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理 事 長 挨 拶
日本小児耳鼻咽喉科学会
理事長
このたび,自治医科大学
氷
見
徹
夫
市村恵一前理事長の後任として本学会理事長に就任いたしま
した。伝統ある本学会の理事長に指名頂き,誠に光栄に存じますとともに,責任の重さに
身が締まる思いであります。
本会は小児を対象とした耳鼻咽喉科疾患に関連する基礎・臨床研究発表,会員相互の知
識の交換,国内外の関連学会との連携協力を通じて小児耳鼻咽喉科学の進歩普及を図ると
ともに,小児の耳鼻咽喉科疾患の診断・治療技術の向上を目指すことを目的としています。
会員は耳鼻咽喉科医のみならず小児科の先生方にも参加いただき活動を行っています。
学会組織としての歴史は10年にも満たない歴史の浅いものですが,前身である「日本小
児耳鼻咽喉科学研究会」は1979年設立で,30年以上の歴史ある学術団体です。その設立
理念は「わが国における小児耳鼻咽喉科学の研究と診療の進歩,発展を図るとともに会員
相互の交流・親睦を促進することを目的とする。」とあり,この理念は現学会にも引き継
がれています。
現代の医療は非常に多様性に富み,広い分野を包括する医療を担う医師から,専門性の
高い医療を担当する医師まで様々です。比較的専門性の高い耳鼻咽喉科学では小児を対象
とする疾患がたくさんあります。しかし,小児のトータルケアを実現するためには複数の
視点から考える必要があります。このため,小児耳鼻咽喉科学を発展させるためには耳鼻
咽喉科医だけではなく小児科医の強いサポートも必要となります。
医療分野の専門性という「縦」の流れと,他領域との関連という「横」の流れは,専門
性が高いほど,交わることさえしない場合があります。本学会はこのような弊害を乗り越
え,両者の連携を「同じ理念」の下で融合させることに成功した学術団体といえます。
本学会では,すでに前理事長のもとに,「先見性」のある社会的事業や国際交流,学術
事業を行ってまいりました。これらを引き継ぎ,より良い医療のためのガイドライン作
成,支援活動などを行っていきたいと考えております。また,本学会は耳鼻咽喉科学と小
児科学の両者にまたがるユニークな医学の一分野ではありますが,その活動を通して日本
の医学の横のつながりのモデルを提供することができればと願っています。
理事長としての最大の役目は,会員の方々の信頼と満足感を得て貰う事です。その実現
に向けて私に課せられた命題は多々あると思いますが,皆様のご協力の下に励行していき
たいと考えております。
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