血液吸着(HA)・血液透析(HD)によって除去される薬物・除去不可能な薬物 分子量100Da以下の尿素やエタノールなどは活性炭に吸着しない(100~5000Daの物質を吸着しやすい)が、血 液透析による拡散によって低分子物質は除去されやすい。血液透析ではタンパク結合率が90%以上の薬物は 除去されにくいが、血液吸着ではタンパク結合率が95%程度の物質まで除去可能である。活性炭への吸着は疎 水結合による物理的吸着であり、非特異的で可逆的である。 分子量 (dalton) 67 32 46 60 62 62 223 182 225 255 306 400~700 180 180 194 232 248 252 373~990 186 397 Vd (L/kg) 0.8 0.6 0.6 0.6 0.6 不明 不明 0.2 0.7 0.6 0.8 0.3 0.2 0.5 0.6 0.7 1 0.6 0.3 1 2.5-7.1 殺虫剤 有機リン(パラチオンなど) 抗うつ剤 アミトリプチリン 314 強心配糖体 ジゴキシン 781 パーキンソン病治療薬 アマンタジン 188 抗不整脈薬 シベンゾリン 380 メジャートランキライザー プロメタジン 321 メジャートランキライザー クロルプロマジン 355 HD: hemodialysis血液透析、HA: hemoadsorption血液吸着(活性炭使用) 2.8 15 5~8 6.8 4~10 13 21 薬効 抗躁剤 アルコール アルコール アルコール 不凍液 殺菌剤 睡眠薬 浸透圧利尿剤 抗ウイルス薬 抗ウイルス薬 抗真菌剤 アミノグリコシド系抗菌薬 鎮痛薬 気管支拡張薬 強心薬・中枢賦活薬 抗てんかん薬 睡眠薬 抗てんかん剤 キノコ毒 除草剤 抗マラリア薬 薬剤 炭酸リチウム メタノール エタノール イソプロパノール エチレングリコール ホウ酸 ブロムワレリル尿素 D-マンニトール アシクロビル ガンシクロビル フルコナゾール ゲンタマイシンなど アスピリン テオフィリン カフェイン フェノバルビタール バルビタール(ペントバルビタールなど) フェニトイン アマニチン パラコート 塩酸キニーネ 選択される 血液浄化法 PBR (%) 0 HD✩ 0 HD✩* 0 HD✩ 0 HD✩* 0 HD✩* 不明 HD✩ 不明 HD⋆ 0 HD 15 HD◎ 2 HD◎ 11 HD◎ 10 HD◎ 80 HD・HA 60 HD・HA 36 HD・HA 50 HD・HA 60 HA⋆ 90 HA⋆ 0.3 HA⋆ 6 HA⋆ 78-95 除去不能?* 50 95 25 55 65 80 98 除去不可能 除去不可能 除去不可能 除去不可能 除去不可能 除去不可能 除去不可能 ✩:標準治療で推奨された方法、⋆:標準治療で考慮された方法 上記標準治療は冨岡譲二, 村田厚夫: 中毒研究 20:365-366, 2007より引用 HD◎:腎排泄性のため、 透析患者の中毒 に対して用いられ る場合が多い *キニーネはHAで除去可能という識者もいるが、Vdが大きいため、効率的な除去は難しいと思われる。HDでは除去できない *フェノバルビタールは腸肝循環するため、活性炭を4時間ごとに投与する方法もある *エチレングリコール、メタノール、イソプロパノールなどの中毒にはアルコールデヒドロゲナーゼを競合阻害するエタノールの経口投与も 行われる
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