[ 文化日報 ]2015.9.8 「歴史は悲しみではなく、現在をみつめる窓 」 「軍国主義の 1920 年代と今日の状況は似ている」 日韓国交正常化 50 年 ... 韓国人が書いて日本人が演出『颱風奇譚』 日韓国交正常化 50 周年、韓国人が書いて日本人が演出した演劇が日韓両国で上演する予定だ。 歴史の桎梏から少し外れている日韓の若手演劇人二人がコラボレーションした『颱風奇譚』である。シェイクスピアの 「テンペスト」を原作にしたこの作品は、第 12 言語演劇スタジオのソン・ギウン(41)が脚色を引き受け、2013 年に 一緒に作った「かもめ」で外国人初東亜演劇賞を受賞した東京デスロックの多田淳之介 (39)が演出を担当する。 安山文化財団とソウル文化財団が共同開催する第 22 回「BeSeTo フェスティバル」の招聘作品として来る 10 月 16 日安山 で初日を迎えた後、同月 24 日に南山芸術センターで上演し、日本でも上演される。 脚本:ソンギウン --『若き我らの青春』や『小説家クボ氏の一日』など 1930 年代を背景にした作品が多い。 今回は、1920 年代だ。特にその時期を背景にする理由は。 ▶日帝強占期は、いわゆる近代(自分の意思であれ他意であれ)と呼ばれ始まった時期だ。現在、私たちの社会の多くの 問題の根源が、その当時に形成されたと考えている。私が生まれ育った 1970∼1980 年代の全体主義的な文化も 1930 年 代の雰囲気と大きく変わらず ...。だから興味をそそるのだが、特に一言で表現することは難しい。 - 舞台の上で(日韓関係で、主に過去の歴史に置換される)歴史を題材とすることはどのような意味があるのか。 ▶演劇は歴史を再現させるには合わないジャンルだ。そういうのは映像媒体があっている。 現在の問題と結びつけるという側面で演劇が歴史を扱う意味がある。 - 原作であるシェイクスピアの「テンペスト」は、和解と許しのメッセージを含んでいる。 『颱風奇譚』も日韓関係において、和解を目指す内容か。 ▶日韓関係には、むやみに和解と許しを語るには難しいところが多い。幸い「テンペスト」にはファンタジー的要素が多い。 歴史を緻密に再現する作品ではない。『颱風奇譚』も自由な想像力を借りて書き上げた。ただし結論をどうするかが最も ナーバスな点で、まだ修正を繰り返している。 - 日韓の二人の演劇人が一緒に作った演劇だからこそ、日韓関係の未来を提示するか。 ▶舞台に歴史を上げることによって、(韓国の立場から)支配されたものへの恨みの解消になっては困る。勝ったり負け たりというような歴史認識には限界がある。そんな事から脱し、当時の帝国主義や植民地主義が作用していた原理や論 理がどのように作られているかということを追求してみたいと思った。 一つの顔の日本植民地時代ではなく、韓国を植民地に追いやった(日本国内)の談話を振り返る必要がある。 すでに知っていること再生することには意味がない。 - 演出の多田淳之介のコラボレーションは二回目だ。作業を通してお互いに影響を与えていうようだが。 ▶多田は、日本で社会的な発言もしており、実験的な演劇を目指している。基本的な方針が似ている。 コラボレーションを通じて、二人とも芸術作品の社会的責任についてより悩むことになった。 演出:多田淳之介 - 1920 年代の日本植民地時代は、韓国人にとってはっきりと記憶される。 日本人にとっては、その時期はどんな感じなのか。 ▶正直、日本人には明確にこれというイメージはありません。学校でもあまり教えない時代ですし。ただ、日本の軍国主義 が始まり、戦争の準備をしていた時代ということぐらいだ。演出家として、また個人的には、日韓関係や歴史に関心があ る。1920 年代、軍国主義化した日本は、今現在の雰囲気とも似たような側面があり ...。 -『颱風奇譚』は日韓両国で公演する。1920 年代のイメージがそれぞれ違う韓国と日本の観客が同じ公演を見るというのが 興味深い。 ▶2013 年にアントン・チェーホフの「かもめ」を脚色した『カルメギ』もソン・ギウンさんと共同で作業したが、日韓 両国共に反応が良かった。1930 年代と 2010 年代の時代を、リアリズムを通してつなげようと試みた。韓国の観客の中に は、客観的に扱われる歴史を「不愉快だ」と感じた人もいるが、日本の観客は、日帝強制占領期間を扱った 物語を通して、 当時の歴史を「初めて知った」という反応が多かった。『颱風奇譚』は「かもめ」とは若干異なる雰囲気だ。歴史を素材と するが、リアリズムよりもファンタジーに近い。 原作の最後に「プロスペロ」は魔法も夢もあきらめる。観客は ( 韓国・日本両国が ) どんな 夢 を見るべきか悩むことに なる。 - それでは、その夢はもしかして平和な日韓関係、未来志向的な歴史を意味するのか。 ▶まだ 4 幕(最後の章)が完成されていないので、確信はできない(笑)。私たちはいつも未来志向的な演劇を作ろうとし てきた。今回もそうじゃないか。重要なのは、その「未来」が 1920 年代の「彼ら」が夢みた未来ということだ。 私たちは果たしてその時夢見た未来を生きているかどうか ...。そのような質問を投げかける作品である。 - 韓国演劇人との交流や共同制作に興味を持つようになったきっかけは何か。 ▶2008 年のアジア演出家ワークショップで初めてソン・ギウンさんに出会った。韓国俳優たちと仕事をするのが非常に楽 しかった。単純な日韓交流とは全く次元が異なることである。特に東アジアを舞台に支配と被支配の話を作品にするのは、 私たち(日韓)にしかにできないと思う。演劇史的にも、世界的にも価値があることだ。
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