第25回医研シンポジウム2015 「医師主導の臨床治験・臨床研究の問題と体制整備の在り方」 (2015年9 月16日@全社協・灘尾ホール) 製薬企業からの 医師主導臨床研究への期待 -革新的な治療薬創製のためにー 日本製薬工業協会 医薬品評価委員会 委員長 稲垣 治 本日のお話の内容 1. 製薬協について 2. 企業が医薬品開発を考える際の検討点 – 難病/希少疾患治療薬開発の難しさ – 難病/希少疾患治療薬開発を進めるには 3. 画期的新薬創製で期待される各セクター の役割 – 患者さんからの情報活用 4. 研究者主導臨床研究・研究者主導治験 の活用 2 日本製薬工業協会(製薬協/JPMA)とは • 研究開発指向型の製薬企業72社(2015年7月1日現在)が 加盟する任意団体 • 1968年に設立 • モットー :患者参加型医療の実現 • 製薬産業に共通する諸問題の解決や医薬品に 対する 社会的理念を深めるための活動、国際的な連携(IFPMA、 PhRMA、EFPIA)など • 政策策定と提言活動の強化、国際化への対応、広報体制の 強化を通じて、製薬産業の健全な発展への取組 • 世界の患者さんの治療に貢献するためにグローバルな活動 を展開 2015年5月に右記に移りました 〒103-0023 東京都中央区日本橋本町2-3-11 日本橋ライフサイエンスビル 7階 JPMA : Japan Pharmaceutical Manufacturers Association IFPMA : International Federation of Pharmaceutical Manufacturers & Associations PhRMA : Associations Pharmaceutical Research and Manufacturers of America 3 EFPIA : European Federation of Pharmaceutical Industries and Associations 医薬品開発を検討する際の条件 (シーズ) l 有効性が期待できる被験薬がある (患者さん) l 治験の対象となる患者さんの存在 (評価法) l 疾病に対応した適切な評価方法がある (成功確率) l 臨床試験の実施可能性 l 製造販売承認取得の可能性 4 難病治療薬を開発する上での様々な懸念 難病の定義 開発候補品(被験薬)の創製が難しい l 発病の機構が明らかでなく 治療効果の評価指標が不明/治療効果の評価法が施設間で不統一 l 治療方法が確立していない 症例が集まらず、臨床試験の実施が困難/試験が長期化 l 希少な疾病であって l 長期の療養を必要とするもの 病気の進行、治療の発現が緩徐で、 治療効果の確認(対照群との差を出す)のに時間がかかりすぎる 厚生労働省HP(http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-10900000-Kenkoukyoku/0000069818.pdf) 開発成功の見通しの低さ ⇒ 開発をためらわせる原因の一つ5 難病治療薬の開発を進めるには 疾病への科学的知見を深め、不確定要素を減らす – 当該疾患の自然歴や周辺情報の蓄積 – 明確かつ統一的な診断方法と診断基準 – 医療機関・学会のコンセンサスを得た臨床評価方法 先行きを見通せる、信頼性の高いエビデンスの活用 – 医薬品開発への活用を意識した高質なデータ蓄積; (そのまま申請資料に使え、試験・調査の手戻りがない) – 蓄積したデータ類を活用した、医薬品の新たな評価 方法の検討(レギュラトリーサイエンス研究への展開) 学会・アカデミアの総意による支援体制 6 7 医薬品開発における医療機関・患者さんとの連携 シーズの 発見・最適化 非臨床試験 臨床試験 (治験) 申請 承認 製販後調査 製販後試験 患者さん 患者さんからの情報 治験への参加 実臨床におけるデータ アカデミア ・医療機関 産学連携・オープンイノベーション 製薬企業 ・製薬企業は医療機関を通じて、患者さんの病態情報を入手 ・医療機関の臨床試験の中で、患者さんでの有効性/安全性を確認 ・製造販売後調査等で、医薬品の適正使用に関するデータを取得 ・医療機関と患者さんの協力なしでは、医薬品開発や医薬品の適 正使用推進活動はできない 7 医薬品開発における患者さんからの情報活用 テーマ 研究の形態 8 情報の使用目的 患者レジストリーを構築し、コホート研究 疾患に関す 病態組織の収集・解析 ⇒ オミックス研究 る研究 診療データ・検査データ 収集⇒ 疾患の自然歴 • 新規創薬標的の探索 • 診断・薬効評価のBM探索 • 臨床試験計画立案 (⇒ 治療計画最適化) 医薬品開発 患者さんの協力で臨床試験(治験)を実施 医薬品候補の有効性・安全性評価 や治療方法 の研究 適正な用法用量の設定 • 候補品の開発可能性評価 • 承認申請時の評価資料 実際に使われている状況のデータ収集 実医療下で (観察研究/調査) の適正使用 メディカルクエッションに基づく介入試験 の研究 (前向き介入試験) • 再審査申請時の評価資料 • RMP策の効果検証 8 画期的新薬創製における各セクターの役割 患 試験物の製造・供給 企業主導治験 (検証的研究) 産 PMDA・厚労省 規制立法化 評価と承認 薬事戦略相談 疾患研究への協力 (病態情報の提供) (病態サンプルの提供) 臨床試験への参加 学 官 疾患研究 (基礎研究) 医師主導臨床試験 (探索的研究) 日本医療研究開発機構 (AMED) (規制) (研究助成) 研究体制整備 公的研究費助成 9 開発プロセスの多様化 産学連携 (共同研究・共同開発) アカデミア 産学連携 アカデミア+企業 (産学連携) 企業コンソシアム アカデミア/ARO支援 創薬支援ネットワーク 企業治験 アカデミア 主導治験 多様化した 開発プロセス 製薬企業 製薬企業 製造販売 製薬企業 製薬企業 承認申請 製薬企業 アカデミア 臨床試験 製薬企業 スクリーニング GMP製造 最適化 非臨床試験 製薬企業 従来の開発プロセス 疾病研究 探索研究 10 研究者主導臨床試験における「成功」とは • • • • 想定された期間・予算内で試験が終了 結果判断に十分なデータの品質が確保 想定した仮説に対して結論を得られる 目的とする次なる活動・展開につながる 試験の目的 治験以外の臨床研究 報告に値する 新知見が得られる 学会発表&学術雑誌 に論文として発表 エビデンスを蓄積し、 日常診療の改善に活用 医師主導治験 医薬品の有用性を示す 試験結果が得られる 製薬企業と連携& 申請資料として活用 承認取得 保険適用 実診療に 使われる 11 研究者主導臨床試験における「成功」とは • • • • 想定された期間・予算内で試験が終了 オペレーショナルな成功 結果判断に十分なデータの品質が確保 科学的な成功 想定した仮説に対して結論を得られる プロジェクトとしての成功 目的とする次なる活動・展開につながる 試験の目的 治験以外の臨床研究 報告に値する 新知見が得られる 出口につながるデータ 学会発表&学術雑誌 に論文として発表 エビデンスを蓄積し、 日常診療の改善に活用 医師主導治験 医薬品の有用性を示す 試験結果が得られる 製薬企業と連携& 申請資料として活用 承認取得 保険適用 実診療に 使われる 12 ご清聴感謝いたします 患者さん 製薬企業 官 + アカデミア 画期的医薬品を患者さんの元に 13
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