20150610(WED) 破砕帯中の花崗斑岩に見られるラメラ状構造 Haruka これは 20150503 に報告した大津市の相模川の源流域における破砕帯の続報である。 具体的には断層粘土、断層部、クラック、そこに見られる鏡肌に関する物である。 この破砕帯の特長は花崗斑岩の中に存在することである。地質図の 5 万分の 1 の地 質図によると相模川沿いには断層が存在する。私が確認した破砕帯は 6 か所ある。こ こを含め、上流部の二か所は花崗斑岩部に存在する。 もう少し下流部の破砕帯は火成岩部と堆積岩部からなる物が 3 か所、一番下のそれ は堆積岩部のみからなる区域に存在する。 代表的な鏡肌と言える綺麗なものは尾根筋の近くに存在する。しかし地上に露出し ているそれは大きいものではなく、注意しないとそれが鏡肌の一部であることは分か らない。その鏡肌の方向は地質地図の 5 万分の 1「京都南東部」に見られる断層の方 向とほぼ一致している。 今回示すものも断層の方向は上記の地質地図と同方向である。今回示す破砕帯は花 崗斑岩区域にある。その岩域も地質図に記載されている。 今回示す破砕帯のポイント部を上に示す。シマシマ棒はマーカーであり全長は 115cm である。河原の中に存在する。川は左から右に流れている。杉の木の森の中に ある。この部分の杉は一昨年の台風 18 号で倒壊したので木漏れ日がこの区域に漏れて 全体的に白く見える。断層粘土はこの写真からは明瞭には見えない。矢印のあるクラ ック部には全てそれはある。その意味で矢印のある部分は断層面と言える。この部分 の岩の間の隙間は浅い。いずれの割れ目にも弾性粘土が存在している。なお、シマシ マ棒の右端から川は急激に深くなる。その部分から弾性粘土が川の流れにより消失し ている。 もう少しこの区域を拡大する。 ポイント部を示す。岩のクラック が二本は右上から左下に走っている。上のクラックの上の溝の白い部分が断層粘土で ある。全体として岩は風化している。次にこの右上部を示す。T 字型の部分は弾性粘 土である。 次に、左下部を示す。 ここでのポイントは⇐1 から⇐2 に延びる一本の直線的なものである。この部分の岩を 少量とりその表面観察をしたものを次に示す。 直線状の物の上面は断層粘土と接している。全体に多数のクラックがあり、また全 体に風化している。直線的なものの表面を観察すべく資料取りをしたが殆ど小片に割 れた。 その一つの小石を示す。 光沢があり条線が石の表面の上下に走っている。なお、この小石の表面は全体として は平滑ではない。 この部分をより詳細に見るべく、上の写真の右側を拡大したものを次に示す。 そうすると、条線部のある部分とそれが少ない部分のあることが分かった。また条線 部は写真では青色に見えるように着色し、配向していることが拡大鏡でも確認でき た。 つまり、複数の薄い層があることが分かった。なお、B の部分にも条線がある部分 もある。 今後、OとBの成分などの調査を進めたい。 なお、以前にはこうした複雑なものではなく単純な鏡肌を示したことがある。それ は尾根下の花崗斑岩の破砕帯の中に存在した。その写真を念のため、添付する。 両者の差は剪断力の差や温度の差、圧力の差なのかもしれない。 また O はいわゆるシュードタキライトの可能性も否定できない。 最近、広島大の安東らは鏡肌を多方面から調べている。粉末溶融との見解である。上 に示した O1,O2,O3 も溶融しているようにも見える。さらに検討を進めたい。
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