【次世代育成支援レター】NO.53 平成27年6月 妻の出産直後に夫が休みを取りやすい社会にしようと、内閣府は啓発活動「さんきゅうパパプロジェクト」を 始めました。今回はこのプロジェクトをご紹介いたします。 さんきゅうパパプロジェクト 「さんきゅうパパプロジェクト」とは、改正育児介護休業法でパパだけに認められた産後8週間の育児休業を「パ パ産休」と名付け、この期間に育休を取得する男性(さんきゅうパパ)を増やすことで父親の育児参画を促し、 子育て家庭における夫婦の調和、親子の絆を確かなものとするものです。 シンボルマークも公表し、育児休業などで休みやすい職場環境づくりを促します。政府は今春に決めた少子化 社会対策大綱で、出産直後(2か月以内)に夫が休暇を取る(半日以上)割合を 2020 年までに80%にする目標 を盛り込んでいます。 「さんきゅうパパプロジェクト」のシンボルマーク また、企業・国・地方自治体等におけるワークライフバランスや次世代育成の取組みを推進することを目的と したNPO法人ファザーリング・ジャパンとも連携した社会変革プロジェクトです。その内容は次のとおりです。 【さんきゅうパパプロジェクトの3つのミッション】 ①産後8週間内の男性の育児休業取得率を上昇させる。 ②産休中のパパのネットワークを構築し孤立化させない。 ③個人・企業・社会に対し「パパ産休」を啓蒙し社会構造の変革を導く。 【改正育介法の「パパ産休」 】 2010 年6月にその大部分が施行されることになった改正育児介護休業法(以下「改正育介法」という)に は、男性の育児休業の取得促進が期待される様々な施策が盛り込まれていました。その1つが、父親が出産後 8週間以内に育児休業を取得した場合に、再度、育児休業を取得することできる「パパ産休」の創設です。 【なぜ産後8週間】 労働基準法の母性保護規定により、出産した女性は産後8週間は原則として働くことができません。これは 出産後の母親には産後ケアが重要で母体を守る必要があるからです。 しかし、日本の母親は産後8週間において職場勤務はないまでも、家庭内で育児と家事を強いられているの が現状です。また、母親だけの里帰り出産が常態化している日本において、母子里帰り中の父子の愛着形成が 阻害されるばかりか、その後の夫婦のパートナーシップにも深い影を落としています。 【日本男性の育児休業取得が増えない理由】 男性の育児休業取得率は、2008 年の統計で 1.23%と低迷しているものの、育児休業取得希望者は約3割に 達し、実際の取得率と希望者の割合の差は広がる一方です。このギャップの原因の1つとして、経済的ロスが 挙げられます。 同時に、男性の育児休業の取得促進には職場環境の改善が不可欠です。不景気のあおりを受けて、育休切り や職場流産といった職場での子育て環境の悪化が社会問題となっています。また、キャリアロスも男性の育児 休業取得を阻害する原因の1つとなっています。男女ともに育児をする者が企業において実質的に不当な扱い を受けるようでは、改正育介法違反となるだけでなく、出産や育児よりも仕事を優先せざるを得ない状況を放 置したままとなり、少子化に歯止めをかけることはできません。 【さんきゅうパパの具体的な活動内容】 「さんきゅうパパプロジェクト」では、主に以下の活動を実施します。 ①個人や企業・団体から寄付金や協賛金などを募り、それを産後4週間以上8週間以内で育児休業を取得する 父親に対し、経済的支援を行います。 ②産休中の父親同士の悩みや喜びを共有し、様々なサポーターの助言や応援を受けられる仕組みを構築するこ とで孤立化しがちな父親(母親)を支援します。 ③父親の育児休業の取得促進のために、“プレパパ・プレママ”やパパ・ママだけでなく、里帰りを受けるそ のご両親である“ジジ・ババ”世代に対しても啓蒙活動を行っていきます。 ④企業に対し、企業の社会的責任(CSR)の中でも「企業の子供への責任(CCR:Corporate Children Responsibility) 」を掲げ、改正育介法の理解と職場における子育て環境の改善を要望します。 ⑤男性の育休希望者・経験者の声、産後ママの声をはじめ、男性の育休取得者を多数輩出している企業や中小 企業での先進的な取り組みなどを調査し、社会に対して男性の育児休業を推進するための政策提言をします。 現在の育児介護休業法では、専業主婦家庭の夫を含め、すべての労働者が育児休業を取得できるようになっ ています。しかし、夫(父親)の育児休業取得はまだまだ少ない状況です。 「さんきゅうパパプロジェクト」がそ の改善の一助になることが望まれます。
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