【伊藤】 ただ今ご紹介をいただきました国土交通省、海事局長 の伊藤でございます。今回が5回目の海事立国フォーラムという ことで伺っておりますが、これまで4回で、私どもの関係としま すいわゆるトン数標準税制でありますとか、日本籍船あるいは日 本人船員の増加の問題等、さまざまな視点からお取り上げいただ いておりました。冒頭の松尾会長からの私どもの業務のご説明の 中でもちょっと触れていただきましたけれど、トン数標準税制の ための各海運会社からのいわゆる計画の申請というのが、1月末 で 締 め 切 ら れ ま し て 、そ の 結 果 と し て 、10 社 申 請 を い た だ き ま し た 。現 行 92 隻 が 日 本 籍 船 で ご ざ い ま す け れ ど 、そ の う ち 70 数 隻 の約8割をカバーする会社の方々からご申請をいただきまして、 滑り出しとしては極めて好調だというふうな状態でございます。 これもひとえにこれまで海事センターをはじめとしまして、関係 者 皆 さ ま の ご 理 解 、ご 協 力 を い た だ い た 賜 物 だ と 思 っ て お り ま す 。 改めて感謝を申し上げて、ご報告にかえさせていただきます。 今日の私からの「我が国海事政策の針路」でございますが、ア ジアからの視点ということで、私自身は昨年まで物流担当の政策 統括官をしておりまして、その間に非常に大きな出来事がひとつ 起きました。これは日本の貿易パートナーがアメリカから中国に 替わったということでございます。さらに申しますと、貿易量に つ き ま し て は 、東 ア ジ ア で 40% に ま で 至 っ て い る と い う こ と で ご ざいます。これは宮下先生からのお話と相通じることがあると思 いますが、いわゆる世界における日本の海事、あるいは物流の立 ち位置が確実に変化をしてきているということの現れではないか というふうに思っております。今日お話し申し上げますのは、3 点ございまして、最初に世界におけるアジアの位置というのを 色々な統計的な指標でお示しした上で、日本とアジアの連携につ いての現状と、それからこれからというのを、我が国の海運政策 との関係で議論をしていきたいと思います。 経済規模でアジアと日本が世界の中でどのぐらいの割合で、ど ういう立場にあるのかということですが、ちょっと各国の各目 GDP を ご 覧 い た だ く と ( ス ラ イ ド P.3 ) ア メ リ カ が 27% で ご ざ い ま し て 、 EU が EU 統 合 の 結 果 も あ り 、 約 3 割 で ご ざ い ま す 。 一 方 、ア ジ ア に つ き ま し て は 、日 本 を 含 め ま し て 、中 国 、イ ン ド 、 韓 国 、そ の 他 各 国 を 入 れ ま す と 、21% と い う こ と で ご ざ い ま し て 、 実 際 に は EU と ア メ リ カ と ア ジ ア で 、 全 体 の 約 4 分 の 3 を 分 け 合 う と 。GDP 総 数 も 、EU あ る い は ア メ リ カ と 肩 を 並 べ つ つ あ る 状 況 に 至 っ て い る と い う こ と で ご ざ い ま す 。 こ の 中 で や は り GDP の成長が望める分野というのは、やはりアジアが成長していくだ ろうということで、この数字のポーションがますます高まってい くと。三極の大きな一極としての役割を果たす状態が近づきつつ あるんではないかと感じております。もう少し具体的に指標を示 さ せ て い た だ き ま す が ( ス ラ イ ド P.4 )、 左 側 は コ ン テ ナ の 荷 動 き で ご ざ い ま す 。こ れ を 見 ま す と ア ジ ア 発 が 36% 、ア ジ ア 向 け が 15% と い う こ と で 、ア ジ ア 発 着 だ け で 約 半 分 で ご ざ い ま す 。そ れ からアジア域内でも約2割がございまして、アジアの占める割合 というのは、約7割という非常に大きな数字になっております。 そういったコンテナ貨物を含めまして、運ぶ船の実質船主の構成 で ご ざ い ま す け れ ど 、 こ れ も 日 本 が 14% 、 そ の 他 ア ジ ア が 25% と い う こ と で 、 全 体 の 39% を ア ジ ア が 占 め て お り ま す 。 次にこの貿易を支える基盤でございますが、これは(スライド P.5 ) 船 を 造 る 造 船 所 と 船 の オ ペ レ ー シ ョ ン を す る 船 員 さ ん の 関 係で、アジアの立ち位置を見た表でございます。まず皆さんご存 じの通り造船の建造量でございますが、韓国が日本を抜いて世界 の 36% で ご ざ い ま す 。 日 本 は 依 然 と し て 31% と い う 世 界 の 約 3 分の1をつくっております。最近は中国が大きく台頭してきてお り ま し て 、18% と い う こ と で 、ト ー タ ル と い た し ま し て 、ア ジ ア の 占 め る 割 合 と い う の は 、世 界 全 体 の 新 造 船 建 造 量 の 85% で ご ざ います。それから船員の供給でございますが、やはり圧倒的にフ ィリピンが多いわけでございますが、日本を挟みましてアジアの 国 は 22% と 、 日 本 を 入 れ ま す と 全 体 の 44% で ご ざ い ま し て 、 ア ジアの割合も半分弱という状態になっている次第でございます。 ま と め て い き ま す と ( ス ラ イ ド P.6 )、 ア ジ ア と い う の は 、 国 際 的に見て、海事分野では大変重要な役割を占めております。おさ らいになりますが、海運は実質船主で約4割がアジアであり、コ ン テ ナ 荷 動 き 量 は 7 割 が ア ジ ア 、造 船 の 85% が ア ジ ア で 建 造 さ れ 、 船 員 供 給 も 44% が ア ジ ア 人 で あ る と い う こ と で ご ざ い ま す 。特 に 日 本 と の 関 係 で 申 し ま す と 、日 本 商 船 隊 に 乗 り 込 む 船 舶 の 97% が ア ジ ア 人 で 、う ち 74% が フ ィ リ ピ ン 人 と 、大 変 ア ジ ア に 依 存 を し ているわけでございます。 一方次に述べてまいりますが、海事では政策的な国際海事政策 の中のリーダーは、これまでやはり欧米であったわけでございま す。各種国際条約の議論をいただいております、国際海事機関 IMO で ご ざ い ま す が ( ス ラ イ ド P.7 )、 こ れ は 上 の 段 が 加 盟 国 数 で 、ト ー タ ル で 168 ご ざ い ま す 。そ の う ち ヨ ー ロ ッ パ と ア メ リ カ は 非 常 に 多 い わ け で あ り ま す 。 一 番 左 の 21 と い う の が 、 ア ジ ア の構成メンバーでございます。それからその中で選挙で選ばれる 理 事 国 と い う の が あ り ま す が 、 こ れ が 約 40 ご ざ い ま し て 、 そ の 中 の 10 カ 国 が ア ジ ア で あ る と う い う こ と で す 。 こ れ を ど の よ う に見るかということでございますが、やはり場所もロンドンにあ り、ヨーロッパというのは、古くはやはり東インド会社に代表さ れますイギリスやオランダであり、あるいは世界の海を凌駕した スペイン、ポルトガルという国々が輩出された社会でございます の で 、 こ う い っ た 歴 史 が い ま だ に IMO の 中 に 残 っ て い る 感 じ が いたします。それに加えて最近は北欧の環境派の国々という存在 が IMO の 議 論 に 大 き な 影 響 力 を 与 え て い る と い う の が 現 実 で ご ざいます。 も う 少 し IMO を 見 て い ま す と ( ス ラ イ ド P.8 ) 分 担 金 で ご ざ いますが、分担金は計算方法がいろいろございまして、圧倒的に 便宜置籍オーナー国というか、船籍が所属する国の比率が高いわ けでございます。職員数ですが、地理的な条件や言語の問題もご ざいますので、やはりどうしても今はヨーロッパの職員数が多い と い う こ と で ご ざ い ま す 。ア ジ ア が ピ ン ク 色 の 17 で ご ざ い ま す 。 こういった状況をどうこれから改善していくことが、われわれの 大きなテーマかなというふうに思っております。 地 域 連 携 を 見 て い ま す と( ス ラ イ ド P.9 )、地 域 的 に は EU・ア フ リ カ ・ ASEAN・ ラ テ ン ア メ リ カ と あ る わ け で ご ざ い ま す が 、 ASEAN に 加 え て ア ジ ア 全 体 の 、 中 国 ・ 韓 国 ・ 日 本 ・ バ ン グ ラ デ シュ・インドといった国々のアジア全体の継続的な連携の体制は まだこれからというのが実態でございます。敢えて申しますと、 こ の 中 で 今 あ る の は 、 ポ ー ト ス テ ー ト コ ン ト ロ ー ル の MOU と い う行政協定、これはもう少し広がったパシフィック、オーストラ リア等の国々との連携の具体的な事例があるのみでございます。 以上申しあげました通り、アジアでは個別の連携というのは存在 を し て お り ま す ( ス ラ イ ド P.10)。 具 体 的 に 申 し ま す と 、 例 え ば 技術的な課題で、過去に塗装の基準の問題であるとか、そういっ た 問 題 で 各 国 が 協 調 し て IMO に 働 き か け て い る よ う な 事 例 も ご ざいますが、これが一体的、さらに言うと継続的に取り組みが行 われているというところにまでは至っておりません。これから考 えなければいけないことというのは、アジアでの先ほどご説明を したような海事セクターの強い存在感を後ろ盾にしまして、海事 産 業 の 現 実 や 実 態 に 根 差 し た 視 点 が し っ か り と 強 化 さ れ て 、IMO での海事政策が進められるということ、即ちアジアや日本の発言 力を強くしていくということが、非常に大事ではないかというふ うに思っております。 い く つ か の 例 を 申 し 上 げ た い と 思 い ま す 。2 つ の 例 が ご ざ い ま す が 、1 つ 目 の 例 は( ス ラ イ ド P.12)マ ラ ッ カ ・ シ ン ガ ポ ー ル で の 安全対策でございます。ここに書かれております通り、ご存じの 通りでございますが、輸入原油の8割以上がマラッカ・シンガポ ール海峡を通航しておりまして、安全保障上極めて重要な海域で ございます。昨今のアジアの経済成長に伴いまして、かつては日 本が最大の通過をする利用国であったわけでございますけれど、 中国、韓国等利用国も多様化してまいりました。ここに書いてご ざ い ま す 昭 和 43 年 以 降 、 我 が 国 は 海 峡 利 用 国 と し て 当 時 と し て は唯一、民間を中心にして海峡沿岸国を支援してまいりました。 先ほど申しあげたように利用国が多様化することを背景にいたし ま し て 、 実 は 平 成 19 年 9 月 に 協 力 メ カ ニ ズ ム と い う の が 作 ら れ ております。これは国連海洋法条約に基づいた新たなる協力の仕 組 み の 好 例 で ご ざ い ま す が 、こ れ が で き て お る 次 第 で ご ざ い ま す 。 こ の 中 で こ の 協 力 メ カ ニ ズ ム に ( ス ラ イ ド P.13) い く つ か 構 成 要素があるわけでございますが、スライドの左側の協力フォーラ ムであるとか、プロジェクトを調整し進めていく、あるいは実際 に航行援助施設の更新のための裏付けとなる基金の造成という要 素がございます。スライドの右側の沿岸国提案の支援要請プロジ ェクトが6項目ある中、日本は2つの項目に積極的に参加してお ります。さらに(3)の航行援助施設募金につきましては日本の 船主協会をはじめとします民間の事業者、さらに日本財団からの ご支援をいただきまして、拠出支援を行ったということでござい ます。 それから船員の関係をちょっとご紹介させていただきます(ス ラ イ ド P.14)。 船 員 に つ い て は 、 先 ほ ど 申 し 上 げ た よ う に 我 が 国 はアジア諸国への船員の供給依存度が非常に高いということ、そ れからトン数標準税制を導入することによって、日本人船員を増 やすという計画もございます。実際にはまだまだ世界の荷動きが 増大する中での船員不足というのは顕著でございまして、世界で 将 来 2015 年 に は 2.7 万 人 が 不 足 す る 見 込 み が ご ざ い ま す し 、 我 が国も伸びる船腹需要に対して、供給力の不足がありアジアで上 級船員を供給していくというのは、やはりなかなか難しいのが現 実 で ご ざ い ま す 。特 に 乗 船 実 習 機 会 と い う の は 不 足 し て お り ま す 。 こ れ は STCW( 1978 年 の 船 員 の 訓 練 及 び 資 格 証 明 並 び に 当 直 の 基準に関する国際条約)で求められる要件でございますが、こう いったものに我が国も共同で参画して、共同養成プロジェクトと いうのを実施しているわけでございます。この下に3つあります が、練習船を導入して教育する訓練環境整備プロジェクト、ある いは人的交流・派遣等によります船員教育向上プロジェクト、あ るいは資金的な支援等を行う船員関係情報発信プロジェクトにも 参加をしている次第でございます。 ち ょ っ と 具 体 的 に 申 し 上 げ ま す と ( ス ラ イ ド P.15)、 我 が 国 で 使っておりました「青雲丸」という船が今フィリピンにございま す。この船を活用しまして先ほど申しあげたように学生に乗船履 歴を付与するという事業を日本とフィリピンで連携をして進めて いる次第でございまして、これは将来はフィリピンだけではなく て 、 そ の 他 の ASEAN の 地 域 あ る い は 中 国 に 対 象 を 拡 大 す る と い うことを考えております。もう少し環境、あるいはその他の関係 でこれからさらに一層連携を進めていかなければいけない項目に ついてもご紹介を申し上げます。 こ の シ ッ プ リ サ イ ク ル で ご ざ い ま す が ( ス ラ イ ド P.17)、 実 は 世 界 の 船 舶 の 解 撤 に つ き ま し て は 、ほ ぼ そ の 全 て を 中 国 、イ ン ド 、 バングラデシュなどのアジアの諸国が担っているわけでございま す。我が国はもともと製造国としての責務があったわけでござい ます。廃棄物の関係の国境間移動をコントロールするバーゼル条 約というのがございますが、海運の世界はそれ自身が国境を超え ているということもありまして、シップリサイクルの原点にあり ま す 解 撤 に つ い て は 新 し い 条 約 を IMO で 作 る と い う 決 定 が 過 去 に 行 わ れ ま し て 、 こ れ を 責 任 を 持 っ て IMO で そ の 枠 組 み を 作 る ということから始まっております。この条約というのは、我が国 とそれからヨーロッパのどちらかというと環境派の国々、こうい った国々の主導の下に策定作業が進められておりまして(スライ ド P.18)、 こ の 条 約 は 今 年 の 5 月 に 香 港 で 採 択 を さ れ る 予 定 で ご ざいます。早期に発効する可能性も十分にございます。この中で 我が国がもう少し具体的に果たすべき役割は何であったのかと、 あるいは何なのかということでございますが、まず一番上にござ いますようにガイドラインがいくつかある中で、インベントリと いうものを作成しなければいけないということで、これは船の中 に 残 さ れ て い る 装 置 、あ る い は 機 器 に 関 し て の 情 報 で ご ざ い ま す 。 ここに有害物質が含まれているかどうかということをしっかりと インベントリの形で作成すると。これはやはり製造国でしかでき ない作業でございまして、このガイドラインを作るにあたり、造 船国として大いにそのノウハウを提供して貢献をしたということ でございます。 も う 1 つ 非 常 に 大 き な テ ー マ で ご ざ い ま す ( ス ラ イ ド P.20)。 国 際 海 運 か ら の GHG、 地 球 温 暖 化 ガ ス の 削 減 に つ い て で ご ざ い ま す 。京 都 議 定 書 で 各 国 に CO2 の 削 減 の 割 合 が 求 め ら れ て 、日 本 の場合ですと6%という数字が削減率として要求されてきている わけでございます。ところが国際海運とそれから国際航空機関に つきましては、そのモードの特殊性から京都議定書の枠の外で検 討すべきだという議論になっております。ここに2つの流れがご ざ い ま す が 、 UNFCCC( 気 候 変 動 枠 組 条 約 ) と IMO と ご ざ い ま す。実はポスト京都議定書の新たなる枠組みの決定というのが、 こ れ か ら 予 定 を さ れ て い る わ け で ご ざ い ま し て 、 こ れ は 2009 年 12 月 に デ ン マ ー ク で 開 か れ る COP( 気 候 変 動 枠 組 条 約 締 約 国 会 議 )15 で 決 め ら れ る わ け で ご ざ い ま す 。こ れ に 対 応 す る べ く IMO の MEPC( 海 洋 環 境 保 護 委 員 会 )あ る い は 中 間 会 合 等 で 、準 備 が 進 め ら れ て お り ま す 。こ う い っ た 中 で 、我 が 国 は CO2 の 削 減 使 用 の策定を提案するとか、あるいは来年度の予算で海洋環境イニシ ア テ ィ ブ と い う の を と っ て お り ま す が 、4 年 間 で 技 術 開 発 を し て 、 大 き な 目 標 と し て 船 舶 か ら の CO2 の 排 出 削 減 30% と い う も の を 目 標 に し て 技 術 開 発 を し 、 こ れ を 国 際 標 準 と し て IMO で 議 論 を しっかりしていただいて、これを普及していくという役割をこれ から果たしたいと考えている次第でございます。 こ の 関 係 で 実 は ( ス ラ イ ド P.20) 2009 年 の 1 月 14 日 か ら 16 日にかけて、我が国で「交通分野における地球環境エネルギーに 関 す る 大 臣 会 合 ( MEET)」 と い う の を 開 か せ て い た だ き ま し た 。 こ こ で は 20 カ 国 の 国 と 9 の 国 際 機 関 に ご 参 加 を い た だ き ま し た 。 そ の 中 で ア ジ ア か ら の 出 席 国 は 12 カ 国 、 半 分 以 上 で ご ざ い ま し た 。 も う 1 つ 申 し 述 べ ま す と 、 実 は こ の ア ジ ア か ら の 12 カ 国 の 中に、中国というのは入っておりません。直前に参加をとりやめ て お り ま す 。こ れ は 事 務 的 調 整 を 私 ど も が さ せ て い た だ い た 中 で 、 海運の分野のみならず航空、あるいは将来のポスト京都議定書全 体の枠組みの議論を彼ら(中国)というのは非常に意識をして、 特 に 発 展 途 上 国 共 通 の 原 則 で あ り ま す CBDR、共 通 だ が 差 異 の あ る 責 任 と い う 項 目 を 今 回 の 大 臣 会 合 で あ る MEET の 中 に 戦 略 的 に盛り込みたいという意思が非常に強かったわけでございます。 ところが先進国もある中で、文言の調整がなかなかできなかった ということで、彼ら(中国)は大胆にも直前に欠席をしたという ことでございます。 一 方 で ち ょ っ と 書 い て ご ざ い ま す が 、 参 加 国 の 中 で は 、 2009 年 末 を 目 指 し た ICAO( 国 際 民 間 航 空 機 関 )・ IMO で の 検 討 を 加 速するという合意が得られておりますが、今回の出来事というの は 、 や は り GHG の ポ ス ト 京 都 議 定 書 の 議 論 が 国 際 社 会 の 中 で な かなか難しい課題であるということを如実に示した事例ではない かと感じている次第でございます。前途多難であるという部分が 否めない象徴的な出来事であったというふうに感じております。 も う 1 つ ご ざ い ま す の が( ス ラ イ ド P.21)、こ れ は 昨 年 の 10 月 で ご ざ い ま す が 、 IMO60 周 年 の 記 念 行 事 を 我 が 国 で 行 い ま し た 。 ここに書いてございます日本、中国、韓国、フィリピン、シンガ ポールの政府の上級の方々にご参加いただいたわけでございます。 併 せ て ス ラ イ ド に は 書 い て ご ざ い ま せ ん が 、IMO 事 務 局 長 の ミ ト ロプロス事務局長にもご参加をいただいて、専門家会合という形 で開かせていただきました。ここでパネルディスカッションを行 い、私も参加をさせていただいておりました。かねてからこうい ったアジアの連携というのを意識しながら、実は国を選び人を選 んで比較をしたわけでございます。若干驚きましたのは、私ども が リ ー ド す る ま で も な く 、ア ジ ア の 関 係 の 皆 様 と い う の は 、船 員 、 あるいは船籍の船、あるいは造船といった分野における国際社会 でのアジアの役割というのは、非常に高まっているということを 肌 身 で 感 じ て お ら れ ま す 。わ れ わ れ 日 本 側 が 提 案 す る ま で も な く 、 連携の強化というのを彼らから強く提言を受けた次第でございま す。そういった意味では意識の共有が図られつつあるということ を非常に強く感じた事例でございます。この会合が我が国は次に もご説明を申しますが、今回の参加5カ国に限らず、アジア各国 が幅広く参加できるような国際フォーラムというのを継続的に開 催をするということを提案し、嬉しいことに賛同をいただきまし た。これからどういう形でそれを推進していくかということでご ざいます。 今 で も こ こ に 書 い て ご ざ い ま す( ス ラ イ ド P.22)ア ジ ア 船 主 フ ォーラム、あるいは造船技術フォーラムという、いわゆる民間の セクター別のフォーラムというのが存在しております。また政府 は政府で案件に応じて、関係する各国がその都度集まって議論を する場をアドホックに作っているわけでございますが、やはりこ こにございます通り、協調体制を継続的に進めるという構想を持 つ べ き で あ ろ う と い う こ と で 、 実 は 2009 年 度 の 私 ど も の 予 算 要 求をさせていただいて、これをお認めいただいているということ で ご ざ い ま す 。こ う い う こ と を 基 に し て 、ア ジ ア の 意 見 を 調 整 し 、 集約をして世界に発信をしていくということを考えております。 将 来 的 に は IMO の ア ジ ア セ ン タ ー と い う 形 で 、 パ ー マ ネ ン ト な 機構を設立して、その基盤を強固な形にしていければいいなと考 えている次第でございます。 これを議論する際に、大変大事なポイントをいくつかしっかり と意識しておかなければいけないということでございますが(ス ラ イ ド P.23)、 我 が 国 と い う の は 、 安 全 分 野 だ け で な く 、 環 境 分 野においても歴史的にもあるいは個々の能力と致しましても、高 い技術力と人材力を持っているということで、先ほど申し上げた ようなアジアの連携の中で、1つの核としてその役割を担うこと が で き る ん で は な い か と 考 え て お り ま す 。こ れ に よ り ま し て IMO 等に対する重要なオピニオンリーダーの役割を果たし、アジアの 意見を統一し、これを発信していくという役割も果たせるのでは ないかというふうに思っております。ただ1つ大事なことは、こ ういった経済後退期にどうしても起こりがちな議論でありますけ れど、既にヨーロッパでは排出権取引が試験的に導入されている ものを、例えば航空あるいは海運の分野に当てはめるべきではな いかという議論がある中で、こういったリージョナルな地域主義 でなくて、もう少し前向きな議論としてアジア地域が連携をし、 それによっていわゆる国際海事社会にしっかりと貢献していくと いう視点が極めて大事であるということです。これがなければわ れわれの連携が世界の中で認知されないということになりますの で、ここが非常に大事な連携の1つのポイントになるのではない かというふうに考えている次第であります。これをこれからしっ かりと皆様のご協力を得ながら、我が国の海事政策、あるいはア ジアを意識した中での海事政策として進めていきたいと考えてお りますので、ご参加の皆様の引き続きのご理解とご協力をお願い 申し上げたいと思います。簡単ではございますけれど、私からの プレゼンテーションにさせていただきます。どうもありがとうご ざいました。
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