果実を用いた有用タンパク質の大量生産

果実を用いた
有用タンパク質の大量生産
氏名 山形 裕士
所属 農学研究科 生命機能科学専攻
1.研究の概要とキーワード
メロンのククミシン(プロテアーゼ)は果実の主要タンパク質で果汁中に大量蓄積します。
そのククミシンを材料として植物遺伝子の果実特異的発現機構の解明と、その機構を利用
して果実に異種有用タンパク質を大量発現する形質転換植物の作出を目指しています。既
に、果実特異的発現を調節するプロモーター中のエンハンサー配列とそれに結合する核タ
ンパク質を単離して解析しました。また、ククミシンプロモーターを用いたトマトの形質転換
系を確立し、レポータータンパク質を果実特異的に蓄積させることに成功しました。現在、イ
ンターフェロンをトマト果実に蓄積させる実験を進行中です。
2.他の研究との相違点・新規な点
植物に異種有用タンパク質を生産させ、抽出、精製して利用する方法は、高付加価値作
物を作出する第二世代の遺伝子組換え植物とともに重要な技術となると考えられます。果
実は体積が大きく、生産物の抽出と精製が容易なため、有用タンパク質の大量生産に適し
ています。
3.内容
図1.医薬品、有用酵素、経口ワクチンなどを蓄積するトマトの開発と利用
4.研究の適用分野
本研究は、植物の果実に産業上有用なタンパク質(医薬・酵素など)を生産させる「植物工
場」における新規のコンセプトであり、学術的な応用のみならず、医薬品製造・有用物質生
産に関わる産業への適用が可能である。
氏名 山形 裕士
所属 農学研究科 生命機能科学専攻
◇研究歴
・果実特異的遺伝子発現機構の解明
・果実に有用タンパク質を蓄積する形質転換トマトの開発
・植物の光シグナル伝達機構の解明
・植物におけるcGMPとNOによるフラボノイド合成系酵素遺伝子発現
調節機構の解明
・植物における三量体Gタンパク質の機能解析
・植物セリンプロテアーゼの構造と機能解析
・イネ種子α−アミラーゼ/ズブチリシン二機能性酵素インヒビターの構造と機能解析
・イネ貯蔵タンパク質の生合成、蓄積機構の解明
◇専門分野
・生物化学
・植物分子生物学
◇代表的な研究論文
・Bowler, C., Neuhaus, G., Yamagata, H.., and Chua, N.-H. (1994)
Cyclic GMP and calcium mediate phytochrome phototransduction. Cell, 77, 73-81.
・Yamagata, H.., Saka, K., T. Tanaka and Aizono, Y. (2001)
Light activates a 46-kDa MAP kinase-like protein kinase in soybean cell culture.
FEBS Lett., 494, 24-29.
・Yamagata, H., Yonesu, K., Hirata, A. and Aizono, Y. (2002)
TGTCACA motif is a novel cis-regulatory enhancer element involved in fruit-specific
expression of the cucumisin gene. J. Biol. Chem., 277 (13), 11582-11590
◇発明名称と特許出願番号
・植物果実特異的発現を制御するDNA配列(特開2001-346580)
・ DNA sequence regulating plant fruit-specific expression (US 7,202,355)
◇興味のある共同研究分野
本当に役に立つ次世代有用遺伝子組換え作物の作出
1. 果実を用いた有用タンパク質の大量生産
2. 経口ワクチンを蓄積する果実の作出
3. 細胞内情報伝達機構の改変による高イソフラボン含有ダイズの開発
連絡先:神戸大学 連携創造本部 TEL:078-803-5945 FAX:078-803-5947
E-mail:[email protected] URL:http://www.innov.kobe-u.ac.jp/