膀胱癌について

医療の質向上と職場の活性化に向けてQC活動に取り組み、今年で6年目を迎え
ました。
チーム活動のメンバーは連携をキーワードに部署や専門性、年齢といった
垣根を越え集りました。各チームは、患者さん目線での取り組みと行いました。1位
に輝いた薬剤部と病棟看護師チームによる服薬管理の取り組み
「飲み忘れゼロ!
!
すまいる 冬号
QC発表会
個別性のある服薬管理」
でした。患者さん、家族さんの満足度が向上するように今
Vol.48
後も継続・拡大していくことを誓い合いました。
12月3日、5日、12日、16日
依頼のありました学校へ、感染看護認定看護師が出前授業を行いました。
手の指先だけ洗っていたり、服で手を拭いていたり、
マスクから鼻をだして
いる人を見かけたことはありませんか。
日頃の手洗い、咳エチケットが正し
いかを知って、
うつらない、
うつさない健康な生活を過ごすための方法を
話しました。
消防訓練を行いました。
病棟で夜間火災が起こった場合を想定した、訓練を実施しました。内容は、
患者さんの症状に合わせて独歩・車椅子・ストレッチャでの搬送や誘導、
消防署への連絡、職員間の連携、初期消火の方法を訓練しました。
国家試験対策セミナー
クリスマスコンサート
12月20日・21日に看護学生を対象に国家試験対策
今年で9回目となった、
クリスマスコンサートを
セミナーを実施いたしました。
ミュージックベル同好会の演奏で行いました。
熱心に知識向上のために耳を傾けていました。
練習を積み重ねてきた成果が、患者さん、家族
さんの心にあたたかさのプレゼント。
●発行月 2015年1月発行(次回4月発行予定) ●発行・編集 富田林病院 TEL.0721-29-1121 ●制作・印刷 有限会社ケイ・ディー
手洗いセミナーを行いました。
皆さんの笑顔を応援します!
すまいる
特集
2015
Winter
48
Vol.
P1−4
膀胱癌について
「樹氷」富田林病院職員撮影 撮影日:2015年元日(金剛山 山頂にて)
P5・・・・・・ がん患者に対する支援
裏表紙 ・・・・ QC発表会
P6・・・・・・ 糖尿病教室
手洗いセミナーのご報告
医療講演のお知らせ
消防訓練のご報告
国家試験対策セミナー
クリスマスコンサート
富田林病院
特集
膀胱癌について
泌尿器科 菊池
膀胱癌のことを知って、早期発見・治療に役立てましょう!
膀胱癌の分類(大きく分けると…)
尭
∼膀胱とは尿を一時的に蓄える袋状の臓器∼
①筋層非浸潤膀胱癌
②
他の癌で再発というともともとの癌より悪いことが多いのですが、膀胱癌で
は殆どが前回同様の表在性癌であります。したがって内視鏡手術が可能であ
①
③
粘膜
りますので、手術後も定期的な検診つまり早期発見早期治療が必要となりま
筋層
す。ちなみに、単発性の場合の再発率は約30∼40%、多発性の場合の再発率は
周囲脂肪組織
約70∼90%といわれています。
膀胱癌のT分類
•比較的予後良好。
•膀胱癌の70∼80%を占める。
上皮へ浸潤しない 上皮へ浸潤する 筋層へ浸潤する
筋層を越え、浸潤する
•治療は経尿道的膀胱腫瘍切除術(TUR-BT)が主体。
•膀胱内再発、進展が問題。
②浸潤膀胱癌
【男性】
膀胱癌
とは
【女性】
人口10万人あたりの発生率は約5∼8人で、男性のほうが女性より約4倍なりやすいことが
知られています。また、50歳をこえると発生頻度は高くなり60∼70歳台がそのピークとな
ります。
※膀胱癌は膀胱腫瘍の90%以上を占める悪性疾患。
膀胱癌の原因
喫煙者は,非喫煙者に比較して2∼4倍,膀胱癌の発症リスクを高めるとされ、さらに膀胱癌の発生を5∼6年
早めます。
染料工場や皮革加工で使われるベンチジンやアミノビフェニル、ナフチルアミンなどの化学物質の職業的曝
露が原因で膀胱癌を発症する場合があります。
合成化学染料の原材料であるが,これらの物質を取り扱う染料合成工程に従事した労働者では膀胱発癌のリ
スクが,一般人口に対して2∼40倍高いと報告されています。
•生命を脅かす、予後不良。
•治療は膀胱全摘除術が基本。
•補助療法として多剤併用化学療法 (抗癌剤治療)が行われる。
•どうしても膀胱温存の場合は、放射線療法+化学療法を行うこともある。
③上皮内癌
BCG注入療法にて完全に癌がなくなる可能性は約70%です。しかし、BCG注入療法が無効な場合膀胱全摘
出術が必要となるのが実情です。
•初期段階では進行は比較的遅いが、数年内に膀胱粘膜から下層(筋層)へ浸潤し、転移する。
•内視鏡で見ても正常な粘膜と区別がはっきりつかない。
•内視鏡手術で完全に取りきることはできず、第一選択として膀胱の中に薬剤(BCG)を注入し膀胱粘膜全体に
治療を施す。
•BCG注入療法にて完全に癌がなくなる可能性は約70%であり、BCG注入療法が無効な場合膀胱全摘出術が
必要となる。
喫煙、特殊な化学物質への慢性的な暴露、
膀胱の慢性炎症、特定の抗癌剤や放射線
治療に伴う二次発癌などがあります。
膀胱癌の症状
●血尿(肉眼的血尿・顕微鏡的血尿)
●頻尿、残尿感、排尿時痛
診断
1
検尿
•泌尿器科診療に必須の検査。
•肉眼的血尿の場合でも尿路感染症の
有無の情報が得られる。
2
超音波
•尿がたまった状態で行う。 •ある程度の大きさであれば診断可能。
•血塊との区別はつかない。
●尿路感染や腎機能障害
1
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2
3
膀胱鏡
・診断に必須。
②膀胱全摘除術
・浸潤性か非浸潤性かの見当がつく場合もある。
•全身麻酔で行う。
・硬性膀胱鏡
•筋層浸潤性膀胱癌・
・軟性膀胱鏡
■尿路変向術の方法
1:尿管皮膚痩
2:回腸導管
3:自己導尿型代用膀胱
4:自然排尿型代用膀胱
回腸(小腸の一部)
を導管とし
て用いる。
狭窄を起こしにくく、腸管の蠕
動運動により、尿はスムーズに
体外へ出される。
腸管を用いて畜尿するパウチを
作製する。
自己導尿が必要となる。
腸管を用いて新しく膀胱を作製
する。
尿道と吻合することにより、術
後は自分で排尿することが可
能となる。
上皮内癌で適応となる。
•尿路変更術が必要。
尿管を直接腹壁に固定する。
術式は簡単だが、狭窄を起こし
やすい。
4
尿細胞診
尿細胞診も補助的価値はありますが、比較的たちのいい癌では陽性に出ない
ことが多く内視鏡に代わりうる検査ではありません。しかし、上皮内癌では内
③膀胱内注入療法
視鏡ではわからないことが多く、尿細胞診が頼りになる検査となります。
膀胱内に抗癌剤やBCG(いわゆる弱毒性結核菌です)を注入して癌の治療
•特異度が高い。低悪性度の場合は 陰性となることがある。
あるいは再発予防をはかる治療です。表在性膀胱癌の経尿道的手術直後
に膀胱内に注入することで、再発予防を行います。多発性の腫瘍や再発を繰
•上皮内癌の診断に極めて重要
5
CT
•局所進達度判断には不向き。
(遠隔転移やリンパ節転移の検出に有用)
り返している患者さんに対しては不十分な場合もあり、週に1回ずつ繰り返
6
•局所進達度診断に威力を発揮する。
MRI
して注入することをお勧めすることがあります。
•膀胱内に抗癌剤やBCGを注入し、表在性膀胱癌の術後再発予防や上皮内癌の治療に用いられる。
•副作用として頻尿・排尿時痛などの膀胱刺激症状はかなりの確率で起こる。
•BCGの副作用は症状が重く発熱や、
ひどい場合には結核感染症、高度なアレルギー反応、萎縮膀胱などを生じる
ことがあり、死亡例も報告されている。
④化学療法
•明らかに転移のある症例や、術後癌細胞の残存する可能性のある場合に行われる。
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PET-CT
•有効率は40-60%程度、抗癌剤だけで完全に治る可能性は5%程度。
•原発巣の診断には不向き。
•主な合併症として吐き気、嘔吐、脱毛、白血球減少、血小板減少、腎機能障害、末梢神経障害などがある。
(尿にFDGが集積するため、腫瘍が隠れる)
•転移巣検出に有用。
⑤放射線治療
•浸潤性膀胱癌の症例で、全身状態から手術療法が困難な場合や膀胱温存を希望される
場合に放射線、抗癌剤、内視鏡手術を組み合わせて行う。
•世界的に見て放射線療法の標準化がされていないため、膀胱全摘出術と治療成績の
治療
①経尿道的膀胱腫瘍切除術
差は明らかでない。
TUR-BT:Transurethral Resection of Bladder Tumor
腰椎麻酔をかけて尿道から膀胱に内視鏡を入れて観察し電気メスで腫瘍を切り取るまたは焼き尽くす方法です。
当院では…
•基本的に脊椎麻酔(下半身麻酔)で行う。
•入院は1週間前後。
造設術を含めた尿路変更術についても積極的に行っており、患者さんの生活の質の向上に努めています。
●病状・全身状態を元に、患者さんの治療希望をふまえて治療方針を決めていきます。
最後に
•Ta,T1では第一選択。
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●内視鏡手術(TUR-BT)を年間を通して多数行っております。
また古くから膀胱全摘除術および新膀胱
膀胱癌は早期に発見して早期治療を行えば根治する可能性があります。
血尿などの症状が出た場合、膀胱癌の心配がある場合は一度泌尿器科を受診して下さい!
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「がん患者に対する支援」
者・家族への支援に力を入れています。
そ
日常の生活と、
シックデイについて 看護部
の中の1つに
『緩和ケア』があります。緩和
平成27年3月14日
(土)
ケアというと、
「 がん治療ができなくなった
方への医療」
「 がんの終末期に受けるも
午後1時30分∼3時30分
(午後1時より受付開始)
の」
と思っている方も多いようです。緩和ケ
アとは、がん患者の苦痛を取りのぞき、患
●場所:富田林病院 第一会議室
者とその家族にとって、
自分らしい生活を
送れるようにするためのケアで、がんと診
専門職と情報を共有し、辛い症状をやわら
断されたときから行うケアのことです。例え
げる方法について共に考えたりしていま
ば、がんの治療中に経験する苦痛を伴う
す。
外来の方へは、
診察に同席させて頂き、
症状(吐き気、痛み、
だるさなど)や、患者・
医師の説明では難しかったことについて説
家族の不安・心配事といった心のつらさを
明を加えたり、医師へ伝えにくい思いなど
やわらげ、
がん治療を支援します。 が伝えられるように調整したりしています。
富田林病院では、がんと診断された患
入院・外来を問わず、がんと診断された
者や家族の皆さまが少しでも安心できるよ
衝撃で気持ちが動揺し、心のストレスと
うお手伝いしたいと考え、緩和ケアに取り
なっている方々が、少しでも早く穏やかに
組んでいます。現在、
がん性疼痛看護認定
過ごせるようお話を伺い、寄り添うように努
看護師が、がん看護に関わる看護師とし
めます。
また、精神的なものだけでなく、経
てご相談を受け、患者・家族の皆さんと一
済的な問題や解雇問題など必要に応じて
緒に向き合い方を探したりするお手伝いを
専門職への相談にお繋ぎします。
ご家族
させて頂いています。入院中の方へは、病
の相談にも対応します。
わず、一度ご相談ください。
担当:がん性疼痛看護認定看護師
・各診療科や病棟のスタッフへ
ご希望をお伝えください。
連絡先:
(0721)29−1121(代表)
月∼金 9時∼16時30分
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●お問い合わせ:富田林病院 医事サービス課
医療講演のお知らせ
富田林病院では、地域の方々へ健康増進のため
定期的に医療講演を行なっています
料
参加無
症状がない場合でも病気が進んでいます
∼人間ドック健診による病気の早期発見の重要性∼
講師 : 金政 健 (済生会富田林病院 副院長・健診センター長)
日時 : 平成27年
1月24日(土) ・受付:午後1時30分開始 ・講演:午後2時∼3時15分
「こんなことは相談しても仕方がない」
と思
「がん看護」相談 お問合せ
●電話による問い合わせ
地域の皆さんの健康増進のための教室です。
糖尿病と、
フットケア 皮膚科医師
国は、がん対策基本法を通し、がん患
どを確認したり、医師や薬剤師など多くの
無料
参加費
要
予約不
講演以外にも、
血糖値の測定や試供品の提供などもあります。
がん性疼痛看護認定看護師 松岡美佐代
室を訪問し、辛い症状の状況やご希望な
糖尿病教室
検 査 か ら み た 動 脈 硬 化
講師 :真鍋 明美/樋口 茉理恵 (済生会富田林病院 臨床検査技師)
富田林病院では、がんと診断された
患者さんやご家族の皆様が少しでも
安心できるよう、お手伝いしたいと
考えています。
日時 : 平成27年
2月28日(土) ・受付:午後1時30分開始 ・講演:午後2時∼3時15分
■講演予約制:定員50名
●予約申し込み・お問合せ
■会場:富田林病院 第一会議室
受付…【月曜日∼金曜日】9時∼17時 【土曜日(第3土曜休診)】9時∼13時
地域医療連携室 ☎
0721-29-1121(内線471)
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