ASEAN経済共同体の進捗評価と AECスコアカードを巡る諸問題

細を二年に一度公表している︵二
SEAN事務局が作成し、その詳
た モ ニ タ リ ン グ 手 法 で あ る ⑷。A
の進捗を評価するために開発され
で あ る。 特 定 の 措 置︵ た と え ば、
価を行っているという点で包括的
記載されたすべての措置の進捗評
ードは、AECブループリントに
施済﹂としたうえで、AECの四
二実施措置のうち六七・五%が実
れ た 報 告 書 で は、﹁ フ ェ ー ズ 一・
たとえば、二〇一二年春に発表さ
体の進捗度合いを把握したい者に
っ て も 物 足 り な い が ⑹、AEC 全
め、特定国に関心を有する者にと
国別の情報が公表されていないた
っている場合には物足りず、また、
〇 一 〇 年 三 月、 二 〇 一 二 年 三 月 ︶。 サービス貿易自由化︶に関心を持
る。二〇一五年一二月三一日から
本柱ごとの実施率も公表された
福永 佳史
二〇一六年一月一日にかけて大き
ASEAN経済共同体の進捗評価と
AECスコアカードを巡る諸問題
●はじめに
A S E A N 経 済 共 同 体︵ 以 下、
とっては非常に有用な情報を提供
な変化があるわけではない。逆に、 ︵ ① 単 一 市 場・ 生 産 基 地
成果をあげている分野もある。A
の統合
八 五・ 七 %︶。 こ の よ う
六六・七%、④グローバル経済へ
六七・九%、③公平な経済発展
スコアの詳細が公表されていない
様 々 な 限 界 を 含 ん で い る ⑺。 ま ず、
ド の 存 在 は 極 め て 有 益 で あ る が、
このように、AECスコアカー
する。
六 五・
AEC︶の実現期限︵二〇一五年
ASEAN先進六カ国の関税撤廃
製造拠点として、市場として、そ
ECの成果は、これまで七年間の
に、AECスコアカードは措置の
ため、第三者による検証がほぼ不
九% 、 ② 競 争 力 の あ る 経 済 地 域
一 二 月 三 一 日 ︶ ま で、 残 す と こ
して日中関係が悪化するなかでの
成果とこれから一年間の成果の総
可能である。第二に、ASEAN
ろ 一 年 強 と な っ た ⑴。 日 系 企 業 は、 ︵ 二 〇 一 〇 年 ︶ な ど、 既 に 大 き な
チャイナ・プラス・ワンの投資先
で﹁コンプライアンス型﹂の評価
体 と し て 評 価 さ れ る べ き で あ る ⑵。 実施率を測る手法であるという点
Nから九カ国がランクインしてい
国・地域の上位二〇位にASEA
︵今後三年程度︶有望事業展開先
製造業に対する調査では、中期的
力銀行が二〇一三年に行った日系
コ ア カ ー ド ︶ で あ る ⑶。 本 稿 で は、 ASEAN事務局が策定し、定期
ス コ ア カ ー ド ﹂︵ 以 下、 A E C ス
る の が、﹁ A S E A N 経 済 共 同 体
を評価する際、最もよく引用され
ければならない。AECの進捗度
いう点に、十分な注意が払われな
れまでに何を達成してきたのかと
的にASEAN首脳会議、ASE
有用な文書である。第一に、スコ
包括性という二点において極めて
題がある。梅
する限り、唯一の公的資料である。 い る が、 実 態 は 自 己 評 価 に 近 い。
アカードは、AECの実施率に関
各国が批准したか否かを判断基準
AE C 施 策 の 実 施 評 価 に つ い て、
三者による評価との形式を取って
基礎としている。したがって、第
SEAN加盟国各国の自己申告を
そういう意味では、AECがこ
として、ASEANに大きな関心
る。こうしたなか、AECがこれ
実施率の数値は首脳会議・経済大
AN 経 済 大 臣 会 合 等 に 報 告 さ れ、
としているため、国内関連法制度
を持っている。たとえば、国際協
までに何を実現してきたのか、残
AECスコアカードを巡る諸問題
臣会合の各種声明、ASEAN事
の整備状況等は評価対象とならな
事務局が取りまとめる文書ではあ
り一年で何が変わるのか、現状と
を検討する。
務総長のスピーチ等において頻繁
い︵ 参 考 文 献 ⑫ ︶。 こ の た め、 産
手法である ⑸。
将来展望を正確に理解し、企業戦
●AECスコアカードの意義
と課題
に引用される。第二に、スコアカ
AEC構築に向けた努力は、二
によれば、一部の
第 三 に、﹁ 実 施 ﹂ の 判 断 時 点 の 問
AECスコアカードは、公式性、 るが、その評価過程において、A
〇〇七年のAECブループリント
AECスコアカードは、AEC
略を構築していく必要がある。
以前から営々と続けられてきてい
36
アジ研ワールド・トレンド No.231(2015. 1)
ASEAN経済共同体の進捗評価とAECスコアカードを巡る諸問題
湾を抱える島嶼国︵インドネシア
施﹂との評価となる。数多くの港
導 入 さ れ て い た と し て も、﹁ 未 実
物量の九五%以上の港湾において
完全実施を要件とすると、取扱貨
る評価を行う際、全ての港湾での
SW︶を導入するとの目標に関す
ナル・シングル・ウィンドウ︵N
考慮されない。たとえば、ナショ
カードでは、中間的な進捗が全く
あり得る。第四に、AECスコア
施済﹂と評価されることが大いに
れていると言い難い場合でも、﹁実
業界からすれば、現実には導入さ
タリングの基礎となっている。
がAECスコアカードによるモニ
実施措置が記載されており、これ
ュール﹂では、各フェーズごとの
ントに付属された﹁戦略的スケジ
四︱一五年︶である。ブループリ
︱ 一 三 年 ︶、 フ ェ ー ズ 四︵ 二 〇 一
一 一 年 ︶、 フ ェ ー ズ 三︵ 二 〇 一 二
九 年 ︶、 フ ェ ー ズ 二︵ 二 〇 一 〇 ︱
した。フェーズ一︵二〇〇八︱〇
うえで、実施期間を四段階に区分
一五年を目標達成期限と設定した
いる。ブループリントでは、二〇
AECブループリントで描かれて
年に首脳会議において採択された
四・五%、七七・五%、七九・七%
け、六七・九%、七二・〇%、七
けて、実施率の数値は更新され続
その後、二〇一二︱一三年にか
評価している。
二を通じた実施率を六七・五%と
る。実際、二〇一二年版報告書で
向けた努力を継続していたのであ
EANは計画に沿って政策実施に
が撤回されたわけではない。AS
ある。無論、既に実施された措置
価対象となる措置の総体︶につい
七%であった。この数値の分母︵評
長声明において発表された七九・
の第二一回ASEAN首脳会議議
・ 七 %︵ 七 三・ 六 % よ り も 改 善 ︶、 くなってしまった。二〇一四年の
は、フェーズ一措置の実施率八六
て、 三 つ の 可 能 性 が 考 え ら れ る。
八 % と し た う え で、 フ ェ ー ズ 一、 施率の数値は、二〇一三年一〇月
フェーズ二措置の実施率を五五・
第一の可能性は、全期間、すなわ
体何を評価しているのか定かでな
った結果、公表された数値が、一
評価対象期間が明示されなくな
なった︵表1︶。
といった表現が用いられるように
単に﹁AEC措置の○○%を実施﹂
経済大臣会合の前に発表された実
等︶にとって負担の大きな評価手
になっている。二〇一〇年版報告
実施度合いを評価するという構成
施率を引用する場合には、何らか
〇一〇年版報告書の発表以後、実
問題は評価対象期間である。二
率が七四・五%に向上した﹂と端
は﹁AECブループリントの実施
年前の第一九回首脳会議議長声明
れている可能性である。実際、一
ち二〇〇八︱一五年に実施予定の
措置ごとの重要度の差は反映され
書は、フェーズ一︵二〇〇八︱〇
の形で評価対象期間が分かるよう
的に述べている。しかし、当該実
AEC措置全てが評価対象に含ま
ない。﹁○○行動計画を実施する﹂
九年︶までに実施する予定の措置
な文言が挿入されていた。たとえ
施率の数値は明らかにAECスコ
と公表の度に実施率の数値が改善
といった形で実質的に三〇措置の
に限定した評価を行った結果、実
S E A N 首 脳 会 議 議 長 声 明 で は、 アカードを基礎としており、この
ば、二〇一二年四月の第二〇回A
ような可能性は低い。第二の可能
してきた。
すなわち、AECスコアカード
措 置 が 規 定 さ れ て い た と し て も、
施 率 七 三・ 六 % と の 評 価 を 行 っ
性は、フェーズ三期間が終了して
法といえる。第五に、評価対象と
スコアカードでは﹁一措置﹂とし
た。同様に、二〇一二年三月に公
﹁二〇〇八年から二〇一一年の期
いないことから、フェーズ三の評
されている措置数に着目する結果、 は、この四段階のフェーズごとの
て評価される。
表された報告書では、フェーズ一
間の全体的なAECブループリン
価は全く行っておらず、フェーズ
ト実施率は六七・九%﹂と述べて
て、実施率六七・五%と公表した。 いた。しかし、二〇一二年一一月
一・二措置の実施率を更新・公表
およびフェーズ二、つまり二〇〇
の第二一回ASEAN首脳会議議
している可能性である。この場合、
八︱一一年の実施予定措置につい
あまり注目されてこなかった問題
ここで注目すべきは、二〇一〇年
長声明を機に、評価対象期間を明
こうした課題に加え、これまで
として、評価対象期間を巡る問題
から二〇一二年にかけて、実施率
示 す る 文 言 が 挿 入 さ れ な く な り、 七九・七%という実施率は、AE
●AECスコアカードの評価
対象期間問題
がある。
が悪化しているように見える点で
AECの基本設計は、二〇〇七
アジ研ワールド・トレンド No.231(2015. 1)
37
スコア
評価結果の 措置数の明示
評価対象期間
カードへ 数値の言及 (実施済/評価
の明示
の言及 (「実施率」)
対象政策)
会合/文書
年月
-
10/2010
第 17 回首脳会議
○
×
-
△ (2008-09)
05/2011
第 18 回首脳会議
△
×
-
△ (2010-11)
08/2011
第 43 回経済大臣会合
×
×
-
11/2011
第 19 回首脳会議
○
×
-
03/2012
AEC スコアカード報告書②
○
○ (67.5% )
○ (187/277)
○ (2008-11)
04/2012
第 20 回首脳会議
○
○ (67.9% )
×
○ (2008-11)
08/2012
第 44 回経済大臣会合
×
○ (72.0% )
×
△ (2008-11)
11/2012
第 21 回首脳会議
×
○ (74.5% )
×
×
04/2013
第 22 回首脳会議
×
○ (77.54% )
○ (259/334)
×
08/2013
第 45 回経済大臣会合
×
○ (79.4% )
×
×
10/2013
第 23 回首脳会議
×
○ (79.7% )
○ (279/350)
×
05/2014
第 24 回首脳会議
×
×
-
08/2014
第 46 回経済大臣会合
×
○ (82.1% )
○ (188/229)
○ (-2013)
?%
52/?
(2014-15)
のであることから、AEC全体で
言えば、実施率は四割程度である
という意味合いになる。第三の可
能性は、フェーズ三実施予定措置
評価対象に含まれているという可
能性である。ASEAN事務局担
当者が行ったプレゼンテーション
資料によると、二〇一二年一一月
かも、AECブループリント全体
価に過ぎないにも関わらず、あた
で、実施期間の一部についての評
施率の数字が広く引用されるなか
て実際に、スコアカードによる実
が引用される可能性がある。そし
解を欠いた形で、結果の数値だけ
評価対象期間についての正確な理
とつの可能性は、実施率の﹁低下﹂
たのではないかと考えられる。ひ
た報告書に何らかの不都合があっ
うした経緯から、公表予定であっ
率の数値の言及が回避された。こ
は、実に二年ぶりに、AEC実施
の第二四回ASEAN首脳会議で
て い た ⑽に も 関 わ ら ず、 同 年 五 月
要課題のひとつと事前に認識され
を併せて勘案すれば、第三の解釈
AECスコアカードの第三弾報
●評価対象期間問題と二〇一
四年版報告書を巡る混乱
版よりも数値が悪化している。し
が公表された際には、二〇一〇年
二〇一二年版スコアカード報告書
38
アジ研ワールド・トレンド No.231(2015. 1)
し、ひとたび数値が公表されると、 さらに、AECスコアカードが重
の実施率であるかのような誤解が
発表予定であった二〇一四年版
形 成 さ れ て い っ た。 そ の 原 因 は、 であろう。
ASEAN自身にある。既に述べ
が一番合理的であるといえよう。
告書は、二〇一四年三月公表予定
であったが、見送られてしまった。 か し、﹁ A E C 実 施 率 八 〇%﹂ と
以上、当然の帰結であるし、実際、
このような評価手法自体、直ち
に問題があるわけではない。しか
点までに実施予定であったものは、 措置数が徐々に増加していること
についても、二〇一三年一〇月時
(注)「○」は言及があること、「△」は間接的に言及があること、「×」は言及がないことを意味する。
「 - 」は実施率が言及されていない、○とも×とも言えない。
(出所)各種公式文書。
報告書では、二〇一二︱一三年実
×
たとおり、ASEANの公式文書
×
○
施予定措置の全てが評価対象に含
×
第 42 回経済大臣会合
において評価対象期間への言及が
第 16 回首脳会議
08/2010
まれることとなる。二〇一三年一
04/2010
省略されてしまったのである。こ
○ (2008-09)
〇月現在では評価対象に含まれて
○ (81/110)
の結果、レルオミンASEAN事
○ (73.6% )
いなかった措置が、二〇一三年一
○
二月時点では評価対象に加えら
AEC スコアカード報告書①
務総長が、二〇一三年七月に﹁A
03/2010
SEANは、AECブループリン
-
る。評価対象期間の差はわずか二
×
トの措置のほぼ八〇% を実施し
○
カ月であるが、ここに未実施措置
第 15 回首脳会議
た﹂と言及しているなど ⑼、ASE
10/2009
が相対的に多く残されていた結果、
-
AN自身が誤解を拡散した嫌いが
×
に公表された七四・五%との数値
○
スコアカードの評価結果が七九・
第 41 回経済大臣会合
ある。こうした背景から、AEC
08/2009
は、フェーズ三実施予定措置のう
-
七%を若干下回ってしまった可能
×
スコアカードが二〇一四年のAS
○
ち、二〇一二年一〇月までに実施
第 14 回首脳会議
性 が 高 い ⑾。 こ の よ う に 数 値 が 一
03/2009
EAN経済大臣プロセスの隠れた
-
予定であった四四措置を評価対象
×
時 的 に 悪 化 す る こ と が あ る の は、
×
○
に 含 ん で い た こ と を 示 し て い る ⑻。 主要アジェンダとなった。
○
第 40 回経済大臣会合
対象期間を区切った形で評価する
第 13 回首脳会議
08/2008
二〇一二年一一月以降、評価対象
11/2007
C全体の半分を評価対象としたも
表1 AEC スコアカードに関する公式文書での言及
ASEAN経済共同体の進捗評価とAECスコアカードを巡る諸問題
の誤解が広く普及したなかで、八
た 可 能 性 が あ る よ う に 思 わ れ る。 カードというモニタリング手法自
リングの趣旨が曲げられてしまっ
界と問題点を含んでいる。スコア
〇%未満の数値を公表することに
三︶が規定している。
⑸ こ の 帰 結 と し て、 A S E A N
ことで形を整えたが、同大臣会合
八二・一%を実施済﹂と発表する
までに実施予定の優先主要措置の
ECの実現に向け、二〇一三年末
回ASEAN経済大臣会合は、﹁A
結局、二〇一四年八月、第四六
なったものと考えられる。
二〇一四年版報告書の公表延期と
に評価されており、二〇一四年八
年実施予定の優先主要措置は、別
たはずであるが、二〇一四︱一五
切り替えることが視野に入ってい
施予定措置全体を評価する手法に
まえれば、二〇〇八︱一五年の実
限定されている。今回の経緯を踏
﹁二〇一三年までに実施予定﹂と
A E C 関 連 措 置 の 実 施 度 合 い も、
AS E AN は﹁ 遅 々 と し て 進 む ﹂。
断したり、下降していることをも
とだけを持って進捗していると判
利用者は、数値が上昇しているこ
は建設的な態度ではない。数値の
といって、その意義を否定するの
のスコアカードの手法が維持され、 程 ⒁で あ る 以 上、 問 題 が あ る か ら
を受け、こうした課題を克服す
厳密な意味を解釈する必要がある。 ⑺ASEAN経済大臣会合の要請
って後退したと判断することなく、
る新たな方策を検討しているの
していない点を批判している。
アカードが国別の実施率を公表
⑹参考文献④は、特にAECスコ
摘している︵参考文献⑤︶。
ては全く計測していない点を指
置実施によるインパクトについ
体が、ASEANの試行錯誤の過
の議長声明の文言を注意深く理解
月現在、五二措置が実施済と評価
が、東アジア・ASEAN経済
は問題があるとの認識が共有され、 他方、評価対象期間自体は、従来
する必要がある。第一に、本議長
されている︵評価対象措置数不明︶。 スコアカードの実施自体も、中期
事務局の担当局長であった Rilo
氏は、AECスコアカードが措
声明では、評価対象を﹁優先主要
研究センター︵ERIA︶によ
AECスコアカードへの関心は
的な観点でフォローしていく姿勢
措 置 ﹂︵
るAECスコアカードプロジェ
⑿
prioritized key delivera-
高く、なるべく早期に、優先主要
措置の内容とともに、評価の詳細
が公表されることに期待したい。
点︵二〇一四年九月︶でも公表さ
コアカード報告書は、本稿執筆時
ることが分かる。二〇一四年版ス
全体ではなく、その部分集合であ
徐々に制度的な基盤を強化してい
N 憲 章 発 効 な ど、 A S E A N が
る。また、二〇〇八年のASEA
ドは有意義な情報を提供してい
つ者にとって、AECスコアカー
AECの進捗度合いに関心を持
⑶AECスコアカードによる評価
献⑭を参照。
する日本語文献として、参考文
⑵二〇一四年八月現在の評価に関
同プレゼンテーショ
Myanmar.
ンでは、二〇一二年一〇月時点
献⑦が公表されている。
なった初期の研究として参考文
料とされているが、その原型と
クトである。いずれも非公開資
が重要であろう。
︶に限定している 。従来の言
bles
葉遣いであれば、単にAEC関連
措置︵ AEC measures
︶などとい
った表現を使うべきところである
︵ ふ く な が よ し ふ み / 東 ア ジ ア・
A S E A N経済研究センター上級
政策調整官︶
れておらず、優先主要措置に何が
くなかで、ASEAN事務局がは
での実施率七四・五%の数値を
●最後に
含まれるのかは定かでないが、従
結果に関する解説として、参考
説明しており、フェーズ三措置
が、今回の評価対象はAEC措置
来の評価対象よりも措置数が減少
じめてモニタリング機能を発揮し
文献⑧を参照。
の内数として、二〇一二年一月
参考文献⑩⑪を参照。
March 2013, Nay Pyi Taw,
Economic Community, 21-22
Myanmar and the ASEAN
Robeniol at the Workshop on
Presentation by Ann M.
し た こ と は 明 ら か で あ る ⒀。 先 の
た事例として、AECスコアカー
⑷ A E C ス コ ア カ ー ド の 根 拠 は、
から二〇一二年一〇月までに実
⑻
議論の経緯に照らせば、八〇%を
ドは歴史的にも重要な意義を有す
AECブループリント︵パラ七
︽注︾
超える数値の公表が優先され、実
る。しかし、その手法は多くの限
⑴AECの一般的な解説としては、
施状況の把握という本来のモニタ
アジ研ワールド・トレンド No.231(2015. 1)
39
施目標とされた措置数を総数四
四としたうえで、三一措置が実
料において、二〇一三年一二月
︶。
en0-1398737930.pdf
⑾脚注⑻において説明したとおり、
他方、二〇一三年一〇月公表数
措 置 数 は 二 二 九 措 置 で あ っ た。
⑥
⑤
pdf/2014/04/29/indonesiaterus-dorong-asean-atasi- ④
AN 事務局経済担当事務次長
時点のフェーズ一︱三実施率が
hambatan-tarif-dan-non-tarif-
の Sundram
氏が経済広報セン
ターで行った講演の配布資料
施済として評価対象に加えられ
では、フェーズ一実施率八九・
七九・七%を下回っていたこと
て い る。 こ の ほ か、 元 A S E
五%、フェーズ二実施率七二・
が示唆されている。
前ASEAN事務次長の講演資
一%、フェーズ三実施率七九・
れている。厳密な評価の時期は
値の対象措置数は、三五〇措置
⑿表1に記載しているとおり、二
不明であるが、文脈上二〇一三
であった。このため、一二一措
七%、二〇一三年までの総合実
年一二月現在である可能性が高
置分が評価対象から外されたこ
〇一四年八月公表の数値の対象
い。この場合、フェーズ一・二
とが分かる。
施率八〇%という数値が言及さ
実 施 率 は 七 八・ 七 % と な る た
担 当 局 長 で あ っ た Rilo
氏自身
が 強 調 し て い る︵ 参 考 文 献 ⑤ ︶。
⒀この点は、ASEAN事務局の
め、フェーズ一︱三実施率は七
九・七%未満となる。
http://www.asean.org/news/
⑼ASEAN事務局ウェブサイト
︵
②
資研究所、二〇一二年、一〇一
よ る 評 価 ︱﹂﹃ 季 刊 国 際 貿 易
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業の海外事業展開に関する調査
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report-2012-2013
⑽二〇一四年四月に開催されたS
E O M 会 合 に お い て、 首 脳 会
議に向けた未解決の問題の筆
頭としてAEC スコアカード
ASEAN Secretariat. 2010.
munity Scorecard. Jakarta:
︱
http:// ③
が 討 議 さ れ た︵ イ ン ド ネ シ ア
貿易省ウェブサイト
www.kemendag.go.id/files/
40
アジ研ワールド・トレンド No.231(2015. 1)