竹が彩る暮らしと文化 放置竹林拡大の要因と社会的背景

2015/2/26ステップアップ講座⑨
竹が彩る暮らしと文化
日本の竹ファンクラブ
理事長 平石眞司
放置竹林拡大の要因と社会的背景
1
2015/2/26ステップアップ講座⑨
里地里山の成り立ち
里山
杉・檜
(人工林)
1000万ha
(一部)
竹
(竹林)
16万ha
雑木林
(二次林)
800万ha
田・畑
(耕作地)
700万ha
森林面積2500万
万h
森林面積
里地里山の働き
食料、農・漁業用
資材、建築用資材、
生活・工芸用材、
玩具、神事、
催事利用
里山
木材生産
杉・檜
(人工林)
雑木林
(二次林)
薪炭、堆肥
竹
(竹林)
田・畑
(耕作地)
米、野菜等の
食料
2
2015/2/26ステップアップ講座⑨
里地里山が放置された
社会的背景
筍、竹製品の輸入
増加、プラスチッ
ク革命による代替
品の普及
里山
外国材の輸入
杉・檜
(人工林)
竹
(竹林)
価格の低迷
農山村の過疎化
後継者難
雑木林
(二次林)
生産意欲
の低下
田・畑
(耕作地)
燃料革命
化学肥料の普及
食糧消費パターン
の変化
隣接植物との競合
里山
人工林の放置
筍の生産量7分の1
(筍の消費量3倍)
竹材の生産量10分の1
竹林の放置
放置竹林の拡大放
置
二次林の放置
耕作放置
競合
3
2015/2/26ステップアップ講座⑨
放置竹林拡大の影響
・ 生態系の撹乱
・ 里地里山への侵略
・ アメニティの悪化
・ 竹文化の喪失
・ 国土保全機能の低下
・ 温暖化の促進
竹の生態と管理
4
2015/2/26ステップアップ講座⑨
かぐや姫に見る竹の神秘
・かぐや姫はどこから
生まれた?
・かぐや姫はどこで
育った?
・かぐや姫が成人する
までの期間は?
・かぐや姫が月に帰る
までの期間は?
竹の生態的優位性と特徴
無性繁殖
スピード成長
形成層
竹
表年・裏年
止まり筍
竹の開花
5
2015/2/26ステップアップ講座⑨
竹林の育成と子育て
大きくてたくましい子
に育って欲しい
細くてスリムな子
に育って欲しい
たくさんの子
を産んで欲しい
少なくても強くたくましい子
を産んで欲しい
もう他所に行っていたずら
しないで欲しい
竹林の管理とコメづくり
・間伐の適期
・伐竹年齢
・伐竹の目安
・施肥
・母竹の選定
6
2015/2/26ステップアップ講座⑨
~竹林の調査~
竹林の密度を調査する
①調査の仕方(適正密度の計算方法)
__㎡÷100×適正本数50/100㎡=__本
②立竹本数から見た竹種別ランク表
100㎡当たり
ランク
種類
モウソウチク
マダケ
ハチク
立竹本数
40~50本
70本内外
80本内外
上
平均直径
12㎝
8㎝
7㎝
中
立竹本数 平均直径
60~70本 10㎝
80~100本 6㎝
90~110本 6㎝
下
立竹本数
平均直径
80~90本
8㎝
110~150本 3㎝
120~160本 3㎝
~竹林の管理~
用途別竹林の管理
用途
筍生産
竹材生産
景観保全
空間活用
適地
南向き
北、西
全方位
全方位
間伐適期
10~12月
10~1月
10~1月
10~1月
親竹密度
15~30本
40~50本
40~50本
40~50本
伐竹年齢
5年生
4~5年生
5~8年生
5~8年生
先止
○
×
×
×
施肥
◎
×
△
△
直径階
8~10㎝
バラツキ
12㎝
バラツキ
7
2015/2/26ステップアップ講座⑨
~親竹の仕立て方と密度管理~
伐竹の目安
100㎡当たり
伐竹年齢
5年生で伐る場合
5年生で伐る場合
6年生で伐る場合
6年生で伐る場合
親竹の本数
30本
60本
30本
60本
秋に伐る本数
6本
12本
5本
10本
春に立てる本数
6本
12本
5本
10本
~親竹用筍の育成法~
(1)親竹の仕立て方
目的
密度
筍栽培竹林 15~20本/100㎡
景観竹林
40~50本/100㎡
(2)元気な筍の選び方
選定:出盛りより先に出た筍を選ぶ
配置:間隔の空いた所や伐採予定の場所に立てる
8
2015/2/26ステップアップ講座⑨
~筍の収穫率アップの方法~
施肥をする
時期
・・・
数回に分けて行うのが最も効果的
一回しか施肥しない場合は、5月、9月がよい
目安
・・・
★100㎡当たりの施肥量と出筍数の目安
収穫目標 チッソ
リン酸
カリ
ケイ酸
非施肥
20~25本
0
0
0
0
施肥 普通
100本
2.0㎏
0.9㎏
1.3㎏
1.6㎏
施肥 最大
200本
4.7㎏
2.1㎏
3.0㎏
3.7㎏
方法
・・・
①ばら撒き②伐竹した竹を等高線に沿って埋め、
土止めする③有機肥料もやる④落ち葉は埋める
効果
①堆肥しない場合の4倍~10倍の増産可能②出筍数が
・・・ 平準化される③竹林更新のスピードが上がる④竹が弱
くなり、竹炭や工芸には不適となる
竹の未来と活用
9
2015/2/26ステップアップ講座⑨
日本の竹林はいま
1965年
筍の生産量
7.8万t
筍の消費量
8.7万t
筍の輸入量
1.0万t
竹材の生産量 1,284万束
竹林面積
148千ha(1976年)
2007年
2.2万t
28万t
24.8万t
114万束
159千ha
竹の利用(過去)
食料
(筍・缶詰)
生活用品
(竹箸、物干竿、
台所)
農業・漁業
(海苔、支柱)
竹
民族行事
(門松、七夕)
美術工芸
(和傘、扇子、
うちわ)
建築
(木舞竹、足場丸太、
竹垣)
10
2015/2/26ステップアップ講座⑨
竹の利用(現在)
パルプ
バイオマス
イベント
繊維
コミュニティー
竹
竹炭
健康
観光
合板
肥料
飼料
竹林の評価
これまでの評価 - 緑地機能
・景観形成機能
・大気浄化機能
・野生生物生息機能
・暴風・防災機能
・騒音・振動調節機能
・都市の骨格形成機能
自然科学視点
これからの評価 - 空間機能
・自然とのふれあい機能
・いやし健康増進機能
・レクリエーション・イベント機能
・環境教育・生涯学習機能
・コミュニティー形成機能
社会科学視点
11
2015/2/26ステップアップ講座⑨
竹の未来
~個人から協働へ~
竹の文化的・多面的な機能に着目した
複合的な活用や利用の仕組みをつくり
地域での自己完結を目指す
(1)地域で自立できる仕組み
(2)経済的なメリットを生み出す仕組み
(3)持続可能な仕組み
(4)地域の様々な主体が連携・協働できる仕組み
12