医療法人福智会 すずかけクリニック 福智 寿彦 現代型の統合失調症 家族が 前 兆 期 発症の前触れが現れる時期 現在でも多くの患者・家族が経験する 統合失調症と 急 性 期 従来と比べ激しい症状が起きるケースは少ない 診断されたら 休 息 期 急性期の反動のうつ症状も少なくなり 急性期との境目を捉えにくい 医療法人福智会 すずかけクリニック 回 復 期 <認知機能障害>が起こる 家族のサポートがもっとも重要な時期 福 智 寿 彦 最大の問題は認知機能の低下 統合失調症 = 認知機能障害 を引き起こす疾患 コミュニケーションの障害 会話の変化 まとまりが失われる 認知機能 話題が急に飛躍する • 物事を判断する・計画を立てる・集中する といった能力 • 認知機能が低下すると 物事の捉え方がいびつになる・ 相手の目を見ない・自分の世界に閉じこもる・身の回りのこと を気にしなくなる・興味のないことをまったくやらなくなる • 認知機能障害 ≠ 知的能力の障害(発病前のIQは保たれる) • 統合失調症のほぼ全員に認知機能障害が起きるが、 機能が低下するスピードには個人差がある 何が言いたいかわからない 的外れな内容 行動の変化 集中力を欠く 仕事などでミスが増える 作業効率が悪い スピードが遅い 注意力低下 どの刺激に注意を向けて よいかがわからなくなる 会話中でもささいな 物音に大きく反応する 関心の低下 関心あるもの以外に極端に 興味を示さなくなる 不衛生になる ほとんど人と話さなくなる 回復期にはいち早くリハビリを SST • 社会と距離をおいていたことで失われた能力を 取り戻すリハビリが必要 • 日常生活技能(食事・身支度・買い物・交通機関の利用等) 認知行動療法 ピアサポート SST • 病気の自己管理技能(服薬管理、症状への対処等) • 社会生活技能(会話の仕方、気持ちの伝え方等) • 日常生活のさまざまな場面を想定し、ロールプレイング • よかった点・より上手くいくための助言を参加者で共有 • 実生活に取り入れるために、宿題や課題を設定 1 医療法人福智会 すずかけクリニック 福智 寿彦 デイケアを利用する • 認知機能の維持には「雑談」が効果的 • 利用者同士で話し合いながら物事を進める・ 問題をみんなで解決することが認知機能を保つ • 自らの生活圏を離れ「他人」の中ですごすこと が効果的な刺激 主体的に行動できる環境づくり 治療は専門家から 一方的に受けるものではない • 本人が主役となり物事にかかわることが 社会復帰に最も効果的 • 失敗から学び成長するのはどんな人でも同じ 自分で目標を決めさせる 「病人らしい生き方」を押し付けていませんか? リカバリー • 自分の人生を、自分らしく生きるために、人生の選択を自分で決める • 発病前とまったく同じ「もと通りの人生」を取り戻すのは難しい。 いまを「スタート地点」として再出発することが大切 • いま持っている力を強化して、豊かな人生を生きていく • 本人が「自分で選べる」環境が治療的な環境 本人はどう生きたいのか? • 何かに挑戦することが症状の改善に効果をもつ ケースがしばしばある • 医師や家族が正しいと思う治療法でも 本人が望まない治療は「治療的ではない」 • 治療のメリット・デメリットを説明し 最終的に本人が選択することが大切 本人の選択権を奪ってはいけない 家を出て自立させること 家族の過干渉は未来を閉ざす • 一人暮らしでも「孤立させない」ことが重要 • 統合失調症=脳の疾患(家族の責任ではない) • 家族が定期的に家に行き、声かけを • 家族が<スティグマ>(偏見)を乗り越える ことが本人の希望へつながる • 訪問看護やヘルパーの活用を • 本人のプライドを尊重しつつ、 甘やかしすぎず、過保護になりすぎないこと • 家族の感情が、疾患の回復・再発に大きく影響 • 親亡き後も本人が人生を歩めるサポートを 2 医療法人福智会 すずかけクリニック 福智 寿彦 良いデイケア・悪いデイケア ピアサポートの大切さ 良いデイケアの条件は? • これからの精神医療は • 本人の意思・主体性を重視しているか • スタッフが本人の力を信頼できているか • 利用者が目標を持てる仕組みになっているか • 「病気を治す」「症状を抑える」以外の 目標を大切にしているか • ピアサポートが機能しているか 日本の精神医療はどうなる? 当事者中心 • 「自分たちに必要なことを、自分たちで」の考え方 • 支えられる側には「リカバリーの道を歩む希望」、 支える側にも「自信」「役割意識」「認知機能UP」の 効果 • ピアサポートが、 特別な精神医療が必要ない未来を つくる! いま、できることは何か 10~15年以内に予想されるのは… 医療費の抑制 精神病院は減少 デイケアに日数制限 作業所も減少 お金だけを遺されても 希望ある人生は生きられない 統合失調症や知的障害を診る精神科医が減少 障害者雇用は進んでも精神障害者の就労は ハードルが高いまま 更なる高齢化により障害者が老人介護を 自分らしく、自立した生活のために 必要なスキル、必要なサービス、必要なサポートは? 本人と一緒にプランを立てておくことが大切です ご清聴ありがとうございました 3
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