確率統計基礎講義 A 分布論 (Part 3)

確率統計基礎講義 A
分布論 (Part 3)
1.2. 混合正規分布
講師:栁原宏和
E-mail: [email protected]
Web: http://www.math.sci.hiroshima-u.ac.jp/~yanagi/ProbStatBasisA.html
分布論, Part 3: P.1
分布論, Part 3: P.2
特性 (1/3)
定義
混合正規分布 (Contaminated Normal Distribution):
∼ CN , であるとは, 確率変数 が従う分布の確率密度関数が
1
/ 0,
∈ 0,1
1
であるときのことをいう. これは分散の異なる正規分布を混合比 で
混ぜた分布となっている.
0.4
CN(1/2,1/2)
CN(1,1/2)
CN(2,1/2)
Density
0.8
CN(2,0)
CN(2,1/5)
CN(2,1/2)
0.35
0.3
0.6
Density
; , 1. 混合正規分布は0を中心とした左右対称な分布であり,
0, 1か
1のときは正規分布となる.
0.4
0.25
0.2
0.15
0.1
0.2
0.05
0
-3
-2
-1
0
x
分布論, Part 3: P.3
1
2
3
0
-3
-2
-1
0
1
2
3
x
分布論, Part 3: P.4
特性 (2/3)
2.
∼ CN ,
特性 (3/3)
のとき,
0, Var
E
3
0,
1
1
1
また, 平均周りの 次モーメントは
0
1 1
1 3 ⋯
特に
1
形になり,
3.
,
1
が奇数
が偶数
とおくと, 確率密度関数は にだけ依存する
;
1
と簡単な形となる.このとき
3
1/ /4となり,
わかる.
1
/
1
1であれば正規分布である. また,
→ ∞とすれば → ∞となることが
∼ CN ,
のとき, の特性関数は,
1
1
exp
exp
2
∈
4. 乱数発生法:それぞれ独立な確率変数 , , を
∼ N 0,1 ,
∼ N 0,
, ∼ B 1, とすると,
∼ CN , となる は
以下のように発生させることができる.
1
ただし, B , は繰り返し回数 , 成功確率 ∈ 0,1 の二項
分布を表す. 二項分布の確率関数は,
!
1
0,1, … ,
! !
である.
分布論, Part 3: P.5
特性の証明
1
2
分布論, Part 3: P.6
レポート問題1
混合正規分布に従う確率変数の, 平均, 分散, 歪度, 尖度, 平均周
りの 次モーメントを計算せよ. ただし, 正規分布の特性は既知であ
るとして計算してよい.
分布論, Part 3: P.7
分布論, Part 3: P.8
定義
歪正規分布 (Skew Normal Distribution):
∼ SN であるとは, 確率変数 が従う分布の確率密度関数が
;
2
Φ
0
であるときのことをいう.
1.3. 歪正規分布
; が確率密度関数になっていることは, 以下の定理により示
すことができる.
定理1.3.1:
を確率密度関数,
が0を中心に対称であれば2
分布論, Part 3: P.9
定理1.3.1の証明
をその分布関数とすると,
は確率密度関数となる.
分布論, Part 3: P.10
定理1.3.2
定理1.3.2: と を独立な連続型の確率変数とし, と の確率密度
関数をぞれぞれ
,
とする. このとき,
の確率密
度関数
は,
となる.
分布論, Part 3: P.11
分布論, Part 3: P.12
特性 (1/3)
定理1.3.2の証明
1. 歪正規分布は非対称な分布であり,
0 のときは正規分布
となる. また, → ∞ のとき, 半正規分布になる.
0.4
SN(0)
SN(1)
SN(2)
SN()
0.35
D e n s ity
0.3
0.25
0.2
0.15
0.1
0.05
0
-3
-2
-1
0
1
2
3
x
分布論, Part 3: P.13
特性 (2/3)
2.
∼ SN
分布論, Part 3: P.14
特性 (3/3)
/ 1
のとき,
2
E
, Var
とおくと,
2
1
3. それぞれ独立な確率変数 ,
を
∼ N 0,1/ 1
,
∼ N 0, / 1
とすると ∼ SN
となる は以下の
ように発生させることができる.
sign
| |
,
/
2 4
sign
8
3
2
,
2
→ ∞ とすれば,
2 4
8
3
lim
, lim
/
→
→
2
2
となり, を大きくしても歪度と尖度はそこまで大きくはならないこ
とがわかる.
ここで
分布論, Part 3: P.15
分布論, Part 3: P.16
特性の証明
レポート問題2
歪正規分布に従う確率変数の, 平均と分散を計算せよ.
分布論, Part 3: P.17
分布論, Part 3: P.18