2015年6月24日 教科書・教材閲覧アプリ 「UDブラウザ」 操作マニュアル 中野 泰志(慶應義塾大学) 1 【目次】 1.はじめに 2.アプリの基本的な操作方法 (1) アプリを起動する (2) 書籍を選択する (3) メニューを表示する (4) 目次を開く (5) 指定したページを開く (6) 「しおり」をはさむ (7) 「しおり」をはさんだページを表示する (8) 明るさを変える (9) 辞書を引いたり、音声で読み上げたりする (10) 本文のみを折り返して拡大(リフロー拡大)する 3.キーボードからの操作 (1) ソフト・キーボードを使って操作する (2) 外付けキーボードからの操作 4.書籍の転送方法 2 1.はじめに 本アプリは、ロービジョン(弱視)者の見やすさや使いや すさを考慮して作成した教科書や教材等の書籍を閲覧する ためのソフトウェアです。ロービジョン以外の人達にも使い やすいように、ユニバーサルデザインの発想で作成してあり ますので、様々な方にご利用いただきたいと考えています。 本アプリは、慶應義塾大学中野泰志と加賀エデュケーショ ナルマーケティング株式会社の共同開発です。本アプリの開 発にあたっては、文部科学省初等中等教育局特別支援教育課 委託開発事業(学習上の支援機器等教材開発支援事業)「視 覚障害のある児童生徒が授業場面で有効活用できる教科 書・教材等閲覧アプリの開発--盲、弱視、晴眼の児童生徒が 共に学べるUDアプリを目指して--」、文部科学省初等中等 教育局教科書課委託研究事業「特別支援学校(視覚障害等) 高等部における教科書デジタルデータ活用に関する調査研 究」、文部科学省科学研究費基盤研究(B)「視覚障害者の高等 教育における合理的配慮のための教科書デジタルデータ活 3 用システム」(課題番号 25285261)の補助金を受けました。 また、本アプリを開発するにあたっては、視覚障害特別支援 学校(盲学校)の生徒の皆さんのご協力を得ました。 2.アプリの基本的な操作方法 (1) アプリを起動する 「UDブラウザ」は、ホーム画面上のアイコンをタップし て起動します(図1)。 図1 「UDブラウザ」アプリのアイコン (2) 書籍(教科書・教材等)を選択する 「UDブラウザ」アプリを起動すると、図2のように書棚 が出てきます。アイコンだけでは、判断がつきにくいので、 4 教科書の表紙とタイトルを表示しています。間違いがなけれ ば、表紙でも書籍のタイトルでも構いませんので、タップし てください。そうすると、書籍を開くことが出来ます。 図2 書籍選択画面=書棚 5 教科書を選択すると、その教科書の表紙のページが表示さ れます(図3)。 図3 表紙の例 (3) メニューを表示する 6 画面を1本指でタップするとメニューが表示されます(図 4)。 図4 メニューを表示した状態 7 メニューにある機能は、図5に示した通り、 「目次へ飛ぶ」 「ページジャンプ」 「しおり一覧」 「しおり」 「明るさ調整」 「ソ フトウェアキーボード表示」 「本文のリフロー表示」 「書棚へ 戻る」の8種類です。 図5 メニューの機能 (4) 目次を開く メニューの左端にある横線が数本引いてある絵のボタン (図6)を押すと目次にジャンプします。なお、サンプル教 科書では、書籍の表紙をタップすると、目次ページにジャン プするようになっています。また、目次の項目をタップする 8 と各単元にジャンプするようにリンクが張ってあります。 図6 目次ページ (5) 指定したページを開く メニューの左から2番目の「P」ボタンを押すと、図7の ようにページ番号を入力する画面が表示されます。ここで開 きたいページを入力し、「OK」ボタンを押すと指定したペー ジにジャンプします(例えば、 「15」と入力し、 「OK」ボタン 9 を押すと、15 ページにジャンプします)。 図7 指定したページを開く (6) 「しおり」をはさむ よく使うページや次の授業で開く必要があるページには 「しおり」をはさむことができます。「しおり」ボタンを押 し、 「しおり」ボタンの絵に「☆」マークがつくと「しおり」 をはさんだことになります(図8)。 10 図8 「しおり」 (7) 「しおり」をはさんだページを表示する 「しおり」をはさんだページを表示させるためには、左か ら3番目のリボンのようなマークを押します。そうすると図 9のように「しおり」をはさんだページを表示します。ペー 11 ジを選択すると、そのページに、また「戻る」ボタンを押す と元のページに戻ります。 図9 「しおり」をはさんだページの一覧表示 12 (8) 明るさを変える まぶしさがある場合には、明るさの調整が有効です。太陽 のような絵をタップすると、明るさを変化させることが出来 るスライドバーが出ますので、好みの明るさに調節してくだ さい。 図 10 画面の明るさの変更 13 (9) 辞書を引いたり、音声で読み上げたりする 辞書を引いたり、音声で読み上げたりする際のメニュー表 示が従来よりも楽になりました。不要なメニューが表示され ないようにしてありますので、ご確認ください。また、これ までは、「読み上げ」や「辞書」という表示が小さくて見え にくかったと思いますが、 「UDブラウザ」では図 12 のよう にピンチ拡大できるようになりました。また、辞書検索した 結果の表示も見やすくなっています(図 13)。なお、後述す る「リフロー拡大」ではピンチ拡大は出来ませんので、ご了 承ください。 14 図 11 「読み上げ」や「辞書」のための文字選択 15 図 12 文字選択時にピンチ拡大が可能! 16 図 13 辞書検索の結果の表示例 (10) 本文のみを折り返して拡大(リフロー拡大)する 本アプリの最大の特徴は、本文のみを取り出し、折り返し て拡大(リフロー拡大)できることです(図 14)。メニュー の右から2番目の「R」ボタンを押すと、そのページの本文 を折り返して拡大してくれます。現時点では、リフロー拡大 のメニューは、現在、文字の拡大・縮小とPDF表示に戻る という最低限の機能しかついていませんが、文章だけを読み 17 たいときには有効だろうと思われます。なお、リフロー拡大 を行うためには、html データが必要になります。 図 14 左ページの本文のみを折り返して拡大(右図) 3.キーボードからの操作 本アプリのもう一つの特徴は、キーボードから行送り等の 操作が出来ることです。拡大読書器の XY テーブルを動かす ように、キーボードから画面を制御することが出来ます。こ 18 の機能は、iPad を使うと「船酔いのような状態になる」とい う問題を改善できる可能性があります。また、拡大画面を水 平、垂直に動かしたり、本の左端、右端にジャンプしたり、 全体表示と拡大表示を切り替えたり等、視覚支援学校の生徒 の皆さんからいただいたご要望を反映させていただいたつ もりです。なお、キーボードは、実際に触ることが出来るキ ーボードも利用できますし、画面にキーボードを表示して利 用するソフト・キーボードでも利用できます。 (1) ソフト・キーボードを使って操作する ソフト・キーボードを表示させるためには、メニューの右 から3番目にあるキーボードの絵をタップしてください。そ うすると、画面の一番下に図 15 に示したようなソフト・キ ーボードが表示されます。ソフト・キーボードの機能は図 16 〜18 に示した通りです。 19 図 15 ソフト・キーボード 図 16 ソフト・キーボードの機能(1) 20 図 17 ソフト・キーボードの機能(2) 図 18 ソフト・キーボードの機能(3) 21 (2) 外付けキーボードからの操作 ブルーツース等の外付けキーボードがある場合には、ソフ ト・キーボードを表示させなくても、キーボードからアプリ を操作することが出来ます。機能の割り当ては、以下の通り です。なお、外付けキーボードを利用する際には、必ず、 「English(US)」モードにし、「caps lock」がかかっていな い(小文字入力になっている)ことを確認してください。 ・左右の移動:右(j)、左(f) ・上下(前後)の移動:上(u)、下(n) ・端への移動:左端(d)、右端(k) ・ページ内移動:左上(r)、左下(v) ・拡大率の変更:拡大する(m)、縮小する(z) ・ページ移動:次ページ(p)、前ページ(q) ・全画面を表示する/拡大画面に戻る(y) 4.書籍データの転送 UDブラウザへ書籍データを転送することができます。デ 22 ータの形式は、PDF と HTML に対応しています。 パソコンと iPad をケーブルで接続して、パソコンの iTunes を起動します。起動した画面の左上にある iPad のア イコンをクリックします。その後、左の一覧から「App」を クリックします(図 19) 。 図 19 iTunes の画面(1) 23 「App」をクリックすると右側にパソコン上にある iPad ア プリ一覧とファイルの共有を行うアプリの一覧が表示され ます。下にある「ファイル共有」から「UDブラウザ」をク リックします。右下の「追加」をクリックし、追加したいフ ァイルを選択して追加します。ファイルの一覧に目的のファ イルが並んだら、下の「同期」をクリックして転送します(図 20)。 図 20 iTunes の画面(2) 24 PDF ファイルと HTML ファイルは、拡張子以外を同じファイ ル名にしてください。なお、HTML ファイルは、HTML5 に準拠 していますので、CSS、画像や動画へのリンク等が可能です。 転送後は「UDブラウザ」の書棚で、右上の再読み込みの ボタンをタップして、一覧に表示されることを確認してくだ さい。 5.その他 本アプリの利用方法等の詳しい情報については、以下の URL をご参照ください。 http://web.econ.keio.ac.jp/staff/nakanoy/app/UDB/ 25
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