改正労働安全衛生法 12 月 1 日施行 ストレスチェック制度義務化に伴う

本資料は労政時報編集部の許諾を得て配布しています
資料出所:『労政時報』第 3897 号(15.10.23)[労務行政]
特集 1:本誌特別調査
改正労働安全衛生法 12 月 1 日施行
ストレスチェック制度義務化に伴う企業の対応状況
すべて自社独自で行う企業は 5%未満、
課題は「どう職場改善につなげるか」
労務行政研究所編集部
改正労働安全衛生法(平成 26 年 6 月公布)によって、平成 27 年 12 月より労働者の心理
的な負担の程度を把握するための検査(ストレスチェック)の実施が従業員数 50 人以上の
事業場に義務づけられる。対象事業場は平成 28 年 11 月末までの 1 年間に、必ず 1 度はス
トレスチェックを実施しなければならない。それに伴い、厚生労働省よりストレスチェック
制度の具体的運用を定めた省令、告示、指針や実施マニュアルが相次いで公表され、ストレ
スチェックの受検、結果の出力等を簡便に実施できるプログラムも公開が予定されている。
企業では、厚生労働省から推奨されている職業性ストレス簡易調査票などを用いて自社内で
行うか、社外の EAP 業者等へ外部委託するか――という部分も含めて実施方針を決定し、
適切な運用を行うべく社員や産業保健スタッフ等の関係者と協力・連携して検討を行わなけ
ればならない。しかし、多くの企業にとってストレスチェック制度の運用は初めての試みで
あり、情報収集段階で苦慮しているという声も聞く。
そこで本記事では、ストレスチェック制度実施に向けた企業の対応状況について、実態調査
を実施した。
ポイント
❶ストレスチェック制度の実施形式:「一部を社外の EAP 業者等へ外部委託する予定」
41.6%が最も多く、「すべてを自社独自で行う予定」とする企業は 4.9%にとどまる[図表
1〜2]
❷自社独自で行う場合のチェック項目:法令で推奨される「職業性ストレス簡易調査票(57
項目)をそのまま活用」36.4%が最多[図表 3]
❸外部委託する場合、活用するサービス内容と予算:活用を予定しているサービス内容(複
数回答)は「ストレスチェック実施と結果の返却のサービス」98.2%が最多。以下「組織
分析の結果集計とフィードバックのサービス」82.1%、「高ストレス者への面接指導勧奨・
相談対応」60.7%と続く。従業員 1 人当たりのストレスチェックに要する予算では「1000
〜2999 円」が 50.0%と最も多い[図表 5〜7]
❹ストレスチェック実施に向けた各段階について、検討が完了している・方針が定まってい
る事項(複数回答):「ストレスチェック制度に関しての法定要件に関する情報収集」81.9%
や「外部機関等から情報を収集し、活用を検討」63.3%などで検討が完了している・方針
が定まっている割合が多い[図表 11〜13]
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❺ストレスチェック実施後の各段階について、検討が完了している・方針が定まっている事
項(複数回答):「労働基準監督署への報告をどのように行うか」は 12.8%、「集団分析
の結果を受け、どう職場環境改善につなげるか」は 11.9%、「次年度以降の実施に向け、
課題の洗い出しと解決策の検討など、PDCA サイクルをどのように構築するか」は 8.4%[図
表 18〜20]
❻ストレスチェック制度義務化に向けた課題(複数回答):「ストレスチェックの結果をど
のように職場環境改善につなげればよいのか分からない」37.6%が最多。「産業医や保健
スタッフが、集団分析や職場環境改善といったテーマで活動した経験がない、少ない」「小
規模事業所や海外事業所があるため、ストレスチェック実施とその後の面接指導等で社員間
の差が出てしまう」が各 33.2%で続く[図表 25]
調査要領
◎調査名:「ストレスチェック制度義務化に伴う企業の対応状況調査」
1. 調査対象:『労政時報』定期購読者向けサイト「WEB 労政時報」の登録者から、今回の
ストレスチェック導入義務化の対象になる「従業員数 50 人以上の事業場」所属を抽出した
人事労務・総務担当者 6604 人
2. 調査期間:2015 年 8 月 3〜28 日
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3. 調査方法:WEB によるアンケート
4. 集計対象:1.のうち、回答のあった 226 社(1 社 1 名)。会社の産業別、規模別の内訳
は[参考表]のとおり。
5. 利用上の注意:[図表]中の割合は、小数第 2 位を四捨五入し小数第 1 位まで表示してい
るため、合計が 100%にならない場合がある。
※「年」の表記については原則として西暦だが、今回は法令に準拠して、本文では和暦(平
成)表記としている。
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ストレスチェック制度導入に向けた予定(実施形式等)
どのような形式で実施を予定しているか[図表 1〜2]
一部を社外の EAP 業者等へ外部委託する予定が 42%で最も多い
ストレスチェックやその結果を受けた面接指導については、事業場の状況を日頃から把握
している産業医等が実施することが望ましいが、必要に応じてその全部または一部を外部機
関に委託することも可能である(「労働安全衛生法に基づくストレスチェック制度実施マニ
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ュアル」116 ページ、以下、マニュアル)。そこで、ストレスチェック制度の導入に向け
て、どのような形式で実施を予定しているかを聞いたところ、「一部を社外の EAP 業者等
へ外部委託する予定」が 41.6%で最も多く、「すべてを社外の EAP 業者等へ外部委託する
予定」が 21.2%で、「すべてを自社独自で行う予定」とする企業は 4.9%にとどまった。
調査した 8 月時点で「情報収集中、まだ決めていない」という企業も 32.3%と 3 社に 1 社
の割合に上る。
規模別に見ると、大手ほど外部委託する予定の企業が多い(「一部外部委託する」と「す
べて外部委託する」の合計は 1000 人以上で 80.6%、300〜999 人 62.9%、300 人未満
48.0%)。300 人未満では「情報収集中、まだ決めていない」が 49.3%と約半数に達して
いる。
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[外部委託する場合] ストレスチェック業務の委託先[図表 4、事例 1]
「現在、情報収集している段階」が 59%
同じく「どのような形式で実施を予定しているか」[図表 1〜2]で「一部を社外の EAP 業
者等へ外部委託する予定」「すべてを社外の EAP 業者等へ外部委託する予定」と回答した
企業に、委託先はすでに決定しているかを聞いたところ、調査した 8 月時点では「現在、
情報収集している段階」が 58.5%と約 6 割に上り、「すでに決定している」の 39.4%を大
きく上回った。なお、委託先が「すでに決定している」企業に、委託先として記載があった
会社名は[事例 1]のとおりである。
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