「幼児における弾性動揺体を用いた調整力向上の要因の検証」(PDF)

幼児における弾性動揺体を用いた
調整力向上の要因の検証
飯嶋 裕美1 , 木塚 朝博2 , 鈴木寛康2
1.筑波大学院体育研究科 , 2.筑波大学大学院人間総合科学研究科
第57回 日本体育学会発表資料 筑波大学 飯嶋裕美
はじめに
5∼6歳児70名を対象に、弾性動揺体を用いた
3ヶ月の運動トレーニングを導入した研究によ
ると、連続ジャンプ課題(直線・ジグザグ)に
おけるタイムと正確性がトレーニングの前後で
向上すると報告している。また、連続ジャンプ
課題と片足立ちや立ち幅跳びとの相関は高くな
いことも示されている。
このことから連続ジャンプ課題におけるタイム
と正確性の向上には静的バランス能力や瞬発系
筋力の向上の他に強く依存している要因がある
と考えられる。
第57回 日本体育学会発表資料 筑波大学 飯嶋裕美
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背景
調整力は、平衡性・敏捷性・巧緻性の3つの要素を含むと考えられて
おり、より詳細な定義がこれまで多くの研究者によって提案されてきた。
その中でも石川、調枝らは調整力の評価として、時間的・空間的な動
作の安定性という観点をあげている。
平衡性
「調整力とは、身体活動をするにあたって、
時間的、空間的に正しい動作をすることである」
(石川 1987)
調整力
調整力
巧緻性
敏捷性
「運動スキルの学習で、最初に評価されるのは
動作機能の正確性と安定性である」(調枝、2003)
これらことから、正確性とタイムを両方向上させるにはより
時間的・空間的に安定した動作、つまりばらつきの少ない
動作の習得が関連しているのではないか考えた。
第57回 日本体育学会発表資料 筑波大学 飯嶋裕美
目的
本研究では連続ジャンプ課題における
タイムと正確性の向上に着目し、正確性
とタイムがともに向上した群とタイムのみが
向上した群では、動作のばらつきがどのよう
に異なるかを検討した。
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測定方法
被験者 : 5∼6歳児70名
(身長: 111.4±4.2cm 体重: 18.6±2.3kg
)
測定項目:○パフォーマンス測定
連続ジャンプ課題・・直線連続ジャンプ、ジグザグ連続ジャンプ
(図1)
○動作分析
(図2)
(図1)
分析方法・・画像分析ソフト(Motion adviser)を用いフレーム数をカウントした。
分析対象・・連続ジャンプ課題の結果、
タイムと正確性が向上した群・・直線:27名、ジグザグ:22名
タイムのみ向上した群・・直線:13名、ジグザグ20名
分析項目・・pre,postの比較
平均接地フレーム数 : 1マットごとの接地フレーム数の平均
接地フレーム数SD
: 1マットごとの接地フレーム数の標準偏差
滞空フレーム数
: マット間の滞空フレーム数の平均
(図2)
(フレーム間隔:約33msec)
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トレーニング方法
9
10
11
12
介入期間
Pre
測定
Post
測定
測定時期:9月・12月
(例1)
介入期間:9∼12月の3ヶ月間
週3∼4回 5分/回の介入プログラムを実施する。
介入内容:
弾性動揺体上での遊び
・体勢維持課題(例1)
(例2)
・その場ジャンプ課題(例2)
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直線 連続ジャンプ
結果1
正確性・タイム向上群
タイムのみ向上群
平均接地フレーム数
*
(フレーム)
16
:p<0.05
*
16
14
12
12
10
10
8
8
6
6
4
4
2
2
0
(フレーム)
*
(フレーム)
14
pre
post
0
pre
接地フレーム数SD
post
(フレーム)10
10
9
9
8
p=0.064
8
7
7
6
4
6
5
4
3
3
2
2
1
5
1
p=0.134
0
0
pre
post
pre
post
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結果2
ジグザグ 連続ジャンプ
正確性・タイム向上群
タイムのみ向上群
平均接地フレーム数
(フレーム)
*
20
15
10
10
5
5
0
pre
:p<0.05
20
15
0
*
*
(フレーム) 25
25
post
pre
post
接地フレーム数SD
(フレーム)
(フレーム)
12
*
12
10
10
8
8
6
6
4
4
2
2
0
pre
post
0
p=0.33
pre
post
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考察
正確性とタイムともに向上した群、タイムのみが向上した群
とも滞空フレーム数はトレーニングの前後でほとんど変化が
なく、接地フレーム数は有意に減少していた。したがって接
地フレーム数の減少によってタイムが減少したと考えられる。
一方、接地フレーム数SDは両群とも減少しているが、正確
性とタイムともに向上した群ではそのばらつきが大きく減少
する傾向を示した。したがって、ばらつきの減少が正確性の
向上要因の1つであることが示唆された。
しかし、この要因のみでは2群間の差を十分に説明できな
いと考えられる。
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今後の課題
良い跳び出し角度
外向き
前傾
外傾
空中での軸が安定
上半身からの跳び出し
幼児の動作パターンは多様であり、タイム、正確性の向上原因は接地
フレーム数のばらつきから推察されるリズムの安定性以外にも、様々な要因
が考えられる。
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5
まとめ
本研究では、動作のばらつきという観点から
時間的・空間的な安定性がタイムと正確性の
向上要因ではないかと仮説を立てた。しかし
幼児の動作パターンは多様であり、動作の安
定性という観点は要因の1つとしては考えられ
るが、タイム及び正確性の向上の原因を十分
に説明できるまでには至らなかった。
今後さらに、精度の高い画像評価からの検討
が必要である。
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