弁護士の将来像(久保利英明) 1 2、3年後期 選択必修 2単位 15回 科目内容・目標 法曹人口の急増により、司法試験に合格しても就職事務所がない、弁護士の経済的富裕度が低下し、魅力を 失ったなどの声が上がっている。しかし、司法制度改革の原点は「弁護士の少ない地域」、「頼れる弁護士のい ない専門分野」の解消と「依頼者に親身になって寄り添う厚い層としての法曹」の創出により、津々浦々の国民に とってアクセス可能な存在となることであった。この新しい弁護士像は「旧来の訴訟専門弁護士」や「敷居が高く 先生と呼ばれる存在」とは無縁のものである。法科大学院でこの認識を理解しないまま、司法試験に専念した新 規法曹資格取得者が、冒頭のような泣き言を言っているとしか思われない。法曹人口が急増し弁護士間競争が 激化する状況では、弁護士のマーケティングも技能も立ち位置も様変わりしなければならない。 本講はこの構造変化を踏まえて、新しい法曹像を模索し、国民の役に立つ持続可能性のある司法サービス を提供し続けるための弁護士としての生き方と経営手法を学ぼうとするものである。 2 授業の基本方針 毎回のテーマに関する参考文献・参考資料などを事前に検討しうるように工夫し、当日は主として質疑討論に よって当該テーマに関する理解を深めるように努力する。 本講は「将来像」を問題にする授業であるから、「正解」が与えられるものではないことを前提に、受講生が自 ら、教材や討論を通じて、弁護士を取り巻く環境がどのように変遷するかを予見し、それに適合する弁護士モデ ルを模索し、仮説を立て、実現の道筋を構築する訓練を行う。 3 成績評価 毎回の授業における発言や授業で発表するミニレポート発表の内容(20%)と、期末試験(テイクホーム) (80%)によって評価する。成績は 5 段階評価(S・A・B・C・D)による。 4 教材 固定した教科書や教材は用いない。授業のテーマに応じた、適切な文献・論文・データを提供し、それらを素 材として、受講生と教員若しくはゲストスピーカーがディスカッションする。 5 授業計画 第1回 「弁護士の将来像」とは何か 第2回 法律事務所の経営資源とその活用 第3回 クライアントとは何か -1- 第4回 クライアントの獲得と維持の心得 第 5 回(予定) 若いから出来る法律事務所経営 ゲストスピーカー 川本一徳 弁護士(ウェール法律事務所)/宮島 渉 弁護士(法律事務所フロンティア・ロー) 第 6 回(予定) 私の弁護士半生 ゲストスピーカー 鳥飼重和 弁護士(鳥飼総合法律事務所) 第 7 回(予定) 弁護士過疎地で他士業と組む ゲストスピーカー 高野毅 弁護士(高野・星野法律事務所/新潟県長岡市) 第 8 回(予定) 個人依頼者の信頼を勝ち得る ゲストスピーカー 田中早苗 弁護士(田中早苗法律事務所) 第 9 回(予定) 訴訟弁護士という生き方 ゲストスピーカー 岡田和樹 弁護士(フレッシュフィールズブルックハウスデリンガー法律事務所) 第 10 回(予定) 最強の社内弁護士 ゲストスピーカー 芦原一郎 弁護士(チューリッヒ保険会社 ジェネラルカウンセル) 第 11 回(予定) 弁護士の起業と上場 ゲストスピーカー 元榮太一郎 弁護士(弁護士ドットコム株式会社 代表取締役社長 兼 CEO) 第 12 回(予定) 《調整中》 第 13 回 法律事務所のリスクマネジメントとクライシスマネジメント 第 14 回 君たちの考える弁護士の経営を発表 第 15 回 期末試験(テイクホーム試験とする) -2-
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