2015/7/13 第一薬科大学 3年生 問1 分子生物学 生命薬学講座 分子生物学分野 担当:荒牧弘範 (H27.7.13) 問1 問2 問2 問3 1 2015/7/13 問3 問4 問4 問5 問5 問6 2 2015/7/13 問6 問7 問7 問8 問8 E 翻訳 SBO:RNAからタンパク質への翻訳の過程について説明 できる。 3 2015/7/13 ポイント ` ` ` ` タンパク質合成は、遺伝情報をヌクレオチド中の塩基配 列から、タンパク質中のアミノ酸配列に読み換えるので、 翻訳といわれる。 mRNAの連続する3塩基をコドンという。 mRNAの翻訳の際、最初に現れるAUGはタンパク質合 成の開始を指定する(開始コドン)。 コドンUAA、 UAG、 UGAの3つに対応するアミノ酸はなく 、タンパク質合成の終了を指定する(終止コドン)。 ①遺伝暗号(遺伝コード) ` mRNAの連続する3塩基をコドンという。コドンはそれぞ れ1つのアミノ酸に対応する(表3.6)。 ポイント ` ` ①遺伝暗号(遺伝コード) ` ` ` ` ①遺伝暗号(遺伝コード) ` ` ` 表3.6からわかるように、 同一のアミノ酸に対して 複数の異なったコドンが 対応する場合が多い。 とくに1番目の塩基と2番 目の塩基が同じ場合、3 番目の塩基が異なっても 対応するアミノ酸が同じこ とが多い。 この現象をゆらぎ という。 翻訳はリボソームとmRNAの結合から始まる。一方で、 アミノ酸とtRNAが結合する。 リボソーム上で翻訳開始複合体を形成し、コドンに従っ て、ポリペプチド鎖の延長し、終止コドンによって、生合 成が終了する(鎖終結)。 遺伝暗号は生物に共通していることがわかった。 mRNAの翻訳の際、最初に現れるAUGはタンパク質合 成の開始を指定する(開始コドン) 。 AUGはメチオニン(原核生物はホルミルメチオニン)で、 この暗号が初めにあれば開始を、中途にあればメチオニ ンを指示する。 UAA、 UAG、 UGAの3つコドンに対応するアミノ酸はな く、タンパク質合成の終了を指定する(終止コドン) 。 ①遺伝暗号(遺伝コード) ` 3番目の塩基はピリミジン 塩基(UとC)どうし 、また はプリン塩基(AとG)どう しで置換されても同じアミ ノ酸が対応する場合が多 い。 4 2015/7/13 ①遺伝暗号(遺伝コード) ` ` ` tRNAの中には三番目の 塩基が正確でなくても対合 できるものもある(表3.7)。 tRNAのアンチコドンがイノ シンである場合、mRNAの シトシン、アデニン、ウラシ ルと塩基対を構成する。 このように複数の異なるコ ドンが一つのアミノ酸に対 応する現象を遺伝暗号の 縮重という。 コラム:遺伝暗号(コドン) ` ` ` コドンは三塩基で1組である。このことに初めて気づいた のはガモフであった。 ガモフ1つの塩基を重複して読むものと考えていた。 たとえば、CAAGGTは、 CAA, AAG, AGG, GGT と読む。 ②遺伝暗号の例外 ` ` コラム:遺伝暗号(コドン) ` ` ` ` ②遺伝暗号の例外 ` ` さらに、最近、ゾウリムシなどのmRNAでは、一般的な終 止コドンであるUAAおよびUAGが高頻度に存在すること から、これらは特定のアミノ酸に対応しているのではない かと考えられている。 これをはじめとして、遺伝暗号、とくに終止コドンに関して は、共通性が少ないという可能性を示すデータが蓄積さ れつつある。 遺伝暗号はすべての生物に普遍的なものと考えられてき たが、近年、いくつかの例外が明らかになってきている。 ミトコンドリアの遺伝暗号は、核の遺伝暗号と部分的に異 なることが知られている(表3.8)。 コドンの解読は1961年、ニーレンバーグにより初めてな された。 ニーレンバーグは人工合成したポリURNA(UUUUU…) を無細胞系で発現させるとフェニルアラニンのみからな るポリペプチドが得られることを明らかにし、コドンUUU がフェニルアラニンを指定すると推定した。 同様の方法で、ニーレンバーグは全64コドンのうち54コド ンの解読に成功した。 その後、コラナらにより残りのすべてのコドンが解読され 、その全貌が明らかになった。 ③コドン偏位 ` コドンはすべてが同じ頻度で使用されることなく、生物種によ って頻度が異なり、かなり偏りがみられる。 5 2015/7/13 ③コドン偏位 ` 一つのアミノ酸に対応する複数のコドンのうち、その中のどの コドンが最も多く使用されるか(ひいては、どのアンチコドンを もつtRNAが多く含まれるか)ということも、種によって大きく異 なる(表3.9)。 ④翻訳機構 a. リボソームとmRNAの結合 ` ` ` リボソームがSD配列に結合し、その下流にあるAUGから翻訳反 応を開始する。 ` この仮説は多くの科学者によって証明され、発見者 の名前から、mRNA側がシャイン・ダルガーノ(SD) 配列と呼ばれている。 たとえば、ヒトのタンパク質を大腸菌で発現させる場合、 ヒトの遺伝子の塩基配列をそのまま用いるよりも、大腸 菌で使用頻度の高い塩基配列を用いたほうがタンパク 質の発現効率がよいため、塩基配列を改変する必要が ある。 コラム: SD(シャイン・ダルガーノ)配列と は何か? 原核生物のmRNAの場合 コラム: SD(シャイン・ダルガーノ)配列 とは何か? ` ③コドン偏位 シャイン(J. Shine)とダルガーノ(L. Dalgarno)は、1974年、バクテ リオファージのmRNAが、開始コドンの上流にプリンに富んだ 共通の配列をもつことを発見した。 また、この配列が、リボソーム30Sサブユニットの成分である 16S rRNAの3’末端に相補的であることから、両者が塩基対を 形成して結合することにより、mRNAを鋳型としたタンパク質 の生合成が開始される、という仮説を提案した。 ④翻訳機構 a. リボソームとmRNAの結合 ` 真核生物の場合 リボソームがmRNAの5’キャップ構造を認識した後に下 流に移動し、開始AUGコドンから翻訳を開始する。 6 2015/7/13 b. アミノ酸とtRNAの結合 アミノ酸連結反応(ペプチド結合によるタンパク質合 成)に先立ち、1つのアミノ酸はそれと対応するtRNA とアミノアシルtRNA合成酵素により結合する。 ` b. アミノ酸とtRNAの結合 ` また、アミノアシルtRNA合成酵素は、アンチコドンを含め てtRNA全体の構造を認識して正確にアミノ酸を結合す るため、誤ったアミノ酸が結合されたtRNAを分解する機 構も備わっている。 c 開始複合体の形成 ① 細菌(原核生物)の場 合、まず三つの開始 因子(IF-1, IF-2 , IF-3) の小サブユニット(30S) への結合によって開 始される. b. アミノ酸とtRNAの結合 tRNAの3’末端側はCCAの3塩基が突出しており、末 端のAにアミノ酸が共有結合している(図3.25)。 ` c 開始複合体の形成 タンパク質合成は開始→伸長→終結の三段階で行なわ れる。 ` c 開始複合体の形成 ② mRNAと翻訳開始のメ チオニルtRNAから変 換されたホルミルメチ オニルtRNAがこの複 合体に加わる。 7 2015/7/13 d ポリペプチド鎖の伸長(図3.27) ③ 下流の開始コドンであ るAUGに出会うと、小 サブユニットに結合し ていた開始因子の一 部が遊離し、大サブユ ニットが結合してリボ ソームが完成し、メチ オニルtRNA は大サブ ユニットのぺプチジル 部位(P部位)に結合 する。 ①二番目のアミノ酸を結合したアミノアシルtRNAが延 長因子EF-Tuと共にGTPを利用してアミノアシルtRNA 部位(A部位)へ結合する。 d ポリペプチド鎖の伸長(図3.27) d ポリペプチド鎖の伸長(図3.27) ②リボソームのペプチジル転移酵素活性により、メチオニンがA 部位へ転移し、二番目のアミノ酸とペプチド結合を形成し、ぺ プチジルtRNAとなる(ペプチド転移)。 ②P部位のアミノ酸を放出したtRNAは脱出部位(E部位)に、ぺプ チジルtRNAはP部位に移動する(トランスロケーション)。この ように合成されるアミノ酸はアミノ末端からカルボキシル末端 へと結合される。 d ポリペプチド鎖の伸長(図3.27) f ③小サブユニットが三ヌクレオチド分移動し、E部位の tRNAがリボソームから離れ、次のサイクルに入る。 このサイクルをくり返すことで、アミノ酸が連結されて いく。 ①mRNA上の終止コドン(UAA,UAG,UGA)がA部位にく ると,tRNAが認識されず,3種の終結解離因子(RF-1, RF2, RF-3)がGTPを利用してA部位に入り,伸長が停止する. RF-3がGTPと結合し、RF-1(UAAとUAGを認識)およびRF-2 (UAAとUGAを認識)の働きを高める。 ②P部位で合成されたペプチド鎖が加水分解され,リボソ ームから遊離する. ③リボソームはmRNAとtRNAを遊離し,リサイクル因子が 大・小サブユニットに解離する. ポリペプチド鎖の合成終結 8 2015/7/13 問9 問9 問10 問10 問11 問11 →開始 ①P部位でコドン「AUG」(開始コドン)と (アンチコドン「UAC」の)メチオニル-tRNAMetが結合。 →伸長(②③を繰り返す) →終結 ④ 終止コドンがA部位にくると、P部位のtRNAがポリペプチドを切り離す。 9 2015/7/13 問12 問12 問13 問13 問14 問14 10
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