「資金管理」改善の取り組み

「資金管理」改善の取り組み
大分県国東市
目次
1国東市の概要
2国東市資金管理改善の経過
3自治体財務(資金)管理活動の理論
(1)自治体財務(資金)管理活動の構造
①目的に貫かれた活動 8
②他に学ぶ ベンチマーキング
③リスク管理
13
④財務活動管理方針
4資金管理
実践
(1)資金管理とは(図解)
①金融市場原理に応じた活動 19
②短期資金借入
③長期資金借入
23
④短期貸付(運用)
⑤長期・超長期貸付(運用)を阻む要因(リスク)に対処
⑥長期・超長期債券の運用戦略
5参考資料
(1)債券購入(売却)の市長決裁事例 歳計現金
(2)債券購入(売却)の市長決裁事例 基金
3
5
7
11
17
18
20
26
28
37
43
44
2
1国東(くにさき)市の概要
九州地図
大分県
地図
国東市
3
1
国東市の概要
平成18年3月31日、4町が合併して誕生
(国見町・国東町・武蔵町・安岐町)
人 口
30,825人
世帯数
13,353世帯(平成26年3月末)
・標準財政規模
132億円
・財政力指数
0.29
・経常収支比率
91.6%
・実質公債費比率
12.5%
・地方債残高
221億円
・基金残高
102億円 (平成24年度決算)
4
2
国東市資金管理改善の経過
H24.4
[歳計現金] 預金 [基金] 5割定期預金、4割中期国債
H24.8 [歳計現金] 国庫短期証券、債券「買い現先」運用開始
H24.10 [基金] 中期国債売却 長期、超長期公共債取得開始
H25.2 [歳計現金] 債券「売り現先」一時借入開始
H25.3 国東市財務活動管理方針の制定
H25.4 [基金] 長期・超長期公共債32億円売却
H25.8 [基金] 一括運用開始・・・定額運用基金を除く18基金すべて
方針改正
H25.10 [基金] 売却損の償却方法及び起債方法具体的基準制定
方針改正
H26.2 [歳計現金] 超長期公共債購入開始 12億円(平均残高の1/2)まで方針改正
基準日
歳
計
現
金
基
金
H24.3末
決済預
金
定期等
長期債
券
超長
期債
計
(億円)
14
5
14
H26.6末
4
22
H24.3末
7
46
0.3
45
1
34
H26.6末
中期国
債
14
H24.12末
H24.12末
買現先
短期債
12
31
12.6
36
2
39
89
5
27
20
99
5
19
60
119
5
平成23年度
資金名
平均月末残高(億円)
運用収入(円)
運用利回り
歳計現金
31.05
646,651
0.021%
基金
93.16
20,034,032
0.215%
合計
124.21
20,680,683
0.167%
平成24年度
資金名
平均月末残高(億円)
運用収入(円)
運用利回り
歳計現金
28.07
1,673,106
0.060%
基金
96.85
50,045,654
0.517%
合計
124.92
174,217,896
0.414%
平成25年度
資金名
平均月末残高(億円)
運用収入(円)
運用利回り
24.52
1,777,246
0.072%
基金
110.99
217,523,158
1.960%
合計
135.51
219,300,404
1.618%
歳計現金
※平均月末残高・・・4月から翌年3月までの各月末残高を12除したもの
※運用利回り・・・運用収入÷平均月末残高
6
3ー(1)自治体財務(資金)管理活動の構造
資金の安全性、流動性、効率性の3つの目的を実現するために、
他団体の優良事例に学び、財務活動管理方針を実践の基準として、
目的を阻む自治体内部環境リスクと金融取引リスクに向き合い、
対処・予防を図る過程
リスクコントロールにおける、「リスク」は経
営目的を阻む要因のこと。
目的
(住民の利益のため)
※「リスク=危険」,「リスク=不祥事」でない
資金の安全性、流動性、
効率性の実現
・他団体
・自治体内部環境リスク
対 象
・金融取引リスク
対象
・他に学ぶ
方 法
・リスクの対処
(財務活動管理方針)
方法
地方自治法抜本改正について
の考え方(H22年)総務省
「地方公共団体の果たすべき
役割が今後拡大していくことが見
込まれる中で、その事務の適法
性、効率性、有効性等をこれまで
以上に確保するためには、リスク
を予防し、抑制することが重要で
あり、その観点から、まずは地方
公共団体の内部統制体制の整
備を図ることが必要である。」
7
3ー(1)①目的に貫かれた活動
•
•
•
•
運用(貸付)と調達(借入)は対立したものに見えるが、貸借という金融活動の
2面であり、利回り決定の原理は共通であり、目的も共通であり、一体的に実
践すべき活動である。
貸付(運用)及び借入(調達)には、安全性、流動性とともに、効率性(=収益
性、低コスト)の3つの目的がある。
借入(調達)は、据置期間と長期固定金利ありきの視点から、効率性(=利息
減⇔平均償還年限短期化)の視点が必要。
債券を基金との統一、及び目的との統一の全体的な視点で把握すれば、債
券売却損は収益との関連で損失から費用に変わる。これは、債券運用を阻
害する最大の要因(リスク)であった「債券損失=財産の毀損(※註)=悪」の部
分(特殊的)の思考の打破を意味するが、これは損をして得を取る、即ちエビ
で鯛を釣る生活者の普通の知恵である。
※註 自治法243条の2会計管理者若しくは~略~職員が故意または重大な過失(現金については過失)に
よりその保管に係る現金、有価証券、物品(~略~)若しくは~略~使用に係る物品を亡失又は損傷した
ときは、これによって生じた損害を賠償しなければならない。
•
「財務務活動管理方針」で、運用(貸付)と調達(借入)の活動基準を一体的に
定め、業務改善のたびに改定している。
8
目的に係る規定 (抜粋①)
☆一般的な事務処理の原則
効率性=住民福祉増進、最少の経費で最大の効果(自治法2⑭)、法令順守(自治法2⑯)
☆資金運用の目的
①歳計現金=確実かつ有利
※地方自治法第235条の4、地方自治法施行令168条の6、地方公営企業法施行令22条の6
②基金=確実かつ効率的
※地方自治法第241条、地方財政法第4条の3
☆国東市財務活動管理方針 (抜粋)
第Ⅰ 総則
1 本方針の目的
資金調達と資金運用に関わる財務活動の原則及び管理方針を定めて、資金の安全性及び流
動性を確保した上で、最も効率的な財務活動を行うことを目的とする。
9
目的に係る規定 (抜粋②)
4 財務活動の原則
(1)資金の安全性に係る信用リスク及び流動性リスク等を適切に管理することを通じて、効率
性の向上を図る(※註1)。
① 安全性の確保
元本の確実な保全のため、安全な金融商品の選択、及び預金保護のためのペイオフ対策、
並びに取引金融機関経営健全性指標(※註2)に留意して、調達及び運用を行う。
② 流動性の確保
予算執行に必要な資金確保のために、資金調達及び資金運用の金額と償還までの
期間を適切に設定する。
③ 効率性の追求
より低い金利での資金調達とより高い利回りでの資金運用に努める。
~(略)~
6 財務活動に従事する者の責任
運用資金は市民から預かった財産であり、調達資金は 市民の負債となることを踏まえ、市民
の利益を第一目的とし、法令及び本方針に定める諸要件を誠実に遵守しなければならない。
~(略)~
10
3ー(1)②他に学ぶ
ベンチマーキーキング
☆自治体業務改善運動のコピペと共鳴の精神
• 民間の強み⇔競争環境 自治体の弱み⇔競争環境にないこと=地域独占
• 自治体の弱みは強み⇔スキルを他団体に教えても存続が危うくならない、
パートナーシップの精神で教え合い学びあえるはず
☆ベンチマーク=測量水準点=比較のための基準
☆ベンチマーキング=企業は他社の優良事例(ベストプラクティス)をベンチ
マークとして、追いつき追い越すための改善・改革を行なう。
☆トヨタ自動車は、米国スーパーマーケットに学び、生産計画を否定して、顧客
起点の流れとそれを支える改善を組みわせた生産方式の革命を起こした。
☆自治体資金管理は効率性のベンチマークがない
ストック指標(基金残高、借入金残高、将来負担比率)はある。
公債費比率、実質公債費比率は利息の分別がないので効率性を示さない。
運用収益率算定・公表団体少ない。利息対借入残高比率算定・公表は不知。
11
他に学ぶことで自分たちの狭い経験の打破ができる??
S28年佐世保市「歳計現金の一体的管理」自治省行政実例、
S55年神戸市「基金の一括運用」、
福岡市「制度預託融資による支払資金不足対策のTiborベース借入」
これら事務改革が、学ばれていないのは何故だろうか?
<集権融合体制の遺産としての組織文化>
①要綱・方針でも、文書化するとしばられる不安があり、具体的な手順書・引き
継ぎ書を作らない傾向、②法律、政令以外の国の指示がない事項を行うこと=違
法でないかという思考になり、自ら創意工夫で改善を行うことに及び腰。
☆標準局部例制廃止(平成3年地方自治法旧第158条の削除)
国の省庁の出先のような県の組織体系以外は認められなかった
☆国、県の包括的指揮権(地方自治法旧150、150条)平成12年廃止
☆現行制度(H12)
自治事務 助言・勧告・資料提出・是正の要求、
その他個別法に基づく関与 一定の場合に限定、できるだけ設けない
法定受託事務 助言・勧告・資料提出・是正の指示、代執行
その他個別法による関与 できる限り設けない
12
3ー(1)③リスク管理
リスク・マネジメントとは、目的を達成する阻害要因となるリスクを識別し、
評価し、重要度に応じて、戦略的に対処・予防する一連の過程。
法令、規則、前例も含めすべてのリスクに向き合う。
☆地方自治体における優れたガバナンスの実践―フレームワーク
(英国勅許公共財務会計協会、全英自治体経営者協会)
「優れたガバナンス(協働、協治)によって、地方自治体はそのビジョンを
効果的に追求することができるとともに、リスク抑制=リスク・マネジメント
のメカニズムによってそのビジョンを支えることができる。」
リスクへの対応
リスクの程度に
より戦略的対応
リスク大 厚く
リスク小 薄く
回避
低減
移転
受容
対
応
策
の
説
明
戦略
資源(人、もの、金、時間等)を目的達成のために配分すること
回避
・目的を阻害する事務、事業を止める ・危険な公共施設を閉鎖
・リスクのある株式や外国債券で運用しない
低減
・不祥事があったのでマニュアル改正 ・情報保護指針の制定
・領収書管理システムを作る ・通帳と印鑑を別管理
移転
・保険をかける・・・死亡、事故、災害等
・スワップ取引で金利変動に備える
受容
・少額な取引は伺い伝票省略 ・出張旅費支給で領収書省略
・金利リスクを引き受けてリターンを得る
13
自治体独自の内部リスクと金融取引に係る外部リスク
☆自治体特有の内部リスク
目的と切り離された運用評価、制度預託融資制度、歳計現金への基金
の繰替え運用、資金の分断(歳計現金の会計別資金管理と特定目的基
金別資金管理)、債券償却手法未確立、先進事例情報の遮断(タコ壺化)、
資金効率性指標の国家的な無関心、借入目的への世代間の平等観念
の導入、国からの通知の絶対化(=中央集権的思考の遺産)、
☆金融取引に係る外部リスク 信用リスク、流動リスク、金利変動リスク
リスクを引受けることでリターンを得るという特殊な性質がある。
14
各種取引のリスク(借入=調達)
調達リスク評価
金融取引
安全性リス
ク
流動性リスク(短期資
金=調達スピード、長
期=会計収支負担)
支払利息少なさ
(効率性)
対 処
国債等売り現先取引
なし・相殺
極めて少 +1~2日調
極めて少ない
採用
Tibor金利+α
なし
手続1週間
少ない
中小団体無理
当座借越契約
なし相殺
手続なし、自動調達
極めて少ない
回避
短プラレート
なし無担保
手続1週間
極めて大きい
回避
なし無担保
少ない
少ないが基金運用
阻害
回避
あり
大きい
大きい
回避
なし
少 平均化と総額圧縮
少ない
採用
少 低減・総額圧縮
少ない
採用
大 将来に負担
大きい
回避
大きい
少ない
大きい
金利3倍超等で
逆転 少ない
見直し条件によ
り見直し、ミック
ス可
長い
大きい
大きい
短い
少ない
少ない
財政収支が許せ
ば短期、平均償
還年限圧縮取組
期間
短期
資金
銀行
借入
基金繰替え運用
据置期間
長期
資金
(定
時償
還方
式)
元金均等償還
・公的資金
はリスクなし
元利均等償還
金利
固定金利
見直し
・民間資金
は破たん時
に預金と相
殺のため資
金ショート
達
償還期間
15
各種取引のリスク(貸付=運用)
運用リスク管理
期間
金融商品
安全性リス
ク(破たん)
流動性リスク
(換金リスク)
金利リスク(効
率性)
対処
歳計現金
一体的保管
なし
少ない
債券償却容易
採用
会計別保管
なし
非常に大きい
債券償却困難
回避
一括運用
なし
少ない
債券償却容易
採用
個別運用
なし
非常に大きい
債券償却困難
回避
決済性預金
なし
なし
利息なし
採用
利付預金
ペイオフリ
スク
なし
極めて少ない
ペイオフ対策
1年以上
定期預金
〃
少ない
少ない
ペイオフ対策
2週以上
半年以内
譲渡性預金
〃
満期まで換金
できない
定期より多い
預入期間で対処
国庫短期証券
「買い現先」
少ない
相殺で対処
少ない
極めて少ない
短期金利上昇時に預
入
国庫短期証券
なし
少ない
極めて少ない
中
少ない
基金
短期資金
2日以上
1年以内
中期
長期・超長期
多様
公共債券
なし
大
大きい
同
上
ポートフォリオで対処
為替リスク商品
非常に大
大
非常に大きい
回避
株式・社債
非常に大
大
非常に大きい
回避
16
3ー(1)④財務活動管理方針
安全性(安全な商品、ペイオフ対策)
流動性(必要なときに、必要な資金準備)
実践の根拠
・
「売り現先」超低利調達
・元金均等返済
・据置期間一年内
・借入金利条件 市=場金利反映
・平均償還年限短期化
金融市場原理
に応じた活動
・基金をまとめて一括運用
・一括運用で事務簡素化
・歳計現金一体保管・長期運用
・利回り重視(オーバーパー可)
・公共債で運用
・利息と売却益で収益確保
市民のため
借入利息の減
運用収益の増
債券償却方法
債券売却損の償却方法
複数年度での債券収益評価
17
4-(1)資金管理とは目的(住民利益・安全・流動性・効率性)を持つ事業
金融市場の原理を反映した取引
借入(調達)
売り現先取引
起債償還期間短縮化・
利息減
貸付(運用)
歳計現金(一体的保管)の
長期・超長期運用
利息収入と売却収入
預金・国庫短期証券
短期資金
基金(一括運用)の
長期・超長期運用
長期資金
18
4ー(1)①金融市場原理に応じた活動
国東市財務活動管理方針
第Ⅱ 資金調達及び資金運用の考え方
1短期資金(期間1年以内)の調達及び運用(1)財務活動の基本的な考え方
各課から収入及び支出計画を聴取することにより、支払資金の過不足を把握した上で、短期金融市場の
金利水準(※註5)に注意を払い、確実かつ有利な金融商品を選択する。※註5 短期金利の動向は日本銀
行の金融政策で決まってくる。
2長期資金(期間1年超)の調達及び運用 (1)財務活動の基本的な考え方
国債金利が最も低く、地方債金利、一般企業の社債金利の順に、それぞれの資金調達団体の信用リスク
の程度に応じてリスクプレミアム利率が付される要因と償還年限の長さに応じて流動性リスク等が高まり金利
を引き上げる要因が、統一的に作用して金融市場の金利が決定される。
調達(借入=市債発行)と運用(貸付=債券購入、預金)は、貸借という金融活動の中の表裏として統一して
捉えるべきであり、ともに償還年限に応じた国債利回りを基準にリスクプレミアムを付して金利が決定される
(※註7)こと、及び金融市場の動向、並びに各種リスクを踏まえて、安全かつ最も効率的な金融取引を行うも
のとする。
※注7 地方公募債券金利=償還年限に応じた国債金利+各団体のリスクプレミアム
定時償還債借入金利=*平均償還年限{=(各回返済額×各回借入期間)÷借入額}の国債金利等+各団
体のリスクプレミアム
*平均償還年限
定時償還方式は、毎年度償還していくため、返済期限毎の複数の起債の合算であり、
算定した平均償還年限が国債の対応する償還年限になる。
平均償還年限を短くすることが、金利の低下と債務の早期償還につながる。
19
4ー(1)②短期資金借入
債券売り現先取引
資金繰りの不安(リスク)を一掃
効果
①歳計現金の長期運用が可能になる。
②歳計現金に対する基金繰替え運用の必要がなくなり、
基金の長期運用が可能になる。
自治体
(売 主)
自治体
(買戻主)
売却代金(時価)
市の「国債」等
買戻金 (売却代金+利息)
市の「国債」等
証券会社
(買 主)
証券会社
(売戻主)
現先取引を行う
証券会社は少な
い
(スタート)
X日
(エンド)
低利(0.1~0.11%)、スピーディな調達(1~2日前まで)可能
取引期間の債券利息市帰属、H25 5回借入 (通算36日間・平均4.7億円)
20
債券売り現先取引の諸規定①
〇現先取引
将来の特定の日に、特定の価格で同一証券を売り戻す、あるいは買い戻すことを
あらかじめ定めた売買取引である。現先取引は短期的な資金運用目的または資金
調 達目的で行われる証券取引であり、資金運用目的で行われる取引を買い現先
といい、資金調達目的で行われる取引を売り現先という。
〇国東市財務活動管理方針 第Ⅱ資金調達及び資金運用の考え方
1 短期資金(期間1年以内)の調達及び運用 (2)資金調達
短期金融市場に連動した金融商品(※註6)を基本に資金調達を行う。
資金の長期運用を阻む要因である、基金の繰り替え運用や短期プライムレートで
の借入等は行わない。
※註6 短期金融市場に連動した金融商品 オープン市場での市保有国債等の売
り現先取引による資金調達やインターバンク市場での短期資金調達金利
(TIBOR=Tokyo Interbank Offered Rate)をベースにした「銀行等貸付」等
21
債券売り現先取引の諸規定②
〇S57.720大分県出納長宛自治行第41号「買い現先の方法による運用の適法性
を認めた。」
〇「国債等売り現先取引」に類似する規定が自治法の規定
地方自治法第238条の5第3項(国債等の運用有価証券信託)
~(略)~国債その他政令で定める有価証券~(略)~は、当該普通地方公共団
体を受益者として、指定金融機関その他の確実な金融機関に国債等をその価額
に相当する担保の提供を受けて貸し付ける方法により当該国債等を運用すること
を信託の目的とする場合に限り、信託することができる。
※「貸し付ける国債等の価格に相当する担保の提供を受けるものであるので、リ
スクは極めて小さいものである。 ※『新版逐条地方自治法解説第7次改訂版(松
本英明著)学陽書房』958P「」
22
4ー(1)③
1
2
3
4
長期資金借入
金利は一般的に回収年限が長くなければ高く、短くなれば低い性質
財政状況が許せば返済期間を短くすること、許さなければ、同じ返済期間でも平
均償還年限を短くする工夫を行なうことにより、支払利息減額と借入金早期償還
が図られる。
「世代間公平」観点は「効率性」観点と矛盾する。後の世代は人口が減る中で
施設メンテナンスの負担を多く負う。耐用年数=償還期間とする「部分(特殊)的
な公平」は、支払利息が多くなること、償還が遅れる「非効率」を正当化できない。
臨時財政対策債(赤字地方債)を借りて基金を積み立てることは矛盾であり、資
産・負債総合管理の観点がないということだろうか?
地方交付税で元利償還金(理論値)を全団体、全額手当すれば、地方交付税
の原資の国税の飛躍的増収がなければ、地方交付税の空洞化を招く。
※H26末地方債200兆円、臨時財政対策債累積残高48.4兆円
※H13以降、地方交付税財源不足折半額を臨時財政対策債補填、後年度元利
償還金全額を基準財政額に参入。
[H26地方債同意基準 総務省告示第261]
第一総括的事項 第二協議団体に係る同意基準 一一般的同意基準
3 償還年限に関する事項 ~略~公的資金の償還年限が30年であることに照ら
し、原則として、償還年限は30年以内とすることが適当であるものとする。
3(5) 公共施設又は公用施設の建設事業費の財源に充てるための地方債の償
還年限については、当該地方債を財源として建設しようとする公共施設又は公
用施設の耐用年数に対し、世代間の公平の観点から、適当と考えられる範囲内
のものであること。
23
長期資金借入の規定②
国東市財務活動管理方針第Ⅱ 資金調達及び資金運用の考え方]
2 長期資金(期間1年超)の調達及び運用(2)資金調達
① 起債方法
~略~ 定時償還方式において、支払利息削減と債務早期
償還を実現するために、次の方法を取るものとする。 ア据置期間は原則
として1年以内
イ選択できる場合は、元金均等償還方式 ウ財政収支見込が許す範囲で
償還期間を設定
エ金利固定方式と金利見直し方式の選択は、償還シュミレーションによる
支払利息の多寡による判断 オ 金利見直し方式の見直し条件は国債
金利を基準
② 銀行等引受資金の借入先決定
引き合い方式又は相対方式のいずれの場合も、国債等金融市場金利を
ベースにした適切な借入金利を約定できる金融機関を借入先とする。
24
支払利息シミュレーション(定時償還方式)100億円を20年借りた場合
例
償還方法
据置
方法
利率
利率(見直
し後)(%)
支払利息
(%)
(億円)
A
20年固定
なし
元金均等
1.681
―
17.0
B
20年固定
なし
元利均等
1.681
―
18.2
C
20年固定
5年
元金均等
1.681
―
21.2
D
20年固定
5年
元利均等
1.681
―
21.7
E
10年見直し
なし
元金均等
0.812
1.711
10.4
F
10年見直し
なし
元利均等
0.812
1.711
10.9
G
10年見直し
5年
元金均等
0.812
1.711
13.2
H
10年見直し
5年
元利均等
0.812
1.711
13.7
過去の国債利回り%
D-E=11億円
試算条件
固定金利は、2012年国債利回り年平均を使用
見直し後の利率は過去16年間での、10年国債の
最高利率で試算
年度
10年国債
20年国債
1998
1.540
2.168
1999
1.711
2.471
2000
1.647
2.158
2012
0.812
1.681
25
4ー(1)④短期貸付(運用)
・決済用預金等 無利息、預金保険機構の全額保護
・定期預金、譲渡性預金 ペイオフ対策のため「相殺枠」を基本とするが、
「信用枠」で補完
・国庫短期証券、債券買い現先 短期金利上昇期には有利
地域金融機関支援のための預金の考えが債券運用の阻害要因(リスク)
しかし、預金での支援よりも、支払うべき手数料を負担しているだろうか・・・
・・・派出事務手数料、収納手数料等々・・・・
国東市財務活動管理方針 第Ⅰ 総則4(2)預金保護のためのペイオフ対策
① 資金管理状況の一元的把握を会計管理者が行い、借入状況の一元的把握を財政課長が
行い、預金と借入金の相殺を図るものとする。
なお、金融機関破綻時には、決済用預金は金額の制限なく預金保険機構等による保護対
象となること、及び金融機関毎に1千万円以下の利子付預金は保護対象になるが、その名寄
せ範囲は、一般会計、特別会計、公営企業、市役所組織名預金(※注3)であることに留意す
る。譲渡性預金は、預金保険等の保護対象外であるが借入金との相殺が可能である。
② 利子付預金預入の相殺枠は、金融機関毎に借入金と1千万円の合算額を限度とするが、
相殺枠を超える資金は決済用預金又は債券で運用することを基本とする。
26
短期貸付(運用)の規定②
③ 利子付き預金が相殺枠を超える場合、(1)①の金融機関経営健全性指標の基準
(※註2)
を満たせば、信用枠(※註4)の範囲内で、預金ができるものとする。
ただし、金融機関の経営健全性が参考指標等を含めて認められ、及び預金の収
益性が特
に認められる場合に、信用枠の運用を行うものとする。
④ 市役所組織名預金は決済用預金に預入するものとする。
※註2
金融機関経営健全性指標
国内業務のみの銀行 自己資本比率4%以上
国際業務を行う銀行 自己資本比率8%以上
証券会社
自己資本規制比率140%以上
参考指標
不良債権比率10%以内、金融庁登録信用格付業者投資適格以上、株価の推移
農業協働組合及び漁業協同組合は流動比率200%以上、当座比率100%以上
※註4 信用枠
譲渡性預金以上の金利の場合、1年以内の定期預金枠1億円
譲渡性預金のおおむね倍以上の金利の場合、半年以内の定期預金枠30億円
おおむね期間1月以内の譲渡性預金で運用の場合、預金枠40億円
27
4ー(1)⑤長期・超長期債券運用を阻む要因(リスク)に対処
ア
歳計現金の特別会計別管理から一体的管理への転換
昭和28年4月16日、自行行発第96号佐世保市議会事務局長宛 行政課長回答
(問)一般会計、特別会計相互間において歳計現金の過不足する場合、その支出に
充てるため、他会計の歳計現金を使用することは当然のことで、これに関し何ら制限的
規定はないものと考えるがどうか。(注)県の財務規定には、これに関する 何らの規定
もなく、法第232条第2項の規定によっても正当に支出命令があり支出の予算もある場合
は、たまたま該会計の歳入予算に基づく歳計現金がないときも 支出を拒むことができ
ないとものと考えられる。
歳計現金は会計の別なく一体として考えられるもので、単に内部的な事務処理として一
会計の支出は同会計の支出からするものとして、会計間の歳計現金の流用手続きをし
ている場合も、これはいわゆる法第227条(現行法では第235条の3)の一時借入金でなく、
その歳計現金の使用方法は、出納長の責任であると考える。
(答)お見込のとおり
イ
基金「繰替え運用」を必要とする、歳計現金の資金繰り不安の解消
「売り現先」資金調達による資金繰り不安一掃⇒基金繰替運用の必要がなくなる
※金利0.10%~0.11%、10億円3ヶ月借入(金0.11%)時の利息36.7万円
また、一般的に歳計現金の資金繰りはひっ迫していないと考える
(例外)中小業者等に対する預託融資制度のある団体は1年を通じ資金不足
「債券運用」と債券「売り現先取引」を同時に行なう解決策が考えられる
28
ウ
基金ごとの運用から一括運用への転換
基金は特定目的が生じた時に基金を一気に取り崩すかもしれないが、特定目的が
生じなければ保有し続けるかもしれないという、両極の流動性リスクが極めて大きい。
一括運用は流動性リスクを大きく抑制する。
財政調整基金で受け入れのみしておき、積立予算執行は配分後年度末に各基金で行う。
国東市財務活動管理方針第Ⅱ 資金調達及び資金運用の考え方
2 長期資金(期間1年超)の調達及び運用(3)資金運用
② 一括運用
会計管理者が保管すべき基金は、定額運用基金を除いて、
一括運用(※註11)を行う。 一括運用の目的は、事務の簡素化を図るとともに、
予期せぬ基金取崩しに基金全体で対処することで、長期運用を可能にする環
境をつくり、効率性向上を図るものである。 運用収益は、財政調整基金が代
表して受け入れるものとし、収益の配分は、年1度、12月末時点の基金残高の
割合で按分し、年度末までに、財政調整基金から各基金に振り替える。ただし、
果実運用型基金収益は20年債券収益の8割相当として決定する。1月以降に
収益の異動があった場合は、財政調整基金で調整するものとする。
※註11 一括運用とは、個々の基金と個々の金融商品の対応付けを外し、
基金残高と金融商品残高を総額で対応付けするものである。
29
一括運用基金
財政調整基金、A基金、B基金のみ等を部分的にまとめて運用することで
は、事務簡素化、流動性リスクの抑制にならない。
全ての基金(定額運用基金のぞく)を一括運用することが、事務簡素化と
流動性の飛躍的な向上をもたらす。
18基金(一括運用前)
18基金(一括運用)
財政調整
基金
• 定期預金
• 国債
減債基金
• 定期預金
• 国債
減債基金
A基金
• 定期預金
A基金
B基金
• 国債
B基金
C基金
• 国債
C基金
財政調整
基金
・決済性預金
・譲渡性預金
・定期
・国債
・地方債
・機構債等
30
一括運用基金の構成
満期までの年限
18基金の構成
平成26年6月末現在
種別
預金等
債券
(40銘柄)
合計
金額(億円)
預金等
内容
34.80
83.82
118.62
29%
35%
国債・
地方債・
機構債
32%
5年以内
5年超15
年以内
15年超2
0年以内
4%
31
基金の構成①(26年6月末現在)
種別
金額(円)
預入日
満期日
利率%
決済性預金
89,972,841
譲渡性預金
420,000,000
H26.6.18
H26.7.2
0.08
譲渡性預金
370,000,000
H26.6.25
H26.7.9
0.08
定期預金
2,600,193,000
0.06~0.21
額面(円)
利回り%
1年~3年
5年92回国債
466,798,750
H23.6.20
H27.9.20
0.3
467,500,000
325回国債10年
200,000,000
H24.10.10
H34.9.20
0.8
200,000,000
京都府債10年
99,990,000
H24.10.22
H34.10.21
0.8
100,000,000
福岡県債10年
99,940,000
H24.10.25
H34.10.25
0.8
100,000,000
62回国債20年
499,065,000
H25.5.16
H35.6.20
0.8
500,000,000
62回国債20年
409,393,200
H24.10.10
H35.6.20
0.8
410,000,000
62回国債20年
19,473,559
H24.10.29
H35.6.20
0.8
19,550,000
62回国債20年
99,906,000
H25.5.21
H35.6.20
0.8
100,000,000
378回大阪府債
200,000,000
H26.3.13
H35.11.28
0.7
200,000,000
57回地公機構債
100,000,000
H26.2.19
H36.2.28
0.739
100,000,000
58回地公機構債
100,000,000
H26.3.24
H36.3.28
0.739
100,000,000
32
基金の構成②(26年6月末現在)
種別
金額(円)
預入日
満期日
利率%
額面(円)
利回り%
58回地公機構債
100,000,000
H26.3.24
H36.3.28
0.739
100,000,000
20年14回公営企業債
115,080,013
H26.4.30
H37.9.24
2.200
100,000,000
0.781
F149地公機構債
206,622,000
H26.3.28
H37.12.19
1.145
200,000,000
0.835
F120地公機構債
105,184,876
H26.4.7
H38.8.28
1.346
100,000,000
0.885
F77地公機構債
320,478,394
H26.4.4
H38.10.20
1.519
300,000,000
0.915
F147地公機構債15年
400,000,000
H24.10.31
H39.3.19
1.291
400,000,000
F89地公機構債
215,720,679
H26.5.9
H39.8.20
1.602
200,000,000
0.951
98回国債(20年)
231,962,164
H26.6.25
H39.9.20
2.1
200,000,000
0.810
F194地公機構債
101,406,265
H26.5.14
H39.11.26
1.066
100,000,000
0.960
5回兵庫県債15年
207,520,000
H26.4.30
H40.5.26
1.31
200,000,000
1.005
117回国債(20年)
230,246,164
H26.6.25
H42.3.20
2.1
200,000,000
1.025
9回地公機構債(20年)
109,431,000
H26.3.28
H42.7.26
1.927
100,000,000
1.233
12回地公機構債(20年)
223,269,556
H26.4.9
H42.12.27
2.092
200,000,000
1.255
136回国債(20年)
205,381,060
H24.10.18
H44.3.20
1.6
206,600,000
静岡県20年債
307,000,000
H25.5.13
H44.10.15
1.701
300,000,000
1.570
33
基金の構成③(26年6月末現在)
種別
金額(円)
預入日
満期日
利率%
額面(円)
利回り%
23回地公機構債20年
104,565,328
H26.5.14
H44.7.28
1.68
100,000,000
1.381
26回地公機構債20年
104,070,956
H26.4.8
H44.12.28
1.724
100,000,000
1.451
144回国債20年
299,541,000
H25.5.14
H45.3.20
1.5
300,000,000
143回国債20年
694,700,000
H25.5.14
H45.3.20
1.6
694,700,000
29回地公機構債20年
103,622,164
H26.4.11
H45.6.28
1.725
100,000,000
11回大阪府債20年
400,000,000
H25.9.27
H45.9.27
1.693
400,000,000
32回地公機構債20年
102,138,117
H26.5.14
H45.10.28
1.624
100,000,000
148回国債20年
199,232,000
H26.3.20
H46.3.20
1.5
200,000,000
148回国債20年
100,214,643
H26.4.4
H46.3.20
1.5
100,000,000
地公機構債20年
300,000,000
H26.3.24
H46.3.28
1.569
300,000,000
日本高速道路20年
199,848,000
H26.3.23
H46.3.17
1.550
200,000,000
99,876,534
H26.5.16
H46.5.9
1.540
100,000,000
地公機構債20年
100,000,000
H26.5.23
H46.6.23
1.535
100,000,000
F地公債20.7年
200,000,000
H26.5.15
H46.12.20
1.570
200,000,000
兵庫県債20年
合計
1.487
1.496
1.49
11,861,843,263
34
エ
債券オーバーパーや債券損失の基金収益使用による償却
官庁会計(単式簿記)は償却相当額の現金を予算を通さず(収入調定せず)に、直接歳計現
金または基金に入れることで、複式簿記とおなじように償却事務ができる。
債券現金に属する債券はより簡単な事務処理であり、基金に属する債券は一括運用を行なう
ことにより、事務は飛躍的に簡素化され、債券の損失は一括運用収益の範囲内であれば単年
度で処理できる。
オーバーパー債券の取得を阻んできたリスク、及び債券の途中売却を阻んできたリスクは抑
制され、利回り重視の運用及び債券入替戦略の運用が可能になる。
国東市財務活動管理方針 第Ⅱ資金調達及び資金運用の考え方
4 債券の運用指針(2)償却の方法
①
経過利息の償却方法 ア既発債券の購入日が利払日の前であった場合等には、売り手の保有日数に応じて
経過利息を支払うが、当該債券の最初の受取利息の中から経過利息相当額を予算を通さずに直接基金に入
れることにより、経過利息の償却を行う。
イ 企業会計においては、償却原価法(※註13)により、経過利息の償却を行う。
※註13 償却原価法とは、取得原価と債権価格に差額があり金利調整の性格がある場合利
息勘定等使用して償還期までに毎期一定の方法で取得原価に加減する方法。
② オーバーパー(額面超過額)債券の額面超過額の償却方法
ア 額面超過額は、満期までに受取利息で償却を行う。
イ 債券入れ替えの場合は、受取利息のみで額面超過額に達しなければ、売却益を使用して、額面超過額の
償却を行うことができる。
ウ 企業会計においては、償却原価法により、簿価と額面の一致を図る。
③ 売却損失の処理方法
ア 売却損失は、一括運用する基金の運用収益を使用して償却を行うことができる。
イ 企業会計においては、通常は売却益と損益通算して事業外損益で処理する
35
オ 全体的な視点への転換
・目的(収益性)の観点による債券損失の費用への転化
・債券の所有期間利回りでの収益性評価
☆債券損失を恐れることが、長期債券運用の最大の阻害要因(リスク)であった
が、利回りの高い債券に入れ替えるための売却損は費用であり、所有期間を通算
した利回りで評価することにより、リスクは抑制される。
5)債券の収益性の評価基準
債券の効率的な運用実現のためには、予算単年度主義による短期的な
損益の成果追求ではなく、経営的な視点による、複数年度を通算した損益に
よる収益性の評価が必要である。
債券を満期保有した場合も債券を売却した場合も、収益性の評価はともに、
単年度損益でなく、所有期間を通じた利回り(※註14)の多寡によるものとす
るが、債券入れ替えを行う場合は、新たに取得する債券の所有期間利回りを
含めて収益性の評価を行う。
なお、債券売却の場合は、満期までの償還期間短縮に伴う含み益増加
(ロ―ルダウン)効果による売却益及び債券残存期間に対応する債券の市場
利回りと債券表面利率の調整としての売却益又は売却損が想定される。
※註14 所有期間利回り(%)={年間利息+(売却価格-購入価格)÷
所有期間}÷購入価格
36
ア
4ー(1)⑥長期・超長期の運用戦略
長期・超長期国債等の保有割合を高める
[金利比較]
国東市1年預金0.06~0.12%
国債(5年0.16% 10年0.55%、20年1.43%)H26.7/1~7/16平均
イ 債券収益は利息と資産収入(売却、債券入れ替え等)で稼ぐ
・利息
・ロールダウン効果等による途中売却
・市場利回り変動による評価損益発生のリスク
国東市財務活動管理方針第Ⅱ 資金調達及び資金運用の考え方
3金融商品保管の原則
(1) (2)預金の解約又は債券売却は、次の場合に行うものとする。
①資金の安全性を確保するために必要な場合
②流動性を確保するために必要な場合
③収益性向上のために、金融商品の入れ替えを行う場合
(5)債券の収益性の評価基準
4 債券の運用指針
なお、債券売却の場合は、満期までの償還期間短縮に伴う含み益増加(ロ
―ルダウン)効果による売却益及び債券残存期間に対応する債券の市場
利回りと債券表面利率の調整としての売却益又は売却損が想定される。
37
ローリング・イールド効果(20年)と途中売却シミュレーション
【国債イールドカーブ(2014/7/18)と20年国債クーポン1.5%(仮)の価格変化の関係】
(円)
(%)
112.00
1.800
110.00
109.07 109.03 108.83
108.78 108.95
108.37
1.600
108.34
107.71
108.00
1.408
0.976
105.54
0.544
0.464
101.46
利
1.000 回
り
103.87
0.702
0.623
1.200
104.98
0.792
102.87
102.00
1.150
1.065
105.95
0.884
104.26
0.800
102.72
単価(円)
101.44
利回り(%)
0.370
100.00
0.044
0.061
0.078
1
2
3
0.153
0.110
0.200
0.200
98.00
0
0
利回り(%)
4
0.600
0.400
0.281
100.00
残存年数(年)
1.400
1.237
106.86
106.68
債 106.00
券
価
格
104.00
1.321
107.67
5
6
7
8
9
10
11
12
13
14
15
16
17
18
0.000
20 (年)
19
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
12
13
14
15
16
17
18
19
20
0.044
0.061
0.078
0.110
0.153
0.200
0.281
0.370
0.464
0.544
0.623
0.702
0.792
0.884
0.976
1.065
1.150
1.237
1.321
1.408
101.44
単価(円)
100.00
101.46 102.87 104.26 105.54 106.68 107.71 108.37 108.78 108.95 109.07 109.03 108.83 108.34 107.67 106.86 105.95 104.98 103.87 102.72
途中売却時
所有期間利回り(%)
1.408
1.480
1.557
1.642
1.731
1.823
1.920
2.004
2.082
2.152
2.231
2.310
2.389
2.450
2.502
2.547
2.590
2.642
2.676
2.741
残存19年(1年間保有)で売却した場合の所有期間利回り
{1.5円+(102.72円-101.44円)÷1年}÷101.44円×100=2.741%
年間利息
売却価格
購入価格
売却益
大分県国東市
所有期間
購入価格
(出所)野村證券金融公共公益法人部
のデータにより作成
ローリング・イールド効果(20年)と途中売却シミュレーション(0.3%金利上昇)
【国債イールドカーブ(2014/7/18)に対して全年限で0.3%金利が上昇した場合の20年国債クーポン1.5%(仮)(購入価格101.44円)の価
格変化シミュレーション】
(円)
(%)
1.708
108.00
105.12
106.00
105.83
106.18 106.30 106.20 106.05
105.76
1.621
105.33
104.29
1.184
1.365
100.00
0.764
0.844
0.923
1.400
1.276
102.82
101.77
1.092
101.15
102.00
1.002
1.200
100.68
96.00
0.344
0.361
0.378
0.453
0.410
0.500
1.000
利
回
0.800 り
99.48
98.24
0.670
98.00
1.600
1.450
104.64
103.79
102.26
債
券
100.00
価
格
1.537
103.33
104.00
1.800
0.581
96.90
94.00
0.600
単価(円)
0.400
利回り(%)
0.200
92.00
0.000
0
残存年数(年)
1
0
利回り(%)
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
12
13
14
15
16
17
18
19
20 (年)
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
12
13
14
15
16
17
18
19
20
0.344
0.361
0.378
0.410
0.453
0.500
0.581
0.670
0.764
0.844
0.923
1.002
1.092
1.184
1.276
1.365
1.450
1.537
1.621
1.708
96.90
単価(円)
100.00
101.15
102.26
103.33
104.29
105.12
105.83
106.18
106.30
106.20
106.05
105.76
105.33
104.64
103.79
102.82
101.77
100.68
99.48
98.24
途中売却時
所有期間利回り(%)
1.408
1.464
1.524
1.588
1.654
1.721
1.788
1.838
1.878
1.905
1.933
1.952
1.958
1.929
1.865
1.751
1.560
1.229
0.513
-1.676
【参考】 残存10年(10年間保有)で売却した場合の債券単価
(100円+1.5×10年)÷(100円+0.844×10年)×100=106.05円
表面利率(クーポン)
大分県国東市
残存年数
利回り
残存年数
(出所)野村證券金融公共公益法人部
のデータにより作成
ウ 国東市「歳計現金」の運用戦略
☆運用戦略
約12億円(=H25年月末歳計現金平均残高の1/2)を超長期債券運用
H25シュミレーション このための資金不足発生7日間、平均2億円
☆平成22/1~25/12月末歳計現金平均残高約30億円
平成25年度月末歳計現金平均残高 約24億5千万円
平成25年度一時借入(売り現先)31日間 平均約4.2億円
譲渡性預金等による運用を行わなかった場合:資金不足0日間
☆預託融資制度のある団体の長期運用は、債券運用とそれを使った売り現先取引
により可能になると考える。
☆預金運用金利はH2頃を境に10年国債金利よりも低くなったようである。
☆地方自治法施行令168条の6(歳計現金の保管)
会計管理者は、歳計現金を指定金融機関その他の確実な金融機関への預金そ
の他の最も確実かつ有利な方法によって保管しなければならない
☆昭和38年12月19日自治省行政課長通知
「最も確実かつ有利な方法」とは、通常は金融機関に預金して安全に保管すること
であり、かつ、支払準備金に支障のないかぎり適時適正に預金による運用の利益を
図ることであり、これを基本的な原則とする意味である。
40
歳計現金の構成
歳計現金の構成
満期までの年限
列1
平成26年6月末現在
種別
金額(億円)
預金等
26.64
債券
(9銘柄)
12.68
合計
39.32
内容
11%
国債・
地方債・
機構債
21%
68%
10年超15
年以内
15年超20
年以内
預金等
41
歳計現金の構成(26年6月末現在)
種別
金額(円)
預入日
満期日
利率%
額面(円)
利回り%
決済性預金
463,047,814
譲渡性預金
1,200,000,000
H26.6.25
H26.7.9
0.08
譲渡性預金
1,000,000,000
H26.6.18
H26.7.2
0.08
98回国債(20年)
231,956,657
H26.6.24
H39.9.20
2.1
200,000,000
0.810
5回兵庫県債15年
207,520,000
H26.4.30
H40.5.26
1.31
200,000,000
1.005
9回地公機構債
110,207,736
H26.5.9
H42.7.26
1.602
100,000,000
1.192
神奈川県22回20年
106,562,000
H26.5.14
H44.12.20
1.802
100,000,000
1.360
福岡県債20年
104,192,835
H26.3.25
H45.8.12
1.787
100,000,000
1.520
32回地公機構債20年
101,988,567
H26.5.15
H45.10.28
1.624
100,000,000
1.506
兵庫県債20年
99,876,534
H26.5.16
H46.5.9
1.540
100,000,000
福岡県債20年
100,000,000
H26.5.26
H46.5.26
1.542
100,000,000
169回地公機構債
205,950,000
H26.3.28
H46.5.26
1.753
200,000,000
現金他
歳計現金合計
1.559
1,000,000
3,932,302,143
42
5ー(1) 債券購入(売却)の市長決裁事例 歳計現金
歳計現金、歳計外現金による長期・超長期債券の購入について
1購入債券
国債、地方債、地方自治体金融機構債、政府保証債、財投機関債の内、安全(※註1)か
つ利回りが高いと認められる債券
※註1 国債、地方債、政府保証債以外は、投資格付AA以上の債券
2 購入金額及び時期
購入金額
16~20年公共債券10億円、10~15年公共債券2億円
購入時期
本年6月までの間に購入
3 購入金額の算定根拠
過去1年間の月末平均残高24.5億円の半額
4 資金繰りに対する影響
平成25年4月から債券12億円運用したと仮定して、一時借入期間(32日間)の支払資金
過不足を検証したところ、7日間(4/1~2,3/24~27,3/31,4/1)で平均2億2百万円資金不足
が発生する。
5)流動性ひっ迫時の対応
①国債等売り現先による調達 10億円3ヶ月借入(金利0.1%)の利息25万円。
※政策金利(1月) H18,H20/12~現在=0.1% H19~H20/1=0.5% H20/10,11=0.3%
②債券一部売却 売却損の償却[財務活動管理方針第二4(2)]
4改正の効果
年間収益見込14百万円 ※H25決算 179万円
43
5ー(2) 債券購入(売却)の市長決裁事例 一括運用基金 H26.2~H27.3
戦
略
目的及び解説
A
資産
構成
(ポー
ト・
フォリ
オ)
<目標>
預金、中期公共債の割合=1/3(37億円)
長期10年公共債=1/3(37億円)
15年から20年超長期公共債=1/3(37億円)
<H26.1.30現在の構成と今後の活動>
市場環境を注視し、段階的に入れ替え
[保有目的]
・預金、中期公共債
流動性確保=いつでも換金可能(※低利0.08~
0.2%)
・長期10年前後公共債
収益性と流動性のバランス(※金利=0.7~0.8%)
・超長期債 収益確保 (15年国債金利1.0%、20
年国債金利1.5~1.6%)
B
債券
購入
(売
却)の
基本
的な
考え
方
①「資産構成」の適切な配分により流動性と収益性の両面の実
現を図る。
②・<時間の経過>を活用した債券の入れ替え
債券の満期までの期間短縮によるロールダウン効果(=含み益増
加)がある
③<市場動向>を活用した債券の入れ替え
保有債券クーポン(利率)と比較して市場金利が低下した場合、両
者の金利差の調整として生ずる債券価格上昇効果(=含み益増
加)がある
④より利回りの高い債券との入替
売却損があっても、所有期間利回りの増があれば良い
①利息と資産入れ替えの統一的な運用が収益向
上をもたらす。
②適切な水準
おおむね単年度利息収入の2.5倍~5倍程度がこ
れまで行ってきた水準。
ただし、市場利回りが上昇基調にあるときは価格
下落が見込まれるため売却益2倍未満での売却
で将来の再取得に備え、利回り下降基調にある
ときは価格上昇が見込まれるので売却益2倍以
上でも売却を控えて将来の売却機会を探る等の
柔軟性が必要。
C
市場
環境
①平成27年10月消費税10%上げまでは、金利抑
制政策②消費税上昇の影響で景気後退⇒金利
低下⇒金融緩和発動⇒金利低下③新興国の通
②短期的には、様々なかく乱要因により、金利の急上昇、急下降。 貨不安、中国のバブルリスク顕在化等⇒世界景
気後退⇒米日等の金利低下 ④米国の金融緩和
縮小⇒景気良し悪し⇒金利上昇又は下落
①少なくともH27/10まで低金利基調トレンド
44