9-3. 廃プラスチックの BTX 回収システムにおけるインベントリー分析

9-3. 廃プラスチックの BTX 回収システムにおけるインベントリー分析
(科学技術振興事業団)○中澤克仁、(東海大学)片山恵一、(石川島播磨重工業)伊東正皓、
(東京大学生産技術研究所)坂村博康、安井至
Inventory Analysis of BTX Recovery System for Waste Plastics
○ Katsuhito NAKAZAWA (JST), Keiichi KATAYAMA (Tokai Univ.), Masaaki ITOH (IHI),
Hiroyasu SAKAMURA and Itaru YASUI (IIS, Univ. of Tokyo)
【はじめに】
廃プラスチックの処理方法については、これまで数多く
研究されてきており、その中でも油化処理は、生成油が燃
料油として利用できる他に、石油化学原料として使用でき
るという利点がある。特に、触媒を用いたプラスチックの接
触分解油化処理は、良質な生成油が得られることから、廃
プラスチック処理の一試行策として考えられている。現在、
ガリウムシリケートやホウ素シリケート等の触媒を使用する
油化処理に関しては、廃プラスチックから高効率で選択的
に石油化学原料の BTX(ベンゼン、トルエン、キシレン)や
低級オレフィン(プロピレン、ブテン)を生成する技術も開
発されている。
そこで本研究では、ガリウムシリケート触媒を使用した
廃プラスチック石油化学原料化システムを LCA(Life
Cycle Assessment)的に分析し、エネルギー消費や固形
廃棄物排出等について調査した。また、原油から直接
BTX を製造するシナリオ等と比較することによって、本シ
ステムにおける廃プラスチック処理方法としての有用性に
ついて評価した。
【調査範囲と前提条件】
・機能単位
24 時間稼働の石油化学原料化プラントにおける産業廃
棄物系プラスチックのポリオレフィン(PE、PP)からの BTX
22t の生成を機能単位とした。
・システム境界
本インベントリー分析では廃プラスチックを洗浄・乾燥し
て溶融押し出し機で供給した後(前処理プロセス)、熱分
解槽で熱分解し(熱分解プロセス)、さらに接触分解反応
塔において触媒により選択反応を行い(触媒反応プロセ
ス)、還流器を通じ(還流・冷却プロセス)、ガス分離塔より
BTX を生成する(BTX 回収プロセス)シナリオを対象とした。
本システムの概略図を図 1 に示す。尚、このプラント建築
や土地利用が環境に及ぼす影響、重機・機械類の製造、
また廃プラスチックの収集・選別に係わる環境負荷は対象
外とした。
・環境負荷項目
エネルギー(電力)消費、大気系排出物質(二酸化炭
素:CO2、硫黄酸化物:SOx 、窒素酸化物:NOx)、固形廃
棄物(焼却灰)を環境負荷項目とした。
廃プラ:PE/PP=7/3
41.2t/d(灰分3%) 20℃
50.7t/d
500℃
550℃
加熱器
洗浄・乾燥
160℃
大気放出
大気放出
熱分解槽
重質油・残さ
3.2t/d(灰分1.2t/d)
接触分解
反応塔
(Ⅱ)
触媒
Ga/Si
触媒
Ga/Si
50℃
wt%
300℃
空気予熱器
空気加熱器
600℃
140℃
300℃
冷却水(補充)5t/d
ガス 16t/d
12.7t/d
20℃
冷水塔
30℃
還流器
480℃
接触分解
反応塔
(Ⅰ)
1.洗浄・乾燥
2.還流器戻り予熱器
3.空気予熱器
38t/d
溶融押し出し機
41.2t/d 250℃
熱回収
30℃
ガ
ス
分
離
塔
H2
C1
C2
C3
C4
C5
7
12
12
50
17
2
予熱器
BTX 22t/d
分留精製プロセス
wt%
ベンゼン
トルエン
キシレン
エチルベンゼン
その他
図1 廃プラスチックの石油化学原料化システム
t/d
1.12
1.92
1.92
8.00
2.72
0.32
16.00
12
40
33
2
13
t/d
2.64
8.80
7.26
0.44
2.86
22.00
【結果および考察】
立の合算(C)、原油から直接BTX製造シナリオと焼却・埋
図 2 に、廃プラスチックにおける石油化学原料化システ
立の合算(D)との比較を試み、その結果を図 3 に示した。
ムのインベントリー分析結果を示した。この結果から、石油
直接埋立および焼却+埋立に関する環境負荷は、プラス
化学原料(BTX)を高い収率(53.4%)で回収でき、さらに廃
チック処理促進協会報告書(プラスチック廃棄物の処理・
プラスチック 41200kgを焼却灰(固形廃棄物)1200kgにま
処分に関するLCA調査研究報告書、2001 年 3 月)から引
で削減できることが確認された。今後は、システム内で余
用した。その結果、原油から直接BTXを製造するシナリオ
8
剰となった生成ガス 13482kg(1.7×10 kcal)を有効に利用
(B)との比較では、固形廃棄物以外の項目において環境
していく方法を検討することが課題である。
負荷を削減でき、本システムがエネルギー消費やCO2排
また本システムは、廃プラスチック処理に係わる環境負
出の削減に対して効果があることが認められた。また、
荷の削減と、石油化学原料となる BTX 製造という利点を兼
BTX製造と廃プラスチック処理を合算したシナリオ(Cおよ
ねている。したがって、原油から直接 BTX を製造するシナ
びD)との比較においても、本システムが廃プラスチック処
リオ(B)、原油から直接 BTX を製造するシナリオと直接埋
理方法として有用であることが確認された。
Input
ガス(kg)
残さ(kg)
Output
394 CO2(kg)
3200 SOx(kg)
NOx(kg)
Ash(kg)
※残さは灯油換算
消費エネルギー
加熱器駆動
4.73E+06
空気加熱器駆動
9.79E+04
接触分解反応塔駆動 1.42E+07
投入エネルギー(効率70%)
ガス(t)
0.394 3.42E+06
残さ(t)
3.2 1.56E+07
溶
融
押
し
出
し
機
廃プラ
PE:70%
PP:30%
41.2t
41.2t
Input
Output
廃プラ(kg) 41200 CO2(kg)
電力(kWh) 16896 SOx(kg)
NOx(kg)
熱
分
解
槽
50.7t
加
熱
器
12.7t
6412
3.80
4.56
Input
Output
電力(kWh)
48 CO2(kg)
ガス(kg)
2124 SOx(kg)
NOx(kg)
残さ(kg)
50.7t
予熱器
5147
0
3.6
1200
Input
水(kg)
電力(kWh)
kcal
kcal
kcal
kcal
kcal
接
触
分
解
反
応
塔
Output
5000 蒸気(kg)
24 CO2(kg)
SOx(kg)
NOx(kg)
5000
9
0.005
0.006
冷水塔
50.7t
還
流
器
38t
ガ
ス
分
離
塔
BTX:22t
Total-Input
廃プラ(kg) 41200
電力(kWh) 16968
水(kg)
5000
12.7t
Input
5983
0.01
0.12
3200
Output
BTX(kg)
ガス(kg)
22000
16000
消費エネルギー
熱分解槽駆動
1.84E+07 kcal
投入エネルギー(効率70%)
ガス(t)
2.124 1.84E+07 kcal
図2 廃プラスチックの石油化学原料化システムにおけるインベントリー分析
120
A. 石油化学原料化
システム
B. 原油からのBTX
製造シナリオ
100
C. Bシナリオ+直接
埋立
80
D. Bシナリオ+焼却
+埋立
60
40
20
0
エネルギー消費(Gcal)
CO2(t)
SOx(kg)
NOx(kg)
固形廃棄物(t)
図3 各シナリオにおける環境負荷の比較(BTX 22t製造、廃プラスチック41.2t処理)
Total-Output
CO2(kg) 1.76E+04
SOx(kg)
3.818
NOx(kg)
8.290
Ash(kg)
1200
蒸気(kg)
5000
BTX(kg)
22000
ガス(kg)
13482
↓
余剰エネルギー
1.7E+08
kcal