支援学校の2つの事例発表をもとにグループ討議を行いました。 日時 2015 年 10 月 25 日(日)13:00~16:20 場所 三重県立稲葉特別支援学校 プレイルーム 参加人数 31 名 内容 1. A 支援学校 事例発表 (1) 事例発表 ・ 中学部の生徒の実践。小学部の時に絵カードのコミュニケーション学習をしていた。進学して自分 から絵カードで要求することはなかった。 ・ 小 6 から不安定。パニックが増え、他傷も増えた。家からの飛び出しもあった。 ・ 穏やかな生活を送れるよう、思いが伝わりやすくなるよう、PECS を始める。 ・ 夏休み前後にフェイズ 2 まで学習し、随分落ち着いた。2 学期からフェイズ3の弁別学習。スケジ ュールの導入を行った。さらに落ち着いた。1 学期は一日に 1~2 回だったパニックが週に 1 回く らいになった。パニックも 1 時間続いたのが、30 分くらいで落ち着くようになった。 ・ 今後の課題は、「強力な好子の発見」、「般化」、「問題行動への対処方法(掲示物を破る、口の 中に物を入れる等)」。 (2) グループ討議 ・ 正会員、準会員、保護者ごとの5つのグループに分かれ、発表内容についての討議や各々の情 報交換を行った。 (3) グループ発表 ・ 好子が弱いのは、自分ですぐ手に入るものが多い。好子をコントロールし、コミュニケーション場面 を作っていく。 ・ 人への般化は、まず担任間で。他のクラスの先生にも協力いただく。場面の般化は、学習しやす い「自活」「休憩時間」「給食」から始め、他に広げていく。 ・ 好子カードは 7 枚であるが、もっと伝えたいことがあるはず。どんどん増やしていく。 ・ 問題行動は、行動分析を。アセスメントが大事。 ・ 好子のコントロールは、子どもと交渉しながらスケジュールに組み込んでいく方法もある。 ・ 家庭で実践しているが、学校でなかなか実践していただくのが難しい。 ・ 好子がどんどん変わっていき、カードがどんどんたまってくるがどうしたらいいのか。 (4) 助言者の先生より ・ 好子のとらえ直し。好きな物だけではない。行動が繰り返されるものも含む。 ・ 学校では、人の般化は容易。いろいろな先生に協力いただく。「買い物」など、人の般化に有効。 ・ 問題行動は、機能分析をする。また、いろいろな角度からアプローチ。ピラミッドアプローチを参 照。 ・ 「噛む」「紙を破る」は、問題行動なのか。アセスメントが大切。「噛む物を与える」、「破ってもいい ものを与える、紙を破っても良い場面を作る」等、機能的に等価な代替行動を見つけていく。 2. B支援学校 事例発表 (1) 事例発表 ・ 小学部の児童の実践報告。簡単な文章表現が可能。「楽しい」「嬉しい」等、感情表現を理解で きる。カードやことばで要求する。強力な好子は、i-pad。アニメ、粘土、風船等、他にも好子あり。 ・ 1 年生から PECS を学習。1年生で「フェイズ4」、2 年生で「属性語とスケジュールの導入」、3 年 生で「属性語の拡大」を学習。 ・ 3 年生の途中でコミュニケーション学習を見直す。好子アセスメントをし直し、交渉や視覚的強化 システムの学習を始める。サボタージュをし、要求場面を増やす。 ・ その結果、1 学期は一日 8 回の 要求回数が、10 月には一日 22 回に増加(給食での要求は除 く)。 ・ 課題は、「人的好子をもっと取り 入れる」、「丁寧な好子アセスメン ト」、「家庭との支援の共有」。 (2) グループ討議 ・ 正会員、準会員、保護者ごとの5つのグループに分かれ、発表内容についての討議や各々の情 報交換を行った。 (3) グループ発表 ・ 「終わりの伝え方」には、いろいろな方法(タイマー、ジェスチャー等)があるのがわかった。次に好 きな活動を計画し、主体的に「終われる」方法も有効。 ・ 視覚的強化システムもトークンを貯めていくタイプもあれば、パズル式、線結び式、色塗り式等、い ろいろある。 ・ PECS のとりくみは、学校や学部で差がありすぎる。学習した場合は、しっかり引継ぎをしてほしい。 ・ 行事の参加のしんどさについては、もっと丁寧な支援が必要。参加しにくいのは、「見通しの持ちに くさなのか」、「不快刺激なのか」等、細やかにみていく。また、「どのくらいなら(どんな内容なら) 参加できるか」、「参加の有無の選択」等の発想も必要かも。 ・ タイマーの使い方は、「楽しいことを止める」よりも「楽しみを待つために使用」することも有効。 (4)助言者の先生より ・ 小学部全体で取り組まれているのが素晴らしい。ぜひ、小、中、高とつなげていってほしい。動画 つきで指導の経過の資料もつけて、引き継いでいく。 ・ サボタージュは、要求場面を増やす。まずは、「ルーチンワークを確立」し、「スキルの指導」から行 う。「スキルを習得」したら、子どもに気づかれないようにサボタージュする。 ・ ぜひ「フェイズ6コメント」の学習を。iPad が好きなら、好きなアプリをしていることをコメントしてもらう 方法もある。 ・ 支援者が PECS を使って子どもに伝える。理解が難しい子にわかりやすいし、学習のモデルにな る。 ・ 「好子がなかなか見つからない、広がらない」課題は、どこの地域でも同じ。ピラミッドの資料を参 照する。京都では、「好子バンク」を開催し、リストを作成中。 ポイント ○ 問題行動は、機能分析する。機能によって支援方法を考える。代替行動を教えることも大切。いろい ろな角度からアプローチする(ピラミッド教育アプローチ参照)。 ○ コミュニケーション学習は、動画とともに引継ぎを行っていく。
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