Topics「アクティビストが狙う半導体・電子部品商社」 平成 27 年 08 月 27 日 ■ かつて市場を賑わした村上世彰氏が再び投資活動に力を入れている。7517 黒田電気には関係者合 わせて約 16%の株式を取得し株主提案を提出、株主総会の行方が注目されたが、同氏の提案は全て 否決された。しかし 37.4%という同氏への賛成票は会社側としては脅威だろう。今後経営に失策が 出れば、次回は逆転する可能性もある。 ■ 今回注目されるのは、同氏関係者による半導体・電子部品商社への集中投資。対象となった 3 社は いずれもアベノミクスの恩恵を受けて業績は拡大、株価も上昇してきたが株価指標では割安も指摘 されていた。 株価 7517 黒田電気 7591 エクセル 8150 三信電気 2,200 1,500 1,191 時価総額 82,798 12,999 33,561 売上高 330,000 210,000 220,000 営業利益 経常利益 10,500 4,200 3,400 10,600 3,900 3,300 純利益 7,000 3,100 2,300 EPS(予) BPS(実績) PER(予) PBR(実績) 外人+投信 特定株主 7517 黒田電気 7591 エクセル 8150 三信電気 186.0 357.7 81.6 1,993 2,450 2,312 11.83 4.19 14.59 1.10 0.61 0.52 49.4% 18.2% 32.9% 35.2% 31.0% 31.7% 自己資本比率 53.3% 24.3% 66.1% 村上氏関係 16.1% 7.0% 7.5% ※株価は 8/27 引値。B/S は 1Q ベース。P/L は今期会社側の予想。 ■ 半導体・電子部品商社は、業績が比較的安定した時期でも低 PBR に放置されていた例が少なから ずあった。3 社に共通するのは、①業績の割に PER あるいは PBR が低いこと。②外人+投信シェ アが比較的高いこと。③オーナーといった大株主が圧倒的なシェアを持たないこと、があげられる。 ■ 外人+投信シェアが高いのは、元々割安株としての魅力があり、魅力的な株主提案には乗ってくる との読みもあっただろう。株主提案に否定的と思われる特定株主か少ないことも投資条件の一つで、 オーナー関係者が過半数を握る企業には手を出しづらい。 ■ 黒田電気では株主総会で村上案が否決されると、株価は大幅安で反応した。投資家にとっては株主 提案が通る方が株価にプラスとの読みがあった。37.4%も賛同が集まったのは、CG コード導入で IT バブル後期と比較すると投資家の賛同も得やすかったのだろう。 ■ アクティビストとして名高い村上氏だが、今回は以前ほどの悪役にはなっていない。株主提案も、 推奨する社外取締役 4 名では過半数に届かず、 株主への 100%還元策も修正の余地を匂わせていた。 もっとも業績拡大が続く企業の場合、内部留保ゼロはやりすぎで、成長分野に投資することも必要 であろう。 ■ 米国では利上げが検討されているが、世界を見れば依然として量的緩和が続いている。その一部は 投資資金に回っており、利回りを求めるマネーは魅力的な投資先を求めている。日銀も近い将来、 追加緩和に追い込まれる可能性があり、投資資金を得たアクティビストの活躍の余地は更に大きく なりそうだ。
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