Q&A集 - 日本管材センター

RハットQ&A
〈自然災害の対応について〉
Q
A
1)屋根面に発生する負圧による揚力について
粗度区分Ⅱ、基準風速36m/secの地域に、20階建て(軒高約60m)の
建物を計画する場合においても、頂部風速の100年再現期待値(100年に
1度程度の確率で発生する風速)は50.4m/secであり、この時、屋根面で
最も大きな負圧が発生する領域(建物の隅角部付近の屋根面)では、
瞬間的に1,190N(※)の負圧が発生することになります。
しかし、RハットはVP管に金物で固定することにより、4,700N程度の
引張強度を有することとなり、このピーク風圧力の4倍程度の強度が
あることから、負圧(揚力)の風荷重に対して特に問題ありません。
風荷重の影響は?
(※)この風圧力はRハットの上面に加わることとなりますが、同時に
Rハットの内部側も負圧になることが予測され、実際に1,190Nの力が
加わることはありません。
2)Rハットに加わる水平力について
上 記 と 同 様 の 条 件 下 ( 粗 度 区 分 Ⅱ 、 基 準 風 速 36m/sec 、 建 物 軒 高
約 60 m 、 100 年 再 現 期 待 値 ) で 算 出 し た 場 合 、 水 平 力 は 平 均 風 速 で
188N、ピーク風力で563N、平均の転倒モーメントで49.6N・m程度であ
り、いずれも金物を破断させるような荷重ではないと考えられます。
また、この荷重は建物頂部高さでの風速が直接Rハットに
作用するとして計算したものですが、実際には建物の 稜線 部で 風は
剥離するため、屋根の表面付近(Rハットの高さ程度)では風速はかな
り小さくなると考えられ、実際の荷重は算出結果ほど大きくなることは
ないと考えます。
風切音は?
風洞実験では13m/secまでの風速で音鳴はありませんでした。
通常、首都圏では平均風速が13m/secを超える風が生じる日数は、
年間数日程度(※)です。
また、建物に対して風の流れは建物の稜線部(パラペット天端)で
剥離するため、Rハットの高さ程度の屋上面付近では風速はかなり
小さくなり、Rハットに風速13m/secを超える風が直接作用することは
極めて少ないと考えます。
一方、強風によってRハットのスリット部から乱流が発生した
場合にも、通気管とスリットが離れていることから、通気管での
共鳴音が発生する可能性も少ないと考えます。
( ※ ) 参 考 : 気 象 庁 東 京 観 測 所 ( 測 定 点 高 さ 74.5m ) で は 、
2002 年 は 1 日 、 2003 年 は 0 日 で す 。 2004 年 9 月 現 在 で は 6 日
発生していますが、これは異例です。
過 去 15 年 間 の 東 京 、 横 浜 、 千 葉 の 気 象 庁 観 測 所 の 最 大 積 雪 が
23cm(地上)であること、マンション屋上では負圧による剥離効果が
あり、地上ほどの積雪がないことから、高さ24cmのRハットの開口を塞
ぐ量の積雪は極めて少ないと考えます。(温暖化により、今後の可能性
は更に少なくなると考えられます。)
積雪の影響は?
また、積雪時の風により、全ての開口が塞がれる可能性は少ないと
考えます。
風速は高度と共に増加し、建物の屋上では建物自体の影響等により、
ある程度の風が発生していることが予測されます。風 によ り物 体の
周りには、風速が強くなる領域と風速が減少する領域が発生し、
この風速変化により雪の吹き溜まり領域や、雪の吹き払い領域が
できます。
従って、Rハットの周り全ての開口が同時に塞がれる可能性は極めて
少ないと考えられます。
Q
地震の水平力の影響は?
落雷対応の棟上導体の高さは
どのくらいですか?
A
「建築設備耐震設計・施工指針(日本建築センター)82年版」および
「建築電気設備の耐震設計・施工マニュアル(日本電設工業会)
95年版」に基いた設計用水平地震力により強度実験を行い、問題ない
ことを確認しました。
水勾配を含めたキャップの高さを、標準の棟上導体 の高 さ以 内に
納まる寸法としてください。
式:(導体150+パラペット495)−(水上高さ想定200−断熱防水想定35)=h410 > h
385
〈積載・衝撃に対する荷重について〉
Q
A
人が座っても大丈夫ですか?
人が座ることを想定した積載荷重試験(160kg)で異常はありません
で し た 。 ま た 、 25 年 促 進 劣 化 し た R ハ ッ ト の 試 験 体 の た め 、 将 来 に
おいても問題ありません。
治具、工具がぶつかっても
大丈夫ですか?
25 年 促 進 劣 化 し た R ハ ッ ト の 試 験 体 の 上 面 に 、 1kg の 錘 を 50cm の
高さから落下させる、落錘衝撃試験において、ひび、穴開き等の異常は
ありませんでした。そのため、治具や工具等をぶつけ た場 合で も、
使用が困難になる損傷の可能性は小さいと考えます。
横からの衝撃は問題ないですか?
立っている27kgのアスファルトルーフィングの転倒による側面への
衝撃荷重では特に問題ありませんでした。
〈VPパイプに関して〉
Q
A
アスファルト熱によるVP管への
影響は?
VP管を200℃のアスファルトに2分間浸漬した試験において、変形、
強度等の性能の変化はありませんでした。(VP管アスファルト浸漬試験
結果報告書参照)
通 常 、 塗 布 す る ア ス フ ァ ル ト は 200 ℃ 以 下 で あ り 、 施 工 上 で も
問題ありません。(施工試験でも確認済。)
VP 管 と ア ス フ ァ ル ト 防 水 の
接着性能は?
アスファルト防水メーカーにおけるVP管と熱アスファルト防水の引張
試験により、付着力について問題ないことを確認しています。
また、VP管には剥離の原因となる可塑剤は含まれてお らず 、将 来、
剥離の可能性は極めて少ないと考えます。
VP管が伸縮することの影響は?
ス ラ ブ に 打 ち 込 ま れ た ソ ケ ッ ト に よ り 、 VP 管 が 住 戸 内 と 屋 上 に
分離するため、住戸内の温度変化によるVP管の伸縮がアスファルト防水
に影響することはありません。
VP管の耐久性は?
VP 管 の 劣 化 の 要 因 は 紫 外 線 に よ る と こ ろ が 最 も 大 き い で す が 、
約20年間の暴露試験でもVP管は十分な強度を保持しています。
ま た 、 R ハ ッ ト に 覆 わ れ た VP 管 は 直 射 日 光 が あ た る こ と は な く 、
経年劣化により不具合が生じることは極めて少ないと考えます。
〈その他〉
Q
A
防虫網がないと虫が侵入して
しまうのでは?
特に防虫網を取り付ける必要はありません。
防虫網は目詰まりの原因となり、定期的な清掃が必要となります。
また、虫が入ってもトラップで住戸内への侵入は防ぐことができます。
鳥の巣対策は?
防 鳥 対 策 と し て 、 R ハ ッ ト の 開 口 は 2cm の ス リ ッ ト 形 状 に な っ て
います。
理由:「建物に巣を作る鳥としては、ドバト、ムクドリ、スズメの
3 種 」 で あ り 、 こ の 中 で ス ズ メ が 最 も 小 さ く 、 20mm の 巾 の 開 口 で は
「物理的にスズメは通れない」ため。(「」は大阪市自然史博物館に
よる。)
金物の耐久性は?
取 付 金 具 の プ レ ー ト 及 び 蝶 ナ ッ ト 等 は SUS304 を 使 用 し て お り 、
サビ等の腐食による問題が生じることはないと考えます。
敷ゴムとワッシャーのゴムの
耐久性は?
ワッシャーのパッキン及びRハットの底面の敷ゴムにEPDMを採用して
います。EPDMは耐熱性、耐油性があり、耐候性に優れています。
底面のゴムには紫外線が直接当たるため、ゴムのエッジ部分の劣化は
ありますが、隠蔽された部分はほとんど劣化しないため、防水層を傷つ
けないとする目的は損なわれにくいと考えます。
Rハット直下のスラブ底に
発砲ウレタンは必要ですか?
特に必要ありません。
『住宅性能表示制度』の「温熱環境」等級4では、コンクリート通気
立上、設備基礎等には内断熱が必要です。これは、外断熱が
「設備基礎」により「分断」されるためです。
しかし、Rハットには「設備基礎」はないため、外断熱の「分断」に
は該当しません。なお、当社の持込仕様は等級3ですが、「設備基礎
等」 には内断熱を施します。
(参照:『屋上部分の断熱仕様の改訂』C-net/技術部/技術NEWS/2006年2月8日掲載)
キャップの足元の防水層への
影響は?
断熱層のへこみを 防止 する ため 、R ハッ トの 下に 10mm.の 敷ゴ ムが
取り付けてあります。この敷ゴムにより、ガタツキ防止にもなります。
将来のアスファルト防水の
改修方法は?
ルーフィングを剥がさずその上から貼る、通常の改修方法が
採用できます。
防水層を剥がす場合でも、ケレン棒等でVP管に問題 とな る損 傷を
与えることはなく、砂付ルーフィングだけを削り取ることができます。
ゴンドラ作業への影響は?
丸環やハト小屋がなくても問題ありません。
丸環やコンクリートの基礎がなければ、控えや親綱はパラペットや
庇に固定した自在フックから取ります。この場合でもコストはベースの
レンタル料金の中に含まれているため、特にコストアップには
なりません。