秋田県立養護学校天王みどり学園 加賀谷 勝 1 決め付けは、子どもの成長の芽を摘む! ・多動傾向があり、言葉も少ない3歳の男の 子。今年度中にオムツをはずすのは難しい だろうと保育者は考えていた。しかし、タ イミングよく声をかけ続けた結果、一人で 排泄することに成功した。 ⇒うまくいった理由としては、友達 がトイレに行って上手におしっこ をしている様子を見て、まねする気持ちがも てたこと。言葉で自分の気持ちを伝えられる ようになったこと。そして、失敗しても大丈 夫だよという雰囲気があったことが考えられ る。決め付けをせず、目標を細分化し、小さ な成功体験の積み重ねが奇跡を起こす。 多動傾向の特性を活用しよう! ・活動中に離席を繰り返す4歳の男の子。こ れまではすぐ保育者が追いかけたり、「お部 屋を出てはダメ!」と注意したりしていた。 ⇒全ての飛び出しに声を掛けると追いかけっこ に発展するので、戻ってきたらほめることを 繰り返す。偶然でもいいのでほめる。 「ダメ!」 ではなく、「イスに座ろう」など保育者の期待 を言葉にする。立ち寄る場所が決まっている ので、 「今はお部屋だよ」と園内で 同じ指導を行った。多動傾向の特 性を活用して、先生のお部屋に何 を持って行くなど、宅配便係をお 願いして気分転換を図った。 3 4 話し方よりも伝えたい気持ちを大切に! ・発音が不明瞭である,早口なので何を言っ ているのか分からないなど、言葉に関する 質問を受けることが多い。 ⇒言葉の遅れの最低ラインとして、1歳半から 2歳まで発語がない、3歳までに2語文が話 せないことが一つの基準と考えている。 ⇒思わず話したくなる雰囲気づくりと子どもと の信頼関係を築く。 ⇒言葉を引き出すよりも、思わず出 てくるような構えを作ってあげれ ば、自然に出てくる。間違いを指摘せずに、 大人が正しい発音で話すことを心掛ける。 5 特別な教育的ニーズのある生徒をどこまで 許したらよいのか? ⇒ゲームは持ってこない等、守るべき校則はみ んなと同じように指導する。人を傷付けたら どうのなるのか、当たり前のことを、感情的 にならずに、淡々と伝えて徹底することがコ ツである。 ⇒生徒の話を最後まで聴く、生徒 の要望を聞く(言いなりになる ことではない)という、2つのきくが指導に 効く。 2 父親と母親の温度差を埋めるためには? ・母親は息子の学習の遅れや忘れ物の多さを 気にしていた。一方、父親は努力不足が原 因と考え、厳しく対応していた。 ⇒父親は楽観的で、母親は悲観的に子どもを捉 えるといわれている。心理検査の報告で「私 は検査結果を信用していない」と、父親はけ んか腰だった。しかし、客観的なデータを基 に説明することで、父親の表情に変化が見ら れた。「普段の学校での様子を教えてほしい」 と担任に質問し、検査結果と一致する様子を 聞いた父親は、初めて息子の実態を受け止め た。同時にこれまで一人で苦しみを抱えてい た母親の表情が少し明るくなった。保護者の 子ども理解を促すためには、学校での様子を 具体的に伝えるほか、第三者を活用しするこ とも有効である。 ⇒検査結果を伝える際、学校用と 保護者用の2種類の報告書を作 成しているが、自己理解を促す ために、今回は本人用の報告書も作成して、 担任から伝えてもらった。 ⇒対象児が6年生ということで、保護者と小学 校の了解を得て、進学先の中学校にも検査の 結果を伝え、支援体制の整備をお願いした。
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