2015.09.15 ニ ッ セ ン ケ ン 分 室 「 思 い つ き ラ ボ 」 No.48 避 難 勧 告 や避 難 指 示 の発 令 の状 況 判 断 は・・・ 9 月 防 災 月 間 という意 識 が高 まっている中 で 9 月 10 日 から 11 日 にかけて襲 っ た台 風 18 号 による記 録 的 大 雨 が鬼 怒 川 堤 防 渋井川堤防決壊 を引 き起 こ し大 洪 水 による大 きな被 害 が出 てしまいました。12 日 には東 京 湾 を震 源 地 とす る震 度 5 弱 の地 震 が関 東 で発 生 し 14 日 には熊 本 県 阿 蘇 山 が噴 煙 2,000m に達 する噴 火 によって警 戒 レベル 3(入 山 規 制 )に引 き上 げられました。自 然 災 害 が立 て続 けに起 きてしまってしまいましたが 避 難 指 示 発 令 の難 しさが浮 き彫 りになりました。 “ 勧 告 指 示 ” のタ イミ ン グ と言 いながらも “勧 告 指 示 ” のタイミングや基 準 については災 害 が起 きると必 ずといっていいほど発 令 の不 適 正 さが指 摘 を受 けます。発 令 時 が適 正 であったとしても伝 達 方 法 や伝 達 にかかる時 間 の見 込 み違 いなどが結 果 的 に不 適 切 となることが多 いためで ましてや観 測 開 始 以 来 はじめてのことや 50 年 に 1 度 の規 模 の災 害 と言 われてもこれほどの経 験 をした者 などほぼいないので適 正 を見 極 めることは まず困 難 なことになります。 平 成 17 年 3 月 に「避 難 勧 告 等 の判 断 ・伝 達 マニュアル作 成 ガイドライン」という指 標 が内 閣 府 から 示 されてこれを基 に各 自 治 体 に見 合 うガイドラインが作 られています。中 身 までは紹 介 できませんので 目 次 だけ記 しますと 避難勧告等の判断・伝達マニュアル作成ガイドライン とあるように勧 告 目次 1. はじめに 2. 本ガイドラインについて 3. 各種災害の特性 4. 対象とする災害及び警戒すべき区間・箇所 5. 避難すべき区域 6. 避 難 勧 告 等 の 発 令 の 判 断 基 準( 具 体 的 な 考 え 方 ) 7. 津波に対する避難指示の発令等 8. 避難勧告等の伝達方法 指 示 の発 令 に関 しては場 所 も判 断 基 準 も伝 達 方 法 も記 載 されてはいます。ただ判 断 基 準 はあっても判 断 するのは自 治 体 の責 任 者 となりますので ある意 味 個 人 判 断 となります。さらに 伝 達 時 間 のズレによる判 断 も考 えると適 正 な指 示 が出 せるほうが不 思 議 なことになります。ということな ので自 治 体 の判 断 を待 ちながらも最 終 的 には自 己 判 断 が必 要 であるということも意 識 しておかなければ なりません。 一般財団法人ニッセンケン品質評価センター 〒111-0051 東京都台東区蔵前 2-16-11 (本部) TEL: 03-3861-2341 FAX: 03-3861-4280 WEB: www.nissenken.or.jp 2015.09.15 判 断 の重 要 性 ちょっと不 謹 慎 な言 い方 になりますが災 害 に関 する情 報 は平 穏 なときには頭 に入 りにくいことなのですが 大 きな災 害 に接 すると急 に関 心 度 が高 まります。 ということでこの機 会 に避 難 勧 告 等 の情 報 を 1 度 整 理 しておきたいと思 います。避 難 勧 告 等 発 令 に関 しても内 閣 府 が指 針 をだしていて現 在 は三 類 型 として 次 のような区 分 になっています。 避難準備(要援護者避難)情報 要援護者等、特に避難行動に時間を要する者が避難行動を開始しなければな らない段階であり、人的被害の発生する可能性が高まった状況 避難勧告 通常の避難行動ができる者が避難行動を開始しなければならない段階であ り、人的被害の発生する可能性が明らかに高まった状況 避難指示 ・前兆現象の発生や、現在の切迫した状況から、人的被害の発生する危険性 が非常に高いと判断された状況 ・堤防の隣接地等、地域の特性等から人的被害の発生する危険性が非常に高 いと判断された状況 ・人的被害の発生した状況 注釈として 自然現象のため不測の事態等も想定されることから、避難行動は計画され た避難場所等に避難することが必ずしも適切ではなく、事態の切迫した状 況等に応じて、自宅や隣接建物の 2 階等に避難することもある。 となっています。注釈まで読めば自己判断も必要ですよという文章になっています。自治体 の指示だけ待っていてもダメですよということなのですが かといって自治体の避難指示に 対 し て 行 動 を と ら な い こ と も 問 題 に な っ て い ま す 。 過 去 避 難 指 示 が で て も 対 象 者 が 100 人 以 上 の 場 合 は 実 際 の 避 難 率 は 20% 以 下 が ほ と ん ど で 対 象 者 1,000 人 以 上 に な る と 10% 以 下 も珍しくありません。 “避難指示伝達を聞いていない” “緊急放送が聞こえない” “音は聞こえ ても内容が聞き取れない”などが理由ではあるのですがほとんどが“ここは大丈夫”という 過信からきています。いままで起こってないことに対する人間の本能的判断ということにな るようです。 今回の思いつきラボはいつもと違うちょっと堅苦しい内容になって しまいましたが 防災月間ということで身近に起きた災害ですので こんな情報も知っておいていただきたいと思います。まだしばらく は台風シーズンです。集中豪雨 それにしても 暴風 落雷にもご注意ください。 50 年 に 1 度 の 災 害 が 多 す ぎ ま す ・ ・ ・ 。 原稿担当:竹中 直(チョク) 一般財団法人ニッセンケン品質評価センター 〒111-0051 東京都台東区蔵前 2-16-11 (本部) TEL: 03-3861-2341 FAX: 03-3861-4280 WEB: www.nissenken.or.jp
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