フリーダイビング競技 ルールブック

基本ルール
フリーダイビングは各種目選手の競技(以下:パフォーマンス)において、公式審判(以下:ジャッジ)が下す 3 種類の判定によりそ
の記録が結果となる。記録(時間、距離、深度)はペナルティ(減点)を含みながら決められた点数計算によって得点へと換算され、
高得点順に順位が決定する。
大会によっては、複数の種目の総合得点を競うものから、種目別で順位が決定するものなど様々である。
『 インドアカップ 』と呼ばれるプールで行われる競技概要は全部で3種目。
STATIC ― スタティック ( STA )
一呼吸で閉息時間の長さを競う。 男子世界記録は 12 分を越える。
(点数:1 秒=0,2 点 / 1 点=5 秒)
DYNAMIC With Fin ― ダイナミック ウィズ フィン ( DYN )
フィンを履いて、一呼吸で平行方向に潜水できる距離の長さを競う。
使用するフィンの概要は自由。 男子世界記録は 280m 以上。
(点数:1m=0,5 点 / 1 点=2m)
DYNAMIC Without Fin ― ダイナミック ウィズアウト フィン ( DNF )
フィンを履かずに、一呼吸で平行方向に潜水できる距離の長さを競う。
泳ぎ方は自由。 男子世界記録は 220m 以上。
(点数:1m=0,5 点 / 1 点=2m)
「 申告 」ってなぁに?
選手は各種目で目標とする距離や時間をあらかじめ(ほとんどの場合、当日または前日に)「申告」している。
申告幅に規定は無く自由だが、もしも結果が申告に及ばなかった場合、「申告未達」としてペナルティを受ける。
よって、選手の申告設定には当日の体調や緊張感を考慮し、「 何が起きても絶対にクリアできること 」という配慮が必要である。
また、スタティック 6 分を超えるような記録を持つ選手が「1 秒」という申告を出すことが稀ではないように、結果が申告を上回ることは
いくらでも問題ない。(大会によっては申告数値の低い順に競技順が決まる場合もあり、早めに競技をやりたい選手があえて低い申
告をしたりする。)が、順位を争うような大会の場合は、同じ記録の選手が複数いた場合、申告と結果の差が少ないほうの選手が
優位になる。
例 )
1位・A 選手 (記録 6 分 20 秒
2位・B 選手 (記録 6 分 20 秒
/ 申告 3 分 01 秒 )
/ 申告 3 分 00 秒 )
競技前、選手たちはどこに・・・?
各選手は競技スタート時間前の45分間のうちにウォーミングアップエリアへ入水し事前の調整を行えます。 (他選手のサポートは時
間外でも可) それ以外の待ち時間は基本的に自由。プールサイドで寝転がっていたりヨガしていたり寝ていたり…非常にゆる~い雰囲
気にみられがちですが、できるだけ心拍数を上げないように務めています。選手それぞれのスタイルがありながらも本番を控えた緊張感と
戦って神経集中に努めていることもあるので、選手がリラックスしやすいよう、その様子もそっと見守ってあげてください。
競技スタート! 「オフィシャルトップ」 って・・・?
競技会は「オフィシャル時計」の時刻によって司られ、選手には競技スタート時刻となる「オフィシャルトップタイム(以下、オフィシャルト
ップ)」が決められている。アナウンサーが読み上げる「オフィシャルカウント」はオフィシャルトップ 2 分前から始まる。
2 分前、1 分半前、1 分前、30 秒前、20 秒前、10 秒前、5、4、3、2、1、オフィシャルトップ!1、2、3、3、4、5、6、7、8、9、10…--
オフィシャルトップから 10 秒以内に競技をスタートすれば良いので、同じオフィシャルトップの選手でもスタートするタイミングにバラつき
---がある。ただし、オフィシャルトップ以前や、オフィシャルトップ後 10 秒以上経ってからスタートすることはペナルティ対象となる。
選手に声をかけているあの人は?
選手のとなりにいるあの人は、「サポート」や「コーチ」と呼ばれ、選手のパフォーマンスに直接
の関係はなく、不可欠ではない。主な役割としてはスタティック時の経過時間を知らせた
り、浮上後の意識がおぼつかなく SP がうまく出来ない場合に声で誘導したり、その影響力
は大きいと言える。時には競技前の選手の緊張感や負担を軽減するべくありとあらゆるサ
ポートを担う場合もある。
サポートが競技中に選手の身体に触れていることだけは失格要因となる。
I’m OK!選手は浮上後に決められた動作を的確に行なわなければならない!
長~い閉息を経て、やっと選手が水面に顔を出したら、ここからが見所!
「 浮上後動作手順(サーフェスプロトコル 以下「S P」 )」である。
水面に浮上後、この動作を正確に行うことが最終的なジャッジ判定の決め手となる。
頑張りすぎたパフォーマンスは酸欠によりこの動作が完璧に行えないという結果を招く。
サーフェスプロトコル ( S P )
①
顔面の装備(マスクやノーズクリップなど)をすべて外す。
②
ジャッジの方を向き、手で OK サインを 1 回示す。
③ 「I’m OK」 または、「I am OK 」としっかりと発声する。
①-③の順番が変わってはならない。
①-③までの動作を終えるまでに 15 秒 以内であること。
①-③までの動作を終えてからジャッジの判定が出るまでは気道を保
持しなければならず、他者との接触は認められない
①-③までの動作を行う間、その他の言動は一切認められない。
で、結果は!? ジャッジの下す判定カードに注目!
サッカーで言うゴールが入るかどうかという瞬間のように、会場が最も盛り上がりを見せる重要な瞬間、
それは選手のパフォーマンスへの判定が決まる時です。ジャッジが掲げる 3 種類の判定カードの意味を知っておこう!
ホワイトカード
合格!成功!
パーフェクト!ペナルティ
なく記録がそのまま結
果として残る。
イエローカード
おしい!
何らかのペナルティ
要因があり、結果
は減点される。
レッドカード
残念!失格!
記録は残らず、結
果は 0 点になる。
もちろん選手にとっては「ホワイトカード」であることが一番望ましく、
記録の大小に問わず選手の尽くしたパフォーマンスがパーフェクトに終えられたことが証明される
一番嬉しい瞬間となり歓喜の声に包まれる。
常に静まり返った競技会場でも、「ホワイトカード」が決まった時が唯一の盛り上がりどころ!
ぜひ、大きな拍手と歓声で盛り上げてください!(次の選手の競技が始まる時までにはお静かに…)
「 プロテスト 」 ってなぁに?
全ての競技が終了した後、余りの時間を利用してプロになりたい人がテストを受けられる。という意味では無く、
ジャッジによる競技判定が、選手本人または第三者の納得出来ない結果であった場合、同者は主催者に対し「 プロテスト 」
(異議申立)を行いその不服理由をジャッジに主張できる。運営スタッフが録画している競技映像は、その主張が認められるか否かの
重要証拠として用いられ、ジャッジ全員の多数決によって認可が決まる。プロテストの結果、判定がレッドカードからホワイトカードに
覆ったり、またはその逆もある。
これは失格!レッドカード判定
競技スタート時
サポートコーチが選手の身体に触れている!
オフィシャルトップタイムを越えてからは、他者が選手の身体に触れていてはいけない。
得にサポートしているコーチに要注意される点である。
オフィシャルトップタイムオーバー(30 秒以上)
オフィシャルトップから 30 秒以上経過しても選手がスタートしない場合は失格となる。
浮上 ( SP ) 時
時
再び口(気道)が水没してしまった!
ブラックアウト( BO )や、ロストモーターコントロール (サンバともいう)により水没してしまう場合
はもちろん、つい、不意に、うっかりバランスを崩し水面に下唇がちょっとでも着くと NG!
しっかりと意識して顔を水面にキープしていなければならない!
スタートラインを越えての入水
ダイナミックウィズフィンまたはダイナミックウィズアウトフィン種目では、
スタート時は壁から 1,5m の範囲以内で競技をスタート(口を入水)しなければならない。
わかりやすくスタートラインが引かれている場合も、無い場合もある。
エキストラサイン!
SP に含まれる言動以外の全てを「 エキストラサイン 」と言い、いかなる場合も認められない。
また、同じ行為を 1 回以上行うこともエキストラサインとみなされるため、
・OK サインを 2 回出してしまう。・マスクを外す動作を 2 回やってしまう。・「ImOK」 と言う前に何か
発声してしまう…なども、SP 失敗の対象となる。
うっかりミスもあるが、意識がクリアじゃない故の失敗として見られることが多い。
15 秒以上かかってしまう。
選手が水面に浮上した瞬間からジャッジは時間を計測している。
選手が SP を全て終えるまで、つまり「I’mOK」と言うまでに 15 秒を
少しでも過ぎてしまえば失格となる。
触らないで!!
BO やサンバ状態の選手にはセキュリティやサポートコーチが補助に入る場合ももちろん失格である
が、SP 開始からジャッジの判定が出るまで選手は他者に指一本でも触れてはいけない。
新記録にサポートコーチが選手に喜びのハイタッチ!というのも、ジャッジの判定が出るまではガマン!
これは減点!イエローカード判定
STA/ DYN / DNF
オフィシャルトップオーバー(10 秒以上)またはそれ以前のスタート
オフィシャルトップタイム以前に競技をスタートしたり、オフィシャルトップから 10 秒を越えてスタートしてしまうと、
5 秒につき 1 点減点となる。
※オフィシャルトップ以前に入水したとしても、オフィシャルトップまでに気道を再び水面に戻せばスタートとはみなされない。
STA
申告未達
結果が申告時間に満たない場合、5 秒につき 1 点が減点される。(小数点 2 桁以下繰り上げ)
例 ) 申告:5 分 00 秒(60 点) / 結果: 4 分 00 秒(48 点)
申告と結果の差: 60 秒 = 減点:12 点
結果:48 点 ― 減点 12 点 = 最終得点 36 点
DYN / DNF
申告未達
結果が申告距離に満たない場合、1m 秒につき 0.5 点が減点される。(小数点 2 桁以下繰り上げ)
例 ) 申告: 100m(50 点) / 結果: 80m(40 点)
申告と結果の差: 20m = 減点:4 点
結果 40 点 ― 減点 4 点 = 最終得点 36 点
スタートとターン時に壁をタッチしてない!
スタート時及びターン時に身体の一部(※)が壁をタッチしていない
場合は、1 回につき-5 点。ただし、ターン時に身体と壁が 1m以
上離れている場合は、失格。
※身体の一部とは…
フィンを履いている場合、フット・ポケットは身体の一部(かかと)
となる。フィンブレード部分は身体の一部ではない。
水底をキックして浮上する!
特にダイナミックウィズアウトフィンで言える注意で、気道が水面に出る前に水底に足
を着地させてから浮上することは NG。
気道を水面に出た後に足を着地させるように注意しましょう。