画像処理-64.doc 特徴パラメータの長短軸の算出について 有限会社 ティエフシステム 安永 1 文夫 はじめに これまで一般的に用いられてきた2次元平面での特徴パラメータの算出方法と異なり、一次 元ラベリングの手法で面積・重心を高速に計算することができた。また、この一次元ラベリン グの手法で得られた面積・重心より、例えば印刷不良等を検出するに、重心モーメント法を利 用して行ったが、それらは飽くまで特異点に着目した特殊な場合における手法であった。 今回、これらの解析をより一般化するために、特徴パラメータの長軸・短軸を算出する手法 について検討する。 2 その手法及び理論的背景 ここでは、各物体の集合体を単に図形と呼ぶ事とする。 また、最小自乗法では、一般的な n 次多項式ではなく、X, Y の 2次元に限って説明する。 2-1 図形の重心の算出 これは、各物体の重心の相加平均で算出する事ができる。 図 - 1 但し、相加平均の欠点は、それらが全て偶然誤差から成り立って いる事が前提であり、一つでもかけ離れた点が存在すると平均値が大きく移動する事である。 通常こういう場合は、最大値・最小値を外した測定点のみで相加平均を算出する方法が採用 されている。しかし、今回のような場合は、これとは別に重み付き(weighted)の相加平均を算 出する事で解決する。ここでは「重み」は各物体の面積そのものである。「重み」とはその点 が幾つも重なっていると考えると理解しやすい。 2-2 図形の長軸の算出 これは、各物体の重心の点を結ぶ一次直線式を最小自乗法で算出する事により可能である。 但し、この場合も前述の相加平均と同じように、通常用いられている基準方程式 [aa]X1 + [ab]X2 = [aM] [ba]X1 + [bb]X2 = [bM] ・・・(式2.1) ここに[uv] = ∑uivi = u1v1+u2v2+・・・+unvn を表す の解法だけでは、所定の結果を得る事はできない。 なぜなら、元々最小自乗法は、測定方程式 F1(X1, X2) = M1 F2(X1, X2) = M2 ・・・(式2.2) ここにM1,M2は関数F1,F2の測定値 より、得られる次の誤差方程式において M1 - (a1X1 + b1X2) = e1 ・・・(式2.3) M2 - (a2X1 + b2X2) = e2 − 1 − 画像処理-64.doc の誤差 e1, e2 が最小になる X1, X2 を求める事である。これは ∂ ∂X 1 ∂ 2 ∑ ei = 0 ∂X 2 の解として求められる。こうして得られたのが、前述の基準方程式である。 ∑ e i2 = 0 1 1 従って、かけ離れた点があると相加平均の場合と同じように正確な値を得る事ができない。 従ってこの場合は重み付きの最小自乗法を考慮する必要がある。 さて、重み付きの基準方程式は、詳しい式の誘導は省略して、結果だけを示すと [paa]X1 + [pab]X2 = [paM] ・・・(式2.4) [pba]X1 + [pbb]X2 = [pbM] と表現できる。 2-3 条件付き最小自乗法 (式2.4) を解けば、y = ax + b における係数 a,b が求まる。係数 a, b が求まれば方向余 弦より角度が求まるので、長軸が決定できる。但し、この求めた一次式 y = ax + b は、図形 の重心を通るとは限らない。しかし、今回の場合は図形の重心を通る事が、絶対的な条件なの で(式2.4)にさらに条件付き最小自乗法(例えば三角測量における内角の和は180°)を適用する 必要がある。そのためには Lagrange の未定定数法を活用する。この結果、最終的な基準方程 式は詳しい式の誘導は省略して、結果だけを示すと [paa]X1 + [pab]X2 = [paM] + [kα] ・・・(式2.5) [pba]X1 + [pbb]X2 = [pbM] + [kβ] となる。この式を解けば図形の中心を通る一次式 y = ax + b を決定する事ができる。 2-4 短軸の算出 長軸が求まれば、図形の重心点を通り、長軸と直交する軸が短軸である。これは、ベクトル 演算より簡単に求める事ができる。 3 問題点及び今後の展望 仮に特徴パラメータの長短軸が求められても、それを例えば印刷不良検出にどう活用してい くかは別問題である。 3-1 アフェイン変換(画像処理における幾何学変換)を施して解析する。 3-2 重心モーメント法による解析 3-3 図形のマスクによる切り出し その他が考えられるが、プログラムサイズ・処理時間等をも考慮して最適の不良検出ロジッ クを適用する事は今後の課題である。 また、実際には長軸・短軸の区別ができないもの(例えば、円形・三角形・正方形等)も存在 するが、この場合は図形の特異点を活用すれば、長軸・短軸は一義的に決定できる。 − 2 −
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