富士山鳴沢観測井のボーリングコアの層序と岩石学的特徴

防災科学技術研究所研究報告 第54号 1995年1月
富士山鳴沢観測井のボーリングコアの層序と岩石学的特徴
宮地直道*・安井真也**・富樫茂子***・朝倉伸行**
・遠藤邦彦**・鵜川元雄****
Stratigmphy and Petm1ogica1Feature of the Boreho1e Coms from
Observation−we11at Namsawa Area,Fuji Yo1cano.
By
Naomichi lMIYAJI*,Maya YASUI榊,Shigeko TOGASHI*洲,
Nobuyuki ASAKURA**,K㎜1ihiko ENDO**
and Motoo UKAWA榊‡
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榊Wακo〃肋∫θ肌ん〃∫肋加〃Eα励∫6乞θ舳α〃〃)ゐω伽〃舳〃o〃
Abstmct
Studies were carried out on the stratigraphy and petro1ogical characteristics of
borehole cores from the observation−we11at Narusawa,northwestern foot of Mt.Fuji.
Total depth of the boring reached201m from the surface.Boring core samples can
be divided by the petrographical characteristics into groups Al to A5.
According to petrographica1properties,we regarded the group A1(201−!96m in
depth)as the products of o1der Fuji Volcano,the group A2(196−160m)as the older
stage products of Younger Fuji Vo1cano and the groups A3to A5(95−7m)as the middle
stage products of Younger Fuji Vo1cano.
Whole−rock chemica1composition of major and minor e1ementswere determined.
The degree of differentiation of magma was the greatest in the midd1e stage of
Younger Fuji Vo1cano,the second greatest in the o1der stage of Younger Fuji Vo1cano
and the lowest in the Older Fuji Volcano.Especia11y,the group A4,which be1ongs to
the midd1e stage of Younger Fuji Volcano,were great1y differentiated and it may be
originated from the flank eruptions alo㎎NW to SE slopes of Mt.Fuji.Chemica1
composition of trace elements and their ratio suggest that source of the midd1e stage
products of Younger Fuji Vo1cano is different from the source materia1which resu1ted
in the o1der stage products of Younger Fuji Vo1ano.
キーワード:富士火山(Fuji Volcano),溶岩流(Lava flows),記載岩石学(Petrography),
全岩化学組成(Who1e−rock chemistry),玄武岩(Basalt)
ヰ北海道農業試験場 生産環境部 土壌特性研究室
榊日本大学 文理学部 応用地学教室
榊地質調査所 地殻化学部 同位体地学課
榊*防災科学技術研究所 地震予知研究センター
一39一
防災科学技術研究所研究報告 第54号 1995年1月
1.はじめに
防災科学技術研究所では富士山の火山活動を観測するために,平成3年度に富士山の北西
麓にあたる山梨県南都留郡鳴沢村の標高1,250mの地点に深度201mの観測井を設置した.
この観測井の設置に際し,多数のボーリング試料が採取された.従来,富士山のボーリング
コアを用いて,その岩石学的特性の経時変化を系統的に研究した例はほとんどない.そこで
採取された試料について,岩相および記載岩石学的特徴を調べ,全岩主成分及び微量元素の
分析を行い,調査地区における噴出物の層序と岩石学的特徴の把握を行った.本研究の成果
は富士火山の地下構造や詳細な形成史,マグマの性質や噴出量の時間的変化を明らかにする
上での基礎的知見となる.
2.富士山の形成史の概略
富士山はグリーンタフの新第三系を基盤とし,その上に形成された中期更新世の小御岳火
山,8∼1万年前に活動した古富士火山,そして,1万年前から現在まで活動を続けている新
富士火山の3つの火山からなると考えられている(津屋,1968.1971など).古富士火山と新
富士火山の境界の年代は約1万年前とする考え(津屋,1968;上杉ほか,1983;宮地,1988)
と5000年前とする考え(町田,1964)があるが,ここでは約1万年前として論ずる.
古富士火山は山頂火口を中心に爆発的活動を繰り返し,多量の火砕物(テフラ)および溶
岩を噴出して山体を成長させた.古富士火山は活動の後期にしばしば規模の大きな溶岩を噴
出するとともに山体崩壊を繰り返し,山麓一帯に「古富士泥流」(町田,1964)とよばれる岩
屑流やその二次泥流を流下させた.
新富士火山の形成史は,溶岩を主とした噴出物の詳細な分布の把握や編年(津屋,1968.
1971)とともに,テフラ層序の解明および編年がすすむことにより,その概要が明らかにさ
れた(町田,1964;泉ほか,1977;宮地,1988など).新富士火山は11000∼8000年前に山頂
火口および側火口から極めて規模の大きな溶岩(旧期溶岩)を頻繁に噴出したが,その後山
頂火口からの小規模なテフラの噴出が続き,4500∼3000年前には山頂火口および側火口から
規模の大きな溶岩(中期溶岩)と小規模なテフラを噴出した.3000∼2000年前には山頂火口
から頻繁に規模の大きなテフラが噴出したが,2000∼287年前(1707A,D.)には側火口から
小∼中規模の溶岩(新期溶岩)と小規模なテフラを噴出した.富士火山の最も新しい噴火で
ある1707年噴火(宝永噴火)は約半月間続き,多量のテフラを南関東一円にもたらした.
新富士火山の噴出物のうち,山麓に分布する主要なテフラ層や,新期溶岩の大半について
はその分布や層序が明らかにされ,詳細な岩石学的検討もなされている.しかし,中期溶岩
や旧期溶岩については,それらの上に複数の厚い溶岩が重なり合っているため,地表に露出
しない溶岩の層序や化学的性質は不明である.このため,より詳細な新富士火山の活動史の
解明をすすめるためにも,中期溶岩や旧期溶岩に関する更なる研究が必要である.本論では,
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富士山鳴沢観測井のボーリングコアの層序と岩石学的特徴一宮地ほか
鳴沢での観測井の設置時に採取されたボーリングコア試料に関して,まず岩相および記載岩
石学的特徴について述べ,ついで全岩化学組成について述べる.
3.調査地区の地質
観測井は富士山北西斜面の標高1,250mの地点に設置された(図1).新富士火山の主要な
側火山は山体の北西一南東方向に分布するが,観測井はこの側火山列の分布域内に位置する.
観測井付近には,表層の約50cmに近傍の天神山・伊賀殿山などの富士山北西麓の側火山か
ら噴出した2000∼287年前のテフラ層及びその風化火山灰層が認められる.その下位には,
同じく北西麓の大室山から3000年前に噴出した大室スコリア層が認められ,さらにその直下
にはいわゆる中期溶岩の一つである精進口2合溶岩が分布する.
4.ボーリングコアの産状と柱状図
観測井の設置に伴い採取されたボーリングコアを観察した結果,回収されたコアはすべて
溶岩であった.そこで,まず溶岩の上下に発達するクリンカの有無や気泡の量に基づき,各
溶岩流の境界を識別した.次に,各溶岩の色調,溶岩に含まれる斑晶鉱物の種類・量,気泡
の形態・大きさなどをもとに層位区分を行い,柱状図を作成した(図2).なお,柱状図作成
には本試掘に際して作成された業者の報告書を参考にした.
今回採取されたボーリングコアはいくつかの層位の試料が欠落している.このうちO∼29
m,95∼160mの深度の試料はもともと採取されなかった.また,これ以外の層位でも火山
灰・火山礫などのテフラや土壌などの溶岩以外の試料は回収されていない.さらに,クリン
カの中には試料採取時に脱落したものもある可能性が高い.このため,図2の柱状図では試
料が回収されなかった層準は原則として空欄としたが,表層部については観測井設置地点周
辺の表層地質の調査結果をもとに補完した.
5.記載岩石学的特徴
5.1ボーリングコアの岩相の深度別特徴
ボーリング柱状図をもとに,一連の溶岩または岩質が類似する溶岩を深度別にまとめ,肉
眼観察による各々の岩相の特徴を述べる.
(1)深度:0∼7.0m
試料は回収されていないが,観測井周辺の表層地質から判断して,0∼015mまでは富士山
北西麓の側火山群に由来するスコリア層および風化火山灰層から成り,0.5∼7.0mまでは上
述の大室スコリア層からなると推定される.
(2)深度:7.O∼25.O m
同じく試料は回収されていない.ただし,この観測井の周辺では大室スコリア層の直下に
一41一
防災科学技術研究所研究報告 第54号 1995年1月
図1 位置図
Fig.1 Loca1ity map showing the boreho1e site.
一42一
富士山鳴沢観測井のボーリングコアの層序と岩石学的特徴一宮地ほか
新富士火山の中期溶岩に属する精進口2合溶岩とよばれる層厚が5m以上の溶岩が分布す
ること,この試錐を行った業者の報告書には9.5∼36.O mまで同一の溶岩として記載されて
いることから,この層準には25.0∼36.O mの溶岩と同一ないしは類似の溶岩が存在する可
能性が高い.
(3)深度125.0∼36.O m (図版1a参照)
灰色の綴密な溶岩で直径1mm以下の丸い気泡を少量含むが,深度28,29,32m前後の層
準で気泡の量・大きさともに増加する.これらの層準では気泡は丸く,その大きさは平均5
mmである.最下部は高温酸化により赤褐色を呈し,クリンカに移化する.綴密な部分には,
斑晶鉱物として細粒な斜長石(平均1mm,最大3mm),カンラン石(最大0.5mm)および
輝石(平均1∼5mm)が認められる.
(4)深度136.0∼41.5m (図版1a参照)
灰色の綴密な溶岩で直径1mm以下の丸い気泡を少量含み,上下にクリンカを伴う.綴密
な部分には,斑晶鉱物として斜長石(平均1mm,最大3mm)や粗粒な輝石(平均1∼5mm)
が認められる.
(5)深度141.5∼54.0m (図版1b参照)
この深度には複数の綴密な溶岩や高温酸化した溶岩,クリンカなどが認められるが,試料
の回収率が低く,全く試料が得られていない層準も複数あるため,一枚の溶岩の上下の境界
を明確に決定できない.このため,この深度には複数の溶岩流が含まれている可能性が高い
が,ここでは一括して述べる.
綴密な溶岩は2層認められる.このうち上部(深度48.O∼48.8m)の溶岩は灰色で直径2
mm以下の球形の気泡,ないしはそれらが結合した気泡を少量含む.斑晶として,細粒な長
柱状の斜長石(平均1mm以下,最大5mm)や輝石(最大4mm)が認められる.下部
(52.3∼53.2m)の溶岩は,暗灰色で直径2mm以下の丸い気泡や伸びた気泡を少量含む.
斑晶として,他形の斜長石(平均2mm,最大5mm)や細粒な輝石(最大1mm)が認めら
れる.
(6)深度154.0∼59.1m (図版1b参照)
灰色で綴密な2層の溶岩からなり,それらは1mm以下の丸い気泡を少量含む.綴密な部
分には斑晶として,細粒な斜長石(平均1mm,最大3mm),カンラン石(最大1mm)およ
び輝石(最大1mm)が少量認められる.
(7)深度:59.1∼65.5m
淡灰色∼暗灰色の綴密な溶岩で,上部は1∼10mmの不定形の気泡を多く含むが,下部に
は気泡が少ない.気泡の内壁はガラス質である.上部には,斑晶として粗粒な斜長石(最大
10mm)や輝石(最大1mm)が少量認められる.下部には,斜長石(平均2.5mm,最大7
mm)や輝石(最大1mm)がごく少量認められる.
一43
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第54号 1995年1月
防災科学技術研究所研究報告
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富士山鳴沢観測井のボーリングコアの層序と岩石学的特徴一宮地ほか
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防災科学技術研究所研究報告 第54号 1995年1月
(8)深度165.5∼73.O m (図版1c参照)
灰色の綴密な溶岩で2∼5mmの丸い気泡を多く含む.綴密な部分には斑晶として板状の
斜長石(最大5mm)が多く認められ,輝石(平均2mm)も少量認められる.
(9)深度:73.O∼83.5m (図版1c参照)
灰色∼暗灰色の2∼3層の溶岩からなる.これらの溶岩はいずれも1∼4mmの気泡を多く
含み,これらの気泡は部分的に伸びている.下部(深度76.1∼79.6m)の溶岩は特に気泡の
量が多いが,気泡の多くは1mm以下である.またこの層準にはハンレイ岩質の捕獲岩が認
められた.上部(深度74.5∼75.4m)の溶岩には,斑晶として斜長石(最大3mm)や輝石
(最大1mm)が少量認められる.
①0)深度183.5∼92.O m
暗灰色の2層の溶岩からなる.両者の問は試料が欠如するため,互いの連続性は不明であ
る.これらの溶岩はいずれも気泡の量が少なく,大半が球形の小さな気泡であるが,伸長し
た気泡や,気泡が一定方向に配列した部分が局所的に認められる.
下部(深度87.7∼91.1m)の溶岩には,斑晶として斜長石(最大3mm)や輝石(平均2mm)
が少量含まれる.
(11)深度192.O∼95.O m (図版1d参照)
暗灰色の溶岩で,綴密な部分には1∼2mmの球形ないしは不定形の気泡が多く含まれる.
局所的に気泡が一定方向に配列した部分が認められる.綴密な部分には斑晶として,斜長石
(平均1mm,最大3m㎎)がやや多く含まれ,また輝石(平均2mm)が少量含まれる.
(12)深度:95.0∼160.0m
試料は回収されていない.
(13)深度:160.O∼169.2m (図版1e参照)
淡灰色の4層の溶岩からなり,これらの溶岩はそれぞれクリンカで接する.それぞれの綴
密な部分には気泡は少なく,気泡の径は1mm程度である.部分的に直径5∼10mmの大き
な気泡が見られ,上部(深度160.8∼163.8m)の溶岩に特に多い.斑晶として粗粒な斜長石
(最大5mm)がやや多く含まれる.
(14)深度:169.2∼184.8m (図版1e参照)
灰色∼淡灰色の4∼8層の溶岩からなる.上半部の4層の溶岩は互いにクリンカで境されて
いるが,下半部ではコアの欠落部を挟んで3層の溶岩にわけられた.これらの溶岩は岩相変
化に富み,互いの連続性は不明である.徴密な部分には5∼10mmの大きな気泡が多数認め
られる.斑晶として板状の斜長石(最大7mm)が多く含まれる.
(1⑤深度1184.8∼188.0m (図版1f,g参照)
灰色の3層の溶岩からなる.これらの溶岩はいずれも上下にクリンカを伴う.
それぞれの綴密な部分には直径1∼2mm,最大5mmの球形ないし,ややつぶれた気泡が多
一46一
富士山鳴沢観測井のボーリングコアの層序と岩石学的特徴一宮地ほか
く認められる.斑晶として斜長石(平均2.5mm,最大5mm),カンラン石(最大O.7mm)
および輝石(平均1mm以下)が少量認められる.
(16)深度1188.O∼196.0m (図版1f,g参照)
淡∼暗灰色の3層の溶岩からなる.それぞれの綴密な部分には大きな気泡が多く含まれ,
特に,上部(深度188.1∼191.2m)の溶岩に含まれる気泡は平均10mm,最大20mmと極
めて大きい.これに対し,下部(深度193.1∼!95.0m)の溶岩では,平均2∼3mmの球形の
気泡が顕著に認められる.斑晶として板状の斜長石(平均2mm,最大7mm)がやや多く含
まれ,輝石(平均2mm,最大7mm)はむしろ少ない.
(1乃深度:196.O∼201.0m (図版1f,g参照)
上部(深度196.O∼197.8m)の礫状の部分と中部(深度197.8∼201.0m)の暗灰色を呈す
る綴密な溶岩,下部(深度198.9∼201,O m)の灰色∼暗灰色を呈する綴密な溶岩からなり,
間にやや礫状の部分がはさまれる.上部の礫状部分の石基は一部変質している.溶岩の中部
∼下部には,直径1∼3mm,最大9mmの球形や不定形の気泡が密集する部分が20∼30cm
の単位で綴密部分と互層状に認められる.気泡の内壁はガラス質である.斑晶として,カン
ラン石(平均1.5mm),輝石(平均1,5mm),斜長石(平均2mm,最大3mm)が含まれ
るが,斜長石の含まれる割合は少ない.
5.2微視的特徴
コアから深度別に試料を採取し(図2,試料A−N1),薄片を作成したのでその観察結果を
以下に述べる.また,記載上の特徴を深度別に表1にまとめ,モード組成を表2および図3に
示す.
(1)斑 晶
a)斜長石:自形ないし半自形で,柱状∼板状を呈する.清澄で外縁部に累帯構造の認め
られるものが多い.清澄で“patchy−zoning”を呈するものや,塵状帯を有するものもしばし
ば認められる.蜂の巣状構造を示すものもしばしば認められる.
b)カンラン石:自形∼他形を呈する.細粒の輝石や磁鉄鉱から構成される反応縁に囲ま
れるものがしばしば認められる.
c)単斜輝石:半自形∼他形を呈し,試料B,H,K2,K1,L中のものは反応縁に囲まれ
る.累帯構造や“SeCtor−Zoning”が稀に認められる.
d)斜方輝石:半自形∼他形を呈し,試料A,B,I,K2,L中のものは細粒の輝石や磁鉄
鉱から構成される反応縁に囲まれる.累帯構造や塵状帯を有するものも稀に認められる.
e)集合斑晶:複数のカンラン石から成るものや,複数の斜長石から成るものがしばしば
認められる.また,カンラン石十斜長石,単斜輝石十斜方輝石等の組合せから成る集合斑晶
もしばしば認められる.
一47一
防災科学技術研究所研究報告 第54号 1995年1月
表1 記載岩石学的特徴のまとめ
Table1.Summary of microscopic features of boreho1e core samp1es,
1:O1ivine phenocryst max size(mm),2:Crysta1shape of o1ivine
phenocryst,E:euhedral S:subhedra1A:anhedral,3:Reac−
tion rim of oIivine phenocryst○:present一:absent,4:P1agio−
clase phenocryst max size(mm), 5:Texture of p1agioclase
phenocryst,A:c1ear B:with dusty zone C:Honey−combed
structure,◎:dominant O:Present△:Presentbutrare一:
absent p:patchy zoning z:simp1e zoning o:osci11atory zoning,
6:texture of gromdmass,G:intergranu1ar S:interserta1P:
pi1otackisitic,7:minera1assemb1ages of crysta1−c1ots.Legend is
same as Table2.
Depth..︵m︶
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198』 L 1
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○
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一48一
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166.1」 L 」 一
■
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1
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cpx+opx
cpx+opx
:ド㌣㎞
G
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61.1
△
△一△
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○
○■■ ■◎
O.4
■■■
59,8
◎Pz
一◎
S
S
S
○
一○
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S
3
3
5
△○
O.1
○
◎○Z
37.5
S
53
0.5
O.21
25.25
E−2
J−1
6
3 4
A
52,655.7
C−2■ ■ 1 1■ LC−1D
A
B
1
G
S
G
S
G
S
S
P
G
G
ol+opx+Pl+ox ol+P1
pl,ol
・1士pI
OI,O■十〇
cpx+opx,ol+ox
pl
o1+cpx+opx+Pl+ox
富士山鳴沢観測井のボーリングコアの層序と岩石学的特徴一宮地ほか
表2 モード組成
Tab1e2.Mode1composition(vol.%)of borehole core samp1es.
Pl:P1agioc1ase,Ol:o1ivine,Cpx:clinopyroxene,
Opx:orthopyroxene,Ox:Fe−Ti oxide,Gd:groundmass.
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16.1
(2)石 基
細粒∼中粒の完晶質で,インターグラニュラー組織を示すものが多い.次いで,半晶質で
インターサータル組織を呈するものや,ピロタキシティック組織を呈するものが認められる.
石基鉱物は,針状ないし短冊状の斜長石,粒状の輝石,磁鉄鉱から成り,少量の褐色ガラス
が含まれるものもある.
5.3ボーリングコア全体の記載岩石学的特徴
これらの溶岩は,以上のような気泡や斑晶などの巨視的特徴や鏡下での微視的特徴といっ
た記載岩石学的特徴に基づき,グループA1(深度201∼196m;試料N1∼N3),グループ
A2(深度196∼160m;試料M1∼J2),グループA3(深度95∼65m;試料I∼F),グルー
プA4(深度65∼42m;試料E1∼C2),グループA5(深度42∼25m;試料B,A)に大別
できる.以下に各グループの特徴を述べる.
一49一
防災科学技術研究所研究報告 第54号 1995年1月
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図3
モード組成の垂直変化
Fig.3
Vertica1variation of moda1composition of boreho1e core samples.
(1)グループA1
礫状の溶岩と綴密な溶岩からなり,礫状部分の石基は一部変質している.球形∼不定形の
比較的大きい気泡の密集帯が綴密な部分と互層をなす.他のグノレープに比べ斑晶量が低い(平
均11%).カンラン石斑晶は半自形∼他形を呈し,斜長石斑晶は半自形を呈し,蜂の巣状構造
(図版2−9,10)を示す.石基は中粒完晶質でインターグラニュラー組織を呈する.
(2)グループA2
層厚が1∼3mの溶岩の互層からなり,各溶岩は上下にクリンカを伴う.一連の溶岩の層厚
は10∼15mである.各溶岩は球形の大きな気泡を多く含む(図版2−8).カンラン石斑晶は他
のグループに比ベモードが高く(平均2.6%),自形∼半自形を呈し,半自形のものは反応縁
に囲まれる場合が多い(図版2−7).反応縁に囲まれるカンラン石が認められる深度では,両
輝石斑晶も反応縁をもつ傾向がある.斜長石斑晶は自形∼半自形を呈し,全体に粗粒なもの
が多い.斜長石の組織は清澄で累帯構造をもつものが卓越するが,塵状帯を有するものも多
一50一
富士山鳴沢観測井のボーリングコアの層序と岩石学的特徴一宮地ほか
く含まれる.集合斑晶が多く認められる.石基は細粒完晶質でインターグラニュラー組織を
呈するものと,細粒半晶質でインターサータル組織を呈するものがある.
(3)グループA3
層厚が2∼10mの溶岩からなり,各溶岩は上下にクリンカを伴う.それぞれの溶岩の間は
試料が欠如していることが多く,連続性は不明である.球形∼不定形の小さな気泡を比較的
多く含む.カンラン石斑晶は半自形∼他形を呈する(図版2−5).斜長石斑晶は自形∼半自形
を呈し,塵状帯を有し累帯構造を示すものが多く(図版2−6),蜂の巣状構造を示すものも稀
に認められる.石基は細粒完晶質でインターグラニュラー組織を呈する.
(4)グループA4
層厚が1∼6mの溶岩からなり,各溶岩は上下にクリンカを伴う.それぞれの溶岩の問は試
料が欠如していることが多く,連続性は不明である.球形の小さな気泡を少量含む.斑晶量
は変化に富み,全体としてはやや少ない(平均21%).カンラン石斑晶は半自形を呈し,反応
縁に囲まれる場合がある.斜長石斑晶は自形∼半自形を呈し清澄なものが多いが,蜂の巣状
のものや塵状帯を有するものも認められる(図版2−3,4).集合斑晶もしばしば認められる.
石基は細粒完晶質でインターグラニュラー組織を呈するものと,細粒半晶質でインターサー
タル組織を呈するものがある.
(5)グループA5
層厚が2∼10mの溶岩からなり,各溶岩は上下にクリンカを伴う.それぞれの溶岩の問は
試料が欠如していることが多く,連続性は不明である.球形∼不定形の小さな気泡を比較的
多く含む.他のグループに比べ斑晶量が多い(平均43%).カンラン石斑晶は半自形∼他形を
呈し,反応縁に囲まれる.両輝石も反応縁に囲まれる(図版2−2).斜長石斑晶は自形∼半自
形を呈し,清澄で“patchy−zoning”を示すものが卓越するが(図版2−1),塵状帯を有するも
のも多い.集合斑晶もしばしば認められる.石基は細粒完晶質でインターグラニュラー組織
を呈する.
5.4記載岩石学的特徴に基づく層序
今回のボーリングコアは地下200mまで掘削されており,これまでの北麓でのボーリング
結果(Tsuya,1962)や地質調査結果(津屋,1971)などから判断すると,新富士火山及び古
富士火山の溶岩が採取された可能性が高い.津屋(1971)によれば,古富士火山末期の溶岩
と新富士火山初期の旧期溶岩とは記載岩石学的特徴が異なる.すなわち,前者は5mm以上
の粗粒な斜長石斑晶を含まず,比較的粗粒なカンラン石斑晶を含むのに対し,後者は粗粒な
斜長石斑晶を含む.この相違点を基に分類すると,今回採取されたボーリングコアではグルー
プA1が古富士火山の溶岩にあたり,グノレープA2が新富士火山の旧期溶岩に相当する.な
お,グループA1の溶岩は上部の礫状部分を除けば顕著な変質は認められず,上部の礫状部
分にも顕著な風化面は認められない.
一51一
防災科学技術研究所研究報告 第54号 1995年1月
一方,表層の地質調査から,本ボーリング地点には新富士火山の新期溶岩は分布しないこ
とが判っているため,グループA3∼A5は新富士火山の旧期溶岩か中期溶岩かのいずれか
に相当する.津屋(1971)の研究によれば,旧期溶岩と中期溶岩とは5mm以上の粗粒な斜
長石斑晶を含むか否かで区分される.グループA4には稀に粗粒な斜長石斑晶も含まれる
が,平均的にはグループA3∼A5はともに斜長石は5mm以下の細粒ないし中粒で,斜長石
の大きさのみから判断するといずれも中期溶岩に区分される.
また,旧期溶岩と考えられるグループA2と中期溶岩と考えられるグループA3∼5とで
は含まれる斑晶の形態や組織も異なる.例えば,グループA2では自形∼半自形のカンラン
石斑晶がしばしば認められるが,A3∼A5では自形のカンラン石はほとんど認められない.
また,グループA2では清澄なものと塵状帯を有する斜長石が共存するのに対し,グループ
A3,A4では清澄な斜長石あるいは塵状帯を有する斜長石のどちらかが卓越して含まれる傾
向がある(奉1).
一方,斑晶のモード組成(表2)をみると,グループA2とA3∼A5の溶岩の多くはカン
ラン石と両輝石の双方を持つ.このうち,カンラン石のモードはグループA2が約1∼4%(平
均2.6%)であるのに対し,グノレープA3∼A5は1∼2%(平均1.3%)である.また,有色
鉱物全体(カンラン石十両輝石)に占めるカンラン石の割合はグループA2がO.4∼1.Oであ
るのに対し,グループA3が0.5∼1.O,A4が0.4∼1.O,A5がO.2∼O.4であり,A2∼A4
に比べA5は両輝石の占める割合が大きい.ただし両輝石のモードは概して1%程度,ないし
は1%以下と低いため,これらの値には大きな相対誤差が含まれる.
津屋(1971)は,旧期溶岩の大多数はカンラン石玄武岩で,中期溶岩はカンラン石の他に
両輝石の両方または一方を持つとした.今回の測定結果では両輝石のモードが低いため,い
ずれもカンラン石玄武岩となる.ただし,旧期溶岩の方が中期溶岩よりもカンラン石のモー
ドが高いと考えられるため,カンラン石のモードから判断すると,旧期溶岩と中期溶岩の境
界はグループA2とA3の間に存在するとみられる.
現時点では中期溶岩と旧期溶岩の境界を明確に決定するための十分なデータは得られてい
ないが,斑晶の大きさや形態,組織,カンラン石のモードなどを総合的に判断すると,グルー
プA2とA3の間に中期溶岩と旧期溶岩の境界が存在する可能性が高い.すなわち,今回の
ボーリングコアのうち,地表から196mまでは新富士火山の噴出物で,そのうち深度7∼95
m(グループA5,4,3)までは中期溶岩,深度160∼196m(グループA2)までは旧期溶岩
である可能性が高い.なお,深度95∼160m問の層位は試料が欠落しているため不明である.
そして,深度196∼201m(グループA1)の溶岩は古富士火山末期の噴出物と考えられる.
このような層位区分に立つと,新富士火山の旧期溶岩と中期溶岩は物理的性質が異なる.
旧期溶岩(グループA2)は多数の薄い溶岩流が短期問に堆積し,全体として大きな層厚をな
している.また,球形の大きな気泡を有することから,これらの溶岩流の流下時の粘性は比
一52一
富士山鳴沢観測井のボーリングコアの層序と岩石学的特徴一宮地ほか
較的小さかったと思われる.これに対し,中期溶岩(グループA3∼A5)は比較的厚い少数
の溶岩からなり,球形∼不定形の小さな気泡を有することから,粘性は比較的大きかったと
思われる.
6.全岩化学組成
6.1分析方法
ボーリングコアより採取した19試料(図2参照)にっいて全岩化学組成(主成分および微
量成分)を地質調査所の蛍光X線分析装置(フィリップスPW1404)を用いて測定した.主
成分元素の分析法はTogashi(1989)に従った.ボーリングコアから採取した試料は粉砕・
調整して粉末試料とし,四ホウ酸リチウムで1:10に希釈して混合し,これを自動高周波炉
を用いてガラスビードとして分析に供した.測定にはSc/Moデュアルアノード管球を用い,
40KV−75mAの条件で測定し,deJongh(1973)の方法で質量吸収補正を行った.また微量
元素の分析法はUjiie and Togashi(1992)およびUjiie et a1.(1993)に従った.ボーリン
グコアから採取した試料を粉砕・調整して試料粉末(3g)とし,これをバインダーを用いず
ホウ酸で覆って加圧成型して分析に供した.測定にはSc/Moデュアルアノード管球を用い,
Rb,Sr,Y,Zrにっいては90kV−30mAで測定し,MoKαのコンプトン散乱線による質量
吸収補正を,Baについては90kV−30mAで測定し,MoKα線による質量吸収補正を行っ
た.また,V,Ni,Crにっいては60kV,50mAで測定し,MoKαコンプトンおよびFeKα
による質量吸収補正を行なった.
6.2分析結果
全岩主成分分析の結果を表3に示す.分析値は10元素に関して無水100%に再計算してあ
る.SiO。変化図を図4に,FeO*/Mg0変化図を図5に示す.また,全岩微量成分分析の結果
を表3に示す.Y変化図を図6に,FeOホ/MgO変化図を図7に示す.また図8に深度別化学
組成を示す.
(1)グループA1 (試料N)
全体にFeO*,Na.O,MnO,TiO、に乏しくA1,O、,CaOに富む.Fe0*/MgOは1.8∼1.9
と小さい.K.Oは0.6wt%程度,Na.O+K.Oは3.1∼3.2とやや小さい.Y,Rb,Ba,Sr,
zrに乏しく,Cr,Niに富む.また,Rb/Y比が低い.
(2)グループA2 (試料M∼J)
全体にFeO*,MgO,MnO,TiO、に富み,A1,0、に乏しい.FeOホ/MgOは1.9∼2.oとや
や大きい.K.OはO.7wt%程度,Na.O+K.Oは3.1∼3.4とやや小さい.グループA1より
Y,Rb,Ba,Zrにやや富み,Crはやや乏しくNiは同程度である.Ba/Y比,Zr/Y比はグ
ループA1と同じトレンド上にあるが,Rb/Y比はグループA1よりやや高い.
一53一
防災科学技術研究所研究報告
1995年1月
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宰鰻
□ A1
O O
#‡
苫●●
50
49
1.5 2.O
1,O
2.5 3.0 1.5
19
2.0 2.5
3,O
2.0 2.5
3.O
15
18
1,O
17
16
1.5
〇一5
2.0 2.5
3,0 15
■=eOVMgO
FeO★1MgO
図5
FeO‡/MgO変化図
Fig.5
FeO*/MgO variation diagrams of borehole core samp1es.
一55一
防災科学技術研究所研究報告 第54号 1995年1月
“葺
200
30
Zr
25
150
20
□A1
100
15
10
紳
50
5
0
0 10
?《董
20 30 40 50 0 10 20 30 40 50
Y
Y
図6
Y変化図(微量成分)
Fig.6
Diagrams showing the ratios oftrace elements(in ppm、)ofboreho1e
core samples.
25
150
Zr
20
▲
15
100
▲
▲
三鯛
早燧
口A1
○
鮒‡・・O
10
口日
2,0 2.5
1.5
50
3.0 1,5
FeOソMgO
図7
Fig.7
2.0 2.5 3.O
FeO★1Mg◎
FeO‡/MgO変化図(微量成分)
FeO‡/MgO variation diagrams of trace elemests(in ppm.)of
borehole core samp1es.
(3)グループA3 (試料I∼F)
全体にMnO,TiO。,CaOに乏しく,化学組成の多様性が大きい.また,グループA2に
比べるとAl.O。,Na.Oに富みFeO*,MgOに乏しい.FeO*/MgOは1.9∼2.6と大きい.
K.OはO.7wt%,Na.O+K.Oは3.4∼3.6wt%と大きい.グノレープA1よりY,Rb,Ba,
zrにやや富み,Cr,Niは乏しい.Ba/Y比,zr/Y比はグループA1と同じトレンド上にあ
るが,Rb/Y比はグループA1より高い.
(4)グループA4 (試料E∼C)
全体にMnO,CaOに乏しくTiO。に富む.グループA2に比べてA1.O。,Na.Oに富み
FeO*,MgOに乏しい.FeOホ/MgOは2.5∼2.6と大きい.K.OはO.9∼1.0wt%,Na.O+
K.Oは3.4∼3.9wt%と大きい.Y,Rb,Ba,Zrに富み,Cr,Niに乏しい.また,他のグ
ループに比べRb/Y比,Ba/Y比,Zr/Y比がやや高い.
一56一
富士山鳴沢観測井のボーリングコアの層序と岩石学的特徴一宮地ほか
(5)グループA5 (試料B∼A)
グループA2に比べるとA1.0。,Na,Oに富みFeO‡,MgOに乏しい.Feぴ/MgOは
2.1∼2.2,K.OはO.7wt%,Na.O+K.Oは3.4wt%前後である.Y,Rb,Ba,Zrはグルー
プA3と同程度だが,Niが24∼26,Crが32∼40と低い.
(6)グループA1∼A5の化学組成の変化
FeOヰ/MgOから判断すると,グループA1が最も分化の程度が低く,A2はこれよりも若
干分化の程度が高い.さらにその上位のグループA3には分化の程度の高いものと低いもの
が含まれる.K.OもグループA1∼A4の順で高くなる.ただし,グループA1とA2の間で
FeO‡/MgOやK.Oの値が大きく変化することはない(図8).
これまでの研究から,古富士火山の末期の噴出物は,新富士火山の初期の旧期溶岩と古富
士火山の主要部との中間の化学組成を示すことが知られている(富樫ほか,1991;高橋ほか,
1991).例えば古富士火山の噴出物の中でも22000年前以前のものはFeO*/MgOが
1・5∼2・O・K・Oがo.4∼O.6であるのに対し,22000∼11000年前のものはFeO‡/Mg0が
1.8∼2.3,K.OがO.5∼O.8といずれもやや高い(高橋ほカ),1991).このため,グループA1
が古富士火山末期の噴出物であるとすると,今回の分析結果は従来の結果と矛盾しない.
グループA3∼A5には。A2よりもFeOホ/MgOが大きいものが多いことから,中期溶岩は
全体に旧期溶岩よりも分化が進んでいたと考えられる.特にグループA4のFeO*/Mg0は
他の中期溶岩よりも高い.高橋ほか(1991)は2000年前以降の側噴火の噴出物の検討から,
噴火地点の高度が低く,中心火道から遠いほど分化が進み,FeO*/MgOは大きくなるとした.
この結果に基づけば,少なくともグループA4の溶岩は側噴火の噴出物である可能性が高
い.
グループA1はRb,Y及びRb/Yが低く,グループA2∼A5はRb,Y,Rb/Yが高い.
前者は富樫・山崎(1989)によって示された古富士火山の噴出物のトレンドにのり,後者は
新富士火山の噴出物のトレンドにのる.従って,それぞれ古富士火山および新富士火山の噴
出物と考えて矛盾しない.Zr,Y,Rb等の元素は分配係数が小さく(Gill,1978),Zr/Y比や
Rb/Y比はカンラン石,輝石,斜長石,磁鉄鉱等の鉱物の分別結晶作用によっては変化しない
と考えられている(Pearce&Norry,1979).また部分溶融の程度の大きいソレアイトでは,
スピネルレールゾライトマントルの部分溶融によってもZr/Y比やRb/Y比の変化は小さい
(Pearce&Norry,1979).富士火山において古富士火山の噴出物と新富士火山の噴出物で
Zr/Y,Rb/Y比が異なることは,それぞれのマグマをもたらした原岩に多様性があったこと
を示唆する(富樫・山崎,1989).今回得られたボーリングコアの分析結果にも深度によって
Zr/Y比やRb/Y比に違いが認められるので,そのような原岩の多様性を反映しているのか
も知れない.
一57一
防災科学技術研究所研究報告
第54号
1(20
FeO音
Ti02 ^1203
Si02〔w1;%〕
1995年1月
1=eO讐1NgO
49 50 5 521.0 1.5 2.0 6 7 6 9 0 20.5 1.0 1.5 2.0 2.5 3.0
^
1三■
A5
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H3
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Cr工PPm〕
20 60 100
Zr
Ni Sr
20 30 40 50350 400
60 00 100120
Zr〃
Rb〃
040
0,40 0,50 0,60 2.5 3.0 3.5 4.o
≡
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≡
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i
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…
…
i
図8
深度別化学組成
Fig.8
Vertica1variation of whole−rock chemistry of borehole core sam−
ples.
一58一
{
富士山鳴沢観測井のボーリングコアの層序と岩石学的特徴一宮地ほか
7.他地点のボーリング結果との比較
本調査地点の東方の鳴沢村地内の標高1,000m地点では,農林省農地局によりボーリング
(鳴沢ボーリングNo.!1)が行なわれており,Tsuya(1962)はこの時のボーリング試料の
岩石学的記載を行い層序を決定している.それによると,鳴沢ボーリングNo.11の地点には
土壌層,火山砂層,火山角礫層を挟む複数の新富士火山の溶岩が堆積し,その全層厚は65m
である.さらにその下位には古富士火山の火山角礫層や溶岩が80m以上の厚さで堆積して
いる.このうち,表層の火山砂層は周辺のテフラ層序から大室スコリア層と考えられる.ま
た,その下位の新富士火山の溶岩は,Tsuya(1962)によりいずれも旧期溶岩に対比されてい
る.
先に述べた通り,本論の調査地点には195mの厚さの新富士火山の噴出物が堆積してい
る.この層厚は鳴沢ボーリングNo.11の新富士火山の噴出物の層厚よりも130m大きいが,
これはA3∼A5を中期溶岩と見なすと,本地点には90m以上の厚さの中期溶岩が存在する
ためである.本調査地点は富士山の北西一南東方向の側火山列上に位置することや,岩石化
学的特徴から側火山起源と考えられるものが含まれていることから,本地点の中期溶岩の一
部ないし多くは北西斜面の側火山に由来する可能性が高い.
8.各時期のマグマの性質の比較
以上に示したように,本調査地点では新富士火山の旧期溶岩と中期溶岩および古富士火山
末期の溶岩に対応すると考えられるコア試料が得られた.新富士火山の旧期溶岩と中期溶岩
の境界は必ずしも明確ではないが,ここではグループA2とA3の問に両者の境界があると
考え,以下に各時期のマグマの性質についてまとめ,3つの時期の比較を行なう.各時期の溶
岩の性質の比較図を図9に示す.
8.1古富士火山末期の溶岩
カンラン石斑晶はやや粗粒で,半自形ないし他形であるが反応縁はもたない.斜長石斑晶
は細粒で蜂の巣状構造を示す.FeO*/MgOが低く,他のグループに比べ最も未分化である.
またRb,Ba,Y,Zr等のインコンパティブル元素に乏しく,Rb/Yも小さい一方,Ni,Cr
等のコンパティブノレ元素に富む.
8.2新富士火山の旧期溶岩
カンラン石はモードが高く,半自形で反応縁に取り囲まれるものが多い.カンラン石が反
応縁をもつ試料では両輝石も反応縁に囲まれる傾向がある.斜長石は平均,最大径ともに大
きく,全体に粗粒である.斜長石の組織は,清澄なものと塵状帯を有するものが共存する傾
向がある.FeO*/MgOは古富士火山末期の溶岩よりやや高く,新富士火山の中期溶岩よりや
や低い.K.O,TiO。やRb,Ba,Y,Zr等のインコンパティブル元素の濃度は古富士火山末
期の溶岩や新富士火山の中期溶岩の中間である.
一59一
防災科学技術研究所研究報告 第54号 1995年1月
^3−A5
^2
^1
■
Pe甘ography
011vine
O.7−2.3
O.6_O.8 ! O.7−3.5
mode(Vol%)
SiZe(maX.in mm)
reaCtiOn rim
1.5av.
O.8
1
absent
present〉absent
present orabsent
PyrOXene
mode(vol%)
_一_↓_
cpx
oPx
Plag10C1aSe
O.O−O.2
O.O−1.6
O.O−1,O
o
O.O・1.8
O.O・2.5
’
7.6−15.2
m◎de(Vol%)
2,5,3.2
SiZe(aV.,maX.in mm)
… ■ 一
I
honey−combed
teXture
Chemis岬
』 ■
■ ■
4.O,7IO
1.O,10.O
c1ear and dusty(both)
c1ear◎r dusty
compositional range
Small
Smal1
large
FeOWgO
1.82−1.87
1.9−2.O
1.9−2.6
O.6
K20…%
■
11.4−41.O
16.1・25.5
A1203wt%
一
O.7−1.0
O.7一 ’
17.5−17.55
16.46−16.89
16.93−18.12
lOW
middle
high
compatibleelements
Rb,K,Ba,Y,Zr Ti
l imcompatib■eeIementミ
Ni,Cr
high ■ middle
ト
1OW
図9 各時期の溶岩の比較図
Fig.9 Comparison of petrological characteristics of each stage1ava。
8.3新富士火山の中期溶岩
斜長石には1cmにおよぶ粗粒なものが含まれることもあるが,全体には細粒なものが多
い.多くの場合カンラン石と斜長石の組織は,カンラン石に反応縁がある場合は斜長石は清
澄であり,カンラン石に反応縁がない場合は斜長石は塵状帯を有するといった関係がみられ
る.また,カンラン石に反応縁がある場合は,両輝石にも反応縁がある傾向がある.FeO*/
MgOは古富士火山末期の溶岩や新富士火山の旧期溶岩に比べて最も高く,最も分化してい
る.またK,O,Ti0、やRb,Ba,Y,Zr等のインコンパティブル元素に富む.全体に組成幅
が広く,この時期には多様なマグマが噴出したものとみられる.特に,深度45∼65mの溶岩
(グループA4)は,FeO*/Mg0が高く,K,O,TiO、,P,O、やRb,Ba,Y,Zr等のインコ
ンパティブル元素に富む.またこの深度では斑晶量が低い(平均21%).これらの性質より,
この深度では,分化した液相濃集元素に富み,かつ斑晶量の少ないマグマが噴出したと考え
られる.
8.4古富±火山と新富士火山のマグマの化学組成
以上のように,今回得られたコア試料についてみると,古富士火山末期の溶岩は,新富士
一60一
富士山鳴沢観測井のボーリングコアの層序と岩石学的特徴一宮地ほか
火山の旧期および中期溶岩に比べ,未分化な組成を示す.一方,新富士火山の中期溶岩は多
様な記載岩石学的性質や化学組成を示すが,全体に他の二者に比べ分化している.
図10に全岩のK.O量と斑晶量(石基量)の関係を示す.図中の直線は富樫ほか(1991)に
よって示された,新富士火山旧期溶岩の無斑晶岩のK.O量と原点を結んだ線である.この図
より,A1∼A3はそれぞれ直線的なトレンドを形成することが示される.また,A4とA5は
ほぼ同一のトレンド上にのるとみられるので,石基部分の分化の程度はほぼ同じであると考
えられる.これらより,全体に時問とともにK.0量のレベルが増加する方向に変化している
ことが示唆される.またA5よりA4の方が斑晶量が低く液成分に富むことから,新富士火
山の中期溶岩ではA5の時期にA4比べ相対的に斑晶に富むマグマが噴出したものと考え
られる.
高橋ほか(1991)は,テフラの化学組成の検討から8000∼2000年前の噴出物はRb/Yは
O.3∼O.4と低く古富士火山系のマグマの影響を強く受けているが,11000∼8000年前や2000
年前以降の側噴火の噴出物ではRb/Yが0.4∼o.5と高く新富士火山系のマグマの影響を強
く受けているとした.ところが,4500∼3000年前の中期溶岩を含むグループA3∼A5の
Rb/Yは0.4∼O.6と高く,このことは7000年前の噴出物と考えられる幕岩に露出するテフ
ラ(宮地,1988のI−8)の化学組成(Miyaji etal.,1992)がK.Oに乏しくないことも考えあ
わせると,8000∼2000年前の噴出物はRb/YやK.Oが低いとする高橋ほか(1991)の結果と
異なる.このような相違は中期溶岩や側噴火のテフラの化学組成に関するデータがまだ十分
に蓄積されていないためと考えられる.4500∼3000年前には中心噴火と同時に側噴火が起き
たが(宮地,1988),グループA3∼A5のRb/Y比から考えると,中期溶岩の時期に噴出し
たマグマは新富士火山系のマグマの影響を強く受けている可能性が高い.
1.5
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O
∼ 1.0
y
▲▲
▲
一
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o
□[1
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】 O.5
盲
o
O.0
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Croor1dmass vol%
図10 全岩のK.0量と石基の関係
Fig.10 Bu1k−rock K20vs.gromdmass vo1%diagram.Symbo1s are the
same Fig.3.
一61一
防災科学技術研究所研究報告 第54号 1995年1月
9. まとめ
富士山北西麓の鳴沢で防災科学技術研究所により観測井設置のため行なわれた200m
ボーリングで得られたコアの岩相,記載岩石学的特徴ならびに全岩化学組成を調べ,以下の
結論を得た.
1)得られた試料は記載岩石学的特徴よりグループA1∼A5に区分される.既存の資料を
もとに各グループの特徴を検討した結果,地表から196mまでは新富士火山の噴出物で,深
度196∼201mの溶岩(グループA1)は古富士火山末期の噴出物と考えられる.新富士火山
の溶岩のうち中期溶岩と旧期溶岩の境界は明確ではないが,岩相上,深度7∼95mまで(グ
ループA3,A4,A5)が中期溶岩,深度160∼196mまで(グループA2)が旧期溶岩であ
る可能性が高い.なお,深度95∼160mまでは試料が得られておらず,層位は不明である.
2)FeO*/MgOから判断すると,分化の程度は古富士火山末期の溶岩から新富士火山の中期
溶岩に向かうにつれ次第に高くなる.また,同程度のFeO*/MgOに対するK.O含有量も古
富士火山末期の噴出物,新富士火山の旧期溶岩,中期溶岩の順に高くなる.
3)全岩微量成分を検討した結果,古冨士火山末期の噴出物はインコンパティブル元素に乏
しくRb/Yは小さいが,新冨士火山の特に中期溶岩ではインコンパティブル元素に富み
Rb/Yも大きかった.また,グループA4は他の新富士火山の噴出物に比べてやや異なる
Rb/Y,Zr/Y比を持つことから,中期溶岩の噴出時の問にも,わずかに原岩の異なるマグマが
噴出した可能性がある.
4)本調査地点には少なくとも90m以上の層厚を有する複数の厚い中期溶岩が分布する.
本地点は富士山の北西 南東方向の側火山列上に位置することや岩石学的特徴から,これら
の溶岩の一部ないし多くは北西斜面の側火山に由来する可能性が高い.
謝 辞
広島大学総合科学部の佐藤博明,アジア航測㈱の千葉達朗の両氏には有益なご意見を頂い
た.深く感謝いたします.
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Geol.Survrey.Japan,No.198,1∼26、
(原稿受理11994年7月21日)
一63
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防災科学技術研究所研究報告
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図版1(9) ボーリングコアの写真(185.5m,190m,194.6m)
P1ate1.(9)Representative photographs of the borehole cores(185.5m,190m
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富士山鳴沢観測井のボーリンクコアの層序と岩石学的特徴一宮地ほか
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図版2−1∼4 岩石資料の顕微鏡写真(65∼25m)
P1ate2.1∼4 Photomicrographs of thin sections of boreho1e core samp1es(65∼25).
Pl:p1agioc1ase,01:olivine,Cpx:c1inopyroxene,Ox:Fe−Ti oxide.
1:Plagioclase and anhedral olivine(A−1from group A5).P1ane−polarized1ight.
2:C1inopyroxene with reaction rim andc1ear zoned p1agioc1se(B,A5).
Crossedpolarized1ight.
3:Dusty plagioclase(C−1,A4).P1ane−po1arized1ight.
4:Honey−combed structure in plagioc1ase and c1ear p1agioclase(D,A4).
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一71一
防災科学技術研究所研究報告
第54号1995年1月
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図版2−5∼8岩石資料の顕微鏡写真(196∼65m)
1)1a促2.5∼8Photomicrographs of thin sections of borehole core samples(196∼65m).
Pl:plagioclase,Ol:olivine,Cpx:c1inopyroxene,Ox:Fe−Ti oxide.
5:Zoned plagioclase with dusty zone and subhedral o1ivine with reaction rim(H,
A3).Crossed−po1arized1ight.
6:Clear plagioclase and p1agioclase with dusty zone(I,A3)一Plane−polarized1ight.
7:Subhedral olivine(K−2,A2).Plane−polarized1ight.
8:Clear p1agioclase and1arge round vesicles(M−2,A2).Plane−polarized light.
一72一
富士山鳴沢観測井のポーリングコアの層序と岩石学的特徴一宮地ほか
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図版2−9,10 岩石資料の顕微鏡写真(201∼196m)
P1ate29,10Photom1crographs of thm sect1ons of borehole core samp1es(201∼196m)
P1 plag1oc1ase,O1 o11vme,Cpx c1mopyroxene,Ox Fe−T1ox1de
g Subhedral o11vme and honey−combed p1agloc1ase m p1lo−tax1t1c groundmass
(N−3,A1).P1ane−po1arized1ight.
10:Olivine and honey−combed p1agioclase(N−1,A1).
Plane−polarized1ight.
一73一