H2705kazokukai_fukuchi

医療法人福智会 すずかけクリニック
福智 寿彦
現代型の統合失調症
家族が
前
兆
期
発症の前触れが現れる時期
現在でも多くの患者・家族が経験する
統合失調症と
急
性
期
従来と比べ激しい症状が起きるケースは少ない
診断されたら
休
息
期
急性期の反動のうつ症状も少なくなり
急性期との境目を捉えにくい
医療法人福智会 すずかけクリニック
回
復
期
<認知機能障害>が起こる
家族のサポートがもっとも重要な時期
福
智
寿
彦
最大の問題は認知機能の低下
統合失調症 = 認知機能障害
を引き起こす疾患
コミュニケーションの障害
会話の変化
まとまりが失われる
認知機能
話題が急に飛躍する
• 物事を判断する・計画を立てる・集中する といった能力
• 認知機能が低下すると 物事の捉え方がいびつになる・
相手の目を見ない・自分の世界に閉じこもる・身の回りのこと
を気にしなくなる・興味のないことをまったくやらなくなる
• 認知機能障害 ≠ 知的能力の障害(発病前のIQは保たれる)
• 統合失調症のほぼ全員に認知機能障害が起きるが、
機能が低下するスピードには個人差がある
何が言いたいかわからない
的外れな内容
行動の変化
集中力を欠く
仕事などでミスが増える
作業効率が悪い
スピードが遅い
注意力低下
どの刺激に注意を向けて
よいかがわからなくなる
会話中でもささいな
物音に大きく反応する
関心の低下
関心あるもの以外に極端に
興味を示さなくなる
不衛生になる
ほとんど人と話さなくなる
回復期にはいち早くリハビリを
SST
• 社会と距離をおいていたことで失われた能力を
取り戻すリハビリが必要
• 日常生活技能(食事・身支度・買い物・交通機関の利用等)
認知行動療法
ピアサポート
SST
• 病気の自己管理技能(服薬管理、症状への対処等)
• 社会生活技能(会話の仕方、気持ちの伝え方等)
• 日常生活のさまざまな場面を想定し、ロールプレイング
• よかった点・より上手くいくための助言を参加者で共有
• 実生活に取り入れるために、宿題や課題を設定
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医療法人福智会 すずかけクリニック
福智 寿彦
デイケアを利用する
• 認知機能の維持には「雑談」が効果的
• 利用者同士で話し合いながら物事を進める・
問題をみんなで解決することが認知機能を保つ
• 自らの生活圏を離れ「他人」の中ですごすこと
が効果的な刺激
主体的に行動できる環境づくり
治療は専門家から
一方的に受けるものではない
• 本人が主役となり物事にかかわることが
社会復帰に最も効果的
• 失敗から学び成長するのはどんな人でも同じ
自分で目標を決めさせる
「病人らしい生き方」を押し付けていませんか?
リカバリー
• 自分の人生を、自分らしく生きるために、人生の選択を自分で決める
• 発病前とまったく同じ「もと通りの人生」を取り戻すのは難しい。
いまを「スタート地点」として再出発することが大切
• いま持っている力を強化して、豊かな人生を生きていく
• 本人が「自分で選べる」環境が治療的な環境
本人はどう生きたいのか?
• 何かに挑戦することが症状の改善に効果をもつ
ケースがしばしばある
• 医師や家族が正しいと思う治療法でも
本人が望まない治療は「治療的ではない」
• 治療のメリット・デメリットを説明し
最終的に本人が選択することが大切
本人の選択権を奪ってはいけない
家を出て自立させること
家族の過干渉は未来を閉ざす
• 一人暮らしでも「孤立させない」ことが重要
• 統合失調症=脳の疾患(家族の責任ではない)
• 家族が定期的に家に行き、声かけを
• 家族が<スティグマ>(偏見)を乗り越える
ことが本人の希望へつながる
• 訪問看護やヘルパーの活用を
• 本人のプライドを尊重しつつ、
甘やかしすぎず、過保護になりすぎないこと
• 家族の感情が、疾患の回復・再発に大きく影響
• 親亡き後も本人が人生を歩めるサポートを
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医療法人福智会 すずかけクリニック
福智 寿彦
良いデイケア・悪いデイケア
ピアサポートの大切さ
良いデイケアの条件は?
• これからの精神医療は
• 本人の意思・主体性を重視しているか
• スタッフが本人の力を信頼できているか
• 利用者が目標を持てる仕組みになっているか
• 「病気を治す」「症状を抑える」以外の
目標を大切にしているか
• ピアサポートが機能しているか
日本の精神医療はどうなる?
当事者中心
• 「自分たちに必要なことを、自分たちで」の考え方
• 支えられる側には「リカバリーの道を歩む希望」、
支える側にも「自信」「役割意識」「認知機能UP」の
効果
• ピアサポートが、
特別な精神医療が必要ない未来を
つくる!
いま、できることは何か
10~15年以内に予想されるのは…
医療費の抑制
精神病院は減少
デイケアに日数制限
作業所も減少
お金だけを遺されても
希望ある人生は生きられない
統合失調症や知的障害を診る精神科医が減少
障害者雇用は進んでも精神障害者の就労は
ハードルが高いまま
更なる高齢化により障害者が老人介護を
自分らしく、自立した生活のために
必要なスキル、必要なサービス、必要なサポートは?
本人と一緒にプランを立てておくことが大切です
ご清聴ありがとうございました
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