コンクリート診断士

■コンクリート診断士はどんな制度?
「コンクリート診断士」資格は,2001年度に社団法人日本コンクリート工学協会(現,公益社
団法人日本コンクリート工学会,以下,日本コンクリート工学会)が設立した制度で,コンクリ
ート構造物の診断や維持管理に関する幅広い知識を持った技術者を養成し,社会に貢献すること
を目的にしたものである。
■コンクリート診断士とは? (「2016年度コンクリート診断士講習会および試験のご案内)より作成)
コンクリート診断士(診断士という)は,日本コ ン ク リ ー ト 工 学 会 が実施する講習会を受講し,
さらに試験によって相応のレベルのコンクリート診断・維持管理の知識・技術を保有していると認
定され,さらに登録した方に与えられる称号である。またその能力を維持・向上させるために定
期的な研修の受講を求められる。法に定められたものではないが,公的機関でも認められ,一部
では,工事発注の要件に挙げられるほど,コンクリート診断士に対する評価は高まっている。
これまでのコンクリート関連の資格が,新設構造物に使用するコンクリートの設計・製造・施工
に主として関わってきたのに対して,診断士は蓄積されている膨大な既存コンクリート構造物を
対象とするところに特徴がある。診断士は,その活動によって社会的な信頼を高めつつあり,多く
の分野で重用され,活躍の場が広がっている。
■受験資格
コンクリート診断士試験を受験できるのは,2016年5月1日において,下記の表のA またはB の
一つに該当に該当する者である。
S-1
2016 年度コンクリート診断士受験資格
コンクリート
技術関係業務
(注 1)の実務
必要経験年数
資格または学歴
コンクリート
診断士講習会
コンクリート主任技士,コンクリート
技士
一級建築士
技術士(建設部門,農業部門-農業土木)
特別上級・上級・1級土木技術者(土 いずれかを登録しているこ
と
木学会)
A RCCM(鋼構造及びコンクリート)
(建設コンサルタンツ協会)
コンクリート構造診断士(プレス
トレストコンクリート工学会)
大学
高等専門学校(専攻科)
実務経歴の記
入および勤務 1.コンクリート診断士講
先の証明など 習会の受講が必須
講習会受講修了証は2
は不要
年間有効
2.2015 年度コンクリート
診断士講習会修了者は
監理技術者資格者証を有す
2016 年度の受講は免除
ること
3.2014 年度以前のコンク
リート診断士講習会受
コンクリートに関する科目
4 年以上注 3)
注2)
講者は再度受講が必要
を履修した卒業者
短期大学
高等専門学校
コンクリートに関する科目
6 年以上
を履修した卒業者注2)
高等学校
コンクリートに関する科目
8 年以上
を履修した卒業者注2)
一級土木施工管理技士または
一級建築施工管理技士
B
(注1)コンクリート技術関係業務:レディーミクストコンクリート・コンクリート製品の製造,コンクリート
の施工管理,コンクリートの設計ならびにコンクリートの試験・研究等に関する業務をいう。
(注2)コンクリート技術に関する科目(コンクリート工学,土木材料学, 建築材料学,セメント化学,無機材
料工学,等)
(注3)大学院でコンクリートに関する研究を行った人は,その期間を実務経験とみなしますが,この場合実務
経歴書に研究テーマの記入と,大学院の修了証明書が必要である。
※受験資格Aで受験する場合は,登録証・登録証明書などのコピーが必要です。受験資格Bで受験する場合は,
卒業証明書およびコンクリート技術に関する科目の履修(成績または単位取得)証明書が必要である。また,
実務経歴の証明に,勤務先の押印(公印)および勤務先の事業主または所属長の記名が必要である。
※「2016 年度コンクリート診断士試験のご案内」を元に作成した。
■イベントスケジュール
コンクリート診断士試験受験のための手続きは,下図の通りである。
1 月 6 日(水)~ 22 日(金)
講習会受講
申し込み
4 月 2 日(土)~4 月 26 日(火)
講習会受講
4 月 18 日(月)~5 月 20 日(金)
受験申込み
7 月 24 日(日)
9 月末
コンクリート診
断士試験受験
合格発表
登録
S-2
2015 年度講習会終了者
■合格者の推移
2001 年度からの合格者数および合格率は下図,下表の通りである。2015 年度の合格率は 14.8%
とで,概ね 14~19%である。(詳細は,日本コンクリート工学会ホームページを参照)
合格者数(人)
合格率(%)
1600
20
合格率
1200
15
800
10
合格者数
400
0
5
01 02 03 04 05 06 07 08 09 10 11 12 13 14 15
0
年度
年度
受験者数
合格者数
合格率(%)
2005 年
4,894
792
16.2
2006 年
4,853
747
15.4
2007 年
4,726
891
18.9
2008 年
4,888
776
15.9
2009 年
5,040
764
15.2
2010 年
5,998
1,047
17.5
2011 年
5,640
887
15.7
2012 年
4,945
818
16.5
2013 年
5,241
694
13.2
2014 年
4,990
790
15.8
2015 年
5,462
806
14.8
■コンクリート診断士の役割と活躍
構 造 物 診 断 は ,中 立 的 な 立 場 で 行 う こ と が 必 要 で ,構 造 物 の 管 理 者 が コ ン ク リ ー ト
診 断 士 の 活 用 を 求 め る ケ ー ス が 増 え て い る 。と く に ,調 査 ・ 診 断 業 務 に 従 事 す る 技 術
者 に と っ て は ,そ の 能 力 を 証 明 す る も の で あ り ,責 任 あ る 立 場 で 業 務 を 遂 行 す る た め
に も 必 須 の 資 格 で あ る と 考 え ら れ る 。こ の よ う な 社 会 的 背 景 か ら も コンクリート診断士
について国土交通省,都道府県の業務発注および土木学会コンクリート標準示方書では以下のよ
S-3
うに記述されている。
国土交通省は,建設コンサルタント業務を発注する際に使用する「建設コンサルタント業務等
におけるプロポーザル方式及び総合評価落札方式の運用ガイドライン」の平成27年3月改定に際
し,土木分野のプロポーザル方式における予定技術者の資格要件として,当該業務について国土
交通省の「技術者資格登録簿」の区分に該当する資格の記載がない場合や,区分に該当があって
も管理技術者,照査技術者および担当技術者のうち係る資格の記載がないものについては,技術
者の資格の評価順序を①技術士,博士,②RCCM,土木学会認定技術者,コンクリート診断士,土
木鋼構造診断士などとしており,コンクリート構造物の維持・修繕に関する業務に適用する技術
者資格としてコンクリート診断士が明記されている。
また,一部の都道府県発注工事において,①~②のようにコンクリート診断士の資格が評価さ
れるようになってきている。①橋梁,浄水場,汚水処理場等のコンクリート構造物初期点検委託
業務の「点検の実施体制」の項には,「コンクリート診断士を有する者を責任者として1名以上
配置する」,また「橋梁長寿命化修繕計画策定業務委託」において「コンクリート構造物診断技
術者として,コンクリート診断士を必須とする」との記述や明記があり,②簡易プロポーザル方
式の補修工事における「技術提案書の特定」をする際の技術者評価において,設計技術者資格(管
理技術者),施工技術者資格(主任技術者又は監理技術者)に対して,コンクリート診断士の資
格がある場合に評価(加点)されている。また,総合評価落札方式等における技術資料作成にお
いて,「コンクリート診断士の資格を評価」と明記されている。(以上,「2016年度コンクリー
ト診断士試験のご案内」を元に作成した。)
土 木 学 会 2012年 度 版 コ ン ク リ ー ト 標 準 示 方 書( 基 本 原 則 編 )の 用 語 の 定 義 で コ ン ク
リート診断士は「コンクリート専門技術者」として記述されている。
ま た ,コ ン ト ラ ク タ ー や コ ン サ ル タ ン ト ,構 造 物 の 管 理 者 は ,そ れ ぞ れ の 立 場 で よ
り よ い 維 持 管 理 に 貢 献 す る 必 要 が あ り ,そ の た め の 技 術 力 向 上 ,意 識 の 啓 発 に 役 立 つ
資 格 で あ る と い う こ と が で き る 。技 術 士 や 土 木 学 会 資 格 な ど ,さ ら に 上 級 の 資 格 を 目
指すための足がかりとなる資格でもある。
コンクリート診断士は,次のような分野で活躍中です。
・コンクリート構造物の調査・診断会社
・コントラクターやコンサルタントのリニューアル部門
・セメントやレディーミクストコンクリート、工場製品などの製造会社
・インフラストラクチャーの管理者
・その他の広範な分野
■どんな知識が求められるか?
診断士はコンクリートの耐久性,とくに劣化を主として診断するので,適正な測定個所の選定
等は構造の知識がなくてはならない。コンクリートの劣化診断を行うために必要な知識・技術を
試験項目に対応して下表に示す。なお,コンクリートの基礎知識はベースとして必要である。
S-4
試験で問われる項目と内容
試験項目
項目の主な内容
(1)変状の種類と原因
ひび割れ,浮き,剥落,内部欠陥,変形,振動など
(2)劣化の機構
中性化,塩害,アルカリシリカ反応(ASR),凍害,化学的腐
食,疲労など
(3)調査方法
・外観調査(目視調査など)
・コンクリート強度試験(コア試験,反発硬度など)
・ひび割れ・はく離・空洞(サーモグラフィー,弾性波,AE,
レーダー法など)
・鉄筋・かぶり・埋設物(電磁誘導,レーダー法,X 線法など)
・配合・微細構造・化学成分(配合推定,SEM,EPMA など)
・鉄筋腐食(中性化深さ,塩化物イオン量,鉄筋腐食量,自
然電位など)
・ASR(アルカリ量,反応性,残存膨張量など)
・火災
(4)劣化の予測・評価および
中性化,塩害,凍害,ASR,化学的腐食,疲労など
判定基準
(5)対策の種類,補修・補強
対策の種類,補修・補強の定義と工法,工法選定など
工法
(6)建築物あるいは土木構造物
の診断の考え方・調査方法
構造物の調査・判定・対策(建築物,橋梁など)
(7)技術および基準類の変遷
基準,JIS,JASS,コンクリート標準示方書など
■出題形式は?
コンクリート診断士試験の出題形式は,下表に示すように四肢択一式問題と記述式問題である。
なお,コンクリート診断士試験の四肢択一問題および記述式問題のそれぞれに足切り点がある。
四肢択一問題数および記述式問題の字数は2015年度の実績である。
コンクリート診断士試験
制限時間:3.5 時間
・四肢択一式問題
・40 題
・記述式問題
・問題 A(必須)
問題 B(2 題から 1 題を選択)
合計 2 題:問題 A 1,000 字以内
問題 B 1,000 字以内
■想定合格ラインは?
想定合格ラインの目安は,四肢択一式問題で 70%程度と想定されており,四肢択一式問題と記
述式問題のウエイトは,記述式の方が大きいとも言われている。
■四肢択一式問題の出題傾向と対策
これまでの出題傾向を次表に分類して示す。なお,各分類(分類記号を含む)は筆者による分
類であり,それぞれの年度の出題数の合計は,2 分野にまたがる場合があるので 40 題(2010 年以
前は 50 題)以上となっている。
S-5
最近の傾向として,調査手法,劣化の評価・判定が幾分多く出題されているが大分類で見ると
ほぼ均等に出題されるようになってきている。分類ごとの出題数は,どのような項目についてよ
く出題されているかの参考にしていただきたい。
大分類における出題傾向(出題数)
大分類
01~10
2011
2012
2013
2014
2015
合計
最近 5 年計
変状の種類と原因
71
10
9
12
10
13
125
54(10.8)
劣化のメカニズム
128
14
12
13
9
8
184
56(11.2)
調査手法
160
9
13
14
11
16
223
63(12.6)
劣化の評価・判定
116
9
15
9
16
20
185
69(13.8)
対策・補修・補強工法
133
16
15
14
10
14
202
69(13.8)
注)(
)内は,年当たりの出題数平均
小分類における出題傾向(出題数)
小分類
01~10
2011
2012
2013
2014
2015
合計
最近 5 年計
各種変状・劣化
93
11
13
12
11
22
162
69(13.8)
中性化
46
4
2
4
2
5
63
17(3.4)
塩害
53
4
1
4
4
6
72
19(3.8)
アルカリ骨材反応
45
4
3
4
5
2
63
18(3.6)
化学的腐食
26
3
1
3
2
2
37
11(2.2)
成分溶出・摩耗
12
1
0
1
2
0
16
4(0.8)
凍害
26
3
5
3
5
1
43
17(3.4)
疲労
25
3
4
3
5
2
42
17(3.4)
火災
24
2
7
2
2
3
40
16(3.2)
1
0
0
0
0
0
1
0(0)
9
9
9(1.8)
0
10
5(1)
乾湿繰り返し他
構造性能他
規格・基準類
注)(
5
1
2
)内は,年当たりの出題数平均
S-6
2
0
分野ごとの出題数(1)
大分類
変状の種類
と原因
小分類
01-10
11
12
13
14
15
合計
最近 5 年計
初期欠陥
15
2
1
2
1
2
23
8(1.6)
ひび割れ・浮き・剥落
32
6
4
5
3
5
55
23(4.6)
錆汁,エフロレッセンス
7
1
1
2
2
2
15
8(1.6)
汚れ・すりへり
7
0
2
2
1
0
12
5(1)
たわみ,変形,振動
10
1
1
1
3
4
20
10(2)
中性化
23
1
1
2
1
2
30
7(1.4)
塩害
22
2
1
1
1
2
29
7(1.4)
アルカリシリカ反応
17
2
2
3
1
1
26
9(1.8)
化学的腐食
16
2
1
2
1
1
23
7(1.4)
9
1
0
0
0
0
10
1(0.2)
劣化のメカニ
成分溶出,摩耗
ズム
凍害
17
2
2
2
4
1
28
11(2.2)
疲労
12
2
2
1
1
1
19
7(1.4)
火災
9
1
3
1
0
0
14
5(1)
複合劣化
2
1
0
1
0
0
4
2(0.4)
乾湿繰り返し他
1
0
0
0
0
0
1
0(0)
19
1
2
0
3
1
26
7(1.4)
5
0
0
3
0
2
10
5(1)
コンクリート圧縮強度
19
2
1
2
2
1
27
8(1.6)
ひび割れ・剥離・空洞
23
1
3
1
1
2
31
8(1.6)
鉄筋・かぶり厚さ・埋設物
11
1
2
2
1
1
18
7(1.4)
配合・化学成分,微細構造
14
0
1
3
1
2
21
7(1.4)
自然電位,分極抵抗,電気抵抗
16
2
1
0
0
0
19
3(0.6)
中性化深さ
9
1
0
1
0
2
13
4(0.8)
塩化物イオン量
8
1
0
1
1
2
13
5(1)
鉄筋腐食量
0
0
0
0
0
0
0
0(0)
15
0
1
1
1
1
19
4(0.8)
火災
7
0
1
0
1
1
10
3(0.6)
環境作用・荷重作用
6
0
0
0
0
0
6
0(0)
部材の剛性・耐力
8
0
1
0
0
1
10
2(0.4)
調査・測定の基本的事項
外観
調査手法
アルカリシリカ反応
S-7
分野ごとの出題数(2)
大分類
劣化の評価・
判定
小分類
01-10
11
12
13
14
15
合計
最近 5 年計
補修・補強の基本的事項
22
1
4
0
1
9
37
15(3)
中性化
12
1
1
0
1
1
16
4(0.8)
塩害
21
0
0
1
2
2
26
5(1)
アルカリシリカ反応
13
2
0
0
3
0
18
5(1)
化学的腐食
10
1
0
1
1
1
14
4(0.8)
成分溶出・摩耗
3
0
0
1
2
0
6
3(0.6)
凍害
9
1
3
1
1
0
15
6(1.2)
疲労
13
1
2
2
4
1
23
10(2)
火災
8
1
3
1
1
2
16
8(1.6)
4
4
4(0.8)
構造性能
規格・基準類
-
-
-
-
-
5
1
2
2
0
0
10
5(1)
42
5
5
4
3
3
62
20(4)
ライフサイクルコスト
3
0
1
1
1
0
6
3(0.6)
ひび割れ補修工法
9
1
1
1
0
0
12
3(0.6)
断面修復工法
9
1
1
0
1
2
14
5(1)
含浸材塗布工法
2
0
0
1
0
1
4
2(0.4)
対策・補修・
表面被覆工法
5
2
1
0
0
0
8
3(0.6)
補強工法
剥落防止工法
1
0
0
0
1
0
2
1(0.2)
電気防食工法
10
1
1
0
1
2
15
5(1)
電気化学的補修工法
12
1
0
1
0
0
14
2(0.4)
補強工法
25
2
3
3
2
2
37
12(2.4)
補修・補強材料
9
2
2
3
1
3
20
11(2.2)
維持管理
6
1
0
0
0
1
8
2(0.4)
工法選定
注)(
)内は,年当たりの出題数平均
S-8
■記述式問題の出題傾向
(1)問題 A の出題傾向と実績
⃝ 診断士の役割や診断士に必要な資質(倫理観,公正性,透明性など)を整理する。
○社会的背景についても出題されるので整理が必要である。
○最近の出題傾向
• 1つの問題に2~3問の問いを設問する形式である。
• 2010 年度までは 800 字以内で解答する形式であったが,2011 年度から 1 000 字以内で解答する
形式に変更され,記述式問題 A のウエイトが大きくなっている。
問題 A の出題実績
年度
分類
キーワード
2002
資質
コンクリート構造物の維持管理の重要性
診断士に求められる資質と社会的役割
2003
留意点
昭和 40 年代のコンクリート構造物の診断を行う際の留
意点
2004
資質
診断士の心構えと技術的能力
2005
留意点
維持管理記録の保存と活用
2006
資質
構造計算偽装事件を受け,診断士の資質と診断に当たっ
ての態度
2007
資質
社会資本整備の現状や課題と診断士の役割
2008
資質
コンクリート構造物の劣化などに伴う事故が及ぼす社会
的影響と診断士の役割,診断業務のあり方
2009
資質
社会資本整備のあり方
診断士として構造物の維持管理への取組み方
2010
資質
診断士の役割と心構え
2011
社会情勢
技術の変遷
コンクリート構造をとりまく,主な社会情勢とコンクリ
ート技術の変遷
2012
留意点
環境負荷低減,維持管理,技術開発,社会情勢,社会資
本,少子高齢化,不況,自然災害
2013
留意点
構造物の安全性と不具合事象の原因と背景,具体例
維持管理に必要な点検・評価・判定,対策と課題
2014
留意点
資質
構造物の高齢化,長寿命化,コンクリート診断士に必要
な技術力,心構え
2015
資質
診断における技術者倫理ととるべき対応
診断士としての資質向上に対する自己研鑽と人材育成
S-9
問題 A のキーワードの出題傾向
年度
2002
大分類
コンクリート構造物
診断士
維持管理
資質,役割
コンクリート構造物
2003
中分類
社会的背景
維持管理
社会状況
技術レベル
維持管理
コンクリート構造物
2004
診断士
2005
技術レベル
2008
2009
耐久性,不具合
社会的・技術的背景
製品や設備の欠陥,不適切な維持管理
昭和 40 年代に構築,コンクリート構造物
材料,設計,施工の観点
資質
社会的に高い信頼性
心構え(理念,姿勢等),技術的能力
維持管理
社会的背景
社会状況
診断士
資質
社会資本整備
現状,課題
社会的背景
社会状況
診断士
役割
コンクリート構造物
技術レベル
コンクリート構造物
コンクリート診断士,求められる資質,社会的役割
診断,留意点
コンクリート構造物
診断士
コンクリート構造物,維持管理,重要性
診断
2006
2007
キーワード
コンクリート構造物の維持管理
必要な記録(資料)の保存と活用
記録(資料)に含まれる内容
記録(資料)の重要性と活用
鉄筋コンクリート造建築物,構造計算書,偽装事件
事件の背景
技術者の観点
資質,診断に当たっての態度
社会資本整備の現状,課題
現在の社会情勢
社会資本整備,コンクリート診断士,役割
コンクリート,劣化,損傷,鋼材の破断
役割,診断業務 コンクリート診断士,役割,診断業務のあり方
維持管理
不具合
維持管理の費用
効率的な維持管理
構造物の維持管理,取り組み方
点検,評価・判定,対策
経年劣化,顕在化
社会資本整備
課題
社会資本の整備のあり方
2010
診断士
資質
診断士の役割,心構え
2011
社会情勢,技術の変遷
2012
社会資本整備
コンクリート構造を取り巻く主な社会情勢とコンク
リート技術の変遷の関係
維持管理
不具合
2013
コンクリート構造物
環境負荷低減,維持管理,技術開発,社会情勢
社会資本,少子高齢化,不況,自然災害
安全性の低下,原因、背景
維持管理
安全かつ効率的な維持管理,そのために必要な点検,評
価・判定、対策
コンクリート構造物
長寿命化
長寿命化を図るための基本的な考え方、具体的な方法
2014
診断士
資質
技術力、心構え(理念,姿勢等)
2015
社会からの期待と要請
資質
技術者倫理,自己研鑽,人材育成
S-10
(2)問題 B の出題傾向と実績
⃝ 問題Bは,コンクリート構造物を診断する対応能力を評価するための出題となる。
⃝ 建築系の問題(B-1)と土木系の問題(B-2)から選択する。
⃝ 最近の出題傾向
•1つの問題に2~3問の問いを設問する形式である。
•図表,写真を示してこれらから読み取る問題が出題される。
⃝ このような問題に対し1 000字以内で必要な内容を盛り込み解答する必要がある。
⃝ 過去の記述問題は,構造物の劣化事例が挙げられている。
⃝ 塩害,アルカリシリカ反応,凍害が多く,火災事例が建築系で 2010 年度に初めて出題された。
問題 B の出題実績
ASR
凍
害
化
学
的
腐
食
疲
労
風
化
火
災
○
-
-
-
-
-
堤防
○
○
○
-
-
-
-
B2 水路
B3 中空床版
年度
中
性
化
塩
害
2001
-
○
-
2002
2003
2004
2005
2006
2007
2008
2009
2010
2011
キーワード
維持管理
維持管理
-
○
○
○
-
-
-
-
SRC
○
○
-
○
-
-
-
-
壁式橋脚
施工不良
-
○
○
-
-
-
-
-
集合住宅
乾燥収縮
-
○
-
-
-
-
-
-
RC,T 桁
補修
-
○
-
-
-
-
-
-
集合住宅
温度変化,乾燥収縮
-
○
-
-
-
-
-
-
共同溝
施工不良
○
-
-
-
-
-
-
-
RC 倉庫
維持管理
-
○
○
○
-
-
-
-
橋脚
維持管理
-
-
-
-
-
○
-
-
RC 商業施設
維持管理
-
○
-
-
-
-
-
-
PC 桁
調査,維持管理
-
-
-
○
-
-
-
-
RC 構造物
温度変化,維持管理
-
-
-
-
○
-
-
-
RC 構造物
硫酸塩による腐食
調査,維持管理
-
-
○
-
-
-
-
-
RC 構造物
調査,維持管理
-
-
-
-
-
○
-
-
RC 床版
劣化原因,補修
-
-
-
-
-
-
-
-
RC 構造物
温度変化,乾燥収縮,補修方法
○
RC 構造物
火災,補修
RC 橋脚
原因,予測,維持管理計画
劣化原因、対策
初期欠陥(コールドジョイント),
温度変化,乾燥収縮,ひび割れ原因、
対策と選定理由
-
-
-
-
-
-
-
○
○
-
-
-
-
-
-
○
-
○
-
-
-
-
RC 橋脚
-
-
-
-
-
-
-
-
事務所ビル
-
-
○
-
-
-
-
-
ポストテンション方式
PC 単純桁橋
白色生成物,雨掛かり,凍結防止剤,
変状原因,調査項目・方法,対策
-
-
-
-
-
-
-
-
RC 造校舎
ひび割れ原因,調査項目・方法
温度変化,乾燥収縮,中性化
-
-
-
○
-
-
-
-
B2:鋼橋 RC 床
版
内陸部,上面増厚補強,凍結防止剤,
ポットホール,再劣化,対策
-
-
-
-
-
-
-
○
B3:RC ラーメン
高架橋
火災の程度の判定,調査項目
補修・補強計画立案
-
○
-
-
○
-
-
-
B1:RC オフィス
ビル地下室
変状原因,硫酸塩による腐食
調査,補修方法,維持管理
2012
2013
構造物
S-11
-
○
-
○
-
-
-
-
ポストテンション方式
PC 単純 T 桁橋
ひび割れ,漏水,凍結防止剤,
変状原因,対策
-
-
-
-
-
-
-
-
RC 造校舎
ひび割れ,錆汁,剥落,変状原因
調査方法,補修方法
○
-
-
-
-
-
-
-
RC 建築物
中性化,鉄筋の発錆,劣化進行予測,
維持管理計画,補修方法
-
-
○
-
-
-
-
-
PC3 径間連続
箱桁橋
橋脚,ひび割れ,鉄筋破断,変状原
因の推定,今後 30 年供用,耐荷性
能の評価および影響要因,対策
2014
2015
注)上段:土木分野,下段:建築分野
問題 B の出題実績-場所・構造物の表記
年
問題番号
2001
問B
2002
2003
場所・構造物
海岸沿い(コンクリート製堤防)
問B-1
北陸地方の海岸に面した場所(建物)
問B-2
山陰地方の山間部
問B-3
寒冷地山間部に位置する道路橋(ポステン,中空床版)
問B-1
寒冷地山間部(鉄筋コンクリート製の壁式(張出付)橋脚)
問B-2
関西地方の内陸部(RCラーメン構造の5階建て集合住宅)
問B-1
竣工後2年を経過(鉄筋コンクリート造地上6階建ての集合住宅)
問B-2
港湾の荷役桟橋(鉄筋コンクリート製T型桁)
問B-1
内陸部に建つ(竣工後35年が経過した鉄筋コンクリート造倉庫)
問B-2
臨海部(建設後35年が経過したライフラインとしての共同溝)
問B-1
築20年の鉄筋コンクリート造(商業建物(デパート))
問B-2
寒冷地山間部(建設後30年を経過した道路橋の橋脚)
問B-1
関東地方の内陸部(築41年の鉄筋コンクリート造建物)
問B-2
太平洋沿岸の海岸線(竣工後30年が経過した道路橋PC単純桁)
問B-1
問B-2
海からの距離が10km,気温の平滑平均値が18℃,竣工後15年
(鉄筋コンクリート造10階建て集合住宅)
海成粘土層とれき層からなる地中(地下鉄線のシールドトンネル)
問B-1
鉄筋コンクリート造4階建ての食品工場
問B-2
比較的温暖な山間部(片側2車線の道路橋)
問B-1
火災発生から鎮火まで約1時間の火害(鉄筋コンクリート造建物)
問B-2
西日本の内陸部(鉄筋コンクリートラーメン高架橋)
問B-1
温暖な内陸部(鉄筋コンクリート造5階建て)
問B-2
積雪寒冷地内陸部(RC橋脚)
(鉄筋コンクリート造の水路橋)
2004
2005
2006
2007
2008
2009
2010
2011
S-12
2012
2013
2014
2015
問B-1
関東地方の温暖な内陸部(1970年に竣工した鉄筋コンクリート造3階建て校舎)
問B-2
北陸地方(竣工後35年が経過した道路橋PC単純桁)
問B-1
海成粘土層とれき層からなる地中(築25年の鉄筋コンクリート造オフィスビル)
問B-2
中部地方内陸部(供用後38年が経過した鋼橋RC床版)
問B-3
消防への通報から鎮火まで約1時間の火害(鉄筋コンクリートラーメン高架橋)
問B-1
関東地方の内陸部(築40年の鉄筋コンクリート造校舎)
問B-2
中部地方内陸部(供用後25年が経過したPC桁橋)
問B-1
関東地方内陸部(築40年の鉄筋コンクリート造建築物,地下1階,地上2階)
問B-2
北陸地方の道路橋(建設後40年が経過したPC3径間連続箱桁橋)
S-13
■四肢択一問題の分類と出題分野の実績
これまで出題された四肢択一式問題を下表により分類した。例題および厳選
問にその分類を示
したので学習の参考にしてほしい。なお,同一問題に対して複数の分類が該当するものもある。
問題の分類
大分類項目
変状の種類と原因
劣化のメカニズム
調査手法
劣化の評価・判定
対策・補修・補強工法
小分類項目
分類番号
初期欠陥
110
ひび割れ・浮き・剥落
111
錆汁,エフロレッセンス
112
汚れ・すりへり
113
たわみ,変形,振動
114
中性化
210
塩害
211
アルカリシリカ反応
212
化学的腐食
213
成分溶出,摩耗
214
凍害
215
疲労
216
火災
217
複合劣化
218
乾湿繰り返し他
219
調査・測定の基本的事項
310
外観
311
コンクリート圧縮強度
312
ひび割れ・剥離・空洞
313
鉄筋・かぶり厚さ・埋設物
314
配合・化学成分,微細構造
315
自然電位,分極抵抗,電気抵抗
316
中性化深さ
317
塩化物イオン量
318
鉄筋腐食量
319
アルカリシリカ反応
320
火災
321
環境作用・荷重作用
322
部材の剛性・耐力
323
補修・補強の基本的事項
411
中性化
412
塩害
413
アルカリシリカ反応
414
化学的腐食
415
成分溶出・摩耗
416
凍害
417
疲労
418
火災
419
構造性能
420
規格・基準類
410
工法選定
510
ライフサイクルコスト
511
ひび割れ補修工法
512
断面修復工法
513
含浸材塗布工法
514
表面被覆工法
515
剥落防止工法
516
電気防食工法
517
電気化学的補修工法
518
S-14
補強工法
519
補修・補強材料
520
維持管理
521
S-15