政治学特講 (東南アジアの民主主義と民主化)

紹 介 項 目
① 講義の目的と範囲
⑤ 関連科目
② 講義方法
(事前履修・同時履修・展開履修科目の提示)
③ 講義計画
⑥ 評価の方法
④ 教 材
⑦ その他の要望事項
政治学特講(東南アジアの民主主義と民主化)
第 2 部( 2 回生以上)前期 2 単位
永井 史男
史』めこん、2012年。
「テキスト」はブルネイを除く東南アジアの10ヵ国と
ASEAN(東南アジア諸国連合)の政治を取り上げてお
り、参考書のうち片山・大西(2010)も本講義で取り上
① 本講義では、東南アジア主要国における民主化や民主
げる国のうちシンガポール以外の 4 カ国を取り上げてい
主義について検討する。東南アジアには権威主義体制や
る。本講義はこれらテキストと参考書の内容を下敷きに
社会主義体制を採用する国家が数多く存在するが、近年、
したものであるので、少なくともテキストは手元におい
そうした国々において民主化の機運が高まっている。シ
て予復習に役立ててほしい。また、受講生による報告は、
ンガポール、マレーシア、カンボジアのように長期にわ
授業中に配布する読書リストから少なくとも 1 冊取り上
たって一党優位体制を維持した国々で野党が勢力を伸ば
げて報告してもらうものとする。
しているだけでなく、ミャンマー(ビルマ)のような軍
⑤ 2010年度に「政治学特講(東南アジアの政治経済)」
事独裁政権においてさえ複数政党制を採用せざるをえな
を二部で提供したことがあるが、内容的に重複はあるも
い国もある。そこで本講義では、こうした民主化や民主
のの、扱う範囲と焦点はかなり異なる。2010年度は第 2
主義を中心に、東南アジア主要国における政治変動の原
次世界大戦以降の東南アジア国際関係史を中心に議論し、
因や経過について検討することを目的とする。時期的に
各国政治経済についてはあまり深く取り上げることがで
は、第二次世界大戦直後の国民国家形成期に遡りつつも、
きなかった。今回の政治学特講では、各国の現代政治が
各国で民主化が重要な政治的テーマとなった最近20年間
議論の中心である。
の政治変動に焦点を合わせる。また、講義の最初では
⑥ 出席点( 2 割)、発表( 2 割)及び期末試験結果( 6
「民主化」に関する理論的検討を行い、続いて主要国別
割)により評価する。小テストは行わない。出席点は出
に民主化と民主主義を取り上げる。
欠だけで判断するのではなく、双方向的な議論への貢献
② 講義中にレジュメと参考資料を配布する。
も加味するので、予復習が不十分だと判断された場合に
③ 以下のような順序で講義する予定である。受講生の興
は評価点は低くなる。発表も準備や報告内容が不十分だ
味関心に応じて、多少国を加えたり除いたりすることも
ったり、質疑応答に十分に応えていない場合には、評価
ありうる。また、最後の 1 回(受講生が多い場合には 2
が低くなるので注意すること。なお発表は必須課題なの
回)は受講生の発表に基づく質疑応答を行うので、それ
で、発表しなかった者は期末試験結果がよくても及第点
に合わせた読書リストの説明や質疑応答も授業中に適宜
を与えない。
⑦ 東南アジアは日本人にとっては「近くて遠い」国々で
行う。
第 1 回 はじめに
ある。こうした国々の政治を扱う講義なので、地理的状
第 2 ~ 3 回 民主主義と民主化の理論
況を始め、民族、文化、歴史についての基本的知識が圧
第 4 ~ 5 回 インドネシアの政治と民主主義
倒的に不足していることは否めない。講義ではこうした
第 6 ~ 7 回 マレーシアの政治と民主主義
基本的な事柄についても触れるが、時間が相当限られて
第 8 ~ 9 回 シンガポールの政治と民主主義
いるので、テキストや参考書を予復習に適宜役立てて欲
第10~11回 フィリピンの政治と民主主義
しい。歴史的背景に関心のあるものは、参考書の 3 冊目
第12~13回 タイの政治と民主主義
に挙げている加納(2012)を副読本として利用されたい。
第14回 受講生による報告
なお、受講生による「発表」では、本講義で取り上げる
④ テキスト:田村慶子他編『東南アジア現代政治入門』
東南アジア諸国主要 5 か国以外の国々(ベトナム、ラオ
ミネルヴァ書房、2011年。
ス、カンボジア、ミャンマー、東チモール、ブルネイ)
参考書: 片山裕・大西裕編『アジアの政治経済入
門』(改訂版)有斐閣、2010年。
中村正志編『東南アジアの比較政治学』ア
ジア経済研究所、2012年。
加納啓良『東大講義 東南アジア近現代
の現代政治を扱っても構わない。