ヨーネ病の清浄化のために

ヨーネ病の清浄化のために
公益社団法人山形県畜産協会
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ヨーネ病とは
ヨーネ菌という細菌の感染が原因で起きる下痢を主な症状とする慢性の病気です 。
ヨーネ菌は、牛の他に水牛、鹿、めん羊、山羊、アルパカにも感染します 多くの場
合、ヨーネ菌に汚染された糞便や初乳などを子牛が口から取り入れることにより感
染します。特に出生直後の子牛が、母牛などの親牛から感染します。感染した牛は
1年から数年間は一見元気に見えますが、この間にも菌をまき散らし続けます。や
がて下痢を繰り返すようになり(1日分の下痢便には約200億個ものヨーネ菌が
含まれています)、その後はみるみる痩せていき、最後には死亡してしまいます。
乳牛では、下痢の発症と前後して乳量が激減します。残念ながら、治療法はありま
せん。法定伝染病の患畜として殺処分の対象になります。
感染牛
無症状のまま菌を出す
同居子牛感染
糞便には大量のヨーネ菌
子牛感染
発病牛 1∼数年後に発病、繰り返す下痢、
下痢便 大量のヨーネ菌を含みます
小腸の粘膜はワラジ状に肥厚
ヨーネ病の発生状況
日本国内の発生農場数の推移は下のグラフの通りです。
摘発の強化により発生農場数はピーク時より減少していますが、相変わらず多数の
発生が続いています。
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0"
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ヨーネ病の発病牛、水のよ
うな下痢が続く。牛は消耗し
て痩せ細る
発生農場の清浄化を迅速に行うために、平成25年度より、遺伝子診断法(リアル
タイムPCR法)が導入され、診断の感度と迅速性が確保されました。
ヨーネ病を農場に入れないために
この病気は感染した牛が移動することで広がる場合が多いため、農場への繁殖
牛・乳牛の導入に当たっては、出荷農場が陰性農場(カテゴリーⅠ)の証明を受け
ていることを確認してください。
「カテゴリーIの農場」とは、清浄確認
が行われており、一定の基準に より予
防対策が講じられ、かつ規定のサーベイ
ランスで陰性が確認された農場。
「カテゴリーIIの農場」とは、本病の発
生があり、規定する措置又は基準の対策
を講じている農場
また、そのような農場の牛であってもヨーネ病に感染している可能性はゼロではあ
りません。このため、牛を導入した時には隔離を行い、必ず検査をして陰性である
ことを確認してから牛群にいれるようにしましょう。カテゴリーI及びII以外の農場
から牛を導入する場合は、証 明書により陰性を確認するよう努めましょう。陰性の
確認されていない個 体については、導入農場において、抗体検査、ヨーニン検査又
は抗原検 査により、陰性を確認するよう努めましょう。
表1 主に実施されている検査
区分
検査材料
判定等(場合により他の方法も実施)
スクリーン検査
血液
陽性の場合はリアルタイムPCR法実施
リアルタイムPCR法
糞便
陽性のものは患畜
細菌検査
糞便
発病牛の便を直接顕微鏡で検査、ヨーネ菌確認
は患畜
ヨーネ病が発生したらどうしたら良いか
ヨーネ病に感染していることが分かった牛は、法律(家畜伝染病予防法)に従っ
て、家畜保健衛生所の指導のもとに直ちに他の牛から隔離し、殺処分しなければな
りません。また、ヨーネ病の牛が隔離されていた牛舎はヨーネ菌に汚染しているた
め、徹底した消毒が必要です。さらに同居している牛についてもヨーネ菌に感染し
ている可能性がありますので、これらの牛を対象として血液と糞便の検査を繰り返
し行う必要があります。ヨーネ病のまん延を早期に防ぎ、できるだけ被害を最小限
にするためには、飼養の状況などからヨーネ病に感染した可能性が高いと考えられ
る牛( 発病牛の子牛、発病牛の下痢便の飛沫に暴露した同居の子牛など)を自主的
に淘汰することも必要です。
高圧洗浄機による洗浄
写真は本文とは関係ありません
石灰乳塗布による消毒が有効
ドロマイト石灰の使用例
ヨーネ菌に有効な消毒薬
畜舎 消石灰、ドロマイト石灰の散布・塗布
踏込み消毒槽 塩素剤(スミクロール、クレンテなど)
クレゾール剤(タナベゾール、トライキルなど * 畜舎専用長靴を必ず設置しましょう
感染牛の処分手当金や自主淘汰の助成
家畜伝染病予防法に基づき殺処分されたヨーネ病の患畜の所有者は、国から手当
金の交付を受けることが出来ます。ヨーネ病の患畜の場合は評価額の5分の4とな
っています。(上限額あり)
また、迅速な清浄化を目的に、感染リスクの高い同居牛などを対象に自主的な淘
汰を行った場合には、評価額の3分の2の助成される制度もあります。(家畜生産
農場清浄化支援対策事業)
公益社団法人山形県畜産協会
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