陳言コラム-11 中国雑談 中国に及ばない VW スキャンダル 中国は独・ フォルクスワーゲン(VW)社の世界最大で重要な販売市場である。同社は、 毎年中国市場で販売する自動車は 300 万台にのぼるが、そのほぼすべてがガソリン車であ り、ディーゼル車は数千台程度しかない。これは、現在排ガス・ スキャンダルに陥ってい る VW にとって、不幸中の幸いであろう。 中国はディーゼル車を導入しない理由 筆者もかつて農村で小型トラクターを使ったことがある。村には一台しかなく、他の村 民は触ることさえ許してもらえないなか、筆者はそれを運転した。ぷんぷん上がる黒い煙 は、自分の誇りと一緒に回りも見えるし、どんどん上がっていき、気持ちがよかった。 日本では大学の同僚に VW のディーゼル車を使う人がいた。話を聞くと、ディーゼル技 術はかなり進歩して、今はガソリンよりクリーンだという。私のような日本のガソリン車 を使う人は、とてもうらやましくその人を見る。いつか田舎にいた自分が思い出され、今 度は、立場がまったく逆になった。 中国に帰り、ここにはほとんどディーゼルの乗用車が見ないことに気にする。いままで、 VW の経営者は、中国でディーゼル車製造工場の建設許可を求めていたが、中国政府にず っと断られ続けてきたと聞く。 遅れているなと思いながら、原因を聞いたら、どうも中国政府はディーゼル車がもたら す環境汚染問題の深刻さに懸念を抱いているようだ。中国では重工業はすでに未処理の排 ガスを大量に排出してきたため、さらにそこに VW のディーゼル車が加わり、政府はます ます手を焼くのではないかと思われていたようだ。 結局、中国では、数の限られた VW デイーゼル車がヨーロッパから輸入され、わずかな 都市でタクシーとして使用されているに留まっている。 胸をなでおろした VW そのため、今度の VW スキャンダルは、中国とはほとんど無関係で、いま同本社は胸を なでおろしているだろう。もともと今年の中国では VW の販売量は約 7%減少すると予想 されており、中国にもスキャンダルの飛び火されたらどのぐらいの販売量激減になるか想 像するだけでもぞっとする。 ディーゼルの精製技術、エンジン技術は、かなり進歩したと筆者は今も信じる。ガソリ ンより発がん性のある超微細顆粒物(PM2.5)がより多く排出するとはあまり想像したく ない。日本や欧米ではディーゼル車があれほど普及されている状況を見て、それ以外のあ る国の政府だけ賢いとはまったく思わない。 しかし、中国ではディーゼル乗用車があまり売れない理由を考えると、ここの消費者は、 ディーゼル車に対してもともとあまり興味がなく、ディーゼルと言えば、思いだされるの は常に農業用機械だという現象とは無関係だろうか。 2000 年から 2008 年まで、VW は中国で自社のディーゼル車の宣伝をしていた。しかし、 その宣伝はあまり成功しなかったようだ。中国消費者の根強い農業用機械というイメージ を最後まで払拭できなかった。結局、VW 社も中国でガソリン車に集中せざるをえなかっ た。それを幸いにして、今回の危機は VW の中国販売にあまり影響を与えないと思われる。 陳言 日本語日刊紙『速読中国』編集長。 連絡先:[email protected]
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