＃１５２７、２０１５年９月６日 今週の話題 コムキャストパニック 日本はもちろん、米国でもほとんど報道されていないのですが、８月２８日 から３１日にかけて米国各地でかなり深刻なネット障害が発生していたようです。 米国ネットワークビジネスでは、コムキャスト社とヴェライゾン社がしのぎを 削っています。両社は顧客の囲い込みを行うために、パッケージサービスを推し 進めています。この中には、テレビ、電話、携帯電話、インターネット、WiFi などが含まれます。これらを一括して契約すると、かなり割安になるという仕組 みです。以前、私の自宅では両社と個別に契約していたのですが、ある時両社を 比較して、ヴェライゾン社にまとめることにいたしました。後で分かったことで すが、隣人はコムキャストにまとめていました。 その隣人がある日突然やってきて言うには、コムキャストのサービスが全て止 まってしまい、難渋しているというのです。ところが、私の家では、テレビもう つっているし、ネットへの接続も問題ありません。隣人はかなりパニックになっ ています。なにしろ、障害の状況を知ろうとしても、通信の手段がありません。 拙宅のテレビでみても、ネット障害のニュースは全くありません。会社に苦情を 言おうにも、問い合わせ先がわからない上に手段もありません。そこで、隣人の コンピュータを拙宅の WiFi への接続を認めて、ネットで調べることを勧めまし た。結局協力してサーチを行ったのですが、次第に状況が分かってきました。 障害が起きていたのはコムキャスト社だけで、地域としては、ワシントン州、 サンフランシスコ近傍、コロラド州、イリノイ州、フロリダ州、マサチューセッ ツ州などで深刻な状況だったようです。その他の地域でも、大なり小なりの障害 が出ていたようです。ようやく苦情や問い合わせのための電話番号とＵＲＬが得 られましたが、使うすべがありません。拙宅の電話からかけてみましたが、問い 合わせが集中しているようで、ほとんど繋がりません。 隣人の場合、メールとネットへの接続は、拙宅の WiFi を介してできるように なりましたが、結局テレビや電話については諦めました。隣人の説明によると、 全ての障害は２日後に突然回復したとのことです。回復してから、コムキャスト 社からのお詫びや説明は全く無く、全貌は未だによくわかりません。第三者によ る断片的な状況報告出ているだけです。トラブルの原因についても、憶測が幾つ か出ているだけで、本当のところは、不明です。私は、テレビや新聞の報道に注 意していましたが、今回の障害に関するニュースは全く見つけられませんでした。 考えてみれば恐ろしいことです。ある日突然、全ての通信手段が広範囲で失わ れるのですから。私はコムキャストを使っていなかったので、なんの問題もあり ませんでしたが、たまたま運が良かっただけで、ヴェライゾンでも同じような障 - 1 - 害が起きる可能性はあるわけです。現在のような仕事をしていて、２日以上に渡 ってネットが繋がらない状況を考えるとゾッとします。大手企業やネット関連企 業は、もっと信頼性の高いサービスや、回路で契約をしているのでしょうが、中 小企業でもある程度のバックアップを考えておかなければならないのでしょう。 便利さにひかれて、新しいネットサービスをどんどん導入してしまいますが、今 回の事件はそのリスクとトータルのコストを考えておかなければならないことを 教えてくれました。 ＤＫＮリサーチ、沼倉研史（マネージング・ディレクター） 今週のヘッドライン ２０１５年９月６日 １.U.S. Air Force（米国空軍）８／１８ サブストレートに直接半導体デバイスを形成する技術として、３Ｄ印刷によ るフレキシブルなハイブリッドエレクトロニクスに注目。 ２.DIGITIMES（台湾の業界メディア）８／１８ Chinpoon、Tripod などの大手プリント基板メーカーは、利益確保のために、 自動車用エレクトロニクス市場に軸足を移す動き。 ３.Oregon State University（米国）８／１９ 次世代のＬＥＤ光源の製造技術として、quantum dots プロセスの実用化に注 力。有害物質が少ない単純な工程で、低価格を実現。 ４.HTC（台湾のエレクトロニクス企業大手）８／１９ 全社的な合理化の第二弾として、全従業員の１５％を削減へ。上海の工場は 売却の計画。 ５.Gartner（米国の市場調査会社）８／２０ ２０１５年第２四半期における中国のスマートフォンの販売は、前年同期比 で４％の減少。減少は過去初めて。世界市場では１３．５％の増加。 ６.IPC（米国のプリント基板の業界団体）８／２０ 硬質プリント基板と多層プリント基板用材料の新しい規格、IPC-4101D-WAM1 をリリース。 ７.Grand View Research（米国の市場調査会社）８／２０ ２０２２年におけるエレクトロニクス用接着剤の市場規模は７８億ドルに。 フラッシュドライブ、通信ドライブなどの用途が牽引。 ８.SEMI（米国の半導体製造装置の業界団体）８／２０ - 2 - 北米における、７月の半導体製造装置のＢ／Ｂレシオは、０．０４上昇して １．０２に。受注額の増加が目立つ。 ９.Microsoft（米国のソフトメーカー最大手）８／２１ 先に買収した Nokia 社のフィンランド Salo 事業所（携帯機器の新製品開発 を担当）を閉鎖へ。従業員２３００をレイオフに。 １０.IDTechEx（英国の市場調査会社）８／２１ 世界の導電性インク、ペーストの市場は、２０１５年の２２億ドルから、２ ０２５年には３０億ドルに成長と予測。 １１.MIT（米国の工科大学）８／２１ １０種の材料を扱える３Ｄプリンターのプロトタイプモデルを開発。１台で、 複数のプラスチック、金属材料を処理できる能力。 １２.Foxconn（台湾のＥＭＳメーカー最大手）８／２４ アップル社の新しい iPhone モデルの生産立ち上げに備えて、今年中に中国 で１０万人以上を新規雇用の計画。 １３.IDTechEx（英国の市場調査会社）８／２４ プラスチックベースのＯＬＥＤディスプレイの生産能力は、２０１５年の１ ５億ドルから、２０１６年には２９億ドルと倍増すると予測。 １４.LG Display（韓国のディスプレイメーカー大手）８／２４ 新たに第９世代のパネル工場を建設の計画。フレキシブルＯＬＥＤと高精細 の液晶パネルを生産できるハイブリッド能力。 １５.SK Hynix（韓国の半導体メーカー大手）８／２５ 約２６０億ドルを投資して、国内に世界最大規模の半導体デバイス工場（２ ヶ所）を建設の計画。 １６.IDTI（台湾のタッチパネル開発会社）８／２５ 世界のタッチパネルの市場は、スマートフォンやオールインワン(AIO)PC な どで成長が見込まれ、２０１８年には３１９億ドルに達すると予測。 １７.University of Manchester（英国）８／２５ グラフェンと同様に二次元構造を持つ新しい材料（１２種類以上）に注目。 超高周波デバイスや、軽量バッテリーの可能性。 １８.IDC（米国の市場調査会社）８／２６ - 3 - ２０１５年における世界のＰＣ出荷は、前年比８．７％減少の２億８１６０ 万台に。その後緩やかに増加に向い、２０１９年には２億８２１０万台に。 １９.ITRI（台湾工業技術院）８／２６ ディスプレイメーカー大手のＣＰＴと協力して、折り曲げ可能なＡＭＯＬＥ Ｄを実用化へ。 ２０.Persistence Market Research（英国の市場調査会社）８／２６ 自動車のコックピットに使われるエレクトロニクスデバイスの市場は、２０ １３年の３１１億ドルから、２０２０年には６１５億ドルに倍増すると予測。 ２１.IPC（米国の基板業界団体）８／３１ ７月における北米のプリント基板産業のＢ／Ｂレシオは１．０９にまで上昇。 前年同月比で、出荷額、受注額とも増加。 ２２.HTC（台湾のエレクトロニクス企業大手）８／３１ 全社的な合理化の一環として、全従業員の１５％を削減へ。桃園の本社関連 事業所で６００名をレイオフ。上海工場の稼働を延期。 ２３.ITRI（台湾の工業技術院）９／１ Heraeus 社と協力して、集積ＯＬＥＤ用に７インチのフレキシブルなタッチ パネルを実現。 ２４.TPCA（台湾の基板業界団体）９／２ ２０１５年における台湾のプリント基板メーカーの出荷額は、前年比１．４ ６％増の５７１３億台湾ドルに留まる見込み。 ２５.Spirit Circuit（英国の基板メーカー）９／４ ルーマニアの Industrial High Tech Park に新工場を建設へ。従業員２６０ 名程度の規模を計画。 （注）このヘッドライン・ニュース・レターは速報性を重視するために、若干の 誤訳や数字の変換に誤りがある場合もございます。ご了承下さい。 ＤＫＮリサーチ 栄泰産業株式会社 ＤＫＮリサーチのイベントスケジュール ＊ 日本英学史学会本部例会 ９月５日 拓殖大学 「宮城県米川村有美堂文書に見る、江戸時代蘭方医学書の変遷」 http://eigakushi.org/getsurei.html - 4 - ＊ 日本テクノセンターセミナー １１月３０日 「高機能高密度フレキシブル基板の設計と携帯用電子機器、ウエラブル機 器、医療機器への応用」 ＊ 洋学史研究会 １２月６日 青山学院大学 「仙台藩狼河原村有美堂文書に見る、蘭方医学と伝統医学の融合過程」 最近のＤＫＮリサーチの論文、出版物 下記ＵＲＬを開けてみてください。最近のものの一覧をみることができます。 コピーライトの問題がないものは全文を閲覧することもできます。 http://www.dknresearchllc.com/DKNRArchive/Newsletter/Newsletter.html http://www.dknresearchllc.com/DKNRArchive/Articles/Articles.html - 5 -
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