まちの歴史を生かしたまちづくりによる意識向上(26年度)

平成 26 年度の年間の活動
1.ソフト事業活動に力を入れる
1)恒例の会津新選組まつり
新選組副長助勤の斎藤一(明治以降、藤田五郎と改名)が七日町の阿弥陀寺墓地に墓が
あることから、その命日前後に開催することになった会津新選組まつりが今年も 9 月 21
日に実施されました。阿弥陀寺境内では斎藤一の法要が営まれ、本堂では会津松平家第 14
代の松平保久氏が「愚直に生きる斎藤一と会津藩」と題した歴史講演を行いました。入り
切れないくらいの大勢の聴衆が松平氏のエピソードを交えた話しに聞き入っていました。
七日町けやき通りで同時開催した七日町楽市も大勢の人で賑わいました。
墓前で執り行われた斎藤一法要
会津松平家第 14 代松平保久氏が歴史講演
2)協議会設立 20 周年で気持ちも新たに
1994 年 3 月に七日町通りまちなみ協議会を立ち上げてから、昨年で丸 20 年になりまし
た。この節目の年の 12 月 2 日に記念式典と祝賀会を開催しました。外部の参列者からはこ
の 20 年間で七日町の取り組みがさきがけとなり、会津若松市民の町並み景観に対する意識
が高まったような気がする、といった言葉をいただきました。この記念事業に今回の助成
金を活用しました。
記念式典には各界から大勢の来賓がお祝いに。祝賀会では女性部会の七福神踊りも披露
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3)まち歩きスタンプラリーも実施
協議会の青年部が主体となった七日町めぐりあいスタンプラリーが 10 月 10 日から 11
月 24 日まで実施しました。協議会会員の参加店で 500 円以上の買物または食事をすると、
スタンプ 1 個がもらえ、3 つのスタンプで七日町の商品詰合せが当たる抽選ができるとい
うものです。七日町周辺の回遊性を高めようとするイベントで、経済効果のみならず、レ
トロな町並み景観を楽しんでもらおうという意図もありました。
4)先進地を視察し、さらに景観への意識を高める
今年の 2 月 22 日と 23 日にかけて、協議会の先進地研修視察を行いました。行き先は茨
城県桜川市真壁町、東京・柴又参道商店街、谷中銀座商店街。とくに真壁町は 400 年前の
江戸時代の町割がそのまま受け継がれ、町の約 1/3 が国重要伝統的建造物郡保存地区に選
定されています。桜川市教育委員会の寺崎大貫さんの案内で町内を回りました。わたした
ちが訪問した時期は「真壁のひなまつり」期間中で、多くの人でにぎわっていました。「住
民と行政、建築士会が連携することによって古い町並みを残すことができる」と話す寺崎
氏の言葉が印象に残りました。東京都葛飾区の柴又帝釈天参道商店街は映画「男はつらい
よ」のロケ地として有名。七日町門前町構想の参考になればと見学コースに組み込みまし
た。台東区の谷中銀座商店街では来街者との飾らないコミュニケーション(おもてなし)、
歩いて楽しい環境づくりを勉強しました。今回の視察にも「住まいのまちなみ賞」助成金
の一部を使わせていただきました。
国重要伝統的建造物郡保存地区のある桜川市で
は町並み保存に力を入れていました。休日にもか
かわらず、協議会の視察団を案内してくれました。
柴又帝釈天参道商店街では門前町のイメージを、谷中銀座商店街では賑わいの創出を勉強
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受賞を契機に新たに取り組んでいること
具体的な活動内容
1.癒しの空間と環境美化に努める
1)門前町構想
鶴ヶ城の遺構の御三階や戊辰戦没東軍墓地などの歴史的資源が豊富な阿弥陀寺をはじめ、
江戸の昔、京都・宇治の茶問屋父子が奇跡的に出会ったという物語が残るめぐりあい観音
を安置した常光寺など七日町周辺には多くの寺社が点在しています。これまでも「幸せ回
廊」として寺社巡りを勧めてきましたが、さらに門前町構想を掲げ、癒しのある空間づく
りに努めていきたいと考えています。
2)花と緑のある地区に
今年 4 月~6 月にかけてJR6 社が福島県の観光を全国にPRする「ふくしまデスティネ
ーションキャンペーン」を展開しました。テーマのひとつに「花」があります。今回の助
成金で日本風景街道で交流のある秋田県能代市の木製プランターを購入し、さらにモミジ
の苗木、花の苗なども買い求め、女性部が中心となって植栽しました。来街者へのおもて
なしも大事ですが、まずはそこに住むわたしたち住民が心地よさを感じるような取り組み
をしていきたいと思います。現在、七日町通りの電線地中化の工事が進められ、完成後は
歩道の整備が図られることが期待されています。同時にわたしたちの手で通りの美化に努
め、会津若松市のコンパクトシティ構想のモデル地区となるような活動を考えています。
調査検討経費の使途
●
協議会設立 20 周年記念事業費
会場費
備品レンタル
記念誌作成等
司会者及び白虎隊剣舞謝金

町並み景観先進地現地研修視察事業(概算)
バスチャーター料(大型)
高速料金
宿泊料

通りの美化事業(年度末予定)
花の苗木
木製プランターの購入費
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近い将来取り組まなければならない課題
1.高齢化と人口減少
七日町あるいは会津若松市に限らず、全国の地方が抱える大きな課題が東京一極集中と
人口減少です。わたしたちの力ではどうしようもない大きな課題としてあきらめしまうの
か、あるいは時代の波に抗い、少しでも課題の解決に取り組むか。わたしたちは 20 年にわ
たって積み重ねてきたまちづくりの理念と行動を持続可能な取り組みとして継承していく
つもりです。青年部の存在が大きく、解決の糸口になるのが、これまでも取り組んできた
交流人口の拡大、すなわち観光誘客です。ただそれだけに寄りかかるのは危険が伴います。
観光はブームに流される側面が大きく、最も力を入れなければならないのはお年寄りにや
さしいまちづくりと「ふるさと回帰」への取り組みです。若い世代にUターンあるいはI
ターンを呼びかけ、都会でリタイアした世代にはふるさとへ呼び戻すような働きかけをし
ていきます。そのためにも七日町を魅力のある地域にしなければならないのは当然です。
今回の受賞を契機に取り組もうとする事業を進化していきたいと考えています。
2.景観に対する意識の格差と情報の共有化
まちづくり活動は先駆的な一部の人たちが担っているケースがほとんどです。七日町の
場合も同じで、100 人を超す会員の中でも積極的に活動に参画しているメンバーは 20 人程
度です。ましてや会員以外の地域住民の景観に対する意識をまだ低く、エリアが広いだけ
に情報を共有化し、意識を高めていくには時間と労力を要しますが、これからもっとも取
り組まなくてはならない課題です。地味な活動で、すぐに効果は見えてこないかもしれま
せんが、これこそまちづくりの原点であることを認識していきたいと思います。
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