人との出会いで広がる世界

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学校長
渡 部
強
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平成27年12月11日
◆人との出会いで広がる世界
どんなにワインに詳しくても、ソムリエにワインのことを語ってはいけない。
これは、有名なタレントでもあり、映画監督でもある北野武(ビートたけし)さんの
ことばです。
なまじ知識があると、つい自慢したくなるのがわたしたちですが、それをやれば嫌わ
れるだけでなく、実は、本物の知識と出会うチャンスまで失ってしまうという話でしょ
うか。
なぜ、ソムリエにワインのことを語ってはいけないのか。ビートたけしさんは、こう
続けます。
そんなことをしたら、ソムリエは何も大切なことを教えてくれなくなる。「この
ワインはどうして美味しいの?」と聞くべきなのだ。
そうすれば、ソムリエは、きっとワインのおいしさの秘密を嬉しそうに話してくれる
でしょう。タクシーに乗ったら運転手さんに、
「ほんとうのところ、景気はどうなんですか?」
と聞けば、自分の経験や実感をやはり嬉しそうに話してくれるでしょう。寿司屋のカウ
ンターに座ったら、主人に、
「いまの季節、安くて美味しいネタは何ですか」
と聞けば、にんまり笑って自慢の一品を差し出してくれるでしょう。後は、頷いている
だけで、いろいろなことを教えてくれます。
わたしたちの周りには、いろいろな職業の人が登場します。職業だけでなく、いろい
ろな経験や趣味、人生観をもった人が登場します。その人たちすべてに共通するのは、
自分の知らない世界を知っているということです。
もちろん、自分も自分でなければ語れない世界があります。
「わたしはありふれた話しかできない」
と思っていても、違う世界の人から見れば、初めて聞く話だったり、
知らなかった知識や情報が含まれていることが多いのです。
人との出会いはつねに、自分一人では知りえない世界との出会いになります。
「この人はどんな話をしてくれるのだろう」
という気持ちになれば、あなたの世界は、大きく広がっていくはずです。
人の出会いは、自分だけでは知りえない世界との出会いです。
◆人の傘
雨が降ったら傘をさす
傘はあなたがぬれぬよう
あなたのかわりにぬれている
それは傘の役目だから?
がまんしながらぬれてるの?
いやいやそれはちがいます
誇りをもってぬれてます
自分がぬれて守ってる
そんな誇りがあるのです
傘の気持ちが分かるなら
あなたはきっと変わるでしょう
傘の文字のつくりのように
一人傘をさすのでなくて
傘のない人入れるでしょう
そんな気持ちをもつことが
傘の気持ちがわかること
傘の気持ちがわかったら
あなたが傘になりましょう
この世の傘になりましょう
困っている人 苦しんでいる人
こういう人に少しでも
手をかす役目が人の傘
一人ひとりが人の傘
大きく広げて入れあおう
世の中かえる人の傘
(作:松永
伍一)
最近親子で一つの傘をさす姿もあま
り見られなくなりました。でも、一つ
の傘に、親子が一緒に入っている姿や
友だち同士が一つの傘に入っている姿
は、何とほのぼのとした光景でしょう。
人と人とのかかわりが薄くなってい
る現在、傘が、そのかかわりをつくっ
てくれると見てもよいのではないでし
ょうか。
傘の役割を雨をさけることだけと考
えず、人と人をつなぐ役割と考えてみ
るとよいでしょう。
また、傘を自分におきかえて、雨を
世の中のつらいこと、苦しいこととお
きかえてみたらどうでしょう。
世の中で困っている人、苦しんでい
る人を見かけたら、
「自分でできること」
とは何かを考え、少しでもやれること
をやっていく、これがあなたの傘を広
げることです。
一人ひとりが、自分のもっている傘
(自分の力で人のためにつくす傘)を
大きく広げ、世の中をよくしていきた
いものです。
◆「人生80%主義」
「人生80%主義」……精神科医で随筆家でもあった斎藤茂太氏の名言です。その裏
づけを次のように語っています。
「対人的トラブル、仕事上のトラブル、世の中には数限りない、いろいろのトラブ
ルがある。その発生源を観察すると、ほとんどが、100%完全を望んでいること
から起こっている」
「100%に少しでも近づこうとする努力は、もちろん必要だが、たとえそれが達
成されなかったとしても、それは、当然のこととして受け止める心が大切だ」
「私の好きな言葉のひとつが『少欲知足』である。欲望を過度に持たずに、ある線
で『足るを知る』、つまり、満足せよということだ。これは、私の提唱する『人生
80%主義』にも通じ、また『心的要求水準を下げる』ことにも通じるのである」