第10回

2015/9/1
文献
苅谷剛彦著
『階層化日本と教育危機』
有信堂高文社
教育の問題(2)
学歴と社会階層
苅谷剛彦著
『大衆教育社会のゆくえ』
中央公論社
社会階層と教育
• 私たちの社会は学歴社会だと信じられている
• 社会階層と教育
• 努力・意欲の差
家柄でなく、
• 意欲格差の拡大
社会階層と教育
出身階層
社会階層と教育
学歴
社会的成功
こちらの影
響の方が
大きい
出身階層
学歴
社会的成功
1
2015/9/1
社会階層と教育
社会階層と教育
大学の入学難易度(偏差値)
70~
60~69
50~59
7.6
6.6
6.7
28.0
18.5
9.4
2.3
6.6
4.7
15.2
--
16.6
6.8
7.1
6.3
3.8
4.3
4.1
8.3
5.7
6.3
--
2.8
3.7
2.3
4.7
6.7
--
--
1.4
--
3.3
1.8
17.4
14.2
22.9
--
3.3
2.9
父親の職業
専門的職業
大企業の管理職以上
官公庁の管理職以上
中小企業の管理職以上
大企業のホワイトカラー
官公庁のホワイトカラー
中小企業のホワイトカラー
大企業のブルーカラー
中小企業のブルーカラー
官公庁のブルーカラー
農林漁業
自営業
そのほか
父親の職業と大学ランク: 1994年
父親の最終学歴
大学院
大学
短大・専門学校・高専
高校
中学
そのほか
無回答
大学の入学難易度(偏差値)
70~
60~69 50~59
5.3
3.3
1.8
61.4
38.9
26.2
1.6
2.4
3.2
23.5
37.9
47.2
3.8
11.4
13.7
--
--
0.8
3.8
5.7
6.5
父親の学歴と大学ランク: 1994年
苅谷(1995:98)より
社会階層と教育
苅谷(1995:98)より
社会階層と教育
大学の入学難易度(偏差値)
母親の最終学歴
大学院・大学
70~
60~69
50~59
31.9
10.9
5.1
短大・専門学校・高専
20.5
18.0
14.5
高校
43.2
56.4
59.7
中学
--
9.5
13.7
そのほか
--
--
0.2
4.5
5.2
6.7
無回答
出身階層
学歴
社会的成功
母親の学歴と大学ランク: 1994年
苅谷(1995:98)より
社会階層と教育
出身階層
学歴が高いと、
学歴
社会階層と教育
出身階層
学歴
学歴を介して、
社会的成功
社会的成功
2
2015/9/1
社会階層と教育
出身階層
間に学歴が入ることで、
出身階層の影響がみ
えにくくなる
学歴
社会階層と教育
出身階層
間に学歴が入ることで、
その結果、
出身階層の影響がみ
えにくくなる
社会的成功
社会階層と教育
高学歴
学歴
社会的成功
社会階層と教育
高学歴
なぜ、出身階層
が影響力をもつ
のか?
能力と努力の結果
+
出身階層の影響
能力と努力の結果
+
出身階層の影響
社会階層と教育
社会階層と教育
従来の説明
従来の説明
これらの加えて、
•教育投資量の差
•教育投資量の差
•文化資本の差
3
2015/9/1
努力・意欲の差
• 社会階層と教育
努力する人
• 努力・意欲の差
• 意欲格差の拡大
努力しない人
努力・意欲の差
努力・意欲の差
努力する人
この違いは、
努力する人
努力しない人
が、実際は環境の違いを
無視できない
努力・意欲の差
父職
専門・管理
事務
販売・サービス
自営業
マニュアル
農業
努力しない人
努力・意欲の差
平均(分)
92.4
67.5
61.0
56.1
50.8
79.1
高校生の学校外の学習時間(父職別): 1997年
苅谷(2001:154)より
父学歴
平均(分)
大学
96.5
短大・専門学校
75.7
高校
61.3
中学校
32.7
高校生の学校外の学習時間(父学歴別): 1997年
苅谷(2001:154)より
4
2015/9/1
努力・意欲の差
努力・意欲の差
母学歴
平均(分)
大学
106.3
短大・専門学校
85.4
高校
63.8
中学校
27.4
努力する人
階層的に恵まれている
人ほど、
努力しない人
高校生の学校外の学習時間(母学歴別): 1997年
苅谷(2001:154)より
努力・意欲の差
努力・意欲の差
階層が高い方が、
苅谷(2001:217)より
努力・意欲の差
苅谷(2001:217)より
努力・意欲の差
階層が高い方が、
苅谷(2001:217)より
苅谷(2001:217)より
5
2015/9/1
努力・意欲の差
努力・意欲の差
環境
努力する人
努力する人
環境
子どもは、自発的に高い
目標をもち、努力するよ
うになるわけではない
努力しない人
子どもは、
努力しない人
努力・意欲の差
苅谷(2001)の含意
• 社会階層と教育
努力するのは個人だが、努力することに意味
と動機付けを与えるのは
意欲格差の拡大
出身階層
学歴
この図式の何が
問題なのか?
• 努力・意欲の差
• 意欲格差の拡大
意欲格差の拡大
学歴がすべてではないし、
職業選択は多様であってよ
いはずだ
社会的成功
6
2015/9/1
意欲格差の拡大
意欲格差の拡大
であれば、結果に不平等
があってもよいはずだ
学歴がすべてではないし、
職業選択は多様であってよ
いはずだ
出身階層と社会的成功の相関は、この前提
の妥当性を脅かす
が、そのことで(収入などの)不平等が世代を超えて
継承されるならば、それは問題である
意欲格差の拡大
意欲格差の拡大
苅谷(2001)が指摘したもう一つの問題
苅谷(2001:212)より
意欲格差の拡大
意欲格差の拡大
中学生の総学習時間が減
少している
苅谷(2001:212)より
苅谷(2001:217)より
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2015/9/1
意欲格差の拡大
意欲格差の拡大
下位の方が増
え方が大きい
苅谷(2001:217)より
意欲格差の拡大
苅谷(2001:217)より
意欲格差の拡大
学習意欲が大切になれば
なるほど、
下位の方が増
え方が大きい
苅谷(2001:217)より
意欲格差の拡大
苅谷(2001:217)より
意欲格差の拡大
学習意欲が大切になれば
なるほど、階層格差が拡
学力低下と格差拡大が
がっていく
同時進行していた
苅谷(2001)は、格差社会論が盛んになる
ひとつの契機になり、
苅谷(2001:217)より
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