礼拝のリーダーを訓練する - JESUS

礼拝のリーダーを訓練する
セッション1
神の栄光のために生きる
順子は歌を歌うのが得意です。彼女は賛美の歌を歌うのも好きです。そこで彼
女の小グループのリーダーは、順子に小グループの礼拝のリーダーとなって賜
物を用いるように頼みました。しかし、順子はその役割を担うことに葛藤を覚
えるようになりました。彼女は集会が始まる直前まで礼拝の計画を立てなかっ
たり、時には全く何も計画しなかったりしました。順子は、小グループの礼拝
を聖霊に導いていただくためにそうしていると言います。しかし小グループの
何人かのメンバーは、リーダーに不平を言うようになりました。
「私たちは本当
に礼拝しているとは思えません。あなたが順子さんを助けてくれないとうまく
いきません!」小グループのリーダーは順子と話をしようとしましたが、順子
はこのことについて何も話したくないと言い張りました。また、順子は霊的に
も成長しているように見えません。彼女はほとんど祈らないし、自分で聖書を
読むこともしていないと言います。
あなたが順子の小グループのリーダーだとしたら、彼女を励ますためにどのようなこ
とをしますか。
人々が礼拝のために小グループとして集まるとき、彼らがそこで体験すること
は、一人一人が日々経験していることを反映します。もし一人一人が日々神を
礼拝しているなら、小グループとして集まるときも神を礼拝します。もし一人
一人が日々神を礼拝しているのではないなら、小グループとして集まるときに
真の礼拝を体験することはできないかもしれません。
1
実際のところ、小グループのメンバーの霊的な状態は絶えず変化します。ある
メンバーは日常生活において神を礼拝しているかもしれませんが、そうしてい
ないメンバーもいます。小グループでの礼拝は、イエス様と共に親しく歩み、
日々イエス様を礼拝している人たちが、そうでない人たちに励ましを与える機
会をもたらします。
小グループの礼拝のリーダーは、順子のように歌を歌うのが得意というだけで
はつとまりません。また、計画を立てることや小グループの礼拝の時間をリー
ドすることが上手にできる、というだけでもつとまりません。小グループの礼
拝のリーダーは、イエス様と共に親しく歩み、日々イエス様を礼拝していなけ
れば、小グループの礼拝を効果的にリードすることができません。
このため、小グループの礼拝のリーダーを訓練するには、霊的なレベルから始
めなければなりません。小グループの礼拝のリーダーは、イエス様と共に親し
く歩み、日々イエス様を礼拝し、イエス様の栄光を現すように訓練されなけれ
ばなりません。それによって、効果的な礼拝リーダーとなるための霊的な基礎
を築くことができます。
ローマ12:1-2を読む。
ローマ12:1-2によると、「霊的な礼拝」とは何ですか。
霊的な礼拝とは、私たちのからだを「神に受け入れられる、聖い、生きた供え
物」としてささげることです(ローマ12:1)
。神は私たちが神のみこころを
行うために、自分たちを完全に神にささげることを求めておられます。それは
私たちの神に対する愛を示すものです。イエス様は私たちにこう命じられまし
た。
「心を尽くし、思いを尽くし、知性を尽くし、力を尽くして、あなたの神で
ある主を愛せよ。」(マルコ12:30)
2
真の霊的な礼拝とは、自分のためにではなく、神のために生きることを意味し
ます。このような礼拝は、クリスチャンが週に1、2時間礼拝のために集まる
だけでは身につけることができません。それは、一日24時間、一週間7日間、
絶えずなされる必要があります。
礼拝のリーダーとなるようにあなたが育てている人たちは、あなたがこのこと
について話すのを聞くだけでは、このような礼拝を身につけることができませ
ん。彼らは、あなたが「神に受け入れられる、聖い、生きた供え物」として自
分のからだをささげているのを見ることによってのみ、この原則を自分の日常
生活にどのように適用すべきかを理解することができます。
あなたが訓練している人たちにとっての模範となるような「生きた供え物」にあなたが
なることを妨げるものはありせんか。
ローマ12:1-2によると、
「生きた供え物」となるためには、3つのことを
行う必要があります。
1.神のために自分を聖別する:ローマ12:1には、私たちは「神に受け入れら
れる、聖い」供え物となるべきことが書かれています。こうなるためには、神
に喜ばれることを行うことをあなたの生活の優先事項とする必要があります。
それは、あなたの神との個人的な関係が愛に基づいているときに可能になりま
す。
愛に基づいている関係は、義務感に基づいている関係とは大きく異なります。
義務感に基づいている関係においては、あなたはその関係において求められる
ことだけを、それ以上でもそれ以下でもなく、行おうとします。愛に基づいて
いる関係においては、相手にあなたの愛を示すためにどんなことでもしようと
3
します。神との関係においては、あなたの愛を神に示すためにどんなことでも
しようとします。神があなたへの愛を示すためにすべてのことをしてくださっ
たがゆえに、あなたも神を愛したいという動機を抱くべきです。神は私たちが
罪の赦しと永遠のいのちを得ることができるように、その愛のゆえに、ご自分
のひとり子を私たちに与えてくださいました。
具体的には、あらゆる状況において、
「私は神に喜ばれるために何をすべきだろ
うか」と自分に問いかけるべきです。そして、その問いに対する答えに基づい
て「行動」すべきです。
多くの場合、この問いに対する答えは簡単です。しかし時には、神に喜ばれる
ために何をすべきかよく分からないこともあるでしょう。その場合、神のみこ
ころを見極めるために少し時間を取る必要があるかもしれません。祈り、聖書
を読み、成熟した他のクリスチャンからアドバイスをもらうために時間を取る
べきかもしれません。神のみこころを見出すことについては、
「神のみ声を聞く」
の学びを参照してください。
2.この世から自分を聖別する:ローマ12:2にこう書かれています。
「この世と
調子を合わせてはいけません。」あなたは自分で考えているような人へとなって
いきます。もし、金銭、物質的な富、セックスなどについてばかり考えている
なら、そのようなことがあなたにとって最も大切なものとなってしまいます。
もし、いつも他の人々の意見ばかりを考えているなら、神のために生きる代わ
りに、他の人々を喜ばせようとしてしまいます。もし神に喜ばれる生き方を身
につけようとするなら、この世的なことばかりを考えるのをやめなければなり
ません。神に喜ばれることは何であるかを考えることを通して、
「心の一新によ
って自分を変え」る必要があります(ローマ12:2)
。ピリピ4:8にこう書
かれています。
4
「最後に、兄弟たち。すべての真実なこと、すべての誉れあること、すべての
正しいこと、すべての清いこと、すべての愛すべきこと、すべての評判の良い
こと、そのほか徳といわれること、称賛に値することがあるならば、そのよう
なことに心を留めなさい。」
このようなことを考えるためには、神の栄光を現すように考え、行動すること
を促す事柄に思いを集中させる必要があります。例えば、聖書や、霊的な成長
を促すクリスチャンの本を読みましょう。神に喜ばれない思いをもたらす本を
読んではいけません。その中には、他の宗教に関係する本、世俗的な本、ポル
ノなどが含まれます。この世的な音楽ではなく、クリスチャンの音楽を聞きま
しょう。この世的な映画やビデオではなく、クリスチャンの映画やビデオを見
ましょう。あなたの思いと愛を神に集中することを助けることを何でもするよ
うにしましょう。
3.神のみこころに思いを集中する:ローマ12:2には、もし私たちが神と神のみ
こころに思いを集中するなら、私たちは神のみこころを知り、行うことができ
る、と結論づけられています。
「そうすれば、神のみこころを試し、知ることが
できます」(英語NIV訳の日本語訳)。神のみこころを知り、行うとき、あな
たは神の栄光をほめたたえることができます。そうすることによって、あなた
の人生は神への「生きた供え物」となります。
あなたが訓練している人たちが、あなたが神のために自分を犠牲にして生きて
いる姿を見るなら、彼らもあなたの模範にならおうとするかもしれません。そ
の場合、この学びを通して学んできた、霊的な礼拝の基礎となる原則を彼らに
説明することができます。それを聞き、あなたの模範を見、あなたがしている
ような生活を送ろうとするとき、彼らは神の栄光をほめたたえるような生き方
をする人たちへと変えられていくことでしょう。
5
適用
1.祈り、思い巡らすための時間を取ってください。あなたが実際にはどのよ
うな人であるかを示してくださるように神に祈り求めてください。そして、以
下の4つの質問を思い巡らしてください。
(1)私は本当に心を尽くし、たましいを尽くし、知性を尽くし、力を尽くし
て神を愛しているだろうか。
(2)私の生活のすべてにおいて、私は神のために聖別されているだろうか。
(3)私の生活のすべてにおいて、私はこの世から聖別されているだろうか。
(4)私は神のみこころを知り、行うために、完全に献身しているだろうか。
2.あなたの罪を神に告白してください。神のために聖別されていない部分に
ついて、神の赦しを求めてください。そして、神のみこころを知り、行うこと
を、改めて決意してください。
3.このセッションを通して、また、祈りと思い巡らしの時間を通して学んだ
ことをもとに、あなたが訓練している人たちのための学びを用意してください。
その学びの終わりに、彼らが祈り、思い巡らすための時間を含めるように計画
してください。
4.あなたが計画した学びを、あなたが訓練している人たちに教えてください。
祈りと思い巡らしの時間を含めることによって、彼らが学んだことを自分の生
活において適用できるようにしてください。
5.感じたことや、あかしを分かち合うときを持って学びを終えます。参加者
たちに、この体験を通して神が何を教えてくださったか分かち合うように促し
ます。また、神が教えてくださったことを日常生活でどのように適用するかに
ついても分かち合うように促します。
6
セッション2
小グループでの礼拝を発展させる
セッション1では、おもに小グループでの礼拝のリーダーの成長について見て
きました。礼拝のリーダーを訓練するにあたり、しっかりとした霊的な基礎を
据えることが最も重要です。しかし礼拝のリーダーが霊的に成長し始めたら、
その人が小グループでの礼拝を計画し、リードすることができるように、具体
的な訓練を提供することも大切です。
小グループでの礼拝における目標は、クリスチャン生活における目標と同じで
す。それは、神の栄光をほめたたえることです。人々が小グループの集会に集
まるとき、彼らは神の栄光を体験し、神を礼拝するように導かれるべきです。
エペソ5:19-21を読む。
エペソ5:19-21には、礼拝に参加する人々が神の栄光を体験するときの様子が描
かれています。このような礼拝には5つの特徴があります。
1.礼拝が神にささげられる:この箇所には「詩と賛美と例の歌とをもって、...主
に向かって」賛美することについて記されています(エペソ5:19)。このこ
とは礼拝におけるすべてのことに当てはめることができます。歌、あかし、祈
り、交わり、聖書の学びなど、これらすべての行いの目的は神の栄光をほめた
たえることであるべきです。礼拝はそれに参加する人たちに益をもたらします
が、本当は、礼拝は私たちのためのものではありません。礼拝においては、そ
れに参加するすべての人間は出演者であり、神のみがご覧になっておられます。
だれもが、神の御前で礼拝するのです。礼拝は神のものです。
2.礼拝が心からなされる:真の礼拝は、義務感からなされるものでも、儀式とし
7
てなされるものでもありません。真の礼拝は、私たちを愛してくださっている
神に対する私たちの愛を示す行いです。
「心を尽くして」神を愛することが求め
られているように、「心を尽くして」神を礼拝すべきです。
3.礼拝がすべてのことに影響を与える:このように神を礼拝する人たちは「いつで
も、すべてのことについて、...父なる神に感謝」します(エペソ5:20)。
小グループでの礼拝において神の栄光を体験するとき、人々は生活のすべての
領域において神の御手が働かれるのを体験し始めます。彼らは神が生活の中で
どのように働かれるかを知るにつれて、あらゆる状況において神に感謝をささ
げることを学ぶようになります(ピリピ4:12)
。彼らがそうすることができ
るのは、
「神を愛する人々、すなわち、神のご計画に従って召された人々のため
には、神がすべてのことを働かせて益としてくださることを」知るからです(ロ
ーマ8:28)。
4.礼拝が「主イエス・キリストの御名によって」なされる(エペソ5:20):クリスチャ
ンの礼拝は、イエス・キリストを神として礼拝することです。これは、他の宗
教における礼拝との違いを明確にします。このことは、礼拝に参加するすべて
の人にはっきりと示されなければなりません。そうしなければ、ある人たちは
どの神を礼拝しているのか分からず混乱してしまうでしょう!祈り、賛美の歌、
あかしは、すべてイエス様を主、神、救い主としてほめたたえるためになされ
るべきです。神の創造のみわざについても、イエス様との関係において説明さ
れるべきです。
5.礼拝が互いに仕え合う心をもたらす:真の礼拝は、人々の互いに対する関わり合
い方に変化をもたらします。イエス様がしもべとしてこの地上に来られたよう
に、イエス様を礼拝する者たちも、イエス様のように他の人々に仕えるように
なります。具体的には、小グループの内側と外側の両方において、他の人々に
対する奉仕をするようになります。礼拝によって参加者たちがどんなに興奮し
8
たり、新しくされたと感じたりしても、この第5のポイントがなされない限り、
礼拝がその目的を果たしたとは言えません。その目的とは、人々の生活のすべ
ての領域において神がほめたたえられることです。
小グループでこのような礼拝をするようにリーダーを訓練するためには、訓練
において以下の点を強調する必要があります。
1.
神を賛美する一つの方法として短いあかしを用いる。
2.
自分の小グループにふさわしい歌やみことばを選ぶ。
3. 祈りの基本的な要素を小グループの礼拝において適用する。
(祈りに関し
てより詳しく学ぶには、
「祈りの基本」と「他の人々のために祈る」の学びを参
照してください)
小グループでの礼拝のリーダーを訓練するために用いる基本的な資料は、
「礼拝
生活」と「小グループでの礼拝をリードする」の学びにまとめられています。
これらの学びをまだしていなければ、他の人を訓練する前に、今、あなた自身
で学んでください。これらを学ぶにあたり、
「適用」もきちんと行ってください。
礼拝のリーダーとなるように他の人たちを訓練する最善の方法は、あなた自身
が模範を示すことです。
礼拝のリーダーを訓練するプロセス
他の分野における弟子訓練や奉仕における訓練と同じように、礼拝のリーダー
を訓練するときも、模範を示し、実践的な適用をさせる必要があります。この
プロセスの一つの例を以下に示します。これをもとに、あなたが訓練する礼拝
のリーダーたちの必要に合わせて訓練の計画を立ててください。彼らが十分に
訓練されるには、
「見る」ことと「実践する」ことの両方が必要であることを覚
えておきましょう。
1.あなたが訓練している人たちと共に、小グループでの礼拝を行います。あ
なたが礼拝をリードし、彼らは参加者として礼拝を体験します。
9
2.参加者たちと共に、小グループでの礼拝で何をしたか話し合います。その
とき、
「小グループでの礼拝をリードする」のセッション1の内容を用いて話し
合います。なぜ一つ一つの部分が大切なのか彼らが理解できるように助けます。
3.参加者たちと共に、小グループでの礼拝を計画し、一人一人に責任を担っ
てもらいます。例えば、ある人は交わりを、ある人は祈りを、ある人は聖書の
学びを、ある人は賛美を担当します。
4.計画したことをもとに、小グループでの礼拝を一緒に行います。
5.小グループでの礼拝でしたことについて話し合い、訓練を受けている人た
ちからの質問に答えます。
6.ステップ3、4、5をくり返します。責任分担をするときに、それぞれ最
初の礼拝で担ったのとは異なるものを担当するようにします。例えば、賛美を
リードした人は今度は聖書の学びをリードし、祈りをリードした人は今度は交
わりをリードするようにします。
7.それぞれに、自分の小グループでの礼拝の計画を立ててもらいます。もし同
じ小グループから二人の人がこの訓練に参加しているなら、二人で一緒に礼拝
の計画を立て、リードしてもらいます。
8.訓練を受けている人たち全員がそれぞれの小グループで礼拝をリードする
機会を持った後、一緒に集まります。何をしたか、何を学んだか、どのような
失敗をしてしまったかについて分かち合い、質問があればそれに答えます。
9.訓練を受けている人たちが自信をつけたなら、それぞれの小グループで礼
拝をリードし続けてもらいます。その場合、励ましやアドバイスを受けるため
に、時々一緒に集まるとよいでしょう。もし訓練を受けている人たちが自信を
持てないなら、必要に応じて、ステップ7と8を2、3回くり返します。グル
ープ全体で訓練をくり返すのではなく、助けが必要な人に対して訓練を続けま
す。
あなたが訓練する人たちと1週間に一度会うなら、この訓練は約1ヵ月で終わ
ります。もし2週間に一度会うなら、約2ヵ月で終わります。できる限り、2
10
週間に一度以上の頻度で集まるようにしましょう。1ヵ月に一度会うのでは、
訓練を受ける人たちが学んだことをきちんと理解し、適用することが難しくな
ってしまいます。
適用
1.もしまだしていないのなら、
「礼拝生活」と「小グループでの礼拝をリード
する」の学びを学んでください。
2.セッション2に記されている訓練のプロセスを通して、礼拝のリーダーと
なる可能性のある人たちを訓練してください。
3.この体験を通して神があなたに教えてくださったことを、あなたの励まし
手と分かち合ってください。
考察
1.小グループでの礼拝のリーダーを訓練することに関して、神はあなたに何を
教えてくださいましたか?
2. 小グループでの礼拝のリーダーを訓練することに関して、質問はあります
か?
3. この学びを通して学んだことを他の人と分かち合うために、どのような計
画を立てますか?
4.この学びを通して神があなたに教えてくださったことを、あなたの励まし
手やアカウンタビリティー・グループのメンバーたちと分かち合ってください。
11