でたらめを保証する

A new concept toward reliable physical random bit generation
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でたらめを保証する
~物理乱数生成の信頼性を評価する新概念:ノイズロバスト性~
どんな研究
どこが凄い
目指す未来
ランダムな物理現象を用いて作られ
る乱数は物理乱数と呼ばれ、近年研
究が盛んに行われています。しかし
物理乱数が真にでたらめ(予測不可
能)であることを保証する研究はほ
とんどありません。本研究では予測
不可能性を実現する物理乱数生成器
が備えるべき条件を解明しました。
物理乱数が安心して情報セキュリ
ティ技術に用いられるために、備え
ているべき必要不可欠な性質とは何
か?その答えとして新概念“ノイズ
ロバスト性”を創出し、数理的に定
式化しました。さらにNTTが提案し
ている物理乱数生成器がノイズロバ
スト性を持つことを保証しました。
今後益々発展が期待されるネット
ワーク社会において情報セキュリ
ティ技術の重要性は増し、品質の保
証された物理乱数生成技術は必要不
可欠なものとなります。我々の物理
乱数生成器の信頼性保証の研究によ
り、安心安全な通信が実現すること
を目指します。
(例)サイコロ投げ
誰が投げても、
予測不可能であると
“信じられている”
不確定性の拡大
ノイズ源
不確定性:サイコロの初期値
投げ手によって
変化しうる!
一般の物理乱数生成器
不確定性の拡大
不確定性:量子ノイズ、
熱ノイズ
ノイズ源
高精度に制御できない
(性質が変化しうる!)
本研究で導入した
新概念
光 or 電子
デバイス
物理乱数生成器
10011101001001…
常に予測不可能!
ノイズロバスト性
ノイズ源の性質が変化しても、
乱数は常に予測不可能であるという性質
 数理的定式化
定義:物理乱数生成器が
𝐶(𝑝∗ ) ⊂ 𝑅(𝑝∗ )
を満たすとき、ノイズロバスト性
を持つという。
ここで𝑝∗ はノイズパラメタの設計
値、𝐶(𝑝∗ )はノイズ制御可能領域、
𝑅(𝑝∗ )はノイズロバスト領域。
 NTT方式のノイズロバスト性保証
レーザ共振器
外部共振器
NTTは半導体レーザーを用いた
方式の物理乱数生成器を提案し
ています。我々はこのNTT方式
の物理乱数生成器がノイズロバ
スト性を持つことを数値的に保
証しました。
関連文献
[1] M. Inubushi, K. Yoshimura, P. Davis, “Noise robustness of unpredictability in a chaotic laser system: Toward reliable physical random bit
generation,” Phys. Rev. E, Vol. 91, 022918, 2015.
[2] M. Inubushi, K. Yoshimura, K. Arai, P. Davis, “Physical random bit generators and their reliability: focusing on chaotic laser systems,”
Nonlinear Theory and Its Applications (NOLTA), IEICE, Vol. 6, No. 2, 2015.
連 絡 先
犬伏正信 (Masanobu Inubushi) メディア情報研究部 情報基礎理論研究グループ
Email: inubushi.masanobu(at)lab.ntt.co.jp
Copyright (C) 2015 NTT Communication Science Laboratories