し た.カロリーや脂肪含量は曝露量の増加に顕著な影響を及ぼさなかった.したがって,吸収を最大化するためにオムビ タスビル/パリタプレビル/リトナビル配合錠を食後に投与するべきである. *:903kcal,総カロリーの 35%は脂肪由来 **:617kcal,総カロリーの 28.9%は脂肪由来 ***:917kcal,総カロリーの 59.6%は脂肪由来 2)併用薬の影響 ①in vitro データ パリタプレビルは主に CYP3A4,副次的に CYP3A5 で代謝される.リトナビルは主に CYP3A で代謝され,副次的に CYP2D6 で代謝される.パリタプレビル及びリトナビルは CYP3A4 基質であり,CYP3A4 誘導作用を有する薬剤との併 用により,血中濃度が低下し治療効果が減弱するおそれがある.パリタプレビル及びリトナビルの血中濃度は CYP3A4 阻害作用を有する薬剤(ケトコナゾール等)により上昇するおそれがある.オムビタスビル,パリタプレビル,リトナ ビルは臨床用量において CYP1A2,2B6,2C8,2C9,2D6 を阻害しなかった.リトナビルは CYP2C19 で代謝される薬剤 の血中濃度を低下させるおそれがある. -31- ②臨床試験(日本人及び外国人データ) 併用薬がオムビタスビルの薬物動態に及ぼす影響 併用薬 用量(mg) 本剤(オムビタスビ ル/パリタプレビル/ リトナビル) 用量 (mg) 例 数 オムビタスビルの薬物動態パラメータ比 併用薬併用/非併用時(90%信頼区間) AUC Cmax ワルファリン 5 単回 27) 11 1.047(0.989,1.109) 1.025(0.949,1.107) プラバスタチン 10 QD28) 11 0.944(0.878,1.016) 0.975(0.898,1.058) 25/150/100 QD ロスバスタチン 5 QD28) 12 0.876(0.832,0.923) 0.888(0.812,0.971) ジゴキシン 0.5 単回 29) 11 1.016(0.978,1.056) 0.993(0.946,1.041) ケトコナゾール 400 QD30) 25/150/100 単回 12 1.256(1.197,1.318) 0.978(0.923,1.036) アタザナビル 300 QD31) 10 0.911(0.814,1.020) 0.834(0.742,0.937) ロピナビル・リトナビル 18 1.252(1.188,1.319) 1.071(1.012,1.134) 400・100 BID32)* ロピナビル・リトナビル 11 1.093(1.003,1.193) 0.970(0.867,1.084) 800・200 QPM b,32)* エムトリシタビン・テノホビル 9 0.999(0.944,1.058) 0.966(0.889,1.049) 200・300 QD33) 25/150/100 QD 34) ダルナビル 800 QD 9 1.006(0.910,1.113) 1.008(0.868,1.171) ダルナビル/リトナビル 7 0.727(0.659,0.801) 0.757(0.653,0.878) 600 BID/100 QPM a,b,34) c, 35) リルピビリン 25 QD 10 1.088(1.037,1.141) 1.105(1.022,1.195) 36)* シクロスポリン 10 単回 12 1.096(1.071,1.122) 1.061(1.016,1.109) タクロリムス 0.5 単回 37)* 11 0.954(0.913,0.995) 0.942(0.891,0.996) カルバマゼピン 200 BID a,38) 25/150/100 単回 12 0.685(0.635,0.739) 0.690(0.607,0.784) オメプラゾール 40 QD39) 12 0.996(0.883,1.124) 0.960(0.807,1.144) エスシタロプラム 10 単回 40) 11 1.031(1.000,1.062) 1.157(1.087,1.232) デュロキセチン 60 単回 40) 12 1.043(0.996,1.092) 1.035(0.922,1.162) エチニルエストラジオール/ 9 0.966(0.814,1.147) 1.047(0.811,1.352) norgestimate0.035/0.25 QD d,41) ノルエチステロン 0.35 QD a,41) 12 0.990(0.941,1.041) 1.003(0.934,1.077) アムロジピン 5 単回 a,42) 14 1.003(0.971,1.037) 1.002(0.948,1.059) 25/150/100 QD フロセミド 20 単回 a,42) 12 1.065(1.009,1.124) 1.136(1.025,1.260) アルプラゾラム 0.5 単回 a,43) 12 0.998(0.960,1.037) 0.983(0.928,1.040) ゾルピデム 5 単回 a,43) 12 1.034(1.000,1.069) 1.071(0.998,1.149) ウルソデオキシコール酸 50 TID e,23) 12 0.968(0.935,1.001) 0.951(0.907,0.997) グリチルリチン 80 QD e,23) 12 1.026(0.994,1.059) 1.025(0.961,1.094) ジアゼパム 2 単回 a,44) 12 0.975(0.927,1.025) 0.999(0.928,1.076) 国内未発売の薬剤を含む a:本剤/dasabuvir(国内未承認)のデータ b:本剤投与約 12 時間後にロピナビル/リトナビル(800/200mg QPM)とダルナビル/リトナビル(600/100mg QPM)を 投与した. c:朝食後に本剤/dasabuvir(国内未承認)とリルピビリンを併用. d:本剤/dasabuvir(国内未承認)(3 例)又は本剤(6 例)とエチニルエストラジオール及び norgestimate との併用. e:日本人データ QD:1 日 1 回投与,QPM:1 日 1 回午後投与,BID:1 日 2 回投与,TID:1 日 3 回投与 *:パリタプレビルの錠剤を使用.市販製剤はオムビタスビル/パリタプレビル/リトナビル配合錠である. -32- 併用薬がパリタプレビルの薬物動態に及ぼす影響 併用薬 用量(mg) ワルファリン 5 単回 27) プラバスタチン 10 QD28) ロスバスタチン 5 QD28) ジゴキシン 0.5 単回 29) ケトコナゾール 400 QD30) gemfibrozil600 BID f,45) 本剤(オムビタスビ ル/パリタプレビル/ リトナビル) 用量 (mg) 25/150/100 QD 25/150/100 単回 パリタプレビル/ リトナビル 150/100 単回 例 数 パリタプレビルの薬物動態パラメータ比 併用薬併用/非併用時(90%信頼区間) AUC Cmax 11 11 12 11 12 1.107(0.937,1.308) 1.329(1.091,1.618) 1.218(1.052,1.410) 1.117(0.997,1.252) 2.161(1.759,2.657) 1.154(0.863,1.544) 1.441(1.149,1.807) 1.396(1.122,1.737) 1.152(0.974,1.363) 1.723(1.316,2.255) 11 1.376(1.178,1.609) 1.214(0.939,1.568) アタザナビル 300 QD31) 10 2.874(2.082,3.968) 2.742(1.762,4.265) ロピナビル・リトナビル 18 6.102(4.295,8.669) 4.760(3.544,6.393) 400・100 BID32)* ロピナビル・リトナビル 11 3.547(2.366,5.319) 1.783(1.262,2.518) 800・200 QPM b,32)* エムトリシタビン・テノホビル 9 1.041(0.737,1.471) 1.017(0.631,1.641) 200・300 QD33) 25/150/100 QD ダルナビル 800 QD34) 9 1.937(1.363,2.752) 2.092(1.351,3.239) ダルナビル/リトナビル 7 0.590(0.442,0.788) 0.696(0.432,1.120) 600 BID/100 QPM a,b,34) リルピビリン 25 QD c,35) 10 1.234(0.929,1.638) 1.304(0.942,1.805) シクロスポリン 10 単回 36)* 12 1.455(1.289,1.642) 1.389(1.102,1.750) タクロリムス 0.5 単回 37)* 11 0.794(0.689,0.915) 0.706(0.549,0.907) カルバマゼピン 200 BID a,38) 25/150/100 単回 12 0.295(0.231,0.377) 0.344(0.247,0.480) オメプラゾール 40 QD39) 12 0.926(0.638,1.343) 1.019(0.642,1.618) エスシタロプラム 10 単回 40) 11 1.019(0.816,1.272) 1.188(0.841,1.676) デュロキセチン 60 単回 40) 12 0.963(0.702,1.321) 1.070(0.633,1.808) エチニルエストラジオール/ 9 0.664(0.422,1.044) 0.700(0.404,1.214) norgestimate0.035/0.25 QD d,41) a,41) ノルエチステロン 0.35 QD 12 1.229(0.962,1.570) 1.244(0.954,1.621) アムロジピン 5 単回 a,42) 14 0.777(0.684,0.882) 0.774(0.639,0.937) 25/150/100 QD フロセミド 20 単回 a,42) 12 0.916(0.695,1.208) 0.925(0.628,1.360) アルプラゾラム 0.5 単回 a,43) 12 0.964(0.734,1.267) 0.913(0.636,1.310) a,43) ゾルピデム 5 単回 12 0.680(0.546,0.848) 0.630(0.463,0.857) ウルソデオキシコール酸 50 TID e,23) 12 0.910(0.778,1.066) 1.006(0.814,1.245) グリチルリチン 80 QD e,23) 12 0.941(0.806,1.098) 0.917(0.746,1.126) ジアゼパム 2 単回 a,44) 15 0.912(0.778,1.069) 0.952(0.772,1.175) 国内未発売の薬剤を含む a:本剤/dasabuvir(国内未承認)のデータ b:本剤投与約 12 時間後にロピナビル/リトナビル(800/200mg QPM)とダルナビル/リトナビル(600/100mg QPM)を 投与した. c:朝食後に本剤/dasabuvir(国内未承認)とリルピビリンを併用. d:本剤/dasabuvir(国内未承認)(3 例)又は本剤(6 例)とエチニルエストラジオール及び norgestimate との併用. e:日本人データ f:パリタプレビル/リトナビル/dasabuvir(国内未承認)のデータ QD:1 日 1 回投与,QPM:1 日 1 回午後投与,BID:1 日 2 回投与,TID:1 日 3 回投与 *:パリタプレビルの錠剤を使用.市販製剤はオムビタスビル/パリタプレビル/リトナビル配合錠である. -33- 本剤が併用薬の薬物動態に及ぼす影響 併用薬 用量(mg) 本剤(オムビタスビ ル/パリタプレビル/ リトナビル) 用量 (mg) a,27) 例 数 併用薬の薬物動態パラメータ比 本剤併用/非併用時(90%信頼区間) AUC Cmax ワルファリン 5 単回 11 0.845(0.755,0.947) 0.900(0.818,0.991) プラバスタチン 10 QD28) 10 1.763(1.456,2.134) 1.428(1.086,1.876) 25/150/100 QD ロスバスタチン 5 QD28) 12 1.334(1.142,1.557) 2.611(2.014,3.386) 29) ジゴキシン 0.5 単回 11 1.364(1.207,1.541) 1.576(1.434,1.731) ケトコナゾール 400 QD30) 25/150/100 単回 12 2.050(1.931,2.176) 1.104(1.049,1.161) アタザナビル 300 QD b,31) 11 0.929(0.847,1.019) 0.896(0.829,0.968) ラルテグラビル 400 BID46)* 12 1.204(0.742,1.953) 1.216(0.783,1.888) ロピナビル・リトナビル 400・100 BID32)* 18 1.132§(1.091,1.174) 1.062§(0.990,1.140) ロピナビル・リトナビル 11 1.169§(1.086,1.260) 1.051§(0.949,1.165) 800・200 QPM d,32)* エムトリシタビン 200 QD33) 1.072(1.001,1.148) 0.941(0.835,1.060) 9 25/150/100 QD テノホビル 300 QD33) 1.010(0.956,1.067) 0.802(0.714,0.902) ダルナビル 800 QD b,34)※ 9 0.918(0.840,1.003) 0.993(0.915,1.077) ダルナビル/リトナビル 7 0.797§§(0.736,0.863) 0.871§§(0.793,0.957) 600 BID/100 QPM d,34)※※ リルピビリン 25 QD e, 35) 10 3.245(2.795,3.768) 2.545(2.077,3.118) シクロスポリン 10 単回 36)* 12 4.280(3.656,5.009) 0.825(0.724,0.940) タクロリムス 0.5 単回 37)* 11 85.813(67.875,108.491) 4.267(3.491,5.216) カルバマゼピン 200 BID c,38) 25/150/100 単回 12 1.170(1.126,1.216) 1.104(1.074,1.135) ブプレノルフィン 4~16 QD47)* 11 1.505(1.269,1.784) 1.190(1.013,1.399) ナロキソン 1~4 QD47)* 11 1.113(0.907,1.366) 0.986(0.838,1.159) メサドン 20~120 QD f,48)* 12 0.957(0.893,1.026) 0.944(0.899,0.991) オメプラゾール 40 QD39) 12 0.458(0.273,0.770) 0.475(0.288,0.782) エスシタロプラム 10 単回 40) 11 0.753(0.672,0.844) 0.915(0.849,0.987) デュロキセチン 60 単回 40) 12 0.800(0.711,0.901) 0.832(0.718,0.964) エチニルエストラジオール 0.035 QD g,41) 9 1.055(0.955,1.165) 1.162(0.900,1.501) g,41) norgestimate0.25 QD 9 2.604(2.301,2.947) 2.014(1.773,2.286) ノルエチステロン 0.35 QD c,41) 12 0.909(0.756,1.092) 0.833(0.686,1.010) 25/150/100 QD アムロジピン 5 単回 c,42) 14 2.572(2.312,2.862) 1.262(1.110,1.436) フロセミド 20 単回 c,42) 12 1.083(1.004,1.169) 1.419(1.168,1.724) アルプラゾラム 0.5 単回 c,43) 12 1.336(1.151,1.550) 1.086(1.030,1.145) ゾルピデム 5 単回 c,43) 12 0.953(0.742,1.225) 0.937(0.755,1.163) ウルソデオキシコール酸 50 TID h,23) 12 0.811(0.692,0.949) 0.904(0.720,1.136) グリチルリチン 80 QD h,23) 12 1.493(1.382,1.613) 1.005(0.985,1.025) ジアゼパム 2 単回 c,44) 0.775(0.729,0.824) 1.180(1.074,1.298) 15 ノルジアゼパム(ジアゼパム代謝物)c,44) 0.562(0.453,0.697) 1.104(1.026,1.187) 国内未発売の薬剤を含む a:S-ワルファリンの変化量.R-ワルファリンの変化量も同様であった. b:本剤非併用時にはリトナビル 100mg を QD 投与した. c:本剤/dasabuvir(国内未承認)のデータ d:本剤投与約 12 時間後にロピナビル/リトナビル(800/200mg QPM)とダルナビル/リトナビル(600/100mg QPM)を 投与した. e:朝食後に本剤/dasabuvir(国内未承認)とリルピビリンを併用. f:S-メサドンの変化量 g:本剤/dasabuvir(国内未承認)(3 例)又は本剤(6 例)とエチニルエストラジオール及び norgestimate との併用. h:日本人データ ※:ダルナビル Cmin:26%減少 変化率 0.741(90%信頼区間:0.627,0.877) ※※:ダルナビル Cmin:43%減少 変化率 0.567(90%信頼区間:0.432,0.668) §:ロピナビルの変化率 §§:ダルナビルの変化率 QD:1 日 1 回投与,QPM:1 日 1 回午後投与,BID:1 日 2 回投与,TID:1 日 3 回投与 *:パリタプレビルの錠剤を使用.市販製剤はオムビタスビル/パリタプレビル/リトナビル配合錠である. -34- ③ウルソデオキシコール酸(UDCA)及びグリチルリチン酸(GCR)との薬物相互作用試験(日本人データ)23) 日本人成人男性(24 例,12 例/ 群)を対象として,第 1 群において DAA(オムビタスビル/パリタプレビル/リトナビル 25/150/100mg QD:試験 3~18 日目投与)と UDCA(50mg 経口 1 日 3 回:試験 1,2 日目及び 17,18 日目投与),第 2 群では DAA(オムビタスビル/パリタプレビル/リトナビル 25/150/100mg QD:試験 10~25 日目投与)と GCR(GCR80mg 静脈内,QD:試験 1,2 日目及び 24,25 日目投与)との間の相互作用を評価した. オムビタスビル/パリタプレビル/リトナビルの反復投与を UDCA の反復経口投与と併用したとき,オムビタスビル,パ リタプレビル,リトナビルの定常状態曝露量(Cmax 及び AUC)は DAA2 剤レジメン単独投与で得られた曝露量と同程度 (中央値で 9%以下の変化)であった.UDCA を 1 日 3 回,DAA2 剤レジメンと共に併用経口投与すると UDCA の Cmax 又は AUC に及ぼす影響は認められないか又はわずか(中央値で 20%以下の変化)であった.オムビタスビル/パリタプ レビル/リトナビルの反復投与を GCR の毎日静脈内投与と併用したとき,オムビタスビル,パリタプレビル,リトナビ ルの定常状態曝露量(Cmax 及び AUC)及び GCR の Cmax は影響を受けなかったが,GCR の AUC の中央値は 49%増加し た.DAA2 剤併用レジメンと併用投与するとき GCR の用量調節は必要とされないが,GCR の AUC の中央値が約 50%増 加しているので,併用注意とした.(「Ⅷ.7.(2) 併用注意とその理由」の項参照) (6)母集団(ポピュレーション)解析により判明した薬物体内動態変動要因(日本人データ)49) 本剤(オムビタスビル 25mg,パリタプレビル 150mg,リトナビル 100mg,1 日 1 回)を C 型慢性肝炎患者(代償性肝硬 変あり又はなし)に投与した.ポピュレーション PK 解析から予測されたオムビタスビルの定常状態 Cmax 及び AUC は慢 性肝炎患者でそれぞれ 59ng/mL 及び 1,213ng・h/mL,代償性肝硬変患者でそれぞれ 48ng/mL 及び 979ng・h/mL であった. また,パリタプレビルの定常状態 Cmax 及び AUC は慢性肝炎患者でそれぞれ 200ng/mL 及び 3,015ng・h/mL,代償性肝硬 変患者でそれぞれ 489ng/mL 及び 7,004ng・h/mL であった.リトナビルの定常状態 Cmax 及び AUC は慢性肝炎患者でそれ ぞれ 154ng/mL 及び 2,521ng・h/mL,代償性肝硬変患者でそれぞれ 258ng/mL 及び 4,169ng・h/mL であった.ポピュレー ション PK 解析の被験者平均年齢は 61 歳(29~76 歳)であった.オムビタスビルの経口クリアランス(CL/F)に対して 性別,クレアチニンクリアランス及び代償性肝硬変が有意な共変量であった.パリタプレビル及びリトナビルの CL/F に 対して代償性肝硬変のみが有意な共変量であった. 2.薬物速度論的パラメータ (1)解析方法 ノンコンパートメント法 (2)吸収速度定数 オムビタスビル:該当資料なし パリタプレビル:該当資料なし リトナビル:該当資料なし (3)バイオアベイラビリティ オムビタスビル(外国人データ) 健康成人 16 例にパリタプレビル及びリトナビルとの経口配合剤として投与したときのオムビタスビルの絶対的バイオ アベイラビリティは 48.1%であった 50). パリタプレビル(外国人データ) 健康成人 16 例にオムビタスビル及びリトナビルとの経口配合剤として投与したときのパリタプレビルの絶対的バイオ アベイラビリティは 52.6%であった 50). リトナビル:該当資料なし -35- (4)消失速度定数 見かけの終末相消失速度定数(空腹時)(日本人データ) オムビタスビル:0.029±0.006(h-1) パリタプレビル:0.121±0.033(h-1) リトナビル:0.160±0.026(h-1) (5)クリアランス オムビタスビル(外国人データ) 健康成人 16 例にオムビタスビル 25μg を静脈内投与したときのオムビタスビルの全身クリアランスは 7.51 L/h であった 50). パリタプレビル(外国人データ) 健康成人 16 例にパリタプレビル 100μg をリトナビルとの併用下静脈内投与したときのパリタプレビルの全身クリアラ ンスは 25.9L/h であった 50). リトナビル:該当資料なし 注意:本剤の承認されている用法・用量は,オムビタスビルとして 25mg,パリタプレビルとして 150mg,リトナビルとして 100mg を含有する配合錠を食後に経口投与(1 日 1 回),投与期間は 12 週間である. (6)分布容積 オムビタスビル(外国人データ) 健康成人 16 例にオムビタスビル 25μg を静脈内投与したときのオムビタスビルの定常状態分布容積(Vss)は 173 L で あった 50). パリタプレビル(外国人データ) 健康成人 16 例にパリタプレビル 100μg を静脈内投与したときのパリタプレビルの定常状態分布容積(Vss)は 103 L で あった 50). リトナビル:該当資料なし 注意:本剤の承認されている用法・用量は,オムビタスビルとして 25mg,パリタプレビルとして 150mg,リトナビルとして 100mg を含有する配合錠を食後に経口投与(1 日 1 回),投与期間は 12 週間である. (7)血漿蛋白結合率 オムビタスビル オムビタスビルのヒト血漿蛋白結合率は 0.1~10μM(0.09~9μg/mL)の濃度範囲で約 99.9%であった(in vitro).異 なる程度の腎機能障害又は肝機能障害被験者において,オムビタスビルの蛋白結合は意味のある差を示さなかった(外 国人データ)24),25).ヒトにおいて血液/血漿中濃度比は約 0.49 であり,オムビタスビルはヒト全血の血漿分画に優先的 に分布することが示された(in vitro). パリタプレビル パリタプレビルのヒト血漿蛋白結合率は 0.1~10μM (0.08~8μg/mL)の濃度範囲で約 97%から 98.6%であった(in vitro). 異なる程度の腎機能障害又は肝機能障害の被験者の血漿で得られた蛋白結合は同程度であった(外国人データ).ヒト における血液/血漿中濃度比は 0.68 であり,パリタプレビルは全血の血漿分画に優先的に分布することが示された(in vitro). リトナビル リトナビルのヒト血漿蛋白結合率は 0.01~30μM(0.007~22μg/mL)の濃度範囲で 99%以上であった(in vitro).DAA3 剤レジメンの Cmax と同程度の濃度で,異なる程度の腎機能障害又は肝機能障害の被験者の血漿で得られた蛋白結合は同 程度であった(外国人データ)24),25). -36- 3.吸収 オムビタスビル 日本人健康成人に非絶食下で 25/150/100mg の用量でオムビタスビル/パリタプレビル/リトナビル配合錠を単回及び反復 投与した後,オムビタスビルの Tmax は約 5 時間に認められた.(「Ⅶ.1.(3) 1) 単回投与,2) 反復投与」の項参照) パリタプレビル 日本人健康成人を対象として非絶食下オムビタスビル/パリタプレビル/リトナビル配合錠 25/150/100mg を単回及び反復 経口投与した後,パリタプレビルの Tmax は 4 から 5 時間に認められた.(「Ⅶ.1.(3) 1) 単回投与,2) 反復投与」の項 参照) リトナビル 日本人健康成人に非絶食下で 25/150/100mg の用量でオムビタスビル/パリタプレビル/リトナビル配合錠を単回及び反復 投与した後,リトナビルの Tmax は約 4 から 5 時間に認められた.(「Ⅶ.1.(3) 1) 単回投与,2) 反復投与」の項参照) 4.分布 (1)血液-脳関門通過性 該当資料なし <参考> オムビタスビル(ラット,マウス) [14C]オムビタスビルに由来する放射能はメラニン含有組織に優先的に結合することはなく,血液脳関門で保護された眼 球の水晶体又は中枢神経系組織に分布しなかった.トランスポーターをノックアウトしたマウスの試験では,P-gp 及び BCRP のような排出トランスポーターが[14C]オムビタスビルの低い脳内移行性に寄与していることが示唆された. パリタプレビル(ラット) [14C]パリタプレビルに由来する放射能は有色の雄性ラットのメラニン含有組織に優先的に結合することはなく,血液脳 関門で保護された中枢神経系組織に分布しなかった. (2)血液-胎盤関門通過性 該当資料なし <参考> オムビタスビル(ラット) 妊娠 18 日の Sprague-Dawley ラットに[14C]オムビタスビルを経口投与した後,放射能は胎児組織にわずかに分布した. 投与後 8 及び 12 時間において,極めて少量の放射能が胎児肝で検出された.ほとんどの母体組織の放射能の最高濃度は 投与後 4,8 又は 12 時間に認められた.本試験を通して,他のすべての胎児組織及び羊水には放射能が認められなかっ た.羊膜嚢,胎盤及び子宮には投与後 24 時間まで,乳腺には投与後 48 時間まで計測可能な濃度の放射能が認められた. 最終採取時点である投与後 72 時間において,母体の放射能濃度は,腹部脂肪,ハーダー腺及び肝臓を除くすべての組織 で計測可能な濃度より低かった.組織内分布のデータより,[14C]オムビタスビルに由来する放射能は羊膜嚢及び胎盤に 分布し,胎児組織には極めてわずかしか分布しないことがわかった. パリタプレビル(ラット) 妊娠 18 日の Sprague-Dawley ラットに[14C]パリタプレビル及びリトナビルを経口投与した後,放射能は胎児組織にわず かに分布した.投与後 8 及び 12 時間においてのみ,極めて少量の放射能が胎児肝で検出された.他のすべての胎児組織 及び羊水では試験を通して放射能は検出されなかった.ほとんどの母体組織の放射能は,投与後 2 時間に最高濃度に到 達し,[14C]パリタプレビルに由来する放射能は投与後 72 時間までに完全に母体組織から消失した.羊水及びほとんどの 胎児組織(胎児肝を除く)における薬物由来の放射能が認められないことは,極めて少ない量の[14C]パリタプレビル関 連物質が胎盤を通過することを示していた. -37- (3)乳汁への移行性 該当資料なし <参考> 本剤成分がヒト乳汁中へ移行するかどうかは不明であるが,動物実験(ラット)で本剤由来成分が乳汁中へ移行するこ とが報告されている.授乳ラットでは主としてパリタプレビル,パリタプレビル加水分解物質 M13,オムビタスビル未 変化体が認められた 51),52),53),54). (4)髄液への移行性 該当資料なし (5)その他の組織への移行性 該当資料なし <参考> オムビタスビル(ラット) 有色動物の Long-Evans ラットに[14C]オムビタスビルを 5mg/kg 単回経口投与したところ,薬物由来の放射能は緩慢に吸 収され,組織内に分布し,投与後 4~8 時間に最高濃度となった.最も高い放射能濃度が認められたのは副腎,肝臓,膵 臓,腎皮質及び胃粘膜であった.組織内の放射能濃度は投与後 168 時間までに定量限界未満にまで減少した. パリタプレビル(ラット) 有色の雄性 Long-Evans ラットにおいて[14C]パリタプレビル 30mg/kg 及びリトナビル 15mg/kg を経口投与した後,組織 には限られた放射能の分布しか認められなかった.他の組織に比べて肝臓中には投与後 0.5 から 48 時間の間,最も高い 量の放射能が認められた.ほとんどの組織において投与後 4 時間に Cmax が認められ,尿及び 4 組織(盲腸,肝臓,小腸 及び膀胱)を除くすべての組織内濃度は投与後 24 時間までに定量限界未満まで減少した.投与後 96 時間では,[14C]パ リタプレビルに由来する放射能は雄性 Long Evans ラットのいかなる組織にも検出されなかった. 5.代謝 (1)代謝部位及び代謝経路 オムビタスビル オムビタスビルは主としてアミドの加水分解により代謝され,次いで酸化を受ける.定常状態のオムビタスビル錠剤 5mg をリトナビル 100mg 単回と併用投与するとオムビタスビルの曝露量は 60%から 70%増加する(外国人データ)55).ヒ トにおいてアミドの加水分解生成物である M23 は t-ブチル基が主として CYP2C8 を介して更に代謝され,酸化的代謝物 及び/又は C-脱メチル代謝物を生成する.その下流代謝物には M26,M25,M34,M35,M36,M37 及び M29 が含まれ る.ヒトに[14C]オムビタスビルを単独で単回経口投与した後,[14C]オムビタスビル,M23,M29,M36 及び M37 は血漿 中の主成分であり,血漿中総放射能の約 93%を占めたが,少なくとも 9 種類の代謝物が低濃度又は痕跡量認められた. ヒト血漿中のオムビタスビルの代謝物プロファイルは,健康成人に DAA3 剤併用投与後,定常状態で検討された 56) . M23,M29,M36 及び M37 の濃度は,定常状態で得られた血漿検体において合成参照標準物質に対して測定した.親化 合物は薬物関連物質の 51.9%を占め,次いで M29(19.9%),M36(13.1%),M37(9.3%)及び M23(5.8%)が認め られた.血漿検体には 8 種類の代謝物が低濃度又は痕跡量認められた.定常状態における代謝物の評価に基づき,M29 及び M36 はヒト特有の主代謝物と定義された(すなわち定常状態において薬物関連物質の AUC の 10%を超過した) (外 国人データ). 注意:本剤の承認されている用法・用量は,オムビタスビルとして 25mg,パリタプレビルとして 150mg,リトナビルとして 100mg を含有する配合錠を食後に経口投与(1 日 1 回),投与期間は 12 週間である. -38- マウス,ラット,ウサギ,イヌ及びヒト血漿中代謝物に基づくオムビタスビルの推定代謝経路 ABT-267:オムビタスビル パリタプレビル パリタプレビルは主として CYP3A4/5 により代謝された.パリタプレビルは CYP3A の阻害剤であるリトナビルと併用投 与され,リトナビルはパリタプレビルの代謝を阻害する.健康成人におけるヒト ADME 試験で放射能標識したパリタプ レビルをリトナビルと併用投与したとき 57),ヒト血漿中に 5 種類の代謝物が同定され,それらには M2(総薬物関連物 質の 7.8%),M29(総薬物関連物質の 3.2%)及び痕跡量の M3,M13 及び M6 が含まれていた(外国人データ). マウス,ラット,イヌ及びヒト血漿中で観測された代謝物に基づくパリタプレビルの推定代謝経路 ABT-450:パリタプレビル -39- リトナビル リトナビルは主として CYP3A4 で代謝され,副次的に CYP2D6 で代謝される. (2)代謝に関与する酵素(CYP450 等)の分子種 「Ⅶ.5.(1) 代謝部位及び代謝経路」の項参照 (3)初回通過効果の有無及びその割合 該当資料なし (4)代謝物の活性の有無及び比率 「Ⅶ.5.(1) 代謝部位及び代謝経路」の項参照 (5)活性代謝物の速度論的パラメータ 該当資料なし 6.排泄 (1)排泄部位及び経路 オムビタスビル(外国人データ) 健康成人に[14C]オムビタスビル 25mg 単回経口投与後,投与放射能の約 90.2%が糞中から回収され,尿中からはわずか な量の放射能(1.91%)が回収された 55).未変化体は糞中に回収された総放射能の 87.8%を占め,尿中には 0.03%認め られた 55). パリタプレビル(外国人データ) 健康成人に[14C]パリタプレビル 200mg をリトナビル 100mg と共に単回経口投与した後,パリタプレビルは主として糞中 に排泄され(投与放射能量の約 87.8%),尿中には投与放射能量の約 8.76%が回収された 57).未変化の親化合物は各々 糞中及び尿中の総放射能の 1.1%及び 0.05%を占めた.尿中では,加水分解生成物の M13 が主成分であり,投与放射能 量の 8.6%を占めた. (2)排泄率 「Ⅶ.6.(1) 排泄部位及び経路」の項参照 (3)排泄速度 パリタプレビル(外国人データ) 健康成人に[14C]パリタプレビル(200 mg,100μCi)をリトナビル 100mg とともに単回経口投与した後,投与量の 87.8% が糞中から回収され 8.76%が尿中から回収された.投与した放射能の 90.5%が投与後 120 時間までに回収された.尿及 び糞の検体を合わせた放射能の平均総回収率は 192 時間までに 96.5%であり,回収率は 96.0%から 96.9%までの範囲に あった 57). リトナビル 該当資料なし オムビタスビル(外国人データ) 健康成人に[14C]オムビタスビルを 25mg(100μCi)単回経口投与した後,投与後 192 時間までの尿中及び糞中への放射 能の平均総回収率は 92.2%であり,回収率は 91.4%から 93.1%の範囲内であった.最終採取間隔までに投与量の 90.2% が糞中に回収され,1.9%が尿中に回収された.投与した放射能の 89.6%が投与後 120 時間までに回収された 55). 注意:本剤の承認されている用法・用量は,オムビタスビルとして 25mg,パリタプレビルとして 150mg,リトナビルとして 100mg を含有する配合錠を食後に経口投与(1 日 1 回),投与期間は 12 週間である. -40- 7.トランスポーターに関する情報 直接作用型抗ウイルス薬(DAA)が基質となるトランスポーター又は DAA が臨床上阻害剤となる可能性のあるトラン スポーターのリストを表に示す. In vitro のデータ又はノックアウトマウスに基づくトランスポーターの基質としての DAA 及び阻害剤となる可能性のある DAA トランスポーター 基質 a 阻害剤 b P-gp パリタプレビル,リトナビル,オムビタスビル パリタプレビル,リトナビル BCRP パリタプレビル パリタプレビル,リトナビル OATP1B1 パリタプレビル パリタプレビル OATP1B3 パリタプレビル パリタプレビル MRP2 パリタプレビル パリタプレビル BSEP 評価せず パリタプレビル,リトナビル a:P-gp 及び BCRP に対する正味のエフラックス比>2 並びに OATP に対する Km 値に基づく. b:P-gp 及び BCRP に対する腸管腔内濃度(用量/250mL)/IC50>10 又は Cmax/IC50>0.1,OATP に対する R 値>1.25 に基 づく. オムビタスビル,パリタプレビル,リトナビルは P-gp の基質である.パリタプレビルは BCRP と OATP1B1/1B3 の基質 である.パリタプレビルは OATP1B1 と OATP1B3 の阻害剤である.オムビタスビル,パリタプレビル,リトナビルはい ずれも有機カチオントランスポーター(OCT1)の基質でも阻害剤でもない.パリタプレビルとリトナビルは P-gp と BCRP の阻害剤である.オムビタスビル及びパリタプレビルは UGT1A1 の阻害剤であり,リトナビルは CYP3A4 の阻害剤であ る. 8.透析等による除去率 該当資料なし -41- Ⅷ.安全性(使用上の注意等)に関する項目 1.警告内容とその理由 ■警告 本剤は,ウイルス性肝疾患の治療に十分な知識・経験を持つ医師のもとで,本剤の投与が適切と判断される患者に 対してのみ投与すること. (解説) 本剤は新規の経口抗ウイルス薬である.安全に使用できるよう,ウイルス性肝疾患の治療に十分な知識・経験を持つ医 師のもとで,本剤の投与が適切と診断された患者に対してのみ投与すること. 2.禁忌内容とその理由(原則禁忌を含む) ■禁忌(次の患者には投与しないこと) 1.本剤の成分に対して過敏症の既往歴のある患者 2.中等度以上(Child-Pugh 分類 B 又は C)の肝機能障害のある患者 3.次の薬剤を投与中の患者:アゼルニジピン,トリアゾラム,ミダゾラム,ブロナンセリン,ピモジド,エルゴタ ミン酒石酸塩,ジヒドロエルゴタミンメシル酸塩,エルゴメトリンマレイン酸塩,メチルエルゴメトリンマレイ ン酸塩,シルデナフィルクエン酸塩(レバチオ),タダラフィル(アドシルカ),リバーロキサバン,バルデナフィ ル塩酸塩水和物,リオシグアト,シンバスタチン,アトルバスタチンカルシウム水和物,カルバマゼピン,フェ ニトイン,フェノバルビタール,リファンピシン,エファビレンツ,セイヨウオトギリソウ(St. John's Wort,セ ント・ジョーンズ・ワート)含有食品,エチニルエストラジオール含有製剤(「相互作用」の項参照) (解説) 1.本剤含有の成分(下表)に過敏症の既往歴がある患者には使用しないこと. 本剤含有成分 有効成分 添加物 オムビタスビル水和物,パリタプレビル水和物,リトナビル※ コポリビドン,コハク酸 d-α-トコフェロールポリエチレングリコール,軽質無水ケイ酸,モノラウ リン酸プロピレングリコール,モノラウリン酸ソルビタン,フマル酸ステアリルナトリウム,ポリビ ニルアルコール(部分けん化物),マクロゴール 4000,タルク,酸化チタン,三二酸化鉄 ※リトナビルは HIV 治療薬(販売名:ノービア錠,ノービア内用液,カレトラ配合錠,カレトラ配合内用液)の有 効成分としても使用されている. 2.肝機能障害患者を対象とした海外臨床試験における検討では,重度(Child-Pugh 分類 C)の肝機能障害患者はそれ以 外の中等度(Child-Pugh 分類 B)及び軽度(Child-Pugh 分類 A)の肝機能障害患者との比較において,本剤の大幅な 血中濃度上昇が認められたため重度(Child-Pugh 分類 C)の肝機能障害患者を禁忌とした.また,海外自発報告にお いて,主に進行した肝硬変患者で重篤な肝不全が報告されたことから,中等度(Child-Pugh 分類 B)の肝機能障害の ある患者を禁忌とした. 3.以下に該当する薬剤を中心に併用禁忌を設定した.これら薬剤との併用は避けること. 1)本剤が併用薬剤の血中濃度を大幅に上昇させ,重篤な副作用を発現するおそれのある薬剤 2)本剤が併用薬剤による代謝誘導を受け,本剤の治療効果が減弱するおそれのある薬剤 3)臨床試験において副作用の報告があるもの (「相互作用」‐「併用禁忌」の項参照) -42- 3.効能又は効果に関連する使用上の注意とその理由 「Ⅴ.1.効能又は効果」の項参照 4.用法及び用量に関連する使用上の注意とその理由 該当しない 5.慎重投与内容とその理由 該当しない 6.重要な基本的注意とその理由及び処置方法 重要な基本的注意 肝機能障害があらわれることがあるので,本剤投与中は定期的に肝機能検査を行うこと.肝機能障害は主に本剤投 与開始 4 週以内にあらわれやすいので,投与開始初期は必要に応じてより頻回に肝機能検査を行うこと.肝酵素上 昇の有無にかかわらず,血中ビリルビン値が著しく上昇し,腹水,肝性脳症等を伴う肝不全があらわれることがあ るので,患者の状態を十分に観察すること.肝不全の徴候が認められた場合には投与を中止し,適切な処置を行う こと.(「副作用」の項参照) (解説) 本剤投与中は定期的な肝機能検査を実施すること.海外臨床試験において ALT(GPT)上昇等の肝機能障害は通常投与 開始から 4 週間以内に発現している.このため投与開始初期は必要に応じてより頻回な肝機能検査を実施すること.ま た,海外自発報告において,主に進行した肝硬変患者で重篤な肝不全が報告されている.肝不全(肝代償不全)に対す る十分な観察を実施し,肝不全(肝代償不全)の徴候が認められた場合には本剤を中止し適切な処置をおこなうこと. (「副作用」の項参照) 7.相互作用 オムビタスビルはアミド加水分解を経由し酸化的に代謝される.オムビタスビルは P 糖蛋白(P-gp)の基質である. パリタプレビルは P-gp,乳癌耐性蛋白(BCRP),有機アニオントランスポーター(OATP1B1/1B3)の基質であり阻 害剤である.リトナビルは主に CYP3A4/5 で代謝される.リトナビルは P-gp の基質であり阻害剤である.また CYP3A4 及び BCRP の阻害作用を有する.CYP3A,P-gp,BCRP,OATP1B1/1B3 を基質とする薬剤との併用はこれら薬剤の 血中濃度を上昇させるおそれがあるため,用量調節や十分な観察を行うこと.(「薬物動態」の項参照) (解説) 本剤は下表のとおり複数の薬物代謝経路において相互作用に関与することがわかっている.併用薬剤との相互作用につ いては可能なすべての組み合わせについて検討されていない.患者が使用している全ての薬剤情報を確認の上,相互作 用の項に記載されている薬剤以外においても,相互作用の影響が想定される薬剤との併用に際しては用量に留意して慎 重に投与すること. -43- 本剤有効成分の基質及び阻害作用 CYP3A OATP1B1/1B3 P-gp BCRP UGT1A1 基質 阻害作用 基質 阻害作用 基質 阻害作用 基質 阻害作用 基質 阻害作用 オムビタスビル - - - - ○ - - - - ○ パリタプレビル ○(3A4/5) - ○ ○ ○ ○ ○ ○ - ○ リトナビル ○(3A4/5) ○(3A4) - - ○ ○ - ○ - - 本剤が併用薬剤に与える影響(主なもの) 想定される臨床的影響 対策 禁忌 想定される血中濃度 への影響 CYP3A 基質薬剤↑ 重篤な副作用のおそれ 注意 CYP3A 基質薬剤↑ 副作用のおそれ OATP 基質薬剤(スタチン等) 注意 OATP 基質薬剤↑ 副作用のおそれ CYP2C19 基質薬剤(オメプラ ゾール等) 注意 CYP2C19 基質薬剤↓ 併用薬剤の効果減弱 P-gp 基質薬剤(ジゴキシン等) 注意 P-gp 基質薬剤↑ 副作用のおそれ 使用不可 モニタリング 場合により併用薬剤の 減量等 モニタリング 併用薬剤の減量等 モニタリング 併用薬剤の増量を考慮 モニタリング 併用薬剤の減量等 対象薬剤 CYP3A 基質薬剤(多数) 区分 併用薬剤が本剤に与える影響(主なもの) 対象薬剤 CYP3A 誘導作用を有する薬剤 (カルバマゼピン等) CYP3A 阻害剤(イトラコナ ゾール等) 区分 禁忌 注意 想定される血中濃度 への影響 パリタプレビル↓ リトナビル↓ パリタプレビル↑ CYP3A 阻害剤↑ 想定される臨床的影響 本剤の効果減弱 副作用のおそれ 対策 使用不可 モニタリング 併用薬剤の減量等 (1)併用禁忌とその理由 併用禁忌(併用しないこと) 薬剤名等 (一般名[代表的販売名]) アゼルニジピン [カルブロック等] トリアゾラム [ハルシオン等] ミダゾラム [ドルミカム,ミダフレッサ等] ブロナンセリン [ロナセン] ピモジド [オーラップ] エルゴタミン酒石酸塩 [クリアミン] 臨床症状・措置方法 機序・危険因子 これらの薬剤の血中濃度が上昇 し,重篤な又は生命に危険を及ぼ すような副作用が発現しやすく なるおそれがある. リトナビルの CYP3A4 阻害作用 によりこれら薬剤の血中濃度が 大幅に上昇するため. -44- 薬剤名等 (一般名[代表的販売名]) ジヒドロエルゴタミンメシル酸塩 [ジヒデルゴット等] エルゴメトリンマレイン酸塩 [エルゴメトリン] メチルエルゴメトリンマレイン酸塩 [メテルギン等] シルデナフィルクエン酸塩(肺高血圧症 に適応される製剤) [レバチオ] タダラフィル(肺高血圧症に適応される 製剤) [アドシルカ] リバーロキサバン [イグザレルト] バルデナフィル塩酸塩水和物 [レビトラ] リオシグアト [アデムパス] シンバスタチン [リポバス等] アトルバスタチンカルシウム水和物 [リピトール等] カルバマゼピン [テグレトール等] フェニトイン [アレビアチン等] フェノバルビタール [フェノバール等] リファンピシン [リファジン等] エファビレンツ [ストックリン] セイヨウオトギリソウ(St. John's Wort, セント・ジョーンズ・ワート)含有食品 エチニルエストラジオール含有製剤 [オーソ,ルナベル等] 臨床症状・措置方法 機序・危険因子 これらの薬剤の血中濃度が上昇 し,重篤な又は生命に危険を及ぼ すような副作用が発現しやすく なるおそれがある. リトナビルの CYP3A4 阻害作用 によりこれら薬剤の血中濃度が 大幅に上昇するため. リトナビルの CYP3A4 阻害作用 ならびにリトナビルとパリタプ レビルの P-gp 及び BCRP 阻害作 用によるものと考えられる. リトナビルの CYP3A4 阻害作用 及びパリタプレビルの OATP 阻 害作用によるものと考えられる. 本剤の血中濃度が低下し,治療効 果が減弱するおそれがある. (「薬 物動態」の項参照) これら薬剤の CYP3A 誘導作用に より本剤の代謝が促進されるた め. エチニルエストラジオール含有 経口避妊薬を投与した患者にお いて ALT(GPT)上昇が高頻度に 認められている.なお,本剤治療 終了の約 2 週間後から再開でき る. 機序不明 -45- (解説) アゼルニジピン,トリアゾラム,ミダゾラム,ブロナンセリン,ピモジド,エルゴタミン,ジヒドロエルゴタミン,エ ルゴメトリン,メチルエルゴメトリン,シルデナフィル(レバチオ),タダラフィル(アドシルカ),リバーロキサバ ン,バルデナフィルとの併用 これらの薬剤は CYP3A 基質であり,本剤のリトナビルによる CYP3A 阻害作用により代謝が阻害され,これら薬剤の血 中濃度が上昇し,特に重篤な副作用を発現するおそれがあるため,既存のリトナビル含有製剤(販売名:ノービア,カ レトラ)の使用上の注意等を参考に併用禁忌に設定した. 併用禁忌 薬剤リスト その 1 一般名 アゼルニジピン トリアゾラム ミダゾラム ブロナンセリン ピモジド エルゴタミン酒石酸塩 ジヒドロエルゴタミンメシル酸塩 エルゴメトリンマレイン酸塩 メチルエルゴメトリンマレイン酸塩 販売名(順不同) カルブロック錠,レザルタス配合錠,アゼルニジピン錠(各社) ハルシオン錠,トリアゾラム錠(各社),アスコマーナ錠,ハルラック錠 ドルミカム注射液,ミダゾラム注(各社),ミダフレッサ静注 ロナセン錠 オーラップ錠 クリアミン配合錠 ジヒデルゴット錠,ジヒドロエルゴタミンメシル酸塩錠,ヒポラール錠 エルゴメトリンマレイン酸塩注 メテルギン錠,バルタン M 錠/注,メチルエルゴメトリンマレイン酸塩錠/注, メチルエルゴメトリン錠/注 シルデナフィルクエン酸塩 レバチオ錠※ タダラフィル アドシルカ錠※ リバーロキサバン イグザレルト錠 バルデナフィル塩酸塩水和物 レビトラ錠 ※シルデナフィル,タダラフィルは肺動脈性肺高血圧症を適応とする製剤のみが併用禁忌 2015 年 8 月現在 ・リオシグアトとの併用 リオシグアトは P-gp,BCRP,CYP3A の基質であり,本剤のリトナビルによる CYP3A,P-gp,BCRP 阻害作用及びパリ タプレビルの P-gp 阻害作用によりリオシグアトの血中濃度が大幅に上昇するおそれがあるため併用禁忌に設定した. ・シンバスタチン,アトルバスタチンとの併用 シンバスタチン,アトルバスタチンは CYP3A,OATP1B1 の基質であり,本剤のリトナビルによる CYP3A 阻害作用及び パリタプレビルの OATP 阻害作用によりこれら薬剤の血中濃度が上昇し,重篤な副作用を発現するおそれがあるため併 用禁忌に設定した. ・カルバマゼピン,フェニトイン,フェノバルビタール,リファンピシン,エファビレンツ,セイヨウオトギリソウ(St. John’s Wort,セント・ジョーンズ・ワート)含有食品との併用 これら薬剤は CYP3A 誘導作用を有するため,本剤の CYP3A 基質であるパリタプレビル及びリトナビルの代謝が促進さ れ,本剤の治療効果が減弱するおそれがあるため併用禁忌に設定した. ・エチニルエストラジオール含有製剤との併用 海外臨床試験における併用例で ALT(GPT)上昇が高頻度に認められたため,併用禁忌に設定した.エチニルエストラ ジオールを含まない避妊薬では影響は認められていない.相互作用の機序についてはわかっていない.なお,本剤によ る影響の消失を考慮し,本剤治療終了の 2 週間後より再開することができる. -46- 併用禁忌 薬剤リスト その 2 一般名 リオシグアト シンバスタチン アトルバスタチンカルシウム水和物 カルバマゼピン フェニトイン フェノバルビタール 販売名(順不同) アデムパス錠 リポバス錠,リポザート錠,リポバトール錠,リポラ M 錠,ラミアン錠,シン バスタチン錠(各社) リピトール錠,カデュエット配合錠,アトルバスタチン錠/OD 錠(各社) テグレトール錠,レキシン錠,カルバマゼピン錠 アレビアチン注/錠/散,複合アレビアチン配合錠,ヒダントール錠/D 配合錠/E 配合錠/F 配合錠/散,ホストイン静注 ヒダントール配合錠,フェノバール注射液/原末/散/錠,アストモリジン配合胃 溶錠/配合腸溶錠,トランコロン P 配合錠,ノーベルバール静注用 リファジンカプセル,アプテシンカプセル,リファンピシンカプセル(各社) ストックリン錠 栄養補助食品(サプリメント) リファンピシン エファビレンツ セイヨウオトギリソウ(St. John's Wort,セント・ジョーンズ・ワート) 含有食品 エチニルエストラジオール含有製剤 オーソ 777-21/M-21 錠,ヤーズ配合錠,アンジュ 21/28 錠,シンフェーズ T28 錠,トリキュラー錠 21/28,ファボワール錠 21/28,プラノバール配合錠,プロ セキソール錠,マーベロン 21/28,ラベルフィーユ 21/28 錠,ルナベル配合錠 LD/ULD 2015 年 8 月現在 (2)併用注意とその理由 併用注意(併用に注意すること) 薬剤名等 Ca 拮抗剤(アゼルニジピン を除く) アムロジピンベシル酸塩 ニフェジピン 等 フロセミド シルデナフィルクエン酸塩 [バイアグラ] タダラフィル [シアリス,ザルティア] エレトリプタン臭化水素酸 塩 ロスバスタチンカルシウム 臨床症状・措置方法 Ca 拮抗剤の血中濃度が上昇するおそれがあ る. 臨床試験において末梢性浮腫が高頻度に報告 されているので,併用に際しては Ca 拮抗剤を 減量するなど十分注意すること. (「副作用」,「薬物動態」の項参照) フロセミドの血中濃度(Cmax)が上昇する. (「薬 物動態」の項参照) これら薬剤の血中濃度が上昇するおそれがあ る. 低血圧,失神,視覚障害や勃起持続等のこれ ら副作用が発現するおそれがある. エレトリプタンの血中濃度が上昇するおそれ がある. 併用は治療上の有益性が危険性を上回ると判 断される場合に限り,副作用に対する観察を 十分に行うこと. パリタプレビルの血中濃度が上昇するおそれ がある. ロスバスタチンの血中濃度が上昇するおそれ がある.(「薬物動態」の項参照) 横紋筋融解症を含むミオパチーの発現リスク が高くなるおそれがある. -47- 機序・危険因子 リトナビルの CYP3A4 阻害作用に よる. オムビタスビル及びパリタプレビ ルが UGT1A1 を阻害するためと考 えられる. リトナビルの CYP3A4 阻害作用に よる. リトナビルの CYP3A4 阻害作用に よるものと考えられる. パリタプレビル血中濃度上昇:機 序不明 ロスバスタチンの血中濃度上昇は パリタプレビルの OATP 阻害作用 ならびにパリタプレビルとリトナ ビルによる BCRP 阻害作用による ものと考えられる. 薬剤名等 プラバスタチンナトリウム ピタバスタチンカルシウム フルバスタチンナトリウム オメプラゾール アルプラゾラム ジアゼパム クロラゼプ酸二カリウム クエチアピンフマル酸塩 アミオダロン塩酸塩 ベプリジル塩酸塩水和物 キニジン硫酸塩水和物 プロパフェノン塩酸塩 ジゴキシン フルチカゾンプロピオン酸 エステル サルメテロールキシナホ酸 塩 アゾール系抗真菌薬 ケトコナゾール(経口 剤:国内未発売) イトラコナゾール等 臨床症状・措置方法 パリタプレビルの血中濃度が上昇するおそれ がある. プラバスタチンの血中濃度が上昇するおそれ がある.(「薬物動態」の項参照) 横紋筋融解症を含むミオパチーの発現リスク が高くなるおそれがある. ピタバスタチンの血中濃度が上昇するおそれ がある. 横紋筋融解症を含むミオパチーの発現リスク が高くなるおそれがある. フルバスタチンの血中濃度が上昇するおそれ がある. 横紋筋融解症を含むミオパチーの発現リスク が高くなるおそれがある. オメプラゾールの血中濃度が低下するおそれ がある.(「薬物動態」の項参照) アルプラゾラムの血中濃度(AUC)が上昇す る.(「薬物動態」の項参照) ジアゼパム及びノルジアゼパムの血中濃度 (AUC)が低下する.(「薬物動態」の項参照) クエチアピンの血中濃度が上昇するおそれが ある. これら薬剤の血中濃度が上昇するおそれがあ る. 機序・危険因子 パリタプレビル血中濃度上昇:機 序不明 プラバスタチンの血中濃度上昇は パリタプレビルの OATP 阻害作用 によるものと考えられる. ジゴキシンの血中濃度が上昇するおそれがあ る.(「薬物動態」の項参照) パリタプレビルとリトナビルによ る P-gp 阻害作用によるものと考 えられる. リトナビルの CYP3A4 阻害作用に よる. パリタプレビルの OATP 阻害作用 によるものと考えられる. リトナビルの CYP2C19 誘導作用 によるものと考えられる. リトナビルの CYP3A4 阻害作用に よるものと考えられる. リトナビルの CYP2C19 誘導作用 によるものと考えられる. リトナビルの CYP3A4 阻害作用に よる. リトナビルの CYP3A4 阻害作用に よる. フルチカゾンの血中濃度が上昇するおそれが ある.クッシング症候群,副腎皮質機能抑制 等の副作用があらわれるおそれがある.併用 は治療上の有益性がこれらの症状発現の危険 性を上回ると判断される場合に限ること. サルメテロールの血中濃度が上昇するおそれ がある. 本剤の血中濃度上昇はアゾール系 本剤の血中濃度が上昇するおそれがある. 抗真菌薬の CYP3A/P-gp 阻害作用 これらアゾール系抗真菌薬の血中濃度が上昇 するおそれがある.(「薬物動態」の項参照) による. アゾール系抗真菌薬の血中濃度上 昇はリトナビルの CYP3A/P-gp 阻 害作用による. -48- 薬剤名等 アゾール系抗真菌薬 ボリコナゾール シクロスポリン タクロリムス水和物 ダルナビルエタノール付加 物(1 日 1 回投与) ダルナビルエタノール付加 物/リトナビル(1 日 2 回投 与) アタザナビル硫酸塩 アタザナビル硫酸塩/リト ナビル リトナビル含有製剤 リルピビリン塩酸塩 リファブチン 臨床症状・措置方法 本剤との併用試験は行われていないが,リト ナビルとの併用でボリコナゾールの血中濃度 が低下したとの報告がある.本剤との併用に おいてボリコナゾールの血中濃度が低下し, ボリコナゾールの効果減弱を招くおそれがあ るため,ボリコナゾール使用に関するリスク ベネフィット評価によりボリコナゾールの使 用が妥当と判断される場合を除き,併用は避 けること.あるいは他の抗真菌療法を考慮す ること. シクロスポリンの血中濃度が上昇するおそれ がある. パリタプレビルの血中濃度が上昇するおそれ がある.(「薬物動態」の項参照) タクロリムスの血中濃度が上昇するおそれが ある.(「薬物動態」の項参照) パリタプレビルの血中濃度が上昇するおそれ がある.(「薬物動態」の項参照) 本剤含有のリトナビルが薬物動態学的増強効 果をもたらすので,本剤と併用する場合はリ トナビル製剤を投与しないこと. ダルナビルの血中濃度(Cmin)が低下するおそ れがある.(「薬物動態」の項参照) 本剤含有のリトナビルが薬物動態学的増強効 果をもたらすので,本剤と同時投与する場合 はリトナビル製剤と併用しないこと.本剤と 同時投与しない場合はリトナビル製剤と併用 すること. パリタプレビルの血中濃度が上昇するおそれ がある.(「薬物動態」の項参照) 本剤含有のリトナビルが薬物動態学的増強効 果をもたらすので,本剤と同時投与する場合 はリトナビル製剤と併用しないこと. パリタプレビルの血中濃度が上昇するおそれ がある. リトナビル含有製剤は本剤と同時に投与しな いこと.(「薬物動態」の項参照) リルピビリンの血中濃度が上昇するおそれが ある.(「薬物動態」の項参照) リファブチンの血中濃度が上昇するおそれが ある. 機序・危険因子 リトナビルの CYP2C19 誘導作用 によるものと考えられている. シクロスポリンの血中濃度上昇は リトナビルの CYP3A4 阻害作用及 びパリタプレビルの OTAP 阻害作 用による.パリタプレビルの血中 濃度上昇はシクロスポリンの OTAP,BCRP,P-gp 阻害作用によ るものと考えられる. リトナビルの CYP3A4 阻害作用に よる. 機序不明 アタザナビルによる CYP3A 及び OATP 阻害作用及び/又はリトナビ ルによる CYP3A4 阻害作用によ る. リトナビルの CYP3A4 阻害作用に よる. リトナビルの CYP3A4 阻害作用に よる. リトナビルの CYP3A4 阻害作用に よる. (解説) ・Ca 拮抗剤との併用 薬物相互作用臨床試験においてアムロジピンの血中濃度上昇が認められている.Ca 拮抗剤は CYP3A 基質であり,本剤 のリトナビルの CYP3A 阻害作用により Ca 拮抗剤の血中濃度が上昇するおそれがある.また,国内臨床試験での併用例 では浮腫関連事象が高頻度で報告されている.併用に際しては Ca 拮抗剤を減量するなどし,十分な観察を行うこと.な お,アゼルニジピンは併用禁忌であるので注意すること.(「副作用」の項参照) -49- ・フロセミドとの併用 薬物相互作用臨床試験においてフロセミドの血中濃度(Cmax)上昇が認められている.フロセミドは一部グルクロン酸 抱合で代謝されるため,本剤のパリタプレビル及びオムビタスビルの UGT1A1 阻害作用によるものと考えられている. ・シルデナフィル,タダラフィルとの併用 本剤との直接的な相互作用データはないが,これらの薬剤は CYP3A 基質であり,本剤のリトナビルによる CYP3A 阻害 作用により代謝が阻害され,これら薬剤の血中濃度が上昇するおそれがあることから設定した. ・エレトリプタンとの併用 本剤との直接的な相互作用データはないが,エレトリプタンは CYP3A4 基質であることに加え,治療指数も小さいため, リトナビルが持つ CYP3A4 阻害特性を考慮し,併用注意に設定した.本剤との併用は推奨しない.併用はリスクベネ フィットを十分勘案の上,必要と判断される場合に限ること.併用に際しては副作用に対する十分な観察を行うこと. ・ロスバスタチン,プラバスタチン,ピタバスタチン,フルバスタチンとの併用 薬物相互作用臨床試験においてロスバスタチン,プラバスタチンの血中濃度上昇が認められている.これら薬剤は OATP1B1 基質であり,本剤のパリタプレビルの OATP 阻害作用によるものと考えられている.ロスバスタチンは BCRP を介して排出されることから,本剤のリトナビルによる BCRP 阻害作用も関与していると考えられる.また,機序不明 ながらパリタプレビルの血中濃度上昇も確認されている.本剤との直接的な相互作用データはないが,ピタバスタチン 及びフルバスタチンは OATP1B1 基質であるため,本剤のパリタプレビルの OATP 阻害作用によりこれら薬剤の血中濃 度上昇のおそれがあるため,併用注意に設定した. 薬物相互作用臨床試験データ(社内資料) 併用薬 用量(mg) 本剤(オムビタスビル/ パリタプレビル/リトナ ビル)用量(mg) 例 アムロジピン 5 単回※ 14 フロセミド 20 単回※ 12 25/150/100 QD ロスバスタチン 5 QD 12 プラバスタチン 10 QD 10 併用薬の薬物動態パラメータ比 本剤併用/非併用時 (90%信頼区間) AUC Cmax 2.572 1.262 (2.312, 2.862) (1.110, 1.436) 1.083 1.419 (1.004, 1.169) (1.168, 1.724) 1.334 2.611 (1.142, 1.557) (2.014, 3.386) 1.763 1.428 (1.456, 2.134) (1.086, 1.876) ※本剤及び dasabuvir(国内未発売)との併用データ 併用薬 用量(mg) 本剤(オムビタスビル/ パリタプレビル/リトナ ビル)用量(mg) 例 ロスバスタチン 5 QD 12 25/150/100 QD プラバスタチン 10 QD 11 パリタプレビルの薬物動態パラメータ比 併用薬併用/非併用時 (90%信頼区間) AUC Cmax 1.218 1.396 (1.052, 1.410) (1.122, 1.737) 1.329 1.441 (1.091, 1.618) (1.149, 1.807) ・オメプラゾール 薬物相互作用臨床試験においてオメプラゾールの血中濃度低下が認められている.オメプラゾールは CYP2C19 基質であ り,一方でリトナビルは弱い CYP2C19 誘導作用を有していることから,これが関与していると考えられている. -50- ・アルプラゾラムとの併用 薬物相互作用臨床試験においてアルプラゾラムの血中濃度上昇が認められている.アルプラゾラムは CYP3A 基質である ことから,本剤のリトナビルの CYP3A 阻害作用によるものと考えられる. 薬物相互作用臨床試験データ(社内資料) 併用薬の薬物動態パラメータ比 本剤(オムビタスビル/ 併用薬 用量(mg) パリタプレビル/リトナ 本剤併用/非併用時 例 ビル) 用量(mg) オメプラゾール 40 QD 12 25/150/100 QD アルプラゾラム 0.5 単回 12 (90%信頼区間) AUC Cmax 0.458 0.475 (0.273, 0.770) (0.288, 0.782) 1.336 1.086 (1.151, 1.550) (1.030, 1.145) ・ジアゼパム,クロラゼプ酸二カリウムとの併用 薬物相互作用臨床試験においてジアゼパム,ノルジアゼパム(ジアゼパム及びクロラゼプ酸の活性代謝物)の血中濃度 低下が認められている.ジアゼパム,ノルジアゼパムは CYP2C19 基質であり,一方でリトナビルは弱い CYP2C19 誘導 作用を有していることから,これが関与していると考えられている. ・クエチアピンフマル酸塩との相互作用 CYP3A 阻害剤であるケトコナゾールとの併用でクエチアピンの血中濃度上昇が認められている 58) .本剤との直接的な 相互作用データはないが,本剤のリトナビルの CYP3A 阻害作用により同様の相互作用のおそれがあることから設定した. ・アミオダロン塩酸塩,ベプリジル塩酸塩水和物,キニジン硫酸塩水和物,プロパフェノン塩酸塩との併用 本剤との直接的な相互作用データはないが,これら薬剤は CYP3A 基質であることに加え,治療指数も小さいため,リト ナビルが持つ CYP3A 阻害特性を考慮し,併用注意に設定した. ・ジゴキシンとの併用 薬物相互作用臨床試験においてジゴキシンの血中濃度上昇が認められている.ジゴキシンは P-gp 基質であるため,本剤 のパリタプレビルとリトナビルによる P-gp 阻害作用によるものと考えられている. ・フルチカゾンプロピオン酸エステルとの併用 本剤との直接的な相互作用データはないが,リトナビル製剤との併用によりフルチカゾンの血中濃度が上昇し,クッシ ング症候群,副腎皮質機能抑制等の副作用が認められている 59).フルチカゾンは CYP3A 基質であり,本剤のリトナビ ルの CYP3A 阻害作用によって相互作用があらわれるおそれがある.本剤との併用は推奨されない.併用はリスクベネ フィットを十分勘案の上,必要と判断される場合に限ること. ・サルメテロールとの併用 CYP3A 阻害剤であるケトコナゾールとの併用でサルメテロールの大幅な血中濃度上昇が認められている(グラクソ・ス ミスクライン社内資料).サルメテロールは CYP3A 基質であり,本剤のリトナビルの CYP3A 阻害作用によって同様の 相互作用があらわれるおそれがある.サルメテロールは QT 延長等の副作用を発現するおそれがあることから,本剤と の直接的な相互作用データはないが,併用注意に設定した. -51- ・アゾール系抗真菌薬(ケトコナゾール,イトラコナゾール)との併用 薬物相互作用臨床試験において本剤(パリタプレビル,オムビタスビル)及びケトコナゾールの血中濃度上昇が認めら れている.アゾール系抗真菌薬は CYP3A/P-gp 基質であり,阻害作用も有している.このためアゾール系抗真菌薬の CYP3A 阻害作用により CYP3A 基質のパリタプレビルが,P-gp 阻害作用により P-gp 基質のオムビタスビルの血中濃度上 昇があらわれる.一方,本剤のリトナビルによる CYP3A/P-gp 阻害作用により,アゾール系抗真菌薬の血中濃度上昇が あらわれる. ・アゾール系抗真菌薬(ボリコナゾール)との併用 本剤との直接的な相互作用データはないが,リトナビル製剤(高用量)との併用でボリコナゾールの血中濃度が低下し たとの報告がある(ファイザー社内資料).リトナビルがボリコナゾールの代謝に関与する CYP2C19 を誘導するためと 考えられている.ボリコナゾールの治療効果が低下するおそれがあるため,本剤との併用は推奨されない.併用はリス クベネフィットを十分勘案の上,必要と判断される場合に限ること.他の抗真菌療法も考慮すること. 薬物相互作用臨床試験データ(社内資料) 併用薬 用量 (mg) 本剤(オムビタスビル/ パリタプレビル/リトナ ビル) 用量(mg) 例 ジゴキシン 0.5 単回 25/150/100QD 11 ケトコナゾール 400 QD 25/150/100 単回 12 併用薬 用量(mg) 本剤(オムビタスビル/ パリタプレビル/リトナ ビル) 用量(mg) 例 ケトコナゾール 400 QD 25/150/100 単回 12 併用薬 用量(mg) 本剤(オムビタスビル/ パリタプレビル/リトナ ビル) 用量(mg) 例 ケトコナゾール 400 QD 25/150/100 単回 12 併用薬の薬物動態パラメータ比 本剤併用/非併用時 (90%信頼区間) AUC Cmax 1.364 1.576 (1.207, 1.541) (1.434, 1.731) 2.050 1.104 (1.931, 2.176) (1.049, 1.161) パリタプレビルの薬物動態パラメータ比 併用薬併用/非併用時 (90%信頼区間) AUC Cmax 2.161 1.723 (1.759, 2.657) (1.316, 2.255) オムビタスビルの薬物動態パラメータ比 併用薬併用/非併用時 (90%信頼区間) AUC Cmax 1.256 0.978 (1.197, 1.318) (0.923, 1.036) ・シクロスポリンとの併用 薬物相互作用臨床試験においてシクロスポリン及び本剤のパリタプレビルの血中濃度上昇が認められている.シクロス ポリンは CYP3A/OATP 基質であり,本剤のリトナビルの CYP3A 阻害作用及びパリタプレビルの OATP 阻害作用によっ てシクロスポリンの血中濃度が上昇するおそれがある.一方でパリタプレビルは OATP/BCRP/P-gp の基質であり,シク ロスポリンの OATP/BCRP/P-gp 阻害作用によってパリタプレビルの血中濃度が上昇すると考えられている. ・タクロリムス水和物との併用 薬物相互作用臨床試験においてタクロリムスの血中濃度上昇が認められている.タクロリムスは CYP3A 基質であり,本 剤のリトナビルの CYP3A 阻害作用によってタクロリムスの血中濃度が上昇するおそれがある. -52- 薬物相互作用臨床試験データ(社内資料) 併用薬 用量 (mg) 本剤(オムビタスビル/ パリタプレビル/リトナ ビル)用量(mg) 例 シクロスポリン 10 単回 25/150/100 QD 12 タクロリムス 0.5 単回 25/150/100 QD 11 併用薬 用量(mg) 本剤(オムビタスビル/ パリタプレビル/リトナ ビル)用量(mg) 例 シクロスポリン 10 単回 25/150/100 QD 12 併用薬の薬物動態パラメータ比 本剤併用/非併用時 (90%信頼区間) AUC Cmax 4.280 0.825 (3.656, 5.009) (0.724, 0.940) 85.813 4.267 (67.875, 108.491) (3.491, 5.216) パリタプレビルの薬物動態パラメータ比 併用薬併用/非併用時 (90%信頼区間) AUC Cmax 1.455 1.389 (1.289, 1.642) (1.102, 1.750) ・ダルナビルエタノール付加物との併用 機序不明ながら,薬物相互作用臨床試験においてダルナビル(1 日 1 回投与)併用でパリタプレビルの血中濃度上昇が 認められている.ダルナビルエタノール付加物/リトナビル(1 日 2 回投与)併用でダルナビルの血中濃度低下(Cmin) が認められている.本剤含有のリトナビルがダルナビルの薬物動態学的増強効果をもたらすため,同時に服用する場合 にはダルナビル製剤と共に処方されているリトナビル製剤(ノービア)を服用しないこと. ・アタザナビル硫酸塩,アタザナビル硫酸塩/リトナビルとの併用 薬物相互作用臨床試験においてパリタプレビルの血中濃度上昇が認められている.アタザナビルの CYP3A/OATP 阻害作 用やリトナビル併用レジメンにおいてはリトナビルの CYP3A 阻害作用の増強により,パリタプレビルの血中濃度が上昇 するおそれがある.本剤含有のリトナビルがアタザナビルの薬物動態学的増強効果をもたらすため,同時に服用する場 合にはアタザナビル製剤と共に処方されているリトナビル製剤(ノービア)を服用しないこと. ・リトナビル含有製剤との併用 薬物相互作用臨床試験においてパリタプレビルの血中濃度上昇が認められている(ロピナビル・リトナビルとの併用試 験).リトナビル含有製剤との併用ではリトナビルの CYP3A 阻害作用の増強により,パリタプレビルの血中濃度が上昇 するおそれがある.本剤とは同時に服用しないこと.(対処例:本剤を朝,リトナビル含有製剤を夜に服用するなど) ・リルピビリン塩酸塩との併用 薬物相互作用臨床試験においてリルピビリンの血中濃度上昇が認められている.本剤のリトナビルの CYP3A 阻害作用に よってリルピビリンの血中濃度が上昇するおそれがある. ・リファブチンとの併用 本剤との直接的な相互作用データはないが,リトナビルとの併用でリファブチンの血中濃度が上昇したとの報告がある (ファイザー社内資料).本剤のリトナビルの CYP3A 阻害作用によってリファブチンの血中濃度が上昇するおそれがあ る. -53- 薬物相互作用臨床試験データ(社内資料) 併用薬 用量 (mg) 本剤(オムビタスビル/ パリタプレビル/リトナ ビル) 用量(mg) 例 ダルナビル/リトナビル 600 BID/100 QPM 25/150/100 QD 7 リルピビリン 25 QD 25/150/100 QD 10 併用薬 用量(mg) 本剤(オムビタスビル/ パリタプレビル/リトナ ビル) 用量(mg) 例 ダルナビル 800 QD 25/150/100 QD 9 アタザナビル 300 QD 25/150/100 QD 10 25/150/100 QD 18 25/150/100 QD 11 ロピナビル・リトナビル 400・100 BID ロピナビル・リトナビル 800・200 QPM 併用薬の薬物動態パラメータ比 本剤併用/非併用時 (90%信頼区間) AUC Cmax 0.797 0.871※ (0.736, 0.863) (0.793, 0.957) 3.245 2.545 (2.795, 3.768) (2.077, 3.118) ※Cmin(=C12):0.567(0.432, 0.668) パリタプレビルの薬物動態パラメータ比 併用薬併用/非併用時 (90%信頼区間) AUC Cmax 1.937 2.092 (1.363, 2.752) (1.351, 3.239) 2.874 2.742 (2.082, 3.968) (1.762, 4.265) 6.102 4.760 (4.295, 8.669) (3.544, 6.393) 3.547 1.783 (2.366, 5.319) (1.262, 2.518) 8.副作用 (1)副作用の概要 副作用 ジェノタイプ 1b の C 型慢性肝炎患者又は C 型代償性肝硬変患者を対象に本剤を投与した国内第Ⅲ相試験において副 作用(臨床検査値異常を含む)は 363 例中 105 例(28.9%)に認められた.主な副作用として末梢性浮腫 15 例(4.1%), 頭痛 12 例(3.3%),悪心 10 例(2.8%)が認められた.(承認時) (解説) 国内第Ⅲ相臨床試験(363 例)において主な副作用として,末梢性浮腫,頭痛,悪心の副作用が認められている. (2)重大な副作用と初期症状 重大な副作用 1)体液貯留:末梢性浮腫(4.1%),浮腫(1.4%),顔面浮腫(0.6%),肺水腫(0.3%)があらわれることがある. 低血圧(1.1%) ,無尿(0.3%)に至った例も報告されているので,観察を十分に行い,異常が認められた場合に は,投与を中止するなど適切な処置を行うこと.なお,体液貯留は Ca 拮抗剤を併用している患者であらわれや すい.(「相互作用」の項参照) 2)肝機能障害,肝不全:ALT(GPT)※(0.3%),ビリルビン※※(0.3%)等の上昇を伴う肝機能障害があらわれる ことがある.また,肝酵素上昇の有無にかかわらず,血中ビリルビン値が著しく上昇し,腹水,肝性脳症等を伴 う肝不全があらわれることがある.肝機能異常が認められた場合はより頻回に検査を行い,悪化が認められた場 合は投与を中止するなど適切な処置を行い,観察を十分に行うこと.ALT(GPT)が基準値上限の 10 倍を持続的 に超える場合,あるいは肝不全の徴候が認められた場合には投与を中止し,適切な処置を行うこと. ※基準値上限 5 倍超,※※基準値上限 3 倍超 -54- (解説) ・体液貯留 国内臨床試験において末梢性浮腫等の体液貯留関連事象が報告されていることから設定した.これらの事象は Ca 拮抗剤 との併用例で多く認められているため,Ca 拮抗剤との併用は Ca 拮抗剤を減量するなどし,副作用の発現に十分に注意 すること. ・肝機能障害 国内臨床試験で ALT 上昇,ビリルビン上昇等の肝機能障害が報告されている.また,海外市販後自発報告において,主 に進行した肝硬変患者で重篤な肝不全が報告されている. 1)投与中は観察を十分に行うこと. 2)観察によって肝機能の異常が認められた場合は頻回に検査を実施すること. 3)検査によってさらに悪化が認められた場合は投与を中止するなど適切な処置を行うこと. 4)ALT が基準値上限の 10 倍を持続的に超えるようになった場合,あるいは肝不全(肝代償不全)の徴候が認められた 場合は本剤を中止し適切な処置を行うこと. (国内臨床試験では,ウイルス耐性を招かないよう可能な限り本剤を継続し,治療を終えることが重要であるため,判 断の目安として上記の段階的な設定を行った). (3)その他の副作用 その他の副作用 以下の副作用が報告されている.次のような症状があらわれた場合には,症状に応じて適切な処置を行うこと. 消化器 循環器 精神神経 血液 皮膚 呼吸器 過敏症 臨床検査 5%未満 腹部不快感,便秘,心窩部不快感, 胃炎,悪心,口内炎 動悸 頭痛 貧血 脱毛症,皮脂欠乏性湿疹,紅斑,そ う痒,発疹 鼻咽頭炎 頻度不明※ 過敏症反応(舌,口唇腫脹を含む) AST(GOT)上昇,ALP 上昇,血圧 低下,クレアチニンクリアランス減 少,尿中蛋白陽性,尿比重減少,尿 中白血球エステラーゼ陽性 ※自発報告 (解説) 国内第Ⅲ相臨床試験の二重盲検試験において,プラセボ群よりも本剤投与群で多いと考えられた副作用を設定した(「重 大な副作用」に包含される事象を除く). また,海外自発報告において過敏症反応(舌,口唇腫脹を含む)が認められていることから設定した. -55- (4)項目別副作用発現頻度及び臨床検査値異常一覧 全副作用 副作用名 一般・全身障害および投与部位の状態 顔面浮腫 疲労 熱感 倦怠感 浮腫 末梢性浮腫 発熱 口渇 胃腸障害 腹部不快感 腹部膨満 便秘 下痢 心窩部不快感 胃炎 胃腸障害 歯肉腫脹 悪心 口内炎 嘔吐 皮膚および皮下組織障害 脱毛症 皮膚炎 接触性皮膚炎 薬疹 湿疹 皮脂欠乏性湿疹 紅斑 そう痒症 発疹 丘疹性皮疹 皮膚亀裂 蕁麻疹 神経系障害 味覚異常 頭痛 感覚鈍麻 傾眠 血管障害 ほてり 高血圧 低血圧 レイノー現象 血栓性静脈炎 非肝硬変群 代償性肝硬変群 合計(363 例) 投与群 A(215 例) 投与群 B(106 例) 投与群 C(42 例) 発現例数(%) 発現例数(%) 発現例数(%) 発現例数(%) 66 (30.7) 22 (20.8) 17 (40.5) 105 (28.9) 20 2 2 0 5 4 10 1 0 22 3 1 2 3 2 2 0 1 7 2 1 13 2 1 1 0 0 2 2 4 3 1 0 1 13 3 9 1 1 6 1 1 2 1 1 (9.3) (0.9) (0.9) (0) (2.3) (1.9) (4.7) (0.5) (0) (10.2) (1.4) (0.5) (0.9) (1.4) (0.9) (0.9) (0) (0.5) (3.3) (0.9) (0.5) (6.0) (0.9) (0.5) (0.5) (0) (0) (0.9) (0.9) (1.9) (1.4) (0.5) (0) (0.5) (6.0) (1.4) (4.2) (0.5) (0.5) (2.8) (0.5) (0.5) (0.9) (0.5) (0.5) -56- 5 0 1 0 0 1 3 0 0 9 1 0 0 2 0 0 1 0 1 3 1 7 0 0 0 0 2 0 0 2 2 0 1 0 3 1 2 0 0 1 1 0 0 0 0 (4.7) (0) (0.9) (0) (0) (0.9) (2.8) (0) (0) (8.5) (0.9) (0) (0) (1.9) (0) (0) (0.9) (0) (0.9) (2.8) (0.9) (6.6) (0) (0) (0) (0) (1.9) (0) (0) (1.9) (1.9) (0) (0.9) (0) (2.8) (0.9) (1.9) (0) (0) (0.9) (0.9) (0) (0) (0) (0) 3 0 0 1 2 0 2 1 1 3 0 0 0 1 0 0 0 0 2 0 0 3 0 0 0 1 0 0 0 0 2 0 0 0 2 0 1 0 1 2 0 0 2 0 0 (7.1) (0) (0) (2.4) (4.8) (0) (4.8) (2.4) (2.4) (7.1) (0) (0) (0) (2.4) (0) (0) (0) (0) (4.8) (0) (0) (7.1) (0) (0) (0) (2.4) (0) (0) (0) (0) (4.8) (0) (0) (0) (4.8) (0) (2.4) (0) (2.4) (4.8) (0) (0) (4.8) (0) (0) 28 2 3 1 7 5 15 2 1 34 4 1 2 6 2 2 1 1 10 5 2 23 2 1 1 1 2 2 2 6 7 1 1 1 18 4 12 1 2 9 2 1 4 1 1 (7.7) (0.6) (0.8) (0.3) (1.9) (1.4) (4.1) (0.6) (0.3) (9.4) (1.1) (0.3) (0.6) (1.7) (0.6) (0.6) (0.3) (0.3) (2.8) (1.4) (0.6) (6.3) (0.6) (0.3) (0.3) (0.3) (0.6) (0.6) (0.6) (1.7) (1.9) (0.3) (0.3) (0.3) (5.0) (1.1) (3.3) (0.3) (0.6) (2.5) (0.6) (0.3) (1.1) (0.3) (0.3) 筋骨格系および結合組織障害 関節痛 筋痙縮 筋力低下 筋骨格不快感 筋骨格硬直 筋肉痛 関節リウマチ 血液およびリンパ系障害 貧血 好塩基球増加症 白血球増加症 感染症および寄生虫症 膀胱炎 鼓膜炎 鼻咽頭炎 咽頭炎 呼吸器,胸郭および縦隔障害 咳嗽 鼻閉 胸水 肺水腫 アレルギー性鼻炎 上気道の炎症 代謝および栄養障害 食欲減退 糖尿病 高脂血症 腎および尿路障害 無尿 着色尿 頻尿 腎機能障害 心臓障害 動悸 眼障害 羞明 霧視 耳および迷路障害 耳不快感 耳鳴 精神障害 不眠症 非肝硬変群 代償性肝硬変群 合計(363 例) 投与群 A(215 例) 投与群 B(106 例) 投与群 C(42 例) 発現例数(%) 発現例数(%) 発現例数(%) 発現例数(%) 5 (2.3) 1 (0.9) 1 (2.4) 7 (1.9) 1 (0.5) 0 (0) 0 (0) 1 (0.3) 0 (0) 0 (0) 1 (2.4) 1 (0.3) 1 (0.5) 0 (0) 0 (0) 1 (0.3) 0 (0) 1 (0.9) 0 (0) 1 (0.3) 1 (0.5) 0 (0) 0 (0) 1 (0.3) 1 (0.5) 0 (0) 0 (0) 1 (0.3) 1 (0.5) 0 (0) 0 (0) 1 (0.3) 4 (1.9) 1 (0.9) 1 (2.4) 6 (1.7) 2 (0.9) 1 (0.9) 1 (2.4) 4 (1.1) 1 (0.5) 0 (0) 0 (0) 1 (0.3) 1 (0.5) 0 (0) 0 (0) 1 (0.3) 3 (1.4) 1 (0.9) 2 (4.8) 6 (1.7) 1 (0.5) 0 (0) 0 (0) 1 (0.3) 0 (0) 1 (0.9) 0 (0) 1 (0.3) 2 (0.9) 0 (0) 1 (2.4) 3 (0.8) 0 (0) 1 (0.9) 1 (2.4) 2 (0.6) 5 (2.3) 0 (0) 1 (2.4) 6 (1.7) 1 (0.5) 0 (0) 0 (0) 1 (0.3) 1 (0.5) 0 (0) 0 (0) 1 (0.3) 1 (0.5) 0 (0) 0 (0) 1 (0.3) 0 (0) 0 (0) 1 (2.4) 1 (0.3) 1 (0.5) 0 (0) 0 (0) 1 (0.3) 1 (0.5) 0 (0) 0 (0) 1 (0.3) 3 (1.4) 0 (0) 1 (2.4) 4 (1.1) 1 (0.5) 0 (0) 1 (2.4) 2 (0.6) 1 (0.5) 0 (0) 0 (0) 1 (0.3) 1 (0.5) 0 (0) 0 (0) 1 (0.3) 4 (1.9) 0 (0) 0 (0) 4 (1.1) 1 (0.5) 0 (0) 0 (0) 1 (0.3) 1 (0.5) 0 (0) 0 (0) 1 (0.3) 1 (0.5) 0 (0) 0 (0) 1 (0.3) 1 (0.5) 0 (0) 0 (0) 1 (0.3) 2 (0.9) 0 (0) 0 (0) 2 (0.6) 2 (0.9) 0 (0) 0 (0) 2 (0.6) 2 (0.9) 0 (0) 0 (0) 2 (0.6) 1 (0.5) 0 (0) 0 (0) 1 (0.3) 1 (0.5) 0 (0) 0 (0) 1 (0.3) 1 (0.5) 1 (0.9) 0 (0) 2 (0.6) 0 (0) 1 (0.9) 0 (0) 1 (0.3) 1 (0.5) 0 (0) 0 (0) 1 (0.3) 1 (0.5) 0 (0) 0 (0) 1 (0.3) 1 (0.5) 0 (0) 0 (0) 1 (0.3) -57- 非肝硬変群 代償性肝硬変群 合計(363 例) 投与群 A(215 例) 投与群 B(106 例) 投与群 C(42 例) 発現例数(%) 発現例数(%) 発現例数(%) 発現例数(%) 臨床検査 20 (9.3) 4 (3.8) 6 (14.3) 30 (8.3) 活性化部分トロンボプラスチン時間延長 1 (0.5) 0 (0) 0 (0) 1 (0.3) 活性化部分トロンボプラスチン時間短縮 1 (0.5) 0 (0) 0 (0) 1 (0.3) アラニンアミノトランスフェラーゼ増加 1 (0.5) 0 (0) 1 (2.4) 2 (0.6) α2 マクログロブリン増加 0 (0) 0 (0) 1 (2.4) 1 (0.3) アポリポ蛋白 A-I減少 0 (0) 0 (0) 1 (2.4) 1 (0.3) アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ増加 2 (0.9) 0 (0) 1 (2.4) 3 (0.8) 抱合ビリルビン増加 2 (0.9) 0 (0) 0 (0) 2 (0.6) 血中アルカリホスファターゼ増加 3 (1.4) 0 (0) 0 (0) 3 (0.8) 血中ビリルビン増加 1 (0.5) 1 (0.9) 1 (2.4) 3 (0.8) 血中コレステロール増加 1 (0.5) 1 (0.9) 0 (0) 2 (0.6) 血中インスリン増加 1 (0.5) 0 (0) 0 (0) 1 (0.3) 血中カリウム減少 0 (0) 1 (0.9) 0 (0) 1 (0.3) 血圧低下 4 (1.9) 1 (0.9) 0 (0) 5 (1.4) 血圧上昇 1 (0.5) 0 (0) 0 (0) 1 (0.3) 血中ナトリウム減少 1 (0.5) 0 (0) 0 (0) 1 (0.3) 血中トリグリセリド増加 0 (0) 1 (0.9) 1 (2.4) 2 (0.6) 腎クレアチニン・クリアランス減少 2 (0.9) 0 (0) 0 (0) 2 (0.6) 好酸球数増加 1 (0.5) 0 (0) 0 (0) 1 (0.3) ヘマトクリット減少 0 (0) 0 (0) 1 (2.4) 1 (0.3) ヘモグロビン減少 1 (0.5) 0 (0) 2 (4.8) 3 (0.8) 国際標準比減少 1 (0.5) 0 (0) 0 (0) 1 (0.3) 国際標準比増加 1 (0.5) 0 (0) 0 (0) 1 (0.3) リンパ球形態異常 0 (0) 0 (0) 1 (2.4) 1 (0.3) 好中球数減少 1 (0.5) 0 (0) 0 (0) 1 (0.3) 血小板数減少 0 (0) 0 (0) 2 (4.8) 2 (0.6) 尿中蛋白陽性 2 (0.9) 0 (0) 0 (0) 2 (0.6) 赤血球数減少 1 (0.5) 0 (0) 1 (2.4) 2 (0.6) 尿比重減少 2 (0.9) 0 (0) 0 (0) 2 (0.6) トランスアミナーゼ上昇 0 (0) 0 (0) 1 (2.4) 1 (0.3) 尿中白血球エステラーゼ陽性 3 (1.4) 0 (0) 0 (0) 3 (0.8) 白血球数減少 1 (0.5) 0 (0) 1 (2.4) 2 (0.6) MedDRA/J Version 17.0 承認時社内集計 (5)基礎疾患,合併症,重症度及び手術の有無等背景別の副作用発現頻度 該当資料なし (6)薬物アレルギーに対する注意及び試験法 ■禁忌(次の患者には投与しないこと) 1.本剤の成分に対して過敏症の既往歴のある患者 (「Ⅷ.2.禁忌内容とその理由(原則禁忌を含む)」の項参照) -58- 9.高齢者への投与 一般に高齢者では生理機能が低下しており,既往歴や合併症を伴っていることが多いので,患者の状態を観察しな がら慎重に投与すること. (解説) 国内臨床試験(第Ⅱ及び第Ⅲ相)における検討では,65 歳以上の高齢者と非高齢者との間で発現率に 5%以上の差が見 られた有害事象はなく,高齢者と非高齢者間で本剤の安全性プロファイルに差は認められていない.しかし,一般に高 齢者においては生理機能の低下に加え既往歴や合併症等により非高齢者よりも副作用を発現しやすい背景があるため, 十分な観察を行いながら投与すること. 10.妊婦,産婦,授乳婦等への投与 (1)妊娠又は妊娠している可能性のある婦人には治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与す ること.[妊娠中の投与に関する安全性は確立していない.] (2)授乳中の婦人には投与しないこと.やむを得ず投与する場合は,授乳を避けさせること.[本剤成分がヒト乳 汁中へ移行するかどうかは不明であるが,動物実験(ラット)で本剤由来成分が乳汁中へ移行することが報告 されている.授乳ラットでは主としてパリタプレビル,パリタプレビル加水分解物質 M13,オムビタスビル未 変化体が認められた 51),52).]53),54) (解説) (1)動物実験(マウス,ウサギ)において,本剤の胚・胎児発生に対する影響は認められていないが,ヒト妊婦におけ る使用経験が限られているため,妊婦への投与はリスクベネフィットを十分勘案の上,必要と判断される場合に限 ること. (2)ヒト乳汁移行に関するデータはないが,動物実験(ラット)において本剤成分が乳汁に移行することがわかってい る.このため,授乳中の婦人には本剤を投与しないこと.やむを得ず投与する場合には授乳を避けさせること. 11.小児等への投与 小児等における安全性は確立していない.[使用経験がない.] (解説) 本剤の小児における使用経験はなく,安全性は確立していない. 12.臨床検査結果に及ぼす影響 該当しない -59- 13.過量投与 本剤に特定の解毒薬はない.過量投与の場合は,副作用の徴候や症状を注意深く観察し,速やかに適切な対症療法 を行うこと. (解説) 本剤に特定の解毒薬はない.過量投与の場合は,バイタルサイン,患者状態の観察の上,必要に応じて一般的な支持療 法を行うこと. なお,海外の健康被験者で確認された最高単回用量はオムビタスビルで 350mg,パリタプレビルで 400mg(リトナビル 100mg と併用),リトナビルで 200mg(パリタプレビル 100mg と併用).日本人においてはオムビタスビルで 200mg,パ リタプレビルで 250mg(リトナビル 100mg と併用),リトナビルで 100mg(パリタプレビル 250mg と併用)であった. 注意:本剤の承認されている用法・用量は,オムビタスビルとして 25mg,パリタプレビルとして 150mg,リトナビルとして 100mg を含有する配合錠を食後に経口投与(1 日 1 回),投与期間は 12 週間である. 14.適用上の注意 薬剤交付時:PTP 包装の薬剤は PTP シートから取り出して服用するよう指導すること.(PTP シートの誤飲により, 硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し,更には穿孔をおこして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することが報告されてい る) (解説) PTP 包装薬剤の一般的な注意事項を設定した. 15.その他の注意 本剤のジェノタイプ 1a の C 型慢性肝炎患者に対する有効性は確立していない.なお,海外で実施した臨床試験におい て,未治療の C 型慢性肝炎患者(ジェノタイプ 1a)にオムビタスビル(25mg) ,パリタプレビル(200mg) ,リトナビ ル(100mg)を 12 週間投与したとき,投与終了 12 週後の HCV RNA 陰性化の割合は 62.5%(5/8 例)であった.60) (解説) 本剤のジェノタイプ 1a の C 型慢性肝炎患者に対する有効性は確立していないため設定した. 注意:本剤の承認されている用法・用量は,オムビタスビルとして 25mg,パリタプレビルとして 150mg,リトナビルとして 100mg を含有する配合錠を食後に経口投与(1 日 1 回),投与期間は 12 週間である. 16.その他 該当しない -60- Ⅸ.非臨床試験に関する項目 1.薬理試験 (1)薬効薬理試験(「Ⅵ.薬効薬理に関する項目」参照) (2)副次的薬理試験 1)オムビタスビルの受容体結合性 典型的な G プロテイン共役受容体,リガンド,電位開口型イオンチャネルについて,オムビタスビルの受容体結合に及 ぼす影響を検討した.10μmol/L(ヒト Cmax の 58.1 倍)のオムビタスビルを添加したとき,いずれの受容体及びイオン チャネルに対するリガンド結合に対しても,80%以上の阻害はみられなかった. 2)オムビタスビル代謝物の受容体結合性 典型的な G プロテイン共役受容体,リガンド,電位開口型イオンチャネルについて,オムビタスビル代謝物である M29, M36 及び M23 の受容体結合に及ぼす影響を検討した.10μmol/L の代謝物 M29 は,いずれの受容体及びイオンチャネル に対し 80%以上のリガンド結合の阻害作用を示さなかった.また,10μmol/L の代謝物 M36 及び M23 は,それぞれ, ドパミントランスポーター(75%)及びクロライドチャネル(96%)におけるリガンド結合を阻害し,IC50 値はそれぞ れ,3.2 及び 1.5μmol/L であった. 3)パリタプレビルの受容体結合性 典型的な G プロテイン共役受容体,イオンチャネルについて,パリタプレビルの受容体結合に及ぼす影響を検討した. 10μmol/L(ヒト Cmax の 1.99 倍)のパリタプレビルを添加したとき,いずれの受容体又はイオンチャネルに対するリガ ンド結合に対しても,80%以上の阻害はみられなかった. 注意:各試験におけるオムビタスビル及びオムビタスビルの代謝物である M29 及び M36,パリタプレビルの添加濃度と臨床試験にお ける曝露量比の算出には,オムビタスビル/パリタプレビル/リトナビル配合錠を用いた日本人健康成人被験者を対象とした薬物 動態試験の Cmax 値(オムビタスビル:154ng/mL,パリタプレビル:3840ng/mL)を用いた. (3)安全性薬理試験 1)オムビタスビルの安全性薬理試験 ①オムビタスビルの中枢神経系に及ぼす影響 Rj:Wistar(Han)ラットにオムビタスビルを 0.3~30mg/kg 経口投与したとき,いずれの用量においても水平面及び 垂直方向の自発運動量に有意な変化はみられなかった. CD-1 マウスにオムビタスビルを経口投与したとき,120mg/kg(血漿中濃度 5.42μg/mL;ヒト Cmax の 35.2 倍)まで 中枢神経系に影響を及ぼさなかった. ②オムビタスビルの心血管系に及ぼす影響 オムビタスビルの hERG 電流に及ぼす影響 In vitro のヒト胎児由来腎臓細胞(HEK-293 細胞)に発現させた hERG チャネルにおいて,オムビタスビルを適用最 大容量である終濃度 4.56μg/mL(n=5,ヒト Cmax の 29.6 倍)で溶液中に添加したとき,hERG テール電流を 14.3% 減少させた(溶媒洗浄後の値で補正). オムビタスビルの麻酔イヌにおける心血管系に及ぼす影響 麻酔イヌにオムビタスビルを 0.001,0.002 及び 0.006mg/kg/分持続注入したとき,0.006mg/kg/分(血漿中濃度=0.483 μg/mL;ヒト Cmax の 3.13 倍)まで平均動脈圧,心拍数,心拍出量,dP/dtmax,左室拡張終期圧,中心静脈圧,肺動脈 圧,肺静脈圧,全身血管抵抗,QTcV 間隔及び PR 間隔に影響を及ぼさなかった. -61- オムビタスビルの覚醒イヌにおける心血管系に及ぼす影響 テレメトリー装着イヌにオムビタスビルを 2,10 及び 60mg/kg 経口投与したとき,60mg/kg(血漿中濃度=2.62μ g/mL;ヒト Cmax の 17 倍)まで平均動脈圧,心拍数,体温,QTc 間隔に影響を及ぼさなかった. ③オムビタスビルの呼吸系に及ぼす影響 CD-1 マウスにオムビタスビルを 5,20 及び 60mg/kg 経口投与したとき,60mg/kg(Cmax=5.48μg/mL;ヒト Cmax の 35.6 倍)まで呼吸数,一回換気量及び 1 分間換気量に影響を及ぼさなかった. ④オムビタスビルの消化器系へ及ぼす影響 3 時間絶食したフェレットにオムビタスビルを 0.5,1.5,5 及び 15mg/kg 経口投与したとき,15mg/kg(血漿中濃度 =0.204μg/mL;ヒト Cmax の 1.32 倍)まで嘔吐作用がみられなかった.一晩絶食した SD ラット(n=6)にオムビタ スビルを 1.5,5 及び 15mg/kg 経口投与したとき,15mg/kg(血漿中濃度=0.23μg/mL;ヒト Cmax の 1.49 倍)まで腸 管輸送能に影響を及ぼさなかった. 2)パリタプレビルの安全性薬理試験 ①パリタプレビルの中枢神経系に及ぼす影響 ラットにパリタプレビルを 30mg/kg まで経口投与したとき(15mg/kg リトナビル併用経口投与),中枢神経系に有害 な影響を及ぼさなかった.100mg/kg 以上を経口投与(15mg/kg リトナビル併用経口投与,ヒト Cmax の 0.448 倍)し たとき,ラットを用いた 2 試験中 1 試験で軽度の興奮作用がみられた. ②パリタプレビルの心血管系に及ぼす影響 hERG 電流に及ぼす影響 In vitro の hERG アッセイにおいて,パリタプレビルを終濃度 6.86 及び 19.15μg/mL(n=4~6,それぞれ,ヒト Cmax の 1.79 及び 4.99 倍)で評価したとき,hERG テール電流をそれぞれ 7.5%及び 17.7%減少させた(溶媒洗浄後の値で 補正)が,いずれの濃度でも有意な hERG テール電流の減少はみられなかった.パリタプレビルを溶解可能な最高用 量である 8.24μg/mL(ヒト Cmax の 2.15 倍)を適用したとき,hERG テール電流を 5.3%減少させた. また,hERG チャネルに及ぼす影響について,GLP 基準及び ICH ガイドラインに従って検討した溶解可能な最大用 量である,0.0434μg/mL(ヒト Cmax の 0.282 倍)で評価した.オムビタスビルは,hERG テール電流に影響を及ぼさ なかった. パリタプレビルの麻酔イヌにおける心血管系に及ぼす影響 麻酔イヌにパリタプレビルを 0.017,0.056 及び 0.167mg/kg/分で持続注入したとき,Cmax はそれぞれ,2.62,17.49 及 び 65.72μg/mL であった.0.167mg/kg/分の用量まで,平均動脈圧,心拍数,dP/dtmax,dP/dt50mmHg,心拍出量,肺動脈 圧,肺血管抵抗,全身血管抵抗,中心静脈圧,左心室拡張終期圧及び PR 間隔に影響を及ぼさなかった. パリタプレビルの投与により血漿中濃度 1.53μg/mL(ヒト Cmax の 0.398 倍)以上から,用量非依存性の Van de Water の補正式による QT 間隔(QTcV)の軽度な延長を引き起こした.パリタプレビルの血漿中濃度が 2.62,17.49 及び 65.72 μg/mL(ヒト Cmax の 17.1 倍)に上昇したとき,QTcV 延長は 4,5 及び 7ms となった(溶媒ではそれぞれ-1,-2 及び-1ms). 最高用量での持続注入を中止した後も QTcV は引き続き延長し,注入後 60 分にはベースラインに対して 10ms の延 長となった(溶媒では-1ms). 覚醒イヌにおける心血管系に及ぼす影響 覚醒イヌにパリタプレビルを 100mg/kg(血漿中濃度 96.9μg/mL;ヒト Cmax の 25.2 倍)まで経口投与したとき,血圧, 心拍数,QTc 間隔及び体温に影響を及ぼさなかった. ③パリタプレビルの呼吸系に及ぼす影響 ラットを用いたプレスチモグラフに,パリタプレビルを 50,150 及び 500mg/kg 経口投与したとき,500mg/kg まで呼 吸数,1 回換気量及び 1 分間換気量に影響を及ぼさず,そのときの Cmax は 0.70μg/mL(ヒト Cmax の 0.184 倍)であった. -62- ④パリタプレビルの消化器系に及ぼす影響 3 時間絶食したフェレットにパリタプレビルを 7.5,25 及び 75mg/kg 経口投与したとき,25mg/kg(血漿中濃度 0.56 μg/mL)まで悪心,嘔吐作用はみられなかった.75mg/kg では 6 例中 1 例で嘔吐がみられた(血漿中濃度 8.15μg/mL; ヒト Cmax の 2.12 倍). 一晩絶食した SD ラットにパリタプレビルを 30,100,300mg/kg 経口投与したとき,300mg/kg(血漿中濃度 0.235μ g/mL;ヒト Cmax の 0.061 倍)まで腸管輸送能に影響を及ぼさなかった. (4)その他の薬理試験 該当資料なし 2.毒性試験 (1)単回投与毒性試験 パリタプレビル(リトナビル非併用) ラットに最大 600mg/kg/日,ビーグル犬に最大 100mg/kg/日を単回経口投与したところ, パリタプレビルに関連した毒性 変化はみられなかった. (2)反復投与毒性試験 オムビタスビル マウス及びイヌの 6 ヵ月間までの反復投与毒性試験では,曝露量が飽和する用量まで投与したが,用量制限毒性はみら れなかった.オムビタスビルに関連する変化はイヌのみでみられ,3 ヵ月間反復投与毒性試験の 100mg/kg/日群でみられ た空腸絨毛内の乳び腔の拡張及び 6 ヵ月間反復投与毒性試験の 20mg/kg/日群及び 100mg/kg/日群でみられた十二指腸及び 空腸の絨毛における空胞化であった.小腸でみられた変化は,炎症などの細胞性反応や上皮の障害像がみられず,絨毛 の構造に変化がみられなかった.また,便性異常のような関連する一般状態の変化や臨床検査においても変化がみられ ず,高用量においても体重に影響がみられなかったことから,毒性所見と判断しなかった. マウスの 6 ヵ月間及びイヌの 6 ヵ月間反復投与毒性試験における無毒性量は,それぞれ,200mg/kg/日及び 100mg/kg/日 であった. 300mg/kg/日まで投与したラットの 3 ヵ月までの反復投与毒性試験において,毒性所見はみられなかった. パリタプレビル/リトナビル ラット及びマウスの 3 ヵ月間までの反復投与毒性試験及びイヌの 9 ヵ月までの反復投与毒性試験において,パリタプレ ビル/リトナビルに起因する毒性所見はみられなかった. マウスにパリタプレビル/リトナビルを 6 ヵ月間反復経口投与したとき,100/30 及び 300/30mg/kg/日群で胆嚢の変化がみ られ,限局性びらん/潰瘍,炎症(急性及び慢性)及び上皮肥大/過形成を特徴としていた.4 週間の休薬期間終了後には びらん/潰瘍は認められず,回復傾向を示した.同様の変化が TgHras マウスを用いた 6 ヵ月間がん原性試験においても みられた. イヌの 4 週間反復投与毒性試験及び 9 ヵ月反復投与毒性試験において,軽微な上皮細胞の変性又は壊死がみられた.程 度が軽微であったこと,上皮細胞の配列は正常に保たれていたことから,毒性所見と判断しなかった. マウスの 6 ヵ月間及びイヌの 9 ヵ月間反復投与毒性試験における無毒性量は,それぞれ,450/45 mg/kg/ ラットの 3 ヵ月間, 日,30/30mg/kg/日及び 80/20mg/kg/日であった. ラットを用いた 4 週間及び 3 ヵ月間反復投与毒性試験において,リバビリンをパリタプレビル/リトナビルと併用投与し たとき,新たな毒性や,既知の毒性所見の増悪はみられなかった.また,リバビリンの併用投与によるパリタプレビル/ リトナビルの曝露量への著しい影響はみられなかった. -63- (3)生殖発生毒性試験 オムビタスビル マウスを用いた受胎能及び着床までの初期胚発生に関する試験において,性周期や交配,受胎能,胚の生存に対する影 響はみられなかった.無毒性量は雌雄ともに 200mg/kg/日であった.マウス及びウサギを用いた胚・胎児発生に関する試 験において,いずれの動物種においてもオムビタスビルに関連する毒性所見はみられなかった.母動物及び胎児におけ る無毒性量は,マウスでは 150mg/kg/日,ウサギでは 60mg/kg/日であった. マウスを用いた出生前及び出生後の発生並びに母体の機能への影響に関する試験において,毒性所見はみられなかった. 無毒性量は,200mg/kg/日であった. パリタプレビル/リトナビル ラットを用いた受胎能及び着床までの初期胚発生に関する試験において,性周期,交配,受胎能,胚の生存に対する影 響はみられなかった.無毒性量は雌雄ともに 300/30mg/kg/日であった. マウス及びラットを用いた胚・胎児発生に関する試験において,いずれの動物種においてもパリタプレビルに関連する 毒性所見はみられなかった.母動物及び胎児における無毒性量は,マウスでは 300/30mg/kg/日,ラットでは 450/45mg/kg/ 日であった. ラットを用いた出生前及び出生後の発生並びに母体の機能への影響に関する試験において,毒性所見はみられなかった. 無毒性量は 300/30mg/kg/日であった. (4)その他の特殊毒性 1)遺伝毒性試験 オムビタスビル 復帰突然変異試験においてオムビタスビルは変異原性を示さなかった.また,in vitro 試験(ヒトリンパ球を用いた染色 体異常試験)及び in vivo 試験(マウス骨髄の小核試験)のいずれにおいても染色体異常誘発性を示さなかった. パリタプレビル 復帰突然変異試験において,パリタプレビルは陰性結果を示した.In vitro の染色体異常試験におけるパリタプレビルの 結果は陽性であったが 2 つの in vivo 遺伝毒性試験(ラット骨髄小核試験及びラット肝コメットアッセイ)では陰性であっ た. 2)がん原性試験 オムビタスビル ラットを用いた 2 年間がん原性試験及び TgHras マウスを用いた 6 ヵ月間がん原性試験においては,発がん性を示唆する 変化はみられなかった.オムビタスビルに関連する 2 次的な腫瘍性病変もみられなかった. パリタプレビル/リトナビル ラットを用いた 2 年間がん原性試験及び TgHras マウスを用いた 6 ヵ月間がん原性試験においては,発がん性を示唆する 変化はみられなかった.パリタプレビル/リトナビルに関連する 2 次的な腫瘍性病変もみられなかった. 3)光毒性試験(オムビタスビル) 200mg/kg/日の用量でヘアレスマウス(Crl:SKH1-hr)を用いた光毒性試験を実施した結果,光毒性はみられなかった. 4)併用投与毒性試験 マウスを用いたオムビタスビル及びパリタプレビル/リトナビルの併用投与による 4 週間反復投与毒性試験を実施した. オムビタスビル/パリタプレビル/リトナビルの投与量は,2/30/20mg/kg/日で実施した結果,毒性所見はみられなかった. -64- Ⅹ.管理的事項に関する項目 1.規制区分 製剤:ヴィキラックス配合錠 劇薬,処方箋医薬品注) 注)注意-医師等の処方箋により使用すること 有効成分:リトナビル 劇薬 2.有効期間又は使用期限 使用期限:外箱に表示(製造後 36 ヵ月) 3.貯法・保存条件 室温保存 4.薬剤取扱い上の注意点 (1)薬局での取り扱い上の留意点について 該当資料なし (2)薬剤交付時の取り扱いについて(患者等に留意すべき必須事項等) 「Ⅷ.14.適用上の注意」の項参照 くすりのしおり 有り (3)調剤時の留意点について 該当資料なし 5.承認条件等 医薬品リスク管理計画を策定の上,適切に実施すること. 6.包装 ヴィキラックス配合錠:28 錠[7 錠(PTP)×4] 7.容器の材質 PTP 包装 多層フィルム(ポリ塩化ビニル/ポリエチレン/ポリクロロトリフルオロエチレン) アルミニウム箔 8.同一成分・同効薬 同一成分:該当しない 同効薬 :テラプレビル,シメプレビルナトリウム,アスナプレビル,ダクラタスビル塩酸塩 9.国際誕生年月日 2014 年 11 月 -65- 10.製造販売承認年月日及び承認番号 承認年月日:2015 年 9 月 28 日 承 認 番 号:22700AMX01024000 11.薬価基準収載年月日 2015 年 11 月 26 日 12.効能又は効果追加,用法及び用量変更追加等の年月日及びその内容 該当しない 13.再審査結果,再評価結果公表年月日及びその内容 該当しない 14.再審査期間 2015 年 9 月 28 日~2023 年 9 月 27 日 15.投薬期間制限医薬品に関する情報 本剤は新医薬品であるため,厚生労働省告示第 107 号(平成 18 年 3 月 6 日付,一部改正)に基づき,平成 28 年 11 月末 日までは,投薬は 1 回 14 日分を限度とされている. 16.各種コード 販売名 HOT(9 桁)番号 ヴィキラックス配合錠 124458801 薬価基準収載 医薬品コード 6250108F1020 17.保険給付上の注意 該当しない -66- レセプト電算処理 システムコード 622445801 ⅩⅠ.文献 1.引用文献 1) ノービア錠100mg・ノービア内用液8% インタビューフォーム 2) 社内資料:日本人被験者における有効性試験(第Ⅲ相臨床試験) 3) Ikeda K,et al:Hepatol Res,18,3:252-266(2000) 4) 社内資料:オムビタスビル用量漸増反復投与試験(ヒト) 5) 社内資料:直接作用型抗ウイルス薬2剤/3剤併用反復投与試験(ヒト) 6) 社内資料:パリタプレビル/リトナビル単回投与試験(ヒト) 7) 社内資料:パリタプレビル/リトナビル/オムビタスビル配合錠単回投与試験(ヒト) 8) 社内資料:パリタプレビル/リトナビル単回・反復投与試験(ヒト) 9) 社内資料:Thorough QT試験(ヒト) 10) 社内資料:日本人被験者における探索的試験(第Ⅱ相臨床試験) 11) Chayama K,et al:Hepatology,61,5:1523-1532(2015) 12) Kumada H,et al:Hepatology,62,4:1037-1046(2015) 13) 社内資料:パリタプレビル作用機序 14) 社内資料:オムビタスビル作用機序 15) 社内資料:in vitro有効性試験 16) Pilot-Matias T,et al:Antimicrob Agents Chemother,59:988-997(2015) 17) 社内資料:リバビリン,リトナビル併用におけるパリタプレビルのin vitro有効性試験 18) Krishnan P,et al:Antimicrob Agents Chemother,59:979-987(2015) 19) 社内資料:オムビタスビル併用におけるパリタプレビルのin vitro有効性試験 20) 社内資料:in vitro薬剤耐性試験 21) 社内資料:in vitro交差耐性試験 22) 社内資料:食事影響試験(日本人) 23) 社内資料:ウルソデオキシコール酸及びグリチルリチンとの薬物相互作用試験(ヒト) 24) 社内資料:肝機能障害患者における試験 25) 社内資料:腎機能障害患者における試験 26) 社内資料:食事影響試験(外国人) 27) 社内資料:ワルファリンとの薬物相互作用試験(ヒト) 28) 社内資料:プラバスタチン及びロスバスタチンとの薬物相互作用試験(ヒト) 29) 社内資料:ジゴキシンとの薬物相互作用試験(ヒト) 30) 社内資料:ケトコナゾールとの薬物相互作用試験(ヒト) 31) 社内資料:アタザナビルとの薬物相互作用試験(ヒト) 32) 社内資料:ロピナビル・リトナビルとの薬物相互作用試験(ヒト) 33) 社内資料:エムトリシタビン・テノホビルとの薬物相互作用試験(ヒト) 34) 社内資料:ダルナビル(リトナビル併用/非併用)との薬物相互作用試験(ヒト) 35) 社内資料:リルピビリンとの薬物相互作用試験(ヒト) 36) 社内資料:シクロスポリンとの薬物相互作用試験(ヒト) 37) 社内資料:タクロリムスとの薬物相互作用試験(ヒト) 38) 社内資料:カルバマゼピンとの薬物相互作用試験(ヒト) 39) 社内資料:オメプラゾールとの薬物相互作用試験(ヒト) 40) 社内資料:エスシタロプラム及びデュロキセチンとの薬物相互作用試験(ヒト) 41) 社内資料:エチニルエストラジオール・norgestimate及びnorethindroneとの薬物相互作用試験(ヒト) 42) 社内資料:アムロジピン及びフロセミドとの薬物相互作用試験(ヒト) 43) 社内資料:アルプラゾラム及びゾルピデムとの薬物相互作用試験(ヒト) 44) 社内資料:ジアゼパムとの薬物相互作用試験(ヒト) 45) 社内資料:gemfibrozilとの薬物相互作用試験(ヒト) -67- 46) 社内資料:ラルテグラビルとの薬物相互作用試験(ヒト) 47) 社内資料:ブプレノルフィン及びナロキソンとの薬物相互作用試験(ヒト) 48) 社内資料:メサドンとの薬物相互作用試験(ヒト) 49) 社内資料:ポピュレーションPK試験 50) 社内資料:絶対的バイオアベイラビリティ測定のための薬物動態試験(ヒト) 51) 社内資料:ラット乳汁分泌及び組織分布試験 52) 社内資料:ラット乳汁代謝物プロファイル 53) 社内資料:ラット出生前・出生後発達試験 54) 社内資料:マウス出生前・出生後発達試験 55) 社内資料:オムビタスビル薬物動態試験(ヒト) 56) 社内資料:オムビタスビル代謝物薬物動態試験(ヒト) 57) 社内資料:パリタプレビル薬物動態試験(ヒト) 58) Grimm SW,et al:Br J Clin Pharmacol,61,1:58-69(2006) 59) Foisy MM,et al:HIV Med,9,6:389-396(2008) 60) 社内資料:外国人被験者における有効性試験(第Ⅱ相臨床試験) 2.その他の参考文献 該当資料なし -68- ⅩⅡ.参考資料 1.主な外国での発売状況 本邦における効能・効果,用法・用量は以下のとおりであり,外国での承認状況とは異なる. 【効能・効果】 セログループ 1(ジェノタイプ 1)の C 型慢性肝炎又は C 型代償性肝硬変におけるウイルス血症の改善 <効能・効果に関連する使用上の注意> (1)本剤の使用に際しては,HCV RNA が陽性であることを確認すること.また,肝予備能,臨床症状等により非代償 性肝硬変でないことを確認すること. (2)本剤を HIV/HCV 重複感染患者に使用する場合,抗 HIV 療法によって HIV のウイルス学的抑制が得られている患 者にのみ投与すること. (本剤に含まれるリトナビルにより,HIV プロテアーゼ阻害剤に対する耐性を生じるおそ れがある.) 【用法・用量】 通常,成人には 1 日 1 回 2 錠(オムビタスビルとして 25mg,パリタプレビルとして 150mg 及びリトナビルとして 100mg) を食後に経口投与し,投与期間は 12 週間とする. 外国での主な承認状況 国・地域 承認年月 米国注) 2014 年 12 月 米国注) 2015 年 7 月 カナダ 2014 年 12 月 欧州注) 2015 年 1 月 販売名,承認製剤 VIEKIRA PAK オムビタスビル/パリタプレビル/リトナ ビル固定用量の配合錠及び dasabuvir 錠と の組み合わせ製剤 -配合錠(オムビタスビル/パリタプレビル/ リトナビル:12.5mg/75mg/50mg) -dasabuvir 錠(250mg) TECHNIVIE オムビタスビル/パリタプレビル/リトナ ビル固定用量の配合錠 (12.5mg/75mg/50mg) HOLKIRA PAK オムビタスビル/パリタプレビル/リトナビ ル固定用量の配合錠及び dasabuvir 錠との 組み合わせ製剤 -配合錠(オムビタスビル/パリタプレビル/ リトナビル:12.5mg/75mg/50mg) -dasabuvir 錠(250mg) VIEKIRAX オムビタスビル/パリタプレビル/リトナ ビルフィルムコーティング錠 (12.5mg/75mg/50mg) EXVIERA dasabuvir フィルムコーティング錠(ナト リウム 1 水和物として 250mg) -69- 効能効果 VIEKIRA PAK 及びリバビリン併用もしく は非併用による,ジェノタイプ 1 型の代償 性肝硬変を含む C 型慢性肝炎の治療 TECHNIVIE 及びリバビリン併用による,肝 硬変を伴わないジェノタイプ 4 型の C 型慢 性肝炎の治療 成人のジェノタイプ 1 型の代償性肝硬変を 含む C 型慢性肝炎の治療 リバビリン併用:肝硬変のないジェノタイ プ 1a 型 リバビリン非併用;肝硬変のないジェノタ イプ 1b 型 リバビリン併用:代償性肝硬変 VIEKIRAX: 他剤との併用による成人の C 型慢性肝炎の 治療 EXVIERA: 他剤との併用による成人の C 型慢性肝炎の 治療 国・地域 承認年月 スイス 2014 年 11 月 販売名,承認製剤 効能効果 VIEKIRAX オムビタスビル/パリタプレビル/リトナ ビル(薬物動態学的ブースター)フィル ムコーティング錠(12.5mg/75mg/50mg) EXVIERA dasabuvir フィルムコーティング錠(ナト リウム 1 水和物として 250mg) VIEKIRAX: EXVIERA 又は EXVIERA とリバビリンの併 用による成人のジェノタイプ 1 型の C 型慢 性肝炎の治療 ジェノタイプに特化した作用については注 意事項参照 EXVIERA: 他剤との併用による成人の C 型慢性肝炎の 治療 ジェノタイプに特化した作用については注 意事項参照 注)米国及び欧州における添付文書中の用法・用量は以下のとおりである. 米国 VIEKIRA PAK 【用法・用量】 推奨用量:オムビタスビル,パリタプレビル,リトナビル 12.5/75/50mg 配合錠 2 錠 1 日 1 回(朝)及び dasabuvir250mg 錠 1 錠 1 日 2 回(朝夕)を脂肪又はカロリー含有量にかかわらず食事とともに服用する. 各患者集団の治療レジメン及び投与期間 患者集団 肝硬変を伴わないジェノタイプ 1a 肝硬変を伴うジェノタイプ 1a 肝硬変を伴わないジェノタイプ 1b 肝硬変を伴うジェノタイプ 1b 治療* VIEKIRA PAK+リバビリン VIEKIRA PAK+リバビリン VIEKIRA PAK VIEKIRA PAK+リバビリン 期間 12 週間 24 週間** 12 週間 12 週間 *:ジェノタイプ 1 のサブタイプが不明,又はジェノタイプ 1 混合感染の場合は,ジェノタイプ 1a の推奨用量に従うこと. **:前治療歴に基づき,一部の患者については VIEKIRA PAK とリバビリンの併用を 12 週間とすることも考慮する. 肝機能障害:VIEKIRA PAK は中等度及び高度の肝機能障害患者(Child-Pugh B and C)には禁忌である. 腎機能障害:VIEKIRA PAK は軽度,中等度及び高度の腎機能障害患者において用量調節を必要としない. (2015 年 11 月現在) TECHNIVIE 【用法・用量】 推奨用量:オムビタスビル,パリタプレビル,リトナビル配合錠(12.5mg/75mg/50mg)2 錠 1 日 1 回(朝)を脂肪また はカロリー含有量に関わらず食事とともに服用する.TECHNIVIE はリバビリンとの併用で使用すること. 各患者集団の治療レジメン及び投与期間 患者集団 肝硬変を伴わないジェノタイプ 4 治療* TECHNIVIE+リバビリン 期間 12 週間 *:リバビリンを服用できないまたはリバビリン耐性の治療ナイーブ患者については,リバビリンを併用せずに TECHNIVIE を 12 週間投与することも考慮する. 肝機能障害:TECHNIVIE は中等度及び高度の肝機能障害患者(Child-Pugh B and C)には禁忌である. 腎機能障害:TECHNIVIE は軽度,中等度及び高度の腎機能障害患者において用量調節を必要としない. (2015 年 11 月現在) -70- 欧州 【用法・用量】 Viekirax の投与は,C 型慢性肝炎の管理の豊富な経験を有する医師が開始及びモニタリングすること. 用量 Viekirax の推奨用量は,オムビタスビル,パリタプレビル,リトナビル 12.5mg/75mg/50mg を 2 錠 1 日 1 回であり,食事 とともに経口投与する. Viekirax は,HCV 治療に対する他の医薬品との併用で使用すること(表を参照). Viekirax と併用する医薬品の推奨用量及び投与期間(患者集団別) 患者集団 肝硬変を伴わないジェノタイプ 1b 代償性肝硬変を伴うジェノタイプ 1b 肝硬変を伴わないジェノタイプ 1a 代償性肝硬変を伴うジェノタイプ 1a 肝硬変を伴わないジェノタイプ 4 代償性肝硬変を伴うジェノタイプ 4 治療* 期間 12 週間 12 週間 12 週間 24 週間 12 週間 24 週間 Viekirax+dasabuvir Viekirax+dasabuvir+リバビリン Viekirax+dasabuvir+リバビリン* Viekirax+dasabuvir+リバビリン* Viekirax+リバビリン Viekirax+リバビリン *注記:ジェノタイプ 1 のサブタイプが不明又は複数のジェノタイプ 1 に感染した患者については,ジェノタイプ 1a の推奨用量に従うこと. dasabuvir 及びリバビリンについて,用量調節などを含めた用量及び用法の詳細は,それぞれの製品特性概要を参照のこ と. 服用忘れ Viekirax を服用し忘れた場合,12 時間以内であれば処方用量を服用することができる.Viekirax の通常の服用時刻から 12 時間を経過している場合は,これを服用せず,次回の用量を通常の服薬スケジュールに従って服用すること.一度に 2 回量を服用しないよう患者に指導すること. 肝機能障害:Viekirax は軽度肝機能障害患者では用量調節を必要としない(Child-Pugh A).中等度肝機能障害患者 (Child-Pugh B)において安全性・有効性は確立されていない.しかし,薬物動態試験に基づき,用量調節は必要とされ ないと予想される.高度の腎機能障害患者(Child-Pugh C)は禁忌である. 腎機能障害:Viekirax は軽度,中等度及び高度の腎機能障害患者において用量調節を必要としない. (2015 年 11 月現在) -71- 2.海外における臨床支援情報 (1)妊婦に関する海外情報 本邦における使用上の注意「妊婦,産婦,授乳婦等への投与」の項の記載は以下のとおりであり,米 FDA 分類とは異なる. 【使用上の注意】「妊婦,産婦,授乳婦等への投与」 (1)妊娠又は妊娠している可能性のある婦人には治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与するこ と.[妊娠中の投与に関する安全性は確立していない.] (2)授乳中の婦人には投与しないこと.やむを得ず投与する場合は,授乳を避けさせること.[本剤成分がヒト乳 汁中へ移行するかどうかは不明であるが,動物実験(ラット)で本剤由来成分が乳汁中へ移行することが報告され ている.授乳ラットでは主としてパリタプレビル,パリタプレビル加水分解物質 M13,オムビタスビル未変化体が 認められた 51),52).]53),54) FDA:Pregnancy Category オーストラリアの分類:VIEKIRA PAK (An Australian categorisation of risk of drug use in pregnancy) オーストラリアの分類:VIEKIRA PAK-RBV (An Australian categorisation of risk of drug use in pregnancy) 分類 B(2015 年 7 月) B3(2015 年 7 月 TGA* database) X(2015 年 7 月 TGA* database) *TGA:Therapeutic Goods Administration 参考:分類の概要 FDA:Pregnancy Category B : Animal reproduction studies have failed to demonstrate a risk to the fetus and there are no adequate and well-controlled studies in pregnant women OR Animal studies have shown an adverse effect, but adequate and well-controlled studies in pregnant women have failed to demonstrate a risk to the fetus in any trimester. オーストラリアの分類:An Australian categorisation of risk of drug use in pregnancy B3:Drugs which have been taken by only a limited number of pregnant women and women of childbearing age, without an increase in the frequency of malformation or other direct or indirect harmful effects on the human fetus having been observed. Studies in animals have shown evidence of an increased occurrence of fetal damage, the significance of which is considered uncertain in humans. X:Drugs which have such a high risk of causing permanent damage to the fetus that they should not be used in pregnancy or when there is a possibility of pregnancy. (2)小児等に関する記載 本邦における使用上の注意「小児等への投与」の項の記載は以下のとおりであり,米国及び EU の添付文書とは異なる. 【使用上の注意】「小児等への投与」 小児等における安全性は確立していない.[使用経験がない.] 出典 米国の添付文書 (2015 年 7 月) EU の添付文書 (2015 年 1 月) 記載内容 18 歳未満の小児患者における VIEKIRA PAK の安全性及び有効性は確立され ていない. 18 歳未満の小児及び青年における Viekirax の安全性は確立していない.利用 可能なデータがない. -72- ⅩⅢ.備考 その他の関連資料 該当資料なし -73- 2015年11月改訂 PP--JP-1142-2.0
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