2.不当要求等の対応マニュアル

2.不当要求等の対応マニュアル
(1)目的
面談や文書などを求め、長時間にわたり執拗に自己の要求を繰り返す行動(以下「不
当要求」という)
、或いは職員(医師、看護師、技師、事務員)及び他の患者に対し
て、暴力行為(猥褻行為を含む)
、迷惑行為等の問題行動(以下「問題行動」
)を行
った患者、もしくはその関係者に対し、当該者のみでの対応は、診療などの業務に
支障が生じるだけでなく精神的な苦痛も伴う場合も多い。そこで、このような不当
要求・問題行動患者等に対しては、病院として組織的に対応する体制を整備する
必要がある。
これらの不当要求、問題行動患者等(以下「不当要求等」という)に対応する職員を
配置し事態に適切に対応できるよう次の対応要領を策定した。
(2)基本的な考え方
① 不当要求等があった場合、たとえ相手が患者やその家族であっても、その内容が診
療に関する場合、その行動が通常の診療の求める態度でなければ、それに応じる義
務はない。
② 不当要求等があり、それが医事紛争に発展する、あるいはその恐れがある時、その
現場に居合わせた初期対応者の不用意な言動が問題をさらにこじらせることもある
ので、初期対応者はより慎重に対処する必要がある。
③ 不当要求等があった場合は、冷静な判断を維持するのは難しいが、対応者の不用意
な言動が相手に追求の機会を与え、実現困難な事柄を約束させられたり、その不履
行を責められたりする
など、後で後悔する場合も見受けられる。従って、できるだけ気持ちに余裕を持ち、
考える時間が確保できるような環境の下で対処する必要がある。
④ 不当要求等があった場合は、
「診療記録」には、事実行為のみ記載し、詳細は別途報
告書に記載する。
(3)不当要求患者の対応
① 患者・家族等の不当な要求は拒否し、毅然とした態度を示す。執拗な場合は、医療
安全監視(以下「監視員」
)等に連絡し、退去を求める。夜間、休日の場合は、警備
員に連絡し、退去を求める。
② その場で返答することが困難な場合は、「上司に相談し、後日連絡します」等と答え
る。
③ 必ず複数人で対応する。職員が1人で対応している状況を他の職員が現認した場合
は、自らもそこに参加するか、別紙1「突発事案発生時の緊急連絡網」(以下「連絡
網」)に従ってその状況等を通報する。問題行動を繰り返す場合は、テープレコーダ
ーやビデオカメラ等を用いて、可能な限り客観的な証拠を保全しておくことも考慮す
る。
④ 総長、病院長との面談は、原則として拒否する。執拗に求められた場合は、
「検討の
上、後日返答する」と答える。
⑤ 診療妨害と判断される場合は、医療安全監視員室での対応、又は、後日の対応を提
案する。相手がそれを拒んだ場合は、速やかに監視員(夜間・休日は警備員)に連絡
し退去を求める
⑥ 公然わいせつ、ストーカー行為等がある場合、又は、事件の発生が懸念される場合
は、躊躇することな、110番通報 又は、大阪府和泉警察署(℡46-1234)
に連絡する。
⑦「後日返答する」等の対応した場合、医療審議会メンバー、担当者や監視員等で対応
策を協議する。
1)患者との話し合いの場所を設定する(必ず複数人で対応し、必要に応じて監視員の
同席を図る)
。
2)文書による回答は、医療審議委員会で協議のうえで作成する。
⑧
診療内容に関することは医師が検討し対応策を講ずる。場合により医療審議会に相
談する。
(4)問題行動患者の対応
安全で質の高い医療を行うためには、患者と医療機関との信頼関係が大切である。
そのため当院では、別紙「ご来院の皆様へ」で通告している事項に該当する行動を
行った患者等の対応は次の要領で行う。
① 診察中
1)診療医師は「このような状況下では正常な診察が出来ないため、当院の方針により
退去して頂きます」と患者に告知し、直ちに以下に連絡する。
医療安全対策室 (内線
2190)
医療安全監視員室(内線
2197)
医事課
2110)
(内線
院内巡回等で不在の場合は、以下に連絡する。
監視員
(PHS 7039)
夜間・休日の場合は以下に連絡する。
警備員室 (内線 2993)(PHS 7552)
但し、身に危険が及ぶ場合は、他の患者の安全を確保した上で、告知せず、直ち
に他のスタッフとともに、その場を離れ安全な場所において問題行動者の動向を監視
する。または、上記のいずれかに連絡する。
2) 連絡を受けた医療安全監視員
直ちに駆けつけ「当院の方針に従う意志がない人は市民といえども退去して頂きま
す」と告知し、当該患者を院外へ退去させる。退去させることが困難な場合や暴力
等の恐れがある場合は警察へ通報する。
3) 暴力行為、器物損壊行為が発生した場合は、直ちに警察に通報する。
4) その後、当事者は事件発生の経緯を上司に報告し、必要なら関連科と協議を行い、
次回の医療安全管理委員会までの暫定的な方針を決定し、事務局及び監視員等に具
体的な対応策を指示する。必要があれば臨時の医療安全管理委員会、又は、重要度
に応じて医療審議会を開催し対応策を検討する。
5) 当事者は、インシデント、アクシデント報告書を作成し医療安全管理委員会に提出
する。それを受けた医療安全管理委員会は病院としての方針を決定する。
(5)問題行動常習者の対応
① 問題行動常習者が来院した場合には、事務担当者と監視員(夜間・休日は、警備員)
が「当院の方針に従うとの確約」を求め、その結果をもとに診療科もしくは担当医
師に連絡し、診療を行うかどうか指示を受ける。診療を行う場合は、監視員(夜間・
休日は、警備員)が当該診療室付近で診療状況を監視する。
② 対応の基本は、あくまで「医療は医療機関、あるいは医療担当者と患者との信頼関
係で成り立つものであり、当院のルールを守らなければ診察が出来ない」との姿勢
が大切である。
③ 初診患者であっても、態度や言動により正常な診療の妨げになる恐れのある場合、
事務担当者が「当院の方針に従う」との確約を求める。
(6)各部での対応
① 初期対応
診療業務等に支障があると判断した時は、医療安全対策室又は、医療安全監視員室
等での対応を基本とする。
1)当該患者等を前記別室等に案内する場合は、必要により監視員の同席を考慮する。
2)当該患者が別室での対応を拒否した場合は、対応を打ち切り院外への退去を求める
等の強い態度で対応することも考慮する。
3)退去を求める場合は、数回、相手に退去命令を発する警告を行う。医療安全監視員
又は、警備員等の立会いのうえで行う。
② 中・長期対応
1)対応が中・長期にわたる場合は、関係部門、各委員会で対応策を協議し決定する。
2)病院の決定に基づき、事務局及び医療安全監視員が対応するが、必要により初期対
応者の同席を求める。
3)文書による回答や詫び状は、原則として行わない。