赤十字ほっかいどう

赤十字ほっかいどう
2015
冬号
もっと伝えたい。北海道の赤十字のこと。
年 頭の ご あ い さ つ
新年あけましておめでとうございます。
皆様におかれましては、日頃より赤十字事業への深いご理解とご協力を賜り、心から
御礼申し上げます。
昨年は、広島県での大雨による土砂災害や、御嶽山の噴火などで、多くの方が被害に
遭われました。また、国外では、西アフリカを中心としたエボラ出血熱の感染拡大や
シリアなどでの紛争が続いています。
北海道支部では、いざという時の災害に備え、道内 10 の赤十字病院の医療救護班が
一堂に会して赤十字救護班研修会を実施し、超急性期の災害医療で求められる高度で
専門的な知識・技術の習得に努めました。
本年も、災害救護訓練や医療要員の研修を実施し、救護班の災害対応能力・資質の
向上を図ります。
日本赤十字社北海道支部
また、学校・地域などのコミュニティで「自助」
「共助」の力を高め、自然災害から
支部長 伊藤 義郎
青少年の健康と安全を守るため、防災教育の普及啓発を行うとともに、赤十字ボラン
ティアの体制強化と活動活性化に努めます。
さらに、身近に「赤十字」を感じていただくための取組みとして、子ども向け「赤十字職業体験型イベント」を開催
するほか、9月には、名誉副総裁宮妃殿下のご臨席を賜り、帯広市で第 31回赤十字北海道大会を開催します。これを
機会に、より多くの方に赤十字思想を理解いただき、活動資金に協力いただけるよう努めます。
どうか皆様におかれましては、本年も変わらぬご支援とご協力を賜りますようお願い申し上げますとともに、この
一年が平和で穏やかな年となることをお祈り申し上げまして新年のご挨拶とさせていただきます。
ファイターズファンが献血を応援
11月に札幌ドームで行われた北海道日本
ハムファイターズのファンフェスティバルで
献血推進活動を行いました。
この企画は、献血者が少なくなる冬に、より
多くの方に献血の大切さを知ってもらい、協力
してもらおうと球団と力を合わせて初めて行っ
たもので、会場ではけんけつちゃんが愛らしい
姿で献血を呼びかけ、オーロラビジョンで献血
PR のCMを放映したほか、献血会場を設置し
多くの方に協力いただきました。
また日頃からご協力いただいている献血者
約 50 名と西川・伴谷両選手との記念撮影会が
行われ、多くのファンで賑わいました。
C
憧れの選手との記念撮影
O N T E N T S
全国赤十字救護班研修会 …………………………
冬期の災害に対応するために ……………………
赤十字絵画コンクール受賞作品決定 ……………
浦河赤十字病院キッズセミナー …………………
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3
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5
エボラ出血熱を「正しく恐れる」………………… 6
わがまちの赤十字奉仕団(稚内市)……………… 7
はたちの献血キャンペーンが始まります ……… 8
赤十字ほっかいどう
[ 救 護 ]
より多くの人を助けるために
∼全国赤十字救護班研修会∼
災害時に、より早くより的確に救護活動を行う
ための研修会が、11 月に札幌市で行われました。
全国の赤十字救護班の技術向上を図ることを
目的に、北海道で初めて行われたこの研修会には、
道内の赤十字病院救護班員や全国の指導スタッフ
約160名が参加し、
「災害救護とは何か」や他機関
との連携等について意見交換を交えて学びました。
重症度に応じて早く的確な処置を行う
また、体育館を救護所に見立てて行われた実習では、
次々に運ばれて来る模擬患者を重症度に応じて分ける
訓練を何度も繰り返したほか、点滴や酸素マスクなどを
使って行う処置、無線を使った情報収集・報告などが
本番さながらの雰囲気で行われました。
このほか、御嶽山噴火災害における活動報告や、北海道
で役に立つ寒冷地災害での寒さ対策(次頁参照)の講義
など、参加者は今後の活動に役立てようと真剣な表情で
研修に臨んでいました。
伊藤支部長(中央奥)が研修を視察
知って得する!防災学ぶランド
子どもから大人まで、楽しみながら防災について学ぶイベントが、
11 月に札幌市の大型商業施設で行われました。
この企画は北海道などが主催、赤十字など関係団体が協力し、
日常生活で防災を考えるきっかけを作ろうと開催されたもので、
赤十字では札幌市青年赤十字奉仕団メンバーの協力のもと、特殊な
炊飯袋(ハイゼックス)を使った炊出しを紹介し、多くの来場者が
体験しました。
ハイゼックスは、お米と水を入れて沸騰したお湯で30分煮るだけで
ご飯が炊けるポリエチレン製の袋で、初めて目にする来場者も多く、
特に子どもたちは興味津々で袋詰めを楽しんでいました。
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お米はこれくらいかな?
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赤十字ほっかいどう
[ 救護・安全法 ]
冬期の災害に対応するために
日本赤十字北海道看護大学 准教授 根本 昌宏
寒冷地において冬期に停電が生じた際、オール電化住宅、FF
ストーブなど電気を使用するほぼ全ての暖房機器が使用不能と
なります。平成 24 年 11 月の室蘭・登別地域の大停電では、寒さ
対応の重要性がクローズアップされました。
長野市とほぼ同じ温度推移を示す室蘭地域での問題は、道内の
すべての地域で、停電を想定した冬期避難所の対策が急務である
ことを物語っています。
私たちは平成 22 年の秋から冬期避難所の生活環境の実証研究
大学体育館で行われた避難所設営
を進めてきました。その中で、自治体のほとんどが想定するブルー
シート敷設による避難所は冷気を通し、不快な音を発生することで
冬期への対応は難しいことが明らかになりました。
また、停電下においても安全に使用できる暖房設備の検証を
進め、体育館の広さがあればジェットストーブが有用である
ことを確認したことから、平成 26 年1月に初めて厳冬期(氷点下
15℃)での避難所設営を試みました。
完全停電下の本学体育館を仮想避難所と設定し、体育館にある
バレーボールネットや卓球台を使用して骨格を作り、保温エア
キャップシート(プチプチシート)でカバーし、床面にアルミ断熱
マットを敷き詰めた 100 名収容可能な閉鎖的空間(シェルター)
を作り上げました。そうすることで、シェルター内の温度は設営後
30 分で約 15℃に達し、厳冬期においても高齢者や要援護者が
生活可能な空間を提供できることを実証しました。
収容人数や展開時間等、解決しなければならない課題は山積み
ですが、オホーツクの長い冬期間を活用して、これからも安心・
手作りのシェルターで寒さを防ぐ
安全を提供する実践的な取り組みを進めていきます。
水上安全法・幼児安全法の指導員が誕生
7月∼ 10 月にかけて行われた候補者研修、本講習、新任指導員研修合わせて9日間に及ぶ長いカリキュラムを
修了し、このたび水上安全法指導員5名、幼児安全法指導員 15 名が誕生しました。
今後、先輩指導員とともに地元での講習普及を盛り上げていきます。
幼児安全法指導員
水上安全法指導員
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赤十字ほっかいどう
[ 青少年 ]
子どもたちの力作がズラリ
∼第19回赤十字絵画コンクール∼
全道の子どもたちに「赤十字」をより身近に感じてもらうために開催している赤十字絵画コンクールは今回で
19 回目を迎えました。
道内外の小・中・高校 62 校から 979 点の応募をいただき、11 月に行われた審査により、日本赤十字社北海道
支部長賞など計 49 点の入賞作品が決定しましたので、上位3作品を紹介します。
なお、入選された作品は、北海道庁での赤十字活動紹介パネル展(平成 27 年5月予定)や北海道支部社屋での
展示を始め、赤十字の普及啓発活動のため、赤十字のイベントで展示されます。
【日本赤十字社北海道支部長賞】
【青少年赤十字北海道指導者協議会長賞】
北海道女満別高等学校2年
根室市立昆布盛小学校2年
田中 瑠菜さん
佐藤 咲楽湖さん
室蘭市立室蘭西中学校2年
本間 凪々海さん
バングラデシュからようこそ
∼青少年赤十字国際交流事業∼
10 月下旬、バングラデシュ赤新月社から青少年赤十字メンバー2名を迎え、
函館市と北斗市で国際交流事業が行われました。
今回はるばる北海道へ来たのは、ファハドさんとラキブルさん。青少年
赤十字加盟校での授業や部活動への参加、活動に関する意見交換を通して
日本の青少年赤十字メンバーと交流したほか、函館赤十字病院や血液センター
も見学。血液センターの採血ベッドを見たファハドさんは、採血ベッドが
木製ではなくソファ素材で、しかもTVが付いていることに驚いていました。
また、ホームステイ先でも、日本の食文化や生活習慣などに触れた2人は、
華道を習うファハドさん
(左)
、ラキブルさん
北海道を離れる際に「いつかまた絶対に北海道に来たい」と話してくれました。
なお、国際交流事業は隔年で行われ、次回は平成 28 年度に開催予定です。
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赤十字ほっかいどう
[ 施 設 ]
大きくなったら病院ではたらこう!
∼浦河赤十字病院キッズセミナー∼
浦河赤十字病院では、11月に小・中・高校生
145 人が参加して、病院の仕事が体験できる
「キッズセミナー」を開催しました。
セミナーは今回で3回目を迎え、病院で働く
医師、看護師、薬剤師などの指導のもと、腕の
模型に注射をうったり、大腸に見立てた管の中を
内視鏡で覗いたり、腕にギプスや包帯を巻いたり
するなど9種類の中から好きな仕事を体験しま
した。
体験を終えて「将来は、看護師になりたい」
チョコを使ってお薬の調合体験
赤ちゃんの体をやさしく洗ってね
と話す子もおり、このセミナーをきっかけに
病院の仕事を身近に感じ、将来、地域医療を支える人材が育ってくれることを期待しています。
サンタがみんなに笑顔をお届け!
家に閉じこもりがちな冬。地域の 70 歳以上のお年寄り
111名を招待しクリスマスパーティーを開催。サイコロで
点数を競うゲームなどで盛り上がりました。
病棟クリスマス会に北海道日本ハムファイターズ栗山
監督がサプライズ登場。患者さんの歌のリクエストに
応えて「ぞうさん」を披露するなど、笑顔あふれる会に
なりました。
学生ボランティア約 150 名が全道でクリスマス献血
キャンペーンを実施。札幌のボランティア代表 林下
さんは、
「献血いただいた方へ感謝の思いを込めました」
と笑顔で呼びかけました。
赤十字ボランティアがサンタに扮してクリスマス会に
登場。
子どもたちは大喜びでプレゼントを受け取りました。
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[ 国際・看護 ]
赤十字ほっかいどう
エボラ出血熱を「 正しく恐れる 」
∼救援活動に参加した医師が講演∼
西アフリカでエボラ出血熱の救援活動に参加した日赤和歌山医療
センターの古宮 伸洋医師が、小清水赤十字病院へ診療応援に来ていた
ことから、11 月に「日本赤十字社における国際救援活動」と題して
小清水町で公開講座が開かれました。
古宮医師は実体験を踏まえ、エボラ出血熱の感染拡大には貧困問題が
根本にあること、医療従事者や設備だけでなく正しい知識を伝える人材が
不足していることのほか、日本ではこの事態を他人事と思わず、興味を
持って病気を正しく知り、「正しく恐れる」ことでパニックにならない
ようにすることが必要と話し、参加した町民は熱心に耳を傾けました。
ボランティアに正しい知識を教える古宮医師
(左から2人目)
看護師の夢へまた一歩
∼赤十字看護専門学校戴帽式∼
10 月に伊達・浦河赤十字看護専門学校で戴帽式が行われ、合わせて
51 名の1年生が看護師になる決意を新たにしました。
戴帽式は、半年間の基礎学習を終え、本格的に始まる実習を前に
行われる節目の行事。浦河の学生代表 堀 明日香さんは、慣れない環境
でも両親や仲間が支えてくれたことなど入学からの半年間を振り返り、
「患者の気持ちがわかる看護師になりたい」と誓いの言葉を述べました。
ナースキャップを戴帽された学生たちの凛々しい姿は、看護師という
夢へまた一歩近づいた証です。
夢へ向かって気持ちを新たに
あなたのやさしさを世界に
∼2014年NHK海外たすけあい∼
「NHK 海外たすけあい」の初日となった12 月1日、NHK 札幌放送局で
オープニングセレモニーが行われ、札幌市赤十字奉仕団のみなさんから、
温かい気持ちがぎっしり詰まった募金箱が主催者に手渡されました。
また、札幌地下街ではイベントも行われ、札幌市と余市町の赤十字奉仕団
が市民に協力を呼びかけるなどし、道内のみなさまから4,110,292円
(平成 26 年12 月23日現在)のご協力をいただきました。
これらは武力紛争や自然災害に苦しむ避難民への救援活動などに活用
されます。
ご協力ありがとうございました。
思いの詰まった募金箱を手渡す
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赤十字ほっかいどう
わがまちの赤十字奉仕団
∼稚内市赤十字奉仕団∼
[ 奉仕団・受章者の紹介 ]
地域に根ざしたさまざまな活動をしている
赤十字奉仕団。
その中から今年度はいくつかの奉仕団の
取り組みをご紹介します。
昭和 58 年に「大韓航空機事件」の悲劇があり、
事件現場に近い宗谷岬公園に犠牲者の慰霊と
世界の恒久平和を願う「祈りの塔」が建立され
ました。
その後も公園には「世界平和の鐘」や「子育て
平和の鐘」が建立され、公園は市民にとって平和
を願う場所となりました。
稚内市赤十字奉仕団では、宗谷漁業協同組合
婦人部とともにこの公園の花壇整備・清掃など
を受け持ち、年6回の鐘打ちには必ず参加して
平和への願いを込めながら行う花壇整備
平和を祈っています。
また、事件のあった9月1日の夜には、悲劇
を忘れることのないよう、子育て平和の歌を
斉唱し、幻想的な灯籠を設置して奉仕団一同
平和を祈っております。
またこのほかの主な活動としては、街づくり
のお手伝いとして毎年9月に行われる「ふくし
フェスタ」に参加し、7年前からは地元小学校の
児童と炊出し訓練を行い、できた非常食を来場
した市民に試食いただいています。参加している
子 ど も た ち の 得 意 げ な 笑 顔 が ほ ほ え ま し く、
これからもこの活動を続けてまいりたいと思い
ます。
委員長 日名 美代子 子どもたちといっしょに炊出し訓練
たくさんのご協力ありがとうございました。
∼活動資金にご協力いただき 、表彰された方々を紹介します∼
金色有功章
銀色有功章
∼社資納入額 50 万円以上∼
∼社資納入額 20 万円以上∼
【札 幌 市】
西川 敏子
( 敬称略 ) 【三 笠 市】
クリーンハウス株式会社
【支 部】
北海道ドライケミカル株式会社
【支 部】
武田産業株式会社
社長感謝状
∼金色有功章受章後さらに 50 万円以上∼
【札 幌 市】
牧野 利春
【帯 広 市】
大友 俊雄
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赤十字ほっかいどう
[ お知らせ ]
冬期間の献血にご協力を
はたちの献血キャンペーン
風邪などの影響で献血の協力が得られにくくなる冬期に、血液を
安定して確保するため、
「はたちの献血キャンペーン」
(1月1日∼
2月 28 日)を実施します。
これは、新成人を中心に献血への理解と協力を求め、特に 400mL
献血、成分献血を推進するために実施します。
なお、キャンペーン期間中、献血に協力いただき、各献血会場に
設置された応募用紙で申込いただいた方の中から抽選で、羽生結弦
選手オリジナルポスターカレンダーなどの記念品をプレゼントします。
詳しくは、
「はたちの献血」専用ホームページをご覧ください。
フィギュアスケート羽生結弦選手が
キャンペーンキャラクターに就任
スキー場での事故を防ぐ技術を競う
∼第43回赤十字スキーパトロール競技大会∼
スキー場での事故を防ぐために全道各地で活躍しているスキー
パトロール赤十字奉仕団が一堂に集まり、救助技術の向上を図るために
持ち前の技術を競う大会が平成 27 年3月に夕張市で開催されます。
傷病部位を手当てしてアキヤ ( 搬送用のソリ ) で速く安全に搬送
する競技など計3種目を行い、日頃の活動の成果を競います。
優れたスキー技術だけではなく、息の合った連係プレーなど、普段
ボランティアとして活躍する団員たちの姿をぜひご覧ください。
【開催日】
平成 27 年3月7日(土)
・8日(日)
【場 所】
夕張マウントレースイスキー場
(夕張市末広2−4)
アキヤを使った搬送競技
北見赤十字病院 新本館オープン
12 月1日、約2年半の建設工事を終え、北見赤十字病院の新本館が
オープンしました。
新本館は地上9階地下1階建ての免震構造で、屋上にはヘリポート
を設置し、災害対応や救命救急など、これまで以上に地域の中核病院
として、安全で安心な医療を提供することが可能となりました。
落成記念式典では、吉田茂夫院長が「職員が力を合わせ、地域の
期待に応えていく」と述べました。
な お、 今 後 既 存 建 物 の 改 修 な ど が 行 わ れ、 創 立 80 年 を 迎 え る
来年度にグランドオープンする予定です。
テープカットする伊藤支部長(右から 2 人目)、
吉田院長(中央)ら
公式フェイスブックで情報発信中!
発行日 平成 27 年1月1日
https://www.facebook.com/hokkaido.jrc
発行元
札幌市中央区北1条西5丁目
℡:011 − 231 − 7126