No.50 - 天王みどり学園

秋田県立養護学校天王みどり学園
加賀谷
勝
1 決め付けは、子どもの成長の芽を摘む!
・多動傾向があり、言葉も少ない3歳の男の
子。今年度中にオムツをはずすのは難しい
だろうと保育者は考えていた。しかし、タ
イミングよく声をかけ続けた結果、一人で
排泄することに成功した。
⇒うまくいった理由としては、友達
がトイレに行って上手におしっこ
をしている様子を見て、まねする気持ちがも
てたこと。言葉で自分の気持ちを伝えられる
ようになったこと。そして、失敗しても大丈
夫だよという雰囲気があったことが考えられ
る。決め付けをせず、目標を細分化し、小さ
な成功体験の積み重ねが奇跡を起こす。
多動傾向の特性を活用しよう!
・活動中に離席を繰り返す4歳の男の子。こ
れまではすぐ保育者が追いかけたり、「お部
屋を出てはダメ!」と注意したりしていた。
⇒全ての飛び出しに声を掛けると追いかけっこ
に発展するので、戻ってきたらほめることを
繰り返す。偶然でもいいのでほめる。
「ダメ!」
ではなく、「イスに座ろう」など保育者の期待
を言葉にする。立ち寄る場所が決まっている
ので、
「今はお部屋だよ」と園内で
同じ指導を行った。多動傾向の特
性を活用して、先生のお部屋に何
を持って行くなど、宅配便係をお
願いして気分転換を図った。
3
4
話し方よりも伝えたい気持ちを大切に!
・発音が不明瞭である,早口なので何を言っ
ているのか分からないなど、言葉に関する
質問を受けることが多い。
⇒言葉の遅れの最低ラインとして、1歳半から
2歳まで発語がない、3歳までに2語文が話
せないことが一つの基準と考えている。
⇒思わず話したくなる雰囲気づくりと子どもと
の信頼関係を築く。
⇒言葉を引き出すよりも、思わず出
てくるような構えを作ってあげれ
ば、自然に出てくる。間違いを指摘せずに、
大人が正しい発音で話すことを心掛ける。
5
特別な教育的ニーズのある生徒をどこまで
許したらよいのか?
⇒ゲームは持ってこない等、守るべき校則はみ
んなと同じように指導する。人を傷付けたら
どうのなるのか、当たり前のことを、感情的
にならずに、淡々と伝えて徹底することがコ
ツである。
⇒生徒の話を最後まで聴く、生徒
の要望を聞く(言いなりになる
ことではない)という、2つのきくが指導に
効く。
2
父親と母親の温度差を埋めるためには?
・母親は息子の学習の遅れや忘れ物の多さを
気にしていた。一方、父親は努力不足が原
因と考え、厳しく対応していた。
⇒父親は楽観的で、母親は悲観的に子どもを捉
えるといわれている。心理検査の報告で「私
は検査結果を信用していない」と、父親はけ
んか腰だった。しかし、客観的なデータを基
に説明することで、父親の表情に変化が見ら
れた。「普段の学校での様子を教えてほしい」
と担任に質問し、検査結果と一致する様子を
聞いた父親は、初めて息子の実態を受け止め
た。同時にこれまで一人で苦しみを抱えてい
た母親の表情が少し明るくなった。保護者の
子ども理解を促すためには、学校での様子を
具体的に伝えるほか、第三者を活用しするこ
とも有効である。
⇒検査結果を伝える際、学校用と
保護者用の2種類の報告書を作
成しているが、自己理解を促す
ために、今回は本人用の報告書も作成して、
担任から伝えてもらった。
⇒対象児が6年生ということで、保護者と小学
校の了解を得て、進学先の中学校にも検査の
結果を伝え、支援体制の整備をお願いした。